2010年3月 2日 (火)

ポリプロカルテルで最後の課徴金納付審決

公取委は2月24日、出光興産に対し、課徴金納付審決を出した。2月26日に発表した。

課徴金は142,150千円で、これで7社合計の課徴金は1,455,640千円となった。

ーーー

この事件は、2000年にポリプロメーカーが売価の引き上げで合意、値上げを実施したとして、2000年5月30日に公取委が立入検査を行い、2001年5月30日に勧告を行った。

これに対し、日本ポリケム(その後、日本ポリプロ)、グランドポリマー(その後、三井化学)、チッソは応諾、住友化学、サンアロマー、出光石油化学(その後、出光興産)、トクヤマは拒絶した。

2003年3月に応諾した3社に課徴金納付命令が出た。

2000年4月の値上げ実施予定日を計算の始期とし、9月に他の各社にカルテル離脱を通知した日を終期とするものであった。
三井化学は受諾したが、他2社は審判を要求した。

2007年6月に日本ポリプロ、チッソに対する審決があり、両社は応諾した。

公取委の立入検査で値上げはなくなったとし、その前日を終期としたため、課徴金は大幅に引き下げられた。

2008年6月に残り4社への課徴金納付命令が出たが、審判となった。

2009年5月に住友化学とトクヤマ、10月にサンアロマー、今回出光興産に対して課徴金納付の審決が出た。

課徴金の各社別金額は以下の通り。(千円)

三井化学  760,080  
日本ポリプロ  220,870 当初 845,170
チッソ  116,620 当初 435,130
住友化学  117,160  
トクヤマ   47,790  
サンアロマー   50,970  
出光興産  142,150  
合計  1,455,640  

なお、2009年9月に東京高裁での審決取消訴訟で、トクヤマ、出光興産、住友化学、サンアロマーからの請求を棄却する判決が出たが、トクヤマのみ上告し、現在係属中となっている。

それにしても、2000年のカルテル事件が今までかかるのは問題である。

 


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2010年2月27日 (土)

韓国公取委、生コン業者のカルテルを一時認可

韓国公正取引委員会は1月21日、期間限定でカルテルを認めてほしいとの生コンクリート業界の要求について、共同で品質管理、研究開発を進めるとした部分に限り、2年間の期限付きで認可することを決めた。

カルテル認可制度は1987年に導入されたが、認可決定は1988年にバルブ製造業界に5年間にわたり製品規格を制限し、原料の共同調達を図ることが認められて以来で、2例目となる。

公取委は2009年2月の業務報告で、「経済危機克服に向け、避けられない場合には共同行為(カルテル)認可制度を積極的に運用する」としている。公取委の鄭浩烈委員長も2009年7月の就任に際し、「共同行為認可制度の活性化が必要だ」と指摘している。

韓国全土37地域の生コンクリート業者388社、11の業界団体は2009年9月、事業再編、不況克服などを理由として、2年間に限り談合を認めてほしいと公取委に求めた。

要請内容は原料のセメントの共同購入、共同受注と受注配分、共同での品質管理と研究開発などであったが、このうち、共同での品質管理と研究開発のみを認めた。

公取委では、共同購入、共同受注は競争上、メリットよりもデメリットの方が大きいとしている。

業界では範囲が限定されたことに失望し、今回の承認はリップサービスで、実際は拒絶であるとしている。
公取委は建設業界やセメント業界の意見をもとに結論を出しており、中小の生コン業者の状況を見ていないと批判している。


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2010年2月13日 (土)

韓国公取委、焼酎カルテルで課徴金

韓国公正取引委員会は2月4日、11社の焼酎会社が2度にわたり焼酎の出荷価格を事前に談合、販促活動と景品の条件に合意していたことを確認し、是正命令とともに272億ウオン(約22億円)の課徴金を課した。

業界1位の真露が166.8億ウオンで、他に舞鶴(26.3億ウオン)、大鮮酒造(23.8)、宝海醸造(18.8)、金福酒(14)、そんやん(10.5)など。一部の焼酎は価格差別のために努力した点が認められ、除かれた。

業界側は審決過程で、酒税法に基づく国税庁の行政指導に沿って価格を調整したのを談合と見なすのは不当だとした。

公取委は国税庁の行政指導自体に対する判断は下さなかったが、焼酎会社が行政指導を口実に談合したとし、「政府機関の行政指導を口実に行われる談合行為も決して容認しない」としている。

但し、公取委は当初の審査報告書で2,263億ウォンとしていた課徴金を1/10の272億ウォンに引き下げた。
公取委では、「制裁水準を決定する過程で、焼酎会社が政府の物価安定対策に基づいて値上げ幅を調整しようと努力した点を勘案した」と説明している。

業界1位の真露は焼酎市場のトップの座に君臨してきたが、無理な事業拡張とアジア通貨危機のあおりで1997年に経営破綻した。

麒麟麦酒やアサヒビールが韓国企業と組んで買収に乗り出したが、最終的には2005年にハイトビール(朝鮮麦酒)の傘下となった。

 

