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2011年3月12日 (土)

日本の合成樹脂業界の変遷 

2011/2/23のブログ ヴイテック、2011年9月末に解散 でPVC業界の推移の表を掲載した。

クレハ、旭硝子、チッソ、セントラル化学に続き、今回ヴイテックが撤退する。
残るのは、新第一塩ビ、信越化学、大洋塩ビ、カネカと、積水化学の徳山積水だけとなる。
新第一塩ビはトクヤマ主導、大洋塩ビは東ソー主導となっている。

新第一塩ビは汎用品の水島とペーストの高岡工場を停止した。

それでも、日本のPVCの能力は2009年末で2,156千トン(1997年は2,776千トン)、四日市停止で2,056千トンとなるが、2010年の内需は1,031千トン、輸出は660千トン、出荷合計1,690千トンとなっており、能力は内需の2倍ある。

ーーー

三菱化学はPSからも撤退している。

三菱化学は2009年10月1日PSジャパンから撤退、PSジャパンは2011年3月末に四日市工場の操業を停止すると発表した。
三菱化学は、鹿島のSMを2011年3月に停止し、SM事業からも撤退する。)

PSジャパンの推移は以下の通り。(能力:千トン)

  統合前 処理 統合後 出資比率   2011/4
能力
現出資比率
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%   108 62.07%
旭化成・千葉   207     207  207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%    - -   
小計   400     400     315  
出光石化・市原   130  -85    45   27.5%   45 37.93%
合計   530  -85   445   100.0%   360 100.00%

PS業界では、日本ポリスチレンが2009年9月末に停止、解散しており、残っているのは、東洋スチレンとPSジャパン、DICの3社である。

2009/4/4  日本ポリスチレン 2009年9月末に操業停止、解散へ

能力は1996年に1,559千トンあったが、四日市停止後は769千トンとなる。
2010年の内販は688千トン、輸出は28千トンで、出荷合計は716千トン、能力はほぼ、出荷見合いとなっている。

ーーー

これに対して、ポリエチレン業界では能力に大きな変動はない。

LDPE
 
HDPE

・三井住友ポリオレフィンが解散し、三井は出光と一体化し、プライムポリマーを設立した。
・日本ポリケムが日本ポリオレフィンと統合し、日本ポリエチレンとなった。
 (これに際し、独禁法の問題から、日本ポリケムの東燃化化学持ち株を三菱化学が買収した。)
・宇部興産はLDPE事業の停止を一度は決めたが、丸善の要請で、丸善とのJVの宇部丸善ポリエチレンとした。

以上の異動はあるが、工場単位では日本ポリエチレンの四日市工場(三菱化学)が2004年9月末で停止したのみ。
(同工場では2001年1月にエチレンプラントを停止している。)

合計能力は1996年末が3,551千トン、2009年末が3,656千トンで、ほとんど変わっていない。

ポリエチレンの工場が減らないのは、ポリエチレンを止めると、エチレンが動かなくなり、コンビナート全体を止めざるを得なくなるため、止むを得ず、操業を続けているということである。

2010/12/29  2010年 回顧と展望 参照

宇部丸善ポリエチレンについては、宇部が千葉のLDPE(能力 197千トン)を止めると、丸善石化のエチレンの操業に差し障るため、丸善石化が50%出資するJVとしたもの。

旭硝子がPVCから撤退したのに、旭硝子と丸善石化のVCMのJVの京葉モノマー(能力 200千トン)が操業を続けているのも、同様の理由である。
(旭硝子のトップは一時、千葉の電解とVCMを停止したいとの意向を示していた。)

もう一つ、日本ポリエチレンの設立も、ポリエチレン工場の維持に影響を与えていると思われる。

日本ポリエチレンは、三菱化学の鹿島、水島の工場のほか、東燃化学川崎、昭和電工大分、新日本石油川崎の工場を有している。
日本ポリエチレンは、三菱商事撤退後、日本ポリケム(三菱化学100%)が58%を保有しているが、恐らく、契約上は他社の工場の閉鎖には工場の親会社の同意が必要と思われる。

他社は、三菱化学が三菱化学の工場を温存したままで、その社の工場の閉鎖を了承するとは思えず、三菱化学の拡大路線による日本ポリエチレンの設立は、他社の工場の丸抱えとなり、結果として、業界の改変を難しくしていると思われる。

ーーー

ポリプロピレン


・三井住友ポリオレフィンが解散し、三井は出光と一体化し、プライムポリマーを設立した。
・日本ポリケムとチッソが統合し、日本ポプロとなった。
 (これに際し、独禁法の問題から、日本ポリケムの東燃化化学持ち株を三菱化学が買収した。)
・日本ポリケムの四日市工場は2002年12月に停止した。
 (同工場では2001年1月にエチレンプラントを停止している。)
・トクヤマは出光に営業譲渡した。
  トクヤマの工場は停止、出光とのJVの徳山ポリプロをトクヤマの工場内に新設した。
・宇部興産は廃業、宇部ポリプロは三井化学に譲渡後、停止した。

1996年のPPの生産能力は2,804千トン、これに対し、2009年末の能力は増強により、3,268千トンに増えている。

 

参考

2006/3/17  総集編 ポリオレフィン業界の変遷
2006/3/18  総集編 PVC、PS、ABS業界の変遷

目次、項目別目次

  http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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