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2010年12月14日 (火)

豊田通商、インドでレアアース製造工場建設、住商は米マウンテン・パス鉱山に出資

豊田通商は12月8日、インド子会社のToyotsu Rare Earths Orissa (TREO)が、インド国営のIndian Rare Earths(IRE) と信越化学の協力のもとに、インド・オリッサ州でレアアース酸化物の製造工場を建設する計画を推進していることを明らかにした。

豊田通商は数年前より、産業技術総合研究所や石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と幅広く連携し、世界中のレアアース資源ポテンシャルについて調査を実施してきたが、そうした過程の中で、インド・オリッサ州に着目し、関係者各位と協議を進めてきた。

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IREは、インド原子力庁傘下企業で、原子力発電推進のため、海岸の漂砂鉱床より採掘・選鉱されたモナザイト鉱石から燃料(ウラン・トリウム)を抽出している。
その抽出後に副産物として混合塩化希土も産出しており、今回のレアアース製造工場は、その混合塩化希土を原材料としてレアアースの酸化物を製造するもの。

IREは、ウラン、トリウムの抽出のほか、イルメナイト(チタン鉄鉱)、ルチル、ジルコン、シリマナイト(珪線石)、ガーネット及びレアアースのセリウム、ランタン、ネオジムを主成分とする燐酸塩鉱物のモナザイトの6つの天然石と、モナザイトから抽出したレアアースを販売している。

早ければ2011年初め頃より工場の着工を開始し、同年末に生産開始する。 
2012年より年間約3,000~4,000トンを確保できる見込み。

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信越化学は、工場への技術支援および製品の引き取りを決定している。
また、信越化学、IRE、JOGMECは、TREOへの投資を検討している。 

本年10月25日には、日・印首脳会談が開催され、レアアースとレアメタルの開発や再利用に向け、日・印両国が協力することで一致し、共同声明が出されている。

「両首脳は、将来の産業にとってのレアアース及びレアメタルの重要性を認識し、レアアース及びレアメタルの開発、リサイクル及び再利用や代替品の研究及び開発における両国間の協力を追求することを決定した。」

なお、ウラン採掘後の残存物からのレアアース回収事業については、住友商事が中央アジアのカザフスタンで国営原子力会社と合弁企業を設立しており、東芝も同様の事業をカザフで計画している。

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大 の最後

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豊田通商は2008年12月、レアアースの専門商社である和光物産の全株式を取得し、豊通レアアースに改称した。
また、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組んでいる。

和光物産は1954年に、日本のレア・アース製品の市場を開拓し発展させるため、設立された。

同社は1956年にIndian Rare Earths(IRE) とレアアースの長期協定を締結、更に1961年にはIREのレア・アース製品の極東総代理店になっている。
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豊田通商は、この和光物産を買収することで、インド産レアアースの商権・販売チャンネルを譲り受けた。
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Toyotsu Rare Earths Orissaレアアース酸化物の製造販売のため2009年10月に設立された。

豊田通商は、ベトナムにおいても、採掘権を持つベトナム国営鉱物公社と、ハノイ市の西北に位置するドンパオ・レアアース鉱山開発に関するJV(日本側49%)を設立した。2011年より年間5千トンを生産する。

この鉱山は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が探査したもの。 

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住友商事は米国のMountain Pass鉱山の再開を準備中のMolycorp Minerals に投融資する。

来年2月に、Molycorpの普通株を100百万ドル購入、別途、30百万ドルを融資し、2017年まで希土類の供給を受ける長期契約を結ぶ。

Molycorp7月に114ドルで公募増資を行ったが、中国のレアアース輸出停止で株価は2倍以上となった。
今回のニュースで
3%アップし、31.7ドルになった。

Molycorp Mountain Pass鉱山の生産を年内にも一部再開し、2012年末までには新精製設備を完成させ、約2万トンを生産する。
住商からの資金はこのための投資に使用する。

Molycorp 住友商事に既存の設備から年に2,500トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウム(ネオジムとプラセオジムの混合物)を供給し、新しい最新鋭の精製設備完成後は年3,000トンのセリウムとランタン、250トンの酸化ジジミウムを供給する。

同鉱山は1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。
その後は過去に採掘した鉱石の精製を行っている。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp が設立され、Chevronから鉱山を買収、2009年から、過去に採掘した鉱石の精製を開始した。
"Mine-to-Magnets" 戦略を立て、永久磁石の製造にも乗り出している。   

2010/10/5 レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大

住友商事は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に資金援助を求める。

付記

Molycorpは12月13日、新設備建設のための最後の認可を取得したと発表した。カリフォルニア州魚類鳥獣部から河床変更協定の認可を得た。
投資額531百万ドルのレアアースの
mine-to-magnets
サプライチェーン建設の起工式は来年1月2日に行われ、2012年末にフル稼働の予定。

付記

日立金属は12月21日、Molycorpとの間で、ネオジム磁石用合金とネオジム磁石を生産する2つの合弁会社の設立に向けて検討を開始することに合意したと発表した。
この合弁会社の設立により、日立金属とMolycorpは、米国内における鉱山からマグネットまでのサプライチェーン(
"Mine-to-Magnets"
を構築し、HEV・EV、風力発電、産業用モーター向け磁石の拡大する需要に着実に対応することを目指す。
2010年12月に合弁会社設立に向けたフィージビリティスタディーを開始、2011年第1四半期に合弁会社の設立を合意する予定。


参考 2010/11/25 
双日、レアアースの供給・拡張プロジェクトで豪州Lynasと戦略的提携の基本合意


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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