女川原発のケース
福島原発が大きな被害を受けたのに対し、震源地により近く、町は壊滅した女川の原発は若干のトラブルはあったものの、大丈夫であった。
三陸沖ではしばしば大津波が起きているため、女川原発では、津波に対する評価を行い、対策を立てていた。
東北電力 「女川原子力発電所における津波に対する安全評価と防災対策」
http://www.jnes.go.jp/content/000015486.pdf
東北電力では、以下の手法で、安全性は確認されたとしていた。
①既往の津波の高さの調査
②歴史的津波の選定→1611年の慶長津波(6~8m)
③予想最高水位(9.1m)、予想最低水位(-7.4m)の計算
④津波による最高水位でも陸上構造物の被害がなく、最低水位時(数分間)も原子炉冷却用水量を確保
(引き波による潮位低下で、取水できなくなると冷却系が働かなくなる)
実際には、今回の地震による津波はその予想規模を遥かに越えた。
女川町を襲った津波は17メートルクラスだったとする調査結果がある。
(福島第一原発の主要施設の標高は10メートル前後で、津波は14メートルもあった。)
このため、2号機の原子炉建屋の地下3階が浸水したが、非常用電源は正常に稼働した。
また、福島原発と異なり、外部電源が失われなかった。女川原発につながる2系統の送電幹線のうち、片方は地震の影響で止まったものの、もう一つは電気を送り続けた。
女川原発は、4月7日の余震では外部電源4回線のうち3回線が停止した。8日午前に一部復旧し、2回線になった。
使用済み核燃料プールの冷却機能を1時間失った。
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女川原発は標高の高さで被害を最低限にとどめたが、津波対策として原発を海面からより高く建設することは容易でない。
原発は硬い岩盤の上に建設することが不可欠で、適した岩盤の位置で立地が決まる。
また、原発は大量の冷却水を必要とするため、海水面近くに造らなければならず、建設時の重量物は船で敷地内に運び込むため、建屋の標高が高くなれば、作業がそれだけ困難になる。
石橋克彦・神戸大学名誉教授が、「西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる」とし、危険性を指摘している中部電力・浜岡原発は海抜 6mのところに立地している。
2011/3/29 福島原発事故
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