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2011年6月 9日 (木)

東芝・ソニーが携帯向け液晶統合、産業革新機構が出資

東芝とソニーは中小型の液晶パネル事業を統合する。
6月7日付の日本経済新聞が報じた。

付記

6月30日付の各紙は日立ディスプレイズもこれに加わると報じた。

年内にも統合新会社を設立し、官民ファンドの産業革新機構から出資を受け入れる。

統合新会社は1000億円超の第三者割当増資を実施する。
全額を産業革新機構が引き受け、最終的な出資比率は革
新機構が7~8割で、残りを東芝とソニーが分け合う。

同機構からの資金をもとに国内に生産ラインを新設、世界シェア首位を争う。

革新機構は両社が単独で事業を進めた場合、十分な能力増強投資ができず、競争力を失ったテレビ用パネルの二の舞いになる可能性が高いと判断。有機ELパネルの研究を続けてきた両社の統合を後押しする。

世界の液晶パネルのメーカーは以下の通りで、大型では日本勢は韓国、台湾勢に押され、シェアは落ちた。
シャープはこのたび、亀山工場をテレビ用大型パネルから中小型に切り替える方針を発表した。

日立ディスプレイズは日立 75.1%/キヤノン 24.9%

ーーー

産業革新機構(Innovation Network Corporation of Japan : INCJ先端技術や特許の事業化を支援することなどを目的として、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号=産活法)」に基づき、2009年7月27日に設置された。

産活法は1999年に「産業活力再生特別措置法」の名で、バブル崩壊後の傷んだ日本経済を持続的成長が可能な状態まで回復させるため作られた。

その後、2003年には、産業サイドの過剰供給構造と過剰債務の問題や、それに伴う生産性低下の要因となっていた設備投資の低迷の解消を図るため、さらに、2007年には、イノベーションの促進、サービス産業の生産性向上、早期事業再生の促進等を図るため、改正された。

2009年には、その後の経済状況の変化に対応しつつ、わが国経済を持続的成長軌道へ回復させるため、資源や資金、知財や技術などの経営資源が効率的に活用されるようにすべく、改正され、名称も「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」(「産活法」)に改めた。

当初は「事業再構築」のみを扱ったが、現在は以下を対象としている。

事業再構築 「選択と集中」により、企業全体の生産性を向上させる計画
経営資源再活用 他の企業から事業を承継し、有効に活用することで、生産性を向上させる計画
事業革新設備導入 一定の要件を満たす「事業革新設備」への投資を支援する計画
経営資源融合 2社以上の異なる事業分野の経営資源の融合により、革新的な事業を行い、
著しい生産性向上を目指す計画
資源生産性革新 事業者が自らの資源生産性を向上させるための計画
資源制約対応製品生産設備導入 一定の省エネ・新エネ製品等を生産するための設備投資を支援する計画

次の2つは途中の改正で追加されたが、2009年改正で除外された。
  共同事業再編
  技術活用事業革新

産活法の適用を受ける場合、税制(登録免許税、特別償却ほか)、金融支援、会社法その他で支援を受ける。
  
http://www.meti.go.jp/sankatsuhou/outline/change-001.html#002

なお、本年度の産活法改正(5月成立、7月施行)では、「公正取引委員会との協議制度」が創設された。

「主務大臣が計画を認定をしようとするに際して、当該計画に従って行おうとする措置が、事業者の営む事業の属する事業分野における適正な競争が確保されないおそれがある場合として政令で定める場合に該当するときは、あらかじめ公正取引委員会に協議するものとすること」

