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2010年8月31日 (火)

JX日鉱日石エネルギー、PetroChinaとの石油精製合弁会社設立

JX日鉱日石エネルギーは8月27日、PetroChinaとの間で、大阪製油所の合弁製油所化に関して最終合意に至り、契約を締結したと発表した。

国内の石油需要の大幅な減少で精製設備の過剰解消は喫緊の課題だが、アジア・太平洋地域における石油製品需要は今後も着実に増加する。

大阪製油所の優位性(生産する製品の品質の高さ、大容量の製品タンク等)を活かし、同製油所を国内市場向けの製油所からアジア・太平洋市場に向けた輸出型製油所に転換することにより、国内石油産業の競争力強化とアジア・太平洋地域のエネルギー安定供給基盤強化を目指す。

新日本石油とPetroChinaは、2004年7月に「石油製品受託精製契約」を締結し、2007年4月には「長期協力に関する覚書」を締結した。

両社は2008年5月、新日本石油精製が保有する大阪製油所(115千バレル/日)を共同出資会社として運営することで合意した。
同製油所を輸出特化型製油所に転換するため新会社を設立、ペトロチャイナが49%出資するもので、2009年6月に中国国家発展改革委員会
NDRC)の承認を得た。

両社2010年6月29日、主要条件を定めた基本合意書を締結、関連する諸契約の締結に向けた準備を進めてきた。

10月1日に合弁会社を設立し、事業を開始する。

合弁会社の概要は以下の通り。

 社名: 大阪国際石油精製株式会社
 (
Osaka International Refining Company, Limited 略称:OIREC
 資本金: 50億円
 出資比率: JX日鉱日石エネルギー 51%
中国石油国際事業日本 49%
 事業: 大阪製油所(原油処理能力:日量11.5万バレル)で原油を精製、
生産した石油製品を主にアジア・太平洋市場で販売
   原油調達、製品輸出販売はPetroChinaへ委託
 製油所運営にかかわるサービスはX日鉱日石エネルギーへ委託
 従業員数: 約250名

ーーー

新日本石油と新日鉱ホールディングスは2008年12月4日に「経営統合に関する基本覚書」を締結、2010年4月1日に統合持株会社 JXホールディングスを設立した。
7月1日に両社グループの全事業を統合持株会社の傘下に統合・再編・整理を行い、石油精製販売についてはJX日鉱日石エネルギーとなった。

これに先立ち、2009年12月に両社はJX日鉱日石エネルギーの体制を発表した。

2008年12月現在で両社合計で9製油所で 1,792千バレルの能力であったが(うち日本海石油富山製油所 60千バレルは2009年3月に廃止)、2011年3月には大阪製油所を除き、7製油所 1,392千バレルに400千バレルを削減する。
(大阪製油所は移管のため、能力的には実質
285千バレルの減だが、国内向け能力としては400千バレルの減となる)

さらに、遅くとも2015年3月末までに、日量20万バレルの追加削減を行う予定。

2009/12/29 新日本石油と新日鉱ホールディングスとの経営統合詳細

ーーー

最近の石油業界への外資参入の状況は以下の通り。

1)南西石油(100千バレル)

 東燃ゼネラル石油が87.5%、住友商事が12.5%出資していたが、2008年4月に東燃ゼネラル石油が全株をペトロブラスに売却、住友商事も本年4月に売却、ペトロブラス100%となった。

 ぺトロブラスは1千億円を投じて大型設備を建設し、安価なブラジル産の重質原油を南西石油で処理、アジア向けの精製・輸出拠点に位置づけたいとしていたが、建設計画は凍結している。

2007/11/7 ペトロブラス、南西石油を買収

2)昭和シェル

 2004年(と2005年)にSaudiAramco昭和シェルの株式15%を取得

昭和シェル石油は2009年6月、15%の大株主であるサウジアラムコと、サウジアラビア王国内において太陽光を活用した小規模分散型発電事業の可能性の調査を開始することに合意したと発表した。

太陽光発電のパイロットプラントを建設し小規模独立型電力系統(マイクログリッド)への繋ぎ込みなどの技術検討を行い、この結果を受けて同国内での本格的な事業化へ移行する計画。

3)コスモ石油

 2007年にアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC)が約900億円を投じコスモ石油に20%出資、筆頭株主になった。

IPICは活動を全世界に広げている。

UAE 内陸油田ハブシャンからの全長360kmの原油パイプラインとフジャイラ港でのタンクターミナルの建設
フジャイラにて50万バレル/日の能力の輸出を主体とした製油所の建設
オーストリア 石油、ガス会社OMVに17.6%の出資
石化会社Borealisに65%の出資
  2006/11/10 
OMVとBorealis、オーストリアとドイツで石化増強

AMI Agrolinz Melamine International 50%出資(OMVが残り50%
日本 コスモ石油に出資
韓国 Hyundai Oil Bankに出資(70%)
    ↓
2009/11/21 
現代グループ、Hyundai Oilbank の経営権を奪還
パキスタン パキスタンのPak-Arab Refinery Co.株式40%を保有(残りはパキスタン政府)。
キスタン政府との間で30万バレル/日規模の製油所建設を検討中(IPICが74%出資予定)
オマーン Oman Polypropylene に出資(出資するGulf Investment Corporationを通して)
エジプト Arab Company に出資
スペイン CEPSAに出資(47%にアップ)
中央アジア 2008/8/27 Abu Dhabi IPIC、中央アジアに進出
カナダ 2009/2/24 アブダビのIPIC、カナダのNOVA Chemicals を買収


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2010年8月30日 (月)

住友商事、大唐集団新能源と新エネルギー分野における合作枠組協議書締結

住友商事は7月22日付で中国の大唐集団新能源と新エネルギー分野における合作枠組協議書を締結した。8月26日に発表した。

大唐集団(China Datang)は中国の5大発電会社 (華能集団、大唐集団、華電集団、国電集団、中国電力投資集団)の一つで発電量で第二位。
新能源はその新エネルギー発電事業の専門子会社として2004年9月に設立された。風力発電で中国第二位、世界シェアでも6位とされる。

住友商事は下記の通り、大唐集団と組んで、内蒙古自治区で風力発電事業を行っている。

今回の合作枠組協議書の締結により、住友商事および大唐集団新能源は中国内外において広く風力発電、太陽光発電、バイオマス発電、CDMプロジェクトなど新エネルギー分野全般における共同プロジェクトの開発推進を強化する。

詳細は明らかにしていないが、日本経済新聞によると、2~3年後をめどに約600億円を投じ、2~5箇所の風力発電所を開発、発電能力で25万kwを確保する。
中国国内に加え、インドや南アフリカ、豪州など海外での風力、太陽光、バイオマス発電所などの建設も共同で進める。

住友商事は中国の需要の取り込みと、風力発電で知名度の高い新能源との提携で、海外の商談を有利に進める。
新能源は海外での事業経験が浅く、風力発電以外での実績も乏しいため、住友商事のノウハウを取り込む。

ーーー

住友商事は再生可能エネルギー事業を注力分野の一つと位置付け、日本や中国、米国、スペインで活動を行っている。

1.日本

100%子会社のサミットエネジーで電力の小売事業を行っている。

同社は以下の子会社、JVで事業を行っている。

 1)サミットウインドパワー(風力発電
   サミットエナジー 100%

    酒田発電所  
16,000kW2,000kW×8基)
    鹿嶋発電所  
20,000kW2,000kW×10基)

 2)サミット美浜パワー(都市ガスで電気、蒸気)
   サミットエナジー 100%

千葉市美浜区食品コンビナート内の需要家に電気と蒸気を供給・販売
余剰電気はサミットエナジーに供給

 3)サミット小名浜エスパワー(石炭火力発電)
   サミットエナジー 65%、日本海水 35% 

サミットエナジー向け電力
日本海水の小名浜工場向け電力・蒸気

 4)サミット明星パワー(木質系バイオマス発電
   サミットエナジー、明星セメント 

木質系バイオマス発電所としては国内最大級、35%の高発電効率を実現

隣接する明星セメント糸魚川工場から木質系バイオマス燃料を調達
発電所の燃焼灰は同工場でセメント原料として利用

2008年7月よりヤマダ電機にグリーン電力を供給する契約を締結。
(ヤマダ電機本社と、併設する店舗 LABI1高崎に供給)

2.中国(風力発電事業)

 大唐中日(赤峰)新能源有限公司

   立地:内蒙古自治区赤峰市
   出資:住友商事 20%、大唐集団 51%、九州電力 29%
   設立:2007/11
   発電量:年間1.3億kwh (2,000kw x 25基)
   商業生産開始:2009/9  

3.米国(風力発電事業)

 Stanton風力発電所

   立地:テキサス州
   出資:住友商事 42.5%、
GE Group、大手風力開発事業者 Invenergy
      (住友商事は20097月にAIG Financial Products Corp.より取得し、参加)
   能力:
120MW (1.5MW x 80基)

4.スペイン(大型太陽光発電事業)

 EVM2 Energias Renovables, S.L.

   立地:カナリア自治州(カナリア諸島)テネリフェ島
   出資:住友商事 43%、テネリフェ島政府子会社の
ITER(再生エネルギー技術研究所)ほか
   出力:9,000kW
   投資:85億円
   発電パネル:シャープ製
   操業開始:2008年後半
   販売先:スペイン最大手電力会社エンデサの100%子会社ユネルコエンデサ
        (スペイン政府の再生エネルギー電力買取制度に基づく)


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2010年8月28日 (土)

三井物産、アイルランドの農薬製造・販売会社を買収

三井物産は8月17日、ベルギーの100%子会社Mitsui AgriScience InternationalMASI)を通じて、アイルランドの後発(特許切れ=post-patent農薬製造・販売会社AgriGuard Holdings Ltd.の発行済株式100%を取得し、買収を完了したと発表した。

買収額は非公表だが、数十億円規模と見られる。

AgriGuardは、英国市場を中心に麦、菜種等の大型作物向けに後発農薬の製造・販売事業を展開している。

一方、 MASIは欧州における三井物産の農薬事業統括会社で、日系農薬メーカー製品を主力として、果樹・野菜などの高付加価値作物に使用される農薬(殺虫剤・殺菌剤)を主に販売している。

今回の買収により、AgriGuard が得意とする大型作物に使用される農薬(除草剤)を併せて提供できるようになり、こうした品揃えの一層の充実を機に、高付加価値作物市場ならびに大型作物市場への販売力を更に強化する。

ーーー

三井物産はこのほか、農薬分野で欧米で以下の買収を行っている。

同社では今回の買収により、欧米を中心に年間500億円規模の農薬事業を、3~5年で2倍の1000億円まで増やす方針。

1)米国 Certis USA, L.L.C. (生物農薬等の研究開発、生産、販売*

旧称 Thermo Trilogy
2001年に親会社で大手計測機器メーカーのThermo Electronから買収

Bt剤分野で世界第二位のメーカーで、Bt剤の他、ニーム油、土壌線虫、フェロモンやウィルスを使用した天然農薬の製造・販売を行っている。

英国にフェロモン関連商品の製造・販売子会社AgriSenseを所有。

三井物産は従来より、果樹・野菜・花卉等の高付加価値作物を主たる対象とした農薬販売事業を欧州を中心に展開していたが、欧州では有機栽培面積の増加に伴い体系的かつ環境への影響の少ない病害虫防除を目指すIPM (Integrated Pest Management)が益々重要となって来ており、こうした動きに対応して、欧州のみならず米国も含めた全世界へのIPM展開を図るもの。

2)米国 Advan, LLC

2005年にCertis USA 50%、Sipcam Agro USAイタリアの農薬大手 Sipcam-Oxon Groups会社) 50%出資で設立。

両社の米国事業の販売部門のみを切り離して統合したもので、生物農薬と化学農薬の最適組み合わせを求める顧客の要望にこたえる体制をつくる。(Sipcamは殺菌剤などを販売)

製造や許認可、登録などの業務はそれぞれの製造部門で継続する。

3)欧州 Certis Europe B.V 

上記のThermo Trilogy買収に伴い、2001年に欧州統括会社として、三井物産 70%、日本曹達 15%、Crompton 15% の出資で設立した。

Thermo Trilogyのフェロモン関連商品の英国子会社AgriSenseや、三井物産が1999年に買収した英国の天敵資材メーカーのBCMBiological Crop Protection) などを傘下に置く。

ーーー

なお、三井物産は2002年に、アグロカネショウとの50/50JVセルティスジャパンを設立した。

アグロカネショウは以前からBT農薬を手掛けていたが、生物農薬の登録取得・維持管理及び販売を目的にJVを設立したもの。

4)欧州 Spiess Urania Chemicals GmbH 

同社はドイツの農薬メーカーで、銅を原料とした殺菌剤を自社製造するとともに、他社の除草剤、殺虫剤、殺菌剤、農業資材を販売。

1999年にUrania Agrochem GmbH Spiess & Sohn GmbH & Co.が合併したもので、ドイツの大手銅精練会社Nord Deutsche Affinerie が60%、Spiess一族が40%保有していた。

Nord Deutsche Affinerieがコア事業への集中戦略で農薬事業の売却を決め、2003年に三井物産が80%を買収、2004年に残り20%を買収して100%子会社とした。

日米メーカーからの新規薬剤をSpiess Urania の販売網にも積極的に導入し、ドイツに於ける更なる販売基盤の強化を図ると共に、ポーランドやハンガリー等にも進出している。

 

ーーー

特許切れ農薬の世界第一位はイスラエルのMakhteshim Agan Industries で、第二位は豪州のNufarm Limited

本年4月に住友化学がNufarm Limitedの20%を取得、7月以降、農薬の相互販売を始めている。

2010/1/4 住友化学、豪州農薬メーカー Nufarm と包括的業務資本提携へ


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2010年8月27日 (金)

韓国とボリビア、リチウム開発で覚書

ボリビアのモラレス大統領が8月25日、2泊3日の予定で韓国を国賓訪問した。
日本や中国は訪問せず、韓国だけを訪問した。

訪韓初日の25日、大統領資源特使であるハンナラ党の李相得議員(李大統領の兄)と韓国鉱物公社社長、LG商事、ポスコ、大宇インターナショナル、SKエネルギー、GSカルテックス、LG化学、高麗亜鉛、三扶土建など国内企業の代表と夕食を一緒にした。すべてリチウム開発の関係者。

李相得議員は夕食会の席で、「韓国はボリビアからリチウムをただ持ってくるのではなく、そこで加工した後、輸入する計画であり、これを通して現地人の所得と雇用増大に寄与する」と述べた。

またモラレス大統領は訪韓中、LG化学研究所を訪問し、韓国の最先端リチウムイオン電池生産技術を見学する。

イ・ミョンバク大統領とモラレス大統領は26日、青瓦台(大統領府)で会談し、ボリビア西部のウユニ湖のリチウムを抽出するための研究を共同で行うことで一致し、両政府の間でリチウム抽出研究開発および事業化協力のための了解覚書を交わした。

モラレス大統領は、韓国企業のボリビアでの円滑な活動を支援するため、韓国企業関係者に5年の複数ビザを発給する一方、韓国との関係強化に向け駐韓ボリビア大使館を早期に開設する方針を明らかにした。あわせて、韓国政府に開発協力事業の拡大を要請した。

李大統領は、韓国政府が2014年までに2億5000万ドルの対外経済協力基金借款をボリビアに支援し、来年度の経済発展経験共有事業の対象国にボリビアを含める案を、積極的に検討する考えを示した。

両首脳は会談終了直後、韓国鉱物資源公社とボリビア鉱山公社の「ウユニ塩鉱山の蒸発資源産業化研究開発に関する了解覚書」締結式に立ち会った。

鉱物資源公社は昨年8月、ボリビア科学委員会および国営鉱業企業と了解覚書を締結し、ウユニ湖の塩水で炭酸リチウムを製造する技術を開発してきた。

2009/5/5 韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ

世界の埋蔵量の半分を保有するといわれるボリビアのリチウムをめぐり、日本やフランス、ブラジルなどが開発権の獲得を目指している。両国の覚書は、リチウムを抽出する権利を含むものではないが、韓国にとって一歩前進となる。

公社関係者は「今月末までに報告することになっている1次研究結果を基礎に商用化研究を進行し、事業性が確認されればボリビアでリチウム工場の設立を推進する予定」と説明した。

日本はすでに今年2月、1次報告書を出し、来月中に2次報告書を提出する予定。

モラレス大統領は韓国紙とのインタビューで下記のように述べた。

韓国がボリビアに建設した橋は、わが国で孤立していた地域を結 び、社会の統合に大きなプラスとなった。

わが国の大地にあるリチウムに対し、世界各国が関心を寄せている。韓国からはこれまで、鉱物資源公社や高麗亜鉛など多くの企業が資源開発に参加し、協力関係を維持してきた。複数の国が自然開発をめぐる提案を持ちかけているが、わたしは共に環境を守ることのできるパートナーを探している。

