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2011年3月31日 (木)

中国の国家発展改革委員会、Sinopec-KPCの石油精製・石油化学計画を認可


 

                                    
 

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中国の国家発展改革委員会(NDRC)316日、シノペックとクウェート石油(KPC)JVによる広東省湛江市東海島での石油精製・石油化学計画を承認したと発表した。

投資額は600億人民元で、年産1500万トンの原油精製能力と100万トンのエチレンクラッカー及びPEPPBTXMEG等の誘導品からなる。
KPCJVに原油を供給する。2013年スタートの予定。

出資はシノペックとKPC50%ずつだが、KPCは持分の半分をパートナーに売却する予定で、候補としてダウやBPが挙がっている。
当初はシェルも交渉したが、その後シェルは上流に集中するという戦略に基づき、不参加を決めた。

能力は以下の通り。
  原油精製   15,000 千トン
  エチレン 1,000  
  PE 460  
  PP 750  
  BTX 710  
  MEG 400  
  EO 38  
  EVA 200  
  ブタジエン 150  

ーーー

計画は5年越しのものである。

2006年にSINOPECとクウェート国営石油会社の石油精製プロジェクトが国家発展改革委員会の承認を受けた。
広州市南沙経済開発区で年間1,200万トンの石油精製を行うものである。
事前報道では15百万トンの石油精製と100万トンのエチレンコンプレックスと伝えられたが、石油精製能力は12百万トンで承認を受け、エチレンコンプレックスについては未定であった。

実は2005年12月に中国とクウェートが広東省での石油精製計画について覚書を締結、クウェートの石油大臣がペトロチャイナと会談して協議を行った。
しかし、この地域が本拠地であるSINOPECが巻き返し、政府を動かした。

 2006/8/1 クウェートの中国進出

その後、2007年12月に年産15百万トンの石油精製と100万トンのエチレン計画のFS実施が承認された。

しかしながら、南沙計画に対しては環境面から反対が相次いだ。

南沙区は人口密集の珠江デルタの中心にあり、香港から37km、港珠澳大橋(香港~珠海~マカオ)から40kmしか離れていない。
香港やマカオから強い反対が起こった。
漁業やエビ養殖の盛んな
南沙区の住民は、周辺の製油所による大気汚染と臭気に悩まされており、反対した。

広東省の議員も環境問題を理由に本計画の棚上げのロビー活動を行っていた。

この結果、移転が決まった。

2009年8月、Sinopecは移転先を湛江(Zhanjiang)市東海島(Donghai Island)に決めたと発表した。
(Sinopec側は、
1250万トンの製油所と100万トンのエチレンを持つ茂名市への移転を希望したが、省政府が湛江市を求めた模様。)

2009/8/4  広州のシノペックとクウェートの石油精製・石油化学計画 移転


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2011年3月30日 (水)

BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加

BASFのエネルギー分野の子会社Wintershallはロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加することで合意した。
328日にモスクワ郊外で行われた覚書の調印式にはロシアの Putin首相が参加した。

Wintershallパイプラインの海底部分に15%参加する。
黒海の海底にパイプを敷くもので、計画全体のコスト
200250億ユーロのうち、100億ユーロ程度となり、BASFの負担は20億ユーロ程度となる。

South Stream計画は、ロシアと中央アジアの天然ガスを黒海海底パイプライン(900km)でブルガリアまで運び、複数経路でイタリア、オーストリアに輸送するもの。

2008年にGazpromENIが均等出資でSouth Stream AGを設立した。
2015年の稼動を目指し、当初は年間310m3、最終630m3の天然ガスの輸送を計画している。
ブルガリア、ハンガリー、セルビア、ギリシャと政府間協定を締結済み。

BASFでは、これにより、今後伸びが期待され、同社の長期戦略の対象となっている欧州南東部の市場にアクセスできると述べている。


今回の合意は、BASFWintershallのロシアとの関係を更に深めるものとなる。

Wintershallは、ロシアのもう一つの欧州向けの天然ガスパイプライン、Nord Stream計画に参加している。

これは、サンクトペテルブルク北方のビポルクから独北東部グライフスバルトまで、バルト海海底約1200キロを結び、年間最大550億立方メートルのシベリアの天然ガスを供給するもの。ロシアにとって、西欧へのガス輸送にウクライナを経由しないで済むメリットがある。

Gazpromはウクライナ向けに日量110百万m3、ウクライナ経由欧州向けに326百万m3の天然ガスを送っている。
2009年には天然ガス代金の支払い等の問題で、Gazprom がウクライナへの天然ガス供給を完全に停止した。

   2009/1/2 ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止

20059月、Gazpromとドイツの電力会社E.On、及びWintershall3社が契約文書に調印した。
Gazprom 51%Eon 24.5%BASF子会社Wintershall 24.5%の出資であったが、20086月に、オランダのNederlandse GasunieE.OnWintershallから4.5%ずつを取得した。
現在の出資比率は、
Gazprom 51%Eon 20%Wintershall 20%Gasunie 9%となっている。

ーーー

South Stream計画は、EUが計画しているNabuccoパイプライン計画と競合するもの。
Nabuccoパイプライン計画は、ロシアのガス依存を減らすため、カスピ海地域からブルガリア、ルーマニア、ハンガリー等を通って中欧にガスを運ぶものだが、現時点ではまだ、ガス供給者も、投資者も決まっていない。

 

参考  2010/9/22 カスピ海の天然ガス、黒海経由で輸出へ


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2011年3月29日 (火)

福島原発事故

3月29日付の毎日新聞の「発信箱」に以下の内容の記載がある。

岩波書店の雑誌「科学」の1997年10月号に載った地震学の権威、神戸大の石橋克彦氏の論文「原発震災~破滅を避けるために」に今回起きたことが正確に想定されていた。
(論文では中部電力浜岡発電所と東海地震の可能性について書かれている。浜岡は現在は3基稼働だが、当時は4基あった。)

最大の水位上昇がおこっても敷地の地盤高(海抜6m以上)を越えることはないというが、1605年東海・南海巨大津波地震のような断層運動が併発すれば、それを越える大津波もありうる
   
 

海江田経済産業相は3月29日の参院予算委で、福島第一原発の設置許可時に想定していた津波が 3.122メートルだったが、実際の津波は14メートル程度だったと説明した。

   
外部電源が止まり、ディーゼル発電機が動かず、バッテリーも機能しないというような事態がおこりかねない
   
炉心溶融が生ずる恐れは強い。そうなると、さらに水蒸気爆発や水素爆発がおこって格納容器や原子炉建屋が破壊される
   
4基すべてが同時に事故をおこすこともありうるし(中略)、爆発事故が使用済み燃料貯蔵プールに波及すれば、ジルコニウム火災などを通じて放出放射能がいっそう莫大になるという推測もある

2005年の公聴会で石橋氏は以下の警告を行っている。
「日本列島のほぼ全域が大地震の静穏期を終えて活動期に入りつつあり、西日本でも今世紀半ばまでに大津波を伴う巨大地震がほぼ確実に起こる」

 

付記

石橋克彦・神戸大学名誉教授は本年3月15日付で、「2011年東北地方太平洋沖地震による『原発震災』について」を書かれている。
  
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html

その中に上記の論文も含まれている。
  
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/9710kagaku.pdf


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中国、レアアース資源税を大幅アップ、環境規制も 

新華社(3月24日)によると、中国財政省はレアアースを生産する企業に課す資源税の税額を4月1日から引き上げ、中・重希土類を1トン当たり30元(約370円)、軽希土類を60元(約740円)にすることを決めた。

現在は一般の非鉄金属として課税を受けており、税額は1トンあたり0.5~3元であるため、10倍以上の大幅な増税となる。

中国政府は環境保護や資源枯渇の懸念を理由に、レアアースの生産や輸出を大幅に絞り込んでいる。採掘・生産を大手国有企業に集約する計画も進めており、課税強化には中小業者の退出を促す狙いもありそうだ。

レアアース生産大手、内蒙古包鋼稀土高科技の幹部は、増税で今年の同社の生産コストは1.1億ドル程度上昇するとの見通しを示した。

同社によると、レアアース価格は2月以降、大幅にアップしており(Neodymiumの場合、昨年末の30万元/トンが3月後半には倍の60万元)、値上がりがコストアップをカバーするとしている。

中国政府は増税分を、レアアースの加工、用途の技術開発や、環境補償基金の設定、レアアースの備蓄などに使用する。

資源税の増税は中国政府のレアアース産業の高度化の方策の一つ。

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中国商務部は2010年の12月28日に、2011年上期のレアアースの輸出許可枠を発表した。
それによると、上期の輸出許可枠は14,446トンで、前年同期比で35%の減となる。

    2010/12/29 中国商務部、2011年上期のレアアース輸出許可枠を発表

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環境保護部は3月初めに、「希土(レアアース)工業汚染物排出基準」を公布、10月1日から施行する。
基準はレアアース産業参入のハードルを効果的に高め、レアアース業界の持続的かつ健全な発展を促すとみられる。

これまでの過度な開発により、中国のレアアース資源備蓄量は急速に減少、レアアース生産過程における環境汚染問題が日増しに浮き彫りになっている。
レアアース産業に特化した汚染物排出標準がなかったため、生産過程で排出される特殊な汚染物はこれまで有効な抑制がされていなかった。

今回の「排出基準」ではレアアース関連企業の生産技術、生産設備の特徴、および添加材料の成分に基づき、レアアース関連企業の生産過程で排出される主な汚染物を抑制項目とし、レアアース業界の排水・排気・放射性物質の排出抑制などが明確に規定された。
企業による希釈排出を防ぐため、基準はさらに製品あたりの基準排水量・基準排気量も定めている。

基準は中国国内のレアアース鉱山で採掘し、希土類金属・合金を生産する各種規模のレアアース特有の生産技術・装置からの排水・排気汚染物排出管理、さらにレアアース産業建設プロジェクトの環境アセスメント・設計・竣工検収にも適用される。

既存企業については2年の猶予期間を設けた後、同じく基準制限値を守ることが義務付けられる。

これにより、中小の企業を追い出したり、大企業と合併させることを狙っている。
内蒙古包鋼稀土高科技では、今後の5年間で五大製品のシェアを著しくアップさせると述べている。

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商務部の陳徳銘部長は3月7日、中国政府は、非常に大きな環境圧力に直面しており、レアアースの採掘、加工および国内での使用、輸出に対するの減量制限策をうち出すことを決定したと述べた。
国内での使用と輸出とを同等に扱うとし、理解を求めた。

また、国務院の要求に基づいてレアアースの総合的な産業政策を改善するにはどのようにすればよいか、現在検討中であることを明らかにした。

「より望むことは、日本など一連の国と共同でレアアースの代替原料を研究することだ。地球上のレアアース資源には限界があり、今のペースで使用すれば、何年もしないうちに枯渇してしまう。レアアースの循環型利用の方法や代替原料をぜひとも見つけなければならず、この方面で共同研究を行うことを願っている」と述べた。

 

付記

中国の国土資源省は331日、2011年のレアアース(希土類)の国内採掘量を93,800トン以下に抑える目標を決めた。
前年の目標に比べ
5.16%増となる。

内訳は、軽希土類が80,400トン、中・重希土類が13,400トンとなっている。

国土資源部はまた、レアアース、タングステン、アンチモンの新しい探査及び採掘申請は2012年6月30日まで受け付けないとしている。

 


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2011年3月28日 (月)

新日鉄化学大分のBTXとSM事業、昭電とのJVに

新日鐵化学と昭和電工は3月24日、新日鐵化学大分製造所の芳香族事業(スチレンモノマーおよびベンゼン、トルエン、キシレン)を母体とする共同事業会社「NSスチレンモノマー(仮称)」を設立し、両社の合弁事業として運営することで合意したと発表した。

新日鉄化学が新設分割で同事業を承継する会社を設立し、その株式の49%を昭電に譲渡するもので、会社設立は8月1日を予定している。

事業の内容は以下のとおり(能力:千トン)で、昭電は現在、同事業に分解ガソリンとエチレンを供給している。
JVはベンゼン、トルエン、キシレンとスチレンモノマーの製造・販売を行う。