ーーー

韓国公取委は昨年12月にLPGカルテルに過去最高となる6,689億ウォン(約506億円)の課徴金を科した。

2009/12/7 韓国のLPGカルテルで過去最高の課徴金

公取委はこのほか、国内外の航空会社による貨物運賃、ガソリンスタンド、焼酎、大学授業料、オンライン音楽サイトなどに談合の疑いがないかどうか、調査を進めていた。

韓国公取委はまた、中国に進出した韓国企業が、中国の独占禁止法による被害を受ける可能性を踏まえ、徹底的な事前準備を進める意向を表明した。

公取委委員長は昨年11月、「建設、造船など一部業種でカルテルが体に染みついた慣行として残っているが、外国の競争当局に発覚すれば課徴金が多額に上る」と警告した。

韓国企業ではこれまで米国で、LGディスプレーの4億ドル(液晶パネル)、サムスン電子の3億ドル(DRAM)など、納めた課徴金は総額1兆8000億ウォン(約1380億円)に上るが、委員長は「公取委が明確な基準を示し、企業に訓練を積ませる機会を与えるのが遅れたため」とし、今後は企業のカルテルに対し、さらに厳しい制裁を加えると同時に、中国進出企業が現地の法律を知らずに制裁を受けることがないよう、企業教育などの対策を講じる方針としている。<p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p>

日本では経済産業省が1月29日、「競争法コンプライアンス体制に関する研究会報告書 ~国際的な競争法執行強化を踏まえた企業・事業者団体のカルテルに係る対応策~」を公表した。

ーーー

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

韓国大法院(最高裁)は2月11日、石油精製大手のS-OILが石油価格の談合に絡み、公正取引委員会から受けた是正命令などの取り消しを求めた訴訟で、原告勝訴の判決を言い渡した。

公取委は2007年4月、S-OIL、SK EnergyHyundai OilbankGS CaltexGSの4社が2004年の4-6月に談合して値上げを行ったとして、合計526億ウォン(45.5百万ドル)の課徴金を課した。
SK Energy
が最大の192ウォン、GSが162ウォン、Hyundaiが93ウォン、S-Oil が79億ウォンであった。 

このうち、S-OILは談合を否定、ソウル高裁に処分取り消しを求めた。

ソウル高裁は2008年に談合の詳細な証拠がないとして公取委の処分を取り消した。
公取委は上告したが、今回大法院は同じ理由で高裁の判決を支持、S-OIL
が払った課徴金79億ウォンの返還を命じた。

他3社は公取委に取消を求めたが、公取委は却下、現在、ソウル高裁で審査中。

3社についても同様の結果が出ることが予想され、今後の同様の事件への影響がある可能性がある。

 



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2010年2月 9日 (火)

「競争法コンプライアンス体制に関する研究会報告書」

経済産業省は1月29日、「競争法コンプライアンス体制に関する研究会報告書 ~国際的な競争法執行強化を踏まえた企業・事業者団体のカルテルに係る対応策~」を公表した。

報告書概要  報告書本文

企業活動がグローバル化する一方、欧米等の各国競争法の執行強化が図られている。

経済産業省では、そのような状況を踏まえ、我が国企業及び事業者団体が競争法コンプライアンス体制を整備するにあたって、参考とし得る具体的な取組及び事例を提示するため、「競争法コンプライアンス体制に関する研究会」(座長:根岸哲甲南大学法科大学院教授)を計4回にわたり開催し、これを取りまとめた。

報告書のポイントは以下の通り。

我が国企業が競争法コンプライアンス体制を整備するに当たっては、「違反行為をしない」ことはもちろんのこと、「違反行為をしたと疑われる状況をできるだけ減らす」ことを念頭に置き、特に、以下の取組をすることが重要であると考えられる。

 ①事業者団体活動を含む、競合他社との接触に関するルールの策定・実施
 ②統計情報の提供・利用に関するルールの策定・実施
 ③役職員に対する、競争法違反の危機感を持たせるような研修の実施

また、我が国事業者団体においては、競合他社同士が接触する機会を提供していることから、競争法上のリスクが少なからず存在することを認識した上で、特に以下の取組を行うことが重要であると考えられる。

 ①会合の運営に関するルールの策定・実施
 ②統計情報の収集・管理・提供に関するルールの策定・実施

ーーー

欧米等の各国競争法の執行強化の例として、EUと米国の制裁金事件の上位を挙げている。

欧州委員会が課した制裁金額事件別上位10 件(~09年12月)

順位 事件 制裁金額
(億ユーロ)
企業別順位  億ユーロ
1位 自動車ガラスカルテル事件(2008年)
 ※旭硝子及び日本板硝子現地法人が対象
 他に、
板ガラスカルテル
  13.8 ③Saint-Gobain(仏)  9.0
⑨Pilkington(英)     3.7
 (日本板硝子現地法人)
2位 天然ガス輸入カルテル事件(2009年)   11.1 ④E.on(独)/GDF-Suez(仏) 各社5.5
3位 インテル(米)支配的地位の濫用(2009年)   10.6 ①インテル(米) 10.6
4位 エレベータカルテル事件(2007年)
 ※三菱エレベータ現地法人が対象
   9.9 ⑥ティッセンクルップ(独)4.8
5位 マイクロソフト(米)
 規制当局処分(2004 年3月)の不遵守(2回目)(2009年)
   9.0 ②マイクロソフト(米) 9.0
6位 ビタミンカルテル事件(2001年)
 ※武田薬品工業、第一製薬、エーザイが対象
   7.9 ⑦ロシュ(スイス) 4.6
7位 ガス絶縁開閉設備カルテル事件(2007年)
 ※三菱電機、東芝、日立、富士電気、
   日本AEパワーシステムズが対象
   7.5 ⑧シーメンス(独) 4.0
8位 ろうそくカルテル(パラフィンワックス)事件(2008年)    6.8 ⑩Sasol(独)(南アフリカ) 3.2
9位 合成ゴムカルテル事件(2006年)    5.2  
10位 マイクロソフト(米)
 支配的地位の濫用(2004年)
   5.0 ⑤マイクロソフト(米) 5.0

