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2010年6月 4日 (金)

「産業構造ビジョン 2010」

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経済産業省は6月1日、産業構造審議会第6回産業競争力部会を開催し、「産業構造ビジョン 2010」の最終報告書をまとめた。
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/index.html#vision2010 

「今後日本は、何で稼ぎ、何で雇用していくのか」について検討、次世代産業として、戦略5分野、①新興国インフラ開拓、②次世代エネルギー、③社会課題解決サービス、④感性・文化産業、⑤先端分野、を挙げている。   

直嶋正行・経済産業大臣から国民へのメッセージ 
   
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004660/vision2010_01.pdf

まず、日本の産業を巡る現状と課題として以下をあげた。  

    ① 日本経済の行き詰まり

  ② 産業構造全体の課題
      特定グローバル製造業依存 
      内需依存型企業のジリ貧 
      国内消耗戦・低収益体質

  ③ 企業のビジネスモデルの課題
      技術で勝っても、事業で負ける

  ④ ビジネスインフラの問題:急速に低下する日本の立地競争力
      アジア中核拠点としての競争力喪失
      高い法人課税負担 
      物流インフラ競争力 
      低水準の高度外国人材受け入れ

  ⑤ 諸外国の産業政策の積極化

日本産業の行き詰まりを直視し、戦後の成長神話から脱却して、産業競争力強化に「4つの転換」を行うことが必要で、国と企業の壁、省庁の壁、国と地方の壁を越え、グローバル大競争時代に打ち勝つ戦略の構築と実施が不可欠とする。

  ① 産業構造の転換
     隠れた強みをビジネスにつなげる「新・産業構造」の構築
       自動車依存から「戦略5分野」の「八ヶ岳構造」へ
      システム売りから文化付加価値型へ
      環境エネルギー、少子高齢化などの制約要因を課題解決産業へ

  ② 企業のビジネスモデル転換
     技術で勝って、事業でも勝つ

  ③ グローバル化と国内雇用の二者択一からの脱却
     積極的グローバル化と世界水準のビジネスインフラ強化による雇用創出

  ④ 政府の役割の転換  
     国家間の熾烈な付加価値獲得競争に勝ち抜く
      市場機能を最大限活かした新たな官民連携の構築

「戦略5分野」は下記の通りで、2020年までに149兆円の市場と258万人の雇用の創出を目指す。

  生産額(兆円)   雇用(万人)
2020年 2007年比
 増減
  2007年 2020年 2007年比
 増減
① インフラ関連/システム輸出
  (原子力、水、鉄道等)
13.4 +12.3   9.8 28.5 +18.7
② 環境・エネルギー課題解決産業
  (スマートグリッド、次世代自動車等)
30.6 +23.7   29.9 66.1 +36.2
③ 医療・介護・健康・子育てサービス 30.5 +12.9   211.8 325.2 +113.4
④ 文化産業立国
  (ファッション、コンテンツ、食、観光等)
56.6 +6.9   299.7 326.1 +26.4
⑤ 先端分野(ロボット、宇宙等) 48.2 +27.4   56.7 119.9 +63.2
合計 179.3 +83.2   607.9 865.8 +257.9
他部門への波及効果   +65.8        
再計   +149.0        

この実施のため、以下の日本の産業を支える横断的政策が必要としている。

① 日本のアジア拠点化総合戦略

② 国際的水準を目指した法人税改革
   実効税率の国際的水準(25~30%)を目指す。まず5%程度の引き下げ

③ 収益力を高める産業再編、新陳代謝の活性化

④ 付加価値獲得に資する国際戦略
   国際標準化、通商戦略、CO2関連新メカニズム

⑤ ものづくり「現場」の強化・維持

⑥ 新たな価値を生み出す研究開発の推進

⑦ 産業全般の高度化を支えるIT

⑧ 産業構造転換に対応した人材力強化

⑨ 成長を創出する産業金融・企業会計

ーーー

本件は6月3日の日本経済新聞の景気討論会でも取り上げられ、出席の三菱ケミカルHDの小林喜光社長(産業競争力部会メンバー)から説明があった。

直嶋正行・経産相が陣頭指揮し、まとめたとのこと。

経産省の責任分野を超えた日本経済全体の問題を扱っており、「国と企業の壁、省庁の壁、国と地方の壁を越え、グローバル大競争時代に打ち勝つ戦略の構築と実施が不可欠」としているが、省庁の壁を越えて実施できるかどうかが問題であろう。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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