なお、ジビニルベンゼンについては、従来通り、新日鐵化学の事業とし、JVが製造を受託する。

今回の共同事業化は、原料から製品に至る垂直連携と、設備改善の実施などにより本事業を強化し、中国をはじめとするアジア市場への輸出競争力の向上および、国内市場への安定供給体制の整備を図るものであるとしている。

但し、プラントは新日鉄化学の工場内にあり、JVは新日鉄化学の連結子会社(51%を保有)であり、実態は現在と変わらないと思われる。

昭電は早くにPSから撤退しており、SMの需要を持たない。
同社は実は、一時このSM事業に出資していたが、撤退している。(下記)

SMは生産量の半分が輸出であり、先行きに懸念がある。三菱化学は3月末に鹿島のSMを停止し、撤退する。
しかし、昭電にとっては、JVへの参加は、将来もエチレン需要を繋ぎ止めるための担保となる。

同様のケースとして宇部丸善ポリエチレンがある。

宇部興産は2001年10月にグランドポリマーの持分を三井化学に譲渡しPP事業から撤退したが、新聞報道では丸善石化コンビナートに197千トンの能力を持つPE事業についても2003年までに撤退する方針を決め、事業売却の検討に入ったと伝えられた。

しかしながら、京葉モノマーのVCMと同様、宇部のPEプラントが停止するとエチレンの操業に支障を生じる丸善石化の提案により、丸善石化のエチレンとの一体運営を行うこととし、宇部はPE事業を分離して宇部丸善ポリエチレンを設立し、その50%を丸善石化に譲渡し、JVとした。2004年10月に営業開始した。

ーーー

新日鉄化学大分製造所のスチレンモノマーは2系列で、No.2設備が19万トン、No.3設備が23万トン、合計 42万トンとなっている。

No.2設備は当初から新日鉄化学の設備であるが、No.3設備は日本スチレンモノマーの設備として建設された。

日本スチレンモノマーは1988年に新日鉄化学65%、新大協和石化35%のJVとして設立された。
その後、1990年に東ソーが新大協和石化を吸収したため、新日鉄化学と東ソーのJVとなった。

1992年に昭和電工がこれに参加したが、1994年に撤退している。今回、再度、株主になることとなる。

昭和電工は以前から住友化学とのポリスチレンのJVの日本ポリスチレン工業(NPS)に参加していたが、原料SMの確保のため、日本スチレンモノマーに出資した。
しかし、同社は
1994年にPS事業を旭化成に譲渡し、SM事業からも撤退した。

東ソーは四日市のSMを1998年に休止したが、日本スチレンモノマーにはとどまっていた。
しかし、2008年3月末に新日鉄化学がスチレンモノマー事業強化のため、東ソーの持ち株を買い取って100%完全子会社とし、同年4 月に同社の設備等資産を取得し、6月末に同社を解散した。

 


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石油業界の状況

今回の震災で6製油所が停止、一時は全体能力 4,516千バレル/日の3割の1,398千バレルの生産が止まった。

このうち、3月21日までに3製油所が復旧した。

しかし、JXエネルギーの仙台、コスモの千葉の火災はようやく鎮火したが、鹿島石油を含め、全体能力の14%が再開の目処が立っていない。

  2011/03/17 石油連盟会長定例記者会見配布資料


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2011年3月26日 (土)

イレッサ訴訟、東京地裁は国の責任も認める 

肺がん治療薬「イレッサ」の副作用をめぐり、東日本に住む死亡患者3人の遺族が、輸入を承認した国と販売元のアストラゼネカに計7700万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は3月23日、患者2人について国とア社の責任を認め、計1760万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
死亡患者3人のうち1人については、発売3カ月後に説明書の「警告」欄で副作用が注意喚起された後に服用しており、請求は退けられた。

裁判長は「国は承認前の時点で副作用による間質性肺炎で死に至る可能性があると認識していた」と指摘した。
そのうえで「安全性確保のための必要な記載がない場合、国は記載するよう行政指導する責務がある」との見解を示し、間質性肺炎の危険性を目立つように記載するよう指導しなかった国の対応を違法と結論付けた。

ア社に対しては「イレッサは特定の患者に高い効能、効果があり、製造上の欠陥はない」としたが、「当初の添付文書の記載では医師らへの情報提供が不十分で、指示・警告上の欠陥があった」とした。
PL法上で規定する「通常の安全性を欠いた状態だった」と認定し、「添付文書に致死的となる可能性を記載していれば、服用を開始・継続することはなく、間質性肺炎で死亡することはなかった」と結論付けた。

ーーー

イレッサで深刻な副作用を受けた患者と副作用によって死亡した患者の遺族計15人が、国とアストラゼネカに損害賠償を求めた訴訟で、東京、大阪両地裁は、原告側の和解勧告の上申書に基づき、事前に協議して、本年1月7日に和解勧告した。

しかし、政府は1月28日、東京、大阪両地裁の和解勧告に応じないことを決めた。アストラゼネカも勧告受け入れを拒否した。

2011/1/31 政府、イレッサ訴訟で和解勧告拒否

このため、両地裁で判決が言い渡されることとなった。

大阪地裁では2月25日に以下の判決が言い渡された。

アストラゼネカ:
  警告欄に記載するなどして注意喚起を図るべきだった。
  緊急安全性情報配布(2002/10)前は製造物責任法上の欠陥があり、賠償責任あり。
  原告9人に計6050万円の賠償。2002/10以降服用し死亡した男性の請求は棄却。

政府:
  添付文書に関する行政指導は必ずしも十分ではないが、当時の知見のもとでは一定の合理性がある。
  国家賠償法上の違法はない。

政府の責任については、1995年6月のクロロキン薬害訴訟の最高裁判決(下記)に沿ったもの。
  「被害が生じても直ちに国家賠償法上の違法性は生じず、許容限度を超えて著しく合理性を欠く場合に違法性がある」

この判決に対し、原告側、被告側がともに控訴している。
原告側は、国の責任が認められなかったことなどを不服とした。

大阪地裁の判決を受け、細川厚生労働相は、医薬品の安全性対策を強化するため、薬事法の改正や抗がん剤の副作用被害救済制度の検討に着手する考えを示した。

今回の東京地裁の判決は、政府にも責任を認めたもので、これについては両地裁で判断が分かれた。

判決を受け、細川厚生労働相は記者会見で、「判決内容を精査し、関係省庁と協議しながら今後の対応を決めたい」とした上で、「(東京地裁と大阪地裁で)異なった判断なので、一般的に申し上げれば、上級裁判所の判断を仰ぐというのも一つの方法かと考える」と述べた。

アストラゼネカ社は、「東京高裁に控訴することも視野に入れ検討中」とのコメントを発表した。
代理人の弁護士は、「判決の論理に従えば、添付文書は警告だらけになり、本当に注意すべき情報が埋没する」「治験数を何倍にも増やさなければならず、ドラッグ・ラグにつながる」と主張した。


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2011年3月25日 (金)

Saudi Aramco と Sinopec、サウジで製油所建設 

Saudi Aramco Sinopec316日、サウジ西海岸のYanbuのワールドクラスの製油所 Red Sea Refining Company (RSRC)に関する覚書を締結した。

RSRCは輸出用の製油所として20107月にAramco100%出資で設立され、既に数社とEPC(Engineering, Procurement and Construction)契約を締結している。将来の世界のエネルギー需要に対応するためのAramcoの多くの川下計画の一環。

今回、両社は、RSRCに対して Saudi Aramco62.5% Sinopec 37.5%出資することで合意した。両社はコマーシャル面、技術面の知見を供与する。両社はまた、両国間の輸送用燃料の売買に関する戦略的パートナーシップを創る。

RSRCの計画は、日量40万バレルのArabian Heavy 原油を処理し、国内及び海外市場の最も厳しい規格に合った高品質製品を生産する。
製品は日量
90千バレルのガソリン、同263千バレルの超低サルファディーゼル、同6300トンの石油コークス、同1200トンの硫黄など。

2014年稼働予定で、Aramcoの既存の原油受け入れ設備、製品輸出設備を利用する。

両社は中国とサウジで既にJVを持っており、今回の契約は両社の協力の一環である。

福建聯合石油化工(Fujian Refining & Petrochemical)では、Aramco25%ExxonMobil25%Sinopecと福建省が共同出資するFujian Petrochemical50%出資し、2008年にエチレン80万トンのコンプレックスを運営している。

サウジではSinopec 80%Aramco 20%出資の Sino Saudi Gas Limited Rub' al-Khali Basinでガス開発を行っている。


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2011年3月24日 (木)

浙江逸盛石化、寧波でPTA第三期計画の認可を取得

浙江逸盛石油化学(Zhejiang Yisheng Petrochemical)はこのたびNDRCから、浙江省寧波市北侖区でのPTA第三期計画の認可を取得した。

第三期計画は
30億人民元を投じるもので、Invistaの技術を導入、公称能力は年産150万トンだが、実際の能力は180万トンとされる。

同社は、紡織大手の浙江恒逸集団(
Zhejiang Hengyi Group)と浙江栄盛化纖集団(Zhejiang Rongsheng Chemical Fibre Group )及び佳栢国際投資有限公司、香港盛暉有限公司のJVで、製品PTAはすべて親会社の恒逸及び栄盛のポリエステル工場に供給される。

浙江逸盛化学は寧波に既存のPTA2基を持つほか、大連にJVの逸盛大化を持っている。

同社のPTAの公称及び実質能力は以下の通りで、今回の計画( )を合わせると実質能力は450万トンとなる。

             単位:万トン
      公称 実質  
浙江逸盛 寧波 1 53 60
2 53 60
3 (150) (180)
合計 106
(256)
120
(300)
逸盛大化 大連   120 150
合計     226
 (376)
 270
(450)

逸盛大化石油化学(Yisheng Dahua Petrochemical)は逸盛化学80%、大化集団20%のJV。
当初年産50万トンのQTAを計画したが、最終的に1系列 120万トンのPTAに変更した。

中国は2009年にネットで508万トン、2010年に540万トンのPTAを輸入した。
なお原料PXについては2009年の輸入は337万トン、2010年は353万トンとなっている。


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2011年3月23日 (水)

双日のブラジル・バイオエタノール事業

前回、BPのブラジルのバイオエタノール事業について書いた。

ブラジルでは双日が2007年にバイオエタノール事業会社に参加、その会社が2010年には同業大手と戦略的統合を行い、サトウキビ由来のエタノール生産能力で世界最大となっている。

双日は長年、ブラジルで鉄鉱石などのビジネスを行ってきており、その関係から2007年にブラジルの大手コングロマリットのOdebrecht S.A.からバイオエタノール事業に参画しないかと打診を受けた。

Odebrechtはブラジル最大のコングロマリットで、傘下に、南米最大の総合建設会社 Construtora Norberto Odebrecht S.A.や、南米最大の石油化学会社 Braskem S.A.などがある。

BraskemはバイオエタノールからのHDPE生産を開始しており、更にPPも計画している。
  
2010/11/9  BraskemGreeen PP 製造へ

Odebrecht S.A.20077月、農園のサトウキビ栽培からバイオエタノール・砂糖生産までの一貫事業を手がける会社、ETH Bioenergia S.A.を設立しており、双日は約92億円で同社の33.33%を取得した。

ETH Bioenergiaはバイオエタノール・砂糖製造を行う事業会社の買収と自社工場の建設で事業を拡大、現在は5か所で事業を行っている。

工場 立地 経緯 サトウキビ
  圧搾
エタノール 砂糖 発電
São Paulo Alcídia Unit Teodoro Sampaio 2007年買収 200万トン 130 百万リットル 80千トン
Conquista do Pontal Unit Mirante do Paranapanema 2009年建設 300万トン 90 百万リットル    
Goiás Rio Claro Unit Caçú 2009年建設 300万トン 90 百万リットル    
Mato Grosso do Sul Eldorado Unit Rio Brilhante 2008年買収 220万トン 130 百万リットル 86 千トン  
Santa Luzia Unit Nova Alvorada do Sul 2009年建設 300万トン 62 百万リットル    
 * 発電はサトウキビの圧搾残滓(バガス)を利用したバイオマス発電

