イラクでの天然ガス田開発、韓国連合が2ガス田を落札
イラク石油省は10月20日、3箇所の天然ガス田の開発企業を選ぶ国際入札を実施した。
イラクが外国石油会社を対象にした国際入札を実施するのは2009年6月以降3度目で、ガス田に絞った入札は今回が初めて。
イラク政府は埋蔵量の10%に相当するガス田を外資に開放、生産量の引き上げにより経済復興を急ぐ。
対象となった3ガス田のうち、西部と中部の大型ガス田を韓国ガス公社が参加する企業連合が落札した。
韓国ガス公社は2009年12月の第2次入札でも中部Badrahバドラ油田を、ロシアのガスプロムなどと落札している。
入札の参加資格を得て手数料を支払った13社には三菱商事、伊藤忠商事、石油天然ガス・金属鉱物資源機構の日本勢も含まれていたが、結局応札を見送った。
パイプラインなどのインフラに巨額投資が必要で、AkkasやMansouriyaガス田のある地域は治安上の不安も残っているとされる。
場所 | ガス田 | 落札 | 契約生産量(日量) | 報酬(原油換算) |
西部 | Akkas | KazMunaiGaz(カザフスタン国営)50% Kogas(韓国ガス公社)50% |
400 million standard cubic feet | $5.50 per barrel |
中部 | Mansouriya | TPAO(トルコ) Kuwait Energy Kogas(韓国ガス公社) |
320 million standard cubic feet | $7.00 per barrel |
南部 | Siba | TPAO(トルコ) Kuwait Energy |
100 million standard cubic feet | $7.50 per barr |
このうち、西部のAkkasと中部のMansouriyaは2009年6月の第一次開放対象の国際入札に含まれたが、応札がなかった。
一次、二次入札の結果は以下の通り。日本勢では石油資源開発(Japex)が二次入札でマレーシアのPetronasと組んで、イラク南部のGharaf油田を落札している。
2009/11/12 イラク、第一次油田開放で進展
2009/12/14 イラクの石油第二次入札で石油資源開発が落札
なお、一次、二次入札の別枠でNasiriyah油田(Samawahの南東)の開発を日本連合(新日本石油/国際石油開発帝石/日揮)が交渉し、確実と見られていたが、破談となった。
2010/7/14 イラク、4製油所を新設、外資導入の最後
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参考
イラク石油相は10月4日、原油の確認埋蔵量がこれまでと比べ24%多い1431億バレルとなったと発表した。
西クルナやズバイルなど南部の大型油田での確認埋蔵量の増加分が全体を押し上げたとしている。
原油埋蔵量は、サウジ、ベネズエラに次ぎ、イランが3位、イラクが4位だが、イラクはイランを追い抜く。
しかし、イラン石油相は10月11日、同国の原油埋蔵量が従来比で9%増となる1503億バレルとなったと発表した。
双方とも、埋蔵量増加について、第三者による確認はない。
イラクは現在、生産枠適用を除外されているが、将来の生産枠復帰をにらんで高い埋蔵量を主張しているとみられ、イランも対抗に引き上げを急いだとされる。(OPECは加盟国の埋蔵量や生産能力に応じて生産枠を定める。)
2009年末の埋蔵量は以下の通り。(億バレル)
(BP Statistical Review of World Energy June 2010)
Saudi Arabia 2646 Venezuela 1723 (Canadian oil sands) (1433) Iran 1376 →1503 Iraq 1150 →1431 Kuwait 1015 United Arab Emirates 978
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