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2010年10月30日 (土)

三菱ガス化学、中国のメチルアミン事業でTamincoと提携

三菱ガス化学は1027日、南京市にあるメチルアミン誘導品の子会社「菱天(南京)精細化工有限公司:LING TIAN (NANJING) FINE CHEMICAL」の保有株式の50%分をベルギーの大手メチルアミンのメーカー Tamincoに譲渡し共同経営していくことで合意したと発表した。

三菱ガス化学は、日本における唯一のメチルアミンメーカーで、新潟工場と南京の菱天でメチルアミン及びその誘導品を製造しており、日本、中国及びアジアを中心とする各国の市場に販売展開している。
Tamincoは三菱ガス化学とと並ぶ世界のメチルアミン市場における最大手企業。

成長著しい中国市場で今後の市場競争に対抗していくには、独自技術と経験を持つ世界トップクラスのメーカーである Tamincoと提携した方が得策と判断した。

菱天(南京)精細化工の現在の出資は、
 三菱ガス化学 80.1%、菱陽商事(三菱ガス化学の関連会社)5%、
 伊藤忠ケミカルフロンティア 10%、伊藤忠商事 4.9%だが、
今回、Taminco4社がそれぞれ50%ずつ株式を譲渡する。

2012年完工を目指して新プラントを建設する。
現在の製品は、ジメチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドだが、Taminco技術で、ジメチルアミノ・エタノール、モノメチル・ジ・エタノールアミン、モノメチル・アミノエタノールの3製品を新たに追加する。

社名も「特按菱天(南京) 精細化工有限公司」と変更する予定。

ーーー

三菱ガス化学は200510月、南京化学工業園区内でのメタノール誘導品事業化計画を決定し、菱天(南京)精細化工を設立した。

同社は、メタノール事業をコア事業の一つとして位置づけ、サウジアラビアベネズエラブルネイ中国重慶(その後、取り止め)でメタノールプラントの増設・新設計画を進めており、あわせて中国で誘導品事業を展開することで、メタノール事業の一層強化・拡大を図った。

まず、ジメチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドを生産、第二期計画としてトリメチロールプロパンの生産も検討、その後も順次メタノール誘導品を展開するとしていた。

ーーー

Tamincoはベルギーに本拠を置くアルキルアミンとその誘導品のメーカーで、名前も "The AMINe COmpany" から採っている。

200310月 投資会社AlpInvestがメイン株主となって、ベルギーの製薬会社UCBから分社化した。

200412月 Air Productsの欧州のメチルアミン事業を買収(ただし、英国のBillingham工場は閉鎖)。
200610月 Air Productsの米国メチルアミン事業、全世界のアルキルアミン事業を買収
20076月 中国江蘇省宜興市のAkzo Nobelの塩化コリン製造JVのマジョリティシェアを買収

20077月、CVC Capital Partners AlpInvestから買収した。経営陣が25%を出資している。

製造拠点は以下の7箇所にある。

 ベルギー:  Ghent  
 ドイツ:  Leuna  
 米国:  St Gabriel, Louisiana:元 Air Products  
   Pace, Florida:元 Air Products  
 ブラジル:  Camaçari:元 Air Products  
 中国:  江蘇省宜興:元Akzo Nobel Chemicals (Yixing) 塩化コリンを製造  
   上海市奉賢区:Taminco Choline Chloride Co.  同上  

      *Choline chloride(塩化コリン)はトリメチルアミンから製造する。


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2010年10月29日 (金)

Eastman Chemical、PET事業をメキシコ企業に売却

Eastman Chemical1025日、Performance Polymers segmentPET事業と関連の設備と技術を、メキシコ最大の企業の1つのAlfa S.A.B. de C.Vの石化・合繊事業であるAlpekの子会社 DAK Americas, LLCに売却する契約を締結したと発表した。

年内に売却が完了する予定で、売却額は6億ドル、売却により若干の利益を期待している。

ーーー

Eastman Chemicalはかつて、PET樹脂では世界最大のメーカーであった。

同社は革新的な「IntegRex」技術を開発し、これを使った年産350千トンの工場をサウスカロライナ州コロンビア近郊のCongaree Riverに建設した。(2008年末にデボトルネックで525千トンとした。)
このほか、欧州や中南米にも拠点を持っていた。

同社は2006年に石炭ベースの化学品志向を発表したが、この時点では、PETの拡張を計画、将来はリファイナリーのパートナーと組んでの第二のIntegRex計画(能力は70万トン)を検討中としていた。

2006/11/22 Eastman Chemical、石炭ベースの化学品志向へ

その後、米国以外のPET事業を順次売却した。

20072月、スペインのPETとポリエステル樹脂事業を行うEastman Chemical Iberia, S.ALa Seda de Barcelona, S.A.に売却する契約を締結した。

20079月、メキシコ VeracruzCosoleacaque工場(PET 150千トン)と、アルゼンチンのZarate工場(PET 185千トン)を、今回売却する相手のメキシコのAlfa に売却する契約を締結した。

20083月、オランダのRotterdam工場(PTA 350千トン/PET 200千トン)と英国のWorkington 工場(PET 155千トン)をタイのIndorama に売却した。

 Indoramaについては 2010/4/1 Dow/PIC PET合弁会社、イタリア工場をIndoramaに売却

PETで唯一残った工場を持つ米国の事業について、同社は本年4月、売却を含めた戦略的オプションの検討を行う旨、発表した。

2010年第1四半期にEastman のPETを含むPerformance Polymers Groupは13百万ドルの赤字を計上した。

Eastmanの拠点の北米のPETの需要は約400万トンで、これまでは年に67%の伸びがあったが、最近は炭酸ソフト飲料の消費の減と容器の軽量化で、2~3%の伸びにとどまっている。アジアからの輸入も増えている。

そのなかで、Indorama Polymers の子会社のAlphaPet アラバマ州Decatur432千トンのプラントが操業を開始した。(同社は隣接すBPからPTAの供給を受け、競争力がある。)
    2007/4/14 タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ

これらの状況から、今後も売価の是正は難しいとみられる。

同社では、検討の結果、この売却が同社と株主にとってベストな選択であると考えたとしている。

ーーー

DAK Americas, LLCはメキシコのAlpekの子会社として2001年に設立された。
DuPontからNorth CarolinaPTACape Fear工場)とPET Resins/Polyester Staple FiberCedar Creek工場)事業を買収した。

DAK Americas2003年にSouth CarolinaPET工場を、2007年にNorth CarolinaPET工場を設立した。

上記の通り、20079月にメキシコ VeracruzCosoleacaque工場(PET 150千トン)と、アルゼンチンのZarate工場(PET 185千トン)をEastmanから買収する契約を締結した。

Cape Fear, North Carolina PTA
PET Resins
Polyester Staple Fiber
from DuPont(2001)
Cooper River, South Carolina PET Resin
Polyester Staple Fiber
新設(2003)
Cedar Creek, North Carolina PET Resin 新設(2007)
Cosoleacaque, Cosoleacaque, Mexico  PET Resin from Eastman
(2007)
Zarate Site, Zarate, Argentina PET Resin
Congaree River, South Carolina PET Resin from Eastman (今回)

 


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2010年10月28日 (木)

2010年第3四半期 国産ナフサ基準価格

第3四半期の国産ナフサ基準価格は42,700円/kl となり、前期比7,000円のダウン、前年同期比1,500円のアップとなった。
なお、8月の通関金額が若干修正されている。

計算根拠は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
2009/1Q  24,970  27,000
     2Q  31,294  33,300
3Q  39,185  41,200
4Q  40,544  42,500
2010/1 45,468    
2010/2 46,360    
2010/3 45,249    
2010/1Q 45,702 47,700
2010/4 47,517    
2010/5 49,142    
2010/6 46,421    
2010/2Q 47,655 49,700
2010/7 42,352    
2010/8 39,972    
2010/9 39,695    
2010/3Q 40,699 42,700

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)


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シェブロン、メキシコ湾深海油田を開発

米政府は10月12日、メキシコ湾で起きた大規模な原油流出事故を受けて実施していた深海油田の新規開発凍結措置を、予定より7週間早く解除すると発表した。
オバマ政権はBPの事故を受け、深海油田開発の安全性を確認するため、5月下旬に開発認可などを凍結、11月まで継続する予定だった。

サラザール内務長官は「原油およびガス業界は、厳しくなった新たなルールや監視の下で事業を行うことになる」との声明を発表した。

ーーー

シェブロンは10月21日、メキシコ湾の
Jack/St. Malo Project を開始すると発表した。
メキシコ湾の深海の古第三系プレイ(
the Lower Tertiary trend)での最初の開発となる。

2006年9月にシェブロンは「メキシコ湾大水深のジャック2号井におけるテストで日量6,000バレル以上の出油に成功した」と発表した。
水深約7,000フィートの超大水深に位置し、掘削深度28,175フィートの大深度掘削井である。
事故を起こしたBPの井戸は水深5,000フィート、掘削深度13,000フィート。)

ジャック油田を含めた古第三系プレイの可採埋蔵量は、将来的に30億~150億バレルに達する可能性があると報道されている。

古第三系プレイとは、古第三系のタービダイト成砂岩を貯留岩とする探鉱プレイ(探鉱対象のまとまり)で、メキシコ湾の超大水深に東西に広がる。古第三紀は約6,500万年前から約2,500万年前までの時代。

メキシコ湾における石油資源の時代別累計生産量(原油換算 百万バレル)
第四系
(258万8000年前~現在)
完新統 0 0 
更新統  13,759  33%
新第三系
2,500万年~250万年前)
鮮新統 10,755 25%
中新統 17,236 41%
古第三系
(6,500万年~2,500万年前)
49 0 
白亜系
14550万年~6550万年前)
49 0 
ジュラ系
19500万年~13500万年前)
235 1%


 詳細は http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/1/1601/200701_041a.pdf

Jack油田とSt. Malo油田は New Orleansの南280マイルのところの7,000フィートの深海にある。
合わせて原油換算5億バレル以上あると見込まれている。
Chevronは前者の50%、後者の51%の権益を有している。

前者は他に、Maerskが25%、Statoil が25%の権益を有する。
後者は、
Petrobras25%、Statoil21.50%、ExxonMobil1.25%、ENI1.25%の権益を有している。

当初の開発予算は75億ドルと見込まれている。
3つの海中のセンターを1つの製造設備に結び、日量170千バレルの原油と42.5百万立方フィートのガスを産出する。
2014年に生産開始の予定。

シェブロンは2009年にメキシコ湾で、日量149千バレルの原油、484百万立法フィートの天然ガス、14千バレルの天然ガス液を産出している。


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2010年10月27日 (水)

協和発酵キリン、子会社の協和発酵ケミカル売却で合意

協和発酵キリンは10月22日、連結子会社の協和発酵ケミカルの全株式を日本産業パートナーズに売却する基本合意書を締結したと発表した。最終契約は2011年1月、譲渡実行は3月末の予定。
対価は日本産業パートナーズによる資産査定後に決める。

同社は2010-12年度グループ中経営計画に沿い、事業ポートフォリオの選択と集中に取り組んでいる。

協和発酵ケミカルは国内No.1のオキソ誘導品メーカーとして国内市場における高シェア製品を数多く有するとともに、環境対応型次世代製品などの成長性の高い高付加価値製品も保有しており、石油化学業界でグローバル・ニッチ・プレーヤーとして発展していく事業基盤を有している。

協和発酵キリンでは協和発酵ケミカルを、同社の事業の更なる成長に必要な投資を実行し、発展させることが可能な事業パートナーに譲渡することが最適であると判断した。

今後、協和発酵キリンは経営資源を効率的に医療用医薬品事業に集中する。

ーーー

協和発酵工業とキリンファーマ、キリンホールディングスは2007年10月、両グループの戦略的提携で合意し、協和発酵とキリンファーマを統合することを決めた。

2008年10月1日に協和発酵とキリンファーマは合併し、協和発酵キリンに商号変更を行い、その後、協和発酵の医薬以外の事業について下記の再編を行った。

協和発酵のバイオケミカル事業は、100%子会社の協和発酵バイオとした。

協和発酵フーズはキリンフードテックと事業統合し、キリンホールディングス子会社のキリン協和フーズとした。

今回売却する100%子会社の協和発酵ケミカルは、「今後、他社とのアライアンスを含めて収益の安定化と競争力強化に注力」としていた。

2007/10/25  協和発酵とキリンファーマの統合

協和発酵工業は、1937年設立で、日本で初めてアセトン・ブタノール発酵の実用化に成功した「協和化学研究所」が改称したもので、その後、化学品、医薬品、バイオプロダクツ、食品と、事業の多角化を推進してきた。
2004年4月、化学品カンパニーが製造子会社の協和油化と統合し、「協和発酵ケミカル」となった。

協和発酵ケミカルでは以下の製品を扱っている。

 基礎化学品: アルコール群並びに含酸素系溶剤群
(オキソ反応技術およびエステル、グリコールエーテル製造技術)
   
 機能性材料: 合成脂肪酸、高級アルコール、特殊ジオール、高機能性高分子材料
   

ーーー

日本産業パートナーズは2002年設立のファンドで、主として大企業における事業再編に伴う分社化や独立中堅企業の事業再構築において、資本の提供や経営支援を行っている。

累計投資件数は13件となり、投資基金の規模も累計で1000億円近くになっている。


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2010年10月26日 (火)

中国商務部、サウジアラビア原産のメタノールのダンピング調査でシロの認定

中国商務部は10月25日に公告71号を出し、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド原産の輸入メタノールのダンピング調査でクロの仮決定を下したと発表した。
しかし、同時に調査していたサウジアラビア原産についてはダンピングはないと認定した。

商務部は2009年6月24日に4国原産のメタノールのダンピング調査を開始した。
上海焦化、内蒙古遠興エナジー、エン礦國泰、Yankuang Lunan、Pingmei Lantian などの中国メーカーからダンピング調査の申請を受理し、その後検討してきたもの。

サウジ政府はこれに大いに反発し、ダンピングを否定、この措置に遺憾の意を表した。
SABICも、中国市場でダンピングをしていないとの声明を発表した。

サウジのWTO加盟に際し、政府の決めたエタンとメタンの固定価格が問題となったが、WTOは最終的にこれを承認している。

サウジの反発を受け、中国の大使館スポークスマンは、まだ調査の段階であり、決定に当たりサウジ政府の懸念を考慮すると述べていた。

2009/7/7 サウジが中国のメタノールのダンピング調査に反発

ーーー

クロの仮決定となった3国のメーカーの保証金の率は下記の通り。

 インドネシア: PT Kaltim Methanol  9.40%  双日 85%、ダイセル 5%、フンプス 10%
  その他  32.50%  
       
 マレーシア: Petronas Methanol Labuan 9.30%  PetronasがSabah Gas Industriesから買収
  その他 37.50%  
       
 NZ: Methanex New Zealand 9.50%  
  その他  36.40%  
       

 


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イラクでの天然ガス田開発、韓国連合が2ガス田を落札

イラク石油省は1020日、3箇所の天然ガス田の開発企業を選ぶ国際入札を実施した。
イラクが外国石油会社を対象にした国際入札を実施するのは2009年6月以降3度目で、ガス田に絞った入札は今回が初めて。

イラク政府は埋蔵量の10%に相当するガス田を外資に開放、生産量の引き上げにより経済復興を急ぐ。

対象となった3ガス田のうち、西部と中部の大型ガス田を韓国ガス公社が参加する企業連合が落札した。
韓国ガス公社は2009年12月の第2次入札でも中部
Badrahバドラ油田を、ロシアのガスプロムなどと落札している。

入札の参加資格を得て手数料を支払った13社には三菱商事、伊藤忠商事、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の日本勢も含まれていたが、結局応札を見送った。
パイプラインなどのインフラに巨額投資が必要で、AkkasやMansouriyaガス田のある地域は治安上の不安も残っているとされる。

場所 ガス田 落札 契約生産量(日量) 報酬(原油換算)
西部 Akkas KazMunaiGaz(カザフスタン国営)50%
Kogas(韓国ガス公社)
50%
400 million standard cubic feet $5.50 per barrel
中部 Mansouriya TPAO(トルコ)
Kuwait Energy
Kogas(韓国ガス公社)
320 million standard cubic feet $7.00 per barrel
南部 Siba TPAO(トルコ)
Kuwait Energy
100 million standard cubic feet $7.50 per barr

このうち、西部のAkkasと中部のMansouriya2009年6月第一次開放対象の国際入札に含まれたが、応札がなかった。

一次、二次入札の結果は以下の通り。日本勢では石油資源開(Japex)が二次入札でマレーシアのPetronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を落札している。

2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展

2009/12/14  イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札

なお、一次、二次入札の別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の開発を日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)が交渉し、確実と見られていたが、破談となった。