2016年にサトウキビの年間圧搾量約1600万トン(エタノール生産量年間98万キロリットル+粗糖生産量年間79万トン)、2021年にはサトウキビの年間圧搾量を約 4400万トン(エタノール生産量年間260万キロリットル+粗糖生産量年間240万トン)に増大し、エタノール・砂糖の生産においてブラジルトップクラスとなることを目指した。

双日は、エネルギー分野以外でも事業の拡大を図り、化学品分野ではBraskemの上記のグリーンプラスチック事業への進出、環境分野では排出権つきの電力販売やバイオマス燃料を使った発電などへの事業進出、食料分野では粗糖のブラジル国外への輸出を検討するとしていた。

ーーー

ETH Bioenergia20102月、同業のBrenco Holding S.A.との戦略的事業統合に合意し、主要株主間の統合契約を締結致した。   

Brencoは3州の州境のAraguaiaに4つの工場を建設中で、2012年には圧搾能力1500万トン、エタノール140万キロリットル、電力1520GWhとなる。

統合新会社は、ETH Bioenergiaの社名を継承し、旧ETH65%Brenco株主が35%の出資となる。

新会社は、ブラジル国内に9工場(旧ETH5工場、Brencoの建設中の4工場)を保有、2012年度にはサトウキビ圧搾能力で4000万トン、エタノール生産能力は30億リットル、粗糖 48万トン、サトウキビの圧搾残滓(バガス)を利用したバイオマスの発電量も2700ギガワット時となり、サトウキビ由来のエタノール生産事業としては世界最大となる。

新会社は今後35億レアル(約1750億円)を投入し、生産設備を拡充する。

また、バイオエタノール需要が高まる欧米市場向けの輸出を視野に入れ、17億レアル(約850億円)をかけ、生産地からサンパウロ州サントス港までの約1100kmのバイオエタノール輸出用大型パイプラインを敷設する計画も検討していく。




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2011年3月22日 (火)

BP、ブラジルのバイオ燃料事業を拡大

BP311日、ブラジルのエタノールと砂糖のメーカーのCompanhia Nacional de Acucar e Alcool (CNAA)のマジョリティを買収することで合意したと発表した。

買収により、BPGoias州とMinas Gerais州のエタノール工場を手に入れるが、CNAAMinas Gerais州に第三工場を建設中で、これが完成すれば、エタノール製造能力は年間14億リットル(900万バレル)になる。

BPCNAAの株式の83%取得と同社の既存の借入金のリファイナンスに680百万ドルを支払う。

サトウキビの栽培地はブラジルのAgro-Ecological Zoning of Sugarcaneで認められた地域にある。
3工場のサトウキビを圧搾する能力はフル稼働時には年間でサトウキビ 1500万トンで、各工場の生産能力はエタノール換算で年間480百万リットルとなる。
各工場はまた、年間
340GWhの電力を供給する能力を持つ。

BPはこのほかに、2008年以降、Tropical BioEnergia S.A.の株式の50%を保有している。
同社は
Goias 州に年間435百万リットルのエタノール生産能力を持っている。

最近発表されたBP Energy Outlook 2030によれば、代替エネルギーは今後20年間で最も成長の速いエネルギーで、世界のバイオ燃料生産は3倍以上になるとみられる。

BPはこの需要に応じるため、バイオ燃料に注力するとしており、今回の取引もこの戦略に沿ったもの。

BP2006年以降、バイオ燃料の研究開発と生産に15億ドル以上を投資するとし、欧州、ブラジル、米国の生産施設に投資してきた。

San Diegoにグローバルなバイオ燃料技術センターを有し、バイオ技術のエネルギーへの適用を調査しているEnergy Biosciences Institute (EBI)10年にわたって5億ドルを投資している。

200511月にはBPのローカーボンエネルギーを統合してBP Alternative Energy を設置、バイオ燃料、風力、太陽エネルギーなどの成長分野に80億ドルを投じるとともに、カーボン捕集・貯蔵やクリーン技術に長期的に取り組んでいる。
このうち、既に
50億ドルが支出されている。


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2011年3月21日 (月)

エチレンの状況 

石油化学工業協会の高橋恭平会長(昭和電工会長)は3月17日の記者会見で、石化製品の基礎原料となるエチレンについて「生産能力の4分の1が停止状態になっている」と説明した。
.
地震の影響で三菱化学の鹿島事業所(茨城県神栖市)の2基、丸善石油化学の千葉工場(千葉県市原市)、JX日鉱日石エネルギーの川崎製造所(川崎市)の計4基の生産設備が止まり、3月以降の生産は大幅に落ち込む見通し。

停止設備能力は定修実施年ベースで1,712千トンで、合計能力7,279千トンの23.5%となる。
このうち、早期の復旧が難しい三菱と丸善の両工場の能力は1,308千トンで、全体の18%に相当する。

  三菱化学・鹿島1、2号機(年産能力 828千トン)

製造設備は全て停止、自家発電等も停止。
バースが損傷を受けており、道路の損傷等のため、陸上・海上いずれによる入出荷も困難な状況で、復旧にはかなりの期間が見込まれる。(3/16発表)

付記
バース以外のインフラ関連設備・機器の一部に著しく損傷しているものがあることが判明、プラント稼働再開までには最短でも2か月以上を要する見込み。(3月23日発表)

  丸善石油化学・千葉(480千トン)

隣接するコスモ石油の爆発火災で操業を停止、再開見通しは未定。
(コスモ石油のLPGタンクの火災は3月21日午前10時10分、鎮火を確認した。石油精製設備の再稼働の見通しは立っていない

なお、隣接の京葉エチレン(丸善石油化学/三井化学/住友化学のJV)は操業している。

付記
同社のアルコールケトン製造装置は復旧には最低でも1年間は必要とみられ、その間、メチルエチルケトン(MEK)、セカンダリーブチルアルコール(SBA)、ジイソブチレン(DIB)の出荷を停止する。(4月1日発表)

  JX日鉱日石エネルギー・川崎(404千トン)

地震直後に手動によりエチレンプラントを停止

付記
3月30日に操業を再開した。
設備被害はなく、これまで安全確保のため点検作業を進めていた。

ーーーー

付記 2011/4/4 エチレンの状況ー2  

鹿島コンビナートには旭硝子や信越化学工業、花王など20社以上がプラントを持っているが、これらの工場が復旧しても三菱化学からの原料供給が遅れれば、生産再開が遅れる懸念がある。

三菱化学では、もうひとつの生産拠点である水島事業所による代替供給も含めて検討している。

その水島事業所のエチレンプラント(450千トン)は5月から定期修理に入る予定である。

このほか、本年は住友化学(千葉 380千トン)、三井化学(千葉 553千トン)、出光興産(千葉 374千トン)、東ソー(四日市 493千トン)が定期修理の予定。
(三菱化学の鹿島1、2も予定)

定期修理でエチレン生産能力がさらに低下すれば、生活必需品などの生産にも影響を与えかねないため、石化協の小林喜光副会長(三菱化学社長)は、「プラントの定期修理の延期も含めた超法規的な措置をお願いせざるを得ない事態もあり得る」と述べ、政府に延期を働きかけていく可能性を示唆した。

今後、エチレンの輸出分を削減したり、アジアから手当てする可能性もあり、すでにアジア市況が上がり始めるなどの影響も出ている。

なお、エチレンの2月の生産量は596,600トンで、設備稼働率は95.7%。稼働率は90%台を22カ月連続で維持した。


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2011年3月19日 (土)

米最高裁、Bayerの“pay for delay” 和解の独禁法違反審査請求を却下

米最高裁は37日、Bayer抗生物質のCipro (ciprofloxacin)について競争を阻害するために金を支払った件で、これを独禁法違反とする訴えを却下した連邦控訴審の判断の見直しをしないことを、理由なしに決定、特許訴訟の“pay for delay” 和解を法的に支持した。

Bayer1997年(主要特許の切れる6か月前)にBarr Laboratories (その後、イスラエルのTeva Pharmaceuticalが買収)との間で和解し、BayerBarr 398百万ドルを支払う代わりに、BarrBayerの特許無効の訴えを撤回し、20036月までCiprogenetic薬を販売を遅らせることで合意した。(このため、“pay for delay” 和解と呼ばれる)

これに対して、米国の三大ドラッグストアのうちの2社、CVS Caremark Rite-Aid、消費者団体、32の州などが、このような和解は製薬業界で多く行われ、消費者に年間35億ドルの損害を与えているとして、この和解を覆すよう求めた。

このような和解は、コストのかかる特許訴訟を終わらせ、特許を持つ会社にもgeneric薬の会社にもメリットがあるが、特許が切れても、一定の期間、安いgeneric薬の販売を遅らせることとなる。

このためFederal Trade Commission もこのような契約は独禁法に違反し、高い処方薬で米国の消費者、納税者に年間35億ドルの負担をさせているとし、連邦控訴審に意見書を提出している。

Obama大統領はこのような特許和解を禁止する法案を提案している。連邦政府に20年にわたり、88億ドルもの節約になるとしている。
製薬会社は
generic会社を含め、これに反対している。

しかし、裁判所は同様のケースで何度も、私企業間の契約を違法ではないとしている。

Bayerなどは和解はgeneric薬メーカーとの特許紛争の解決策として正当なものと主張し、Ciproについては、和解によってBarrは全特許が切れる6か月前にgeneric 品を販売できたため、消費者にもメリットありとしている。

CVSRiteBayerの特許は有効性に問題ありとしている。Barrは予審段階では勝っており、裁判になった時点で和解した。

これに対し、Bayerは、Cipro特許では連邦控訴裁でのMylanとの裁判で勝利しており、他のすべての裁判で勝っていると反論している。

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2011年3月18日 (金)

テルモ、米医療機器メーカー買収 

テルモは3月7日、輸血関連事業分野の世界的大手企業の米国の医療機器メーカーのCaridianBCTの100%の株式を購入する契約を締結したと発表した。同社に全額出資するスウェーデンの大手医療機器メーカー、Gambro ABから取得する。

買収額は2,625百万米ドルで、手元資金(700億円弱)と銀行借り入れで賄う。同社はこれまで無借金経営を続けてきた。

テルモは1960年代に輸血関連事業に参入して以来、血液バッグを中心に国内ばかりでなく海外市場にまで事業を拡大し、グローバルで業界第5位の地位を獲得している。

同業界は、先進国では高齢化に伴うがん患者の増加、新興国では経済発展による医療水準の向上が、世界的な輸血需要の増加を促進、グローバルに力強い成長が期待される。

こうした中で、テルモは世界で存在感のある企業を目指し、「10年以内に売上高1兆円」の実現に向けた重点成長戦略のひとつとして、輸血関連事業の拡大を掲げ、更なる事業拡大を狙っている。

CaridianBCTは、採血から治療システムに至る幅広い領域での高い技術力とグローバルな販売網を生かして、今後とも高成長が期待される企業で、テルモは、買収により売上高1兆円へ向けた成長戦略を大きく前進させることが可能となるとしている。 

テルモは本買収の意義を以下の通りとしている。

(1) 世界でトップの地位を確立

テルモの2009年の輸血関連事業の売上高は240億円で世界5位だが、買収により約700億円とトップになる。
CaridianBCTの持つ高付加価値の成分採血システムなどが加わり、世界中の広範な輸血需要に対応。
地域的には米国・欧州・中南米での事業基盤を強化

血液関連機器メーカー売上高(2010年度見通し)

両社の地域別売上高(単位:百万ドル)

  欧州 米大陸 日本 合計
CaridianBCT 170 260 20 80 530
テルモ 50 40 105 95 290
合計 220 300 125 175 820

(2) 持続的な高成長事業の獲得

CaridianBCTの主力事業である成分採血システムによる血小板採取の技術は、世界で高い評価を得ている。
(主に抗がん剤投与や放射線照射などのがん治療によって起こる血小板減少の際に輸血)

