2006年2月28日 (火)

話題  Pugang Pharmaceutic Co., Ltd.

Pugang Pharmaceutic Co., Ltd.という会社がインターネットにホームページを開いている。GMP対応の最新鋭の8つの工場を持ち、10カ国以上に支店、営業所をもっており、年間売上高は約25百万米ドル。

実はこれは北朝鮮の朝鮮富強製薬という会社で、漢方薬を製造販売している。

驚いたのは北朝鮮の会社がインターネットにホームページ(http://www.pugangpharma.com/ ハングルと英語、中国語で表示)をもっていることだけではない。

この会社はKorea Pugang Corporation (朝鮮富強会社)というコングロマリットの子会社で、富強貿易、富強オートバイ、富強鋳貨、富強泉水など8つの系列会社の1つである。

朝鮮富強のホームページ(http://www.pugangcorp.com/)では、1979年設立で、資本金は約20百万米ドル、年商は150百万米ドルに達すると記されている。

朝鮮中央日報によると、朝鮮富強の社長のチョン・ジュンフンはチョン・ミョンス前中国駐在大使の息子で、早くから対外貿易にかかわり、数百万ドルの個人資産を蓄積しており、弟のチョン・ヨンフンもディーゼル油輸入を独占しているという。北朝鮮では2002年の「7.1経済管理改善措置」で市場経済原理を部分的に受け入れたが、これ以後、北朝鮮にも大資本家が出現し、それとともに貧富格差が大きくなっているという分析が関係当局と専門家たちの間で出されている。

金総書記は1980年代に広東省を訪問し「社会主義修正主義だ」と批判したのに対し、この1月の訪問時には「広東省で起きた転変を目撃して多くの感動を受けた。広東省がさらに繁栄するよう願う」と述べ、「北朝鮮も中国の改革・開放モデル導入を検討する」とした。

今後、北朝鮮にも朝鮮富強のような会社がドンドン出てくるのであろうか。

参考 7・1経済改善措置の主な内容
①物価および賃金の引き上げ、
②為替レートの現実化および関税の調整、
③企業の自律調整権拡大、
④食糧・生活必需品などの配給制の段階的廃止、個人耕作地の拡大など

2006年2月26日 (日)

話題  植物使わずタミフル合成に成功 東大グループ

抗インフルエンザ薬のタミフルを、原料の植物を使わず石油成分から合成することに、東京大薬学系研究科の柴崎正勝教授(医薬品合成化学)らの研究グループが成功した。新型インフルエンザ対策として需要が高まる一方、原料植物の確保が難しいことから世界的な品不足が続いてきたタミフルの安定供給が期待できそうだという。
(朝日新聞 2006/2/26)

調べた結果は以下の通り。

ロシュ社は現在、タミフルを、多くの天然の植物に含まれるポリフェノールのシキミ酸から製造しているが、ポリフェノールの微妙な相違もあって、中国の広西チワン族自治区、貴州省、雲南省、四川省で生育するトウシキミに限定しており、供給能力に心配がある。

柴崎教授らはこれを1,4-シクロヘキサジエンから不斉触媒を用いて合成に成功した。少し構造が異なる化合物も合成できることから、タミフルが効かなくなった耐性ウイルスに対する新薬開発につながる可能性もあるし、なにより原料の供給不安がなくなるため、実用化が期待される。

不斉触媒では野依良治博士が2001年にノーベル化学賞を受賞しているが、柴崎教授の不斉触媒研究も有名で、研究者の業績評価で世界的に知られるトムソンISI社によれば、不斉触媒研究に関する論文の引用回数で世界第1位となっている。(2006/1/6 東大発表

なお、シキミ酸(Shikimic acid) は仏事に使うため寺院にも植えられる植物シキミからきている。
1885年にヨハン・エイクマンが東京大学医学部で教えていたときにシキミの果実(毒性あり)から発見したので名付けられた。

トウシキミは中国原産のシキミ科の常緑高木で、果実を乾燥させたものはスターアニス、八角などと呼ばれ、香辛料として中華料理に使われている。

シキミ酸 Shikimicacid