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2011年2月18日 (金)

産総研、単層カーボンナノチューブの大量生産技術を確立

産業技術総合研究所(産総研)は日本ゼオンの協力を得て、高純度単層カーボンナノチューブ(CNT)の大量生産設備の開発を進めていたが、2月14日、1日あたり600gの生産能力を実現したと発表した。

単層CNTは電気を流す性質や強度、熱伝導性などが優れるが、従来の実験室レベルでの合成装置はバッチ式で、生産量は日産1グラム程度にとどまっていた。

産総研は今後、単層CNTの基盤研究を加速し、大量試料を必要とする用途研究開発を推進する。

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産総研は2004年に単層CNT生産技術のスーパーグロース法を開発した。

単層CNTの合成手法の一種の化学気相成長法では、触媒下でメタンやアセチレンなどのガスを500~1200℃の比較的低温で反応させて、CNTを得る。

スーパーグロース法は、水分を極微量添加することにより、通常は数秒の触媒寿命が数十分にもなり、極微量の触媒から、大量の単層CNTを合成することができる。

この方法で合成される単層CNTは、触媒粒子を含まず、不純物が従来の1/2000の高純度(炭素純度99.9%以上)である。
また、成長基板上の触媒パターンを制御することで、容易にマクロ構造体を作成できる上、合成後、容易に基板と単層カーボンナノチューブを分離することができる。

CNTの量産は、気相流動、もしくは担持触媒を用いたロータリーキルンなどで行うというのが業界の常識であったが、量産を行うため、基板の上で大量に単層CNTを成長させるという方法を考案した。

http://www.nanocarbon.jp/lab/image/071129_002.pdf

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産総研は2007年2月、日本ゼオンと共同で、スーパーグロース法を用いて、初めて大面積金属板上に直接大量の単層CNTを合成する技術を開発したと発表した。

当初、量産のパートナー企業探しに苦労した。
何社にも話を持ちかけたが、反応は良くなかった。

特に従来からCNTに取り組んでいた会社は、これまでの製造法を捨ててスーパーグロース法に鞍替えすることに躊躇した。

その中でまったくCNTの経験がないものの、情熱と事業化への真剣さが感じられた日本ゼオンを最終的に選定した。

これまでは高価なシリコン基板を用いて単層CNTを合成していたが、今回、安価なニッケル合金基板上での合成に成功した。

さらに、日本ゼオンと共同で、今回開発した技術を適用できる合成炉を設計・試作し、A4サイズの金属板の全面に均一な単層CNT構造体を合成することに成功した。これは成長面積として従来の100倍のスケールアップであり、生産量はグラム単位である。

合成された単層CNTは、金属板フォイル上で、垂直に起立した形で成長し、高さ1ミリメートルの構造体をわずか10分で形成する。
基板コストを従来の100分の1に抑えることができるもので、CNTの大面積・連続生産技術を開発する上でのキー技術であり、単層CNTの工業的量産への大きな礎となる。

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今回の大量生産装置では金属シート上に触媒層をコーティングしており、これを化学気相成長炉に送り込むことで基板上に単層CNTを連続的に成長させることができる。
種々の合成条件を最適化することで、幅50cmの金属シートの全面に単層CNTが均一かつ緻密に成長する。
成長した単層CNTは、剥離装置により自動で根元から切断することで基板から分離・回収する。

スーパーグロース法で合成される単層CNTは他の方法によるサンプルと比べはるかに高純度であるため、特に精製することなく多くのアプリケーションに供することができる。

生産能力は一日あたり600g以上であり、本格的な工業規模での生産に道を拓くことができた。

一般にCVD法で作製される材料の形状は、製造装置の規模や形状に依存するため、小規模の実験用設備と大規模な生産用設備で製造した試料の特性が必ずしも一致しない。
本装置により、製造した単層CNTの形状は、これまで研究開発設備で製造した試料とほぼ同等であり、単層 CNTの持つ優れた機能を発揮することが期待される。

数年後に年間10トンの商業生産を目指している。


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  http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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