リチウム開発はまだ初期の段階だ。今年中に、ウユニ湖に試験工場を建設し、稼働させる計画だ。
本格的な開発のためには、技術面での研究が十分に行われなければならない。
その上で、積極的な投資やパー トナーシップが行われるだろう。

我々のもう一つの原則はクリーン技術を利用することだ。クリーン技術が私たちが目指す自然環境保護にも最も適した方式だと考える
韓国が提示した、環境を破壊せずに資源を開発できるグリーン成長や清浄技術のコンセプトが非常に気に入っている。

これまで、韓国の優れた技術力と情熱、努力を見てきた。これをもとに私たちが適切な決定をする。
特に銅と亜鉛の分野ではすでに韓国企業とパートナーシップを形成している。したがって経済協力分野で韓国に対する信頼はかなり高いと考えている。

仁川空港からソウルに向かう際、漢江にかかる多くの橋を見て、韓国の橋梁技術に驚いた。
また今回、2次電池工場や港湾施設も視察する予定だ。これらを通じて、韓国の発展ノウハウや技術を学びたい。

わが国にはリチウム、鉄鋼、亜鉛など豊富な資源があることは事実だ。
そのため植民地支配を受け、原住民は搾取と抑圧に苦しんできた。
先進的な技術を持った国はわが国との協力を望んでいるが、基本的にその開発はわが国の大地と自然を守る方向で行われなければならない。わが国の環境を守り貧困から救うことができるのであれば、左右のイデオロギーに関係なく対話に応じる考えだ。

ーーー

付記 9月7日の韓国中央日報が背景を書いている。

韓国がボリビア資源開発と縁を結んだのは2006年で、老朽化したコロコロ銅鉱山再開発をめぐり、中国企業との競合の末、韓国鉱物資源公社が事業を獲得した。契約を着実に履行、ボリビアが韓国に対して好感を抱き始めた。

ボリビアはウユニリチウム開発事業への韓国の参加を認めていなかった。李相得議員が大統領特使としてボリビアを訪問、ボリビアはこの時初めて、ウユニ塩水15,000リットルを韓国に譲ることを約束した。

しかしボリビアは塩水を渡さず、李特使はさらに2度もボリビアを訪問、ボリビアはついに今年2月、300リットルを、残り14,700リットルを4、5月に分けて送った。そして8月までに塩水からリチウムを抽出する実験の結果を提示するよう要求した。
「韓国が6カ月以内に実験結果を出せるだろうか」と半信半疑だったボリビア政府は、8月12日に韓国コンソーシアムが最初の実験結果を発表すると、驚きを表した。

韓国の追撃に焦った日本はモラレス大統領の日本訪問を推進したが、鳩山首相の退陣で訪日は白紙になった。
するとモラレス大統領は駐ボリビア韓国大使館を訪ね、韓国訪問の可能性を打診した。金洪洛大使は「韓国訪問で一段階進展した協定を結ぶのはどうか」とモラレス大統領を説得し、新たなMOUを引き出した。

日本が近いうちにモラレス大統領を日本に招待するとの噂がある。
日本はボリビア政府に対して、ウユニがあるポトシ州に地熱発電所を建設し、地下水を開発し、15の学校を設立する案を提示した。日本が物量攻勢で住民の不満を解消するということだ。


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LyondellBasell、イラン撤退を決定

LyondellBasell は、米国政府が近くイランとの取引禁止に従わない企業に対してペナルティを課すことを考慮し、イランでの活動を停止することを決めたことを明らかにした。
取締役会が数ヶ月検討の結果、8月初めに決定した。
イランの石油化学会社に対する技術ライセンスやサービスを停止する。

合わせてSudan Syriaからも撤退する。

米国務省は8月5日、2009年版の国際テロ活動に関する国別報告を発表、昨年と同様、イラン、シリア、キューバ、スーダンの4カ国を「テロ支援国家」に指定した。
北朝鮮についてはテロ支援国家の再指定は見送られているが、米国のテロ対策に「非協力的な国」と位置づけた。

同社は民事再生法を申請したが、本年4月に再建計画が承認され、4月30日にChapter 11から離脱した。今後上場を検討しており、これに支障が生じるのを避ける狙いもある。   

2010/4/27 LyondellBasell、民事再生法から離脱

米国法ではイランのテロ支援と核開発を止めさせるため、米国企業がイランのエネルギーセクターに投資することを禁止している。
加えてイラン制裁法では外国法人を含め、イランのエネルギーセクターに12ヶ月の間に20百万ドル以上を投資したものを制裁することとしている。(特例での非制裁あり)

米国政府は間もなく米国のイラン制裁に違反している欧州やアジアの企業に対し、制裁もしくは警告する予定。

これまで多くの企業が米国への影響を考え、イランとの取引を止めた。

シェルは3月10日、イランに対するガソリン販売を打ち切ったことを明らかにした。
トヨタ自動車は8月11日、イランへの自動車輸出を6月から止めていることを明らかにした。自動車は直接の制裁対象ではないが、最大市場である米国でのブランドイメージ低下や販売減を引き起こす可能性があると判断した。

米国会計検査院(GAO)は5月12日、上院の求めに応じて、イランのエネルギーセクター(石油、ガス、石油化学)で活動するとともに、米国政府とも契約を結んでいる海外41社の社名を発表した(下記)。

LyondellBasell はこの中に含まれている。
日本企業では国際石油開発帝石と日揮が含まれている。

Table 1: Foreign Firms Publicly Reported to Have Commercial Activity in the Iranian Oil, Gas, or Petrochemical Sectors

Firm                          Country Sector
ABB Lummus Refining, petrochemicals
OMV Austria Natural gas
Belneftekhim Belarus Oil exploration and production
Petrobras Brazil Oil exploration and production
China National Offshore Oil Corporation China Natural gas
China National Petroleum Corporation China Oil exploration and production, natural gas
Sinopec China Oil exploration and production, refining
INA Croatia Oil exploration and production, natural gas
Haldor Topsoe Denmark Refining
Total France Natural gas
Uhde Germany Petrochemicals
Indian Oil Corporation India Natural gas
Oil and Natural Gas Corporation India Oil exploration and production, natural gas
Oil India Ltd. India Natural gas
ONGC Videsh Ltd. India Natural gas
Petronet LNG India Natural gas
Edison Italy Oil exploration and production
ENI Italy Oil exploration and production
Snamprogetti Italy Pipeline
Tecnimont Italy Petrochemicals
Inpex 国際石油開発帝石 Japan Oil exploration and production Azadegan油田開発
JGC Corporation  日揮 Japan Refining  アラク・シャザンド製油所拡張
Amona Malaysia Oil exploration and production
Petrofield Malaysia Natural gas
SKS Ventures Malaysia Natural gas
LyondelBasell Netherlands Petrochemicals
Royal Dutch Shell Netherlands Natural gas
StatoilHydro Norway Oil exploration and production, natural gas
PGNiG Poland Natural gas
Gazprom Russia Oil exploration and production, pipeline
Lukoil Russia Oil exploration and production
Daelim South Korea Natural gas
Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering South Korea Oil tankers
GS South Korea Natural gas
Hyundai Heavy Industries South Korea Oil tankers
Repsol Spain Natural gas
PTT Exploration & Production Thailand Natural gas
Turkish Petroleum Company Turkey Natural gas
Costain Oil, Gas & Process Ltd. United Kingdom Natural gas
Hinduja United Kingdom Oil exploration and production, natural gas
Petroleos de Venezuela S.A. Venezuela Natural gas


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2010年8月26日 (木)

BP、メキシコ湾の水質検査に新兵器採用

BP825日、メキシコ湾の水質検査のため、Wave Gliderという新兵器を使用すると発表した。

Wave GliderSilicon ValleyにあるLiquid Robotics が開発したもので、波を推進力にする無人の船で、エレクトロニクス用には2枚の太陽パネルを利用する。

錨で固定せず、ソフトウエアの操作で、一定箇所に留まることも、ある場所から他の場所に移動することも出来る。

常時収集するデータは人工衛星を通じて送信する。

収集できるデータは次の通り。
・水質:水中で乳化、分解、分散した油、植物プランクトン(クロロフィル)、
     色素体溶存有機物(CDOM)、その他
・水中動物の音声
・天候、海水温度

まず、825日に2船を投入、油井と海岸の間で水質を調査、9月に更に2船を投入して、調査海域を広げるとともに、動物の音声など調査項目も増やす。

ーーー

流出事故対策本部のアレン本部長は8月19日の会見で、Bottom kill が予定より数週間遅れ、9月上旬以降になるとの見通しを明らかにした。圧力テストのほか、油井の上部に設置されていたが、故障して原油やガスの噴出を防げなかったBOPを取り外して交換し、事故原因の究明に役立てる作業などを行うため。

ーーー

ウッズホール海洋生物学研究所などの研究チームが、メキシコ湾の原油流出が起きた油井付近で、原油成分の濃度が高い巨大な水塊を見つけた。水塊は水深約1キロのところで長さ35キロ以上、厚さ200メートル、幅2キロに及んだ。
今回見つかったような水塊が広範囲にあるとすると、原油の消失に時間がかかることになる。

ーーー

BPは原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金Gulf Coast Claims Facility (GCCF)を創設、当初の予定を早め、8月9日に最初の30億ドルを払い込んだ。

これまで個人や企業に対する補償支払いはBPが行っていたが、8月23日からは基金が行う。政府に対する補償支払いは従来どおりBPが行う。

8月23日までの支払額は399百万ドルとなった。
コンタクトがあったのが166千件、請求が154千件、うち支払いが127千件となっている。

      


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三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

三菱商事は8月24日、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。

コルドバ堆積盆地は北米シェールガス鉱区の中でも屈指の生産性と埋蔵量を有する。
Penn West Energy 、ここで最大の資産と知見を有している有望なパートナーで、2006年よりシェールガスの試掘作業を実施している。

三菱商事はPenn West Energy 当該鉱区のシェールガス資産、在来型天然ガス資産、関連する天然ガス処理・輸送設備の全50%を取得し、Penn West Energy との非法人合弁事業体を通じて、開発・生産を積極的に推進する。

取得費用は、既存資産の50%の取得対価約250 百万カナダドルに、今後の開発井掘削費のPenn West Energy 負担分の内の約200 百万カナダドル追加負担を加え、合計約450百万カナダドル(約362億円)となる。
今後15 年間で累計約 数百本~1,000 本以上の生産井を掘削して開発を進めるが、同期間を通じての三菱商事負担事業費は約3,000 億円程度を想定している。

対象鉱区のシェールガス資産は約5~8 兆立方フィート(LNG換算で約 1~1.6億トン)以上で、日本の天然ガス年間需要を大幅に上回る膨大な量の埋蔵量が見込まれる。

2014年に三菱商事持分で日量約5 億立方フィート(LNG 換算で約350万トン/年)の生産量を目指す。

三菱商事は今後50年以上の期間に亘り当該鉱区のシェールガス開発および生産を推進し、持分ガスを
CIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売する。

三菱商事は2008年6月、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltd持分34%を同社の個人パートナーから取得した。

CIMA Energy1996年設立で、米国内におけるガスおよび原油のマーケティング事業を行っており、年間のガス取扱高は約145百万MMBtu(LNG 換算280万t)となっている。

三菱商事は上流のガス田開発から、LNG液化プラントへの投資・操業、LNG船による輸送、LNG受入基地に至るまでLNG 事業のバリューチェーンを伸ばしてきたが、CIMA を通じて米国下流市場に参入、更なるバリューチェーンの延伸が達成された。

三菱商事は2009年1月より米国テキサス州のFreeport LNG 受入基地の使用を開始したが、同基地に持ち込むLNGを再気化した天然ガスについても、CIMA が米国内で販売を行う。

シェールガス開発プロジェクトの運営体制は以下の通り。
            三菱商事
              ↓100%
     Shale Gas Investment Cooperatief U.A.
              ↓100%
      Cordova Gas Resources Ltd.
              ↓ 50%
    Penn West Energy との非法人合弁事業体

ーーー

シェールガスは非在来型天然ガスの一種で、根源岩と呼ばれる泥土が堆積して固まったシェール(頁岩)層に閉じ込められている天然ガス。
採掘が難しく、これ迄開発が進んでいなかったが、近年の技術革新によって、開発が注目されるようになった。
日本の各商社や石油メジャーが相次いで進出している。

三井物産は、三井石油開発とのJVのMitsui E&P USA を通して、Anadarko Petroleum が米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画する。
Anadarko Petroleum が保有する権益の内、32.5%(全事業権益の約15.5%に相当)を約1,400 百万米ドルで譲り受けた。

     2010/2/18  三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画

住友商事は、米国の独立系開発会社であるCarrizo Oil & Gasが米国テキサス州Barnett Shale fieldに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに12.5%参画した。

付記

住友商事は2010年9月1日、子会社Summit Discovery Resources II, LLCを通じ、米国の独立系石油ガス開発会社であるRex Energyが米国ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドで開発している天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結したと発表した。

Rex社の既存資産プラス新規リース権の約30%を取得する。
取得資産の対価として契約締結時に約88百万ドル、2011年12月末までに追加で約 106百万ドル、合計194百万ドルを拠出する。

同社の持分ベースで総開発エリアは22,000エーカーで、生産量(ピーク) 46 bcf/年(原油換算 約8.4百万バレル)。
今後約10年間で累計1,100本以上の井戸を順次掘削していく計画で、総開発費用は約 1,200百万米ドルを見込む。

Rex Energy は米国の独立系石油・ガス開発会社で、2007年設立、同年よりマーセラス・シェール・フィールド開発に参入した。

ExxonMobil は、シェールガス、タイトガス、コールベッド・メタン、シェールオイルなど、合計換算 45兆立方フィートのガス資源を有し、Barnett, Fayetteville, Haynesville, Marcellusなど主要シェールガスの全てで開発を行っている XTO Energyを410億ドルで買収した。

シェルは、 Marcellus shaleを開発するEast Resources, Inc のほぼ全事業を買収する。

インドのReliance Industries、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得した。

     2010/4/15  Reliacne IndustriesAtlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発


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2010年8月25日 (水)

ブラジル裁判所、Shell とBASFに多額の罰金

ブラジルの裁判所はこのたび、Shell Brasil BASF Sao Paulo州のPaulinia工場の従業員を毒性物質に曝した件で合計622百万レアル(354百万米ドル)の罰金を命じた。

従業員は高血圧や癌などの健康問題を抱えている。

裁判所はまた、両社が従業員や家族の肉体的及び精神的な被害の治療費用を負担すべきだとした。
上記の罰金に加え、両社は
1000人以上の原告と、雇用中及び雇用後に生まれた子供に対し、治療費、検査費、賠償金として1人当たり64,500リアル(36,710US$) の支払いを命じた。

両社は被害者やその子供に権利を知らせるため、2大TVネットワークで広告を行うことも命じられた。

工場は1977年にShellが操業を開始、殺虫剤アルドリン、エンドリン、ディルドリンを製造した。
工場は
2000年にBASFが引き継ぎ(下記)、2002年に閉鎖された。

ブラジルではこれら殺虫剤の販売は1985年に禁止された。
しかし、森林再生のためのシロアリ駆除剤としてのアルドリンの使用は認められた。

これら殺虫剤の輸出用の生産は1990年まで続けられた。

1998年にこれら製品は完全に禁止された。

ーーー

20015月に残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)が採択され、2004年5月に発効した。

残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護することを目的とし、
(1) PCB等 9物質(アルドリン、クロルデン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロル、ヘキサクロロベンゼン、マイレックス、トキサフェン、PCB) の製造・使用、輸出入の禁止
(2) DDTの製造・使用・輸出入の制限、
(3) 非意図的に生成されるダイオキシン等4物質(ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン及びポリ塩化ジベンゾフラン、PCB、ヘキサクロロベンゼン)の放出削減、
及び、これらの付属書掲載物質の廃棄物の環境上適正な管理等を定めている。
(2009年5月に新規9物質の附属書掲載が決定されたが未発効)

アルドリン、エンドリン、ディルドリンは(1)9物質に含まれている。

殺虫剤の生産中に、タンクからの漏れが見つかっている。
1990年代初めに国際研究機関が工場周辺の土地と地下水が殺虫剤アルドリン、エンドリン、ディルドリンに汚染されていることを発見した。

Shell2001年に汚染を認めた。州政府はShellにクリーンアップを命じた。
州政府は
Shellが住民を殺虫剤の危険に曝したとの報告を出したが、Shellはこれを否定した。

