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2010年7月24日 (土)

原油流出事故のその後ー上院小委員会公聴会と原油流出事故対応会社設立 

上院の小委員会(Subcommittee on Federal Financial Management, Government Information, Federal Services and International Security of the U.S. Senate Committee on Homeland Security and Governmental Affairs)の公聴会が722日に開かれた。

出席したのは、
 
AnadarkoJim Hackett CEO
 MOEX Offshore 2007 LLC(三井石油開発の米子会社の子会社):石井直樹社長
 200億ドルのファンドの管理者:Kenneth Feinberg

事前に提出された証言の準備原稿の内容は以下の通り。

Anadarko Jim Hackett CEO 
   原油流出コスト問題の解決を裁判なしで行うため、他の権益者と話し合う用意がある。
適切な時期に、
BPMOEX Offshoreと建設的な会合を持ちたい。

共同運営契約では、オペレーターの重大な過失や意図的な違法行為の結果として発生したコストや損失については他の権益者は負担を要しないこととなっている。

油濁法のもとでの義務は果たす。
司法省からの事業売却などの事前報告の要請には同意する旨返事した。

石油掘削を共同で行うのは無理で、オペレーターが計画、実行し、日々の活動に責任を持つ。
オペレーター以外の権益者は、作業の報告や予算書類を受け取るが、
BPの決定をリアルタイムに判断する情報は受け取らない。

   
MOEX Offshore 石井直樹社長
  MOEX OffshoreBPの技術と経験を信頼していた。MOEX OffshoreDeepwater Horizon rigの選択にも作業にも関与していない。このプロジェクトに出資したときには、既に米政府が計画を承認し、作業が始まっていた。
契約のもとでは採掘計画を変更する権利も能力もなく、本計画の十分性(
sufficiency)と適格性(competence)を疑う理由はなかった。
BPは進展状況についてある程度の情報を呉れ、コストについてはモニターしていた。しかしBPの運営に影響を与えようとしたことは全くない。加えて、当事者間の契約に基づき、行われている仕事についてコントロールする権利は持っていない。
MOEX Offshoreは現状を懸念し、調査の進展をモニターしている。
回収した原油に対する権利を放棄する旨発表している。これは被害を受けた人々のために使われるべきだと考えている。
MOEX Offshoreは、湾岸地区が回復し、人々が仕事に戻れるよう、議会、政府機関、州や地方政府とうまくやっていきたい。

公聴会で議員達は両社がクリーンアップコスト負担を拒否したことに対し、批判した。

最初にMcCain上院議員が、両社がBPへの支払いを検討するのに事故の調査の結果を待っていると攻撃し、必要な資金を積み立て、一部の資金を支払うことを強く求め、それが米国民と両社のイメージにとり最も良いことだと述べた。
メキシコ湾岸の国民は金が必要なのであり、裁判を求めているのでないとした。

Hackett CEOは、「我々の見解では、事故は避けられた」と述べ、公開情報ではBPの重大な過失や意図的な違法行為の可能性が強く、運営契約ではオペレーターの重大な過失や意図的な違法行為の結果として発生したコストや損失については他の権益者は負担を要しないこととなっていると主張した。

石井社長も、支払の決定をする前に、まず事故の原因を明らかにしたいと述べた。
なお、事故が起きた4月20日の1週間ほど前に「安全の観点からこれ以上の掘削は難しい。掘削を止めたい」との電子メールがBPから届いていたことを明らかにした。

事故前のBPの対応をめぐっては、これまでに現場のエンジニア間で掘削の危険性を指摘する電子メールがやりとりされていたことが明らかになっている。
石井社長の証言内容はBP側が掘削の危険性を認識していたことを示すもので、BPの責任問題に影響しそうだ。

両社とも、このようなケースの一般的な慣行では、操業権益者がクリーンアップや他のコストを先ず支払い、その後に他の権益者に支払いを求めることとなっているとした。
石井社長は、「当事者間の契約では、操業担当のBPが先ず支払いをすることとなっている」と述べた。

議員達はこれに満足せず、両社は少なくともエスクロー勘定(第三者預託)を設け、支払いの用意と能力を持つことを示すべきだと主張した。

McCain上院議員は、米政府は両社を油濁法での責任当事者にしており、支払いの義務がある筈だと攻めた。

その後のやりとり。

McCain:払うのか、払わないのか?
Hackett:払わない。
McCain:(エスクロー勘定に)積み立てていないのだな?
Hackett:積み立ててはいない。しかし十分な資産があり、支払いは可能だ。
      年間50億ドルのキャッシュフローがあり、手持ち現金は30億ドル、借入も可能。

石井社長もクリーンアップコストの積み立てをしていないと答えた。

しかし議員達は両社に支払いを求めているのではなく、必要な場合には支払うということを示すために資金を積み立てておくことを求めていると反論した。

両社とも、法的に求められればコストを負担すると述べた。

ーーー

原油流出事故対応会社の設立

ChevronConocoPhillipsExxonMobilShell4社は721日、将来のメキシコ湾の海底油田の原油流出事故に対応するため、漏れた原油の回収と油井封じ込めを迅速に行うための会社を共同で設立すると発表した。

開発するシステムは、24時間以内に出動可能なフレキシブルなもので、多様な種類の、油井・機器デザイン、石油・天然ガス流量、天候に対応する。1万フィートまでの深海に適用可能で、日量10万バレルまで回収することを狙う。

4社の専門家が開発にあたり、メキシコ湾の深海での事故に直ぐに対応できるよう、設備の設計、建設とテストを行う。

4社はこの目的のため、非営利会社のMarine Well Containment Companyを均等出資で設立する。4社以外にも参加を求める。

4社は当面のシステム開発に10億ドルをコミットした。機器の使用やメンテのコスト、回収船のリースや新造船のコストなどはこれに含まれない。
米メディアによると、その後も事故対応のための体制づくりや技術開発、人員の維持などに、数年間で数十億ドルが必要という。

事故時の体制を平常時から作ることで、米政府や米国民の石油業界への信頼回復を狙う。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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