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2010年12月27日 (月)

溶液重合法SBRの増設相次ぐ

溶液重合法スチレンブタジエンゴム(S-SBR)の増設が相次いでいる。

本年夏以降、日本の4社が相次いで増設を発表した。うち、3社はシンガポール立地である。
12月20日はダウから分離した
StyronがドイツSchkopauでの増設を発表した。

  JSR 旭化成 住友化学 日本ゼオン Styron
Dowから分離)
発表 2010/7/30 2010/10/18 2010/11/25 2010/12/22 2010/12/20
製品 S-SBR
ダイナロン(水添ポリマー)
S-SBR SSBR S-SBR
S-BR 併産)
S-SBR
立地 四日市 シンガポール
ジュロン島
テンブス地区
シンガポール
ジュロン島
メルバウ地区
シンガポール
ジュロン島
Schkopau, Germany
能力 25千トン 50千トン
(第
2期として50千トン)
40千トン 1期 3040千トン
(第
2期 3040千トン)
50千トン
稼動予定 2011/11 2013/6
(第2期は2015年前半)
2013/4Q 12013/7 2012/4Q
S-SBR
既存能力
四日市 35千トン

Schkopau, Germany
引取権 30千トン
(以前は生産委託)

BRと併産)
川崎工場
105千トン
大分工場(
*35千トン
合計
140千トン    
*)日本エラストマー
(旭化成
75%、昭電25%
千葉 8千トン 徳山 55千トン 既存能力 不明

2009/3 60千トン
JSR30千トンの引取権)

SBRは、ブタジエンとスチレンを主原料とする合成ゴムで、製造法により乳化重合法によるE-SBRと、溶液重合法によるS-SBR2タイプがある。E-SBRは汎用タイヤ向けが主体。

S-SBRの主な用途は自動車のタイヤトレッドで、タイヤの安全性能(グリップ力)を確保しつつ省燃費性能(転がり抵抗)を同時に向上させるというニ律背反の関係を解決する材料として、省燃費型高性能タイヤ用の需要が急速に拡大している。

Styron2009年に60千トンの増設を行ったばかりだが、更に50千トンの増設を発表した。
同社では省エネタイヤ用の
S-SBRの需要が増えているが、今後、欧州の環境規制強化により更に増加すると見ている。

EU2012年にタイヤの「ラベリング(表示)制度」を導入する。
タイヤの転がり抵抗(燃費)、ウエットグリップ(雨天時のスリップ防止)、騒音量の
3つの性能をラベルで表示する。
消費者はラベルを確認し、環境性能に優れたタイヤを容易に選べるようになる。

また、燃費規制でCO2排出量120g/kmが導入される。(2004 年実績比で約26%の減少)
(車両・エンジンの技術改良により
130g/km以下にし、タイヤの性能などの技術改良やバイオ燃料の利用促進などで、10g/km削減し、120g/kmとする。)
但し、
2012年には新車販売台数の65%、13年には同75%、1480%とし、15年にすべての新車に対して適用する。

日本の各社も、環境規制の強化や環境意識の高まりを背景に世界的に省燃費型高性能タイヤの需要が拡大しており、特にアジアではモータリゼーションの急速な進展とタイヤ生産のアジアへのシフトにより、タイヤ用ゴム市場の成長が続いていることから、増強を行う。

なお、3社がシンガポール立地を決めたが、日本ゼオンは理由として、1)生産環境の安定、安全性、2)主原料であるブタジエン調達、3)市場へのアクセスから選択したとしている。
住友化学も、当初は千葉での増設を計画したが、
1) 成長するアジア市場への供給上の地理的優位性、2) 今後ひっ迫が懸念される原料ブタジエンの安定的な確保、3) 同社グループの既存事業との連携といった観点から、シンガポールでの建設を決定した。

今後、日本でエチレンの減産が予想され、原料ブタジエンが不足するのを懸念したのが大きな理由。

ーーー

Dowの合成ゴム事業は、旧東ドイツの合成ゴムメーカーの統合でできたBuna Sow Leuna Olefinverbund (BSL) の事業で、Dow19979月にBSL80%を買収、20006月に残り20%をドイツ政府から買収した。

Dow20095月に合成ゴム事業の売却を検討していることを発表した。
最終的に、スチレン系事業に含め、
Bain Capital Partners売却、Styronとして独立した。

2009/5/21 ダウ、合成ゴム事業の売却を検討

なお、JSR200311日付でDowとの間でS-SBRの生産委託契約を締結、DowSchkopau工場で製造したS-SBRを引取り、欧州で販売した。

その後、JSR2007年に、Dowから建設中の60千トンのS-SBRプラントの能力の50%、年30千トンの引取権を取得した。
20093月の稼働に伴い、製品の引取を開始した。

JSREU2012年の二酸化炭素排出規制強化で省燃費タイヤ用途でS-SBRへのニーズが一層高まると見込み、供給の安定化を図ったもの。

ーーー

なお、他の合成ゴムでも増設がある。

宇部興産は7月、アジア地区でのポリブタジエンゴム(BR)の需要拡大に対応するため、千葉のBR製造設備を15千トン増強することを決定した。
同社の能力は以下の通り。
   千葉  95千トン→110千トン
(2012/8)
   タイ   72千トン
   中国  50千トン→72千トン(2011/末)→87千トン(2013/8 検討)

エクソンモービルは10月、同社とJSR50/50出資の日本ブチル川崎工場のブチルゴム(IIR)の増強が完了したと発表。
   能力 80千トン→98千トン

インドのReliance Industries とロシアのSIBUR1221日、ブチルゴム(IIR)のJV設立を発表した。
   JV :Relianceがマジョリティ
   立地:RelianceのインドJamnagar
Integrated refining-cum-petrochemical site
   能力:100千トン
   技術:SIBUR

丸紅は4月に、インドでIndian Oil Corporation(IOCL)と、台湾TSRC と共同で、SBRの製造販売を行う合弁会社を設立することで合意した。
   会社名  :Indian Synthetic Rubber Limited
(予定)
   所在地  :インド ハリヤナ州パニパット
   株主構成 :IOCL 50%TSRC 30%、丸紅
20%
   能力   :120千トン
   稼働予定 :2012
     

-------2010/4/12 丸紅、インドでSBR生産

 


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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