2010/7/14 イラク、4製油所を新設、外資導入の最後

ーーー

参考

イラク石油相は10月4日、原油の確認埋蔵量がこれまでと比べ24%多い1431億バレルとなったと発表した。
西クルナやズバイルなど南部の大型油田での確認埋蔵量の増加分が全体を押し上げたとしている。

原油埋蔵量は、サウジ、ベネズエラに次ぎ、イランが3位、イラクが4位だが、イラクはイランを追い抜く。

しかし、イラン石油相は10月11日、同国の原油埋蔵量が従来比で9%増となる1503億バレルとなったと発表した。

双方とも、埋蔵量増加について、第三者による確認はない。

イラクは現在、生産枠適用を除外されているが、将来の生産枠復帰をにらんで高い埋蔵量を主張しているとみられ、イランも対抗に引き上げを急いだとされる。(OPECは加盟国の埋蔵量や生産能力に応じて生産枠を定める。)

2009年末の埋蔵量は以下の通り。(億バレル)
(BP Statistical Review of World Energy June 2010)

Saudi Arabia 2646    
Venezuela 1723    
(Canadian oil sands) (1433)    
Iran 1376   →1503
Iraq 1150 →1431  
Kuwait 1015    
United Arab Emirates 978    

 

 


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2010年10月25日 (月)

BP、メキシコ湾の4油田の権益を丸紅に売却

BP1025日、本年3月にDevon Energy から買収したメキシコ湾の深海で操業中の4つの原油・ガス田の権益を、丸紅に650百万ドルで売却することで合意したと発表した。2011年初めに取引完了の予定。

売却対象は以下の通り。
Garden Banks 地域のMagnolia原油・ガス田(ConocoPhillipsが運営)の25%の権益
Atwater Valley 地域の Merganserガス田(Anadarkoが運営)の50%の権益
Nansen 原油・ガス田(Anadarkoが運営)の50%の権益
Mississippi Canyon 地域の Zia 原油・ガス田(BPが運営)の65%の権益

これらの権益からの生産量は原油換算で日量15千バレル。
丸紅の世界の油田の持分はこれを加えると50千バレルとなる。

BP20103月(事故の前)にDevon Energy から、これら4つの権益と、ブラジル、アゼルバイジャンの資産を70億ドルで買収した。

Devon Energy 2009年11月に、北米の陸上油田に集中するため、メキシコ湾と海外の油田を売却すると発表した。

Devon Energy
BPへの売却のほか、Apache Corporationにテキサス、ルイジアナ、アラバマ沖の油田権益を10.5億ドルで売却している。

なお、BPは本年7月Apache Corporationに対し、米国、カナダ、エジプトの石油資産を総額70億ドルで売却する契約を締結したと発表した。
売却対象はテキサス州とニューメキシコ州南東部にまたがる
パーミアン盆地の油田、西カナダの天然ガス、及びエジプトの西砂漠油田とEast Badr El-din 油田。
2010/7/22  
BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

BPでは、Devon Energyからメキシコ湾の資産を買収した時点で、これら油田が同地域のBPの事業とフィットしないことが明らかで、もっと価値を認める会社への売却を決めたとしている。

また、BPのメキシコ湾の石油事業は同地で最大で、現在の生産量は原油換算で日量400千バレルに達するが、今回の売却は他の事業に影響を与えないとしている。

 

BPは2011年末までに300億ドルを売却するとしている。これまでの売却は以下の通り。

2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却 70億ドル
   
2010/8/5  BP、コロンビアの石油関連資産を売却 19億ドル
   
2010/9/2  BP、マレーシアのエチレン、ポリエチレンJV持分をペトロナスに売却 363百万ドル
   
2010/10/22  BP、ベネズエラとベトナムの川上事業を売却 18億ドル

 


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石油天然ガス・金属鉱物資源機構、東シベリアで大規模油田を確認 

独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は10月22日、ロシアのイルクーツク石油と共同で探鉱調査を行っているイルクーツク州北部のセベロ・モグジンスキー(Severo-Mogdinsky) 鉱区で可採埋蔵量が1億1000万バレルと想定される大規模油田の試掘に成功したと発表した。

中東産原油と比べて軽質で、硫黄分の少ない良質の原油が確認された。
現在は鉱区南東部だけが探鉱された段階で、鉱区全体の可採埋蔵量は3億7千万バレルとみる専門家もいる。

JOGMECは探鉱調査の終了後、鉱区で保有する49%の権益を日本の民間企業に譲渡する。
商業生産が実現すれば、2014年末の完工を目標に建設中の太平洋パイプラインを通じて日本などアジア諸国へ輸出する。

ほかに同州内のザパドナ・ヤラクチンスキー(Zapadno-Yaraktinsky)鉱区でガス田、ポリシェチルスキー (Bolshetirsky)鉱区で油田とガス田が確認された。


イルクーツク石油は2000年11月にイルクーツク州のいくつかの石油・ガス業者が統合して設立された地場の石油会社で、同州を基盤として、石油・天然ガスの探鉱・開発・生産事業を行っている。
イルクーツク州で最初に原油が生産されたマルコフスコエ(
Markovskoe)鉱区鉱床他11の鉱区を保有している。

JOGMECとイルクーツク石油(INK)は2007年10月に合弁会社INK-Sever(機構49%INK 51%)を設立、INKがJOGMECとの探鉱調査を前提に入札で取得したセべロ・モグジンスキー鉱区の鉱業権ライセンスの譲渡を受けた
(探鉱から開発生産までの複合ライセンスで有効期間は25年間)

2009年5月、両社は新たにボリシェチルスキー鉱区ザパドナ・ヤラクチンスキー鉱区で地質構造調査事業を行うこととし、合弁会社INK-Zapad(機構49%INK 51%を設立、INKとオイルトレーダーのProjects & Technologiesの合弁会社のINK-NefteGazGeologia が保有する両鉱区の鉱業権ライセンスの譲渡を受けた。

両鉱区は、イルクーツク州の州都のイルクーツク市の北約700キロ、セべロ・モグジンスキー鉱区の南約300キロに位置している。

この探鉱調査事業は、新・国家エネルギー戦略(2006年5月)で提唱されている日本のエネルギー供給源の多様化、調達力の強化に貢献するとともに、2003年1月の日露首脳会談における共同声明及び同時に採択された日露行動計画、2007年6月に日露首脳間で提唱された「極東・東シベリア地域での日露間協力強化に関するイニシアチブ」で謳っている「エネルギー安全保障のために極東・東シベリア地域における日露民間企業の協力を促進する」方針に沿うもの。

ーーー

JOGMECの河野博文理事長は10月23日、共同記者会見で、「建設中の東シベリア・太平洋石油パイプラインが完成すれば、東シベリアは日本にとって魅力的な供給源になる」と述べた。

イルクーツク石油のブイノフ会長は、来年以降、約3億ドルを投じてさらに探鉱調査を共同で行い、試掘に成功した油田から日本への出荷開始は4~5年後になるとの見通しを明らかにした。
また、
JOGMECなどと協力してイルクーツク州に天然ガスの加工施設設置を検討していることを明らかにした。「日本の先端技術を導入したい」と強調、JOGMECが開発中の天然ガスの液体燃料化技術の実用化を挙げた。

ーーー

太平洋パイプラインのうち、Taishet から極東アムール州のSkovorodino までは完成している。

Skovorodinoから中国の大慶を結ぶ約千キロの石油パイプラインがこのたび完成、9月27日に、胡錦濤国家主席と訪中しているロシアのメドベージェフ大統領が出席して完工式が行われた。年内にもロシアから中国への原油供給が開始される。

大慶から既存のパイプラインで大連、北京につながる。


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2010年10月23日 (土)

チリ共和国のトピックスー太平洋戦争・FTA先進国・TPP

チリのアタカマ州Copiapo(アタカマ砂漠の南方)近郊のSan Jose鉱山で、2010年8月5日に発生した坑道の崩落事故で地下に閉じ込められた作業員33人の救出作業が10月12日深夜に始まり、13日午後9時55分、最後の作業員となるリーダーが救出カプセルで地上に引き上げられ、全員が69日ぶりの生還を果たした。

4番目に救出されたカルロス・ママニさんは唯一のボリビア人。

ボリビアとチリは国交がなく、ボリビア国民にはチリへの敵対心が強いとされるが、今回、モラレス・ボリビア大統領は救出現場に向かい、チリ政府に感謝を述べた。

ーーー

1879年から1884年にかけて、ボリビア・ペルーの連合がチリとの間で太平洋戦争(Guerra del Paci'fico)を戦った。

アタカマ砂漠の硝石を巡る争いで、ペルーとボリビアが同地域防衛のための秘密同盟を結成、1878年にボリビアがチリ系企業に輸出税を課税したことでチリ政府と争いになり、ボリビアは硝石を禁輸、チリ企業を接収した。

1879年、チリが硝石企業保護のため軍を派遣、ペルーとボリビアに宣戦布告した。

戦争は4年間に及び、チリ軍は優勢で、ペルーに侵攻、最後はリマ市の攻防となり、1883年に3国は和平条約を締結した。

それまでの国境線(上図)は現在の国境線に引き直され、ボリビアは海への出口を失った。
チリは、約4分の1に該当する国土を増やし、アタカマ砂漠にあった硝石工場や銅鉱山などの鉱物資源を一手に独占した。

アタカマ砂漠の硝石は、チンシャ諸島のグアノ(鳥糞石)とともに、肥料及び火薬の原料として世界中に輸出されたが、次第に枯渇してきた。

1898年に英国科学アカデミー会長のサー・ウィリアム・クルックスは、人工増と食物生産量の減少で世界は飢餓に瀕すると予測し、空中窒素の固定による肥料の生産を提案、人類を飢えから救うのはケミストであるとした。

フリッツ・ハーバー教授が圧力・温度・触媒で空中窒素を固定化し、アンモニアの生産に成功、BASFの技術者のカール・ボッシュがこの工業化に成功した。

参考 Thomas Hager 「大気を変える錬金術 ハーバー、ボッシュと化学の世紀」
中西準子氏が雑感5272010.7.20)(ページの後半)に「空気をパンに変える錬金術-書評を書いた本の紹介-」を書いている。

現在でも、ボリビアはチリとの正式な国交を回復しておらず、天然ガスの輸出用パイプラインを(チリ経由でなく)アルゼンチン領土を越えてはるか大西洋側に伸ばしている。
なお、チリとペルー間の国交は回復しており、同国間に鉄道が設置され、またパンアメリカンハイウェイの一部が国境のアリカとタクナを通過している。

ーーー

今回の救出の成功理由として、チリが全世界に援助を求めたことが挙げられる。

チリは貿易の面で、FTAの先進国で世界に開放しており、チリが自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA) を締結して既に発効している国が20099月末現在で47カ国にも及ぶ。

下記の通り、アジア太平洋では日本、韓国、中国、ANZほか、北中南米ではカナダ、米国、メキシコ、中南米諸国、欧州ではEUEFTA、それにトルコとの間で調印している。

調印      発効
日本 2007/03/27 2007/09/03
韓国 2003/02/15 2004/04/01
中国 2005/11/18 2006/10/01
TPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)
 
NZ、シンガポール、ブルネイ(+チリ)
2005/07/18 2006/11/08
オーストラリア 2008/07/30 2009/03/06
カナダ 1996/12/05 1997/07/05
米国 2003/06/06 2004/01/01
メキシコ 1998/04/17 1999/08/01
中米(5カ国) コスタリカ 1999/10/18 2002/02/14
エルサルバドール 2002/06/03
グアテマラ 国会承認待ち
ホンジュラス 2008/07/19
ニカラグア 交渉中
パナマ 2006/06/27 2008/03/07
コロンビア 2006/11/27 2009/05/08
ペルー 2006/08/22 2009/03/01
EU27カ国) 2002/11/18 2003/02/01
EFTA4カ国)
 アイスランド ノルウェー 
 スイス リヒテンシュタイン
2003/06/26 2004/12/01
トルコ 2009/07/14 未定

ーーー

チリの参加するTPP(環太平洋戦略的経済パートナーシップ)は、他に規定がある場合を除いて、発効と同時に他の締約国の原産品に対する全ての関税を撤廃すると規定している。

実際は下記のとおり順次撤廃する。

ブルネイ チリ ニュージーランド シンガポール
発効時 92% 発効時 89.39% 発効時 96.5% 発効時 100%
2010年 残り1.7% 2009年 残り0.94% 2008年 残り0.03%
2012年 残り1.1% 2011年 残り0.29% 2010年 残り1.54%
2015年 残り5.2% 2015年 残り0.12% 2015年 残り1.92%
2017年 残り9.26%

米国、豪州、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加の交渉をしている。コロンビアとカナダも参加の意向を明らかにした。

菅首相は所信表明演説でTPPへの参加検討を突如、表明した。

しかし、全農は「例外を認めないTPPを締結すれば、日本農業は壊滅する」と反対を表明した。
コメなどの除外を認められる可能性は少ない。

政府内でも、「GDPの1.5%の一次産業を守るため、98.5%のかなりの部分が犠牲となっている」とする外務省、経産省などと、農林水産省が対立している。民主党内の反対派も勉強会を設立した。

政府は近く閣議決定する「EPAに関する基本方針」に「農業との両立を図る」ことも明記して「TPP交渉に参加する」との文言を盛り込む方向で調整に入ったと報じられた。

付記

内閣府、経済産業、農林水産省は10月27日、それぞれ試算を発表した。各府省がばらばらの試算結果を示したことで、政府・与党内のTPP議論がさらに混迷する可能性もある。

  前提 影響
GDP 雇用 カロリーベース
自給率
兆円 %    万人 %
内閣府 関税100%撤廃 +2.4~3.2 +0.48~0.65    
不参加なら -0.6~0.7      
「アジア太平洋自由貿易圏
FTAAP」に参加
(+6.7) (+1.36)    
農水省 主要農産物19品目の
    関税完全撤廃
農業支援策なし
GDP    -7.9
(農業生産 -3.7

-1.6 -340 40%→14%
経産省 日本不参加
韓国 米中EUとFTA
(2020年)
-10.5
(自動車、機械、
電気電子)   
-1.53 -81.2  

 


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2010年10月22日 (金)

BP、ベネズエラとベトナムの川上事業を売却

BP1018日、ベネズエラとベトナムの川上事業をTNK-BP18億ドルで売却することで合意したと発表した。
1029日に10億ドル、残りを売却完了時(2011年上半期)に受け取る。

TNK-BPはロシア3位の石油会社で、BPAAR Consortium (Alfa GroupAccess IndustriesRenova)50/50JVである。
BPはこれを通して、売却資産の50%の権益を留保することとなる。

2008/9/9 BP、ロシアの石油JV 経営問題でロシア側に譲歩

対象となる事業は以下の通り。
 ベネズエラ:
   オリノコ盆地
PetroMonagas heavy oil JV16.67%の持分
   
Petroperija JV40%の持分
      Boqueron JV26.67%の持分
    いずれも国営石油会社PDVSA
が運営、BPの生産量は原油換算日量25千バレル。

 ベトナム:
   
Lan TayLan Doガス田(BPが運営)の35%の権益
    
  BPの生産量は原油換算日量15千バレル。
   付随するパイプラインの
32.67%の権益
   ガスを使用する
Phu My 3 発電所(739MW)を運営するJV33.3%の持分

 売却対象のBPの資産の合計埋蔵量は原油換算270百万バレルとなる。

なお、ベトナムのガス田の権益の残りは、インドの国営Oil and Natural Gas Corp(ONGC)が45%、PetroVietnamが20%を保有しており、インドのONGCはBPのベトナム権益買収で交渉していることを明らかにしていた。

売却は2011年末までに300億ドルを売却するとした7月発表の計画の一環。
同社は既に以下の売却を行ってきた。

2010/7/22   BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却 70億ドル
2010/8/5  BP、コロンビアの石油関連資産を売却 19億ドル
2010/9/2  BP、マレーシアのエチレン、ポリエチレンJV持分をペトロナスに売却 363百万ドル

BPはパキスタンの権益の売却も検討している。

BPは中国海洋石油有限公司(CNOOC)との間で、アルゼンチン最大の原油輸出企業でチリ及びボリビアに石油・ガス資産を持つPan American EnergyのBP持ち株60%)の大半をCNOOC売却する方向で交渉を進めていると伝えられている。この価値は 90億ドル程度とされている。   

Pan American Energyの残り40%はBridasが所有する。   

Bridasはアルゼンチンのカルロス・ブルゲロン氏傘下のBridas Energy Holdingsの子会社であったが、20103月にCNOOCはBridasの株式50%を31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdings 50%/CNOOC 50%となっている。

 


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2010年10月21日 (木)

