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2010年8月 3日 (火)

注目企業の2010年第1四半期決算-1

第1四半期の決算の発表が始まった。
各社とも非常に好調で、多くの企業が本年度の損益予想を上方に修正している。

なお、各社とも、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」を適用し、セグメント区分を見直した。
(「マネジメント・アプローチ」と呼ばれる方法で、企業が経営者の意思決定や業績評価に使用する情報に基づいてセグメント情報を開示することとなった。従来よりも企業間の比較が難しくなる。)
前年同四半期についても、比較のためこれらの組替を行っている。

また、「棚卸資産の評価に関する会計基準」が適用されるため、たな卸資産の評価方法を後入先出法としていた会社は、当期から総平均法に変更している。

いずれも国際会計基準に合わせるもの。

ーーー

住友化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  496,349 24,656 25,337 15,077
09/1Q 340,771 2,303 3,205 -1,508
10/1Q 491,243 34,042 36,004 17,971
増減 150,472 31,739 32,799 19,479

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ1,493百万円増加している。

営業損益                億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
基礎化学 16 -21 41 62
石油化学 -7 -46 36 82
精密化学 13 -1 19 20
情報電子化学 72 -26 80 106
農業化学 58 63 69 6
医薬品 110 98 144 46
その他 -15 1 1 -0
全社 -0 -44 -48 -4
合計 247 23 340 317

全社共通研究費等の配賦方法の見直しを行った。(全社共通研究費を「全社」に)

Petro Rabigh の速報では、同社は本年3月に営業損益が黒字化し、4-6月は22百万ドルの営業黒字となった。
(上半期の営業損益は9百万ドルだが、営業外収益があるため、当期損益は105百万ドルの益となった。)

なお、子会社の大日本住友製薬の業績は以下の通り。
米国で買収した
Sepracor Inc.の業績が加わった。
(同社は10月に
Sunovion Pharmaceuticalsに改称する予定)

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   70,129 10,208 10,802 6,446
09/1Q 66,048 11,237 11,835 7,817
10/1Q 101,799 14,790 14,838 9,277
増減 35,751 3,553 3,003 1,460

ーーー

三井化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   453,925 20,691 25,032 15,233
09/1Q 260,551 -13,520 -14,027 -16,444
10/1Q 339,356 11,769 11,368 18,712
増減 78,805 25,289 25,395 35,156

当第1四半期連結会計期間より、たな卸資産の評価方法を後入先出法から総平均法に変更
これにより、営業利益、経常利益及び税金等調整前四半期純利益は、それぞれ3,223百万円増加している。

中長期の収益構造改善対策の一つとして、2010年年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行った。
給付利率の変更等を実施する前提にて算出した結果、退職給付債務が14,618 百万円減額し、特別利益に計上した。

営業損益    億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石化   -49 58 107
基礎化学品   -22 36 58
ウレタン   -34 -13 21
機能樹脂   -25 22 48
加工品   -4 9 13
機能化学品   5 13 9
その他   2 -2 -4
全社   -8 -7 1
合計 207 -135 118 253

従来の区分

機能材料 自動車・産業材(エラストマー)、包装・機能材(工業樹脂)、生活・エネルギー材(機能加工品)、
電子・情報材(電子材料、情報材料、機能性ポリマー)、ウレタン樹脂原料
先端化学品 精密化学品、農業化学品
基礎化学品 基礎原料(エチレン、プロピレン等)、フェノール、合繊原料・ペット樹脂、工業薬品、
ポリエチレン、ポリプロピレン
その他 その他関連事業等

今回からの区分

石化 エチレン、プロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン
基礎化学品 フェノール、ビスフェノールA、高純度テレフタル酸、ペット樹脂、エチレンオキサイド
ウレタン ポリウレタン材料、コート材料、接着材料、成形材料
機能樹脂 エラストマー、コンパウンド製品、特殊ポリオレフィン、エンジニアリングプラスチック
加工品 衛生材料、半導体材料、エネルギー材料、包装用フィルム
機能化学品 眼鏡レンズ用材料、ヘルスケア材料、化成品、特殊ガス、触媒、農業化学品
その他 その他関連事業等

ーーー

東ソー

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q  193,281 3,513 5,049 3,013
09/1Q 134,005 -4,896 -4,810 -3,410
10/1Q 155,308 4,307 2,833 885
増減 21,303 9,203 7,643 4,295
営業損益               億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
石油化学 15 -7 14 21
クロルアルカリ 20 -59 -19 40
機能商品 24 46 22
エンジニアリング -12 -3 9
その他 5 5 0
合計 35 -49 43 92

ーーー

信越化学

百万円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   340,770 75,808 79,015 51,418
09/1Q 190,084 20,647 21,617 14,896
10/1Q 259,715 36,140 39,029 35,700
増減 69,631 15,493 17,412 20,804

移転価格課税に対する日米相互協議の合意により、10,663百万円の過年度法人税等戻し入れがあった。

営業損益        億円
  08/1Q 09/1Q 10/1Q 増減
塩ビ・化成品   49 31 -18
シリコーン   32 91 59
機能性化学品   30 30 0
半導体シリコン   41 94 53
電子・機能材料   51 89 38
その他関連事業   5 23 18
全社 758 -1 3 4
合計 758 206 361 155

従来の区分 

有機・無機化学品 塩ビ系、シリコーン系、その他
電子材料 半導体シリコン その他
機能材料その他 合成石英、その他

信越化学では2010年3月期で塩ビ系が前年比で大幅な減益となった。
塩ビを含む有機・無機化学品セグメントの前年第1四半期の営業損益は110億円で、前々年の275億円から6割減となったが、本年第1四半期の塩ビ・化成品セグメントの営業損益は、前年を更に4割弱下回った。

  2010/5/3 
注目企業の決算-1(信越化学)

 

 


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


 

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