日本企業順位

1位 YKK(ファスナーカルテル)(2007年)  1.5億ユーロ
2位 三菱電機(ガス絶縁開閉設備カルテル)(2007年)  1.2
3位 旭硝子(自動車用ガラスカルテル)(2008年)  1.1
4位 東芝(ガス絶縁開閉設備カルテル)(2007年)  0.9
5位 旭硝子(建築用板ガラスカルテル)(2007年)  0.7

(出所)欧州委員会ホームページ掲載情報に基づき経済産業省作成。

参考
<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>ビタミンカルテル事件(当初は855.2百万ユーロ、2社減額)
 Hoffman-La Roche  462百万ユーロ
 
BASF  296.16→236.8
 Aventis 5.04
 Solvay Pharmaceuticals 9.1
 Merck 9.24
 武田薬品工業 37.05
 エーザイ  13.23
 第一工業製薬  23.4→18

米国でリジンカルテルを契機に摘発された。

ーーー

米司法省が科したカルテル罰金額世界企業上位10件(~09年10月)

順位 企業 罰金額
(億ドル)
日本企業
1位 ロシュ(スイス)(ビタミンカルテル)(1999年)   5.0 ⑤武田薬品工業(1999年) 0.7億ドル
2位 LGディスプレイ(韓)(液晶パネルカルテル)(2009年)   4.0 ②シャープ(2009年)  1.2
3位 エールフランス(仏)KLMロイヤル・ダッチ航空(蘭)
 (航空貨物カルテル)(2008年)
  3.5 ③日本航空(2008年) 1.1
4位 大韓航空(韓)(航空旅客・貨物カルテル)(2007年)   3.0
5位 英国航空(英)(航空旅客・貨物カルテル)(2007年)   3.0
6位 サムスン・エレクトロニクス、サムスン・セミコンダクター(韓)
(DRAM カルテル)(2006年)
  3.0 ④エルピーダメモリ(2006年) 0.8
7位 BASF(独)(ビタミンカルテル)(1999年)   2.3
8位 ハイニックス・セミコンダクター(韓)
 (DRAM カルテル)(2005年)
  1.9
9位 インフォネン・テクノロジー(独)
 (DRAM カルテル)(2004年)
  1.6
10 位 SGLカーボン(独)(黒鉛電極カルテル)(1999年)   1.4 ①三菱商事(2001年) 1.3

(出所)司法省ホームページ掲載情報に基づき経済産業省作成。

参考
ビタミンカルテル

リジンカルテルを契機に摘発された。クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。

米・スイス・独・日・加の計11社に総額9億1050万ドルの罰金
 武田薬品  72
万ドル
 エーザイ  40
万ドル
 第一工業製薬 25
万ドル
 Roche 500百万ドル 2008年時点で史上最高
 BASF 225百万ドル
 
Merck 14百万ドル
 
Degussa-Huls 13百万ドル
 
Lonza 10.5百万ドル

武田薬品は司法取引で調味料カルテル(味の素)についても供述し、調味料カルテルについて免責されるとともに、ビタミンカルテルでは法人に対する罰金のみとなった。

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>EUや米国では多額の罰金を科せられたが、これに対して日本の公取委は、2001年4月に独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)と同第6条(特定の国際協定・契約の禁止)違反の疑いで第一製薬とエーザイに警告を出しただけ。

ーーー

黒鉛電極カルテル 

これも<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>リジンカルテルを契機に摘発された。

まず、直接参加社に罰金が課せられた。
 
SGL Carbon AG (Germany) 135百万ドル
  UCAR International Inc. (USA) 110百万ドル
  昭和電工 29百万ドル→32.5百万ドル(裁判官が独自の算式で修正)
 
 東海カーボン 6百万ドル
 
SEC カーボン 4.8百万ドル
 
 日本カーボン 2.5百万ドル
 
Carbide Graphite Group(米) 調査協力で免責

その後、三菱商事に134百万ドルの罰金が課せられた。

当時
50%を出資していた米電極メーカーのUCAR International
から相談を受けたり、会合の場所をつくったりして談合を手助けしたり、昭電、東海、SECの製品をカルテルで決まった価格で販売したとされる。
  http://www.justice.gov/atr/public/press_releases/2001/8186.htm

三菱商事は控訴して争えば裁判が長引き、さらに罰金の金額が膨らむ恐れもあることなどから、支払いに合意した。

このほか、韓国と中国の執行状況の説明もある。

ーーー

問題は罰金額が大きいだけでない。

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

<p><p>HTML clipboard</p></p>米国の場合、個人に対しても長期の禁固刑と多額の罰金が科せられる。
(日本企業で個人の罰金を会社が負担していたとして問題になったことがある)

上記報告書では、外国人も含めて、違反行為者に対する禁固刑の期間が長期化する傾向にあるとしている。   

米国で外国人に科された禁固刑の平均期間
      2000年~2005年は3年から4.6年
      2006年は6.9年
      2007年は12年にアップ。

マリーンホースカルテルではブリヂストン社員が有罪を認め、2年の禁固刑と8万ドルの罰金を科せられた。

    2008/12/12 マリンホース国際カルテル事件で日本人に有罪判決 

日本人ではダイセルの若い担当者が防カビ剤のソルビン酸価格カルテルで3ヶ月の禁固刑に服したのに次ぐ2人目。

リジンカルテルでは情報提供の代償として、味の素と協和発酵の役員各1名が罰金を払っただけであったが、その後、罰則が強化され、ほとんどの事件で個人が起訴されている。

これまで日本人が2人だけなのは、摘発時点で米国におらず、逮捕されなかったためである。
1980年の日米犯罪人引渡条約では、両国でいずれも処罰の対象となり、両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっているが、独禁法違反の場合には日本政府は該当せずとし、引渡しは行われない。