中国の7~9月GDP成長率、9.6% 

中国国家統計局が10月21日発表した2010年7~9月のGDP成長率は、実質で前年同期比 9.6%、1~9月は10.6%だった。

減速しつつはあるが、通年でも、中国政府が通年の目標としている8%を上回り、成長率は10%前後を維持するとみられている。

なお、1-9月の消費者物価指数(CPI)は2.9%上昇した。

最近の中国の輸出入の状況は以下の通り。

9月末の外貨準備高は2兆6483億ドルとなり、6月末比で1940億ドルの増加となった。これは人民元を安値誘導するため為替介入を繰り返したことが主因。

しかし、中国国家外為管理局では、投資先の資産の価格変動が大きな要因だったとしている。とくにユーロの上昇で、外貨準備が800億ドル以上押し上げられたとしている。


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COP-MOP5、「名古屋補足議定書」を採択 

名古屋市で開催されているCOP-MOP5(カルタヘナ議定書第5回締約国会議)は10月15日、遺伝子組み換え生物(Living Modified OrganismLMO)が輸入国の生態系に被害を与えた場合の補償ルールを定めた「名古屋・クアラルンプール補足議定書」を採択した。

輸入国が原状回復や賠償を求めることができる初の枠組みとなる。

COP10生物多様性条約第10回締約国会議)が10月18日~29日に名古屋国際会議場で開催され、それに先立ち、COP-MOP5(カルタヘナ議定書第5回締約国会議)が10月11日~15日に開かれた。

ーーー

生物多様性条約Convention on Biological Diversity」は、ラムサール条約やワシントン条約などの特定の地域、種の保全の取組みだけでは生物多様性の保全を図ることができないとの認識から、新たな包括的な枠組みとして提案された。

1992年5月22日に採択され、リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)において署名された。
翌1993年12月29日に発効し、2009年12月末現在、193の国と地域がこの条約を締結している。
日本も1993年5月に締結している。
米国は同条約を批准していない数少ない国の1つである。

第一条 目的
この条約は、
生物の多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用及び遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分をこの条約の関係規定に従って実現することを目的とする。
この目的は、特に、遺伝資源の取得の適当な機会の提供及び関連のある技術の適当な移転(これらの提供及び移転は、当該遺伝資源及び当該関連のある技術についてのすべての権利を考慮して行う。)並びに適当な資金供与の方法により達成する。

http://www.cop10.go.jp/doc/html/Convention_J.html

2010年は、国連総会の決議に基づき、国際生物多様性年に指定されている。
第6回締約国会議(COP6)で採択された「2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」という目標年でもあり、これまでの取組を評価し、それ以降の目標を決める節目の年となる。

COP10では、2010年目標の達成状況の検証と新たな目標(ポスト2010年目標)の策定と、遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する国際レジームをまとめる最終交渉を行い、文書を採択する予定。

遺伝資源の利益配分については、遺伝資源を使う先進国(利用企業への制約を小さくしたい)と資源を保有する発展途上国(利益配分の範囲を広げたい)の対立が激しい。

中国で生育するトウシキミに含まれるシキミ酸からつくるタミフルなどのように、植物などに含まれる有用な成分を利用することで生まれた製品が多く、企業がこれらから得る利益も膨大だが、遺伝資源をもともと保有していた国(主に開発途上国)に利益が還元されていないことや、富の行き先がバイオテクノロジーの発展した先進国のみであることが問題となっている。

遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分(ABSAccess and Benefit-sharingの問題である。

途上国などは対象とする資源に化学合成物など「派生物」まで含めると同時に、先進国などが得てきた利益を過去にさかのぼって配分すべきだなどと要求している。

本件については、追ってまとめる。

ーーー

バイオセイフティに関するカルタヘナ議定書Cartagena Protocol on Biosafety」は、生物多様性の保全や持続可能な利用に対する悪影響を防止するため、遺伝子組換え生物(LMO)の国境を超える移送、利用等において講じるべき措置について規定したもの。

1995年のCOP2で合意され、1999年コロンビアのカルタヘナで開催された特別締約国会議で議定書の内容が討議されたのち、翌2000年に採択された。2003年に発効し、2009年12月末現在、157の国と地域が締結している。

第1条
この議定書は、特に国境を越える移動に焦点を合わせて、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及ぼす可能性のある遺伝子組換え生物(LMO)の安全な移送、取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保することを目的とする。

http://www.cop10.go.jp/doc/html/Cartagena_Protocol_J.html 

日本はカルタヘナ議定書を2003年に批准し、その実施のため2004年にカルタヘナ法という国内法を施行した。
同法は被害を防ぐ対象を野生生物に限定し、議定書が想定する人の健康や農作物は対象外にしている。

サントリーと100%子会社のAustralia Florigene が世界で初めて開発に成功した「青いバラ」が、2008年1月31日付で、カルタヘナ法に基づく第一種使用規定(切り花の用に供するための使用、栽培、保管、運搬及び廃棄等)の承認を得た。

    2008/2/15 話題 サントリーの「青いバラ」

しかし、LMOの越境移動から生じる生物多様性への損害に関する「責任と救済」については各国が対立、2004年から交渉を続けていた。

COP-MOP55th Meeting of the Parties)では、この責任と救済に関するルールと手続などについて議論され、今回の名古屋補足議定書の裁決となった。

補足議定書の骨子は以下の通り。

遺伝子組み換え生物が生態系や人の健康に被害をもたらした場合、輸入国は原因事業者を特定し、原状回復を求めることができる。
   
事業者は組み換え生物の保有者、開発者、生産者、輸出入者、輸送者などを含む。
   
遺伝子組み換え生物から作られた加工品は適用の対象外。
   
原因事業者が補償しない場合、政府が代執行する。
   
政府は、あらかじめ原状回復できるよう基金創設などを事業者に求めることができる。
   
40カ国・地域が批准すると90日後に発効する。
 

被害を発生させる対象範囲が問題となり、輸入するアフリカ諸国は「組み換え作物から作られる加工品も損害を発生させる恐れがある」と繰り返した。
結局、輸出国の意向を尊重し加工品は除外されたが、輸入国が国内法で組み換え作物の範囲を定める裁量を容認するなど、随所に妥協が図られた。

名古屋補足議定書について、政府は来秋以降の批准を目指す。

国内法での対応については、政府は、「健康被害は食品衛生法、生態系被害はカルタヘナ法、農産物は民事訴訟法で対応できる」とし、新たに法律を制定したり法律を改正する必要はないとの立場を取っている。

 


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2010年10月20日 (水)

米USTR、中国のグリーン技術製品に対し301条調査開始

米通商代表部(USTR)は10月15日、中国の風力・太陽光発電などの「グリーン技術」製品に対して、米通商法301条(不公正貿易慣行国の特定・制裁)に基づく調査を始めたと発表した。蓄電池や次世代自動車なども対象となるもよう。

中国が関連製品の供給を国際的に独占するため、不当な補助金や外国企業の締め出しなどを実施しているとの疑いを調査する。

全米鉄鋼労働組合(USW)は9月9日に5800ページに及ぶ訴えを提出、太陽パネル、風力発電タービンから蓄電池、次世代自動車まで再生可能エネルギー製品で米国の通商を差別していると批判している。

特に、以下の点を問題視している。
・中国内で採掘、製造される重要物品へのアクセスの制限
・国内のグリーン技術企業への補助金
・輸入品、外国企業への差別

USTRは、USWの主張を重視、精力的に調査を行うとしている。

ーーー

中国国家エネルギー局の張国宝局長は10月17日、米国の調査開始について、「損害を受けるのは米国だ。米国が自国の新エネルギー産業に対してどれほど補助金を提供しているかを全世界に露呈するだけで、米国がこの貿易戦争に勝利することはない」と述べ、以下の通り反論した。

中国の新エネルギー企業に対する補助金の総額は微々たるものであるのに対し、米国は今年1~9月、新エネルギー企業に46億ドルもの補助金を提供している。風力発電企業はそのうちの30億ドルを獲得している。
   
米国が2009年に発表した再生・再投資法案は、米国の再生可能エネルギー、エネルギー効率、スマートグリッドに対して補助を行うものであり、なかでも再生可能エネルギーに対する補助は252億ドルに及ぶ。
米エネルギー省は補助を受けた太陽エネルギー事業に対し米国産ウエハーの使用を義務付けた。
   
中国の風力発電事業の入札は中国企業を対象としたものであり、外資系企業を差別しているとの批判は事実とはまったく異なる。中国はいかなる新エネルギー設備製造業者も差別することはない。
  2009年の中国の風力発電事業の市場規模は約850億元で、そのうち21%が国外での調達。
中国の風力発電事業が国外の企業に多くのチャンスを与えている。
   
中国がこれまでに米国に輸出したのは風力発電機3台のみで、総出力は1万キロワットにも満たない。一方、米GEが2005年から5年間に中国に輸出した風力発電機は累計113万キロワットにのぼる。
   

ーーー

米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は10月19日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアースの禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。

同紙は、中国側が上記のUSTRによる301条調査開始に不満を持ち、対抗措置に踏み切った可能性があると指摘している。

商務部対外貿易司の王受文司長は20日、「中国は米日欧向けのレアアースの輸出を止めていない。来年の輸出枠については現在検討中だ」とコメントした。

 


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BP、メキシコ湾原油流出事故で油濁法の損害賠償限度額の権利放棄を言明

BPは10月18日、広域所属訴訟multi-district litigation)のヒアリングで、メキシコ湾石油流出事故に関して、重大な過失はないとしつつ、1990年油濁法に基づく損害賠償の75百万ドルの限度規定を放棄すると言明した。
「BPは油濁法での責任限度額規定にかかわらず、全ての適法な請求には応じるとしてきた」としている。

同社は同時に、他の責任企業、リグ所有者の Transocean、権益保有2社Anadarko Petroleum と三井石油開発子会社のMOEX Offshore 2007 LLC にも限度規定の放棄を求めているが、各社は応じていないと述べた。

BPはこれまでに140ドル以上を支払ったことを明らかにし、他の各社が限度規定放棄に応じなくてもBPの姿勢に変更ないとし、各社に支払いを求める権利を留保すると述べた。


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Arkema、中国でPVDF生産

Arkema 928日、中国の新工場で2011年初めにKynar(R)ブランドのポリフッ化ビニリデン(PVDF)の生産を開始すると発表した。   

2006年にペルフルオロオクタン酸(PFOA)などの過フッ素化界面活性剤は、米国環境保護局(EPA)の監視対象になったが、Arkema では、自社のPVDF製品シリーズで使用されるフッ素系界面活性剤の量を段階的に削減するための代替研究プログラムを開始することを決定し、新しいフッ素系界面活性剤を使用しないFSFプロセスを使用したKynar500® PVDF樹脂を導入した。

新工場は江蘇省常熟市の新材料産業園の同社の敷地内にある。

江蘇省常熟新材料産業園は常熟の北に位置し、長江に隣接、江蘇省の沿江開発戦略の重要な部分となっている。

新規材料産業やファインケミストリー、バイオケミストリー、医薬ケミストリー産業を中心に、
DuPontArkema、ダイキン、Solvay、台湾の華新麗華、上海の三愛富など国内及び国外の有名な企業が投資している。

Arkemaは同産業園でフルオロケミカル、ポリアミド、有機過酸化物及びスラッシュ成形の施設を擁している。

Arkema (Changshu) Fluorochemical1996年に設立された。
フッ化水素酸と
CFC(クロロフルオロカーボン)代替品を生産する最初の外国企業。

工場は20005月にスタート、現在、年産20千トンの無水フッ化水素酸と35千トンのFORANE®22を生産している。

ーーー

200711月、ダイキン工業とArkemaは、
香港に、日本を除くアジア・オセアニア地域での空調機器用新冷媒の販売を行う新会社
Daikin Arkema Refrigerants Asiaと、
Arkemaの常熟工場隣接地に、新冷媒の主要構成ガスであるHFC-125の製造・販売を行う新会社Arkema Daikin Advanced Fluorochemicals (Changshu)を設立した。

前者はダイキン60%Arkema40%出資
  新冷媒
(R410AR407CR404A)の販売、冷媒用HCFC-22HFC-134aの販売

後者はダイキン
40%Arkema60%出資
  
HFC-125の製造・販売

JV設立により、HFC-1252010年以降の安定供給を目指すとともに、ダイキンとArkemaの両社の技術を融合することによるコスト競争力の強化を図る。

ダイキンとArkemaは、1990年代後半から中国・常熟でのフッ素樹脂事業やフランス・リヨンでのフッ素ゴム事業において協業を行うなど、緊密な関係を構築している。

両社は20105月、JVのHFC-125の生産開始を発表した。

HFC-125を含む冷媒は、Daikin Arkema Refrigerants Asiaを通じてアジア・オセアニア地域に、またダイキン、Arkemaを通して日本、欧州、米国などグローバルに販売していく。

ーーー

Arkema20097月に、子会社のCoatexで特殊アクリルポリマーの生産プラントを建設すると発表した。

投資額は約1500万ユーロ。2011年半ばからアジアにおいても塗料、鉱物加工、建築及び製紙の成長市場をターゲットとしたアクリルポリマーの生産能力を得るとしている。塗料分野の他、製紙、接着剤、鉱物加工、コンクリート、セラミックス、化粧品、水処理、繊維及び皮革など特殊ケミカル用途を軸に多分野での実績を持つ。

Arkemaにとってもアクリル事業とその下流部門事業を統合するグループ戦略の一環と位置づけている。

Arkema(前身はAtofina )はMMAモノマーとポリマーを持つ。
MMAポリマーはRohm & HaasMMAポリマーと統合し、AtoHaas を設立したが、その後、Rohm & Haasが撤退して、Arkema 100%出資のAtoGlas となっている。

ーーー

Arkema924日、主に塗料、接着剤市場で使われるエマルジョンポリマー生産のため、ラテックス工場を常熟に建設すると発表した。

30百万ドルを当時、2012年後半のスタートを目指す。

ーーー

Arkema200410月のAtofina 改組により、塩ビ、工薬、機能製品を担当する会社として設立された。


1971年にElf Total が両社で共有する化学事業の管理のため、
 
Ato (Aquitaine Total Organico)
 
PCUK (Produits Chimiques Ugine Kuhlmann) を設立した。

1980年にElf 40%/Total 40%/Rhone-Poulenc 20% 出資でChloe Chimieを設立。

1983年にフランス化学業界再編でAtoChloe Chimie及びPCUKの大部分を合体し、Atochemを設立。

1992年にElf Atochem に改称。

1999年のTotalFina Elf の合併(TotalFinaElf、その後 Total に改称)により、2000年に化学事業を統合し、Atofina となる。

200410月、Atofina 改組。

石油化学 Total Petrochemical
Chemical Intermediates Plastics Arkema
肥料 Grande Paroisse
Specialties resins Cray Valley
Sartomer
Adhesives Bostik
Electroplating Atotech
Elastomer Hutchinson




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2010年10月19日 (火)

中国、レアアース規制を正当化

日本の丹羽宇一郎・駐中国大使が中国政府の実施しているレアアースの輸出制限について、協調して緩和を要請するよう米国、英国、ドイツ、フランス、韓国など主要国の駐中国大使に呼びかけたと報じられた。

中国商務省の姚堅報道官は10月15日、「レアアースの採掘、加工、輸出に対する中国の管理措置は国際ルールとWTOの規則に合致するものだ。中国は希土類金属の輸出を封鎖手段にしない」と述べた。

「中国で、これまでのレアアースの採掘と利用が規範化されていなかったため、大きな環境問題を引き起こした。
最近、国内の法律と法規に基いて、レアアース産業に対する必要な管理と制限を行った。
その目的は環境保全や持続可能な発展を実現させることにある。」

「中国はレアアースの輸出を封鎖手段にせず、協力や発展、共栄の中でレアアース資源における互恵協力を実現させることを希望する。また、国際協力を通じてこの再生不可能な資源を管理していきたい」と述べた。

温家宝総理は先のヨーロッパ訪問で、「中国はレアアースに対する管理を強化する必要があるが、世界の需要を考慮し、レアアースを駆け引きの手段とはしない」と明確に宣言した。

ーーー

10月19日付のChina Daily は商務部担当者の発言として、中国が来年のレアアース輸出枠を最大30%削減すると報じた。
このままの生産が続けば、(ネオジムやジスプロシウムといった)中重希土類15~20年で枯渇する恐れがあるとしている。

輸出許可枠
  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

付記

米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は10月19日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアースの禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。

商務部対外貿易司の王受文司長は20日、「中国は米日欧向けのレアアースの輸出を止めていない。来年の輸出枠については現在検討中だ」とコメントした。

ーーー

最近の中国紙はこの問題を頻繁に取り上げている。主な主張は以下の通り。

悔やまれる「白菜と同じ値段」のレアアース
   
  中国のレアアースの可採埋蔵量は全世界の43%を占め、世界第一位である。
中国は1972年にレア
アースの多段抽出理論及び新たな加工技術の研究を開始した。
しかし、埋蔵量と分離技術が最も進んだ中国には、レアアースの価格決定権がない。
密輸、外国による買い溜め、国内採掘権の混乱などが、中国のレアアース価格決定権の部分的な喪失を招いた。

