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2011年1月27日 (木)

田辺三菱製薬、品質試験不実施で製品自主回収

田辺三菱製薬は1月26日、同社が製造販売する下記の3製品6品目の一部ロットを自主回収すると発表した。

 プロスタグランジンE1 製剤 リプル注   5μg、10μg
 合成副腎皮質ホルモン剤 リメタゾン静注   2.5mg
 注射用ニューキノロン系抗菌製剤 パズクロス注   300、500、パズクロス皮内反応用セット

対象製品は、同社の100%子会社の田辺三菱製薬工場の足利工場で製造されたもの。

「医薬品の品質管理に関する省令」で、国の承認を受けた医薬品について出荷前に安全性の最終確認をするための品質試験を義務づけている。
しかし、同工場の品質管理部で4製品の試験の大半を1人で担当していた社員は2007~10年の約3年間、必要な試験十数項目のうち4項目について実施しなかった疑いがある。試験は、製品の不純物が基準値以下かなどを調べるもの。

昨秋、この社員が試験を実施していないとの疑惑が社内で浮上し、昨年末から田辺側が依頼した外部の弁護士チームが調査を実施。調査結果を、田辺側が1月24日に厚生労働省に報告した。

報道によると、子会社従業員の内部通報などで調査をしたが、同社では一旦、「事実なし」と認定した。
子会社従業員が報道機関に内部告発、報道機関の問い合わせを受け、社外調査委員会が事実を認定した。

一つの試験項目は、使うべき備品の数に比べ購入量が少なかったことなどから、「全体の77%は実施していない」と判断。記録では必要な試験は行われたことになっているため、虚偽の試験結果が記入されたとみている。
もう一つの項目では、機器の使用記録が3年間で1回しかなかったことなどから「試験を実施したとは思えない」とした。
その他の2項目についても、試験をしたとする社員の説明が「不合理で不自然」などとして、「実施しているとは思えない」との見解を示した。

田辺三菱は「問題なしとした社内調査は、調査のノウハウなどが不十分だった。隠蔽する趣旨はなかった。今後は原因究明などの調査を続ける」としている。

厚生労働省は1月26日、足利工場について、薬事法に基づき栃木県薬務課と合同で立ち入り調査を実施した。同省は薬事法違反の可能性もあるとみて調査を始めた。

同社では参考保存品を用いて品質試験を行うなどし、製品品質に問題がないことを確認しており、これまでに本件に起因する健康被害の報告はないとしている。

大正製薬は、注射薬の末梢循環改善剤「パルクス注」の一部ロットを自主回収する方針を固めた。
これは田辺三菱製薬の「リプル注」と同じもので、大正製薬と旧ミドリ十字(現・田辺三菱)が共同開発し、田辺三菱製薬工場で製造している。大正製薬の医療用医薬品事業では抗生物質「クラリス」に次ぐ主力薬。

田辺三菱製薬の土屋社長は26日、東京都内で記者会見し、謝罪した。原因究明と再発防止策検討のため、有識者による「危機管理委員会」を設置したと明らかにした。

田辺三菱製薬は2007年に田辺製薬と三菱ウェルファーマの合併により設立された。

三菱ウェルファーマは、1998年4月に吉富製薬がミドリ十字と合併し、2001年10月に更に三菱東京製薬と合併してできた会社である。(薬害エイズ訴訟薬害肝炎訴訟はミドリ十字から引き継いだものである。)

田辺三菱製薬工場は、2008年に田辺の子会社の山口田辺製薬(小野田工場)と三菱の子会社MPテクノファーマ(足利工場、福岡県吉富工場)が合併して設立された。
その後、2009年に鹿島工場と大阪工場が三菱田辺製薬から分社化して統合され、現在は5工場体制となっている。

 

ーーー

田辺三菱製薬は、子会社が血液製剤の試験データを改ざんしたとして、2010年4月に厚生労働省から25日間の一部業務停止と業務改善を命じられている。

データが改ざんされていたのは連結子会社のバイファ(北海道千歳市)と共同開発し、バイファが製造、田辺三菱製薬が販売している遺伝子組換え人血清アルブミン製剤「メドウェイ注5%」で、同社は2009年3月にデータ改ざんを公表して5%製剤の承認を返上するとともに、同25%製剤を含めて自主回収している。

 2010/4/13 厚労省、子会社のデータ改ざんで田辺三菱製薬に業務停止命令

これを受け、同社の土屋社長は、CSRレポート2010 巻頭鼎談「社会からの信頼回復に向けて」で、以下の通り述べている。

本件は、単に田辺三菱製薬とバイファの問題ではなく、田辺三菱製薬グループ全体の信頼を揺るがす重大な事態であります。グループの社員一人ひとりが自分自身の問題として考えるべきであるという共通認識のもと、再発防止に向けてグループ全体で真摯に取り組み、社会からの信頼回復に努めております。

医薬品の創製や提供を通じて社会に貢献することを再認識できるよう、社員のコンプライアンス意識をさらに高めていきたい。さらには、研究や開発、営業をはじめ、社内のあらゆる部門で、今までやってきた業務を見直し、全社的なチェック体制を整えることが必要ではないかと思います。

 


  目次、項目別目次

    http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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