CaridianBCTはイノベーション重視の企業で、自動製剤システムや病原体低減システムのような新 しい課題に対応した医療技術を有している。

(3) グローバル成長エンジンの新たな柱

本件買収により、輸血関連事業の売上構成比は現在の8%から18%になり、テルモの成長を支える新たな柱となる。

テルモの新宅祐太郎社長は記者会見で「心臓カテーテル(医療細管)以外の新たな成長エンジンになる」と強調した。

テルモのカテーテル事業は2009年度の売上高が1300億円で、全売上高の4割を占める。
世界のカテーテル市場では2位のグループを形成しており、米
Johnson & Johnson、米Abott Laboratoriesの首位陣を追っている。

テルモの2010年3月期のセグメント別業績は以下の通り。(億円)

  売上高 営業損益
ホスピタル商品群   1,498 336
心臓・血管領域 1,358 387
輸血関連 239 34
ヘルスケア 64 4
全社 - -129
合計 3,160 633

 


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2011年3月17日 (木)

化学遺産、第二回認定

日本化学会は3月7日、化学にまつわる貴重な歴史資料「化学遺産」に、日本初の化学講義録など4件を認定したと発表した。
これで化学遺産は10件となった。

日本化学会は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、化学遺産委員会を設置し、さまざまな活動を行っている。

歴史資料の中でも特に貴重なものを文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上及び化学工業の発展に資することを目的とし、2010年3月に、第1回として6件の「化学遺産認定」を行っている。

2010/3/18  化学遺産認定 

第二回認定は以下の通り。

1) 日本最初の化学講義録 朋百舎密書(ポンペせいみしょ)

オランダ人軍医ポンペが、1859年に行った医学や化学の講義を、明治政府初代の軍医総監となった松本良順が筆記したもので、現在、松江赤十字病院(松江市)に2冊が残る。
舎密は当時の化学の呼び方。

2) 「化学新書」など日本学士院蔵 川本幸民化学関係資料

日本で初めて「化学」という言葉を書名に使った洋学者、川本幸民の翻訳本「化学新書」(1861年)などで、日本学士院所蔵。

3) 「日本のセルロイド工業の発祥を示す建物および資料」

「堺セルロイド」「日本セルロイド人造絹糸」(ともに1908年設立、現在はダイセル化学工業に統合)の製品や工場内部の写真などの資料、現存する石炭ボイラー施設など

セルロイドはニトロセルロースと樟脳などから合成される。
1856年にイギリスの
Alexander Parkesによって初めて作られた。
1870年にアメリカの
John Wesley Hyattがビリヤードの玉の原料として実用化に成功し、Celluloidの商標を登録した。

1880年代後半から乾板に代わって写真フィルムとして使われるようになった。
1884年にHannibal Goodwin EastmanHenry Reichenbackflexible filmを開発、Eastmanとの長期の特許紛争でGoodwinが勝訴し、1914年に5百万ドルの特許料を受け取った。

ダイセル化学工業の前身の大日本セルロイドは、1919年9月に下記の8社が合同して設立された。
 ・
堺セルロイド(三井財閥系:明治41年創業の日本でのセルロイド製造の先駆け)
 ・
日本セルロイド人造絹糸(三菱財閥・鈴木商店系)
 ・大阪繊維工業(岩井産業系)
 ・東京セルロイド
 ・三国セルロイド
 ・能登屋セルロイド
 ・十河セルロイド
 ・東洋セルロイド

なお、写真フィルム製造の国産工業化計画に基づき、1934年1月に大日本セルロイドの写真フィルム部の事業一切を分離継承して富士写真フイルムが設立された。

4) 日本の板硝子(ガラス)工業の発祥を示す資料

1909年に旭硝子関西工場(尼崎市)が「手吹円筒法」と呼ばれる方法で板ガラスの工業生産に成功した。
ここに所蔵されている円筒が選ばれた。
円筒は再び加熱して広げ、板ガラスにする。

ーーー

日本化学会では、2011世界化学年記念として第5回「化学遺産市民公開講座」を開く。
 日時:3月26日(土)10:30~16:45
 場所:神奈川大学横浜キャンパス

 詳細は http://www.chemistry.or.jp/archives/kouza2011.pdf

 


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2011年3月16日 (水)

Dow、BASF、Bayer の2010年決算 

DowBASFが合成樹脂や機能製品が好調で大幅増益になった。
しかし
Bayerは、合成樹脂(Material)が大増益になった反面、医薬や農薬が不振で減益となった。

2008年に世界経済の悪化で、Dow やDuPont などで人員整理が行なわれる中、Bayerが気を吐いていた。
今回は逆になった。

BayerWerner Wenning 会長は2008年12月 同社の状況を以下の通り説明した。

この数週間で経済状況は著しく悪化した。
しかし、
Bayerでは相変わらず自信を持っている。こんな時こそ、長期的は企業戦略が成果を生む時である。   

売上高の70%を占めるHealthCare 部門とCropScience 部門は、不況の影響を受け難い。   

2008/12/15 Bayer、来年も増益

---

1) Dow

増収増益となった。特にPlasticsの増益の影響が大きい。

20094月にRohm & Haasの買収を完了した。
   
2009/4/3 ダウ、Rohm & Haas の買収を完了

単位:100万ドル
  07 08 09 10 増減
売上高 49,734 57,361 44,875 53,674 8,799
EBITDA 6,836 4,075 4,828 7,200 2,372
税引後損益 2,887 579 648 2,310 1,662

EBITDA

  2007 2008 2009 2010 増減
Electronic & Specialty Materials 737 835 1,046 1,612 566
Coatings & Infrastructure 51 134 367 743 376
Health & Agricultural Sciences 576 872 573 640 67
Performance Systems 624 235 674 855 181
Performance Products 1,991 1,050 1,142 1,311 169
Plastics 2,804 1,746 1,665 2,910 1,245
Chemicals & Energy 952 278 103 574 471
Hydrocarbons  -45 -70 391 -1 -392
Others -854 -1,005 -1,133 -1,444 -311
Total 6,836 4,075 4,828 7,200 2,372

同社は2010年に一部、セグメントを組み替えている。上の2009年は新セグメントベースに組み替えている。

Electronic &
 Specialty Materials
Electronic Materials
Specialty Materials
Coatings & Infrastructure Adhesives and Functional Polymers
Dow Building and Construction
Dow Coating Materials
Health &
 Agricultural Sciences
Dow AgroSciences
Performance Systems Automotive Systems
Dow Elastomers
Dow Wire and Cable
The Formulated Systems
Performance Products AminesEmulsion PolymersEpoxy
Oxygenated Solvents
Performance Fluids, Polyglycols and Surfactants
Performance Monomers

Polyurethanes
Basic Plastics
Plastics
Polyethylene
Polypropylene
Styrenics
Basic Chemicals
Chemicals & Energy
Chlor-Alkali/Chlor-Vinyl
Ethylene Oxide/Ethylene Glycol
Hydrocarbons and
 Energy
Hydrocarbons
BenzeneButadieneButyleneCumene
EthylenePropyleneStyrene
Powersteam and other utilities
Others  

ーーー

2) BASF

大幅増益となった。

百万ユーロ
  2007 2008 2009 2010 増減
売上高  57,951  62,304  50,693  63,873  13,180
営業損益 EBIT 7,316 6,463 3,677 7,761 4,084
Net income 4,065 2,912 1,410 4,557 3,147

EBIT

  2007 2008 2009 2010 増減
Chemicals 1,903 1,369 735 2,310 1,575
Plastics 1,172 539 554 1,273 719
Performance Products 681 768 -150 1,345 1,495
Functional Solutions 434 151 107 457 350
Agricultural Products 516 705 769 749 -20
Oil & Gas 3,031 3,844 2,289 2,334 45
Other -421 -913 -627 -707 -80
合計 7,316 6,463 3,677 7,761 4,084

部門 内訳
Chemicals Inorganics
Petrochemicals
Intermediates
Plastics Performance Polymers
Polyurethanes
Performance Products Dispersions & Pigments
Care Chemicals
Nutrition & Health
Paper Chemicals
Performance Chemicals
Functional Solutions Catalysts
Construction Chemicals
Coatings
Agricultural Solutions Crop Protection
Oil & Gas Oil & Gas

ーーー

3) Bayer

増収だが減益となった。

部門別には、Materialsは大幅増益だが、医薬と農薬が減益となった。

単位:百万ユーロ
  2007 2008 2009 2010 増減
売上高 32,385 32,918 31,168 35,088 3,920
金利前損益(EBIT 3,154 3,544 3,006 2,730 -276
税引前損益 2,234 2,356 1,870 1,721 -149
事業譲渡益(税引後) 2,410        
税引後損益 4,711 1,719 1,359 1,310 -49
 
  2007年の事業譲渡益は以下の通り。
 Diagnostics 2,065H.C.Starck 91Wolff Walsrode 239
 
金利前損益(EBIT
  2007 2008 2009 2010 増減
HealthCare Pharmaceuticals 741 1,222 1,696 884 -812
Consumer Care 823 959 944 977 33
CropScience  Crop Protection  537 804 713 600 -113
Environmental
(含むBioScience:種子)
119 114 85 -339 -424
MaterialScience Materials
Systems
100
942
-99
636
-266
-
780
-
1,046
-
調整 -108 -92 -166 -172 -6
Total  3,154 3,544 3,006 2,730 -276

Healthcareは各国の健保制度改正の影響、ジェネリック医薬品メーカーとの競争で大幅減益。
Crop Protectionは販売数量と価格の減で減益、BioScience R&D費用の増大で赤字となった。

Materials2009年からSystemを包含)は、数量増、原料コストアップを上回る価格アップで大幅増益となった。

HealthCare Pharmaceuticals  
Consumer Health 含む Animal Health
Bayer CropScience, Crop Protection  
Environmental Science 家庭用、防疫用殺虫・殺鼠剤
BioScience 種子等
Bayer MaterialScience Coatings, Adhesives, Specialties
Polyurethanes
Polycarbonates
Thermoplastic Polyurethanes
 

 


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2011年3月15日 (火)

ロシアの天然ガス開発ー BP撤退、Total進出

ロシアの天然ガス開発で、BPの撤退とTotalの進出が同時に発表された。

1)東シベリアガス田権益、ガスプロムが取得

ロシアのGazprom が、BPのロシア合弁のTNK-BPが保有していた子会社の資産を711百万ドルで取得した。
TNK-BPが発表した。.