特許権により私営企業のレアアース採掘を制限することを考えなかったため、レアアース業界における悪い競争が引き起こされた。

過去10数年間には、中国のレアアース酸化物の価格は1トンあたり数千元、1キロあたり数元程度で、「白菜と同じ値段」とも言われていた。

「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」。
これは鄧小平の1992年の言葉だが、レアアースは石油よりも貴重とされながら、中国はまだレアアースによって相応の富を得ていないのは事実である。

   
レアアースの備蓄戦略は必須
   
  中国のレアアースは、採掘量は多いが、中国の利用率は低い。

1958年に包頭鋼鉄公司が創業を開始してから、2008年までに、白雲鄂博の中央鉱床・東鉱床で採掘したレアアースは1500万トンだが、その利用率は10%にも満たない。
トリウムは8万トンを採掘し、利用率は0%である。

2008年の採掘速度でいけば、中央鉱床・東鉱床は25年以内に掘り尽くしてしまう。
中国南部のイオン吸着型鉱床は1970年から2007年までに資源の60%を消費した。現在の採掘速度でいけば、10年以内に掘り尽くしてしまう。

この時、米国は世界第一位のレアアース大国となり、レアアースの価格が100倍、1000倍にも高騰する可能性がある。
中国の現在のレアアース開発速度でいけば、数10年後、中国は自給自足が困難となり、「レアアース大国」から「レアアース不足国」へと変わる。

参考 2010/9/8 「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」

   
レアアース業界の発展には規範化と管理が必要
   
  レアアースは再生不可能な希少資源で、先端技術や国防技術の原材料としては欠かせないもの。中国は世界の30%のレアアース埋蔵量で、世界の90%以上の需要に応じており、これを長期的に継続するのは難しい。

中国のレアアースは長年、低価格で輸出され、早い時期から数多くの環境問題を引き起こしており、レアアース産業の早急な規範化が求められている。

中国政府はレアアースの持続可能な発展を維持するため、レアアースの生産と輸出の管理強化に踏み切ったが、目的は環境保護や持続可能な発展を実現することにあり、中国の発展に対する責任であると同時に、世界の発展に対する責任でもある。

   
 

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ

   
大畠章宏・経済産業相は最近、中国の日本向けのレアアース輸出について「正常な水準にまで戻っていない」と語ったが、れまでのような大量かつ無秩序な、廉価での輸出を指すのであれば、そのような「正常な水準」に戻ることは二度とないだろう。
   

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伊藤忠、米国のシェールオイル開発に参加、商社の非従来型石油/ガス開発出揃う

伊藤忠は10月15日、米国のエネルギー・電力・建設関連複合企業 MDU Resources Group Inc.の子会社で石油天然ガス開発会社のFidelity Exploration & Production Company との間で、米国ワイオミング州Niobraraエリア約88,000エーカーの石油ガス鉱区権益の25%を取得し、シェールオイル開発事業に参画する契約を締結したと発表した。

米国のシェールオイル事業に参画する最初の日本企業となる。

シェールオイルは非在来型資源の一種で、石油や天然ガスを生成する根源岩(有機物に富む堆積岩)であるシェールおよびシェール中に挟在するシルト岩や炭酸塩岩等に集積している原油。
シェールガスと同様の開発技術(水平坑井掘削や水圧破砕等)を用いて原油を採取する。

Fidelityは、米国ノースダコタ州のBakkenエリアにおいてシェールオイル事業の操業主体として成功を収めている。

2011年より掘削及び生産を開始する予定で、伊藤忠が拠出する総開発費用は約390百万米ドルとなる見込み。

米国におけるシェールガスおよびシェールオイル

ーーー

双日は米国テキサス州にてTightsand gas、シェールガスの開発を加速する。

同社は6月16日、現在日量900万立方フィート(原油換算約1500バレル)のTightsand gasを生産しているテキサス州北東部Carthage onshore gas 鉱区で、これまでのこれまで垂直掘削に加え、水平掘削を開始、生産規模を倍増すると発表した。

水平掘削を行うことで、開発井1本あたりの生産規模を拡大し、生産効率を上げ合理化を図り、合計生産量は日量1500万立方フィート(原油換算約2500バレル)となる。

Tightsand gasは浸透率が低い砂岩に含まれる天然ガス。

Carthage鉱区は、双日が20077月に取得した非在来型のTightsand gas開発鉱区で、埋蔵量は900億立方フィート(原油換算約1500万バレル)超が見込まれている。
さらに、同鉱区内の深層部に、広くシェールガス層が存在する事を確認している。

将来的にこのシェールガス層でも水平掘削を行い、ガス生産を日量2000万立方フィート(原油換算約3300バレル)まで倍増させる。

ーーー

北米のシェールガス開発では、以下の各社が開発に参加している。

三菱商事 ブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガス

 
2010/8/26 三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 
三井物産 ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアのシェールガス

 2010/2/18  
三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画
住友商事 ①テキサス州Barnett Shale field開発
②ペンシルベニア州
Marcellus Shale field開発

 2010/8/26 
三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画 

 

なお、中国勢の北米の非従来型石油/ガス開発については下記を参照   

2010/10/18  CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加

ーーー

丸紅は10月15日、豪州のコールシームガス(CSG=炭層ガス)の開発会社であるEastern Star Gasが、豪州ニューサウスウェールズ州のニューキャッスルで計画している中規模電動LNGプラントの事業化調査を共同で実施することで合意したと発表した。

Eastern Star Gasはニューサウスウェールズ州最大のCSG鉱区を保有しており、生産されるガスをニューキャッスルに建設予定のLNGプラントで液化し、2014年以降に輸出することを計画している。
LNG輸出量は当初年間100万トンからスタートし、将来的には年間400万トンまでの拡張を計画している。

コールシームガス(炭層ガス)は石炭層とその周辺から採掘されるメタンガスで非在来型天然ガスの一種。

丸紅は今回のプロジェクトを初め、今まで事業化されることが無かった中小規模のガス田、及び、CSGを初めとする新しいタイプのガスを利用したLNG事業の検討を今後も積極的に展開し、上流開発からLNG販売までのバリューチェーンを構築し、さらなるLNGの安定調達に貢献していきたいとしている。

 


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2010年10月18日 (月)

Rio Tinto と BHP Billiton、鉄鉱石の製造JVを断念

Rio Tinto BHP Billiton は10月18 鉄鉱石統合の断念を発表した。

契約調印後、各国の独禁法当局に認可の申請をしていたが、認可を得るのが難しい状況となったため、断念する。

契約では、どちらかが取り止めた場合は、違約金275.5 百万米ドルを支払うこととなっているが、今回はこの問題は発生しない。

ーーー

2007BHP Billiton Rio Tinto に対して買収の提案を行い、2008年11月にBHP Billiton が買収を諦めたが、買収の主な目的は西豪州の鉄鉱石であったと言われる。

2008/11/27 BHP BillitonRio Tinto 買収を断念 

Rio Tinto は20092月12日、中国国有アルミ大手、中国アルミ業公司(Chinalco)から現金で195億ドルの出資を受けると発表したが、6月5日、中国アルミの出資取り止めを発表した。違約金として195百万米ドルを支払った。

中国勢の豪州進出が相次ぎ、これに不安を感じる反対派と中国との関係強化を図る賛成派が互いを攻撃し、政治問題化した。

2009/6/6  中国アルミのRio Tinto への出資取り止め

Rio Tinto BHP Billitonは2009年6月5日、両社の西豪州の鉄鉱石資産を包含する製造JVの設立の基本契約に調印、同年12月5日に本契約に調印した。

Rio Tintoにとり、中国アルミの出資取り止めと、これに伴う資金不足対策の2つのうちの1つ。(もう一つは株主割当増資)

両社50/50出資のJVは、両社の現在及び将来の西豪州の鉄鉱石資産及び負債を引継ぐ。
BHP Billiton の資産の比率は45%であるため、50/50JVにするために、BHP Billiton Rio Tinto 58億米ドルを支払う。

当初は製品の15%までをJVが直接販売する構想であったが、10月に取り止めた。

JVは製造JVで、鉱石をコストで両社に等量を引き渡し、両社はそれぞれ独自に販売する。
技術と
R&D活動もJVにプールされる。

但し、HIsmelt (銑鉄プラント)や二次処理設備、西豪州以外での現在及び将来の事業展開はJVから除外される。

2009/6/6  中国アルミのRio Tinto への出資 取り止め

ーーー

公正取引委員会は9月27日付で、両社に対し「独占禁止法に違反する恐れがある」と指摘した。

松山隆英事務総長は10月13日の記者会見で、「鉄鉱石の海上貿易市場で、競争が実質的に制限される恐れがある」と説明、「両社の意見を裏付ける追加資料などを踏まえて最終判断したい」との考えを示した。
両社の事業を統合すれば鉄鉱石の海上貿易市場のシェアは4割となる。

付記
「今回の生産統合によって影響を受ける海上貿易によって供給される鉄鉱石の塊鉱と粉鉱ですが、これらの生産、販売事業について、1つの市場が画定できるだろうということでありまして、その取引分野における競争が実質的に制限されることとなるおそれがあると指摘を行ったということであります。
 

Rio Tintoは日本(と韓国)の公取委からの指摘を取締役会で協議していると公表した。

BHP Billiton Rio Tintoは10月14日、ドイツのGerman Federal Cartel Officeから「承認しない方針」を伝えられたと発表した。
独当局の判断は、欧州連合当局の反対を暗示したとみられた。

これに対し、両社は、JVがpro-competitiveであり、鉄鉱石の供給増に貢献すると信じるとしつつ、各国当局の懸念も分かるとしていた。

ーーー

公取委は10月18日、事前相談の審査の中止を発表した。

当委員会は、平成22年9月27日に、海上貿易によって供給される鉄鉱石の塊鉱及び粉鉱の生産・販売事業について、本件JVの設立により競争が実質的に制限されることとなるおそれがある旨問題点の指摘を行ったところ、本日、(両社が)本件JVの設立計画を撤回する旨を公表したため、本件事前相談に関する審査を中止することとした。
本件については、当委員会のほか、豪州競争・消費者委員会、欧州委員会、ドイツ連邦カルテル庁、及び韓国公正取引委員会も審査を行っており、当委員会は、これら競争当局との間で情報交換を行いつつ本件事前相談に関する審査を進めてきたところである。

【参考】本件事前相談の経緯
平成22年1月20日 事前相談の申出
平成22年6月16日 第1次審査開始
平成22年7月16日 第2次審査開始
平成22年9月27日 問題点の指摘


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CNOOC、テキサス州のEagle Ford Shale projectに参加 

中国のCNOOCと米国のChesapeake Energy 1010日、CNOOCChesapeake Energyの南テキサスのEagle Ford Shale project60万エーカーのリース権益の33.3%を購入する契約に調印した。

対価としてCNOOCは契約成立時に10.8億ドルを支払うほか、2012年末に追加の10.8億ドルを支払うまで、Chesapeake負担の掘削費等の75%を支払う。

インドのReliance Industries 624日、米国のPioneer Natural Resources CompanyJVを設立し、PioneerEagle Ford Shale45%を取得すると発表している。

2010/7/3 Reliacne IndustriesPioneer Natural Resources と組んでテキサスのShale を開発

Chesapeake はオペレーターとして、リース、掘削、操業、マーケティング活動を行う。

両社は今後数十年にわたり、原油換算で40億バレルの資源を開発する。(ロイヤリティとして平均25%を控除後)

Chesapeake は現在、10基のリグを使っているが、CNOOCの資金を投入し、2012年末までに約40基に増やす。
現在の生産は原油で日量
2,360バレルとガスで4.4 mmcf に過ぎないが、今後10年内に石油換算で日量40-50万バレルの生産を期待している。

CNOOCはこのほか、今後Chesapeakeが同地域で取得する権益の33.3%と、Chesapeake の持つインフラの33.3%を買収するオプションを持つ。

ーーー

中国の石油会社は世界中で投資を行っているが、北米の非従来型石油/ガスでは、ほかにカナダのオイルサンドに参加している。

Sinopec20056月、カナダのアルバータ州Northern Lightsにおけるオイルサンド事業の権益の40% を15千万カナダドルで買収し2009年に買い増しして50%にアップした。

PetroChina 2009831日、カナダのAthabasca Oil Sands Corp. からMacKay River 及び Dover オイルサンド計画の60%の権益を取得する契約を締結したと発表した。対価は19億カナダ ドル。

2009/9/10 PetroChina、 カナダのオイルサンド事業に参加

Sinopecは本年4月に、ConocoPhillipsからカナダのオイルサンド事業会社 Syncrude Canada Ltd の持株 9.03%購入する契約を締結、6月にカナダ政府の承認を得た。

2010/4/16 Sinopec、カナダのオイルサンドに投資

 


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2010年10月16日 (土)

中国で地熱による地域暖房事業拡大

シノペック子会社Sinopec Star Petroleum とアイスランドのGeysir Green Energyはこのたび、内蒙古自治区での地熱開発に関して契約に調印した。

両社は本年6月9日、アイスランド外務省で、中国での地熱開発を拡大するための5年間の契約に調印、合弁会社のSino-Icelandic Green Energy Geothermal Development Corporationを設立し、陝西省、河北省、北京市、天津市、及び中国北東部での地熱開発を取り決めた。

今回の契約は中国北東部での地熱開発に関するもので、Geysir Green Energyの中国事業子会社Enex ChinaとSinopec Star は地方政府に協力し、同自治区の阿爾山での地熱調査を行う。
地熱による室内暖房、温室栽培、地熱発電を目指し、地熱開発と地熱利用で協力する。

Enex ChinaはGeysir Green Energy が80.5%、残りをアイスランドの地熱開発のReykjavik Energy Invest が出資している。

Geysir Green Energy はアイスランドの地熱エネルギー開発会社で、アイスランドのほか、ドイツ、中国、フィリピンで活動している。
2009年にはEl Salvadorで9.3MWのバイナリー(*)地熱発電所を稼動させている。
   

* 温度の低い蒸気でも発電できるように,沸点が36℃のペンタンなどの蒸気をつくり、これでタービンを回して発電するもの

温家宝首相は本年9月、アイスランドのPresident Olafur Ragnar Grimssonとの天津での会談で、地熱開発で両国の協力関係を深めたいと述べた。

ーーー

Enex ChinaとSinopec Starは49%/51%で Shaanxi Green Energy Geothermal Development (SGE)を設立し、陝西省咸陽市と河北省保定市で地熱による地域暖房を行っている。

SGE社の最初の事業は陝西省咸陽市で地熱による地域暖房を設置、運営するもので、それまで使われていた石炭による暖房を置き換えた。
第一期は2006年に完成、現在では11の地熱井戸と7つの暖房センターを持ち、ピーク能力100MWサーマル、ベース能力70MWサーマルで、咸陽市の120万m2以上の地域に熱を供給している。

第二の事業が河北省保定市のもので、2009年11月に開始した。
現在では30万m2に熱を供給し、2010年末には100万m2になる。

SGE社は合計で14の地熱井戸、10の暖房センターを運営、ピーク能力は140MWサーマルとなっている。

6月に調印した契約では、まず、既に実施している陝西省咸陽市と河北省保定市の計画を現在の140MWを拡大する。

3年間で熱を供給する面積を2000万m2とし、次の5年間で3000~4000万m2に拡大する。

今回の契約は中国北東部での開発に関するもので、両社の中国での地熱利用の3件目となる。

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中国国土資源部によると、中国には1,000以上の地熱エネルギー田があり、そのうち1/4が利用されており、世界で地熱利用のトップの座にある。

 


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2010年10月15日 (金)

B型肝炎で政府が補償案を提示

全国B型肝炎訴訟のうち北海道訴訟の第5回和解協議が10月12日、札幌地裁であり、国側は補償額を、症状に応じて500万~2500万円支払う具体案を初めて提示した。
原告以外の患者も含めれば、財政負担が最大2兆円になるとする試算も明らかにした。

ーーー

集団予防接種で注射器が使い回されたことが原因でB型肝炎ウイルスに感染したとして、患者ら57人(うち3人死亡)が国に総額199650万円の損害賠償を求めた「B型肝炎北海道訴訟」で、札幌地裁は20103月12日、原告・被告双方に和解を勧告した。

訴状によると、原告57人は道内外在住の3060代の男女。06歳のころに国による集団予防接種を受けてB型肝炎ウイルスに感染したり、集団予防接種が原因でB型肝炎ウイルスに感染した親から母子感染したとされ、1人当たり1650万~6600万円の賠償を求めている。

