エチレンの状況-2
今回の東日本大震災では、三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)の2基、丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)、JX日鉱日石エネルギーの川崎製造所(川崎市)の計4基のエチレンが止まった。
2011/3/21 エチレンの状況
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JX日鉱日石エネルギー・川崎(404千トン)は地震直後に手動によりエチレンプラントを停止した。
設備被害はなく、これまで安全確保のため点検作業を進めていたが、3月30日に操業を再開した。
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丸善石油化学・千葉(480千トン)は隣接するコスモ石油の爆発火災で操業を停止した。
(コスモ石油のLPGタンクの火災は3月21日午前10時10分、鎮火を確認した。石油精製設備の再稼働の見通しは立っていない。)
停止したのは、エチレン、芳香族(一部)、ブタジエン1系列(千葉ブタジエン)、アルコールケトン、酸化エチレンなどで、隣接の京葉エチレン(丸善石油化学/三井化学/住友化学のJV)は操業している。
同社は3月31日、停止中装置のうち、エチレンについて、装置の健全性の確認、その他諸準備が整ったので、4月4日に再稼動すると発表した。芳香族、ブタジエンについても順次稼動する。
付記 酸化エチレンを4月15日に再稼働するとの見通しを明らかにした。
但し、アルコールケトンは火災で設備の損傷が激しく、復旧には最低でも1年間は必要とみられる。
同社はこのため、メチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコール(SBA)、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止すると発表した。
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三菱化学・鹿島1、2号機(年産能力 828千トン)
同社は3月23日、以下の発表を行った。
・鹿島事業所は製造設備は全て停止し、自家発電等も停止している。
・バースが損傷を受けており、事業所の道路の損傷等のため、陸上・海上いずれによる入出荷も困難な状況
・バース以外のインフラ関連設備・機器の一部に著しく損傷しているものがあることが判明
・プラントの稼働再開までには最短でも2か月以上を要する見込み
付記
三菱化学は4月8日、鹿島事業所について、5月20日ごろから一部の操業を再開すると発表した。
第2エチレンは、5月20日頃の再開をめざしている。PP、PEの一部の系列は、第2エチレンプラントの稼動にあわせて再開の見込み。
第1エチレンは、定修(5月14日~)終了後の6月27日に再開の予定で、PP、PEの残りの系列及びビスフェノールA、酸化エチレン等のその他誘導品については、第1エチレンプラントの稼動にあわせ、順次再開の見込み。付記
三菱化学は(5月20日に再開した後、再び停止させ)6月下旬から実施する予定の第2エチレンの定期修理を延期し、8月末まで設備を高稼働させ、在庫を積むこととした。
厚労省が講じた震災被害に対する特別措置の適用を受けることで、現行の法律の範囲内で最大限の延長措置を受けるメドがたったもの。
定期修理は最長で4年間隔だが、鹿島は2007年12月に火災を起こしたため、現在は年に1回となっている。
日本の合計設備能力の7,279千トン(定修実施年ベース)の11.4%に相当する。
鹿島コンビナートの製品は以下の通りで、いずれも、三菱化学からの原料が来ず、他所からの原料持ち込みも出来ないため、生産ができない状況が続く。
このうち、PVCについては信越化学とカネカの2社合計の能力は728千トンで、全体の2057千トン(2009年末能力から3月末停止のヴイテック四日市を除く)の35%にも及ぶ。
(信越化学は日本では工場は鹿島のみ)
EOについては、三菱化学は鹿島以外の地域に製造工場を持つ各種界面活性剤等のメーカーを鹿島に誘致している。
2008/7/31 三菱化学鹿島のEOセンター
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