TNK-BP62.9%出資しているRUSIA PetroleumKovykta天然ガス田の開発権を持ち、対中輸出を計画していたが、政府がGazpromのガスパイプラインを同社に開放する案を取り消したため、輸出を阻まれ、20106月に破産を申請、10月に自己破産した。

このRUSIA Petroleumの資産競売でGazpromが落札したもので、711百万ドルの落札価額は入札のスタート価額より50%以上高い。

2007年に当時のPutin大統領のロシアの石油・天然ガス資源のコントロール確保方針により、GazpromRUSIA Petroleumの買収交渉に入ったが、折り合いがつかず、買収方針を撤回していた。

Kovyktaガス田は1970年代後半に発見され、1987年に開発が開始された。
イルクーツクの北東
400km、バイカル湖北端の西側にあり、埋蔵量は2兆立方メートル。

RUSIA Petroleumはイルクーツク州の石油・ガス開発のため1992年に設立された。
株主は、
TNK-BP62.9%OGK-324.99%、イルクーツク州政府が10.78%となっている。

なお、今回はBPの資産を政府の権限で(輸出を不可能にすることで)取り上げる結果となったが、ロシア単独では掘削が不可能な北極海大陸棚のSouth Kara Sea(下の地図参照)の深海油田開発ではRosneft はBPとの戦略的提携を行っている。

2011/1/17 BP、ロシアのRosneft と戦略的提携 

---------------------

2)Total、ロシアガス大手と提携

Total32日、Putin首相の立会のもと、ロシア天然ガス2位のNovatekとの間で、ロシアのヤマル半島のガス田開発での資本・業務提携契約に調印した。

TotalNovatek子会社でヤマル半島でLNGの開発をしているYamal LNG 20%出資する。Novatek51%出資となる。
Totalはまた、Novatek本体に12.08%を出資、12か月以内に15%に、36か月以内に19.40%に出資を増やす。
Novatek株の12%は大株主2社から購入するが、金額は40億ドル程度となる。

Yamal LNG Yamal半島のSouth Tambey ガス田を開発する。推定埋蔵量は12500m3で、年間1500万トンのLNGの生産が可能。
LNG基地を含む投資額は200億ドルとされる。

Novatek20107月に、このガス田の権利の49%56社の外国企業に売却する考えを明らかにしている。
Total2025%の権利取得の考えを表明していた。
Totalのほか、Shellを含むいくつかの企業が関心を示していた。

Totalは今回の契約(20%の権益)で、今後10年間、原油換算で日量9万バレルを得る。

Novatek はロシア最大の独立ガスメーカーで、国内市場の約10%を供給する。
2010年の生産量はコンデンセートを含み原油換算で日量75万バレルで、大ガス田を56か所持っている。
TotalNovatek2009年からTermokarstovoyeガス田を共同で開発している。

Total 1989年以来、ロシアに進出している。Nenets自治州のKharyaga ガス田に40%の権益を持ち、オペレーターとなっている。
Phase 3の開発計画が2007年に承認され、2010年のTotalの生産持分は原油換算日量1万バレルとなっている。

20077月には、TotalGazpromとの間で、 Barents SeaShtokman 巨大ガス・コンデンセート田のPhase1の開発契約を締結した。
2008年にTotal25%出資するShtokman Development AG が設立された。Phase1は年間237m3の生産を行う。約半分がLNGの形で輸出される。 


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2011年3月14日 (月)

日韓連合、ブラジルのレアメタル鉱山に投資

日本と韓国の鉄鋼メーカーが共同でブラジルとレアメタル大手に出資する。
新日鉄などが
34日に発表した。
新日鉄、
JFEスチール、韓国のPOSCO3社に加え、双日、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)、韓国国民年金公団も出資する。

新興国を中心に高級鋼材の需要が伸びる中、その生産に不可欠のレアメタルのニオブの世界生産量のトップシェアを占めるCBMM に日韓合計で15%出資することで、ニオブの安定調達体制を整える。

出資先は、ブラジルCompanhia Brasileira de Metalurgia e Mineracao (CBMM)
1955年設立の鉱山企業で、ブラジル南東部Minas GeraisAraxaにニオブ鉱山と精製工場を保有している。

ブラジルには世界のニオブ埋蔵量の大半があるが、
CBMMはその殆どの権益を保有している。
2010年の生産量は7.2万トン。

出資は以下の通りで、日本側の投資額は13億ドル、韓国側は6.5億ドルとなる。

日本側特別目的会社(SPC)   10%  : 新日鉄、JFEスチール、双日、JOGMECが各25%出資
韓国側SPC   5%   POSCO、韓国国民年金公団が各50%出資
合計   15%    

JOGMECはこれまで稼働中の鉱山への出資は出来なかったが、政府は日本側コンソーシアムへの参加が日本の資源政策上、重要と判断し、2010年にJOGMEC法を改正した。これは新制度(資産買収出資制度)の適用第1号案件となる。

新日鉄、JFE、双日、POSCOは出資を機に、CBMMとニオブの長期引取契約を締結した。
双日はこれまで単年度契約で日本向けニオブの輸入を独占的に行ってきたが、長期契約に切り替える。

ニオブはレアメタルの一つで、高級鋼材・特殊鋼材を生産するために必要不可欠な原料。
微量の添加により鉄鋼製品の強度・靭性・耐熱性を飛躍的に向上させる特性があり、ニオブを添加した高級鋼材・特殊鋼材・スーパーアロイは、パイプライン・自動車・大規模建築・タービンに使用されるほか、スペースシャトルにも使われている航空エンジンなどの最先端機器にも使用されている。
他に、光学、電気、電子分野でも使用されている。

世界のニオブの需要は2002年~2009年の間に年率約10%で拡大しており、特に中国の輸入量は直近の4年間で倍増している。
ニオブの将来の需要は世界の粗鋼生産量の拡大以上に伸長するとみられているが、
CBMM 社との新たな関係構築により、日本および韓国向けに、ニオブの安定的な供給体制が整うことになる。

 

 


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2011年3月12日 (土)

日本の合成樹脂業界の変遷 

2011/2/23のブログ ヴイテック、2011年9月末に解散 でPVC業界の推移の表を掲載した。

クレハ、旭硝子、チッソ、セントラル化学に続き、今回ヴイテックが撤退する。
残るのは、新第一塩ビ、信越化学、大洋塩ビ、カネカと、積水化学の徳山積水だけとなる。
新第一塩ビはトクヤマ主導、大洋塩ビは東ソー主導となっている。

新第一塩ビは汎用品の水島とペーストの高岡工場を停止した。

それでも、日本のPVCの能力は2009年末で2,156千トン(1997年は2,776千トン)、四日市停止で2,056千トンとなるが、2010年の内需は1,031千トン、輸出は660千トン、出荷合計1,690千トンとなっており、能力は内需の2倍ある。

ーーー

三菱化学はPSからも撤退している。

三菱化学は2009年10月1日PSジャパンから撤退、PSジャパンは2011年3月末に四日市工場の操業を停止すると発表した。
三菱化学は、鹿島のSMを2011年3月に停止し、SM事業からも撤退する。)

PSジャパンの推移は以下の通り。(能力:千トン)

  統合前 処理 統合後 出資比率   2011/4
能力
現出資比率
A&M
スチレン
旭化成・水島   108     108   45.0%   108 62.07%
旭化成・千葉   207     207  207
三菱化学・四日市    85      85   27.5%    - -   
小計   400     400     315  
出光石化・市原   130  -85    45   27.5%   45 37.93%
合計   530  -85   445   100.0%   360 100.00%

PS業界では、日本ポリスチレンが2009年9月末に停止、解散しており、残っているのは、東洋スチレンとPSジャパン、DICの3社である。

2009/4/4  日本ポリスチレン 2009年9月末に操業停止、解散へ

能力は1996年に1,559千トンあったが、四日市停止後は769千トンとなる。
2010年の内販は688千トン、輸出は28千トンで、出荷合計は716千トン、能力はほぼ、出荷見合いとなっている。

ーーー

これに対して、ポリエチレン業界では能力に大きな変動はない。

LDPE
 
HDPE

・三井住友ポリオレフィンが解散し、三井は出光と一体化し、プライムポリマーを設立した。
・日本ポリケムが日本ポリオレフィンと統合し、日本ポリエチレンとなった。
 (これに際し、独禁法の問題から、日本ポリケムの東燃化化学持ち株を三菱化学が買収した。)
・宇部興産はLDPE事業の停止を一度は決めたが、丸善の要請で、丸善とのJVの宇部丸善ポリエチレンとした。

以上の異動はあるが、工場単位では日本ポリエチレンの四日市工場(三菱化学)が2004年9月末で停止したのみ。
(同工場では2001年1月にエチレンプラントを停止している。)

合計能力は1996年末が3,551千トン、2009年末が3,656千トンで、ほとんど変わっていない。

ポリエチレンの工場が減らないのは、ポリエチレンを止めると、エチレンが動かなくなり、コンビナート全体を止めざるを得なくなるため、止むを得ず、操業を続けているということである。

2010/12/29  2010年 回顧と展望 参照

宇部丸善ポリエチレンについては、宇部が千葉のLDPE(能力 197千トン)を止めると、丸善石化のエチレンの操業に差し障るため、丸善石化が50%出資するJVとしたもの。

旭硝子がPVCから撤退したのに、旭硝子と丸善石化のVCMのJVの京葉モノマー(能力 200千トン)が操業を続けているのも、同様の理由である。
(旭硝子のトップは一時、千葉の電解とVCMを停止したいとの意向を示していた。)

もう一つ、日本ポリエチレンの設立も、ポリエチレン工場の維持に影響を与えていると思われる。

日本ポリエチレンは、三菱化学の鹿島、水島の工場のほか、東燃化学川崎、昭和電工大分、新日本石油川崎の工場を有している。
日本ポリエチレンは、三菱商事撤退後、日本ポリケム(三菱化学100%)が58%を保有しているが、恐らく、契約上は他社の工場の閉鎖には工場の親会社の同意が必要と思われる。

他社は、三菱化学が三菱化学の工場を温存したままで、その社の工場の閉鎖を了承するとは思えず、三菱化学の拡大路線による日本ポリエチレンの設立は、他社の工場の丸抱えとなり、結果として、業界の改変を難しくしていると思われる。

ーーー

ポリプロピレン


・三井住友ポリオレフィンが解散し、三井は出光と一体化し、プライムポリマーを設立した。
・日本ポリケムとチッソが統合し、日本ポプロとなった。
 (これに際し、独禁法の問題から、日本ポリケムの東燃化化学持ち株を三菱化学が買収した。)
・日本ポリケムの四日市工場は2002年12月に停止した。
 (同工場では2001年1月にエチレンプラントを停止している。)
・トクヤマは出光に営業譲渡した。
  トクヤマの工場は停止、出光とのJVの徳山ポリプロをトクヤマの工場内に新設した。
・宇部興産は廃業、宇部ポリプロは三井化学に譲渡後、停止した。

1996年のPPの生産能力は2,804千トン、これに対し、2009年末の能力は増強により、3,268千トンに増えている。

 

参考

2006/3/17  総集編 ポリオレフィン業界の変遷
2006/3/18  総集編 PVC、PS、ABS業界の変遷

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2011年3月11日 (金)

沢井製薬、キョーリン製薬への経営統合提案を取り下げ

沢井製薬は3月1日、キョーリン製薬に対する経営統合提案を取り下げると発表した。

同社はキョーリンに対し、2月末を期限とする経営統合提案をしていたが、キョーリンは昨年12月に賛同しない旨の回答をし、沢井側の理由説明の要請にも応じなかったため、沢井としては本案に基づく交渉継続は有益でないと判断した。   

キョーリンは、事業環境に対する認識及び戦略が合致しないことを理由に、この提案はキョーリンの企業価値及び株主共同の利益の向上に資するものではないとした。

沢井はキョーリンの株式の約4.8%を取得しているが、引き続き株主として、キョーリンの株主価値向上策を見守るとしている。

ーーー

沢井の経営統合提案の背景と内容は以下の通り。

背景:

製薬企業の経営が今後ますます困難を極めるものになるとみられるなか、有力な新薬企業と大手のジェネリック医薬品企業の連携こそが、日本の製薬市場が真に求める製薬企業像を実現させる鍵になると考えた。

新薬事業を展開するキョーリンとジェネリックの沢井が経営統合し、両社の経営資源、ノウハウ、競争優位を融合することで、新薬事業とジェネリック事業の『ハイブリッド・ビジネスモデル』を構築することができると考えた。

                                               
キョーリンの強み                    沢井の強み
・類稀なる新薬開発力
・ジェネリック事業に早期参入を果たした先見性
・柔軟な経営風土
・優れた事業展開力
・医療機関からの絶大なる信頼感
・患者への高いブランドイメージ
・ジェネリック市場のマーケット・リーダーとしての存在感
・広範な疾患領域をカバーする製品ポートフォリオ
・高品質なジェネリック製品の生産能力
・ローコストオペレーションの実績・ノウハウ
・高い企業モラル
・株式市場からの高い評価

統合案:

『対等の精神による経営統合』の精神で、各事業会社を傘下に持つ持株会社方式を念頭におく。

                               
一案

統合後の事業展開:

                                                                       
新薬事業においては、キョーリンの得意領域及びUMN(Unmet medical needs)の高い疾患領域へフォーカスした事業を展開
ジェネリック事業においては、新薬事業の販路・ブランドを活用した収益拡大と、来るべき価格競争に向けた優位性の獲得
中長期的には、ハイブリッド型ビジネスモデル構築による業界内プレゼンス確立を軸に、成長分野での新規事業展開、海外医薬品事業への進出を推進し、特色ある企業像を確立