B型肝炎訴訟を巡っては、最高裁が20066月、国の責任を認め、札幌市の患者5人(うち1人死亡)に対して各550万円、計2750万円の支払いを命じた判決が確定している。

判決概要
1. 予防接種の経緯
1948年厚生省告示で、注射針の消毒は必ず被接種者1人ごとに行わなければならないことを定め、1950年厚生省告示において、1人ごとの注射針の取りかえを定めた。
しかし、B型肝炎ウイルス感染の危険性に関する知見が形成された1951年以降も、国は集団予防接種の実施機関に対して、注射器の1人ごとの交換または徹底した消毒の励行を指導せず、注射器の連続使用の実態を放置していた。
2. 因果関係の判断
通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし、かつ、それで足りるものと解すべきである。
・B型肝炎ウイルスは、注射器の連続使用によって感染する危険性がある。
・原告らは、幼少期に集団予防接種を受け、注射器の連続使用がされた。
・原告らは、幼少期にB型肝炎ウイルスに感染して持続感染者となり、成人期に入ってB型肝炎を発症した。
・他の原因による感染の可能性は、一般的、抽象的なものにすぎない。
経験則上、集団予防接種と原告らの感染との間の因果関係を肯定するのが相当である。
3. 除斥期間の判断
加害行為が終了してから相当期間が経過した後に損害が発生する場合には、損害の全部または一部が発生した時が除斥期間の起算点になると解すべきである。

国内にはB型肝炎の感染者が推計約140万人いるとされるが、国は感染の因果関係がはっきりしないとして一律救済を拒否。
このため、
2008年の札幌地裁を皮切りに、東京や福岡など全国10地裁に患者ら383人(うち6人死亡)が順次、国家賠償を求めて提訴している。
全国
10地裁で係争中のB型肝炎訴訟で、和解が勧告されたのは初めて。

国側は5月14日、和解協議に入る意向を正式に表明したが、戦後最大規模の賠償金額になる可能性があり、巨額の財政負担が発生しかねないことなどを懸念し、救済の具体案提示を先送りしていた。

C型肝炎の場合、国の責任による救済を限定しているため対象者は現在約1400人で、300億円の基金内に収まっている。
因果関係が明確でないB型は国の責任範囲が広がりかねず、救済対象が数十万人単位になると、国の負担が兆円単位に膨らむ可能性がある。

ーーー

今回の国側の補償案は以下の通りで、無症候性キャリアーには検査費の助成のみとしており、総額は約2兆円となる。
菅首相は同日、「国民に負担をお願いすることもあり得る。被害者と同時に国民にも納得してもらえる和解案を生み出す努力が必要」と述べた。

原告側は、無症候性キャリアーも含め薬害C型肝炎と同水準の1200万~4000万円を求めており、国の試算では最大8.2兆円になる。

両者の差は大きく、今後も協議は難航しそうだ。

国側 原告側=C型同様
死亡・肝がん・肝硬変(重症)  2500万円  4000万円
肝硬変(軽症)*  1000万円
慢性肝炎   500万円  2000万円
無症候性キャリアー  検査費助成
 発症時に賠償
 1200万円
和解に要する総額
(国の試算:今後30年間で
発症する患者分を含む)
 約2兆円
  現状 3100億円
  30年間病状進行
      1.2兆円
  検査費 5000億円
 約8.2兆円
  現状    6.8兆円
  病状進行 1.4兆円
救済対象の証明方法  母子手帳
 腕の注射痕など
  (予防接種以外の
   感染の可能性)
 国内居住歴
 (国民のほぼ全員が
  予防接種を受けている)

 * 肝硬変の重症、軽症判断は、日常生活や働くことが制限されるかどうかなど

国側は、B型肝炎の感染者数を110万~140万人と推計。予防接種で感染した救済対象は最大で、
(1)死亡 5000人
(2)肝がん、肝硬変 4000人
   慢性肝炎 24,000人
   計2万8000人
(3)無症候性キャリアー44万人(うち4万人が今後発症)と試算している。

同じ肝炎でもC型肝炎と差をつけた理由として、国側は「薬害肝炎と比較して因果関係の根拠が乏しく、同水準とするのは不適当」としている。

これに対し患者側は、「B型もC型もウイルスとの闘いに差はない。命に差をつけるのは納得がいかない」と非難している。

ーーー

フィブリノゲン製剤と第9因子製剤の投与による薬害C型肝炎救済法では、給付額は以下の通りとなっている。
 慢性C型肝炎が進行して、肝硬変もしくは肝がんに罹患し、または死亡した者 4000万円
 慢性C型肝炎に罹患した者 2000万円
 それ以外 1200万円

2008/1/16 薬害肝炎救済法 成立 

患者側はこれと同じ補償を求めている。

ーーー

2009年11月30日に「肝炎対策基本法」が参議院で可決され成立した。

日本にはB型肝炎・C型肝炎に感染している人が350万人、患者が60万人いると推計され、国内最大の感染症となっている。

肝炎対策基本法は、肝炎対策の基本理念を定めるとともに、国・地方公共団体の責務を明らかにした上で、肝炎の予防・早期発見・療養に係る経済的支援等の施策を総合的に推進するもの。

具体的内容は以下の通り。

1.国の責任を明記

「薬害肝炎事件では、感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止し得なかったことについて国が責任を認め、
集団予防接種の際の注射器の連続使用によってB型肝炎ウイルスの感染被害を出した予防接種禍事件では、最終の司法判断において国の責任が確定していること等を踏まえて制定した」。

2.肝炎対策の基本理念

居住地にかかわず肝炎の検査・適切な治療を受けられること、
施策の実施にあたって差別されないよう配慮すること

3. 国・地方公共団体・医療保険者・国民・医師の責務を明らかにする
  政府は、肝炎対策を実施するための財政上の措置を講じなければならない

4. 肝炎対策基本指針を策定

(以下、略)

肝炎が国民病になったことについての国の責任を明記するとともに、国・地方公共団体・医療従事者等の責務を定めた点は評価できる一方、具体的な予算措置は記載されていない。


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2010年10月14日 (木)

インドネシア、アサハンアルミの将来

10月11日の日本経済新聞は
「インドネシア、アルミ一貫生産めざす 日本との精錬合弁 経営権獲得へ交渉」
と題する以下の内容の記事を掲載している。

インドネシアと日本のJVのアサハンアルミが操業30年を迎える2013年11月以降、インドネシア政府は日本の出資分を買い取る権利を持つ。

現在の出資比率は日本側 59%、インドネシア側 41%となっている。
JV協定は「生産開始」(1983年11月1日)から30年後に満了、設備は簿価などの補償を条件として、インドネシア政府に移管されることとなっている。

インドネシア側はボーキサイト生産を手掛ける国営鉱山大手Aneka Tambang (Antam) を経営に参画させ出資比率を50%超に引き上げたい考え。

Antamは中国の資源大手、杭州錦江集団と、中間原料のアルミナを年100万トン生産することで合意した。14年の稼働をめざす。

インドネシアはボーキサイト生産国だが、これまでは全量を輸出し、アサハン事業向けのアルミナは輸入してきた。
Antamのアサハン事業への参画と中国との合弁を通じ、ボーキサイトからアルミニウムまで国内で一貫生産する体制が整う。

ーーー

インドネシア政府は、スマトラ島の産業開発のため、アサハン川に大水力発電所を建設し、その豊富、低廉な電力をもって、アルミニウム製錬を行なうことを計画し、これに対する外国企業の参加を期待した。

1969年には、アメリカのカイザー、住友化学・日本軽金属・昭和電工の日本3社連合、さらにアルコアが相次いで同地におけるアルミニウム製錬に関心を表明した。

その後、日本側はアルミ精錬と電力開発の一括実施を計画、米国側にも参加を求めたが、米国2社は資金の調達難と電力開発の一括実施に強い難色を示し、1974年に参加を断念したため、本計画は日本側のみで実現を図ることとなった。
住友化学が幹事会社となり、三井アルミニウムと三菱化成を加え、更に、住友商事・伊藤忠商事・日商岩井・日綿実業・丸紅・三菱商事・三井物産の7商社に参加を求め、業界をあげて取り組むこととなった。

計画は以下の通り。
 北スマトラ、
Kuala Tanjung地区にアルミニウム年産225千トンの製錬工場(75千トン3系列)
 トバ湖から流れるアサハン川の上流の
SiguraguraTanggaの両瀑布に最大出力513千kwの発電所
 原料アルミナは輸入
(Alcoa of Australia)
 所要資金は2500億円
  (タウン、道路、港湾などのインフラの整備を含む)
 製錬工場の第1系列は1981年後半に稼動し、全設備の完成は1984年。

インドネシア側は同国のナショナルプロジェクトとして推進することにし、スハルト大統領は1975年に同国を訪問した河本通産大臣に対し、日本政府からの資金供与を強く要請した。

1975年7月、日本政府は、本計画を日本・インドネシア両国間の最重要経済プロジェクトとして実現を図ることとし、日本輸出入銀行、海外経済協力基金と国際協力事業団を通じ、所要の資金援助を行なうことを閣議決定した。

1975年7月に日本側参加12社とインドネシア政府間の基本協定が締結された。

日本側の地金引取量は生産量からインドネシア側 の引取量(1/3を上限)を除いたもの
(その後の修正で、3/5を日本向け、2/5をインドネシア国内向けに)

この協定の有効期間は「生産開始」(全炉の2/3が通電した日の翌月1日)から30年後に満了
設備は簿価などの補償を条件として、インドネシア政府に移管される。

同年末に日本側投資会社の「日本アサハンアルミニウム」が設立された。

国際協力銀行 50%
精錬5社 各7.5%、計37.5%
7商社合計 12.5%

1976年1月、日本アサハン 90%、インドネシア政府 10%の出資で、P.T. Indonesia Asahan Aluminium (INALUM)が設立された。

その後、詳細FSが実施され、石油危機の影響による資機材の価格、労務費などの上昇と一部設計の変更により、見直し後の所要資金は4,110億円に増加した。

これに基づき協議の結果、1978年10月に基本協定の修正契約書に調印した。
資本金911億円、借入金3,199億円とし、出資比率は日本アサハン 75%、インドネシア政府 25%となった。

プロジェクトの遂行に当たっては日イ相互の理解と協調に努めた。 
・インドネシアの国内産業と国内業者の優先使用で、最終的にはインドネシアでの調達額は30%になった。
・インドネシア人の最大限の雇用と同国への技術移転
  基幹要員約100人を約1年間日本に送り、住友アルミニウム製錬と東京電力で実習を行った。
・アサハン地域の開発
  電力の供給、役所庁舎、校舎などの地方政庁への寄贈、奨学金の創設など共存共栄に努めた。

精錬工場から16kmのところに、一般住宅1,340戸、単身寮5棟、ゲストハウス、クラブハウス、教育施設(幼稚園~中学校、日本語学校)、診療所、教会、モスク、墓地、電話局、ショッピングセンター、タウンホール、公園、ゴルフコース、上下水処理場、等々を備えた200haのタウンが建設された。

1982年1月、精錬第一期が完成し、開所式が行われた。
1983年6月に発電設備が全て完成、10月に精錬第二期の立ち上げが完了、1983年11月1日が「生産開始時点」となった。(この30年後に協定が満了する)

1984年11月に全面操業となった。

しかし、1985年9月のプラザ合意後、短期間に大幅な円高が進行した。

アサハン計画の地金コストは安価な電力のメリットもあり、金利、償却を除けば他に遜色のないものであったが、同計画の収入がドルベースであるのに対し、総建設費用の80%近くを円建ての借入金で賄っているため、急激・大幅な円高で為替差損と金融費用が増加し、INALUMの経営を圧迫した。
(借入金がほぼ倍増したこととなる)

1986年にINALUMは金融機関に2年間の返済猶予を仰ぎ、この間に抜本策を講じることとした。

その結果、1987年6月、日本政府関係機関から所要の援助を行うことが閣議了解され、インドネシア政府も融資金の相当額を出資に切り替え、559.9億円の増資が行われ、出資比率は日本側 58.9%、インドネシア側 41.1%となった。

1994年8月、政府関係機関から追加の援助を行うことが閣議了解され、合計130億円の追加出資と、借入金の金利引き下げ、返済期限の延長などの支援が行われた。

INALUMの業績は好転したが、その後の円高で金融費用の負担は依然として重く、その後も、困難な状態が長く続いた。

最近の状況は、詳細は不明だが、アルミ価格が高水準で、残っていた借入金も途中でドル建てに切り替えたため、為替損もなく、黒字となっているとされており、借入金もほとんど返済した模様。

(追加情報)

INALUM20103月期決算は、売上高478百万ドル、経常利益141百万ドル、純利益101百万ドルとなった。この結果、累積損失は73百万ドルとなり、本年度で累積損失を一掃する見通しとなった。

アルミ地金生産量が256千トンと過去最高を更新、稼動開始以来の累計生産量は約550万トンとなった。

上記の記事では、インドネシア側はボーキサイト生産を手掛ける国営鉱山大手Aneka Tambang (Antam) を経営に参画させ出資比率を50%超に引き上げたい考えとしているが、インドネシア側が契約に基づき、設備簿価の補償で全ての移管を求めるのか、出資比率を50%超として、日本側の残留を認めるのか、製品の日本への供給がどうなるのか、これから交渉が始まる。

現在の実生産能力は252千トンとなっている。

ーーー

インドネシアの100ルピア紙幣(1984年発行)の裏面にはTanggaダムの水力発電所が描かれている。
アサハンはインドネシアの近代化の誇りである。

ーーー

インドネシアはボーキサイト生産国だが、これまでは全量を輸出し、アサハン事業向けのアルミナは輸入してきた。

昭和電工は本年8月31日インドネシア政府が65%出資するAntam と共同で2011年1月よりインドネシア西カリマンタン州Tayanでケミカル用アルミナ工場(アルミ精錬用ではない)の建設を開始すると発表した。

JV名はP.T. Indonesia Chemical Aluminaで、 Antam80%、昭電が20%出資する。
アルミナの原料のボーキサイトは採掘権を保有する Antamが供給し、アルミナ生産に関する技術は昭電が提供する。

生産能力は年産30万トンで、このうち20万トンは昭電、残りの10万トンはアンタムが引き取る。
昭電は横浜事業所で年産約20万トンのアルミナを生産しているが、201
5年までに撤退を決定している。

    2010/9/6 昭和電工、インドネシアでアルミナ工場建設

ーーー

Antamは本年7月に、中国の資源大手、杭州錦江集団と、精錬グレードのアルミナ工場建設の契約に調印した。

西カリマンタンのMempawah10億ドルを投じて、年400万トンのボーキサイトを処理し、年産100万トンのアルミナを製造する。

契約ではAntam 49%杭州錦江集団が51%を出資するが、Antam は工場の操業開始3年後にマジョリティを持つオプションを有する。

これが完成すると、インドネシアでボーキサイト→アルミナ→アルミニウムの一貫生産体制が整うこととなる。

ーーー

なお、カリマンタン島のマレーシア側のMukahで、住友商事がアルミニウム地金製錬事業の第一期プロジェクト(2010年末フル稼働予定、年産12万トン、総事業費約3億米ドル)に参画する。

同地域はサラワク再生可能エネルギー回廊(Sarawak Corridor of Renewable EnergySCORE)にあり、同じくSCOREに属するBintuluではもう一つのアルミ精錬計画がある。

社名:Sarawak Aluminium
株主:Rio Tinto Alcan/Cahya Mata Sarawak Bhd.
計画:当初 72万トン(2013年予定)、最終 150万トン

2010/10/6 住友商事、マレーシアでアルミニウム製錬事業へ参画


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2010年10月13日 (水)

ハンガリーのアルミナ工場から赤泥流出、ドナウ川に流入

10月4日、ハンガリーの首都Budapestから西に約150kmはなれたAjkaにあるHungarian Aluminum Production and Trading Company (Magyar Aluminium Rt:MAL Rt.) のアルミナ工場の赤泥廃液を貯水する池の堤防が決壊し、貯水してあった赤泥廃液約100万立方メートルが流出し、廃液が周辺の街DevecserKolontarに流れ込んだ。

ハンガリー政府は5日、ヴェスプレーム県、ジェール・モション・ショプロン県、ヴァシュ県の3県に非常事態宣言を発令した。10月8日現在、7名が死亡、1名が行方不明、約150名が負傷となっている。
流出泥土にのみ込まれたり、有害物質に触れたことによるやけどなどが死傷の原因という。

更に、この廃液がドナウ川支流のMalcal川に流れ込んだ。

政府はMalcal川に石膏を流し込んで固め壁を作り、汚泥をせき止める方法を行ったが、これに失敗。7日昼ごろ、Gyor市付近でラバ川とモショニ・ドナウ川からドナウ川本流に到達した。

