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2010年6月25日 (金)

欧州委、倒産の恐れを考慮しカルテル制裁金を減額

EUの欧州委員会は6月23日、浴室の設備メーカー17社が価格カルテルを結んでいたとして、総額6億2225万ユーロの制裁金を命じた。
このうち5社については、当初想定していた制裁金を科すと倒産する恐れがあると判断し、制裁金を減額する異例の措置を講じた。

欧米の17社は1992年から2004年にかけてドイツなど欧州6カ国で、洗面台、浴槽、蛇口などの価格を調整していた。

17社の社名と制裁金は以下の通り。

社名 制裁金 (Euro)
Artweger (オーストリア) 2,787,015
Cisal (イタリア) 1,196,269
Dornbracht (デンマーク) 12,517,671
Duravit (デンマーク) 29,266,325
Duscholux (オーストリア) 1,659,681
Grohe (デンマーク) 54,825,260
Hansa (デンマーク) 14,758,220
Ideal Standard (US) 326,091,196
Kludi (デンマーク) 5,515,445
Mamoli (イタリア) 1,041,531
Masco (US) 0
RAF (イタリア) 253,600
Roca (スペイン) 38,700,000
Sanitec (スイス) 57,690,000
Teorema (イタリア) 421,569
V&B (デンマーク) 71,531,000
Zucchetti (イタリア) 3,996,000
合計  622,250,783

このうち、米国のMascoはカルテルについて最初に欧州委員会に報告したため、全額免除となった。
また、
Ideal Standard Groheは調査に協力したため、30%の減額となった。

17社のうち、10社が欧州委員会に対して制裁金を支払えないと申し出た。
比較的規模の小さい企業が多く、金融危機で住宅投資が減少し、企業収益が悪化している。

欧州委員会では、各社の最近の決算書や今後の損益予想、諸財務比率(健全性、収益性、支払能力、流動性など)、銀行や株主関係、各社の社会的・経済的状況を検討、更に制裁金のために倒産に追い込まれた場合に各社の資産価値が大幅に失われるかどうかを検討した。
評価は、公平性を確保し、
EUの抑止力を維持するよう、出来るだけ客観的に、数値化して行われた。

この結果、10社のうち、3社に対しては50%の減額、2社に対しては25%の減額とした。減額対象となった企業名は明らかにされていない。

Joaquin Almunia 競争政策担当委員は、違法な行為は摘発していくこと、制裁金は違法行為をやらせないような水準にすることを強調しつつ、「制裁金の目的は経済的苦境にある企業を倒産に追い込むことではない」と述べた。


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