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2010年5月31日 (月)

Sanofi-Aventis、日医工と提携、日本のジェネリック医薬品に進出

Sanofi-Aventis と日医工は528日、日本においてジェネリック医薬品事業を展開する共同出資会社「日医工サノフィ・アベンティス」を設立し、戦略的提携関係を結ぶことで合意したと発表した。

この共同出資会社には、Sanofi-Aventisの日本子会社サノフィ・アベンティスが51%、日医工が49%を出資する。

また、戦略的提携関係をより強固なものとするため、サノフィ・アベンティスは日医工が第三者割当で発行する株式の1,524,500 株を44.1億円で取得し、日医工の全発行済み株式の4.66%を取得、創業家などに次ぐ大株主になる。

提携の具体的なステップとして、JVはサノフィ・アベンティスが製造販売承認権を有する睡眠障害改善剤「アモバン(R)」(2009年度売上高 51億円)の販売と流通を行う。
日医工は、薬局、卸、医療機関の広範なネットワークを通じて、販促活動を行う。

両社は、日医工がこれまで日本で培ってきたジェネリック医薬品の製造・開発・販売のノウハウと、Sanofi-Aventisのリソースやグローバルで展開するジェネリック医薬品を融合させることにより、日本のジェネリック医薬品市場において、JVの発展に向け、さらなる機会を検討するとしている。

ーーー

日医工は1965年7月に日本医薬品工業として設立、1967年に富山市内に工場を建設した。
2005年6月に日医工株式会社に改称した。

ジェネリックメーカーとしては初めて1980年に名古屋証券取引所第二部に上場、現在、大阪証券取引所、名古屋証券取引所の第一部に上場している。
国内5カ所の生産拠点で製造、医薬品卸等を通じて全国12万軒の医療機関等で採用されている。

同社は、「ジェネリックメーカーとして世界で卓越する」というミッションステートメントを掲げるとともに、日本のジェネリック医薬品市場において高い評価と強さを兼ね備えた企業として市場を拡大させ、バイオ後発薬、抗体医薬及び抗がん剤等の将来の新たな市場を創造することを目指している。

同社は本年1月、富山県滑川市の主力工場に遺伝子組み換え技術などを使って製造するバイオ後発薬の開発技術センターを設置し、バイオ薬品事業に参入することを発表した。

ーーー

Sanofi-Aventis はHoechst特殊品をClariantに譲渡、化学品をCelaneseとして分離)とRohne Poulent (化学品、繊維・ポリマーをRhodiaとして分離が合併したAventis を、フランス政府の支援を受けたSanofi Synthelabo(元はElf AtochemL'Oreal)が買収して誕生した。

2006/3/6  世界の医薬会社の構造改革

Sanofi-Aventis では、「急成長している日本のジェネリック医薬品市場において、当社のリーダーシップを強化し、確固たる地位を築いていくために、日医工と共同出資会社を設立できることは大変喜ばしい。さらなる成長が見込まれるこの市場において、経済性にすぐれた高品質なジェネリック医薬品を提供することを目指し、政府によるジェネリック医薬品の使用促進策を推し進めたいと考えている」としている。

ーーー

日本の医療用医薬品市場は年間約8兆8,500億円(薬価ベース)の世界第2位の市場規模だが、全医療用医薬品に占めるジェネリック医薬品の割合は、金額ベースで約8%、数量ベースで約20%に止まっており、5割を超す米国やドイツに比べ低い。

政府は患者負担の軽減や医療費抑制を目的として普及を推進しており、2012年度までに数量ベースで全医療用医薬品市場の30%以上をジェネリック医薬品が占めることを目標に掲げており、ジェネリック医薬品の使用促進が図られている。

このため、有力企業が相次ぎ参入し、競争が激化している。また、海外のジェネリック医薬品メーカーも多数進出している。

2010/3/5  日本のジェネリック市場の動き 


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2010年5月29日 (土)

豪州の資源新税で資源開発計画の見直し相次ぐ

豪州政府は5月2日、将来の税制に関する政府方針:Stronger Fairer Simpler A tax plan for our future を発表した。

2007年12月に誕生した労働党政権は、半年後の2008年5月に税制調査委員会を発足させた。
委員会が2009年末まで検討した報告書を基に、政府ハイレベルで更に検討を加えたもので、今後の税制改革法案の叩き台となる。