新日本製鉄と住友金属工業は7月に改正産活法の適用を経産省に申請する。

経産相と公取委の協議により合併審査の透明性・迅速性の向上が期待できる。
改正後は、公取委は経産相の意見に回答しなればならない。

産活法では、産業革新機構について以下の通り規定している。

第一条  この法律は、我が国経済の持続的な発展を図るためにはその生産性の向上が重要であることにかんがみ、特別の措置として、事業者が実施する事業再構築、経営資源再活用、経営資源融合、資源生産性革新等を円滑化するための措置を雇用の安定等に配慮しつつ講ずるとともに、株式会社産業革新機構を設立し特定事業活動の支援等に関する業務を行わせるための措置、中小企業の活力の再生を支援するための措置及び事業再生を円滑化するための措置を講じ、併せて事業活動に おける知的財産権の活用を促進することにより、我が国の産業活力の再生を図るとともに、我が国産業が最近における国際経済の構造的な変化に対応したものと なるための産業活動の革新に寄与することを目的とする。

(機構の目的)
第三十条の二  株式会社産業革新機構は、最近における国際経済の構造的な変化に我が国産業が的確に対応するためには、自らの経営資源以外の経営資源の有効な活用を通じ た産業活動の革新が重要となっていることにかんがみ、特定事業活動に対し
資金供給その他の支援等を行うことにより、我が国において特定事業活動を推進することを目的とする株式会社とする。

産業革新機構の投資対象となるのは、大学や研究機関に分散する特許や先端技術による新事業、ベンチャー企業の有望な技術、国際競争力の強化につながる大企業の事業再編などで、投資にあたっては機構内に設置する「産業革新委員会」が評価を行い、投資対象の決定をする。

今まで慣れ親しんできたビジネスモデルに拘ることなく、従来の業種や企業の枠にとらわれずに、その発想と行動において自己変革と革新を推し進めていくという「オープンイノベーション」の考え方を採用している。

産業革新機構の概要は以下の通り。

 
政府からの出資は、財政投融資特別会計(投資勘定)

民間企業(下記)は各5億円出資。
ただし日本政策投資銀行は10億円。

旭化成、住友化学、住友商事、住友電気工業、武田薬品工業、GEジャパン、JX日鉱日石エネルギー、シャープ、東芝、パナソニック、日立製作所、
東京電力、大阪瓦斯、東日本旅客鉄道、日揮、日本政策投資銀行、商工組合中央金庫、みずほコーポレート銀行、三菱東京UFJ銀行

個人は産業革新機構の社長と専務(各500万円)

 

これまでの投資案件は以下の通り。

支援事業名     百万円
(株)JEOL RESONANCE 2011/1 先端技術の研究開発に不可欠な分析機器『NMR』の事業を担う、日本電子(株)より会社分割される新会社の第三者割当増資を引受け 1,500
(株)中村超硬 2010/12 太陽光発電・LED等の成長市場を支える材料加工技術の事業強化を図る中村超硬への投資 1,245
チリ水事業会社 2010/11 丸紅とのコンソーシアムによるチリ水事業会社 アグアス・ヌエバスの買収  
(株)アネロファーマ・サイエンス 2010/11 新規性の高いDDS技術を核として抗がん剤を開発し製薬企業との協働により医薬品の上市を目指す大学発バイオベンチャーに投資 700
日本インター(株) 2010/11 パワーデバイス専業メーカーである日本インター株式会社への投資 3,500
国際原子力開発(株) 2010/10 国際原子力開発(株)の設立
(原子力発電プロジェクトに関する提案活動を行う新会社)
20
エナックス(株) 2010/8 ラミネート式リチウムイオン電池のフロンティア企業に投資 3,500
267.5
知財ファンド「LSIP」
(エルシップ)
2010/8 我が国初の知財ファンドの設立
(ライフサイエンス系の知的財産を集約しライセンスする事業)
600
豪州水道事業会社 2010/5 本邦初の官民連携による豪州水道事業会社の買収
(三菱商事、日揮と)
225
百万
豪ドル
(株)GENUSION 2010/5 本邦初の本格的ファブレス・フラッシュメモリ・ベンチャーに投資
(次世代型フラッシュメモリ技術の事業化)
1,590
ゼファー(株) 2010/5 小型風力発電ベンチャーのグローバル事業拡大に投資 1,000
アルプス・グリーンデバイス(株) 2010/3 低炭素社会の実現に不可欠なデバイス開発事業に投資 3,000

 


目次、項目別目次  

 http://www.knak.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。

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