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2010年10月 5日 (火)

レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大

9月29日の日本経済新聞は掲記の記事を掲載している。
中国がレアアースの輸出管理を強化しているのを受け、他の埋蔵国が相次いで生産拡大に乗り出しているというもの。

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ
2010/9/8 
「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」

状況を調べた。

1)米国

米国は世界有数のマウンテン・パス鉱山(カリフォルニア州)で採掘・生産を本格的に再開する。同鉱山を傘下に持つモリコープ社のスミスCEOが「採掘は来年から再開し、2012年末までに年2万トンを生産する」と述べた。

Mountain Pass レアアース鉱山(西半球唯一のレアアース鉱山)はオープンピット鉱山で、以前は世界最大のレアアース供給者であった。
同鉱山は14億年前の先カンブリア時代のカーボタナイトにあり、8~12%のレアアース酸化物(CeriumLanthanumNeodymiumEuropiumなど)を含む。

Mountain Pass1949年にウラニウム探掘者が発見した。
Molybdenum Corporation of America 1974年にMolycorp Inc.と改称)が権利を買収、1952年に小規模の生産を開始した。
1962年にカラーテレビスクリーンに使うユウロピウムの需要拡大に対応し、生産を拡大した。
1965年から1995年まで、大規模生産を続け、世界のレアアースの需要の大部分を賄った。

1977年にUnocal が同社を買収、2005年にChevron子会社となった。

1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。
その後は過去に採掘した鉱石の精製を行っている。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp Minerals LLCが設立され、Chevronから鉱山を買収した。2011年から生産を再開する。

2)豪州

豪鉱山企業ライナス社は2011年後半から西オーストラリア州で初めてレアアースを生産する。
年1万1000トン生産する計画だったが、このほど2億豪ドル(約160億円)を投じ、2012年末からは生産量を2万2000トンに倍増する方針を決めた。

Lynasは、1983年にYilgangi Gold NLとして設立され、1985年にLynas Gold NLに改称し、西オーストラリア州Pilbara地域で金探鉱を行っていたが、2001年6月、金プロジェクトを売却し、社名をLynas Corporation に変更、2002年5月にMt.Weld 鉱床の権益100%を取得し、同鉱床の探鉱開発に集中していった。

Mt.Weld 鉱の鉱物資源量は、770万t、酸化レアアース品位12%となっている。
(精測鉱物資源量120万t :品位15.7%、概測鉱物資源量500万t :品位11.8%、予測鉱物資源量150万t :品位9.9%)

同社はMt.Weld プロジェクトのコスト削減のため、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画した。

しかし、2006年に入って、レアアース産業に対する生産抑制、輸出制限、増価税リベート見直し、環境規制など中国政府による締め付けが強くなったことから、同社は中国でのレアアース分離プラント建設を断念し、マレーシア東海岸PahangKuantan Gebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。

計画では酸化レアアースの生産量を当初年間5千トン、将来21千トンとしている。

Mt.Weld レアアース鉱床からレアアース鉱物(モナザイト等)を採掘、西オーストラリア州南部のEsperance 港からマレーシアへ海上輸送、分離・精製し、更に最終消費者の要求にあったレアアース製品とした後、米国・欧州・日本などへ販売する。

なお、同社は2009年に中国の国有非鉄大手、中国有色鉱業集団(China Nonferrous Metal Mining)から252百万豪ドルの出資(マジョリティ)を受け入れることを決めた。

しかし、豪州のForeign Investment Review Board同年9、中国有色鉱業の出資を50%未満、取締役を50%未満にするよう要求、有色鉱業はこれを拒否し、撤退した。

ーーー

なお、豪州のNorthern TerritoryのNolans Bore レアアース・リン・ウラン鉱床の権益100%を保有するArafura Resources は、20094中国の資源開発グループである有色金属華東地質探査局( East China Exploration & Development Bureau )から25%(24百万ドル)の出資を受け入れる正式契約に調印した。