法人税減税などに加え、鉱業分野に関し、州政府の資源ロイヤルティ税に加えて、連邦政府が課税する40%の資源超過利潤税(Resource Super Profits Tax) を新たに導入するとしている。

鉱業及びエネルギー分野は、豪州の全輸出物、サービスの約6割を占めるものの、全雇用の1.6%を占めるにすぎず、高騰する鉄鉱石、石炭等から得られる利潤は、一部の資源会社に占有されており、資源ブームで得た利潤の一部を税金として課税し、国民に分配する姿勢を打ち出した。

本税制改革は「公平なる繁栄の共有」のための10年計画の第一段階であり、第二期資源ブームによりもたらされる成長の機会を、国民の繁栄のために生かしていくべきとしている。とりわけ、再生不能な資源から得られる利益について、国民全体で公平に享受できるかに焦点をあてて改革を行うとしている。

州政府の資源使用税は存続するが、二重課税を防止するため、支払ったロイヤルティ相当を税額控除として認める方針。

同税は2012年からの導入を予定し、当初2年間で120億豪ドル(約8940億円)の税収を見込む。
米格付け会社Moodysは、課税が2012年に始まると、鉱山各社の収益が約3分の1、減少する可能性があるとみている。

更に、カナダやペルー、チリも豪州に続く可能性があるとの指摘もある。

ーーー

資源業界では新税制の導入発表後、計画見直しなどが相次いでいる。

Rio Tinto のCEOは5月24日、豪資源税は世界的に最大のソブリンリスクと指摘、最悪の想定に基づき豪州での全てのプロジェクトを見直すよう幹部に命じたと述べた。

BHP Billitonも、影響について調査するため複数のプロジェクトを保留する。同社のCEOは、オリンピックダム・プロジェクトなどの計画の拡張について、承認は「非常に困難」かもしれないと述べ、新税制は企業の国外移転につながり、豪州経済の9%を占める鉱山業界を脅かすとの見方を示した。

スイスのXstrataも、「政府が何を目指しているか判明するまで全てのプロジェクトについて再検討する」と述べた。

これを受け、資源・エネルギー相は5月17日、「細部について交渉の余地がある。これは真の協議プロセスだ。意見に耳を傾けている」と述べた。


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2010年5月28日 (金)

中国中化集団、ブラジル油田に30億ドル出資

中国中化集団公司(Sinochem)は5月23日、ノルウェーの国営石油会社Statoil ASAとの間で、ブラジル沖のPeregrino油田の権益の40%を対価 3,070百万ドルで買収することで合意したと発表した。

Peregrino油田はブラジルの海岸線から85キロメートルのCampos 海盆にあり、2011年に生産を開始する見込み。

取引はSinochemにとってこれまでで最大の海外投資となり、同社の石油開発(E&PExploration & Production )事業を拡大する。

Statoil は引き続き、残りの60%を保有し、操業を担当する。

Sinochemは元は1950年設立の国営の石油トレーディング企業で、旧称は中化工進出口公司(輸出入公司)。
2002年の石油輸出入におけるシェアは原油・製品輸入の4分の1、原油輸出の約40%を占め、利益の約25%は石油取引部門が寄与していた。

1998年の石油業界再編とその後のWTO加盟により、私営企業が石油取引に参入し、競争が厳しくなったため、同社はCNPCSinopecなどと同じく、石油の探鉱開発、生産、精製まで一貫操業を行う会社を目指し、200311月に中国中化集団公司に改称した。
CNPCSinopecCNOOCに次いで、中国の第4の石油メジャーとして、成長しつつある。

E&P事業や精製事業では国内で資産や設備を保有していなかったため、主に国外の油ガス田買収や製油所への資本参加等により参入を図った。

2002年に海外油ガス田の探鉱開発を行うSinochem Petroleum Exploration & Production Co., Ltd.を設立し、同年に215百万米ドルでノルウェーの油田サービス会社Petroleum Geo-Serviceの子会社Atlantisを買収した。

20086月時点で、チュニジア(Oudna海底油田で40%の権益)、UAEUmm al-Quwain海底油田)、エクアドル(ConocoPhilipsの権益の16%を取得)、イェーメン、中国の渤海湾で合計13箇所、原油換算129百万バレルの権益を持っている。

製油所については、大連西太平洋石油化工公司(Dalian West Pacific Petrochemical)に出資している。海外原油の処理を目的に仏TotalSinopec1998年の改革でCNPCに委譲)等との共同出資で1990年に設立した。処理能力は1000万トンに達している。

