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2010年10月19日 (火)

中国、レアアース規制を正当化

日本の丹羽宇一郎・駐中国大使が中国政府の実施しているレアアースの輸出制限について、協調して緩和を要請するよう米国、英国、ドイツ、フランス、韓国など主要国の駐中国大使に呼びかけたと報じられた。

中国商務省の姚堅報道官は10月15日、「レアアースの採掘、加工、輸出に対する中国の管理措置は国際ルールとWTOの規則に合致するものだ。中国は希土類金属の輸出を封鎖手段にしない」と述べた。

「中国で、これまでのレアアースの採掘と利用が規範化されていなかったため、大きな環境問題を引き起こした。
最近、国内の法律と法規に基いて、レアアース産業に対する必要な管理と制限を行った。
その目的は環境保全や持続可能な発展を実現させることにある。」

「中国はレアアースの輸出を封鎖手段にせず、協力や発展、共栄の中でレアアース資源における互恵協力を実現させることを希望する。また、国際協力を通じてこの再生不可能な資源を管理していきたい」と述べた。

温家宝総理は先のヨーロッパ訪問で、「中国はレアアースに対する管理を強化する必要があるが、世界の需要を考慮し、レアアースを駆け引きの手段とはしない」と明確に宣言した。

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10月19日付のChina Daily は商務部担当者の発言として、中国が来年のレアアース輸出枠を最大30%削減すると報じた。
このままの生産が続けば、(ネオジムやジスプロシウムといった)中重希土類15~20年で枯渇する恐れがあるとしている。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

付記

米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は10月19日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアースの禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。

商務部対外貿易司の王受文司長は20日、「中国は米日欧向けのレアアースの輸出を止めていない。来年の輸出枠については現在検討中だ」とコメントした。

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最近の中国紙はこの問題を頻繁に取り上げている。主な主張は以下の通り。

悔やまれる「白菜と同じ値段」のレアアース
   
  中国のレアアースの可採埋蔵量は全世界の43%を占め、世界第一位である。
中国は1972年にレア
アースの多段抽出理論及び新たな加工技術の研究を開始した。
しかし、埋蔵量と分離技術が最も進んだ中国には、レアアースの価格決定権がない。
密輸、外国による買い溜め、国内採掘権の混乱などが、中国のレアアース価格決定権の部分的な喪失を招いた。

特許権により私営企業のレアアース採掘を制限することを考えなかったため、レアアース業界における悪い競争が引き起こされた。

過去10数年間には、中国のレアアース酸化物の価格は1トンあたり数千元、1キロあたり数元程度で、「白菜と同じ値段」とも言われていた。

「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」。
これは鄧小平の1992年の言葉だが、レアアースは石油よりも貴重とされながら、中国はまだレアアースによって相応の富を得ていないのは事実である。

   
レアアースの備蓄戦略は必須
   
  中国のレアアースは、採掘量は多いが、中国の利用率は低い。

1958年に包頭鋼鉄公司が創業を開始してから、2008年までに、白雲鄂博の中央鉱床・東鉱床で採掘したレアアースは1500万トンだが、その利用率は10%にも満たない。
トリウムは8万トンを採掘し、利用率は0%である。

2008年の採掘速度でいけば、中央鉱床・東鉱床は25年以内に掘り尽くしてしまう。
中国南部のイオン吸着型鉱床は1970年から2007年までに資源の60%を消費した。現在の採掘速度でいけば、10年以内に掘り尽くしてしまう。

この時、米国は世界第一位のレアアース大国となり、レアアースの価格が100倍、1000倍にも高騰する可能性がある。
中国の現在のレアアース開発速度でいけば、数10年後、中国は自給自足が困難となり、「レアアース大国」から「レアアース不足国」へと変わる。

参考 2010/9/8 「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」

   
レアアース業界の発展には規範化と管理が必要
   
  レアアースは再生不可能な希少資源で、先端技術や国防技術の原材料としては欠かせないもの。中国は世界の30%のレアアース埋蔵量で、世界の90%以上の需要に応じており、これを長期的に継続するのは難しい。

中国のレアアースは長年、低価格で輸出され、早い時期から数多くの環境問題を引き起こしており、レアアース産業の早急な規範化が求められている。

中国政府はレアアースの持続可能な発展を維持するため、レアアースの生産と輸出の管理強化に踏み切ったが、目的は環境保護や持続可能な発展を実現することにあり、中国の発展に対する責任であると同時に、世界の発展に対する責任でもある。

   
 

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ

   
大畠章宏・経済産業相は最近、中国の日本向けのレアアース輸出について「正常な水準にまで戻っていない」と語ったが、れまでのような大量かつ無秩序な、廉価での輸出を指すのであれば、そのような「正常な水準」に戻ることは二度とないだろう。
   

目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

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