期待される相乗効果:

                                                                       
売上拡大:・顧客カバー拡大及び重複顧客深耕
        ・ブランド強化に伴う採用率向上
  
コスト削減:・近接拠点の統廃合
        ・調達/物流機能の連携
        ・間接コストの最適化
        ・製造効率の向上

 

 


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2011年3月10日 (木)

Huntsmanの決算 

Huntsmanの事業は以下の通り。

2010年の決算は実質的には増収増益だが、損益面は一見、非常に分り難い。

まず、2007-2009年には多額の損害賠償損益が含まれている。この結果、税金も大きく変動する。
更に、2010年にはで、転換社債の繰り上げ返済で183百万ドルの損失を計上した。

  2005 2006 2007 2008 2009 2010 増減
Sales 10,677 8,731 9,651 10,215 7,665 9,250 1,585
実質EBITDA 913 1,031 585 749 323 700 377
 
Operating Income 715 737 536 165 13 410 397
金利 -238 -229 9
転換社債の繰り上げ返済 - - - - - -183 -183
損害賠償損益 - - -210 780 835 - -835
税引前損益 569 20 -549
税金 -444 -29 415
Net Income -78 230 -172 609 114 27 -87

損害賠償損益の事情と内訳は以下の通り。

同社は2007年6月に、 Basell Polyolefins による56億ドルでの買収に合意した。

2007/6/27 速報 Basell がHuntsman Chemicalを買収 

ところが、直後に投資会社Apollo Management の100%子会社でBorden Chemical 等が合併して設立されたHexion Specialty Chemicals が総額60億ドルで対抗する買収提案を行い、これに合意した。

HuntsmanBasell2億ドルの損害賠償を行い、このうち1億ドルをHexionが負担した。

2007/7/14 Hexion、Huntsmanを106億ドルで買収

しかし、これはバブル絶頂期の取引で、その後Huntsmanの株価は大幅に下がったため、2008年6月にHexionはこの買収契約が実行不能であると宣言、裁判になったが、最終的に12月に合併を解消した。(損害賠償 765百万ドル)

2008/12/15  Huntsman、Hexionとの合併契約を破棄

実際には、裁判でHexionは敗訴し、このため同社は合併に踏み切ったが、合併資金の融資を約束した銀行がこれを拒否したために、実現が困難になったもので、Huntsmanは銀行を訴え、2009年6月に和解した。(和解金620百万ドル+訴訟費用)

2009/6/24 Huntsman、銀行と和解

損害賠償損益の内訳(百万ドル)

  2007 2008 2009  
Basellへの支払 -200      
同上 Hexion 負担   100    
Hexion等からの損害賠償   765 868 Hexion和解金 1,000
銀行 620(+ 訴訟費用12
Legal fee ほか -10 -85 -33  
合計  -210  780  835  

 


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2011年3月 9日 (水)

2010年 LyondellBasell の決算

LyondellBasellは2010年430日に民事再生法(Chapter 11)から離脱した。

2010/4/27 LyondellBasell、民事再生法から離脱

同社は2月18日に2010年決算を発表した。

大幅な増収増益となっている。

                                 単位:百万ドル
  2007年 2008年 2009年 2010年 前年比
増減
Sales 17,120 50,706 30,828   41,151 10,323
           
Operating Income 934 -5,928 317 2,944 2,627
(ノレン等償却除外)    (535)      
金利 -283 -2,407 -1,777 -1,236 541
その他損益 289 166 145 -134 -279
Reorganization     -2,961 26 2,987
債務免除益       13,617 13,617
資産再評価(Fresh-start       -5,656 -5,656
税引前損益 940 -8,169 -4,276 9,561 13,837
Tax -279 848 1,411 631 -780
純損益 661 -7,321 -2,865 10,182 13,057

特別損益として、債務免除益 13,617百万ドル、Chapter11離脱に伴うFresh-start accountingの適用による資産再評価で5,656百万ドルの損失の差引7,961百万ドルの利益を計上、純損益は10,182百万ドルの巨額の益となった。

2008年の営業損益にはLyondellBerre Refineryの買収に関するノレン等の償却 4,982百万ドルと225百万ドル(合計5,207百万ドル)及びLyondellBasell の在庫の評価減 1,256百万ドルの、特別損失合計 6,463百万ドルを含んでいる。
2008年の金利急増はLyondell買収による借入金増による。

2009年にはChapter11関連の費用やChocolate BayouのオレフィンやBeaumontのエチレングリコール工場の閉鎖費用、退職金、その他をReorganizationとして計上している。

部門別の売上高、営業損益は以下の通り。

売上高
                                   単位:百万ドル
  2007 2008 2009 2010   前年比
増減
Refining & Oxyfuels 478 17,370 12,078   15,069 2,991
Olefins & Polyolefins-Americas 2,823 13,193 8,614 12,589 3,975
Olefins & Polyolefins-others 13,145 13,489 9,401 12,834 3,433
Intermediates & Derivatives 350 6,218 3,778 5,574 1,796
Technology 363 434 543 510 -33
Other -39 2 -3,586 -5,425 -1,839
Total 17,120 50,706 30,828 41,151 10,323

営業損益
                                                       単位:百万ドル
   2007          2008      2009  2010 前年比
増減  
合計 うち
特別費用
除く
特別費用
Refining & Oxyfuels 21   -2,378 -2,965 587 -357   142 499
Olefins & Polyolefins-Americas 61 -1,355 -1,243 -112 169   1,363 1,194
Olefins & Polyolefins-others 934 220 -198 418 -13 526 539
Intermediates & Derivatives -42 -1,915 -2,057 142 250 669 419
Technology 152 202   202 210 108 -102
Other -248 -134   -134 29 -63 -92
Current cost adjustment 56 -568   -568 29 199 170
Total 934 -5,928 -6,463 535 317 2,944 2,627

 

 


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LyondellBasell の事業概況 

LyondellBasellの最近の事業の概況をまとめた。

2007年12月20日に、BasellLyondell Chemical との合併が完了し、LyondellBasell Industries が誕生した。

2007/12/24 LyondellBasell Industries 誕生

同社の体制は以下の通り。

 

1) オレフィン&ポリオレフィン事業

LyondellBasellのポリオレフィン能力は、世界最大である。
また、他のメーカーのほとんどがLyondellBasellの技術をいくつか使用している。

LyondellBasellの能力(2009年末)は以下の通り。

単位:千トン、BTXは百万ガロン
  Americas Others
  JV込み 単独 備考 * JV込み 単独 備考
Ethylene 4,400  4,400   2,900  1,900  
Propylene     2,000 2,000 Houston refinery
refinery-grade含む
2,400 1,200 Berre refineryrefinery-grade含む
Propylene from Flex 500 500 Channelview
ethylene
から変換
     
Butadiene 500 500   249 249  
Benzene   (195)        
Toluene   (40)        
             
PP 2,000 1,400 JV Indelpro 5,800 2,720 うちTerni, Italy 250は閉鎖予定
閉鎖した
Wesseling, Germany110は含まず。.
HDPE 1,500 1,500   1,800 1,080 再建中のMunchsmunster, Germany 320含まず
LDPE 600 600   1,300 790 閉鎖したCarrington, UK185
Fos-sur-Mer, France 110 は含まず
LLDPE 600 600        
PP compounds       1,100 975  
Catalloy resins 272 272   272 272  
PB-1 resins       50 50  
    * 2009停止のChocolate Bayou を除外(Ethylene 500, Propylene 300, Butadien 70

JVの能力

Name Location Lyondell
Basell
出資比率
Other Parties Total Capacity (千トン)
C2 C3 HDPE LDPE PP PP
C'pd
Indelpro Mexico 49% Alfa         600  
Saudi Petrochemical Co. Al-Jubail 25% Tasnee    460     720  
Saudi Ethylene and
Polyethylene Co.
Al-Jubail 25% Tasnee
Sahara Petrochemical
 1,000 280 400 400    
Al-Waha Al-Jubail 21% Sahara Petrochemical

and others
  460      450  
HMC Polymers Thailand 29% PTT         450  
Basell Orlen Polyolefins Poland 50% Orlen     320 110 400  
PolyPacific Australia &
Malaysia
50% Mirlex Pty.           75
SunAllomer Japan 50% Showa Denko
Nippon Oil
        360 50
           
PolyMirae South Korea 42% SunAllomer         700  
合計       1,000  1,200 720 510  3,680 125

2) Intermediates & Derivatives (JV分を100%含む 単位:千トン)

PO & Derivatives PO   2,360 寧波 270含む
PG 545  
Butanediol 180  
PG Ethers 250  
SM SM 2,890 寧波 590含む
EO & Derivatives EO 360  
Mono Etylene Glycol 320  
Acetyls Acetic Acid 540  
VAM 320  
TBA Intermediates Isobutylene 635  
Flavors & Fragrances   25  

3) Refining & Oxyfuels

  barrels/day kt/y
Houston Refinery 268,000   14,500
Berre Refinery, France 105,000 5,100
Oxyfuels
(MTBE&ETBE)
Channelview 46,000 3,200
Fos-Ser-Mer, France 15,000
Boltek, Netherland 14,000

 


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2011年3月 8日 (火)

中国、第11次全人代開幕

3月5日、第11期全国人民代表大会(全人代)第4回会議が開幕、国務院の温家宝総理による政府活動報告の聴取、第12次五カ年計画綱要草案、年度計画報告・予算報告の審査が行われた。

温家宝総理は政府活動報告で以下のように述べた。

1)第11次五カ年計画(2006--2010)期の総括

中国の発展の中でも極めて非凡な5年間であった。
この5年間、中国の社会生産力、総合的国力は大きく向上した。
国際金融危機に効果的に対応し、経済の安定した比較的速い発展を保ち、第11次五カ年計画の主要目標と任務を完成させ、国民経済は新たなステップを踏み出した。

GDPは39兆8千億元に達し、年平均成長率は11.2%に達した。
財政収入は3兆1600億元から8兆3100億元に増加した。
有人宇宙飛行、月探査プロジェクト、スーパーコンピュータなどの最先端技術も重大な飛躍を遂げた。
国防と軍隊の現代化建設も重大な成果をあげた。
都市部の新規就業者数は5771万人、移転した農民労働者は4500万人に達した。
都市住民の一人あたり可処分所得と農村住民の一人あたり純収入は年平均でそれぞれ9.7%、8.9%増加した。
昨年、対外貿易総額は2兆9700億ドルに達し、開放型経済のレベルが急速に高まった。
北京オリンピック、上海万博の開催で成功を収め、中華民族の長年の夢を実現した。

2) 第12次五カ年計画期の主要目標

 ①経済発展

経済発展方式の転換と経済構造の調整を加速させ、中国の特色ある新型工業化の道を堅持し、情報化と工業化の融合を推進し、製造業を改造・高度化し、戦略性 新興産業を育成し、発展させる。
サービス業の発展を加速し、サービス業の増加値が国内総生産(GDP)に占める割合を4ポイント高める。
都市化を積極的かつ穏当に推進し、都市化率を47.5%から51.5%にまで高め、都市化の質と水準を絶えず高める。
現代農業の発展に力を入れ、社会主義新農村建設を加速する。
地域発展の全体戦略と主体機能区戦略をしっかりと実施し、基本的な公共サービスの均等化を少しずつ実現する。
都市・農村間、地域間の良い相互作用を促進し、第1次、第2次、第3次産業の調和の取れた発展を促進する。