但し、米国法では時効の中断状態で、将来、米国に入国すれば逮捕される。米国でなくても、国によっては引渡条約により米国に引き渡される可能性がある。
起訴されている某氏によると、弁護士から「米国(サイパンやグアムも)と英連邦には絶対行くな、香港や中国などもどうなるか分からない」と言われたと。

マリーンカルテルの場合、現地で逮捕されたもの。

ダイセルの場合は若い担当者のため、海外へ行かない訳にはいかず、自ら渡米し、刑に服した。

米国司法省は、独禁法を有効に施行するという司法省の能力を示すものとして、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表している。http://www.usdoj.gov/opa/pr/2004/August/04_at_543.htm

通常は役員が対象で、若い担当者が起訴されることはないが、この場合はチッソ(免責)が詳細な資料を提出し、それにより本人がカルテル実務を取り仕切っていたと判断されたといわれている。

ーーー-

米国、EU、その他諸国の最近の動きについては、公取委ホームページに記載がある。
  http://www.jftc.go.jp/kokusai/kakougoki.html


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2010年1月25日 (月)

欧州委員会、後発薬問題で製薬大手を調査

Pfizer 114日、製薬会社と後発薬メーカーとの間の後発薬特許契約に関する独禁法調査で欧州委員会から質問を受けていることを明らかにし、調査に協力すると述べた。

問題となっているのは後発薬の参入を遅らせるためにリベートを支払うという 'pay-for-delay' という取引。

何年もの調査に基づき、欧州委員会は多くの製薬会社に、20087月から200912月までの間の欧州における後発薬特許契約(generics settlement agreements)に関する情報提供を求めた。

Settlement agreements は、後発薬の参入の前に、複雑な特許係争によるリスクとコストを最小にするため、製薬会社と後発薬メーカーとの間で長年結ばれていた。

しかし、この結果として、後発薬参入を遅らせるために、製薬会社が後発薬メーカーにリベートを支払うことになれば独禁法問題が生じる。これが'pay-for-delay' と呼ばれ、患者は高価なブランド薬品を必要よりも長期間、使用せざるを得なくなる。

情報提供を求められているのは、ほかに、AstraZenecaBoehringer IngelheimGlaxoSmithKlineNovartisRocheSanofi-Aventisと後発薬メーカーのイスラエルのTevaと英・アイルランドのNiche Generics

これとは別に、欧州委員会は17日、デンマークの製薬会社 H Lundbeck A/S が抗うつ剤のCitalopram の後発薬参入を遅らせた疑いで初期調査に入った。

欧州委員会は、欧州経済領域(EEA)において、後発Citalopramの参入を防止又は遅らせるための慣行を調査するとしている。

欧州委員会では今後、これらのデータを毎年集める予定。

まず資料集めだが、独禁法上で懸念のある契約については調査する。

欧州委員会では後発薬の参入遅延で2000年から2007年の間で少なくとも30億ユーロの損失となっているとみている。

欧州委員会の競争政策担当委員のNeelie Kroes女史は今月までが任期で、2月から現経済・通貨担当のスペインの政治家 Joaquín Almunia Amann 氏が横滑りする。

ーーー

米国ではFTCが米国の製薬会社のsettlement agreementsのタイプや頻度に関する年報を作成している。
FTCpay-for-delay 契約をやめるよう、しばしば求めている。

下院を通過した医療保険改革法案では、pay-for-delay 契約を禁止する条項を含んでいる。
上院の案には含まれていないが、多くの市民運動グループがこれを含めるよう上院に請願している。

113日にはFTC委員長と議会の主要メンバーがpay-for-delay 契約禁止を求める共同声明を発表した。
 http://www.ftc.gov/opa/2010/01/payfordelay.shtm

ーーー

欧州委員会は20097月に医薬業界の問題点(Antitrust: shortcomings in pharmaceutical sector require further action)という報告を発表した。

調査は20081月に開始された。新規医薬品の上市が少ないこと、後発医薬品の参入が遅れることを問題視した。

報告によると、
2000年から2007年の間で特許が切れた医薬品で、後発医薬品発売は7ヶ月以上遅れ、20%の追加支出となった。
・後発医薬品は平均
40%安い。
 製薬会社は出来るだけ長く、後発医薬品なしで販売するよう、多くの手をうっている。
・新規医薬品の発売が減っている。製薬会社の慣行も原因となっている。

・欧州共同特許と統一特許訴訟制度の設立が必要。
 (特許訴訟の
30%がいくつかの国で平行して行われている。11%が国によって判決が異なる)

欧州委員会はメンバー各国に次の要請をしている。
・後発医薬品の承認を遅らせないこと
・後発医薬品の承認手続きを早める。
・後発医薬品の品質が問題とするような誤ったキャンペーンに対応策をとる。
・新規医薬品の評価を早くする


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2010年1月19日 (火)

米司法省、独禁法違反でモンサントを調査

米司法省は115日、農薬メーカー Monsantoを独禁法違反で正式に調査を開始した。
同社のドル箱の
Roundup Ready大豆を巡るビジネス慣行について情報を求めた。

Monsanto では、主として、第一世代のRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れた後も、農家や種子会社はこれを使用できるとした同社の発表の確認を求められていると述べた。 

