双日のブラジル・バイオエタノール事業
前回、BPのブラジルのバイオエタノール事業について書いた。
ブラジルでは双日が2007年にバイオエタノール事業会社に参加、その会社が2010年には同業大手と戦略的統合を行い、サトウキビ由来のエタノール生産能力で世界最大となっている。
双日は長年、ブラジルで鉄鉱石などのビジネスを行ってきており、その関係から2007年にブラジルの大手コングロマリットのOdebrecht S.A.からバイオエタノール事業に参画しないかと打診を受けた。
Odebrechtはブラジル最大のコングロマリットで、傘下に、南米最大の総合建設会社 Construtora Norberto Odebrecht S.A.や、南米最大の石油化学会社 Braskem S.A.などがある。
BraskemはバイオエタノールからのHDPE生産を開始しており、更にPPも計画している。
2010/11/9 Braskem、Greeen PP 製造へ
Odebrecht S.A.は2007年7月、農園のサトウキビ栽培からバイオエタノール・砂糖生産までの一貫事業を手がける会社、ETH Bioenergia S.A.を設立しており、双日は約92億円で同社の33.33%を取得した。
ETH Bioenergiaはバイオエタノール・砂糖製造を行う事業会社の買収と自社工場の建設で事業を拡大、現在は5か所で事業を行っている。
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* 発電はサトウキビの圧搾残滓(バガス)を利用したバイオマス発電 |
2016年にサトウキビの年間圧搾量約1600万トン(エタノール生産量年間98万キロリットル+粗糖生産量年間79万トン)、2021年にはサトウキビの年間圧搾量を約 4400万トン(エタノール生産量年間260万キロリットル+粗糖生産量年間240万トン)に増大し、エタノール・砂糖の生産においてブラジルトップクラスとなることを目指した。
双日は、エネルギー分野以外でも事業の拡大を図り、化学品分野ではBraskemの上記のグリーンプラスチック事業への進出、環境分野では排出権つきの電力販売やバイオマス燃料を使った発電などへの事業進出、食料分野では粗糖のブラジル国外への輸出を検討するとしていた。
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ETH Bioenergiaは2010年2月、同業のBrenco Holding S.A.との戦略的事業統合に合意し、主要株主間の統合契約を締結致した。
Brencoは3州の州境のAraguaiaに4つの工場を建設中で、2012年には圧搾能力1500万トン、エタノール140万キロリットル、電力1520GWhとなる。
統合新会社は、ETH Bioenergiaの社名を継承し、旧ETHが65%、Brenco株主が35%の出資となる。
新会社は、ブラジル国内に9工場(旧ETHの5工場、Brencoの建設中の4工場)を保有、2012年度にはサトウキビ圧搾能力で4000万トン、エタノール生産能力は30億リットル、粗糖 48万トン、サトウキビの圧搾残滓(バガス)を利用したバイオマスの発電量も2700ギガワット時となり、サトウキビ由来のエタノール生産事業としては世界最大となる。
新会社は今後、35億レアル(約1750億円)を投入し、生産設備を拡充する。 また、バイオエタノール需要が高まる欧米市場向けの輸出を視野に入れ、17億レアル(約850億円)をかけ、生産地からサンパウロ州サントス港までの約1100kmのバイオエタノール輸出用大型パイプラインを敷設する計画も検討していく。
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各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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