なお、2004年にSinochemは韓国の仁川精油の買収を決めたが、白紙に戻り、最終的にSKエナジーが買収した。

仁川精油は現代精油がハンファエナジーを買収して改称したもので、その後現代グループから離脱した。

200310月、Sinochemはタイの国営石油会社PTTと石油関連プロジェクトに関する包括的な協力協定に調印した。
協力範囲はタイ及び中国における石油・天然ガス資源の探鉱開発から精製、輸送、貿易、販売までを含む幅広い分野で、両者は委員会を設置し、協力事業について検討する。

ーーー

Sinochem はエネルギー以外では、農業資材、化学品、ファイナンス、不動産をコア事業として展開する。

農業資材では肥料、農薬、種子を扱う中国最大の企業で、2007年にChina National Seeds Group を吸収した。
同社は2009年9月、28億豪ドルで豪州のNufarmを買収する非拘束契約を締結した。

2009/10/6  Sinochem、 豪州農薬会社Nufarmを買収へ

しかし、この件は破談となり、2009年12月に住友化学がNufarm の発行済み株式の20%の取得ならびに同社と農薬事業の包括的な事業提携を行う方向で、基本的な枠組みを定めた覚書を締結、同社は2010年4月20%取得を発表した。

2010/1/4 住友化学、豪州農薬メーカー Nufarm と包括的業務資本提携へ


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2010年5月27日 (木)

PET樹脂で放射線計測、PET装置にも応用

放射線医学総合研究所は5月19日、ペットボトル用の樹脂ポリエチレンテレフタレート(PETPolyethylene Terephthalate)が放射線の計測には極めて優れた性質を持つことを発見し、実際に市販のペットボトル用の樹脂を用いた放射線の計測に世界で初めて成功したと発表した。
  
http://www.nirs.go.jp/news/press/2010/05_19_1.shtml

がんの診断で多用されているPET (Positron Emission Tomography:陽電子断層撮像) 装置など、様々な放射線検出器の低コストな素材として応用されることが期待される。

本研究成果は、世界最古の歴史を誇る英国王立協会の著名な科学誌『英国王立協会紀要A』のオンライン版に5月19日に掲載された。
   http://rspa.royalsocietypublishing.org/content/early/2010/05/15/rspa.2010.0118.abstract

現在、核医学診断装置のみならず科学の幅広い分野で、様々な放射線検出器が使用されているが、放射線検出器の一つであるシンチレーション検出器(Scintillation)は、放射線を受けると微弱な光を発するシンチレータと、この微弱な光を捉え電子に変換する光電面および光電面で発生した電子(光電子)を数百万倍に増幅する光電子増倍管で構成されている。

シンチレータは放射線があたると蛍光を出す物質のこと。

放射線が物質を通過する際に、物質中の電子を少しエネルギーの高い状態(励起状態)にするが、励起された電子は 10万分の1秒から10億分の1秒という短い時間で元の状態に戻り、この時にシンチレーション光という光が出る。
シンチレーション光は非常に微弱で、そのままでは放射線や素粒子などの測定に使うことができない。
1940年代になって波長変換剤を添加したシンチレータが開発され、シンチレーション光を使った放射線検出が行われるようになった。

PETはガン細胞が正常な細胞より数倍の糖類を消費することを利用したもの。
糖類の一種にポジトロン放出核種と呼ばれる物質を化学合成した特殊な薬剤を被験者の体内に投与すると、一対のガンマ線を180度の方向に放出しながら、糖類が多量に消費されるガン細胞に集まり滞留する。

PET装置の検出器は、円筒状になっており、180度の方向に放出された2つのガンマ線を同時に捉えることができるので、2点の検出箇所を結ぶ線上に元の薬剤があることが分かる。これらを一対ずつ検出、記録し、解析することでガン細胞の場所を特定する。

シンチレータには、無機質を使う場合、非常に高価であると共に、加工や製造が難しいという大きな問題点がある。

PET装置のシンチレーターとしては、NaI(Tl) (タリウム活性化ヨウ化ナトリウム)、BGO(ビスマス ゲルマニウム オキサイド)、LSO(ルテチウム シリコン オキサイド)、GSO(Ce添加Gd2SiO5)、BaF2(フッ化バリウム)などが使われている。

一方、プラスチックの場合は、プラスチックは放射線を受けると微弱な光を発するが、光は紫外光領域に偏っており、当時の光電子増倍管の有感波長がほぼ可視光に限られていたため、「プラスチックはそのままでは放射線計測を行えない」ことが長年の常識になっていた。