同社では、これまでと同様に調査に積極的に協力するとしている。

Roundup ReadyMonsantoが開発したRoundup除草剤耐性の農作物の総称。
開発された農作物にはダイズ、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、テンサイなどがある。

Roundup除草剤は1970年にMonsantoが開発した除草剤グリホサート(glyphosate) の商品名で、世界中で使用されている。

Roundup ReadyRoundup除草剤を散布しても枯れず、雑草だけが除かれる。
米国の大豆の90%がこれを使っている。

このRoundup Ready大豆の特許が2014年に切れる。Monsantoでは特許が有効な第二世代のRoundup Ready種子に切り替えさせようとしている。

これに対して需要家の間で不満が広がったため、200912月、Monsantoは特許切れ後も農家が種子を使用するのを妨げないと発表した。2015年からは農家は前年収穫したものを種子として使えるし、種子会社はロイヤリティ無しで生産できるとしている。

大豆種子の価格は1996年以来、4倍に上がっており、農家やライセンスを受けた種子会社の間で不満が出ている。

ーーー

農務省と司法省は20098月、種子を含む農業事業における事業慣行を調査すると発表した。司法省はMonsantoに加え、DuPont とスイスのSyngenta にもコンタクトしている。

Monsantoではホームページで同社の立場を説明している。Innovation and the Competitive Seed Market

ーーー

Monsantoの業界での力が強いため、これまでも独禁法上で問題となっている。

同社は1998年にDelta And Pine Land Company18億ドルで買収することで合意した。

Delta And Pine Land は米国第1位の棉種子会社であり、司法省による独禁法の審査が大幅に遅れ、199912月に買収を断念した。

Monsanto20068月、Delta And Pine Land を現金15億ドルで買収することで再度合意した。

20075月、同社は司法省との間で、Delta And Pine Land買収について合意、米国の棉種子事業を含む設備の売却を条件に買収が認められた。
同社は
Stoneville® 種子事業と設備をBayer CropScience に、NexGen™ 種子事業と設備をAmericot に売却した。

なお、Delta And Pine Land はターミネーター技術(種子を死滅させる毒性タンパクを作る遺伝子を組み込み、2回目の発芽の際には種子が死滅する技術)を保有している。

最初の買収の際、ターミネータ技術に関する大きな反対が起こったため、当時のCEO Robert B. Shapiroは、同社は不妊種子技術の商業化は行わないと公に約束した。

Open Letter From Monsanto CEO Robert B. Shapiro dated October 4, 1999

I am writing to let you know that we are making a public commitment not to commercialize sterile seed technologies, such as the one dubbed "Terminator."

--- we think it is important to respond to those concerns at this time by making clear our commitment not to commercialize gene protection systems that render seed sterile.

しかし二度目の買収に際して、Monsantoの報道官は「種子を不妊とする技術を使用するつもりはなく、”食料作物に対しては不妊種子技術を商業化しない”という2005年の公約に立っている」と公約を修正、非食料作物には使用することを示唆した。

ーーー

Monsanto20095月、DuPont子会社のPioneer Hi-Bred International 2002年のライセンス契約に違反して、Roundup Ready 大豆とDuPont GAT農薬耐性大豆をセットにしているとして訴えた。 

PioneerRoundup Ready販売の権利を持つが、DuPont GATに置き換えるとしていた。
しかし、
GATだけでは問題があることを認めており、Roundup Readyとセットにして販売した。

これに対してDuPont は翌6月、両種子技術をセットにする(stacking)はライセンス契約の範囲内であると主張、更に、Monsanto特許は無効であり、Monsantoは特許を不当に使って、コーンと大豆の市場を支配しているとして訴訟を起こした。

「Monsantoの訴訟は競合製品の使用を制限する戦術の一つである。農家は多くの技術の中から最適のものを使うことを望んでおり、その権利がある。
両種子のセットは生産性や多種の雑草防止などの点で市場の他の製品よりも優れている。
Monsantoが課している非競合制限なしで、最もよい組み合わせを行うのが生産者にも消費者にも役に立つ。」

Monsanto 200910月、ライバルのDuPont が行った独禁法上の問題指摘に基づき司法省から質問を受けていることを明らかにした。

米地裁は1月16日、Monsantoによる訴えに対し判事は、両社の契約には両種子をstackingするのを禁止するという書かれていない(黙示の)条項があると認めた。この決定は紙一重のもの("narrow")であるとし、DuPont による反訴の独禁法問題や特許無効問題には影響がなく、これらは引き続き審理を行うとした。

DuPontでは、裁判は始まったばかりで、更に証拠を集め、農家に対して最も生産性の高い、最新の種子を供給する権利があることを示していくとしている。

ーーー

独禁法とは関係ないが、Roundup Readyのアルファルファ種子について、米最高裁は115日、下級審の販売禁止命令を再検討することを明らかにした。

2007年5月、サンフランシスコ連邦地裁が米国全土でRoundup Readyアルファルファの栽培を禁止した。

米国農務省(USDA)が
これが有機アルファルファや通常のアルファルファを汚染する可能性に関する適切な研究をしなかったと指摘し、商業栽培許可前には、他花受粉の可能性などを含む完全な環境影響研究を行うことを命じた。

20089月、米国第9巡回区控訴裁判所は完全な環境影響評価書が出るまでの禁止を確認した。GMアルファルファの栽培が、有機及び通常品種に対する取り返すことができないかもしれない損害、環境に対する損害、そして農業者に対する経済的損害をもたらす可能性があると裁定した。