同国の災害対策当局によると、中和剤によるアルカリ度の引き下げで、ペーハー濃度は最高値に近かった13から9.1にまで低下しているが、それでも、ドナウ川の生物が生存可能な濃度である通常時の7‐8を依然上回っている。

その後、政府は、ドナウ川の生態系や環境への悪影響は広がらないとの見方を示した。

しかし、政府は9日、工場の近くのKolontar村の住民に避難勧告を出した。貯水池からの泥土流出は止まっているが、地盤が弱まっているため、更なる決壊が起きかねない状況にある。

原因については5月17日から6月5日までの間中央ヨーロッパを襲った洪水により池の水位が上がってしまい、決壊したとされる。

同社では、赤泥はEUの安全基準ではtoxic wasteには指定されていないとし、天災でどうしようもなかったとしている。

これに対し、ハンガリーのオルバン・ヴィクトル首相は、「自然災害とは考えられず、人為的なミスを疑うべきだ」と述べた。

ハンガリー内務省は10月11日、同社の社長を拘束した。

アルミナ製造過程では、ボーキサイトを粉状にし、苛性ソーダを加えて溶かし、水酸化アルミニウムを回収するが、その溶解残滓が赤泥である。
苛性ソーダが混じっており、生成直後は強い塩基性を示す。
赤い色は主成分であるFe2O3(酸化鉄)による。

ーーー

同社は1995年にアルミ産業の民営化で設立された。民営化された各社(Bakony ボーキサイト鉱、Ajka などのアルミナ工場、Inota アルミ精錬工場)を買収、一貫メーカーとなった。
しかし、
2006年初めにアルミ精錬を閉鎖し、現在はボーキサイト採鉱とアルミナ製造を行っている。

Inotaのアルミ精錬は1952年にスタート、能力は年産35千トン。
同社は2006
初めにこれを閉鎖した。
電力料の高騰で、採算が取れないのが理由。

なお、アルミナ工場のあるAjkaには年産22千トンの精錬工場があったが、1991年に電力料高騰で閉鎖している。

ハンガリーには他に2つのアルミ精錬があったが、全て閉鎖された。
・ Csepel
精錬:年産5千トン、1946年に第二次世界大戦での爆撃被害で閉鎖
・ Tatabanya
精錬:年産18千トン、1991年に電力料高騰で閉鎖

同社は2009年にハンガリーの2箇所の地下鉱、3箇所の露天堀で24万トンのボーキサイトを採掘した。
同社はまた、モンテネグロとボスニアからボーキサイトを輸入している。

アルミナ工場は事故を起こしたAjkaのほか、2箇所にある。また、ボスニア、スロベニア、ルーマニアなどのバルカン諸国のアルミナ会社に出資している。

製品アルミナの75%は西欧に輸出されている。

ーーー

日本では昭和電工、日本軽金属、住友化学の3社が国内でアルミナを製造しており、中和したうえで赤泥を海洋投棄しているが、環境問題から2015年までにボーキサイトの国内精製から撤退する。
住友化学は
2010 年4月海外で生産された水酸化アルミニウムを原料に全面転換を行った。

赤泥は産業廃棄物であり、産業廃棄物の海洋投棄は、1972年にできたロンドン条約(「1972年の廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」)で原則禁止されている。(日本では1973年11月発効)

ロンドン条約の付属書Ⅰの中に例外として産業廃棄物に当たらないという項目がある。
その一つが「汚染されていない不活性な地質学的物質であって、その化学的構成物質が海洋環境に放出されるおそれのないもの」。
日本国内法では、中和した赤泥がこの条件に当てはまるとし、例外項目として赤泥の海洋投棄を「特別」に認めている。

しかし、3社は海洋汚染の影響などを考慮、自主的に撤退の方針を決めた。

2008/3/8 アルミナメーカー、ボーキサイトの国内精製から撤退へ

2010/9/6 昭和電工、インドネシアでアルミナ工場建設 

 


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2010年10月12日 (火)

韓国とEU、自由貿易協定締結

韓国とEUは106、自由貿易協定(FTA)の締結で正式署名した。
2011年7月1日に発効する見通し。

李大統領は、「両者は、新しい次元の関係に跳躍できる歴史的なきっかけを作った」と述べ、「韓国とEUは今後、東西という地理的距離を乗り越え、未来志向的な身近な関係へと大きく発展していくだろう」と強調した。

大統領府報道官は、「韓―EU間FTA署名には、自由民主主義や市場経済、人権についての価値を共有する哲学が基になっている」とし、「このような『価値同盟』を基に、経済同盟へと進むことになるだろう」と語った。

 

韓国とEUは2010年3月24日にFTA交渉で事実上妥結したが、いくつかの問題で最終的な妥結に至らず、その後双方で交渉を続けていたが、7月13日、交渉が妥結した。

2009/7/14  韓国・EU、FTA最終合意

その後、EUは9月13日に定例の一般・対外関係理事会で、承認の可否について話し合ったが、イタリアの反対により、再び決定が留保された。
イタリアは「韓国製の小型車が輸入された場合、国内の自動車市場が深刻な脅威にさらされる」という理由で反対した。

その後、イタリアは年内の発効を遅らせることを条件に同意、9月16日のEU外相理事会で2011年7月1日発効で合意したもの。

双方は、相手地域で生産した自動車・冷蔵庫・カラーTVなど工業品に対しFTA発効5年以内に全関税を撤廃することで合意した。
EUの関税は、自動車で10%、テレビで14%と高率で、関税撤廃による韓国企業の輸出拡大が予想される。
   

工業製品関税については、原則 5年間で関税を完全撤廃。
   自動車部品は協定発効と同時に関税を撤廃、
   中大型乗用車は3年、小型自動車は5年内に撤廃
韓国は例外として40余りのセンシティブ品目について7年内の関税撤廃。
   (関税率が16%のその他機械類、純毛織物など)

見返りとして、農業品などの関税撤廃についても大部分は合意した。
韓国政府は、期間10年、総額270億ドルの国内農家向け支援策をまとめた。
   

EU産ワインは、直ちに撤廃
EU産豚肉に対する関税は、冷蔵肉全体とバラ肉冷凍肉は10年以内に、その他の部位の冷凍肉は5年以内に撤廃。

但し、韓国のコメ市場は開放しない。トウガラシ、ニンニク、タマネギも「主要調味料」として関税を据え置く。

韓国の自動車メーカーと部品メーカーの輸出競争力が飛躍的に高まる。
まず、エンジン、変速機など大半の部品に対する関税(現行 2.7-19%)が撤廃され、欧州の自動車メーカーは韓国製部品の調達を増やすものとみられる。

自動車メーカーの輸出の伸びも見込まれる。既に強力なブランドを持ち、ウォン安の追い風を受けている現代自動車など韓国のライバル企業が一段と有利になる。

逆に、ドイツやフランスなどが強みとする精密化学、機械分野では、欧州製品の攻勢で韓国企業が打撃を受ける見通し。医薬品、医療機器などの輸入も増えるとみられる。

ーーー

韓国は、米国、日本、中国などに先立ち、EUFTAを締結したこととなり、これらの国々との競争でも有利な立場を確保した。

韓国は米国との間でも、既にFTAを締結している。

但し、米国内に反対が強く、まだ批准されていない。
オバマ大統領は最近、韓米FTAが両国議会の批准を経て公式発効される前に、韓・EU間のFTAなどが先に始まる状況に対して懸念を表明した。一部米国議員の間から、韓米FTAも急ぐべきだとの声が上がった。

さらに、韓国は以下の国と地域との間でFTAを締結している。
 チリ
 シンガポール
 欧州自由貿易連合(EFTA=スイス、ノルウェー、リヒテンシュタイン、アイスランドで構成)、
 ASEAN10ヵ国
 インド

韓国は、批准待ちの米国、EU及びEFTA、ASEAN、インド、及び南米のチリとFTAを結んだこととなる。

韓国政府は、今回の締結で、欧州―東アジア―米国をつなぐ「
東アジアのFTAハブ」として、浮上する基盤を整えたとする。

これに対し、日本はASEAN及びそのメンバー以外でFTAを締結したのは、メキシコ、チリ、スイスのみ。

2007/8/24 日インドネシア経済連携協定の付記 参照

経済産業省によると、韓国がFTAを結んだか、実質的に締結した国との貿易量は全体の36%を占めるが、日本の場合は17%にすぎない。
しかもEU及び米国との間では、特に農産品が問題となり、FTAが結ばれる兆しは見えない。


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2010年10月11日 (月)

中国で大規模なレアアース資源を発見

湖北省国土資源部門はこのたび、湖北省十堰市竹渓県竜バ鎮で大規模なレアアース鉱山が発見されたことを明らかにした。現地調査の結果、竹渓県老陰山脈の下に豊富な埋蔵量を誇るレアアース資源が眠っていると判断した。
現在、専門家グループがレアアース資源の成分、構造、品質、埋蔵量などの測定を行っている。

同区域は、森林資源、水資源、鉱山資源なども豊富で、特にスレート、石炭、大理石、リン、石灰石の埋蔵量は大きい。

また、近くの十堰市竹山県内でも12箇所のレアアース鉱山が発見されている。
このうち、竹山県得勝鎮にはブラジルに次ぐ世界第二の埋蔵量のニオビウムもあることも分かった。

中国のレアメタルの主な産地は、
 軽希土類:内蒙古自治区、四川省
 重希土類:江西省、広東省、湖南省、福建省、広西チワン族自治区
となっている。

参考 2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ

 


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BASF、スチレン系ポリマー事業を別会社Styrolutionに移管

BASF107日、スチレン系ポリマー事業を戦略的に発展させるため、Styrolution社を設立すると発表した。

新会社に分離する事業は、SMPSABS、スチレン・ブタジエン共重合体(SBC)、その他スチレン・ベースの共重合体で、ドイツ(Ludwigshafen, Schwarzheide)、ベルギー(Antwerp)、韓国(蔚山)、インド(Dahej)、メキシコ(Altamira)の製造拠点で行っていたスチレン系ポリマー事業はStyrolutionに移管する。

BASFは韓国の蔚山に、PS 25万トン、EPS 8万トン、ABS 25万トンを持つ。

マーケティングや販売といった活動を展開している米国、イタリア、中国をはじめとする各国にもそれぞれ現地企業を設立する予定。

ただし、世界的に展開しているPS発泡体事業と、発泡体の製造に使用しているLudwigshafenのSM/PS関連設備はBASFに残す。

分社は、201111日に完了する予定で、将来の同事業の売却に備える。

BASFのスチレン系ポリマー事業では、現在約1,460名が働いており、2009年の売上高は、約25億ユーロ。

ーーー

BASFは2007年7月、スチレン事業一部の「戦略的な選択肢」を検討していることを発表した。

利益率が低く、原料の動向に左右されるコモディティからの離脱を狙った。

その後、売却準備を続けてきたが、全くまとまらなかった。

2008/8/20 BASF、スチレン系事業の売却準備 進める

ここにきて状況が変わってきた。投資会社に事業買収の動きが出てきた。

BASFではダウのやり方を真似しようとしている。

ーーー

ダウは2010年3月2日、Styron DivisionをBain Capital Partnersに16.3億ドルで売却する契約を締結したと発表した。ポリカーボネートや合成ゴムも含まれる。

売却事業は2009年に35億ドルの売り上げがあり、世界各地に40以上の工場を持ち、従業員は約1900人。

売却対象に含まれる製品は以下の通り。
 PS、ABS、SAN、EPS、
 エマルジョンポリマー
 PC、PCコンパウンド
 合成ゴム
 自動車用プラスチック
   PULSE(エンプラ)、 MAGNUM (ABS)、INSPiRE (機能ポリマー)、
   VELVEX (強化エラストマー)など
 スチレンモノマー

2010/3/3 速報 ダウ、スチレン系事業を売却

ダウは6月17日、投資会社Bain Capital Partnersへの16.3億ドルでのスタイロン事業売却が完了したと発表した。

Styronは合成樹脂・合成ゴム・ラテックスを扱う株式非公開のグローバルな会社となり、ダウは同社に7.5%を出資する。ダウとスタイロンの間には長期の供給契約やサービス契約が結ばれる。   

2010/6/18 ダウ、スチレン系事業売却完了


ダウは2010年10月に
LG Dow Polycarbonate の持分をLG Chem に売却した。



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2010年10月 9日 (土)

Sinopec、Repsol Brazilに71億ドル出資

スペインの石油大手Repsolは10月1日、ブラジル子会社のRepsol Brazilが71億ドルの増資を行い、Sinopecが全量を引き受けると発表した。

Repsol Brazilはラテンアメリカ最大のエネルギー関連私企業で、ブラジル第三位の石油業者。
Santos
CamposEspiritu Santo Basinsの鉱区(深海の海底の岩塩層の更に下の pre-salt 層に油田がある)を所有しており、Santos basinではPetrobras及び英国の天然ガス生産大手 BG Group1986年に民営化されたBritish Gas が前身)と並び、開発の中心となっている。

増資後はRepsol 60%Sinopec40%の出資となる。

増資により、Repsol BrazilはSantos basinGuara 油田、Carioca油田などの開発体制がフルに整うこととなる。
Guara
油田は採掘可能量が11億~20億バレルと見込まれており、Cariocaも有望と見られている。

Petrobrasは9月23日、Tupi油田等の開発のため、700億ドルの増資を行った。

2010/9/28 Petrobras、700億ドルの史上最大の増資

ーーー

中国の石油会社による海外企業買収はSinopecによるスイスのAddax石油の買収(75.6億ドル)が最大だった。
今回はこれに次ぐ規模になる。

2009/9/2  シノペックのAddax買収の余波

また、アルゼンチンでは2010年3月に中国海洋石油有限公司(CNOOC)がBridasの株式50%を31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdings 50%/CNOOC 50%となっている。

Bridasアルゼンチン最大の原油輸出企業でチリ及びボリビアに石油・ガス資産を持つPan American Energyの40%株主で、残り60%はBPが所有しているが、BPはその大半をCNOOC売却する方向で交渉を進めていると伝えられている。この価値は 90億ドル程度とされている。

2010/8/5  BP、コロンビアの石油関連資産を売却


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2010年10月 8日 (金)

韓国Honam Petrochemicalの中国での活動

東洋エンジニアリングは9月29日、韓国のHonam Petrochemical(湖南石油化学)が中国浙江省嘉興市に建設予定のエタノールアミン製造設備を受注したと発表した。

能力は年産50千トンで、2012年第1四半期に完工予定。

国際入札の結果、中国や韓国のコントラクターを押さえ、ユーティリティ、付帯設備を含め、設計、機器資材の調達、建設までの一括請負した。

ーーー

ロッテグループのHonam Petrochemicalは中国進出を進めている。

同社は200610月に中国企業を買収し、嘉興湖石工程塑料有限公司を設立した。
2009年秋にポリプロコンパウンドの第一期(能力17千トン)をスタートさせた。現在、25千トンへの増設を実施中で、間もなく完成する。

エタノールアミン工場はここに建設する。

北京にABSとPPなどの高機能性コンパウンディング工場の新設も検討している。

ーーー

Honam Petrochemical2007年に山東省の維坊亞星化学(Weifang YAXING Chemical)に10%出資した。(他の韓国1社1%出資)

亞星化学とHonam Petrochemical塩素化ポリエチレンの 50/50 JV、維坊亞星ロッテ化学(Weifang Yaxing Lotte Chemical)を持ち、2005年に40千トンでスタートし、最近45千トンに拡張した。

2007/10/20 韓南石油化学、中国企業に出資

ーーー

Honam Petrochemical と中国の三江精細化工はエチレンオキサイド(EO)の製造のため、JVSanjiang Honamを設立している。

三江精細化工はEOAEO界面活性剤のメーカーで、浙江省嘉興市にEO 120千トン、界面活性剤200千トンの工場を持っている。EOについては現在、第三期の60千トンプラントを建設中。

JVSanjiang HonamではEO 100千トンを2010年末に建設を開始、引き続き第二期100千トンを建設する。

ーーー

Honam Petrochemicalは1976年に韓国政府出資の麗水石油化学と、三井石油化学、三井東圧、三井物産、日本石油化学出資の投資会社の第一化学との50/50出資で設立された。

その後、第一化学の出資比率は33.64%となり、2002年12月に持株売却を完了し、解散した。

現在はロッテグループの子会社となっている。

     2006/4/11 韓国の石油化学-2

なお、三井化学は10月5日、韓国でポリプロピレン触媒事業を展開するため、湖南石油化学と合弁会社を設立すると発表した。

両社の50/50出資で湖南三井化学を設立、湖南石化第3工場内に三井化学のPP触媒製造技術で触媒工場を建設し、両社から汎用PP触媒の製造を受託する。

三井化学が初めてPPプロセスをライセンス供与したのが湖南石化で、両社は、このPP事業で良好な関係を構築しているという。

 