このため、紫外光を可視光に変換する波長変換剤を添加することで使用が可能となったが、波長変換剤の添加は、光の変換効率を低くし、放射線計測の感度を下げる要因の一つになっている。また、海外企業のノウハウに依存しており、市場はほぼ海外に独占されている。

素粒子の検出によく使われるプラスチック・シンチレータは、ポリビニルトルエンに2種類の蛍光物質をわずかに混ぜたもの。

ところが、近年、光電子増倍管の有感波長領域が著しく向上したため、紫外光を十分に検出できる可能性が高まったため、様々なプラスチックを用いて、放射線計測用のシンチレータとしての可能性を検討した結果、ペットボトル用樹脂が光電子増倍管の最も感度が高い波長を発光し、放射線計測に極めて優れた性能を持つことが示された。

実際に放射線をペットボトル用樹脂に当て、光電子増倍管で計測したところ、電気信号が検出され、放射線の計測に成功した。

今後原子力産業や非破壊検査など、放射線計測を必要とする幅広い産業での応用も期待でき、また、低価格で高性能、エコロジーな放射線計測装置への応用が大いに期待できるとしている。

現在がんの診断で多用されているPET(陽電子断層撮像)装置やSPECT(単一光子断層撮像)装置が考えられ、実際に、研究グループは試作機を用いて画像化などの研究を行っている。

 


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2010年5月26日 (水)

光ファイバーケーブルのカルテルで過去最高の課徴金

公正取引委員会は5月21日、NTT東日本などが発注した光ファイバーケーブルなどの受注をめぐり、価格カルテルを結んだとして、住友電気工業など5社に排除措置命令を出し、総額約160億円の課徴金納付を命令した。
    
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/10.may/10052103.pdf

約20種類ある光ファイバーケーブルの種類ごとに「覚悟値」と呼ばれる値引き限度額を設定し、交渉で価格が下落するのを防いでいた。 

排除措置命令及び課徴金納付命令                     単位:千円
  NTT東日本等向け  NTTドコモ
向け
合計      
光ファイバー
ケーブル
FAS
 コネクター
熱収縮
 スリーブ
光ファイバー
 ケーブル
住友電工 4件
6,267,740 182,230 33,560 279,190 6,762,720
古河電工 4件
4,273,350 136,800 22,470 173,400 4,606,020
フジクラ 4件
4,176,050 118,360 15,400 101,830 4,411,640
昭和電線
ケーブルシステム
      1件
199,030       199,030
住友スリーエム       1件
  120,020     120,020
アドバンスト・
ケーブルシステムズ*
(自主申告で免除)
コーニング
インターナショナル
(アドバンストに営業譲渡)
昭和電線
ホールディングス
(昭和電線ケーブルシステムが承継)
日立電線 (アドバンストに営業譲渡)
合計 4社 4社 3社 3社 14社
14,916,170 557,410 71,430 554,420 16,099,430
* アドバンスト・ケーブルシステムズは Corning Cable Systems 50%、日立電線 50%


今回の課徴金はカルテルとしては過去最高額で、談合を含めても過去2番目の規模。

カルテルとしてのこれまでの最高額は、溶融亜鉛めっき鋼板カルテルの155億円。

  2009/8/31 溶融亜鉛めっき鋼板カルテルに排除措置及び課徴金納付命令

談合での最高額は、2007年3月のごみ処理施設の製造施工業者に対する課徴金の270億円で、今回はこれに次ぐ。

単位:千円
三菱重工業  6,496,130
JFEエンジニアリング 5,732,510
川崎重工業 5,165,580
日立造船 4,901,020
タクマ 4,702,650
合 計 26,997,890

5社は審決取消請求訴訟を提起していたが、2009年10月に最高裁は上告棄却・不受理決定を行った。


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2010年5月25日 (火)

雲天化集団、重慶でPOM増設、年産6万トンに

雲天化集団(Yuntianhua )は 4月19日、重慶の重慶ケミカルパークでPOM(ポリアセタール)の第三系列2万トンの生産を開始した。

第一系列(Aライン)2万トンは20089月に完成、第二段階は2系列(B,Cライン)計4万トンで、200911月にCライン2万トンがスタート、今回Bライン2万トンがスタートしたもので、同社の重慶のPOM能力は6万トンとなった。