最高裁はMonsantoの上告を受けて審議を決めた。

 


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2010年1月12日 (火)

映画 The Informant

映画 The Informant を見た。

New York TimesKurt Eichenwald が関係者から取材して書いたノンフィクション The Informant の映画化。

1992年、アメリカの穀物メジャーのArcher Daniels MidlandADM)のBioProducts Division事業部長のMark Whitacre(演じるのはMatt Damon)は飼料添加物リジンの生産がうまくいかず、上司に責められる。
競争相手のAjinomotoの社員から同社がスパイを送り込み、ウイルスを入れたとの電話があり、情報代を要求される。会社はFBIに依頼し、FBIは彼の自宅の電話に盗聴器をつける。

Mark は妻(演じるのはMelanie Lynskey)から本当のことをFBI捜査官(同 Scott Bakula)に言えと脅され、Andreas副会長主導の日米韓メーカーによるカルテルの存在を伝える。

FBIは米国での会合を秘密に撮影、Markにテープレコーダーで世界各地での会合での会話を録音させた。
Markの2年半に及ぶ 「“007”の2倍賢い諜報員 “0014”」と自賛する大活躍で、証拠が揃い、1995年に強制捜査が入る。

Mark は悪をあばいた英雄として社長になれると思ったが・・・

次々と明らかになるMarkの嘘に、FBIは右往左往。

全くの作り話のように思えるためか、Kurt Eichenwald の原作のサブタイトルはA True Story となっている。

映画でも、Archer Daniels Midland(ADM)Ajinomoto、韓国のSewon Cheil などの社名や、ADMMark Whitacre、Dwayne Andreas会長、その息子のMichael Andreas副会長、AjinomotoMr.Mimoto(有罪となっている)など、全て実名で出てくる。

ーーー

リジンカルテル事件は独禁法の歴史に残る事件である。

リジンはアミノ酸で重要な飼料添加物である。バイオテクノロジーで生産される。

1980年代後半には味の素、協和発酵、韓国のSewon3社が世界の生産の95%を占めていた。(味の素が60%
ADMは原料のdextroseの大メーカーで、1991年にリジン生産に進出し、急激にシェアを伸ばした。
同年、韓国の
Cheil Jedang(第一精糖)も生産を開始した。
Sewon はその後、Miwon Foodsと合併し、Desang Corporationとなった)

その結果、価格は大幅に下落し、コスト割れとなった。

19924月にADMは味の素、協和発酵と会い、"amino acids trade association"をつくり、その後、韓国のSewonCheil Jedang(現在のCJ)が参加、価格や生産量、販売シェアを話し合った。

ADMは映画の中でも同社のモットーを明らかにしている。
  
"The competitors are our friends, and the customers are our enemies"

ーーー

実際には、その前の1990年に日本と韓国メーカーの間でカルテルは始まっている。

カルテルの詳細な経緯は競争政策研究センター(CPRC)の報告
リーニエンシー制度の経済分析」のP.52「ケーススタディ:欧州リジン事件」に記載されている。

ーーー 

1992年11月にADMのMark Whitacre FBIInformantとなった。
19956月、ADMに強制捜査が入った。

ーーー

2000年4月、米ワシントンのホテルで、リジンカルテルの現場をFBIが隠し撮りし米司法省が編集した衝撃のビデオが公開された。

米法曹協会の定期会合の場で「カルテル行為の内情」と題した講義が追加され、ビデオが流された。字幕が付いており、どの社の誰が何を喋ったのか、すべて分かる。

ビデオを解説したテキストは、以下の言葉で締めくくられている。
「(法律家である)あなた方にこのビデオとテキストを役立ててほしい。まず顧客企業がカルテルに関わるのを思いとどまらせるために、そして、防止できなかった場合は違法行為を発見するために」。

日経BP (2000/6/21) 「FBIが隠し撮り--暴かれた味の素/協和発酵らの謀議

ーーー

1996年に、各社は罪を認めた。

ADMは司法取引で、70百万ドルの罰金を支払った。(同時に判明したクエン酸事件の30百万ドルを加え、合計100百万ドル)
Michael Andreas
副会長とMark の直接の上司のTerrance Wilson は罰金と3年の懲役となった。
また、これが契機となって、ADM
異性化糖に関する集団訴訟で400百万ドルを支払っている。

ADMの合計100百万ドルの罰金は、過去最高の7倍にもなる。

味の素と協和発酵、及びSewonは司法取引に応じて情報を提供し、各社と各社の役員各1名が罰金を払った。

ADMと味の素、協和発酵の3社は需要家からの民事訴訟で、それぞれ、25百万ドル、10百万ドル、10百万ドルの支払いに応じている。
(これについては賠償額が少なすぎるとして、その後議論となっている)

この調査で、司法当局はカルテルが考えていたよりも広く行われていることを知り、その結果、ビタミンカルテル、ファックス用紙カルテル、黒鉛電極カルテルなどの摘発につながった。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>(クエン酸カルテルに関するHoffman-LaRocheなどの調査でビタミンカルテルの存在が分かった。)

日本企業はビタミンカルテルでは武田薬品、エーザイ、第一工業製薬が摘発されている。

黒鉛電極では昭和電工、東海カーボン、日本カーボン、SECカーボンに加え、UCAR International 50%出資していた三菱商事も摘発された。

主人公のWhitacre はADMの調査で900万ドルの横領がばれ、情報提供による訴追免除を失い、8半服役した。
ADMはこれを理由にカルテル事件の揉み消しを図った。原作の大きな部分がこの問題に割かれている。)

