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2011年5月 3日 (火)

「再び、浜岡原発を問う」 

中部電力は4月28日、定期点検中の浜岡原発3号機を7月に再稼働することを前提とする2012年3月期の業績見通しを発表した。「地元の理解を得て」を前提とはしている。

水野社長は「安全性については十分確認している。さらに安全性を確かめるために緊急の津波対策もする」と説明。夏場は電力需要が増えることから「浜岡原発がない場合、電力の安定供給がかなり難しくなる」とも指摘し再稼働への理解を求めた。

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5月2日付の毎日新聞のコラム「風知草」(山田孝男氏)のタイトルは “再び「浜岡原発」を問う” である。

4月28日朝、首相と関係閣僚が顔をそろえる「経済情勢に関する検討会合」で、出席者の一人が「浜岡原発(中部電力)は止めるべきだ」と発言し た。電気事業を所管する経済産業相は反論を避けた。その他の出席者も、不意の問題提起に応答をためらい、沈黙をまもった。議論は回避されたが、政府要人による浜岡原発停止要求は、この問題に敏感な霞が関と電力業界に強い衝撃を与えた。(付記 原発プラント輸出の旗振り役であった仙石官房副長官の発言と判明)

いま、政府は、福島以外の原発の制御は考えていないように見えるが、実情は違う。楽屋裏では、散発的に次のような会話が交わされている。

「浜岡はあぶない」「そうは言っても、他の原発と区別して止める(法令上の)根拠がないでしょう」「予見しうる危険を防ぐのが政治では」「不用意に踏み込めば自治体を刺激し、全原発に波及して収拾がつかなくなりますぞ」--。

(中略)

筆者は先週、霞が関の技術系官僚2人(いずれも専門は原子力以外)に取材したが、うち1人は、こちらが驚くほど強い調子で原子力官僚の経済優先・安全軽視を批判した。

「彼らは外部電源としか言わないですね。福島も『電源さえつながれば』と言って50日たつけど、何も変わらない。結局プラント(機械設備)の中しか見ていない。自然によってガードを崩されるという想像力、安全思想が欠けている」 

2人とも要職を占めるベテラン。政権の司令塔不在を嘆いたあたりは予想通りだが、「浜岡は止めるべきです」と異口同音に語った点が意外だった。

(中略)

折も折、中部電力は、点検休止中の浜岡原発3号機を7月に再開したいと言い出した。真夏の電力不足による混乱回避へ布石を打ったのだろうが、民間企業に大局判断は無理というなら、政府が出るしかない。安全を守る国家意思を明確にして政治をリセットするためにも、日本の技術に対する国際的不信をぬぐうためにも、まず浜岡原発を止めてもらいたい。

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大災害やテロに備えて副首都の建設を目指す「危機管理都市推進議員連盟」(会長=石井一参院議員)が4月13日、東京の参院議員会館で勉強会を開き、石橋克彦・神戸大名誉教授(地震学)が講演した。

勉強会では、「3月11日の超巨大地震に誘発され、日本列島全域で大地震が起こりやすくなっている」と指摘し、東海・東南海・南海地震や首都直下地震の発生が早まる可能性にも言及。地震による大事故発生が考えられる静岡県の浜岡原発など、危険性の高い原発を段階的に閉鎖していく案を示した。

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菅総理は5月2日の参議院予算委員会で、「従来から地震の影響を受けやすい場所に立地しているという指摘もある。その一方で、現在の電力供給の状況なども全く無視するわけにもいかない。運転再開する場合は、政府として、本当に国民に安心してもらえるかどうか、しっかり見極めて判断しなければならない」と述べ、安全性が確保できているかどうかを慎重に見極めて運転再開を判断すべきだという考えを示した。

また、原子力防災にかかる国の指針で示される地震や津波の想定について、「従来の想定よりも大きいものが現実にあったので、それを前提に見直しが行われなければならない」と述べた。

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2007年10月静岡地裁は、「中電の想定する東海地震は科学的根拠に基づいており、運転によって原告らの生命、身体が侵害される具体的危険性は認められない」と原告の請求を棄却した。
「抽象的に想定可能な、あらゆる事態に対し安全であることまで要求するものではない」とした。

控訴審は、2009年8月の駿河湾地震での大きな揺れに対して中電側が地下構造の追加調査をしているため、最終弁論の予定だった2010年7月を最後に弁論が滞り、終結の見通しは立っていない。
なお、2010年4月の控訴審の弁論で岡久裁判長は「裁判所は安全か否かの科学的判断はできないだろう」と発言している。

原告側は6月にも即時停止を求める仮処分を静岡地裁に申し立てる。
主な争点は、耐震設計の想定震度を超える地震が起きる可能性と、運転開始から30年以上過ぎた老朽化の影響。

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今回、福島原発では東京電力の「安全」主張は覆った。

逆に福島では、石橋克彦神戸大名誉教授が浜岡原発について懸念し、中部電力があり得ないとしたこと(敷地地盤高を越える大津波、全電源停止、水蒸気爆発、4基すべてが同時に事故、使用済み燃料貯蔵プールへの波及)が起こった。

石橋氏は更に、西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こるとし、浜岡原発で事故が起こった場合の首都喪失のおそれについても述べている。

石橋氏によると、論文発表時に、現原子力安全委員長の斑目氏はあらゆる懸念を打ち消した上で石橋氏を素人扱いし、今回内閣参与を辞任した小佐古教授も「多量な放射能外部放出は全く起こり得ない」として、石橋論文は専門外の事項について論拠なく言及していると批判したという。

裁判の結果を待つのでなく、政治判断が望まれる。    

既報   2011/3/29  福島原発事故
    2011/4/2  電力の状況
    2011/4/9  女川原発のケース
    2011/4/19  「浜岡原発を止めよ」
    2011/4/22  浜岡原発について

 

 


目次、項目別目次

  http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

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