同社は中国最初のPOMメーカーで、2005年に雲南省昭通市に12千トン能力でスタート、2006年に20千トン設備を追加し、現在の能力は32千トンとなっており、今回の重慶の完成で合計能力は92千トンと、中国最大のPOMメーカーとなった。

中国のPOMメーカー(千トン)
    2007/7
現在
2010/5
現在
建設中  
雲天化集団 重慶市    60    
雲南省昭通市 32 32  
宝泰菱工程塑料(南通)有限公司PTM 江蘇省南通市 60 60   ポリプラスチックス(70.1%)、三菱ガス化学、韓国Engineering Plastics、Ticona
上海藍星新材料(Blue Star Group) 上海市浦東区   40   60千トンと100千トンの計画あり
杜邦ー旭化成ポリアセタール(張家港) 江蘇省張 家港 20 20   旭化成ケミカルズとDuPont の50/50JV
Shenghua Ningxia Coal Industry 寧夏回族自治区銀川市     60  
 (以上 2007/7/28 中国でポリアセタール(POM)計画相次ぐ 参照)
Tianjin Soda Plant 天津市   40    
CNOOC Tianye Chemical 内蒙古     60  
Yongmei Group 河南省開封市     40  

中国のPOM計画については既に述べた。

2007/7/28 中国でポリアセタール(POM)計画相次ぐ 

このうち、本計画と、上海藍星新材料の第一期が稼動した。
これに加えて、Tianjin Soda Plantの40千トンプラントが既に完成している。

Tianjin Soda Plant
1917
設立で、アジアの最初のソーダ企業の一つ。

また、Shenghua Ningxia Coal Industry(通称 Shenhua Ningmei)のMTP (メタノールからプロピレン)計画の一環の60千トン計画と、新規のCNOOC Tianye Chemical 60千トン計画、Yongmei Group40千トン計画も本年下期から来年上期に完成の予定。

CNOOC Tianye Chemical
中海石油化学(中国海洋石油
CNOOCCの子会社)は20063月に内蒙古の Tianye Chemical 株式の90%を買収した。
Tianyeは尿素520千トンとメタノール200千トンのプラントを有しており、中海石油化学の尿素製造能力は1,840千トンに増大した。

Yongmei Group
大規模石炭化学計画の一環で、他に、メタノール
800千トン、酢酸 300千トン、ジメチルエーテル 300千トン、ジメチルカーボネート10千トンなどがある。POMは当初の20千トン計画を倍増した。 

2007年7月時点での中国の能力は112千トンであったが、来年上期には412千トンとなる。

中国は2009年にPOMを165.9千トン輸入している。(31.2千トンを輸出)

昨年末以降に完成の雲天化集団の重慶第二段階40千トンと、今後完成する3計画を合わせると、輸入は不要となる。

 


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2010年5月24日 (月)

世界競争力、日本は27位

スイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所)は5月19日、「World Competitiveness Yearbook 2010」を発表した。
  
http://www.imd.ch/research/publications/wcy/index.cfm

今回の調査では、世界的な金融危機の影響が比較的少なかったアジア各国の躍進が目立った。
シンガポール(1位)と香港(2位)が、金融危機の影響を受けた米国(3位)を初めて追い抜いた。(但し、3国は極く小差で、報告ではLeading Trio という方が妥当としている)

日本は昨年は17位で、アジアでは香港(2位)、シンガポール(3位)に次いで3番目であったが、本年は27位に落ち、台湾、マレーシア、中国、韓国、タイにも抜かれた。
日本は調査開始の1989年から93年までトップになっていた。(その後は米国が首位を続けた。)

日本の順位の推移
2005 2006 2007 2008 2009 2010
21 17 24 22 17 27

BRICsでは中国が18位に上げ、インド (31)、ブラジル (38)、ロシア (51)となっている。

中国の力は豊かな労働力(1位)と安定・効率性が高い制度的条件(2位)を基盤とした活発な輸出(1位)と外国人投資誘致(2位)。世界最大の外貨保有額(2兆4000億ドル)と低い国家負債の割合(2位、GDP比2.72%)も強い背景。
弱点は社会的インフラの不足、深刻な公害など保健・環境分野の競争力が非常に脆弱なこと、GDPの3%にすぎない教育費投資なども改善を急ぐ必要があると指摘された。