彼は現在はバイオテクノロジー企業のCypress SystemsCEOとなっている。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

付記    

Whitacreは刑期途中で特赦を申請し、FBI捜査官たちも司法省に要請した。

20011月、Clinton大統領は退任に当たり、176人に恩赦を実施した(特赦140人、減刑36人)。

この中に脱税などの容疑がかけられ逮捕直前に国外逃亡していた実業家 Marc Rich (スイスのGlencoreの設立者が含まれている(彼の元の妻が民主党に総額100万ドル以上の献金を行っている)。

しかし、Whitacreはこの特赦の対象から除外された。

Clinton大統領は退任直前に、Dwayne Andreas AMD会長を褒め称え、彼の「多くの親切」に対して感謝した。

ーーー

リジンカルテルはカナダとEUでも摘発された。

カナダではAMDが罰金1600万加ドル(リジン価格カルテル 900万、同市場分割 500万、クエン酸 200万加ドル)、味の素が罰金350万加ドル、Sewonが7万加ドルとなり、協和発酵は捜査協力で訴追免除、Cheilは販売がなく、不起訴となった。

EUでは1996年にLeniency Programが導入されたが、本事件はその適用の第1号となった。

1995年6月に米国で強制捜査が開始されたが、翌1996年7月、EU でLeniency Program が導入された直後に味の素が情報を提供し、適用を申請した。

欧州委員会は、一連の価格協定等の行為を同一の反競争的な目的を目指して共通の全体計画の文脈で行われた単一の継続的な違反とし、EC 設立条約第81条違反と認定した。

制裁金は以下の通りとなった。(千ユーロ)

味の素 ADM 協和発酵 Sewon Cheil
算定開始額*1 30,000 30,000 15,000 15,000 15,000
重大性(行為年数35 年)
10%
+40% +12,000 +30% +9,000 +40% + 6,000  +40% + 6,000  +30% + 4,500
違反主導的役割 50% +50% +21,000 +50%  +19,500
専ら受身な役割行為
    年数加算を20%
6000x
(-20%)
- 1,200
当局介入直後に違反を終了 -10% - 6,300 -10% - 5,850 -10% - 2,100 -10% - 1,980 -10% - 9,150
Leniency Program*2 -50% -28,400 -10% -5,350 -30% -5,700 -50% -8,920 -30% -5,350
合計 28,300 47,300 13,200 8,900 12,200
旧制度での想定制裁金*3 (13,500) (7,380) (2,880) (2,700) (3,060)

*1 企業規模により、味の素・ADM とそれ以外の2グループに分けた。

*2 Leniency Program 適用は以下による。

味の素(-50%):決定情報を提供したが、以下の理由で100%減額は適用されなかった。
         ・
ADM参入前のカルテルについて情報提供なし
         ・米国での捜索時に欧州や日本の書類破棄を指示
         ・カルテルで主導的役割

ADM(-10%):調査に協力せず。但し事実関係について争わないとした。

協和発酵(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的

Sewon(-50%):十分な証拠を出したが、調査開始後で、委員会の要求に応じた協力(非自発的)

Cheil(-30%):提出証拠は決定的なものでなく、非自発的

*3 旧制度での想定制裁金は リジン年間売上高 x 3年 x 6% 


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2009年12月26日 (土)

ポリプロカルテル事件の状況

2000年のポリプロカルテルについては、トクヤマ、出光興産、住友化学、サンアロマーの4社が2007年8月8日の審決を不満として東京高裁に審決取消を求めて提訴していたが、その判決が9月25日にあった。

東京高裁は、本件審決には、原告らの主張するような違法はなく、原告らの請求は理由がないとして、原告らの請求をいずれも棄却した。

2009/10/14 ポリプロカルテルで高裁判決

住友化学は10月14日、「主張が認められなかったことは残念だが、上告しないことにした」とのコメントを発表した。
しかし、残り3社のうち、
<p>HTML clipboard</p>トクヤマのみが上告及び上告受理申立てを行い、現在係属中となっていることが分かった。

12月2日の事務総長定例記者会見で以下の説明があった。(12/25 メールマガジン)

 本年9月25日、ポリプロピレンの販売価格カルテル事件の審決取消訴訟について、東京高等裁判所において、株式会社トクヤマほか3社の請求を棄却する判決が出された。その後、原告のうち株式会社トクヤマから上告及び上告受理申立てが行われ、現在係属中となっているが、それ以外の原告については、当該判決が確定している。
 この事件は、平成12年の価格カルテル事件であったわけであるが、争点となったのは、平成12年3月6日の会合において、原告7社の間でポリプロピレンの販売価格の引上げに関する合意があったのかどうかという事実関係、公正取引委員会が行った審決の事実認定が引用している証拠が実験則や経験則に照らしてどうなのか、実質的な証拠があるのかどうかというところが争点であった。
 東京高等裁判所としては、9月25日の判決において、公正取引委員会の審決の認定は、経験則、採証法則、証拠を採用する法則等に反するとは言えず、実質的な証拠があって、本件審決が上記会合において基本合意、これは価格カルテルであるから意思の連絡ということになるわけであるが、意思の連絡が成立したと認めたことは合理的であるということができ、原告らが主張するような違法はないとして原告らの請求を棄却したというものである。


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2009年12月12日 (土)

公取委の審判制度廃止

政府は129日、公正取引委員会の審判制度を廃止し、東京地方裁判所に機能を移管すると発表した。

また、処分の事前手続きに、事件にかかわっていない処分企業の社員が「手続き管理官(仮称)」として同席できるようにする。
すべての証拠を原則、開示対象にして透明性を高める。

