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2010年5月11日 (火)

宇部興産、廃プラ・リサイクル事業から撤退

宇部興産は5月7日、容器包装リサイクル法に基づく廃プラスチック等を化学工業用原料(合成ガス)にリサイクルするEUP事業から撤退すると発表した。

宇部興産は、荏原製作所と共同開発した加圧二段ガス化システム「EUPプロセス」で、容器包装リサイクル法に基づく廃プラスチック等を化学工業用原料合成ガス(主成分は、水素及び一酸化炭素)にリサイクルするEUP事業を、50/50JVの㈱イーユーピーで開始した。

2000年に宇部市の宇部アンモニア工業の隣接地に30t/dの実証試験設備を建設、
2001年にイーユーピーによる事業を開始し、2004年には増設した65t/dプラントと合わせ、2系列で運転開始した。

EUPプロセスは、廃プラスチックを水素及び一酸化炭素の分子レベルまで分解した上で合成ガスを製造し、この合成ガスを利用してプラスチックであるナイロン製品までリサイクルする優れたマテリアルリサイクル技術。

容器包装廃プラの処理能力は年間3万トン。
廃プラのほか、多種多様な廃棄物の処理が可能。
合成ガスは昭和電工川崎工場に送り、アンモニア製造設備で〔CO転化→炭酸ガス除去→精製〕工程を経て、水素とし、アンモニアを生産(廃プラ3万トンからアンモニア25千トン)。
不燃物、スラグは、セメント等建設資材へリサイクルする。

2005年には文部科学大臣から科学技術賞を授与された。

資料 http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0315-02/mat06.pdf

宇部興産では、事業環境が年々厳しさを増していく中で、2007年9月にイーユーピーを100%子会社とし、さらに2008年3月には宇部興産に吸収合併して収益改善を推し進めてきた。

ところが、容器包装リサイクル法の現行入札制度においては、廃プラスチックをペレットなどにリサイクルする狭義のマテリアルリサイクルが優先されており、主要原料である廃プラスチックの確保が困難になった。

2008年度には、容器包装リサイクル協会に対して25,000トンの廃プラ調達を申し入れたが、実際に得られたのは、わずかに20トンだけだったという。

このため、同社は2008年6月以降設備を休止し、運転再開に期待をかけてきたが、今後も環境の好転は見込めず、収益の見通しも立たないため事業撤退を決定した。

 

プラスチック処理促進協会では、次のように述べている。

国の委託事業として開発された技術で、当協会も実証実験に協力した経緯がある。世界的にも非常にユニークで優れた技術だ。
原料の廃プラスチックが手当てできないのは、マテリアルリサイクル優先という、今の容器包装リサイクル法の運用のしかたに問題がある。
このままでは、油ガス化とかコークス炉ガス化といった新しいリサイクル技術は、みんな芽を摘み取られてしまう。国は早く手法の見直しを行ってほしい。

ーーー

帝人は使用済みのPETボトルからPETボトルを再生する「ボトル to ボトル」を行っていた。

回収ボトルから、新原料リサイクルプラントでDMTを回収した後、これを化学分解して、石油から製造するのとまったく同等のTPAを得て、これを原料としてPETボトル用樹脂を生産する。

同社は2008年10月、「ボトル to ボトル」の休止を発表した。

ペットボトルのリサイクルは、基本的に容器包装リサイクル法に沿って行われており、各自治体によって回収された使用済みペットボトルが集められ、入札制度により、処理委託費とともに再商品化事業者に割り振られていた。

しかし、その後、中国をはじめとして使用済みペッ トボトルの需要が急増して、独自ルートで有償取り引きされるようになり、使用済みペットボトルは入手困難な状況になった。


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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