 ②生活改善

人々の生活を全面的に改善する。
雇用増加を経済社会発展の優先目標とし、5年間で都市部の新規就業者が4500万人に達することを目指す。
住民所得の増加 と経済発展、労働報酬の増加と労働生産率の向上を同時に推し進め、
住民所得が国民所得配分に占める割合を少しずつ高め、労働報酬が第1次分配に占める割合を高め、合理的な所得分配構造を形成する。
都市住民の一人あたり可処分所得と農村住民の一人あたり純収入の年平均成長率がそれぞれ7%以上に達することを目指す。
貧困扶助の基準を高め、貧困人口を減少させる。
社会保障制度の整備を加速し、保障水準を高め、都市・農村を全面的にカバーする基本年金、基本医療保障制度を実現する。
都市・農村の3つの基本医療保険の加入率を高め、安定させ、政策の範囲内の医療保険金支払水準を70%以上に引き上げ、都市における保障性住宅のカバー率を20%前後に引き上げる。
基本的国策である計画出産を堅持し、平均寿命を1歳引き上げる。

 ③政府自身の改革を強化

政府自身の改革を絶えず強化する。
政府は国民に対して責任を持ち、国民のために利益をはかり、国民による監督を受けなければならない。
国民による国と社会的事務の法に基づく管理、経済と文化事業の法に基づく管理を幅広く動員・組織しなければならない。
法による治国という基本的戦略を堅持し、人々の利益を守る法律整備を強め、法による行政を推進しなければならない。
科学的・民主的な政策決定を行い、政策の決定・執 行・監督が相互に制約し合い、協調し合うメカニズムを打ちたて、
権力の正しい行使を確保しなければならない。
権力が過度に集中し、制約を受けない状況を制 度上から打開し、腐敗の処罰・予防を断固として行わなければならない。
人々の民主的権利と合法的権益を保障し、社会の公平・正義を守らなければならない。

新5カ年計画の概要は以下の通り。(日本経済新聞)

成長率目標 ・7.0%(前回は7.5%)
・2015年のGDPを2010年比で1.4倍に
     
格差是正 ・課税最低限の引き上げ
・住民の純収入の伸び 7%超
・収入が多すぎる業種の賃金規制
     
生活改善 ・都市部の新規就業者数を4500万人増
・今年は低価格住宅1000万戸新築
     
産業構造転換 ・サービス業の比率4ポイント上げ
・戦略的な新興産業育成(下記)
  7分野のGDPに占める割合を現在の約3%から8%に高める。
     
環境対策 ・非化石エネルギー比率を11.4%に引き上げ
・エネルギー消費量、単位GDP比16%削減
  (前5カ年計画では20%削減)
     
政治改革 ・権力の過度な集中をチェックできるよう是正
・ネット管理強化
     
国力増強 ・研究開発費、GDP比2.2%に
・教育水準引き上げ
    ・海洋戦略を策定 「海洋権益を守る」

  *「戦略的新興産業」の指定     

①省エネ・環境保護 先進的な環境保護、資源リサイクルの産業化
     
②次世代情報技術 次世代携帯電話網・インターネット網の構築
液晶パネルなどの産業基地の建設
     
③バイオテクノロジー 遺伝子データベースの構築
     
④先端レベルの設備製造 新型国産航空機、ヘリコプターなどの産業化推進
高速鉄道などの発展促進
     
⑤新エネルギー 次世代原子力発電設備、大型風力発電機、
高効率の太陽光・太陽熱発電などの産業基地の建設
     
⑥新素材 炭素繊維、超電導材料、高性能レアアース材料、
ナノテク材料などの研究開発・産業化
     
⑦新エネルギー車 ハイブリッド車、電気自動車の研究開発、大規模な商業化
     

          2010/6/10 中国が「戦略的新興産業計画」をとりまとめ

本年度予算のポイントは以下の通り。

財政支出 10兆元(前年比11.9%増)
歳入    8兆9700億元(8%増)
財政赤字 GDPの2%(2010年は2.8%)

積極的財政政策を維持
  都市部と農村の所得改善、消費者需要の拡大、低所得層向け住宅事業や
  省エネ、環境保護関連のインフラ支出に重点
  (住宅関連支出は9.6%増の2580億元)

    今年は8%の経済成長を目指し、物価の上昇を「断固として」抑制
      物価上昇が低所得者層の人々の普通の生活に影響を与えることを容認できない
      今年通年のインフレ率を4%に抑える目標

 


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公取委、企業結合規制の見直し案に対する意見募集

公取委は3月4日、以下についての意見募集を発表した。

① 認可の申請、報告及び届出等に関する規則の一部改正
② 「企業結合計画に関する事前相談に対する対応方針」の廃止及び
  「企業結合審査の手続に関する対応方針」の策定
③ 「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」の一部改正

    http://www.jftc.go.jp/info/p-comment110304.html

公取委は、合併審査の事前相談制度について定めた現行の指針を廃止し、新制度を盛り込んだ指針をあらたに定める。

2011/2/26 公取委、合併の事前審査を廃止 

同時に、審査の目安となるシェアについて、国内だけでなく世界的な競争状況を考慮することを改めて明確化する。

これについての主なポイントは以下の通り。

ある商品について、内外の需要者が内外の供給者を差別することなく取引しているような場合には、日本において価格が引き上げられたとしても、日本の需要者が、海外の供給者にも当該商品の購入を代替し得るために、日本における価格引上げが妨げられることがあり得るので、このような場合には、国境を越えて地理的範囲が画定されることとなる。

例えば、内外の主要な供給者が世界中の販売地域において実質的に同等の価格で販売しており、需要者が世界各地の供給者から主要な調達先を選定しているような場合は、世界市場が画定され得る。

輸入圧力が十分働いているか否かについては、現在輸入が行われているかどうかにかかわらず、輸入に係る状況をすべて検討の上、商品の価格が引き上げられた場合に、輸入の増加が一定の期間に生じ、当事会社グループがある程度自由に価格等を左右することを妨げる要因となり得るか否かについて考慮する。

隣接市場において十分に活発な競争が行われている場合や、近い将来において競合品が当該商品に対する需要を代替する蓋然性が高い場合には、当該一定の取引分野における競争を促進する要素として評価し得る場合がある。


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2011年3月 7日 (月)

サムスン・グループ、バイオ医薬品事業に進出

韓国最大の企業グループ、Samsung Groupは225日、遺伝子組み換え技術などを使うバイオ医薬品事業に新規参入すると発表した。

第1弾として受託生産事業に乗り出すため、米Quintiles Transnational Corp. と合弁会社を設立する。

資本金は約3000億ウォン(266百万ドル)で、サムスン電子とグループの持株会社サムスン・エバーランドが40%ずつ出資し、サムスンC&TとQuintilesが各10%出資する。

ソウル近郊の仁川(インチョン)で本年上期に工場建設を開始、2013年上半期から生産開始する。
同日、仁川経済自由区域庁との間で、仁川・松島の経済自由区域27万平方メートルにプラント建設する趣旨のMOUを締結した。

当初の生産品目はがんや関節炎などを治療するバイオ医薬品。年間で約600キログラムを生産して大部分を海外に輸出する。

ーーー

三星グループは2010年5月11日に新事業戦略を発表した。

2010年3月に経営の第一線に復帰した李健煕会長主宰で新事業関連社長会議を開き、確定したもので、未来の新事業は、太陽電池、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器の5つ、2020年まで23兆3000億ウォン(約1兆9000億円)を投資するというもの。(うち、バイオ医薬には2兆1000億ウォン)

  2010/5/12 三星グループの新事業戦略

サムスンは医療関連事業の融合・複合化を推進する方針。

サムスン総合技術院(Samsung Advanced Institute of Technology)は米国のバイオベンチャーのMacrogenと共同で、政府の国策事業となっているゲノムプロジェクト「第3世代DNAシークエンス装備開発」の事業者に名乗りを挙げる。
第3世代が成功すれば、
DNAの複製が不要になり、一人当たり約1,000米ドルで分析が可能になるという。

Samsung Medical Center2006年にMacrogenとの間で、clinical medicinediagnostic chips の開発の協力契約を締結している。

Samsung Medical Centerはまた、20103月に、Samsung SDSInformation Communication Technology担当)とともに、米のバイオテクノロジー企業 Life Technologies との間で、「全遺伝情報シーク エンスおよび遺伝子基盤の診断・治療グローバルサービス事業」に関するMOUを締結している。

Samsung Medical Center1994年に、「最善の診療、先端医学研究、優秀な医療人材の養成により、国民の健康向上に寄与」することを設立理念として設立された。

サムスン電子は2009年7月、バイオシミラー事業への参入を宣言した。
バイオ企業の梨樹アブシス、ジェネクシン、プロセル製薬と共同
で行うバイオシミラー製品開発が政府の「新成長動力スマートプロジェクト」の26課題のひとつに選定された。

サムスン電子は、2009年2月にSKテレコム、サムスン生命保険、インソン情報、インフォピアなどとヘルスケアの企業連合を結成、3年間で計354億ウォンを投じ、約8,000人の慢性疾患患者に試験的に遠隔診療サービスを行っていく。

サムスン電子はまた、2010年に韓国中外製薬と提携してサムスン電子総合技術院が開発した「血液検査装置」の市販を開始している。

ーーー

Quintiles は統合バイオ・医薬サービス会社で、Clinical(臨床試験など)、Commercial(医薬品の営業・マーケティングに関連したサービス)、ConsultingCapital solutionsなどを行っている。60か国に23千人以上を抱える。

日本ではクインタイルズ・ジャパンが以下のサービスを行っている。

  • 国内における医薬品開発
  • 海外の臨床試験を通し日本の承認許可を加速
  • 欧米はじめ世界中の国々における営業活動の支援サービス
  • 柔軟性があり、高品質でコスト効果の高い能力を提供
  • 効果的な医薬品営業・マーケティング計画の企画・立案

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2011年3月 5日 (土)

ポリプロカルテル問題の終結

見落としていたが、ポリプロカルテルで最後まで残っていた案件が最高裁で決着していた。

  内容 決定
出光興産 課徴金取り消し 2010年11月26日 東京高裁 請求棄却
トクヤマ 審判取り消し 2010年12月2日  最高裁  上告不受理
課徴金取り消し 2010年12月15日 上記を受け、控訴取り下げ

この事件は、2000年にポリプロメーカーが売価の引き上げで合意、値上げを実施したとして、2000年5月30日に公取委が立入検査を行い、2001年5月30日に勧告を行ったもの。 

本件の経緯は下記の通りで、公取委の立ち入り調査から10年以上かかった。

  公取委、高裁、最高裁 住友化学 サンアロマー トクヤマ 出光興産 日本ポリケム グランドポリマー チッソ
2000/5/30 立ち入り検査              
2001/5/30 勧告 拒否→審判請求 応諾
2007/8/8 勧告拒否4社に審決 東京高裁に控訴      
2009/9/25 東京高裁 請求棄却  確定  確定  上告  確定      
2010/12/2 最高裁 上告不受理      確定        
 
(課徴金  単位:千円
2003/3/31 応諾3社に
課徴金納付命令
        845,170
審判請求
760,080
 →応諾
435,130
審判請求
2007/6/19 日本ポリプロ、チッソ審決         220,870   116,620
2008/6/20 課徴金納付命令 117,160
→審判請求
50,970
→審判請求
47,810
→審判請求
142,150
→審判請求
     
2009/5/19 課徴金納付を命ずる審決 117,160   47,790
 →控訴
       
2009/10/30 審決   50,970          
2010/2/24 審決       142,150
 →控訴
     
2010/11/26 東京高裁 請求棄却       (確定)   142,150      
2010/12/15 請求取り下げ     47,790        

課徴金の計算は、当初、2000年4月の値上げ実施予定日を計算の始期とし、9月に他の各社にカルテル離脱を通知した日を終期とするものであった。

日本ポリプロ、チッソは審判請求を行い、2007年6月に審決があったが、公取委の立入検査で値上げはなくなったとし、その前日を終期としたため、課徴金は大幅に引き下げられた。

この結果、当初の課徴金を応諾したグランドポリマー(三井化学)を除き、他社の課徴金は低いレベルとなっている。

 


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2011年3月 4日 (金)

イランで新らしい石化プラントが続々完成 

イランでは2月17日にBandar Imam Pars の石化コンビナートで、Ahmadinejad大統領が出席し、以下の石化プラントの開所式が行われた。

Bandar Imam のPetrochemical Economic Zone
  Amir Kabir Petrochemical(通称Olefin 6)の
LDPE 30万トン(310百万ドル)
  Fajr Centralized Utility Plant の第二期(電力
640MW、蒸気750t/hほか、280百万ドル)
  リン酸 
25万トン、