2002年の州政府の調査で、近隣の土地、川、飲用水源が鉛、カドミウム、重金属、ベンゼン、トルエン、DDT、アルドリンなどに汚染されていることが明らかになった。更に工場の従業員の医療検査でShellの操業に伴う毒物に汚染されていることが分かった。

2005年初めに、Shellと州政府は協定を結んだ。
Shellは危険廃棄物を捨てたり、埋めたりしないこと、汚染地域を回復させること、井戸水の危険物や重金属のモニター、井戸で見つかった高濃度の危険物を除去する有効な手を打つことなどのほか、従業員の身体検査などで健康保護の手を打つことなどが決められた。

ーーー

Shell1993年に農薬事業の中止を決定し、ブラジルを含め農薬事業をAmerican Cyanamid に売却した。
Shell USA の農薬事業については1986年にDuPontに売却している。)

1994年にAmerican Home Products がそのAmerican Cyanamid を買収した。

その後、2000年にAmerican Home Products American Cyanamid BASFに売却した。

この結果、Paulinia工場はShellからAmerican Cyanamid を経由してBASFに渡った。

 

BASFは、環境問題はShellが起こしたものであり、控訴するとしている。

 


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2010年8月24日 (火)

中国の漢方薬、FDAの第2相臨床試験に合格

中国の心臓血管治療の漢方薬が7月にFDAの第2相臨床試験に合格、早ければ2013年にも米国で販売を開始する。
天津に本拠を置く天士力製薬(
Tasly Pharmaceutical)が87日に北京で発表した。

合格したのは同社の心臓血管治療の復方丹参適丸(Compound Danshen Dripping Pill)で、米国の15箇所のセンターで3年間にわたり第2相臨床試験(有効性・安全性等の試験)が行われ、良好な結果が得られた。

復方丹参適丸の成分は丹参、三七、冰片。
 丹参:シソ科の植物の根を乾燥したもの
 三七(田七):
中国人参(朝鮮人参と同じウコギ科だが、姿・形・効能が異なる)
 冰片(竜脳):フタバガキ科の植物の樹脂を加工して結晶化させたもの

漢方薬としては初めて第2相臨床試験の合格となる。FDAは第3相臨床試験入りを承認した。

同社では今後1218ヶ月で全世界で5070箇所の臨床試験センターをつくり、第3相臨床試験を行う。
これが終わると、製造販売の承認申請となる。

復方丹参適丸は中国では昨年に10億人民元(148百万ドル)の売上げがある。
これまでに、カナダ、ロシア、韓国、ベトナム、シンガポール及びアフリカの数カ国で承認されている。
主に狭心症や冠動脈性心疾患の治療に使用されており、同社によると世界で毎年
10百万人以上の患者がこれを服用している。

今回FDAの試験に合格したことは、欧米などの医薬品市場に漢方薬が進出するきっかけになるとみられている。
これまでは、東洋と西洋の文化および法規面の違いと成分の複雑さから漢方薬は西洋市場では医薬品として扱われなかった。

ーーー

天士力製薬は天士力グループ(Tasly Group) の中核的企業で、1994年5月に設立された。
天津北辰科学技術園区にあり、社員数は2千人。漢方及び化学医薬品のほか、ヘルスケア製品、機能食品、化粧品などを製造販売している。

設立以来、同社は「天人合一を追求し、生命力を高める」を理念とし、現代の科学技術を利用して、伝統的な漢方薬に新しい生命力を与えてきた。

独自に研究開発した復方丹参滴丸は、すでに中国の心脳血管薬品市場の主要な製品になっており、国家科学技術部の「漢方薬現代化科学技術産業活動計画」の重点プロジェクトに、さらに国家計画委員会のハイテク産業化模範プロジェクトと、国家漢方薬現代化重大プロジェクト計画にも入れられている。

陜西省の商洛に原料の丹参薬源の生産拠点を、また雲南省の文山に三七の栽培基地を設けている。

 


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2010年8月23日 (月)

BHP Billiton、カナダのPotashCorpに敵対的TOB

BHP Billiton8月18日、Potash Corporation of Saskatchewan Inc. (PotashCorp)に対し、1株130ドルでの全株のTOBを行うと発表した。
合計金額は
38,557百万ドルとなる。

BHP Billiton8月12日にPotashCorpに対し、口頭で1株130ドルでの買収提案を行った。これに対し、PotashCorpは売る気はなく、統合の話をする積もりもないと返事したが、BHPは再度書面で提案し、返事を求めた。

PotashCorp17日に、同社取締役会が満場一致で提案拒否を決めたと発表した。
提案価格は同社の価値を異常に低く見ており、戦略的に重要な産業での一位の地位にあること、比類なき将来性を反映しておらず、株主の利益にならないとしている。

PotashCorpは同時に買収防衛策としてShareholder Rights Planを発表した。
TOBの際に、取締役会は株主価値を高めるための代替案を検討するための十分な時間を確保する。

合わせて、取締役会は発行済み株式1株当たり1株の購入権発行を承認した。誰かが(子会社等を含めて)同社の株を20%以上取得したり、取得の意思を発表した場合に、取得者以外の株主は購入権を行使できる。

これに対し、翌18日にBHPが敵対的TOBを発表した。
1株130ドルはBHPが買収を提案した前日の終値に20%、過去30日平均では32%のプレミアムをつけた有利なものとしている。

但し、下記の通り2009年の損益は、グローバルな経済危機の影響を受け、前年を大幅に下回っている。
逆に2008年は純利益が前年の3倍にもなる好業績であった。

最近52週間の株価は、安値は88.68ドル、高値は152.93ドルとなっているが、2008年5-8月では200ドルを超えており、一時的には230ドルに達している。

これを考慮すると、PotashCorp の言うとおり、1株130ドルは同社の価値を異常に低く見ていると言える。

BHP では買収に要する資金を、PotashCorpの既存の借入金の返済などを含め、430億米ドルとみている。
同社ではこれに必要な借入等のアレンジを既に行っている。

米格付け会社S&Pは19日、BHPが現在の条件で買収を進めれば、BHPを格下げする公算が大きいとの見方を示した。「買収に現金と債務を利用する計画では、BHPの財務の柔軟性が低下するというのが当社の見解だ」と指摘した。
現在のA+からAに1段階引き下げる公算が大きいとしている。

China Daily は、カリは中国にとって重要であり、親会社がSinochemで、PotashCorp 22%を出資する中国の肥料輸入販売会社SinofertBHPに対抗してPotashCorpの買収を図る可能性があると報じている。

ーーー

PotashCorp は生産能力で世界最大の肥料会社で、肥料3要素のカリ(potashK)、燐酸(P)、チッソ(N)を製造する。
カリでは世界の能力の20%を占める。

製造拠点及び投資先は以下の通り。

カリ    カナダに6工場(AllanCoryLaniganPatience LakeRocanvilleNew Brunswick
燐酸 米国に7工場(AuroraCincinnatiGeismarJoplinMarseilles
         Weeping Water
White Springs
チッソ 米国に3工場(AugustaGeismarLima)+トリニダード工場
投資先 Arab Potash Company Jordan 死海からカリ製造 28%出資
Sociedad Quimica y Minera (Chile) potassium/lithium
nitrates/iodineの製造 
32%出資
Israel Chemicals Limited 世界6位のpotash 製造、
燐酸・カリ肥料製造 
14%出資
Sinofert Holdings (中華化肥)  中国最大の肥料輸入販売会社 22%出資
Sinochem53%)

同社の業績は以下の通り。(単位:100US$) 

    2006 2007 2008 2009 2009/
1-6
2010/
1-6
Sales Potash 1,228 1,797 4,068 1,316 480 1,533
Phosphate 1,255 1,637 2,881 1,374 655 765
Nitrogen 1,284 1,800 2,498 1,287 644 853
Total 3,767 5,234 9,447 3,977 1,779 3,151
Gross Margin Potash 561 912 3,056 730    
Phosphate 125 433 1,115 104    
Nitrogen 316 536 737 192    
Total 1,002 1,881 4,907 1,026 397 1,299
Operating Income 876 1,589 4,635 1,192 501 1,331
Net Income 632 1,104 3,495 988 494 921

2006年から2008年の間の売上高、損益の伸びは驚異的である。

2009年はグローバルな経済危機の影響で、全製品で販売数量も価格も大幅に下落、カリの粗利益は前年を76%下回り、利益も前年の28%に止まった。

但し、2010年1-6月では業績は改善し、半年で既に2009年通年の損益水準に達している。

2009年の利益は同業と比較すると以下の通り。(単位:100万US$)
 * は
PotashCorpの出資先(上記)

PotashCorp   988
ICL(Israel) * 724
Yara (Norway) 613
Uralkall (Russia) 451
CF Industries (USA) 449
Mosaic (USA) 414
K+S (Germany) 403
SQM (Chile) * 372
Agrium (Canada) 366
APC (Jordan) * 281
Terra (USA) 153

ーーー

BHP Billitonの戦略は、大規模、低コスト、長寿命で、拡張可能で、輸出中心の、第一流の資産を、多分野にわたり、開発し、所有し、運営するというもの。
この買収は肥料産業への進出を加速するもので、カリ分野でグルーバルなリーダーになるという戦略に合致するとしている。

同社はPotashCorpの本拠のSaskatchewanに手付かずの土地を所有している。


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2010年8月22日 (日)

韓国石油公社、英 Dana Petroleumを買収へ

韓国石油公社(KNOC)は8月20日、英国の原油探査会社Dana Petroleumに対するTOBを発表した。

KNOCがDanaの株主に提案した株式の取得価格は1株18ポンドで、6月30日(下記の前回のアプローチの前日)の株価終値に比べ60%のプレミアムとなっている。今回の発表で株価は6%アップし、17.93ポンドとなった。

可能ならば全株式を取得する意向で、普通株と転換社債を全て買収した場合、買収金額は18.7億ポンド(約2,487億円)に達する。ロンドン証券取引所での公示当日、Dana株主の48.62%から売買意向書の提出を受けた。

KNOCは今年6月にも16.7億ポンドでDana買収を試みたが、経営陣が「北海油田探査の成功が会社評価に反映されていない」と反発したため、交渉が不調に終わっていた。

Danaは株主に対して、なんら行動を取らないよう、伝えた。827日に最新の実績を発表する。

付記

韓国石油公社は9月24日、「Danaの株主らから、64.26%の支持を取り付け、これをロンドン証券取引所に報告した」と明らかにした。

英公正取引委員会は前日、石油公社がDanaの買収に成功する場合、これを承認すると発表した。
英エネルギー省も同日、石油公社によるDana買収を承認した。

石油公社は、提案の受け入れ期間を延長し、石油公社の買収提案をいまだ受け入れていない株主らに対しても、引き続き株の売却を促す計画で、75%を超える提案の受け入れを取り付けることになれば、Danaの上場を廃止する計画。

Danaは昨年現在で、英国領海、アフリカ北西部など14カ国、36地区(下図)で日産53千バレルの原油を生産している。
本年8月にはPetro-Canada Netherlandsを328百万ユーロで買収し、原油埋蔵量3,100万バレルの北海のオランダ鉱区も確保した。

カナダ政府は1990年に国営石油会社のPetro-Canadaの民営化を発表、順次売却し、政府は19%を保有した。しかし、それも2004年に売却した。
Petro-Canadaは2009年8月にカナダのSuncor Energyと統合し、Suncor Energy100%
子会社となっている。

Petro-Canada Netherlandsは、Petro-Canada2002年にドイツのVeba Oil & Gasの石油・ガス事業の大半を買収したうちの一つ。

Dana Petroleumの拠点 (Petro-Canada Netherlandsを除く)

 

KNOCでは「Danaの買収に成功すれば、韓国の原油の自主開発率が9%から10.7%に高まる。海外での石油開発拠点も旧ソ連北海、アフリカへと拡大する」と指摘した。

2010年6月、韓国石油公社がカザフスタンの北西部アクチュビンスク州にあるAda鉱区で原油生産を開始した。
Ada鉱区の原油埋蔵量は推定3,570万バレルで、韓国石油公社が40%の株式を保有し、操業を担当している。
ほかにLG商事が35%、カザフスタンのVertom International が25%を保有している。






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2010年8月21日 (土)

中国、日本企業の買収がブーム

中国の人民網が特集「中国、日本企業の買収がブーム」を掲載している。

2010年上半期の中国企業による海外M&Aは2009年以来の上昇傾向が継続し、件数は2009年通年を上回る計30件、総額は前年同期比158.6%増の計66億7700万ドルとなった。中国企業の海外進出熱は依然として衰えが見えない。

しかし、対日投資はまだ初期の段階にとどまっており、本年4月末現在、非金融関係の対日投資はわず7億5千万ドルにとどまっている。

だが最近は中国企業による日本企業買収の動きが注目を集めている。
日本企業の合併買収を通じて、中国企業は関連の先端技術を獲得できるだけでなく、日本企業が苦境を脱するのを助けることになり、実際のところ買収は一種の相互利益となるとしている。

最近の主な買収例は以下の通り。確かに経営破綻した企業も数社含まれている。

買収:  広東・美的集団(MIDEA)
被買収: 三洋電機
業種: 電子レンジの
基幹部品
買収公表: 2001/10
買収金額: 23.5億円
電子レンジの基幹部品であるマイクロ波発振器の製造技術と生産設備を売却。
中国企業による同部品の自社生産は初めて。
 
買収: 上海電気集団
被買収: アキヤマ印刷機製造
業種: 印刷機
買収公表: 2002/1
買収金額: 20億円
上海電気集団と、香港系投資会社モーニングサイドが民事再生法申請のアキヤマの工場と営業権を買収。
アキヤマインターナショナルとして再スタート。
中国企業による初の日本企業の再生。
 
買収: 三九企業集団
被買収: 東亜製薬
業種: 製薬
買収公表: 2003/10
買収金額: 3億円
三九企業集団とハックキミサワが提携、東亜製薬の増資引受。
東亜製薬は三九企業集団の子会社に。
 
買収: 上海電気集団
被買収: 池貝
業種: 工作機械
買収公表: 2004/8
買収金額: 20億円
旧称 池貝鉄工。2001年に民事再生法の適用を申立
2004年 民事再生手続終結

第三者割当増資を全額を引き受け75%取得。

 
買収: 尚徳太陽能電力
(S
untec Power
被買収: MSK
業種: 太陽電池部材
買収公表: 2006/8
買収金額: 345億円  
建材一体型太陽電池技術を持つMSKを買収。
販路や技術情報の取得が目的。
2007年3月末、福岡工場閉鎖。
 
買収: 中国動向集団
被買収: フェニックス
業種: スポーツウエア
買収公表: 2008/4
買収金額: 5億円
中国動向集団は中国の大手アパレル

フェニックスはスキーウエアの老舗でスキーウエア販売の低迷で
産業再生機構の支援を受け、
オリックス傘下に。

フェニックスを1円で買収、増資5億円引受け。
フェニックスのデザイン技術を活用して、日中両国でスポーツウエアの
展開を図る方針。

 
買収:   China Satcom Network
被買収: ターボリナックス
業種: ITサービス
買収公表: 2009/1
買収金額: 10億円
広範な業務提携

China Satcomグループがインフラと電信業務経営許可権提供、
ターボリナックが情報通信技術及び事業マネジメントを行うことで
中国進出日系企業を対象にデータセンター事業及びIP電話事業を展開
 
買収: 北京泰徳製薬
被買収: LTTバイオファーマ
業種: 製薬
買収公表: 2009/4
買収金額: 2億円
LTTバイオファーマはDDS(ドラッグデリバリーシステム)医薬品を開発
1995年に中日友好医院(北京市)と「北京泰徳製薬」設立
(LTTは泰徳の12%保有)

資本・業務提携、筆頭株主に
19.2%出資。

医薬品、医療機器共同研究、販売

 
買収: 蘇寧電器
被買収: ラオックス
業種: 家電量販
買収公表: 2009/6
買収金額: 19億円
ラオックスはここ数年は赤字に苦しみ、平成21年度決算では
66億円の営業損失を計上し、希望退職者を募るなどしていた。

業務資本提携
筆頭株主に。

日本式経営ノウハウや日本の商品情報の入手が目的。

 
買収: 寧波韻昇
被買収: 日興電機工業
業種: 自動車部品
買収公表: 2009/12
買収金額: 12億円
いすず系自動車部品メーカー
バブル期に新規事業投資負担等から過剰債務を抱え、会社更生法の適用を受けた。
その後、リストラ等の施策で経営再建。

再生ファンドが保有する79.13%を買収

環境車向け部品などを共同開発
相互に技術を持ち寄り品質改善

 
買収: International
Audio Group
被買収: ラックスマン
業種: 音響機器
買収公表: 2009/12
買収金額: 未公開
IAGは中国、米国、英国に拠点を持つ、コンシューマー用高級オーディオ製品、
プロ用高級オーディオ製品、家電製品、照明器具などの
総合的なエレクトロニクスメーカー。
 