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2010年10月 7日 (木)

2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞

スウェーデンの王立科学アカデミーは10月6日、2010年のノーベル化学賞を、医薬品や工業製品の製造に欠かせない有機化合物の革新的な合成法を開発した鈴木章・北海道大名誉教授(80)、根岸英一・米Purdue University特別教授(75)、 Richard F. HeckUniversity of Delaware名誉教授(79)の3人に授与すると発表した。

授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億2800万円)を3氏で分け合う。
ノーベル賞の日本人受賞者は、米国籍の南部陽一郎氏を含め計18人、化学賞の受賞者は計7人になる。

化学賞:
 1981年  福井謙一 化学反応過程の理論的研究
 2000年  白川英樹 導電性高分子の発見と発展
 2001年  野依良治 キラル触媒による不斉反応の研究
 2002年  田中耕一 生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発
 2008年  下村脩   緑色蛍光タンパク質 (GFP) の発見と生命科学への貢献

業績は「有機合成におけるパラジウム触媒クロスカップリング」。

鈴木名誉教授が1979年に報告したパラジウム触媒を用いる有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応(鈴木カップリング反応)は、有機合成化学のみならず、触媒化学や材料科学などの広い分野に多大な影響を及ぼした。
広範な一般性と実用性を有しており、医薬品を含む数々の生理活性天然物合成に利用されている。

根岸教授(当初、帝人勤務)は、鈴木名誉教授に先だって1977年、有機亜鉛化合物と有機ハロゲン化物とをパラジウムまたはニッケル触媒で反応させ炭素と炭素がつながった生成物を得る反応(根岸カップリング反応)を開発した。
Heck教授(と故溝呂木・東京工大教官)も、パラジウムを使って水素を炭素に置き換えることで、炭素と炭素をつなぐ合成反応(溝呂木・ヘック反応)を発見した。

鈴木名誉教授と根岸教授はともに、1979年にノーベル賞を受賞したPurdue Universityの故Prof. Herbert Brownの下で研究した。

ーーー

2010年のIg Nobel Prizesの授賞式が9月30日、米マサチューセッツ州のハーバード大学Sanders Theatreで開かれ、10グループが受賞した。

イグ・ノーベル賞は1991年、ハーバード大系の科学雑誌「ありそうもない研究」(Improbable Research ・・・Research that makes people LAUGH and then THINK)の編集者Marc Abraham が創設した。

日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2009年に1件ずつ計3件、合計14件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8  2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4  2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 
2009年イグ・ノーベル賞

本年は2008年に認知科学賞を受賞した公立はこだて未来大学の中垣俊之教授らが率いる日本と英国の共同研究チームが前回の受賞テーマの延長で、今回は交通計画賞を受賞した。

日本人の受賞はこれで15件となる。

各賞の受賞者とその内容は以下のとおり。

工学賞 メキシコ国立工科大学の研究チーム
ラジコンヘリでクジラの鼻水を収集

クジラに触れずに潮を採取することは困難とされていた。
チームは、ボートから全長約1メートルのラジコンヘリをクジラの上に飛ばして、ヘリに取り付けたシャーレで潮の採取に成功。
これを調べることにより、年齢、種類、健康状態などを調査している。

医学賞 オランダのアムステルダム大学の研究チーム
ジェットコースターで喘息が改善

「ジェットコースターに乗る前は、不安などの否定的な気持ちを感じて息苦しくなる。喘息患者でなくてもそうだ。だが、乗った後は興奮や高揚感などの肯定的な感情で楽になる。喘息患者にも同じ効果が見られた」。

平和賞 英Keele Universityの研究者3人のチーム
呪いや罵りの言葉を吐くと痛みが和らぐことを証明した。

氷水に一定の時間以上、手を浸す対照実験を行ったところ、罵倒し続ける被験者は、何も言わない被験者よりも約50%長く痛みに耐えることができた。
心拍数も上がり疼痛知覚が低下したのは、脅威の感受性を低下させる闘争逃走反応が働いたと推測される。

ただし追跡調査では、穏やかな人の方が大きく痛みが軽減するとも明らかになった。
公衆衛生賞 メリーランド州フォート・デトリックの労働安全衛生機関の研究チーム
研究者のあごひげに微生物が付着することを実証

研究施設で微生物に汚染された場合、顔を規則通りに洗浄してもひげの微生物は死滅しにくいため、特に注意が必要だと警鐘を鳴らした。

交通計画賞 公立はこだて未来大学の中垣俊之教授らが率いる日本と英国の共同研究チーム
粘菌が交通網を整備

東京都近郊を描いた地図上で培養された粘菌は、各都市にあたる場所にエサを配置すると細長く伸びてネットワークを効率的に形成し、その様子は東京の交通網そのものだったという。
更に、実際の鉄道網より効率的な形であったり、迂回路が準備されているケースもあった。

同チームは2008続く2度目のイグ・ノーベル賞受賞

前回、真正粘菌変形体という巨大なアメーバ様生物が迷路の最短経路を探し当てることができることを発見し、最終的には粘菌に学んだ計算方法を利用して現代社会のインフラ基盤である通信網・道路網・上下水道網などのネットワークの新しいデザインに役立てたいとしていた。

物理学賞 ニュージーランドのUniversity of Otagoの研究チーム
靴やブーツの上から靴下を履くと氷上で転びにくくなることを証明

「一部の“進取の気性に富んだ”人たちは凍結した道路を歩く際、靴の上から靴下を履くという慣習を実践していた」。この慣習を科学的に検証。

経営学賞 イタリアのUniversity of Cataniaの研究者ら。
従業員の昇進を成果主義ではなくランダムに行う方が、より効率的な組織にできることをコンピューターモデルで証明。

「これまでの仕事がうまくいったからといって、昇進後はどうなるかわからない。だから、ランダムに昇進させる方が組織全体の効率が上がる確率が高くなるというわけだ」。

生物学賞 イギリスのブリストル大学と中国の共同研究チーム
オオコウモリがヒト同様にフェラチオを行っている事実を明らかにした。

行動の正確な理由はわかっていないが、メスの唾液がバクテリアを殺す作用を持つ、交尾時間が長くなり成功率が上がるなどが考えられるという。
化学賞 BP
マサチューセッツ工科大学、テキサスA&M大学、ハワイ大学の研究チーム
油と水は混ざらないという古い定説の間違いを証明した。

「もし海が静止していたなら、メキシコ湾に流出した原油はすぐ海面に浮かび上がり、海水と混ざることはなかっただろう。
だが海には海流があり海水の密度分布も一様ではないため、原油が微細 な粒子となって拡散し、プルームという層が海中に形成されている」。
経済学賞 Goldman Sachs、AIG、Lehman BrothersLehman BrothersBear StearnsMerril LynchMagnetarTop managements
世界経済の金融利益を最大化させ、金融リスクを最小化させる新たな投資方法を開発
(経営破たんで国民の税金を投入してもらい、グローバルな危機を起こし、先進国を不況に陥れた)

 

なお、2009年公衆衛生賞に輝いた「Emergency Bra」の商品化が決定した。
緊急時にブラジャーをガスマスクとして使用するというもので、災害時は2つのマスクに分割し、もう一人近くにいる人へ渡せるというところも特徴。価格は1つ29.99ドル。

ーーー

本年のノーベル物理学賞は、グラフェンの分離に成功し、さまざまな性質を発見した英マンチェスター大のAndre Geim教授(51)と共同研究者のKonstantin Novoselov教授(36)に与えられた。

Geim教授は2000年に、「カエルと力士を浮揚させるための磁石の使用に対して」でイグノーベル物理学賞を受賞しており、史上初めて、ノーベル賞とイグノーベル賞の両方受賞となった。


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2010年10月 6日 (水)

住友商事、マレーシアでアルミニウム製錬事業へ参画

住友商事は9月28日、マレーシアのアルミ押出品最大手であるPress Metal Berhadが株式の80%を保有する子会社Press Metal Sarawak Sdn. Bhd.を通じ、マレーシア サラワク州Mukahにおいて推進中のアルミニウム地金製錬事業の第一期プロジェクト(2010年末フル稼働予定、年産12万トン、総事業費約3億米ドル)に参画すると発表した。

Press Metalは、マレーシア最大のアルミ押出品メーカーで、かねてよりその上流のアルミニウム製錬事業も推進してきた。同社のアルミ再溶解能力は20万トン、押出能力は16万トン。

Press Metal Sarawak Sdn. Bhd.Press Metal が80%、投資会社が20%を所有するJVで、サラワクのMukahに精錬工場を建設中。
第一期は2010年末フル稼働予定で年産12万トン、総事業費約3億米ドル、第二期は2012年末 フル稼働予定で年産24万トン、総事業費約6億米ドルとなっている。

住友商事は、投資会社からPress Metal Sarawakの20%を取得し、合わせて、5%の追加買い取り権と計画中の第二期プロジェクトへの出資参画権を取得した。

同地域はサラワク再生可能エネルギー回廊(Sarawak Corridor of Renewable EnergySCORE)にあり、同じくSCOREに属するBintuluではもう一つのアルミ精錬計画がある。

社名:Sarawak Aluminium
株主:Rio Tinto Alcan/Cahya Mata Sarawak Bhd.
計画:当初 72万トン(2013年予定)、最終 150万トン

ーーー

現在、住友商事はオーストラリアなどでアルミニウム製錬権益を保有し、日本およびアジア地域で広くアルミニウム地金取引を展開している。

1)オーストラリアBoyne Smelters Ltd.

出資比率:%

   1982年稼動
第1、2系列
 
 27.3万トン
1997年稼動
第3系列
 23.6万トン
Comalco   59.5  59.25
住友軽金属  17.0  1.00
住友商事    ー  8.00
丸紅    ー     8.00
三菱マテリアル    ー  4.75
三菱商事  9.5  9.50
YKK  9.5  9.50
住友化学  4.5    ー
合  計  100.0 100.00

2)アマゾンアルミ計画

アルミ事業       アルミナ事業
JV Albras
(Aluminio
 Brasileiro)
Alunorte
(Alumina do
 Norte do Brasil)
CAP計画
(Companhia
de Alumina do Pará
)
能力   45万トン   626万トン  186万トン
技術 三井アルミ 日本軽金属  
出資    Vale  51%→0%  57.03%→ 0%  61%→ 0%
日本アマゾンアルミニウム  49%   3.80%  
Norsk Hydro   0%→51%  34.03%→91.06%  20%→81%
Cia Brasileira de Aluminio     3.62%  
ジャパン アルノルテ インベストメント     1.19%  
三井物産     0.23%  
三菱商事     0.10%  
Dubai Aluminium      19%
   
日本アマゾンアルミニウムの現在の出資は以下の通り。
 政府: 国際協力機構(当初は海外経済協力基金) 44.92%
 アルミメーカー: 三井アルミ 8.30%、日本軽金属 7.94%、住友化学 4.59%、
神戸製鋼所 1.84%、昭和電工 0%(←3.21%)
 アルミ需要家: YKK 2.02%、三協立山アルミ 0.92%
 商社: 三井物産 12.57%、三菱商事 5.51%、伊藤忠商事 2.75%、丸紅 2.02%、
住友商事 1.84%、双日 1.84%、豊田通商 0.92%、JFE商事 0.92%
 その他: 日産自動車 1.01%、三井住友海上火災保険 0.09%

2010/6/16  ブラジルのVale、アマゾン・アルミ事業から撤退、Norsk Hydroに譲渡 

 


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2010年10月 5日 (火)

レアアース、米・豪・カザフなど生産拡大

9月29日の日本経済新聞は掲記の記事を掲載している。
中国がレアアースの輸出管理を強化しているのを受け、他の埋蔵国が相次いで生産拡大に乗り出しているというもの。

2010/8/16 中国、レアアース市場での支配力拡大へ
2010/9/8 
「レアアースため込む日本、中国に輸出制限緩和を要求」

状況を調べた。

1)米国

米国は世界有数のマウンテン・パス鉱山(カリフォルニア州)で採掘・生産を本格的に再開する。同鉱山を傘下に持つモリコープ社のスミスCEOが「採掘は来年から再開し、2012年末までに年2万トンを生産する」と述べた。

Mountain Pass レアアース鉱山(西半球唯一のレアアース鉱山)はオープンピット鉱山で、以前は世界最大のレアアース供給者であった。
同鉱山は14億年前の先カンブリア時代のカーボタナイトにあり、8~12%のレアアース酸化物(CeriumLanthanumNeodymiumEuropiumなど)を含む。

Mountain Pass1949年にウラニウム探掘者が発見した。
Molybdenum Corporation of America 1974年にMolycorp Inc.と改称)が権利を買収、1952年に小規模の生産を開始した。
1962年にカラーテレビスクリーンに使うユウロピウムの需要拡大に対応し、生産を拡大した。
1965年から1995年まで、大規模生産を続け、世界のレアアースの需要の大部分を賄った。

1977年にUnocal が同社を買収、2005年にChevron子会社となった。

1998年に排水問題で分離工程を停止、2002年に環境規制と中国品の低価格攻勢により採鉱を停止した。
その後は過去に採掘した鉱石の精製を行っている。

2008年にこの鉱山の再開のためMolycorp Minerals LLCが設立され、Chevronから鉱山を買収した。2011年から生産を再開する。

2)豪州

豪鉱山企業ライナス社は2011年後半から西オーストラリア州で初めてレアアースを生産する。
年1万1000トン生産する計画だったが、このほど2億豪ドル(約160億円)を投じ、2012年末からは生産量を2万2000トンに倍増する方針を決めた。

Lynasは、1983年にYilgangi Gold NLとして設立され、1985年にLynas Gold NLに改称し、西オーストラリア州Pilbara地域で金探鉱を行っていたが、2001年6月、金プロジェクトを売却し、社名をLynas Corporation に変更、2002年5月にMt.Weld 鉱床の権益100%を取得し、同鉱床の探鉱開発に集中していった。

Mt.Weld 鉱の鉱物資源量は、770万t、酸化レアアース品位12%となっている。
(精測鉱物資源量120万t :品位15.7%、概測鉱物資源量500万t :品位11.8%、予測鉱物資源量150万t :品位9.9%)

同社はMt.Weld プロジェクトのコスト削減のため、中国山東省にレアアース分離プラントの建設を計画した。

しかし、2006年に入って、レアアース産業に対する生産抑制、輸出制限、増価税リベート見直し、環境規制など中国政府による締め付けが強くなったことから、同社は中国でのレアアース分離プラント建設を断念し、マレーシア東海岸PahangKuantan Gebeng Industrial Area にプラントを建設することとした。

計画では酸化レアアースの生産量を当初年間5千トン、将来21千トンとしている。

Mt.Weld レアアース鉱床からレアアース鉱物(モナザイト等)を採掘、西オーストラリア州南部のEsperance 港からマレーシアへ海上輸送、分離・精製し、更に最終消費者の要求にあったレアアース製品とした後、米国・欧州・日本などへ販売する。

なお、同社は2009年に中国の国有非鉄大手、中国有色鉱業集団(China Nonferrous Metal Mining)から252百万豪ドルの出資(マジョリティ)を受け入れることを決めた。

しかし、豪州のForeign Investment Review Board同年9、中国有色鉱業の出資を50%未満、取締役を50%未満にするよう要求、有色鉱業はこれを拒否し、撤退した。

ーーー

なお、豪州のNorthern TerritoryのNolans Bore レアアース・リン・ウラン鉱床の権益100%を保有するArafura Resources は、20094中国の資源開発グループである有色金属華東地質探査局( East China Exploration & Development Bureau )から25%(24百万ドル)の出資を受け入れる正式契約に調印した。

現在、East China ExplorationECE Nolanes INV 22.17%で第二位株主となっている。

      2009/5/16 中国、レアアースでも豪州に進出

同鉱床は1995年に発見され、1999年にNorsk Hydroが露頭サンプリング・分析を実施している。2000年にArafra 社が権益を取得、資源量確認ボーリングを実施中。

Arafura Resources Nolans Bore 鉱山とWhyalla Rare Earths Complex を所有している。

Lynasの副社長は昨年、中国の資源寡占化に言及し、「日本の需要家は決断する時だ」と訴えていたが、日本側は「中国以外の供給先は重要」との認識で一致しているが、「出資する余裕はない」というのが本音であったとされる。

3)カザフスタン

日本企業も調達先の多様化を急ぐ。中央アジアのカザフスタンでは住友商事が6月に国営原子力会社と合弁企業を設立し、ウラン採掘後の残存物からレアアースを回収する新事業に参入。2012年にフル稼働し年3000トンを生産する。
東芝も同様の事業をカザフで計画しており、年内にも合弁会社を設立する。