Pars Economic Zone
  Mobin Centralized Utilityの第二期
  
Methanol-to-propylene pilot plant
  Vinyl Acetate Monomer pilot unit

イランでは、米国やEUがイランに課した制裁により、Siemensなどの外国企業が協力を止め、撤退する中で、完成させたとして誇っている。

現在、多くのプラントを建設中(後記)で、順次完成の予定。

ーーー

イランの最初の石化プラントは現在のBandar Imam イラン・ジャパン石油化学である。

2006/3/27 イラン・ジャパン石油化学(IJPC)の歴史

日本の撤退後、1990年に入り、イラン側は社名をBandar Imam Petrochemical Company に変更、韓国企業を使って設備の再建を行った。

その後、これに隣接してPetrochemical Economic Zone をつくり、順次プラントを建設した。

これとは別に、Pars地区にもPars Economic Zoneをつくり、多くのプラントを建設した。

2004年にはNPC西部地方の経済発展を図るという政府の方針の下で、両Special Economic Zone から総延長2,285kmのエチレンパイプラインを西部国境沿いに建設した。年間280万トンのエチレンを北部に輸送、沿線に石化プラントを建設している。

NPCは更に、South Parsのガス田から北東部のKhorazan州に500kmNorth Pipelineを建設した。
201011月に天然ガスの輸送が開始された。

今後、沿線にGas-to-Liquid や化学肥料などの石油化学工場が建設される。

NPCはまた、Assaluyeh から南部のChabaharまでのPipelineの建設も計画している。

 

イランの既存の石化計画と現在建設中の石化計画の概要は別紙のとおり。(右側が現在建設中のもの)

http://kaznak.web.infoseek.co.jp/ichiran/iran/contents.html

 


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2011年3月 3日 (木)

サウジに初のポリシリコン製造工場 

サウジのPolysilicon Technology Company(PTC)は2月28日、ポリシリコン計画第一期の工場建設について、韓国の現代エンジニアリング及びKCC建設との間で、380百万ドルのLump Sum Turn Keyベースの設計・購買・建設契約を締結したと発表した。

PTCはサウジのSwicorp Joussour Company (SJC) Chemical Development Company (CDC)が出資するMutajadedah Energy Company (MEC)が50%、韓国のKCC(旧称金剛高麗化学が50%出資するJVで、Al Jubail Industrial City 2 に第一期として年産 3,350トンの太陽電池グレードのポリシリコンを建設する。

最終的には、年産能力を12,000トンに増やすとともに、インゴットやウェハーなど川下にも進出することを計画している。

ーーー

SJC CDC20081月にポリシリコン工場建設のJV設立契約をノルウェーの太陽電池用シリコンウェーハのメーカーNorSun ASと締結した。

当初、NorSun50%、SJC CDCが25%ずつ出資するが、NorSun事後にStanford University Dr. Richard Swanson が設立したSunPower Corporation JV持株の半分を譲渡する契約を結んだ。

ポリシリコンの当初の能力は年500MW相当で、2010年に商業生産開始、将来的には2000MWまで拡張する計画で、NorSun は当初の生産量の50%を10年間引き取る契約を締結した。

NorSun AS は2008年3月に、シンガポールJurong島に、太陽電池用の単結晶型シリコンウェハー工場を建設することを決めたと発表した。
既存のフィンランドの
Vantaa 工場、ノルウェーのÅrdal に次ぐ第3工場で、原料シリコンはサウジのJVから供給するとしていた。

NorSun にはノルスクヒドロが17.7%、伊藤忠商事が3.3% 出資している。
(再生可能エネルギーに投資する
Good Energies21.9%、Scatec AS 19.2%)

2008/4/11  ノルウェーのNorSun、サウジでシリコン、シンガポールでシリコンウェハーを製造

事情は明らかでないが、2010年12月にKCCがNorSun からJVの持分を買収し、50%株主となった。

ーーー

KCCは1958年に金剛スレート工業として設立された。
1974年に高麗化学を設立、1989年に建設部門を分離、その後金剛化学と改称し、2000年に高麗化学と合併し、金剛高麗化学となった。
2005年にKCCと改称した。

主な事業は、建築資材、板ガラス、自動車用安全ガラス及び塗料で、2000年9月に金剛高麗化学60%、旭硝子40%出資で、自動車ガラスのJVの韓国自動車硝子を設立している。

KCCは2004年に韓国で初めて有機シリコンモノマーの量産に成功、2008年にポリシリコン事業への進出を宣言し、2010年2月、瑞山市の大竹産業団地で独自技術で年産6,000トンの超高純度のポリシリコンの生産を開始した。

同社はポリシリコン事業を次世代主力産業として位置づけ、2012年に年産18,000トン以上に生産規模を拡大することを計画している。

韓国ではKCCのほか、OCI(旧東洋製鉄化学)が16,500トン、Woongjin5,000トンのポリシリコン工場を持っており、サムスンとLGが進出を計画している。

韓国の状況については http://www.nri.co.jp/opinion/k_insight/2010/pdf/ki20100813.pdf

 


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2011年3月 2日 (水)

韓国ロッテ、インドネシアの石油化学に進出

韓国ロッテグループの重光昭夫(辛東彬)会長は2月22日、30~50億ドルを投じ、インドネシアに石油化学工場を建設すると表明した。

同氏はジャカルタでユドヨノ大統領と会見した後、「本年に Merakでの石油化学計画のFSを開始する。投資額は30~50億ドルと予想している」と述べた。来年にも建設を開始し、4~5年で完成させたいとしている。

インドネシア投資調整委員会の委員長は、これを歓迎し、ロッテは既に総合スーパー「ロッテマート」事業を行っているが、ファーストフードチェインのロッテリアでも進出すると述べた。

ロッテはさきに、インドネシアの大手小売りチェーンの Matahari Putra Primaの株式買収に関心があることを表明したが、Matahari はオファー価格が安すぎるとして拒否している。

ーーー

韓国ロッテは2月10日に、グループ政策本部長の重光昭夫副会長(次男)が会長に昇格し、1967年の創業以来、約40年目で「2代目経営体制」に切り替わった。

創業者の重光武雄(辛格浩)会長は総括会長となり、今後も経営懸案に直接介入するのは変わらない。

重光武雄氏は1942年に日本に渡り、早稲田大学を卒業後、石鹸やクリーム、ガムを作って販売した。
1948年に「ロッテ」を設立、1967年に韓国にロッテ製菓を設立した。

これまで、偶数月は日本、奇数月は韓国に滞在し、「シャトル経営」を行ってきた。

日本のロッテは長男の重光宏之氏が副会長となっている。

韓国ロッテは傘下にロッテ百貨店、ロッテホテル、ロッテ製菓、ロッテ電子、ロッテリア、等々の企業を持っている。

石化では湖南石油化学を持っている。

湖南石油化学は当初、韓国政府と三井グループのJVとして設立された。

その後、ロッテが韓国政府の持ち株を取得、日本側も撤退した。

2003年1月に現代石油化学をLGと共同で買収、2004年11月に湖南石化が第2系列を引き継いだ。
当初はロッテ大山石油化学としたが、2009年1月に湖南石化に吸収した。

2006/4/11 韓国の石油化学-2

ーーー

韓国ロッテの重光昭夫新会長は、2010年に11%だった海外売上高比率が「2018年に30~40%になる」とし、小売りや石油化学で中国や東南アジアなど新興国への進出を加速すると述べている。

これまで、韓国内の事業を中心に成長してきたが、2010年は買収資金として過去最高の3兆6600億ウォンを投入、11件の買収のうち5件が海外だった。
百貨店事業では海外3店舗目として2011年4月、天津店を開店し、2018年までに中国で計20店舗を出す。
大型スーパー「ロッテマート」は2011年に中国、ベトナムなど海外で約30店を開店する。

新会長は、将来は中国で日本、韓国に次ぐ第3のロッテグループを立ち上げ、4番目はインドネシアかベトナムにしたいとしている。

 


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2011年3月 1日 (火)

三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合のためのLLP設立

三菱化学と旭化成は2月23日、水島地区の両社エチレンセンターの統合・一体運営のため、両社共同出資による有限責任事業組合(LLP)を設立すると発表した。

両社折半出資で西日本エチレン有限責任事業組合を設立し、水島地区の両社のエチレンセンター事業(原料ナフサ等の調達、エチレン等基礎石化原料の製造、基礎石化原料・用役等の両社への販売、合理化計画立案遂行等)の一体運営を行う。

4月1日からエチレンセンターの一体運営を開始する。

両社は2009年6月に水島コンビナートでエチレン事業を統合することを検討していることを発表した。

2009/5/19  三菱化学と旭化成、水島でエチレン統合

その後、中国需要の急回復で統合を急ぐ必要性が薄れたこと、3年後をメドに2基のうち1基を停止・廃棄する考えだったが、どちらの設備を止めるかで交渉が難航したことで、一時は破談の危機を迎えたとされる。

設備能力削減については将来の需要をみて統合会社で柔軟に判断するとの方針に転換し、1年遅れで合意にこぎ着け、2010年5月に水島地区エチレンセンターの統合について発表した。

2010/6/2  三菱化学と旭化成、水島地区エチレンセンター統合の共同出資会社の設立

水島地区のエチレン能力は、旭化成、三菱化学ともに50万トン/年(非定期修理年)となっている。

最適化計画は以下の通りで、エチレン需要3割減を前提とした減産体制を取り、更にエチレン需要が縮小すれば、その時点でエチレンを1基に集約する。

 (1) 両社ともエチレンセンター生産設備のダウンサイジング
     エチレン需要3割減を前提とした設備対応(2012年までに実施)
      * 三菱化学はVCM停止で、2011/5定修時にエチレン 50万トン→38万トン
 (2) さらなるエチレン需要の縮小時にはエチレンセンターを1基に集約(需要動向にあわせて実施)
 (3) 設備のインテグレーションまで含めた留分バランスの最適化
 (4) 原料ナフサの調達、C3等不足留分の共同調達によるコストダウン
 (5) 用役、エネルギー関連のバランス最適化
 (6) インフラの相互活用による効率化

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旭化成は同日、100%子会社で、水島地区のエチレンセンターの運営を行っている山陽石油化学を4月1日に吸収合併すると発表した。
三菱化学との水島地区エチレンセンター統合・一体運営への移行を契機に、エチレンセンター運営を効率的に実施するとともに、業務効率化を図るため、行う。

山陽石油化学は1968年7月に水島でエチレン(30万トン)建設のため、旭化成 60%、日本鉱業(その後、ジャパンエナジーとなり、現在はJX日鉱日石エネルギー) 40%で設立された。(山陽石化は2001年4月に旭化成の100%子会社となった。)

当時、三菱化成は水島地区で100%子会社の化成水島が16万トンのエチレンを持っていたが、30万トンエチレンの新設を計画した。

山陽石化と三菱化成は輪番投資を行うこととし、両社の50/50出資のJV、「水島エチレン」「山陽エチレン」を設立、
第一期として1970年に水島エチレン(三菱化成内)が、1972年に山陽エチレン(山陽石化内)が稼動した。

その後、三菱化成と三菱油化の合併による三菱化学誕生にあたり、公取委の意向を受け、株式交換を行い、合弁を解消した。

  「水島エチレン」→三菱化学 100%子会社
           1994/10 三菱化学誕生、水島エチレンを吸収合併

  「山陽エチレン」→山陽石化 100%子会社
           1995/4  山陽石化が山陽エチレンを吸収合併

今回、両エチレンプラントは再度、両社の共同運営となる。

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出光興産と三井化学は2010年4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立し、2010年10月1日に両社がエチレン装置(出光 37万トン、三井 55万トン)を譲渡し、LLPの運営を開始した。

このケースもエチレン設備の能力削減は行っていない。

2010/4/3  出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合 

 


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