買収: Marlion Holdings
(中国企業の
共同出資)
被買収: 本間ゴルフ
業種: ゴルフ用品
買収公表: 2010/2
買収金額: 未公開
資本提携契約

本間ゴルフは ゴルフ場経営などの多角化を推し進めたことも災いして
資金繰りが悪化、 2005年6月、民事再生法の適用を申請、経営破綻。

投資会社2社から過半数を譲り受け、中国での販売拡大を目指す。

 
買収: 比亜迪
被買収: オギハラ
業種: 金型
買収公表: 2010/3
買収金額: 未公開
比亜迪(BYD) はリチウムイオン電池、電気自動車メーカー

オギハラの館林工場(車体鋼板金型を製作)を買収

 
買収: 中国中信集団
(CITICグループ)
被買収: 東山フィルム
業種: 化学
買収公表: 2010/6
買収金額: 15億円
ポリエステルフィルムをベースとした素材メーカー

CITIC子会社 HF HoldingsTOBで63.12%取得

CITICグループの傘下に入ることで、中国などアジア市場への進出を図る

買収: 中国中信集団
(CITICグループ
被買収: トライウォール
業種: 特殊段ボール
買収公表: 2010/8
買収金額: 6550万ドル
重量物包装資材=トライウォールパック(三層段ボ-ル)

過半数の株式を複数の既存株主から買い取り、経営権を取得

 
買収: 山東如意科技
被買収: レナウン
業種: アパレル
買収公表: 2010/5
買収金額: 40億円
資本業務提携契約締結
 ・70.01%出資
 ・中国、日本その他でのブランドの共同展開
 ・サプライチェーンの共有

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2010年8月20日 (金)

台湾、中台経済協力枠組み協定(ECFA)を承認、9月発効へ

台湾の立法院(国会)は8月17日夜、6月29日に中国と締結した中台経済協力枠組み協定(Economic Cooperation Framework AgreementECFA)を賛成多数で承認した。
中台双方は9月にも協定を同時発効させる見通しで、来年1月以降、双方の計806品目が段階的にゼロ関税となる。

中国の海峡両岸関係協会と台湾の海峡交流基金会は6月29日、重慶市で両岸経済協力枠組み合意(ECFA)と両岸知的財産権保護協力合意にそれぞれ調印し、文書を交換した。

「枠組み協定」とは正式な協定を結ぶ前にルールを定めるもので、正式な協定を結ぶまでの協議に時間がかかるため、実際の需要を考慮して、双方が最も切迫し、なおかつ双方のコンセンサスが得られている工業品項目の関税減免などについて部分的なものから関税の早期引き下げ(Early Harvest)を得る。

ECFAは序言、5章16条、5つの付属文書からなり、主な内容は経済、貿易、投資の各分野における双方の協力強化、貨物貿易とサービス貿易の一層の自由化促進、公平で透明かつ簡便な投資メカニズムと保障メカニズムの段階的構築、協力メカニズムの構築など。

主な内容は以下の通り。
1. 両岸の協力措置
  1) 実質多数の貨物貿易の関税及び非関税の障壁を逐次減少又は廃止する。
  2) 多数部門にわたるサービス貿易の制限的措置を逐次減少又は削除する。
  3) 投資の保護を提供し、相互投資を促進する。
  4) 貿易投資の利便性、産業交流及び協力を促進する。
2. 貿易と投資
  1) 貨物貿易
    貨物貿易協定に組み入れられた商品は「ゼロ関税商品」、「段階的に関税の引き下げをする商品」、「例外商品及びその他商品」の三種類に分かれている。如何なる片方も貨物貿易協定に規定された関税譲許の承諾に基づき、自主的に関税引き下げの加速化を実施してよい。
  2) サービス貿易
    制限的措置を減少又は廃止し、サービス貿易の奥行きと幅広さを拡大、サービス貿易における双方の協力を増進する。如何なる片方もサービス貿易協定に規定された開放承諾に基づき、自主的に制限的措置の開放を加速し、又は廃止してよい。
  3) 投資
    投資保障メカニズムを確立し、関連する投資規定の透明度を高め、投資制限を逐次減少し、投資の利便性を促進する。
3. 経済協力
    知的財産権の保護を強化し、金融、貿易、税関、電子ビジネスなどの分野における協力を促進し、中小企業同士の協力を推進、中小企業の競争力をレベルアップし、相手方における経済貿易団体の事務所等の機構設置を推進する。
4. 関税の早期引き下げ(Early Harvest)について
  1) 貨物貿易
    添付資料1に列記された商品に対し発効後6ヶ月以内に実施する。

中国側が石油化学製品(石油化学およびプラスチック原料を含む)、紡織、輸送機器(自動車部品を含む)、機械(工具機を含む)など539品目、138億4000万ドル相当、
台湾側が267品目の28億6000万ドル相当、
合計806品目、貿易額で計約167億ドル分の関税について、2011年から段階的に引下げ、2013年1月までにゼロ関税を実現することに合意した。

中国の対象製品の関税引き下げは以下の通り。

2009年関税率 1年目 2年目 3年目
0<X<5 0    
5.1<X<15 5 0  
15.1<X 10 5 0

(関税番号→製品名は http://www.customs.go.jp/yusyutu/2010/index.htm 参照)

中台間の自由貿易協定構想は、2008年総統選に当選した馬英九(国民党)が目玉の経済政策として掲げた。

馬英九政権は、発足直後から中国との経済関係拡大に積極的な姿勢を示し、三通(通商、通航、通郵)の実現、中国観光客への開放、中国資本の受け入れなどを推し進めた。

背景には、2010年にASEAN自由貿易地域(AFTA)で関税撤廃がなされる一方、台湾は他国とのFTA締結が困難な状況にあり、台湾経済の辺境化・孤立化に対する危機感があった。

中国とASEAN 10カ国は「中国-ASEAN包括的経済協力枠組み協定」を締結し、2010年から中国はASEAN 6カ国(インドネシア、マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ)と大部分の製品の関税の免税措置を実施し、さらに他ASEAN 4カ国(ベトナム、ラオス、ミャンマー、カンボジア)も2015年にこれに続く予定。
 2009/10/27 中国・ASEAN自由貿易地域 来年スタート

2009年の台湾の中国向け輸出は857.2億ドル、輸入は205.1億ドルであった。

ASEANと中国が相互免税措置を実施した場合、台湾の輸出産業が大きな衝撃を受ける。
台湾の石油化学、機械製品の中国へ輸出される割合は43%および27%で、それぞれ平均6.5%、8.23%の高関税が課せられている。このままでは、台湾はASEAN製品との競争によって、約5.7万人および約32.7万人の就労者数がそれぞれ衝撃を受けることになる。

ECFA締結を統一への足がかりとしたい中国は、台湾の要求をことごとく受け入れて大幅に譲歩したため、中国国内に「譲歩しすぎた」との批判も出た。

中国台湾の18品目の農漁産品をアーリーハーベストに加えることに合意したが、台湾は中国大陸産の農産品の輸入品目の拡大を行わないことおよび中国大陸住民の労働者の来台就労を解禁しないことが確定、中国のほうがより多くの譲歩を強いられた形となっている。

台湾と競合する分野を多く抱える韓国企業は、「台湾企業の技術レベルは韓国とほぼ同じで、電子、機械部品などの韓国メーカーはいずれもシェアを奪われることを心配している。」
2009年の韓国の中国向け輸出は1,025.5億ドル、輸入は536.8億ドルであった。

中央日報は「最善の策は、早急に中韓自由貿易協定を締結し、影響を最小限に止めること」としている。
駐中国韓国大使は、来年から中韓自由貿易協定(FTA)の交渉が始まるとの見通しを示した。

丹羽宇一郎新駐中国大使は7月23日の会見で、中国が6月に台湾と経済協力枠組み協定を結んだことや、韓国も中国とのFTA締結に意欲を見せていることを指摘し、「日中のFTAを進めないと日本は沈没する」と懸念を表明。産官学共同研究が行われている日中韓のFTAについても、「協議を10年もやっているのに何もできていない」と不満を述べ、「市場を日本が見逃してはいけない」と強調した。



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2010年8月19日 (木)

中国地域経済の新版図 -3

中国の人民網は特集「中国地域経済の新版図」を掲載した。

Ⅴ 中部地区

中部6省には山西、安徽、江西、河南、湖北、湖南が含まれ、人口は全国の28.1%を占める3億6100万人、そのうち農村人口は2億4400万人で全国の農村人口の1/3近くを占めている。
2009年9月23日に国務院常務会議では「中部地域の振興促進計画」を審議し、原則として通過させた。会議では「中部地域の振興促進計画」を実施し、2015年までに中部地区で経済発展水準の顕著な向上や発展エネルギーのさらなる増強、持続可能な発展能力の明らかな向上、調和社会建設における新たな進展という目標の実現を目指すと述べた。

1. 湘潭市都市全体計画

2010年2月5日に国務院弁公庁は「湘潭市都市全体計画の許可に関する通知」を発表し、改正後の「湘潭市都市全体計画(2010-2020年)」に原則的に同意した。
同「通知」によると、湘潭市は長株潭(長砂--株州--湘潭)地区の中心都市の一つで、湖南省の重要な工業や科学技術、観光の都市。「全体計画」で確定した1069平方キロの都市計画区範囲内では、都市と地方の統一計画管理を実行する。中心都市の「一江両岸(1つの川と2つの岸)」の山水都市の配置をさらにグレードアップする。
2020年には中心都市の都市人口を110万人以内に抑え、都市建築用地を110平方キロ以内とする。

 

2. 皖江都市帯

皖江都市帯は安徽省内の皖江(長江流域)の92県。

2010年1 月に中国国務院は「皖江都市帯産業移転支援モデル区計画」を許可した。これは中国が設立を許可した初めての国家級の産業移転支援モデル区で、産業移転が中国の国家戦略の一つにステップアップしたことを表すもの。

同「計画」で設定された目標によると、2015年までにモデル区の総生産を2008年の2倍以上とし、1人あたりの地区の総生産を全国平均水準以上とし、都市化率を56%に到達させる。

3.  陽湖生態経済区    

中国最大の淡水湖である陽湖は江西省北部に位置し、中国の重要な生態機能保護区であると同時に、世界自然基金会(WWF)が指定した世界重要生態区でもあり、洪水調節・蓄積、気候調節、汚染軽減などのさまざまな生態機能を備えている。

2010年1月に国務院は「ハ陽湖生態経済区計画」を許可し、ハ陽湖生態経済区計画を国家戦略に引き上げた。
生態産業クラスタとしてのハ陽湖生態経済区計画で、同計画によると、ハ陽湖生態経済区には江西省政府所在地の南昌や有名な陶磁器の町・景徳鎮など3都市と38の県(市、区)が含まれ、面積は約5万平方キロで省全体の総面積の3割を占める。人口は約2600万人で省全体の総人口の半分、経済総量は省全体の6割を占める。

2015年までに地域生態環境の質で全国上位となることを目指し、発展の遅れた地区で生態産業システムを率先して構築し、生態文明の建設で全国のトップレベルを目指す。2020年までに強力な保障の力を持つ生態安全システムを構築し、先進的で効率的な生態産業クラスタを形成し、生態的な居住に適した新たな都市クラスタを構築する。


 

4. 黄河デルタ地域の高効率生態経済区発展計画

黄河デルタは渤海南部の黄河が海に注ぐ沿岸地区に位置し、山東省の東営や
 
の一部地区を含む19の県(市、区)にまたがる総面積2.65平方キロの地域で、山東省全体の6分の1を占める。総人口は約985万人で、省全体の総面積の10分の1近くを占める。

同地区は土地資源の優位性が際立ち、地理的な条件が優れ、生態システムが独特の特色を備え、産業発展の基礎が優れており、効率的な生態経済発展の優れた条件を備えている。

中国国務院は2009年11月23日に「黄河デルタ地域の高効率生態経済区発展計画」を許可し、中国の三大デルタ地域の一つである黄河デルタ地区の発展を 国家戦略に引き上げ、国家と地域の協調的発展戦略の重要な一部とした。

黄河デルタは渤海南部の黄河が海に注ぐ沿岸地区に位置し、山東省の東営や
の一部地区を含む19の県(市、区)にまたがる総面積2.65平方キロの地域で、山東省全体の6分の1を占める。総人口は約985万人で、省全体の総面積の10分の1近くを占める。

同地区は土地資源の優位性が際立ち、地理的な条件が優れ、生態システムが独特の特色を備え、産業発展の基礎が優れており、効率的な生態経済発展の優れた条件を備えている。

中国国務院は2009年11月23日に「黄河デルタ地域の高効率生態経済区発展計画」を許可し、中国の三大デルタ地域の一つである黄河デルタ地区の発展を 国家戦略に引き上げ、国家と地域の協調的発展戦略の重要な一部とした。


Ⅵ 東北地域

1. 東北地域振興計画

2007年8月、国家発展改革委員会と国務院東北地域など旧工業基地振興指導小グループ弁公室が作成した「東北地域振興計画」が発表された。
同計画の範囲には遼寧省、吉林省、黒竜江省、内モンゴル自治区呼倫貝璽市、興安盟、通遼市、赤峰市、錫林郭勒盟(蒙東地区)が含まれる。
土地面積は145万平方キロメートル、総人口は1億2千万人。中国の東北辺境地区で自然や地理が整い、自然の資源が豊富で、多民族が融合し、開発の歴史が似通い、経済が密接に関係し、経済的な実力が強い大経済地域であり、全国の経済発展で重要な位置を占めている。

振興の目標:
10から15年の努力を経て、東北地区を体制メカニズムが優れ、産業構造が合理的で、都市と農村、地域が相互に協調的に発展し、資源型都市の優れた発展を成し遂げ、社会が調和し、総合的な経済発展水準が高い重要な経済成長地域とする。
国際的な競争力を持つ装備製造基地、国家の新型原材料・エネルギーの保障基地、国家の重要な商品糧食や農業・畜産業生産基地、国家の重要な技術研究開発・革新の基地、国家の生態安全の重要な保障区を形成し、東北地区の全面的な振興を実現する。

2. 瀋陽経済区

瀋陽経済区は瀋陽を中心に、鞍山、撫順、本渓、営口、阜新、遼陽、鉄嶺の合計8都市を含み、中心都市の瀋陽の経済的な波及と吸引を通じて、周辺の経済社会活動と緊密に関連した地区で形成される「地域経済共同体」である。
瀋陽経済区は中国の重要な重化学工業発展の基地の一つで、東北地区の経済発展の重要な地域であり、遼寧省の経済の中心地帯。区全体の総面積は7万5402平方キロメートル、総人口は 2362万人。

2009年、瀋陽経済区の地区総生産は合計9984億7千万元。総合的な関連の改革試験を通じて、瀋陽経済区を国家の新型産業基地の重要な成長区、旧工業基地の体制革新の先導区、資源型都市の経済転換のモデル区、新型工業化による現代的農業の発展牽引の先行区、資源節約・環境保護・調和的発展の生態文明区とする。
総合的な関連の改革の試験を通じて、瀋陽経済区は都市間をつなぐクラスタ効果を発揮し、また5本の都市間連結帯をキャリアとして、十の主な業界が突出し大きな優位性を持つ重点産業クラスタを生み出す。

目標:2020年までに瀋陽経済区で地域経済の一体化を基本的に実現し、総合的な経済の実力を中程度の先進国のレベルに到達させ、北東アジア地域の重要な経済の中心とする。


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2010年8月18日 (水)

中国地域経済の新版図 -2

中国の人民網は特集「中国地域経済の新版図」を掲載した。

Ⅲ 北部地域

1. 京津冀都市圏

京津冀都市圏とは北京市と天津市を中心とし、河北省の石家庄、保定、秦皇島、廊坊、滄州、承徳、張家口、唐山の8都市を含む地区を指す。同地区は中国の政治や文化の中心で、かつての近代中国の経済の中心。

京津冀:
 京=北京
 津=天津
 冀=旧称の冀州から河北省のこと

「京津冀都市圏地域計画」は国家の「第11次五カ年計画」中の重要な地域計画で、発展計画は「8+2」モデルに基づく。北京と天津の2つの直轄市と河北省の石家庄、保定、秦皇島、廊坊、滄州、承徳、張家口、唐山の8都市を含む。

京津冀都市圏は現在既に比較的整った地域経済の計画があり、中国経済の「第3の極」になる見込みがある。

2. 遼寧沿海経済帯

「遼寧沿海経済帯発展計画」は2009年7月1日に国務院の許可を得た。これにより、遼寧沿海は開発地域全体が国家戦略に組み込まれた。
国務院が審査許可した計画は遼寧が先に提出した「五点一線経済帯」発展計画を中心とし、従来の計画範囲をさらに拡大したもの。