現在、East China ExplorationECE Nolanes INV 22.17%で第二位株主となっている。

      2009/5/16 中国、レアアースでも豪州に進出

同鉱床は1995年に発見され、1999年にNorsk Hydroが露頭サンプリング・分析を実施している。2000年にArafra 社が権益を取得、資源量確認ボーリングを実施中。

Arafura Resources Nolans Bore 鉱山とWhyalla Rare Earths Complex を所有している。

Lynasの副社長は昨年、中国の資源寡占化に言及し、「日本の需要家は決断する時だ」と訴えていたが、日本側は「中国以外の供給先は重要」との認識で一致しているが、「出資する余裕はない」というのが本音であったとされる。

3)カザフスタン

日本企業も調達先の多様化を急ぐ。中央アジアのカザフスタンでは住友商事が6月に国営原子力会社と合弁企業を設立し、ウラン採掘後の残存物からレアアースを回収する新事業に参入。2012年にフル稼働し年3000トンを生産する。
東芝も同様の事業をカザフで計画しており、年内にも合弁会社を設立する。

(住友商事)
2006年初にカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが65%、住友商事が25%、関西電力が10%出資し、合弁企業
APPAK LLPが設立された。

2008年6月3日、南カザフスタン州スザク地区にあるウェストムィンクドゥック鉱床の原位置抽出法によるウラン鉱山が開所した。

APPAK LLPはウラン精鉱の引渡しを2008年に開始し、2010年までに毎年1,000メトリックトンウランのフル生産を開始することを計画、見込まれている鉱山寿命は22年、総生産量は18,000メトリックトンウランを計画している。

20098月、住友商事は、Kazatompromとウラン鉱石残渣からレアアースを回収する事業に合意した。
両社が協力してカザフスタン国内に存在する残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。

2010年3月、両社は公社51%、住友商事49%出資で合弁会社 Summit Atom Rare Earth Company を設立した。
具体的には、Kazatomprom傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる。

2010年には年間3千トンのレアアース分離品の生産体制を確立し、将来的には現地でレアアースを使用した高付加価値品の一貫生産を行うことを目指す。

(東芝)
東芝は2007年8月、原子力事業強化の一環として、カザフスタンのKazatomprom社が南カザフスタンで推進しているウラン鉱山開発プロジェクト(ハラサン鉱山プロジェクト)に参画することを決定した。

丸紅、東京電力、中部電力、東北電力が権益の一部を有する持株会社を保有し、同鉱区で生産されるウラン精鉱のうち、合計で2,000トン(MTU)/年のウラン引き取り権を取得しているが、東芝は同持株会社の株式の22.5%を取得するとともに、最大600トン(MTU)/年の引き取り権を取得した。

東芝は本年6月、Kazatompromとレアメタル分野に関する合弁会社を設立することで合意した。

Kazatomprom51%、東芝49%の出資で合弁会社を設立し、以下の事業を行う。

 ・ニオブ、ベリリウム応用製品、タンタル材の販売
 ・ニオブ、タンタル、ベリリウムを応用した新製品に関する製品開発
 ・ウラン鉱山から副産物であるレニウム、ネオジウム、ディスプロシウム等の回収・販売事業の検討
 ・カザフスタン国内における新規供給源探索の検討

 

4)インド、ベトナム

豊田通商は2008年12月、レアアースの専門商社である和光物産の全株式を取得し、豊通レアアースに改称した。
また、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組む。

和光物産の持つインド産レアアースの商権及び販売チャンネルを譲り受け、非自動車分野への販売を含めた取引先への安定した供給体制を整える。2010年後半より年間4千トンを輸入する。

また、ベトナムにおいても、採掘権を持つベトナム国営鉱物公社とレアアース鉱山開発に関するJVを設立し(日本側49%)、2011年より年間5千トンを生産する。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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