(住友商事)
2006年初にカザフスタン国営原子力公社Kazatompromが65%、住友商事が25%、関西電力が10%出資し、合弁企業
APPAK LLPが設立された。

2008年6月3日、南カザフスタン州スザク地区にあるウェストムィンクドゥック鉱床の原位置抽出法によるウラン鉱山が開所した。

APPAK LLPはウラン精鉱の引渡しを2008年に開始し、2010年までに毎年1,000メトリックトンウランのフル生産を開始することを計画、見込まれている鉱山寿命は22年、総生産量は18,000メトリックトンウランを計画している。

20098月、住友商事は、Kazatompromとウラン鉱石残渣からレアアースを回収する事業に合意した。
両社が協力してカザフスタン国内に存在する残渣からの回収事業を独占的に行い、新たなレアアース資源ソースの確立に乗り出す。

2010年3月、両社は公社51%、住友商事49%出資で合弁会社 Summit Atom Rare Earth Company を設立した。
具体的には、Kazatomprom傘下のウルバ冶金工場の既存設備を活用して、ウラン鉱石残渣からのレアアース混合物の回収事業を立ち上げる。

2010年には年間3千トンのレアアース分離品の生産体制を確立し、将来的には現地でレアアースを使用した高付加価値品の一貫生産を行うことを目指す。

(東芝)
東芝は2007年8月、原子力事業強化の一環として、カザフスタンのKazatomprom社が南カザフスタンで推進しているウラン鉱山開発プロジェクト(ハラサン鉱山プロジェクト)に参画することを決定した。

丸紅、東京電力、中部電力、東北電力が権益の一部を有する持株会社を保有し、同鉱区で生産されるウラン精鉱のうち、合計で2,000トン(MTU)/年のウラン引き取り権を取得しているが、東芝は同持株会社の株式の22.5%を取得するとともに、最大600トン(MTU)/年の引き取り権を取得した。

東芝は本年6月、Kazatompromとレアメタル分野に関する合弁会社を設立することで合意した。

Kazatomprom51%、東芝49%の出資で合弁会社を設立し、以下の事業を行う。

 ・ニオブ、ベリリウム応用製品、タンタル材の販売
 ・ニオブ、タンタル、ベリリウムを応用した新製品に関する製品開発
 ・ウラン鉱山から副産物であるレニウム、ネオジウム、ディスプロシウム等の回収・販売事業の検討
 ・カザフスタン国内における新規供給源探索の検討

 

4)インド、ベトナム

豊田通商は2008年12月、レアアースの専門商社である和光物産の全株式を取得し、豊通レアアースに改称した。
また、金属資源部を新たに設置し、レアアースを含む希少金属の安定供給に本格的に取り組む。

和光物産の持つインド産レアアースの商権及び販売チャンネルを譲り受け、非自動車分野への販売を含めた取引先への安定した供給体制を整える。2010年後半より年間4千トンを輸入する。

また、ベトナムにおいても、採掘権を持つベトナム国営鉱物公社とレアアース鉱山開発に関するJVを設立し(日本側49%)、2011年より年間5千トンを生産する。


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2010年10月 4日 (月)

住友商事、ウジミナスの鉄鉱山子会社に出資

住友商事は9月28日、ブラジル鉄鋼大手Usinas Siderurgicas de Minas Gerais S.A.(Usiminas)が設立する鉄鉱山会社 Mineração Usiminas S.A.(MUSA)の第三者割当増資を引き受け、30%出資することにつき、最終合意した。
本年7月1日に基本合意していた。

住友商事は鉄鉱石を日本を中心としたアジア地域に輸出する考え。
日本向けは2014から15年の鉱山拡張後に、本格的な輸出を始める。国内製鉄大手と長期契約を結び、安定的な供給を目指す。

合意事項は以下の通り。

1)新設のMUSAUsiminasから次の鉄鉱山事業関連資産の移管を受ける。
 ①ミナスジェライス州
Serra Azul地域の鉄鉱山資産

ミナスジェライス州の「鉄四角地帯」と呼ばれる鉄鉱石が豊富に賦存している地域の北西に位置するSerra Azul地域。

想定可採量:約24億トン、今後、30~40年間にわたり、生産が可能。
年間生産量:現在年産700万トンベースで生産中
        将来的には年産3000万トンの鉄鉱石一貫プロジェクトを目指す。

 ②Usiminas保有の民間鉄道会社 MRS Logística の株式の83.3%

Belo Honzorte市からリオデジャネイロ州イタグアイ地区の鉄鉱石輸出港湾地域および
サンパウロ州の
Usiminas社クバトン製鉄所まで延伸している民間鉄道会社の路線

 ③リオデジャネイロ州イタグアイ地区の輸出港湾プロジェクト用地地

2)住友商事は、MUSAの第三者割当増資を引き受け、同社株式の30%を取得する。
    増資引受額は最大1,929百万米ドル、
    うちクロージング時点での支払額は1,350万米ドルの予定。


Usiminasは、日本の技術援助を受けて誕生した。

日本ウジミナスが筆頭株主で21.69%を出資する。
日本ウジミナスには当初、新日鉄が14.4%、国際協力銀行など他の株主が85.6%出資していたが、2006年12月に新日鉄が出資比率を50.9%に引き上げ、連結子会社化した。

なお、Usiminas79.3%、新日鉄が20.7%出資で自動車用鋼板製造のウニガル(ブラジル)を設立している。

ーーー

日本企業の海外の鉄鉱石権益は以下の通り。

鉱山 JV 出資 JV相手
ブラジル ミナスジェライス州
Serra Azul 地区
Mineracao Usiminas
(MUSA)
住友商事 30% Usiminas 70%
ミナス・ジェライス州
(鉄四角地帯)

2009年の予定販売数量は
1800万トン、
拡張を経て2013年の販売数量を
3,800万トンまで拡大する予定。
Nacional Minerios S.A.
(Namisa)

CSNの100%子会社の
鉄鉱石生産・販売会社の
40%を買収

共同体 40%
伊藤忠 40.00
JFEスチール 16.20
新日本製鉄 16.20
住友金属工業 6.57
神戸製鋼所 3.08
日新製鋼 1.75
韓国POSCO 16.20
合計 100.00
Companhia Siderurgica
Nacional(CSN)
 60%
ミナス・ジェライス州
 ファブリカ・ノバ鉱山
鉄四角地帯)

鉱量は約4.5億トン
(1.5億トン以上の
高品位ヘマタイトが賦存)

最終的に年産1,500万トン

Minas da Serra Geral S/A
(M.S.G)
JFEスチール 50%
(当初 川崎製鉄)
CVRD (Vale) 50%
豪州 西豪州 Pilbara
  Robe River 鉱山
  
West Angelas鉱山
Robe River 三井物産   33%
新日鉄     10.5%
住友金属工業 3.5%
Rio Tinto 53%
西豪州 Pilbara
  Mt Newman
  Yandi
  Goldsworthy
BHPB J/V 伊藤忠   8%
三井物産 7%
BHP Billiton 85%
西豪州中西部
  
Jack Hills 鉱山
Crosslands Resources 三菱デベロップメント
(三菱商事)
50%
Murchison Metals Ltd
 50%
西豪州 Pilbara
  Beasley River 鉱山
Beasley River JV Beasley River
 Iron Associates 47%
新日鉄  60%
三井物産  20%
住友金属工業  20%
Hamersley Iron 53%
(Rio Tinto group)

 


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2010年10月 2日 (土)

ICIS、 LG ChemをCompany of the Yearに選定 

化学産業専門の市場調査機関ICISは9月27日、Top 100 Chemical Companieを発表、韓国のLG Chemを業界で最も革新的な企業Company of the Yearに選定した。

世界的な経済危機の中で、2009年に売上高を前期比8.3%、EBIT(税引前利息込み利益)を同45%、純利益を50.5%(いずれも現地通貨ベース)伸ばした経営成果を選定理由として挙げた。

http://www.icis.com/Articles/2010/09/27/9396161/The-ICIS-Top-100-Chemical-Companies-LG-Chem-is-the-ICIS-Company-of-the.html

トップ10は以下の通り。
LG Chem
Air Liquide (France)
Chevron Phillips Chemical (US)
Lubrizol (US)
FMC (US)
⑥クラレ(Japan)
Kemira (Finland)
Praxair (US)Industrial gases
SIBUR (Russia)
Valspar (US)Paint and Coatings

他に好調な企業は、Givaudan (Switzerland)RPM (US)Syngenta (Switzerland)、ダイセル化学、Orica (Australia) など。

化学会社の上位10社は売上高では全体の36%を占めるが、2009年の売上高は2008年の売上高から大きく減少している。
 
Shell Chemicals 43.9%減
 
LyondellBasell Industries  39.2%減
 
INEOS  36.8%減
 
ExxonMobil Chemical  29.4%減
 
BASF  17.3%減
 
Dow Chemical 32.9%減
 
SABIC  31.6%減

ーーー

なお、前年のCompany of the Yearには Lanxessが選ばれた。

2008年の第4四半期に需要が激減したのにもかかわらず、ほぼ前年並みの売上高65.8億ユーロに対し、純利益が53%増の171百万ユーロを計上したのが理由。更に、経営陣と従業員が景気下降時に迅速に、効果的に反応し、計画を1年先取りして成長目標を達成した。


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2010年10月 1日 (金)

日本、イラン・アザデガン油田から撤退へ

経済産業省と国際石油開発帝石はイランのアザデガン油田開発から撤退する方針を固めた。
(経済産業大臣は国際石油開発帝石の株式の29.4%を所有する最大株主)

イランへの制裁を強めている米政府がイラン制裁法の制裁対象企業リストにAzadegan 油田開発を手がける国際石油帝石を入れる可能性を伝えたという。

制裁対象企業リストに掲載された企業は、米国金融機関との取引が禁じられ、資金調達や決済で大きな支障が生じる。

付記

米国務省は9月30日、欧州系石油大手4社が米国の制裁回避のため、対イラン投資を停止することで合意したと発表した。
ShellTotal(仏)、Statoil(ノルウェー)、ENI(イタリア)の4社。

4社はエネルギー分野での新規投資を全て取り止める。

ーーー

アザデガン油田はイラン南西部の原油埋蔵量260億バレルといわれる世界有数の巨大油田。
2008年に部分的な生産が始まり、現在の生産量は日量45千バレル。今後、日量26万バレルの生産を計画している。

国際石油開発帝石(当時は国際石油開発)はAzadegan 油田の75%の開発権を有していた。

2006年、同社はイラン政府との間で、日本側の開発権の保有割合(出資比率)を大幅に引き下げることで合意、75%の開発権のうち65%分をイランの国営石油会社に譲渡し、日本の開発権は10%とした。

同油田はイランの核開発問題で着工が遅れていたが、米国に配慮する一方、懸念されていた全面撤退は避け、同油田からの原油輸入に道を残した。

2006/10/9 アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意

ーーー

米国会計検査院(GAO)は本年5月12日、上院の求めに応じて、イランのエネルギーセクター(石油、ガス、石油化学)で活動するとともに、米国政府とも契約を結んでいる海外41社の社名を発表した。

アザデガン油田に10%の権益を有する国際石油開発帝石がこれに含まれている。
(日本企業では他に、
アラク・シャザンド製油所拡張に関与している日揮が含まれている。)

LyondellBasell は、米国政府が近くイランとの取引禁止に従わない企業に対してペナルティを課すことを考慮し、イランでの活動を停止することを決めたことを明らかにした。

2010/8/27  LyondellBasell、イラン撤退を決定

ーーー

日本政府はイランの核問題に関する安全保障理事会決議1929号の履行に関し、93日、追加制裁を閣議了解した。
8月3日に既に閣議了解を行っているが、これに追加した。

エネルギー分野では以下を決めた。
 ・石油・ガス分野の新規投資に対しては、(3)の措置の実施で停止する。
 ・産業界に対して、決議第1929号の趣旨を周知し,イランとの取引について注意喚起
 ・石油・ガス分野事業者に対し、新規プロジェクトについて厳に慎重な対応を求める

イランとの取引の大半を占める原油については、エネルギー政策や経済への影響が大きいため、輸入規制を盛り込んでいない。

直嶋経済産業相は、Azadegan 油田権益に変化はないとの見通しを示していた。

2010/9/5 政府、対イラン追加制裁を閣議了解

 


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ロシア、北極圏開発で姿勢転換、協調姿勢に 

豊富な資源が眠る北極圏で、強硬に自国の領有権を主張してきたロシアが最近、関係国との協調姿勢に転じている。
 

ロシアとノルウェーは9月15日、北極圏のバレンツ海と北極海で40年にわたり争ってきた大陸棚の境界を画定し、同地域での天然ガスや石油など資源探査・採掘、漁場資源開発でも協力する条約に署名した。(4月27日に基本合意)

約17万5000平方キロの係争海域を2等分する。

ロシアは2016年をめどにバレンツ海でShtokmanガス田の生産開始を計画しているが、現時点で氷の下に埋蔵されている資源の採掘技術を持たないため、北極圏の資源開発の経験があるノルウェーの資源大手Statoil などの技術が欠かせないといわれる。

メドベージェフ大統領は会見で、ノルウェーとの共同資源開発に期待を示した。

 

 

 

 

 

 

 

 


ロシアは2004年10月、ソ連時代から係争してきた中国との東部国境画定にあたり、国境の川の島をほぼ2等分することで最終解決しており、今回も同様の手法を採用した。

アルグン川のボリショイ島(中国名:阿巴該図島)は中露両国に分割。
アムール川とウスリー川の合流点のタラバーロフ島(中国名:銀龍島)の全域と大ウスリー島(中国名:黒瞎子島)の西半分は中国に、大ウスリー島の東部はロシアに帰属。

なお、1969年3月2日、極東のウスリー川の中州・ダマンスキー島(珍宝島)で、ソ連側の警備兵と中国人民解放軍兵士による衝突が起こった。これについては1991年中ソ国境協定が結ばれ、双方が管理下にあると主張してきたダマンスキー島は中国に帰属することが合意されている。

ーーー

ロシアのプーチン首相は9月23日、モスクワで開いた北極圏に関する国際会議で演説し、関係各国と平和的にエネルギー開発を進める考えを示した。

首相は以下のように述べた。
・北極圏での資源を巡る争奪戦の懸念があるとの予測があるが、全く根拠がない。
・領有権問題は話し合いや国際法に基づき解決できる。
・各国の主張が異なる権益は、最終的に国連が管理するだろう。
・外資の導入を歓迎する。

ロシアは2007年に潜水艇で北極点の海底を探査し、国旗を打ち立てるなど、同地域での権益拡大に乗り出していた。

1994年に発効した国連海洋法条約は、自国沿岸から2002カイリまでを排他的経済水域(EEZ)として資源開発ができると規定している。
それを超える海底では自国領の大陸棚から地形・地質的につながることを証明し、国連の「大陸棚限界に関する委員会」の認定を受ければ開発が可能となる。

ロシアは北極海の海底山脈
Lomonosov Ridge(下の地図の茶色の太線:ロシア領としては北極①から③まで)など120万平方キロ(斜線部分)を自国につながる大陸棚として申請している。

北極圏にはこれまで、地球上の未発見資源の4分の1が埋蔵されているとされてきたが、厳しい気候と厚い氷が開発の障害になってきたため、大きな領有権問題になっていなかった。
ところが地球温暖化により夏季の氷が減ったことで開発熱が高まった。

参考 2010/9/1  北極海横断航路で初輸送

     地図はBBC News (August 2, 2007)

ーーー

但し、北方領土問題については別のようだ。

中国訪問中のロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、胡錦濤国家主席と北京で会談、第二次世界大戦終結65周年を記念する共同声明を作成、9月28日発表した。

声明は「日本の中国侵入」に言及しつつ「歴史の歪曲を断固非難する」との文言を盛り込んだ。

中ロは第二次大戦の歴史を改竄し、ナチスや軍国主義分子およびその共犯者を美化し、解放者の顔に泥を塗る企みを断固非難する。国連憲章およびその他の国際文書によってすでに第二次世界大戦への定論が打ち出されており、その改竄は許されない。

メドベージェフ大統領は9月26日、旅順港を訪れ、日露戦争や第二次大戦で旧日本軍と戦った兵士の墓地に献花した。中露の元兵士らと面会して「歴史をねじ曲げようとする勢力がいるため、真実を主張しなければならない」と訴えた。

メドベージェフ大統領は9月29日、北方領土を含むクリル(千島)列島について、「わが国の重要な地域だ」と述べ、北方領土を必ず訪問すると明言した。
大統領は29日にサハリン本島から国後、択捉両島を訪れる計画であった。
日本側は「両国関係を著しく損なう」として外交ルートなどを通じてロシア側に警告していた。

 


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