沿海「5点」:丹東市の遼寧省丹東産業園区、大連市の大連花園口工業園区、
       大連市の大連長興島臨港工業区、営口市の遼寧省営口沿海産業基地、
       錦州市と葫芦島市の遼西錦州湾沿海経済区
「1線」:高速道路
「5点1線」に沿って臨港産業集積帯、資源開発産業帯、観光産業帯などを形成させる計画

計画では空間分布や産業の発展、都市発展、社会事業、インフラ、開放的な協力、資源環境、保障措置といった面での遼寧沿海経済帯の2020年までの発展方向を確立している。

3. 図們江地域の協力開発

中国国務院は先ごろ「中国図們江地域の協力開発計画綱要・長吉図を開発・開放の先導区とする」を許可した。これは中国政府がこれまでに許可した唯一の国境沿いの開発開放区の計画。

長吉図は長春、吉林、図們江
図們江(北朝鮮では豆満江)は、中朝国境の白頭山(中国名:長白山)に源を発し、中国、北朝鮮、ロシアの国境地帯を東へ流れ日本海に注ぐ全長約500kmの国際河川で、中国と北朝鮮を分ける国境線となっており、北岸は中国吉林省延辺朝鮮族自治州。

図們江地域開発計画では計画地域で国境沿いの開放の先行試験権を付与し、図們江地域の国境沿いの開放における模索を奨励する。
中国、ロシア、北朝鮮の3カ国の国境開放都市である琿春から、急速に発展する東北地区の中心都市・長春まで、面積は7.3万平方キロメートル、人口1090万人におよぶ地域経済帯が中国東北地区で形成されつつある。

中国は琿春市を国境開放都市に指定して琿春辺境経済合作区とし、北朝鮮は羅津・先鋒(現・羅先直轄市)を自由経済貿易地帯(経済特区)に指定して開発を進めている。

豆満江河口付近の北朝鮮側には北朝鮮の鉄道とロシアのシベリア鉄道を繋ぐ「豆満江駅」がある。

ーーー

Ⅳ 南部

1. 海南国際観光島

2010 年1月4日、国務院は「国務院の海南国際観光島の建設・発展に関する若干の意見」を発表した。
これにより、海南国際観光島の建設が正式に軌道にのったことになる。

国家の重大な戦略として、中国では2020年に海南に世界一流の海島レジャー観光地を建設し、開放の島、環境に優しい島、文明の島、調和の島とする。

2. 珠江デルタ経済区

2009年1月8日、国家発展・改革委員会は「珠江デルタ地区改革・発展計画綱要(2008-2020年)」を発表した。

計画範囲は広東省の広州、深セン、珠海、佛山、江門、東莞、中山、恵州、肇慶市を中心とし、珠江デルタ地域に波及しており、また香港・マカオとの緊密な協力も計画に取り入れ、全国に対する波及・牽引の役割と先行する模範としての珠江デルタの役割をさらに促進する。

珠江デルタ経済区の戦略的位置づけは、科学的発展モデル模索の試験区、改革深化の先行エリア、開放拡大の重要な国際的窓口、世界の先進的な製造業と現代的なサービス業の基地、全国の重要な経済センターである。

広東省はこのほど、珠江デルタの9市におけるインフラ、産業分布、基本的な公共サービス、都市・農村計画、環境保護を一体化する「5つの一体化」計画を発表した。
広東省は同計画に基づき、1兆9767億元を投資して、交通・エネルギー・水利・情報化の4カテゴリーに関わる重大プロジェクト約150項目を建設していく。
短期的な計画目標は2012年には実現し、長期目標では、2020年には珠江デルタの「5つの一体化」が実現する。

計画によると、珠江デルタの9市では2020年までに、公共教育、公共衛生、公共文化・スポーツ、公共交通、生活保障、住宅保障、就業保障、医療保障、生態・環境・現代サービス業など、10大一体化基本公共サービスが受けられるようになる。

3. 汎珠海デルタ横琴経済協力区

2009年8月14日、国務院は「横琴全体発展計画」の実施を許可し、横琴島を珠海経済特別区の範囲に組み込み、横琴島を徐々に「一国二制度」の下で広東省とマカオ、香港との新たな協力モデル模索のモデルエリアとする。

珠海市横琴島は珠江河口の西岸に位置し、マカオと海を隔てて向かい合った、珠江河口の島。横琴の開発建設を加速し、珠海デルタの牽引や香港・マカオへのサービス、率先した発展という役割を発揮させるために、特別に同計画を制定した。

計画によると、珠海は横琴の建設用地を集約し、ハイレベルで基点の高い大規模プロジェクトの投資を誘致し、産業発展においてはビジネスサービスやレジャー・観光、科学教育・研究開発、ハイテクの4産業に重点を置く。
こうした産業の発展を通じて、香港・中国経済貿易緊密化協定(CEPA)の実施を深化させ、マカオ住民の横琴での投資や就業の条件を生み出し、マカオ経済が適度に多元化するよう促進し、横琴に
「四基地 1プラットフォーム」、つまり
  広東省・香港・マカオ地区の地域ビジネスサービス基地、
  香港・マカオ付属の世界的な観光・レジャー基地、
  珠江河口西岸の地域的な科学教育・研究開発のプラットフォーム、
  香港・マカオの優れた郵政を融合させた国際的胚的技術産業基地
を建設する。


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2010年8月17日 (火)

中国地域経済の新版図-1

中国の人民網は特集「中国地域経済の新版図」を掲載した。

Ⅰ 東部地域

1.長江デルタ経済地域

長江デルタ地域は、江蘇省南部、浙江省北部の、上海市、南京市、杭州市、蘇州市、無錫市、揚州市、南通市、鎮江市、湖州市、寧波市、紹興市、舟山市、温州市、嘉興市、常州市など地区レベル以上の16都市および近隣海域を含む沿海地域に囲まれている。面積は21万700平方キロメートル。

成長基盤、体制環境、競争力などの条件をともに備えた地域となっており、中国の近代化建設において極めて重要な戦略的地域として位置付けられている。
陸地面積は全国のわずか2.1%、人口は全国の11%の長江デルタ地域から、GDPの21.7%と財政収入の24.5%、輸出入総額の47.2%が生み出されている。

経済・社会の発展水準と総合力、整った都市体系を備えた地域となっている。

国務院がこのほど「長江デルタ地域の地域規則」で長江デルタ地域の戦略的位置付けを明確にした。
アジア太平洋地域の重要な国際的窓口、国際的に重要な近代サービス業とハイテク製造業センター、強い国際競争力を備えた世界レベルの都市群。

2. 環渤海経済圏



環渤海経済圏は、遼東半島、山東半島、北京市・天津市・河北省を中心とした環渤海沿海経済帯で、山西省、遼寧省、山東省、内蒙古中東部まで広がっている。
発達した交通網や確かな工業基盤、科学技術・教育基盤、豊かな自然資源、密集した中堅都市圏といった5つの優位性を培ってきた。

河北省環北京・天津国家ハイテク産業帯は環渤海湾経済圏のうち北京・天津・河北省都市圏の重要な部分で、2010年6月、科学技術部によって建設が批准された。
科学技術部が建設を批准した全国7つの国家級ハイテク産業帯の一つ。

3.江蘇沿海経済区



江蘇沿海経済区は主に連雲港、塩城、南通などの江蘇沿海地区が含まれ、長江デルタの重要な構成部分となっている。

4.海峡西岸経済区



海峡西岸経済区は、福建を主体とし、台湾に面し、香港・マカオと隣接し、その範囲は浙江省南部、広東省北部、江西省の一部地域をカバーする、

海峡西岸経済区はこれまでに、福建省福州、アモイ、泉州、ショウ州、竜岩、ホ田、三明、南平、寧徳、福建省周辺の浙江省温州、麗水、衢州、江西省の上饒、鷹潭、撫州、カン州、広東省の梅州、潮州、汕頭、掲陽の20都市にまで拡大してしてきた。

海峡西岸経済区の戦略的位置づけは、
▽両岸(台湾と大陸部)の人々の交流と協力の先行地域
▽周辺地域の発展に貢献する新しい対外開放総合ルート
▽東部沿海地域の先進製造業の重要基地
▽国内の重要な自然・文化・観光センター、としての役割を果たすこと。

2009年10月、福建省発展改革委員会は「台湾企業の投資を奨励する産業指導目録」を発表し、情報、機械、石油化学、冶金、紡績製靴、農・林・牧畜・漁業およびその加工、新素材、バイオおよび医薬、金融業、サービス業といった10大産業で、台湾企業の福建省への投資を奨励した。海峡西岸経済区は両岸の金融協力モデル地域へと発展しつつある。

ーーー

Ⅱ 西部地域

 西部地域とは、陝西省、甘粛省、寧夏回族自治区、青海省、新疆ウイグル自治区、四川省、重慶市、雲南省、貴州省、西蔵(チベット)自治区、広西チワン族自治区、内モンゴル自治区の12省・自治区・直轄市を指す。

(地図の
  :

 

1. 成渝経済区

成渝(成都・重慶)経済区は、重慶市と四川省成都市の2都市を中心としており、主に重慶(市街区)、成都、雅安、楽山、綿陽、徳陽、眉山、遂寧、資陽、宜賓、瀘州、自貢、内江、南充、広安、達州、広元、都江堰、彭州、キョウライ、崇州、広漢、什ホウ、綿竹、江油、峨眉山、ロウ中、華瑩、万源、簡陽、および重慶の江津、合川、永川など、規模・レベルの異なる33都市から構成される。

経済区の総面積は20.61万平方キロメートル、人口は9840万7千人、GDP総量は1兆5800億元。

2. 重慶両江新区

西部大開発戦略の具体的な実施として、重慶の「両江新区」が2010年6月18日に成立した。
「両江新区」は上海の浦東東新区、天津濱海新区に続く中国で3番目の国家級新区で、内陸では唯一の国家級新区。

「両江新区」は重慶市市街区の
長江以北、嘉陵江以東に位置し、江北区と渝北区、北碚区の3つの行政区の一部区域を含む。計画面積は1200平方キロメートルで、そのうち開発可能な建設面積は550平方キロ。

重慶の「両江新区」の戦略的位置づけは、重慶市に立脚し、西南地区にサービスし、長江経済帯をよりどころに国内外を対象とする。

「一つの窓口、二つの中心と三つの基地」
西部内陸地域の対外開放の重要な窓口で、
長江上流地区の現代的な商業・物流センターと長江上流地区の金融センターの2つの中心を持ち、
国家の重要な現代的製造業と国家ハイテク産業基地、内陸の国際貿易の動脈と輸出商品の加工基地、長江上流の科学技術革新と科学研究成果の産業化基地の3つの基地を形成する。

3. 関中-天水経済区

国務院新聞弁公室は2009年6月25日に、「関中-天水経済区発展プラン」を発表した。「全国内陸型経済の開発・開放の戦略的な重要な拠点」と位置づけている。

「国家西部大開発『第11次五カ年計画』」で確定された西部大開発の三大重点経済区の一つで、陜西省西安や銅川、宝鶏、咸陽、渭南、楊凌、商洛の一部県や甘粛省天水が管轄する行政区域が含まれ、面積は7.98万平方キロメートル。



4. 青海省柴達木循環経済試験区

2010年3月15日、国務院は国家発展改革委員会と青海省人民政府が作成した「青海省柴達木循環経済試験区全体計画」を許可した。これは国務院が許可した2番目の地域循環経済発展計画。

5. 新疆地域経済振興計画(審査許可中)

新疆地域経済振興計画はエネルギーや観光、鉄鋼、新型農業、循環経済を重点的に支援する。
計画ではウルムチ北西に石油都市を構築、ユーラシア大陸橋を通じて中央アジア5カ国から中国に輸送された石油・天然ガスを同地に貯蔵する。
同時に、資源の豊富な中央アジア5カ国(カザフスタン、キルギス、タジクスタン、ウズベクスタン、トルクメニスタン)との国境貿易の発展を推進し、経済協力区を構築する。
同時にイランやアフガニスタン、パキスタンとの国境貿易やエネルギー協力を推進する。



6. 甘粛

2010年5月6日、国務院弁公庁は「甘粛経済社会発展のより一層の支援に関する若干の意見」を発表した。

甘粛発展の戦略的位置付けは、ユーラシア大陸橋をつなぐ戦略的通路、南西部と北西部をつなぐ交通の要所、北西部ひいては全国の重要な生態安全の防壁、全国の重要な新エネルギー基地、非鉄冶金新素材の基地、特色ある農産品の生産・加工基地、中華民族の重要な文化資源の宝庫、各民族の団結と奮闘の促進と共同の繁栄・発展のモデルエリアとなっている。

7. 広西北部湾経済区

2008年1月16日、国家は「広西北部湾経済区発展計画」の実施を許可した。

北部湾経済区の戦略的位置付けは、重要な国際的地域経済協力区。
中国南部大開発とASEAN向けの開放・協力の重点地区で、国家の地域発展全体戦略とウィン・ウィンの開放戦略の実施に対して重要な意義を持つ。

広西北部湾経済区を中国とASEANの開放・協力の物流基地、商業・貿易の基地、加工・製造基地、情報交流センターとし、西部大開発を支える戦略的な重要拠点にし、開放度が高く、波及力が強く、経済的に繁栄し、社会が調和し、生態的に優れた重要な国際地域経済協力区とする。

中国沿海の南西端に位置し、南寧や北海、欽州、防城港の4市と玉林、崇左の両市の物流センター2カ所からなる「4+2」の所轄の行政地域からなり、陸地面積は4.25万平方キロメートル、2008年末の総人口は1300万人(玉林、崇左は除く)。

 


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2010年8月16日 (月)

中国、レアアース市場での支配力拡大へ

内蒙古のBaotou Steel Rare Earth High-Tech Co と江西省のJiangxi Copper Corpは国際市場でのレアアースの価格支配力強化のため、軽希土類の統一価格メカニズム設定に動き出した。

中国は世界の希土類酸化物の95%以上を供給しており、世界の貯蔵量の半分以上を有しており、Baotou Steel Rare Earth High-Tech だけで世界市場の46%を供給している。この中でも軽希土類は貯蔵量が多い。

レアアースは17の元素で、多くのハイテク分野で使用されている。このうち、下図のランタン(La)からユウロピウム(Eu)までを軽希土類という。

レア・アースの用途例
磁石-高効率高性能モーター用 ネオジム、サマリウム、プロセオジム、ジスプロシウム、テルビウム
研磨剤 セリウム
光学ガラス ランタン
ニッケル水素電池 ミッシュメタル、ランタン
蛍光体 イットリウム、ユウロピウム、テルビウム、ランタン、セリウム

しかし、中国では乱開発されており、このままでは20~30年で中国のレアアースは枯渇するとされている。
また、中国で生産されるレアアースの60%は安値で輸出されている。

このため、「レアアース金属の高利潤と持続可能な発展維持に向け、中国は長期的なレアアースの価格決定権を確保しなければならない」との声が出ており、政府も生産量の制限や、違法採掘の摘発、事業統合の推進などを行っている。

2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

中国全国レアアース等鉱物資源秩序特別調整事務室は、7月20日までに内モンゴル、吉林、浙江、広東、四川、重慶、雲南、新疆ウイグルの8省自治区に対して、レアアース産出コントロール指標を提示したことを明らかにした。

7月には本年の輸出許可枠が前年比4割減ることも決まり、供給不足への懸念が強まっている。

  2009 2010 削減率
上期  25千トン  22千トン  
下期 25千トン 8千トン 7割 
年間 50千トン 30千トン 4割 

信越化学はハイブリッド車の駆動モーターなどに使うレアアース磁石の出荷価格を10月から平均2割引き上げる。
一連の規制の影響で、希土類の一種で磁石原料になるネオジムは昨年夏に比べて2.5倍、ディスプロシウムは2倍に上昇、さらに騰勢を強めているという。

直嶋正行経済産業相は7月24日、上海万博視察のため訪れた中国上海市で、同市トップと会談、中国各地の工場などで頻発する労働争議と、中国政府のレアアースの輸出規制に対する懸念を伝えた。
レアアースについて「今年下期の中国の輸出枠が前年同期比7割も削減され、世界の産業に重大な影響が出るとの強い懸念がある」と指摘した。

資源保全のため休止していた米国のMountain Pass社なども生産を再開したり、設備の拡張を行っている。

ーーー

中央政府は競争による値下がりを防ぐため、大企業がレアアースの統合を進めることを望んでいる。

内蒙古のBaotou Steel Rare Earth High-Tech と江西省のJiangxi Copper の軽希土類の統一価格メカニズム設定はこの一環である。