公取委は「独禁法違反の判断には経済と法律の専門的な知見が必要」として廃止に反対したため、東京地裁は専門性の高い裁判官を養成する。
(審判官7名のうち、2名は裁判官が公取委に出向している。)

来年の通常国会に独占禁止法の改正案を提出する。

内閣府の田村謙治政務官は記者会見で「行政処分をする当事者がその処分の適否を判断する仕組みは、処分を受ける側の事業者からみると、やはり不信感をぬぐえない」と述べ、審判制度廃止の背景を説明した。

ーーー

公取委の命令に対して不服がある企業は命令の取り消しや変更を公取委に求める審判手続きを求めることができる。
現行制度では命令を出した公取委が審判手続きも担当するため、経済界から「検察官と裁判官を兼ねている」との批判が出ていた。

改正独禁法は2006年1月4日に施行されたが、附則第13条で、「政府は、この法律の施行後2年以内に、新法の施行の状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、課徴金に係る制度の在り方、違反行為を排除するために必要な措置を命ずるための手続の在り方、審判手続の在り方等について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされた。

独占禁止法基本問題検討室(内閣府大臣官房)は2006年7月、「独占禁止法における違反抑止制度の在り方等に関する論点整理」を発表した。

2006/7/25  独占禁止法に関する論点整理

これに対して経団連では、2006年8月、コメントを発表した。
この中で「望ましい法改正の姿」として、第一に公取委の審判の廃止を挙げた。

公取委が自ら審査を行い、排除措置命令・課徴金納付命令を出し、その当否を自らの審判において判断することは、公正な審理が本当に確保されるのか、不信感は 払拭できないとし、現在の審判は廃止し、公取委の行政処分に対する不服申立ては行政訴訟の一般原則に立ち返って、地方裁判所に対する取消訴訟の提起という 仕組みに改めるべきであるとしている。

2006/8/2  「独占禁止法基本問題」に関する経団連のコメント

2009年6月3日に独禁法改正案が成立し、改正法の施行期日は2010年1月1日に決まった。

審判制度については、公取委は当初、審判制度の見直し案として、
・談合・カルテルは裁判所で争い、
・不当廉売などの違反行為は企業の主張を聞いたうえで処分を決める「事前審判」
を併せた制度を提案した。

これに対して、経済界は審判制度の全廃を主張、自民党の独禁法調査会でも「公取委の組織防衛」との批判が上がり、与党内でも調整が付かず、先送りすることとなった。

その結果、附則第20条で、
「政府は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の審判手続に係る規定について、全面にわたって見直すものとし、平成21年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とした。

しかし、衆参両院の付帯決議では、「検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、平成17年改正以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと」と審判制度を廃止する方向性を明示した。


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2009年12月 7日 (月)

韓国のLPGカルテルで過去最高の課徴金

韓国の公正取引委員会は12月2日、液化石油ガス(LPG)供給会社6社が2003年から08年にかけての6年間にわたり、価格談合を繰り返していたとして、過去最高となる6,689億ウォン(約506億円)の課徴金を課すことを決定した。
このうち、自己申告した2社に合計2,596億ウォンが免除される。

対象となったのは、LPG輸入会社のE1 CorpとSKガス、販売会社のSKエナジー、GSカルテックス、現代オイルバンク、S-OILの合計6社。

6社は毎月のLPG供給価格決定に際し、事前に情報交換を行い、価格を同一水準に設定していた。
E1とSKガスの価格決定担当者が会合を持ち、双方の価格を確認したり、価格変動幅を協議したりし、残る4社は輸入2社から価格を通知されていた。LPG充てん所に低価格を提示し取引先を拡大する行為を行わないことでも合意していた。

公取委は昨年これらの会社がほぼ同時期に価格引き上げの動きを見せたことから調査に着手し、6社の役員が定期的な会合などを通じて価格引き上げ幅と時期を事前に調整していたことをつかんだ。
これらの会社が6年ほど前から価格などを談合して得ていた不当な利得は数兆ウォンに達するといわれる。

企業別の課徴金は以下の通り。

  免除額 課徴金  
E1 Corp    1,894億ウォン  
GSカルテックス     558億ウォン  
S-OIL     385億ウォン  
現代オイルバンク     263億ウォン  
SKエナジー  1,602億ウォン     0  最初に自己申告
SKガス   994億ウォン   994億ウォン 2番目に自己申告
合計  2,596億ウォン  4,094億ウォン  

これまでで最大の課徴金は2009年7月に携帯電話用半導体チップメーカーのクアルコムが自社モデムチップを使わない携帯電話メーカーに対して高いロイヤルティを課したこと、及びリベート提供などの不公正取引の容疑で課された2,600億ウォン。

公取委の鄭委員長は就任後初の記者会見を9月に開き、「大企業は韓国の経済発展の牽引車の役割を果たしてきた」と功労を認めた上で、「しかし、不当行為に対しては公取委の力量を集中して厳しく監視する」と述べた。

委員長は、「最大の課徴金の場合は、企業の利益ではなく、関連売上高を基準に10%を科す」とし、「一度の課徴金を科されると、企業の存立が危うくなることもある」と述べた。

政府は1997年に石油産業事業化の宣言して価格告示制を廃止し、事業者が自由に価格を決定するようにした。さらに2001年にはLPG業界の価格も自律的に決めるようにした。公取委ではLPGメーカーらは政府の政策を悪用したと判断した。


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