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2010年11月12日 (金)

米韓FTA協議、決裂

米国と韓国による自由貿易協定(FTA)の改定交渉は11月11日、最終合意に到達できず決裂した。

米国と韓国の自由貿易協定(FTA)締結交渉は2007年4月2日、期限切れ直前に妥結した。

自動車、農業分野は下記の通りとなっている。   

◇自動車
      韓国=輸入関税(8%)即時撤廃
          排気量基準自動車税を現行5段階から3段階に簡素化
          自動車特別消費税を発効後3年以内に5%以下に単一化    
      米国=3000cc以下の乗用車関税(2.5%)を直ちに撤廃
           3000cc超の乗用車は3年で関税撤廃
          ピックアップトラック(25%)は10年で関税撤廃

◇農業
      
韓国=牛肉(15年で)・豚肉(最長10年で)関税引き下げ    
          
コメは対象外
          米国産オレンジの関税を9月~2月は50%を維持、他は30%に。

2007/4/4 米韓FTA妥結 

しかし、米国で反対が強く、現時点でもこの協定は批准されていない。

ところが、本年7月の韓国・EUのFTA妥結(10月6日調印)を受け、米国でもムードが変わってきた。
オバマ米大統領は、「11月のソウルG20首脳会議までに韓国と実務協議を行い、履行法律案を議会に提出したい」と述べた。

このため、争点を話し合うための通産相会議が11月8日からソウルの外交通商部の庁舎で行われていた。

自動車と牛肉が問題となり、自動車については韓国側がある程度の妥協を行ったが、米国が更に要求したため、韓国側は、協定の大幅な修正が避けられないなら、韓国側に不利に妥結された医薬品や農業分野で米側の譲歩を引き出す方向に方針を変え、「反対給付」を求めた。

牛肉については、米国側は米国産牛肉の輸入範囲を「生後30ヶ月以上」にも拡大すること、検疫条件を緩和することを要求した。
これについては、韓国側はこの問題についてはFTAに関係なく、交渉の対象外で、絶対に譲歩できないとしたが、米国側が更に求めたため、韓国政府は「それならこれ以上、交渉を進めるわけにはいかない」と強気の態度を示し、空気は急激に冷え込んだ。

韓国の李明博大統領は、オバマ米大統領との共同記者会見で「われわれは、詳細な問題を解決するためさらに時間が必要だということで一致した。貿易担当閣僚に対し、できる限り早急にお互いに受け入れ可能な合意点を見つけ出すよう求めた」と語った。
オバマ大統領は、さらなる交渉を経てFTAが成立することを確信している、と述べた。

ーーー

米国側の要求と韓国側の対応は以下の通り。

自動車については以下の要求を行った。

1) 韓国の自動車燃費規制、温室効果ガス排出規制の緩和
韓国のグリーン成長委員会が2009年7月、2015年までに自動車の平均燃費目標を1リットル当たり17kmに設定、米国は、5年以内に平均燃費目標を1リットル当たり15kmとする米国政府の計画に比べ、韓国の基準は厳しすぎるとし、米国産自動車についてのみ、これを緩和することを要求した。

韓国政府は、2015年から1リットル当たり17kmに強化される燃費基準を、「年間販売台数1000台未満」の車についてのみ例外を認める方針だが、米国は更に修正を要求した。
韓国政府は、「販売台数1万台以下」へと適用対象を変更することを検討したが、米国はさらなる譲歩を求めた。

また、米国は、メーカーが自主的に自動車の安全性を認証する制度の適用範囲を、現在の「年間6500台未満」から「1万台未満」へと拡大するよう求めた。
(これについては、韓国政府は「無理な要求だ」として応じなかった。)

 
2) 韓国産ピックアップトラックの関税廃止問題
   
  FTAでは韓国産ピックアップトラックに米国が課している関税(25%)10年かけて廃止するとなっているが、米側はこれを15年以上とするよう要求。

韓国はこれを認める意向であった。

   
3 韓国の輸出用自動車に使用される輸入部品の関税払戻し問題
   
  FTAでは規定はないが(関税払戻し是認)、米側は関税払戻しを5%に制限するよう要求。

韓国は中国などから部品を輸入し完成品を輸出する場合、部品輸入については関税を払い戻している。
韓国と
EUFTA交渉では、EU側は韓国・EU間FTAの利益が第三国に向かいかねないとして、これに反対したが、最終的に、「協定発効5年後から、韓国産自動車の輸入部品使用割合が重大な変化のレベルにまで高まれば、関税の払い戻し額を5%に制限する」と定められた。

米側はこの適用を求めた。

これについても、韓国は受け入れる意向であった。

韓国政府は、自動車分野で一歩譲歩する代わりに、農業分野で一部品目の関税撤廃時期を先送りすることを求め、米国側からの譲歩を引き出した。また、米国が専門職ビザ1万5000人分を韓国に割り当てるとした2007年の合意の早期実施を求め、米国側から前向きな回答を得た。

牛肉については、米国産牛肉の輸入範囲を「生後30ヶ月以上」にも拡大すること、検疫条件を緩和することを要求した。

2006年9月に韓国政府が3条件を設定して米国産牛肉の輸入が再開した。
1) 生後30ヶ月以下の牛であること
2) 脳、脊髄、腸、骨が除かれていること
3) 韓国が認める特定の施設からのみ輸出すること

韓国側はこの問題についてはFTAに関係なく、交渉の対象外で、絶対に譲歩できないとした。
これは、米国側の「自動車分野で韓国側からさらなる譲歩を引き出す戦略」によるものとみられていた。

しかし、米国側はFTAを発効させるには議会批准が必要なだけに、有力議員からの要望を無視することは難しく、交渉では米国側が絶えずこの問題を持ち出したという。

韓国政府関係者は、「米国産自動車の韓国市場進出拡大の米国側の要求の下限ラインが、韓国が受け入れ可能な上限ラインを上回っている」と話した。

カーク通商代表部代表も、韓米首脳会談の直後、米国の記者団に、「かなりの部分を自動車問題の調整に割いた。米国関係者は、米国の自動車産業のために、市場アクセスの不均衡を解消しなければならないと感じた」と話した。

最終的に、11日のオバマ米大統領と李明博大統領の首脳会談で合意に至らなかった。

米議会は議事日基準で最高90日間、FTA履行関連法律案を審議した後、議決するようになっており、早ければ来年下半期には、韓米FTAが正式に発効されるものと見られていた。

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韓国とEUは106、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名している。
2011年7月1日に発効する見通し。

    2010/10/12  韓国とEU、自由貿易協定締結


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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