Jiangxi Copper はまた、国家発展改革委員会と四川省国土資源部の決定を受け、四川省の提携企業2社(Sichuan Mianning Mining Sichuan Hanxin Mining Industrial)と組んで、来年までに四川省の軽希土類を統合することを計画している。
Jiangxi Copper が四川省の10鉱山を、Sichuan Mianning Mining Sichuan Hanxin Mining Industrialが残りの鉱山を取得するというもの。

中国のレアメタルの主な産地は、
 軽希土類:内蒙古自治区、四川省
 重希土類:江西省、広東省、湖南省、福建省、広西チワン族自治区
となっている。

内蒙古自治区のBaotou Steel Rare Earth High-Tech と四川省の軽希土類を統合するJiangxi Copperが軽希土類の統一価格メカニズムを設定することになると、軽希土類の市場を実質的に支配することとなる。

付記
両社のほか、中国五鉱集団、中国有色鉱業集団、中国アルミの5社が再編の核になるとされる。

業界筋によると、中国政府は全国で123あるレアアース鉱山を10鉱山以下に減らし、精製工場も70から20


業界筋によると、中国政府は全国で123あるレアアース鉱山を10鉱山以下に減らし、精製工場も70から20に減らすことを計画している。
但し、統合は予定通りには進んでいない。


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2010年8月14日 (土)

人民元 4日連続下落

中国人民銀行は6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

7月2日には6.7711人民元/$と、6月18日比で0.83%の元高となったが、その後は横這い状態が続いた。

8月9日は一時 6.7644人民元、終値は6.7671人民元(0.88%高)と最高値を更新し、再び元高に向かうと思われた。

しかし、その後の4日間は連続下落となり、13日終値は6.7957人民元と、6月18日比で0.47%の元高に戻った。

12日には中国人民銀行の発表する基準値は、前日実績に全く関係なく、6.8015人民元と大幅元安に設定しており、取引にも当局の介入が入ったと見られている。

市場では「中国当局は成長の柱の輸出減速を避けようと、元高阻止を図っているのでは」との見方が出ている。

 


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中国、老朽過剰設備の停止命令

中国産業情報部(Ministry of Industry and Information Technology)は8月5日、公告111号を出し、国務院の指令(老朽設備の廃棄指令、廃棄物削減強化指令、2010年老朽設備廃棄指令)に基づき、セメント、コークス、鉄鋼、製紙、染色を含む18産業の2,087社に対し、老朽設備を9月末までに停止するよう命じた。

対象設備は汚染やエネルギー浪費のひどいもの、安全基準に適合しないものなど。

この中には河北鋼鉄集団子会社の邯鄲鋼鉄集団のSteel 90万トン、同じく子会社の承德新新Vanadium and Titanium と河鋼集団宣化鋼鉄のIron それぞれ35万トンが含まれている。

命令に従わない場合、廃水処理ライセンスの取り上げ、借入制限や事業免許取り上げなどのペナルティを科せられる。

中国は環境問題や資源不足に直面し、厳しい省エネ基準や環境基準で製造部門のアップグレードと、余剰設備の閉鎖を図っている。

2009/10/19 中国政府、過剰能力是正に注力

並行して、政府は粗鋼では年産100万トン以下、高級スティールでは年産30万トン以下の製鉄所を閉鎖と、鉄鋼部門の統合を図っている。

対象は以下の通り。(社名、廃棄設備・能力は記載のアドレスをクリック)

分 野 社数 社名、廃棄設備・能力 能力合計
1 (Iron) 175 広西柳州鋼(集団) 200万トン
天津友発集団天豊鋼鉄 90万トンほか
50万トン以上は22社、20万トン未満120社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333175.html
 3,524.6万トン
(全体の5%)
2 鋼鉄 (Steel) 28 河北省辛集市澳森鋼鐵 108万トン
江西省新余鋼鐵集團公司 
100万トン
河北省河鋼集団邯鄲鋼鉄集団 90万トンほか
50万トン以上は8社、20万トン未満13社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333206.html
876.4万トン
3 コークス 192 山西省豊焦化有限公司 50万トンほか
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333212.html
4 フェロアロイ 143 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333231.html
5 カーバイド 39 (全て4万トン以下)
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333237.html
74.5万トン
6 アルミ 17 (全て6万トン以下、1万トン未満が6社)
 
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333241.html
37.1万トン
7 銅精錬 6 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333245.html
8 鉛精錬 17 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333251.html
9 亜鉛精錬 53 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333257.html
10 セメント 762 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333261.html 100百万トン
(全体の5%)
11 ガラス 19 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333265.html  
12 製紙 279 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333269.html
13 アルコール 38 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333273.html
14 MSG 
(グルタミン酸ナトリウム)
7 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333277.html
15 クエン酸 2 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333281.html
16 製革 84 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333291.html
17 染色加工 201 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333295.html
18 繊維 25 http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/13333299.html

なお、政府は昨年、セメント 80百万トン、鉄 21.1百万トンを停止させている。

 


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2010年8月13日 (金)

International Year of Chemistry 2011

キュリー夫人のノーベル化学賞受賞から100年目にあたる2011年は「世界化学年:International Year of Chemistry」である。

2008年の63回国連総会は、2011 年を世界化学年と制定する決議を採択し、UNESCOと国際純正および応用化学連合(IUPAC)をこの活動の中心団体に指名した。

統一テーマは“Chemistry - our life, our future”で、この1年を通して、化学が生み出した技術と学問的成果を祝福し、その知識への貢献と、環境保護および経済発展への貢献を祝福することになる。

2011年はIUPACの前身の国際化学会協会(IACS)の発足100周年でもある。
IACS IUPAC(1919年設立)は,命名法と用語の標準化によって化学者の国際的な学問的情報交換と協力の必要性に注意を向けるために発足した。

IUPAC幹事会は2007年に「2011年をInternational Year of Chemistryに制定する」決議を行った。

その後、アフリカ化学協会連合(Federation of African Societies of Chemistryのホスト国であるエチオピアがキュリー夫人のノーベル化学賞受賞から100年目にあたる2011年を「世界化学年」とするよう提案し、UNESCOがこのエチオピア提案を国連が承認するよう支援した。

これを受けて8月6日、日本化学連合、日本化学工業協会など化学関係の産学官が団結して「世界化学年」事業を推進する組織として「世界化学年日本委員会」が設立され、野依良治・理化学研究所理事長が委員長に就任した。

野依委員長は、「世界化学年」事業の目的は(1)化学に対する社会の理解の増進(2)若い世代の化学への興味の喚起(3)創造的未来への化学者の熱意ある貢献への支援(4)女性の化学における活躍の場の支援―であり、世界各国が連動して化学に関する啓発・普及活動を行うところに意義があると説明した。

ーーー

Marie Curieは1911年に「ラジウムおよびポロニウムの発見とラジウムの性質およびその化合物の研究」でノーベル化学賞を受賞した。

女性としては最初のノーベル賞受賞者であり、物理学賞と化学賞を受けた唯一の人物である。また、一族4人で5つのノーベル賞を獲得した。

Pierre Curieとともに、ピッチブレンド(瀝青ウラン鉱)の残渣からラジウムとポロニウムを精製、発見し、1903年に「放射能の研究」で夫婦でノーベル物理学賞を受賞した。

娘のIrène Joliot-Curieyとその夫Jean Frédéric Joliot-Curie(結婚で双方の姓を組み合わせてJoliot-Curieとした)が、1934年にアルミニウムへα線を照射することによって世界初の放射性同位元素の製造に成功し、1935年に「人工放射性元素の発見」で化学賞を受賞している。

ーーー

2007年はプラスチックが初めて誕生してから100周年であった。
1907年にベルギー系アメリカ人のベークランド博士がフェノール樹脂(商品名:ベークライト)を開発した。

2006/2/15 プラスチック100周年 

2009年は「合成ゴム100周年」であった。
バイエルの
Fritz Hofmann 1909年9月12日、「合成ゴム製造過程」に関する特許を取得した。

2009/7/6 合成ゴム100年


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2010年8月12日 (木)

サウジのSipchem、酢酸エチルを事業化

Sipchem84日、Rhodiaと組んでJubail Industrial City サウジで初の酢酸エチルを事業化すると発表した。

Sipchem単独で建設、製造するもので、能力10万トン、投資額は107百万ドルで、2013年のスタートを目指す。
プラントは酢酸ブチルも生産できるよう設計する。

Rhodiaは原料のエタノール(海外市場で入手)と技術を供給し、製品の販売を行う。

酢酸エチルの製法には、①酢酸+エタノール、②アセトアルデヒド原料、③エチレン+酢酸(昭和電工がインドネシアで事業化)があるが、①を採用する。

Sipchemは下記の通り、1期、2期を実施しており、酢酸、CO20106月にスタート、VAM8月にスタートした。

ーーー

Sipchemは2006年11月に、第3期計画としてオレフィンと誘導品計画を発表した。

    
原料 アラムコ(エタン35%、プロパン65%
    
製品 : エチレン  1,000千トン
         プロピレン 
215千トン
        
HDPE 500千トン
        
EVA / LDPE 250千トン
        
PP
                 ANM 200千トン(Ineos 技術)
        
MMA 250千トン(Lucite 技術)
        
Carbon fiber
                 Ethylene vinyl alcohol
                 Polyvinyl acetatePolyvinyl alcoholPolyvinyl butyral
                 Polyacrylonitrile
                 Sodium cyanide
                 PE pipe and film

しかし、同社は2008年6月にエチレン、PE、PP計画を取り止めた。

2008/6/23  サウジ Sipchem がエチレン、PE、PP計画取り止め

そして、2009年5月に同社はSABICとの相互協力の覚書を締結、3期計画の大半をSABICに譲った。

SABICの計画:投資額 32億ドル
   MMA 250千トン  三菱レイヨンとのJV構想  
   PMMA 30千トン  三菱レイヨンとのJV構想
 アクリロニトリル  200千トン  旭化成がJV交渉
 ポリアクリロニトリル   50千トン
 ポリアセタール   50千トン
 カーボンファイバー   3千トン
 青酸ソーダ   40千トン

Sipchemの計画:投資額 8.1億ドル
 ポリ酢酸ビニル  125千トン
 エチレン酢ビ  200千トン

2009/5/11  サウジのSABICSipchem、新プロジェクトで相互協力の覚書

今回の酢酸エチル計画は第3期計画の追加。

なお、同社はエチレン酢ビの生産のため、ExxonMobil の高圧法LDPE技術を導入、本事業を韓国のHanwha Chemical とのJVSipchem 75%Hanwha 25%)とすることで合意したと発表している。


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2010年8月11日 (水)

化学企業の2010年第1四半期決算対比

第1四半期決算がほぼ出揃った。営業損益と当期損益の対比(3年間)を行った。

各社とも2009年1Qの業績を上回っており、赤字から大幅黒字に転換した会社が多い。
前々年(2008年1Q)の業績を上回る会社も多い。

問題は、下期もこの好調が続くのかどうかである。

既報の通り、三菱ケミカルは上期予想は上方修正したが、通期予想は「補助金打ち切りに伴う自動車減産の影響や、米国や中国の経済環境が心配」として据え置いた。   

エコカー補助金制度は予定通り9月末で終了するが、予算枠(約5837億円)を使い切れば終了する。
8月9日現在の残高は約944億円で、8月に入り1日25億円程度の申請のため、9月末までに終了する可能性がある。

トラックやバスなど事業用自動車向けのエコカー補助金は期限を9月末としていたが、予算枠(304億円)を使い切った時点で終了することとなっており、8月2日時点で302億円に達したため、8月3日午後5時で交付申請受け付けを終了した。

なお、家電エコポイントは2010年12月31日までとなっている。
また、住宅エコポイントは2010年12月31日までとなっていたが、国土交通省は最長で1年延長する方針とされている。

ーーー

営業損益

当期損益

三菱ケミカルホールディングスは営業損益では信越化学より多いが、当期損益では信越の下となっている。
これは、両社の税率は同じであるが、信越化学に移転価格税制による税金の還付があったことと、三菱ケミカルの連結損益には少数株主持分が大きいことが理由である。

営業
  損益
経常
  損益
税引前
  損益
税 金 税金
 還付
純利益 少数
株主
 持分
当期損益
信越化学   361   390   390  135  -107  362   5 357
三菱ケミカル 608 598   543  189 354 109 245

なお、積水化学の当期損益が-30億円となっているが、上半期予想は+60億円となっている。
(営業損益は第1四半期の+9億円に対し、上半期予想は+175億円)
第2四半期に、住宅と高機能プラスチックの利益の大幅増を見込んでいる。


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2010年8月10日 (火)

三井化学と帝人、国内のボトル用PET樹脂事業を統合

三井化学と帝人は8月6日、国内におけるボトル用PET樹脂事業を統合し、新たに合弁会社を設立することを基本合意したと発表した。

国内における飲料需要の減少、アジアからのボトル用樹脂の輸入拡大などに伴い、ボトル用樹脂事業を取り巻く環境は厳しい状況にある。

原料PTAについても、三井化学や三菱化学は国内の能力を落とし(三菱は本年末にゼロに)、海外の能力を拡大している。
    2006/4/17
高純度テレフタル酸(PTA)の大増設

生産を集約することによる操業度向上、販売部門統合によるマーケティング力の強化、両社の技術の融合による生産技術力の強化といったシナジー効果が新合弁会社で実現されるとともに、樹脂の原料である帝人のPX事業と三井のPTA事業を含むサプライチェーン一貫での競争力の徹底強化を図ることができるとしている。

合弁会社(社名未定)は、出資比率は三井80%:帝人20%で、2011年4月1日の営業開始を目指す。

両社の現状は以下の通り。

三井化学 原料PTA 岩国  750千トン(老朽機停止で400千トンにする計画)
PET樹脂 大竹  145千トン
帝人 原料PX 松山  300千トン
PET樹脂 徳山  50千トン→停止
松山  (40千トン停止済み)

新会社設立後の構成は以下の通り。

主要原料   生産   販売
パラキシレン

  (帝人)
ー→
高純度
テレフタル酸
 (三井)
ー→
ボトル用
PET樹脂
 (三井)
生産委託
  ←
  →
ボトル用
PET樹脂
(新会社)

ーーー

帝人は当初、松山に40千トンのPET樹脂プラントを持っていたが、Bottle-to-bottle 技術を開発、回収品からのPET樹脂生産のため、徳山に50千トンのプラントを建設し、合計能力を90千トンとした。

回収PET EG BHET(ビス2ヒドロキシエチルテレフタレート)
BHETMeOH DMTEG
DMT H2O PTA
MeOH
PTA
EG PET

しかし、同社は2008年10月に「ボトル to ボトル」の休止を発表した。

中国をはじめとして使用済みペットボトルの需要が急増して、独自ルートで有償取り引きされるようになり、使用済みペットボトルは入手困難な状況になったのが理由。

この結果、徳山プラントはTPAからの生産に切り替え、松山は停止した。

今回、徳山のPET工場も停止する。

ーーー

ボトル用PET樹脂メーカーの状況は以下の通り。(能力千トン)

  国内 海外  
三井化学  145  175
日本ユニペット  140   52
帝人   90→50→0  
ユニチカ(日本エステル)   10  
クラレ   10  

三井化学(海外)

  社名 出資 能力 原料PTA
インドネシア P.T. Petnesia Resindo 三井化学 41.58%
東レ 47.1%
75千トン P.T. Amoco Mitsui PTA Indonesia
 BP 50%/三井化学 45%/三井物産 5%
 450千トン
タイ Thai Pet Resin 三井化学 40%
東レ40%
SCG Chemicals 20%
100千トン
(150への増強案)
Siam Mitsui PTA
 三井化学 49%/Cementhai Chemical 49%

 1,400千トン

日本ユニペット(三菱化学 44.85%、東洋紡 44.85%、水島アロマ 10.3%)
(水島アロマは三菱ガス化学と東洋紡の折半出資で、PTA能力250千トン) 

岩国工場 東洋紡績 岩国事業所内   66千トン
四日市工場 三菱化学 四日市事業所内 46千トン
(委託) 越前ポリマー
(三菱化学 95%出資*)
28千トン
国内計 140千トン
(委託) 三菱化学インドネシア 52千トン

越前ポリマーは当初は三菱化学50%/カネボウ50% 
 
三菱化学インドネシアは旧称バクリー化成で、現在は三菱化学83.3%、日本アジア投資(JAIC)16.7%
 能力はPTA 640千トン、PET 52千トン 


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2010年8月 9日 (月)

スペインERTISAの上海フェノール計画、NDRCが承認

中国国家発展改革委員会(NDRC)は7月30日、スペインの石油・石油化学メーカーCEPSAの子会社ERTISAの上海ケミカルパーク(SCIP)でのフェノール/アセトン計画を承認した。

130百万ドルを投じて、年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを製造する計画で、ERTISAが単独で投資する。

環境面の承認は2008年に受けており、当初は2009年スタートを予定したが、グローバルな経済危機で延期されていた。

2008/8/19 スペインのCEPSA、上海でフェノール/アセトン生産を計画

Sunoco/UOP法を導入し、原料のキュメンは当初、韓国・日本などから輸入する。
ERTISAは将来的にはキュメンを、シノペックと上海ケミカルパーク開発公社(SCIP Development Company) SECCOの隣りに建設を計画している10百万トンの製油所と100万トンのエチレンのコンプレックスから供給を受ける計画だが、このコンプレックスはまだNDRCの承認待ちの状況にある。

製品のフェノールとアセトンは同じ上海ケミカルパークのバイエルのポリカーボネート用に供給する。
バイエルの能力はBPA 20万トン、PC 20万トンとなっている。(当初
PC 10万トンであったが、その後倍増した。)
(当初、上海クロルアルカリが10%出資していたが、現在はバイエル100%となっている。) 

Ertisa はスペインのHuelvaに年産60万トンのフェノール、37万トンのアセトンの能力を持つ。

同社は20086月にBayerとの間でフェノールとアセトンの供給契約を締結した。契約数量は明らかにされていないが、バイエルの欧州、タイ、中国の工場に供給する。

バイエルのPC拠点

立地 PC能力 スペインからの輸送                   
Uerdingen, Germany  330千トン AntwerpLBC-CEPSA Tank Terminalsまで船輸送
タンクからパイプライン、貨車輸送
Antwerp, Belgium 240千トン
Map Ta Phut, Thailand 270千トン 船輸送
Shanghai, China 200千トン 船輸送
本計画完成後は上海工場からの供給に切り替え
Baytown, USA 350千トン (契約対象外)
合計 1,390千トン  

ーーー

上海ケミカルパークでは三井化学とシノペックのJVの上海中石化三井化工が年産25万トンのフェノールと15万トンのアセトンを建設することを決めた。2009年12月に検討覚書を締結し、検討してきたもので、8月4日に発表した。

上海中石化三井化工は又、シノペック上海中石化高橋分公司から上海ケミカルパークで稼動中のフェノール(12.5万トン)、アセトン(7.5万トン)と原料キュメン(162千トン)のプラントを引き継ぐ。
これらは同地区にある上海中石化三井化工の年産12万トンのBPAプラント向けに供給されている。
BPA浙江省嘉興市の帝人化成のPC 100千トン用に供給されている。) 
 

上海中石化三井化工
1. 所在地   上海市・上海ケミカルパーク
2. 出資比率三井化学 50:シノペック 50
3. 生産能力
   フェノール  アセトン  BPA
今回新設  25万トン  15万トン  
既設(上海中石化三井化工)      12万トン
既設(旧 上海中石化高橋分公司)  12.5万トン   7.5万トン  
合計  37.5万トン  22.5万トン  12万トン
4. 新プラントプロセス三井化学技術
5. 営業運転開始時期2013年第2四半期

2009/11/4  三井化学、シノペックとの合弁事業の基本合意

注)シノペック上海中石化高橋分公司は上海の高橋地区が本拠で、ここにフェノール/アセトン第一工場(年産6万トン)を持つ。
上海ケミカルパークにある第二工場を上海中石化三井化工に譲渡した。

ーーー

中国ではこのほかに、イネオスとシノペックが南京ケミカルパークでのJVを検討中で、能力はフェノール40万トン、アセトン25万トン、原料キュメン55万トンとなっている。

2010/1/7  INEOSとシノペック、南京にフェノールJV設立を検討

 


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2010年8月 7日 (土)

韓国Kolon、アラミドの独禁法問題でDuPontを訴え

韓国のKolonは先月、DuPontが米国の需要家にKolonのアラミドを購入しないよう、圧力をかけているとして、連邦裁判所に訴えた。

韓国の公正取引委員会は、韓国でKolonに対する独禁法違反行為がないかどうか、韓国DuPont の調査を開始した。
公取委では資料を収集している段階であるとしている。

アラミド繊維はDuPont(日本では東レ・デュポン)と帝人が世界の市場を二分しており、両社はアラミドペーパーで折半出資の合弁会社デュポン帝人アドバンスドペーパーを設立している。

Kolonは1979年にアラミドの基礎研究を開始、1994年に完成させ、2005末から商業生産を開始した。

3社の状況は以下の通り。

  パラ系アラミド メタ系アラミド
2009
年生産量
(新聞情報)
poly-p-phenylene-
terephthalamide
左に
ジアミノフェニレン-
テラフタルアミドを共重合
poly-m-phenylene-
isophthalamide
DuPont Kevlar®   Nomex® 28,000 t 
帝人    Twaron®
(オランダで生産)
テクノーラ®
コーネックス®
25,000 t 
Kolon Heracron®     2,000 t  
5,000t
増設計画)

Twaronについて:
Courtauldsの繊維部門Enkaが開発した。
DuPont
との特許紛争があったが、1988年に和解している。 

1987年に住友化学とEnkaが日本アラミドを設立した。
1998年にAkzoNobelCourtauldsを買収、EnkaCourtauldsの繊維、化学部門を統合してAcordis設立した。
Acordissは1999年にCVC Capitalが買収)

2001年に帝人がAcordisのアラミド事業を買収(日本アラミドも)。

ーーー

DuPontKolonが同社の技術を盗用していると主張してきた。

DuPont2007年に、同社を2006年初めに退職し、その後Kolonのために Aramid Fiber Systems LLCを設立した技術者の行動に疑念を持ち、FBIと商務省に懸念を伝え、共同で調査を続けた。

DuPont20092月にKolonを商業秘密盗用で訴えた。
KolonDuPont技術を密かに取得するため執拗に活動してきた。そのために以前のDuPontの従業員(複数)を採用し、また採用しようとしてきた」とし、「Kolonの製品のこの3年間の著しい改良はDuPont技術を違法に使用した結果である」と主張した。
問題の技術者は秘密情報を自宅のパソコンに入れており、これを
Kolonに渡したとされる。

逮捕された技術者は200912月に罪を認め、本年3月に懲役18ヶ月の判決を受けた。

これに対し、KolonDuPont技術の盗用を否定、自社技術で生産していると反論している。

ーーー

Kolon グループは1957年に Korean Nylon を設立した。1969年にはKorean Polyester を設立した。
1981年にそれぞれが改称していた Kolon (Nylon) Industries Kolon (Polyester) Industries が合併して Kolon Industries となった。

別途、
Kolon グループは1976年にKolon Chemical を設立した。石油樹脂からスタートし、SAP、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂に拡大した。中国の蘇州にフェノール樹脂のJVを持っている。
20076月、Kolon Industries と合併した。

現在、
Kolon Industries Chemical Material 部門で繊維、産業資材(aramidを含む)、フィルム、エレクトロニック資材、エンプラを、Performance Material 部門で石油樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂を扱っている。

Kolon は高吸水性樹脂(SAPでは世界の6番目のメーカーであったが、2008年6月にLG Chem に売却した。

2008/6/30 韓国LG Chem、高吸水性樹脂に進出

 


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2010年8月 6日 (金)

人民元の現況 

The Economistは2010年7月のBig Mac Index を発表した。
   
http://www.economist.com/node/16646178?story_id=16646178

ビッグマックはほぼ全世界で同一品質のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすい。

7月21日の為替レートに基づき、各国のBig Mac の価格をドルに換算した。

米国(4都市の平均)は3.73ドル、これに対し日本は3.67ドル、中国は1.95ドルとなっている。

7月21日の円/ドルは87円で、かなり円高だが、Big Macでみる限りは妥当な為替レートということになる。

これに対し同日の人民元は、1ドル=6.7769人民元となっている。
Big Macで等価となるレートは1ドル=3.54人民元で、現在のレートは48%の元安となる。

ーーー

中国の中央銀行である中国人民銀行はG20サミットを控えた6月19日、「人民元相場の弾力性を強化する」との声明を発表、 2008年8月から固定していた人民元を再び管理フロート制に戻した。
毎日発表する基準値に対し、±0.5%の変動を認めるもの。

しかし、初日の終値こそ基準値比 0.44%アップと上限に近いものとなったが、その後は政府が介入した結果、非常に緩やかな変動となっている。

これまでの最高は7月2日と12日の6.7711人民元で、6月18日比で0.83%上がっただけである。
8月5日終値は6.7719人民元で、6月18日比で0.81%アップに過ぎない。
  付記 8月6日終値は6.7683元で6月18日比0.87%アップの最高値となった。

今後、米国からの切り上げ圧力が強まると思われる。


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メキシコ湾油井封鎖作業の状況

BPは油井の完全封鎖に向け、作業を行っているが、現在順調に進んでいる。

2010/8/2  BP、油井完全封鎖へ

8月3日午後3時にキャップからの掘削泥水の注入が始まり、8時間後に終えた。

異常が見られないため、5日9時にキャップからのセメントの注入を始め、午後2時に終了した。
現在、その後の状況をモニターしている。

これで井戸の上部からの封鎖作業が終わり、天候にもよるが、8月中旬に井戸の底部にリリーフ井戸からセメントを流し込み、井戸を上下から封鎖する。

       付記

圧力テストが8月12日遅くに完了し、井戸が封鎖され、油層との接続が切れたことが分かった。

井戸の底部にリリーフ井戸からセメントを流し込み、下から封鎖する "bottom kill"については、実行すれば下からの圧力で上部のセメントのプラグが壊れ、井戸に閉じ込められている約1,000バレルの原油が流出する可能性があることが分かった。

技術者がこれへの対応策を検討し、"bottom kill"実施が決まった。

付記

流出事故対策本部のアレン本部長は8月19日の会見で、Bottom kill が予定より数週間遅れ、9月上旬以降にな るとの見通しを明らかにした。圧力テストのほか、油井の上部に設置されていたが、故障して原油やガスの噴出を防げなかったBOPを取り外して交換し、事故原因の究明に役立てる作業などを行うため。

なお、ウッズホール海洋生物学研究所などの研究チームが、メキシコ湾の原油流出が起きた油井付近で、原油成分の濃度が高い巨大な水塊を見つけた。水塊は水深約1キロのところで長さ35キロ以上、厚さ200メートル、幅2キロに及んだ。
今回見つかったような水塊が広範囲にあるとすると、原油の消失に時間がかかることになる。

付記

BPは原油流出事故の補償コストをカバーする200億ドルの基金Gulf Coast Claims Facility (GCCF)を創設、当初の予定を早め、8月9日に最初の30億ドルを払い込んだ。

これまで個人や企業に対する補償支払いはBPが行っていたが、8月23日からは基金が行う。政府に対する補償支払いは従来どおりBPが行う。

8月23日までの支払額は399百万ドルとなった。
コンタクトがあったのが166千件、請求が154千件、うち支払いが127千件となっている。

 


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注目企業の2010年第1四半期決算-3 

三菱ケミカルホールディングス

信越化学の営業損益を大きく上回る好業績となった。

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   763,781 34,579 39,019 13,113
09/1Q 549,701 -10,605 -17,154 -16,759
10/1Q 776,164 60,838 59,773 24,457
増減 226,463 71,443 76,927 41,216

当期より、主にケミカルズ及びポリマーズセグメントの国内連結子会社(三菱レイヨン及び同社子会社を除く)について、減価償却方法を従来の定率法から定額法に変更した。
この結果、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益がそれぞれ3,107 百万円増加している。

20103月末に三菱レイヨンを連結子会社とした。(101日に完全子会社とする)

セグメント別営業損益は以下の通り。

営業損益                     億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
Elecronics Applications 57 -9 29 38
Designed Materials 8 -8 99 107
ヘルスケア 266 252 290 38
ケミカルズ 24 -29 121 150
ポリマーズ 10 -281 94 375
その他 14 3 -4 -7
全社 -35 -33 -21 12
合計 346 -106 608 714

三菱レイヨンはDesigned Materials (炭素繊維、化学繊維)、ケミカルズ、ポリマーズ、その他に含む。
営業損益内訳は、MMA関連が58億円、炭素繊維が -6億円、AN関連が15億円、繊維が-2億円、その他となっており、他に退職給付会計数理計算上差異が-16億円ある

このほか、
Designed Materialsの樹脂加工品には、2009年9月に連結子会社とした日本合成化学工業と三菱樹脂のQuadranを含む。

三菱レイヨンの業績は以下の通り。

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   91,336 2,341 3,513 1,223
09/1Q 62,180 -5,683 -6,304 -5,257
10/1Q 112,011 4,830 4,195 388
増減 49,831 10,513 10,499 5,645

三菱レイヨンは2009年5月28日にLucite International の買収を完了した。
2009年1Qは1ヶ月分のみ算入、本年はフルに算入。

田辺三菱製薬の業績は以下の通り。

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   108,249 25,389 25,940 14,648
09/1Q 100,786 22,585 23,067 11,388
10/1Q 108,761 26,581 26,790 14,669
増減 7,975 3,996 3,723 3,281

同社および連結子会社のバイファが薬事法違反による行政処分(業務停止処分ならびに業務改善命令)を受け、同社は4月17日から5月11日まで業務停止となった。

なお、上期予想については、当期損益を当初予想の160億円から倍の320億円に見直したが、通期予想については、「下半期は不透明感が強いため、現時点では通期を想定することは確信できない」とし、当初予想の410億円を据え置いた。
補助金打ち切りに伴う自動車減産の影響や、米国や中国の経済環境が心配」としている。

ーーー

旭化成

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   385,992 19,401 21,249 13,465
09/1Q 289,344 -338 -1,750 -1,746
10/1Q 353,508 22,845 20,735 9,262
増減 64,164 23,183 22,485 11,008
営業損益               億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
ケミカル 91 22 153 131
住宅 -37 -30 -9 20
医薬・医療 90 31 33 3
繊維 12 -15 12 27
エレクトロニクス 45 -6 52 58
建材 3 0 3 4
その他 13 4 3 -1
全社 -23 -10 -20 -10
合計 194 -3 228 232

ーーー

JSR

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   101,395 13,996 15,803 8,712
09/1Q 67,652 -3,175 -2,494 -4,609
10/1Q 86,225 10,032 10,370 5,601
増減 18,573 13,207 12,864 10,210
営業損益             億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
エラストマー 30 -50 31 81
エマルジョン 0
合成樹脂 6 -12 6 18
多角化事業 103 30 63 33
合計 140 -32 100 132

新セグメント区分ではエマルジョンをエラストマーに包含する。
また、化成品を多角化事業からエラストマーに移管。


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2010年8月 5日 (木)

BP、コロンビアの石油関連資産を売却

BPは8月3日、コロンビアで石油・ガスの採掘、生産、輸送事業を行う子会社BP Exploration Company (Colombia)を、コロンビアの国営石油会社Ecopetrolが51%、カナダの独立系石油・ガス会社Talisman49%出資するコンソーシアムに売却することで合意したと発表した。

売却金額は19億ドル(全額現金)で、年末までに取引完了の予定だが、12.5億ドルの頭金を受け取る。

BP Exploration Company (Colombia)5鉱区の権益を持ち、確認埋蔵量は石油換算で6千万バレル、生産量は日量25千バレルとなっている。また、Cusianaガス処理設備と、合計で原油1600km、ガス400kmのパイプラインの権益を持っている。

なお、コロンビアの潤滑油事業と、下流の販売事業は売却対象に含まれていない。

Talisman 1992年設立のカナダの独立系石油・ガス会社で、米国・カナダ、北海、東南アジア(インドネシア、マレーシア、ベトナム、豪州、パプアニューギニア)などで事業を行っている。

BP727日に、今後18ヶ月で300億ドルの事業を売却する計画を発表、既に米国、カナダ、エジプトの事業をApache Corporation 70億ドルで売却する契約を結んでいる。

 2010/7/22  BP、北米とエジプトの石油資産をアパッチに売却

ーーー

BPは又、パキスタンとベトナム政府に対して、両国にある石油・ガス権益を売却する意向を伝えたことを明らかにした。

BPはベトナム沖のNam Con Sonガス計画の35%を保有、残りをONGCが45%、PetroVietnamが20%を保有している。
BPはまた、ガス田から陸上のターミナルまでの371kmのパイプラインの権利の一部と、ガスを使用するPhu Myの発電所の1/3の権利を所有している。

パキスタンでは、1社に認可された開発区域としては最大の深海鉱床を含む複数の油ガス田の売却を予定している。

インドの国営Oil and Natural Gas Corp(ONGC)はBPのベトナム権益買収で交渉していることを明らかにしている。同社はパキスタンの権益には関心を持っていない。

ーーー

シノペックは7月30日、同社による英BP資産の買収案が拒絶されたことを明らかにした。

シノペックの
Zhang Jianhua副社長は、「同社はBPの一部優良資産の買収について交渉を進めていたが、BPは売却に同意しなかった」と述べた。対象資産については明らかにしていない。

ーーー

なお、BPは中国海洋石油有限公司(CNOOC)との間で、アルゼンチン最大の原油輸出企業でチリ及びボリビアに石油・ガス資産を持つPan American EnergyのBP持ち株60%)の大半をCNOOC売却する方向で交渉を進めていると伝えられている。この価値は 90億ドル程度とされている。

Pan American Energyの残り40%はBridasが所有する。

Bridasはアルゼンチンのカルロス・ブルゲロン氏傘下のBridas Energy Holdings の子会社であったが、20103月にCNOOCはBridasの株式50%を31億ドルで購入、現在は、Bridas Energy Holdings 50%/CNOOC 50%となっている。


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2010年8月 4日 (水)

注目企業の2010年第1四半期決算-2  医薬会社

武田薬品とアステラス製薬が主力製品の特許切れが影響して減益となったが、その他の会社は増益となった。
第一三共とエーザイは主力製品の特許がまだ残っている。
第一三共はインド子会社Ranbaxyの貢献が大きい。

 

武田薬品工業

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   396,881 -27,176 -6,388 2,494
09/1Q 378,977 125,630 137,594 112,594
10/1Q 354,698 107,261 103,834 64,111
増減 -24,279 -18,369 -33,760 -48,483

営業損益は、為替差損 116億円や米国で特許期間が満了した消化性潰瘍治療剤の売上減(312億円)で、売上総利益が260億円減となったのが響いた。

2008/1Qの営業損益には、TAP子会社化、ミレニアム社買収による、
インプロセスR&D費 1,663億円、無形固定資産・ノレン償却費 148億円、合計 1,811億円の損失を含む。

ーーー

アステラス製薬

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   254,550 68,297 73,168 45,181
09/1Q 252,136 69,166 69,633 44,010
10/1Q 237,491 56,270 56,936 39,464
増減 -14,645 -12,896 -12,697 -4,546

売上減は、米国でハルナールの後発医薬品が発売された結果、ライセンシーからのバルクロイヤリティが118億円減少したのが響いた。

営業損益は、これらにより売上総利益が78億円減少し、研究費を除く販管費が50億円増となり、差引129億円の減益となった。

ーーー

第一三共

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   203,729 40,002 40,851 25,080
09/1Q 227,123 26,766 7,168 -6,349
10/1Q 256,427 61,061 70,093 33,073
増減 29,304 34,295 62,925 39,422

売上高はインド子会社Ranbaxyが前期比251億円の増収となったのが寄与。

営業損益は、売上総利益が278億円増となり、研究開発費15億円減、欧米子会社等での販促費削減などで販管費が50億円減となり、差引き343億円の増益となった。

営業外損益では前期にランバクシーの為替デリバティブ(インドルピーの対米ドルレート変動リスクヘッジ)評価損を計上したのに対し、当期は評価益を計上、差引き286億円の益となり、経常損益が更に増加した。

ーーー

エーザイ

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   195,819 24,061 23,863 16,635
09/1Q 194,671 24,144 23,177 16,349
10/1Q 204,463 32,773 30,167 18,789
増減 9,792 8,629 6,990 2,440

売上増による売上総利益の増加(46億円)に加え、研究開発費減(34億円)、販管費の効率化(7億円減)により、営業損益は86億円の増益となった。

ーーー

田辺三菱製薬

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   108,249 25,389 25,940 14,648
09/1Q 100,786 22,585 23,067 11,388
10/1Q 108,761 26,581 26,790 14,669
増減 7,975 3,996 3,723 3,281

同社および連結子会社のバイファが薬事法違反による行政処分(業務停止処分ならびに業務改善命令)を受け、同社は4月17日から5月11日まで業務停止となった。

営業損益は、増収により売上総利益は25億円の増益となり、退職給付費用の減少等により販管費が14億円減少、差引40億円の増益となった。

ーーー

大日本住友製薬 

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   70,129 10,208 10,802 6,446
09/1Q 66,048 11,237 11,835 7,817
10/1Q 101,799 14,790 14,838 9,277
増減 35,751 3,553 3,003 1,460

2009年10月に米Sepracor Inc.を買収した。

米国の売上高は329億円、営業損益は特許権やのれんの償却等、買収に伴う企業結合の会計処理を実施した結果、12億円となっている。(処理前では111億円の益)

ーーー

大正製薬

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   61,853 11,644 12,360 7,693
09/1Q 63,563 6,256 7,074 3,580
10/1Q 64,557 11,923 12,930 7,708
増減 994 5,667 5,856 4,128

売上高は、セルフメディケーション(OTC、リポビタン等)は14億円の増収、大正富山などの医薬事業は4億円の減収となった。

営業損益では、研究開発費45億円減、販管費11億円減等で、57億円の増益となった。

ーーー

塩野義製薬

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   51,721 8,083 8,371 5,388
09/1Q 64,026 6,078 5,835 4,601
10/1Q 75,230 7,969 7,211 4,825
増減 11,204 1,891 1,376 224

ロイヤリティ収入の増加、研究開発費の減少で増益。

 


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2010年8月 3日 (火)

三井物産、第1四半期決算に原油流出事故関係を一部反映

三井物産は8月3日、第1四半期決算を発表した。

その中で、70%を出資する三井石油開発の孫会社MOEX Offshore 2007の原油流出事故について詳しく説明している。

BPからは8月3日時点で総額480百万ドルの請求を受けていることを明らかにした。
支払いを留保しているが、BPとの解決に向けての協議は引き続き行っていくとしている。 

別途入手した情報では、BPの請求額は以下の通りとなっている。

  Anadarko MOEX
5月分 272百万ドル 111百万ドル
6月分 919百万ドル 368百万ドル
合計  1,191百万ドル  479百万ドル

           
三井物産では、本四半期において、本件に関して以下の経理処理を行っている。

  固定資産評価損  21億円 (鉱業権の評価損)
  雑損失       金額不明 (建設仮勘定に入れていたこれまでの探鉱費用を費用処理)

 


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注目企業の2010年第1四半期決算-1

第1四半期の決算の発表が始まった。
各社とも非常に好調で、多くの企業が本年度の損益予想を上方に修正している。

なお、各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。
(「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。従来よりも企業間の比較が難しくなる。)
前年同四半期についても、比較のためこれらの組替を行っている。

また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、たな卸資産の評価方法を後入先出法としていた会社は、当期から総平均法に変更している。

いずれも国際会計基準に合わせるもの。

ーーー

住友化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  496,349 24,656 25,337 15,077
09/1Q 340,771 2,303 3,205 -1,508
10/1Q 491,243 34,042 36,004 17,971
増減 150,472 31,739 32,799 19,479

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ1,493百万円増加している。

営業損益                億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
基礎化学 16 -21 41 62
石油化学 -7 -46 36 82
精密化学 13 -1 19 20
情報電子化学 72 -26 80 106
農業化学 58 63 69 6
医薬品 110 98 144 46
その他 -15 1 1 -0
全社 -0 -44 -48 -4
合計 247 23 340 317

全社共通研究費等の配賦方法の見直しを行った。(全社共通研究費を「全社」に)

Petro Rabigh の速報では、同社は本年3月に営業損益が黒字化し、4-6月は22百万ドルの営業黒字となった。
(上半期の営業損益は9百万ドルだが、営業外収益があるため、当期損益は105百万ドルの益となった。)

なお、子会社の大日本住友製薬の業績は以下の通り。
米国で買収した
Sepracor Inc.の業績が加わった。
(同社は10月に
Sunovion Pharmaceuticalsに改称する予定)

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   70,129 10,208 10,802 6,446
09/1Q 66,048 11,237 11,835 7,817
10/1Q 101,799 14,790 14,838 9,277
増減 35,751 3,553 3,003 1,460

ーーー

三井化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   453,925 20,691 25,032 15,233
09/1Q 260,551 -13,520 -14,027 -16,444
10/1Q 339,356 11,769 11,368 18,712
増減 78,805 25,289 25,395 35,156

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ3,223百万円増加している。

中長期の収益構造改善対策の一つとして、2010年年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行った。
給付利率の変更等を実施する前提にて算出した結果、退職給付債務が14,618 百万円減額し、特別利益に計上した。

営業損益    億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石化   -49 58 107
基礎化学品   -22 36 58
ウレタン   -34 -13 21
機能樹脂   -25 22 48
加工品   -4 9 13
機能化学品   5 13 9
その他   2 -2 -4
全社   -8 -7 1
合計 207 -135 118 253

従来の区分

機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレン
その他 その他関連事業等

今回からの区分

石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド
ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料
機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック
加工品 衛生材料、半導体材料、エネルギー材料、包装用フィルム
機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品
その他 その他関連事業等

ーーー

東ソー

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  193,281 3,513 5,049 3,013
09/1Q 134,005 -4,896 -4,810 -3,410
10/1Q 155,308 4,307 2,833 885
増減 21,303 9,203 7,643 4,295
営業損益               億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石油化学 15 -7 14 21
クロルアルカリ 20 -59 -19 40
機能商品 24 46 22
エンジニアリング -12 -3 9
その他 5 5 0
合計 35 -49 43 92

ーーー

信越化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   340,770 75,808 79,015 51,418
09/1Q 190,084 20,647 21,617 14,896
10/1Q 259,715 36,140 39,029 35,700
増減 69,631 15,493 17,412 20,804

移転価格課税に対する日米相互協議の合意により、10,663百万円の過年度法人税等戻し入れがあった。

営業損益        億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
塩ビ・化成品   49 31 -18
シリコーン   32 91 59
機能性化学品   30 30 0
半導体シリコン   41 94 53
電子・機能材料   51 89 38
その他関連事業   5 23 18
全社 758 -1 3 4
合計 758 206 361 155

従来の区分 

有機・無機化学品 塩ビ系、シリコーン系、その他
電子材料 半導体シリコン その他
機能材料その他 合成石英、その他

信越化学では2010年3月期で塩ビ系が前年比で大幅な減益となった。
塩ビを含む有機・無機化学品セグメントの前年第1四半期の営業損益は110億円で、前々年の275億円から6割減となったが、本年第1四半期の塩ビ・化成品セグメントの営業損益は、前年を更に4割弱下回った。

  2010/5/3 
注目企業の決算-1(信越化学)

 

 


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2010年8月 2日 (月)

BP、油井完全封鎖へ

BPは油井の完全封鎖に向け、作業を行っている。8月中旬までの完全封鎖を狙う。

7月15日に油井にキャップを取り付け、ラムを閉めて原油流出を止めた以降、噴出につながる漏れがないか確認するため油井の圧力や周辺の海底を調査しているが、漏れは見つかっていない。

作業は2段階で行われる。

まず8月3日から、キャップの下部から泥を流し込んで油井を封じる「Static Kill」(静的封じ込め)と呼ばれる作業を実施する。
1ガロン当たり30ポンドの泥を低速、低圧力で井戸に流し込み、原油を油層に押し戻す。

その5~7日後にリリーフ井戸の完成を待ち、リリーフ井戸からセメントを流し、油井を下から密封する。
(7月29日現在で、流出油井から数フィートの位置まで掘削が進んでいる)

BPは前回、同様に油井に泥やセメントを流し込む「Top Kill」を試み、失敗したが、この時は原油が流出している場面で実施した。

今回はキャップで流出は止まっており、成功の可能性は強いという。

しかし、これに成功しても、事故原因と責任問題、環境回復や被害補償など数多くの課題が残される。

ーーー

連邦政府はニューオリンズで、環境保護局、沿岸警備隊などの関係者からなる「BP対策班」の設置を進めている。

「企業関係者が規制当局に虚偽の報告をしなかったか、司法妨害がなかったか、リグの噴出防止装置などの試験結果が偽造されていなかったか」を調べる。

米政府はコントラクターのTransoceanHalliburtonも含めた刑事捜査の準備を進めている。

ーーー

BP自身も間もなく事故原因の調査結果を発表するが、BPに重大な過失があったかどうかで、次の点が問題となる。

1)米国油濁法  

現在の油濁法の規定では、油濁事故を起こした石油会社の倒産を防ぐため、損害賠償の限度額が定められており、限度額は現在、7500万ドルとなっている。(政府は100億ドルへの引き上げを検討)
これを超えた分は油濁基金(
Oil Spill Liability Trust Fund から払われる

但し、油濁法の規定では、「重大な過失、意図的な違法行為」などの場合、この限度額は適用されず、基金の資金は利用できない。

BP自身は、この限度額を利用する考えはないとしている。

   2010/6/22 メキシコ湾石油流出事故の損害負担(その3)

2) Clean Water Act

BPは第2四半期の決算で、事故関連の費用として322億ドルを計上した。
この中には
Clean Water Actに基づく罰金が含まれていると思われる。

同法では原油の流出量1バレルに対して、1,100ドルの罰金が決められている。
但し、重大な過失による場合は、罰金は4,300ドルとなる。

米科学者の推計では、事故発生以来の流出量は300万~500万バレルとなる米政府は事故発生以来、これまでに流出した原油の総量を最大約70万kl (438万バレル)と推計している。

300万バレルとしても、過失無しの場合で罰金は33億ドル、重大な過失があるとされれば、129億ドルとなる。
(500万バレルの場合、55億ドルと215億ドル)
但し、回収努力などを考慮して減額されるとのこと。

付記

エネルギー省などの科学者チームは8月2日、今年4月20日以来の原油流出量を490万バレルと発表した。このうち、約80万バレルを回収したとしており、ネット流出量は410万バレルとなる。
誤差はプラスマイナス10%で、「これまでで最も正確なデータ」としている。

当初、BPは流出量を1日1,000バレルと、非常に少なく発表したが、Clean Water Actによる罰金を考慮したのではないかと噂されている。最終的に1日あたりの流出量は35千~60千バレルとされている。(このうちの一部は回収しており、6月中旬以降の回収は1日25千バレル程度、残りが漏れ出している。)

2006年にBPの管理するアラスカのパイプラインからPrudhoe Bay に原油が流出した。パイプラインの腐食が進み、メンテナンスも不十分な危険な状態で、これを放置した結果、原油が流出した。「誰も監視などしていない」状況と報じられた。

流出量は5,000バレルで、2007年10月にBPClean Water Act 違反で、20百万ドルの罰金を払うことで司法省と合意した。
BPは同時に、2004年のプロパンガス市場での価格操作で米商品先物取引委員会に3億300万ドルの罰金を、また、2005年の15人の死者と170人を超える負傷者を出したテキサス州の製油所爆発事故について5000万ドルの罰金を払うことで司法省と合意している。)

3) 共同権益者

BPは65%、Anadarkoが25%、三井石油開発が10%の権益を持つが、Anadarkoと三井石油開発はBPの重大な過失の可能性を理由に、費用の分担を拒否している。

過失がなければ、権益比率による負担となる。

ーーー

米メキシコ湾の原油流出事故をめぐり、全米旅行産業協会は7月27日、観光産業が被る損害額が今後3年間で最大227億ドルに上るとの試算を明らかにした。米下院エネルギー商業委員会小委員会の公聴会で、ロジャー・ダウ会長が証言した。

なお、メキシコ湾で海面を浮遊する原油の量は激減している。

BPが流出源の油井に密閉ぶたを設置 し、7月15日に流出阻止に成功してから2週間弱で、原油が広がった海面の面積は約20万平方キロから約2万5000平方キロに縮小した。
米海洋大気局は7月30日、流出した原油はフロリダ州南部や米東海岸には到達しないとする予測を発表した。

米メディアは専門家の諸説として▽バクテリアによる生物分解▽ハリケーンなど暴風雨による拡散▽数千隻の船を導入した地道な回収作戦の奏功▽海面に上昇した原油の気化-などを原因に挙げている。米海洋大気局は7月27日の記者会見で、海の微生物が油を食べているために分解が進んでいるのが一因と説明した。

ルイジアナ州では、閉鎖されていた商業的漁業海域の一部で操業再開を許可した。

但し、ルイジアナ州やフロリダ州の湾岸では、現在もタールの塊があちこちに打ち上げられており、地元の漁師は、残存する原油や大量にまかれた化学分散剤の影響を懸念している。

BPのダドリー次期CEOは7月30日の記者会見で、メキシコ湾の被害回復に取り組むため、米連邦緊急事態管理局(FEMA)のウィット元局長を雇用したと述べた。

これとは別にBPは30日、米政府が海底油田開発を凍結したことによるリグ関連の失業者を支援するため、1億ドルの基金を設立すると発表した。


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