順位 昨年   点数
1 (3) Singapore 100.000
2 (2) Hongkong 99.357
3 (1) USA 99.091
4 (4) Switzerland 96.126
5 (7) Australia 92.172
6 (6) Sweden 90.893
7 (8) Canada 90.459
8 (23) Taiwan 90.441
9 (11) Norway 89.987
10 (18) Malaysia 87.228
11 (12) Luxembourg 86.867
12 (10) Netherlands 85.650
13 (5) Denmark 85.587
14 (16) Austria 84.085
15 (14) Qatar 83.828
16 (13) Germany 82.730
17 (24) Israel 80.327
18 (20) China 80.182
19 (9) Finland 80.002
20 (15) New Zealand 78.531
21 (19) Ireland 78.144
22 (21) UK 76.808
23 (27) Korea 76.249
24 28) France 74.372
25 (22) Belgium 73.586
26 (26) Thailand 73.233
27 (17) Japan 72.093
28 (25) Chile 69.669
29 (29) Czech 65.443
30   Iceland 65.067

競争力の評価には、以下の4つの分野でそれぞれ5つの項目(合計20項目)を審査する。
各項目
5点で、合計100点。

Economic Performance Government Efficiency Business Efficiency Infrastructure
Domestic Economy
 Size
 Growth
 Wealth
 Forecasts
Public Finance Productivity Basic Infrastructure
International Trade Fiscal Policy Labor Market
 Costs
 Relations
  Availability of skills
Technological Infrastructure
International Investment
 Investment
 Finance
Institutional Framework
 Central Bank
 State Efficency
Finance
  Bank efficiency
 
Stock market
 
Finance management 
Scientific Infrastructure
Employment Business Legistlation
 Openness
 Competition
 
Labor regulations
Management Practices Health and Environment
Prices Societal Framework Attitudes and Values Education

日本は、不況で打撃を受け、高齢化や財政悪化が進んでいるとして評価を下げた。

IMDは新しく、'Debt Stress Test'を採用した。各国がその債務を我慢可能なレベル(GDPの60%)にまで下げるのに何年かかるかというもの。
「大事なのは公的債務の大きさだけではなく、それを解消するのに何年かかるかということ。債務の多い国は結局、競争力を失い、生活水準の悪化を起こす」としている。

先進国は"debt curse"(債務の呪い)に苦しむが、日本は最悪で、2084年までかかると見ている。
イタリアがそれに次ぎ、2060年としている。

このほかの諸国は以下の通り。
  ポルトガル 2037年
  ベルギー  2035年
  ギリシャ   2031年
  ドイツ    2028年
  フランス   2029年
  英国     2028年
  米国     2033年

他の日本の弱点は生活費が高く、人口高齢化が深刻なこと、日本の主要都市の生活物価水準はニューヨークに比べても30%も高いとされた。最高40%に達する法人税率は企業活動の意欲をなくし、外国企業の進出を阻害する要因とされた。外国人観光客誘致(GDP対比観光収入)は調査対象58カ国の中で最下位だった。

逆に、日本の科学技術インフラは米国に続いて世界2位。輸出(4位)で貯めた金で研究開発に莫大な投資(2位)をしている。特許保有件数では世界1位、平均寿命が世界で最も長いことを含め、保健・環境で11位となっている。
企業の環境にやさしい経営 (1位)とグリーン技術(2位)でも世界的な優位を占めている。   

ーーー

国際通貨基金(IMF)は5月19日、「日本政府は2011年度には財政再建を開始し、消費税を徐々に引き上げていく必要がある」とする声明を発表した。日本の財政が先進国で最悪の状況に陥っていることを踏まえ、国債発行の限度額などを盛り込んだ財政健全化に向けたルールづくりを求めた。

「国家財政への監視の目が厳しくなる中、信頼性のある財政再建策を早期に策定することが非常に重要」と指摘、リプスキーIMF筆頭副専務理事は「財政の安定性が確保されることが消費者や企業に安心感を与え、成長につながる」と語り、消費税増税は景気回復を阻害しないとの見方を示した。


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2010年5月22日 (土)

アスベスト被害で国の責任認定

大阪府の泉南地域の石綿紡織工場の元労働者や元周辺住民ら29人が石綿肺や肺がんなどになったのは、国がアスベスト(石綿)の規制を怠ったのが原因だとして、国に計9億4600万円の賠償を求めた訴訟の判決が5月19日、大阪地裁であった。

小西義博裁判長は「石綿対策を省令で義務づけなかったのは違法」とし、 賠償金を支払うよう命じた。
勝訴したのは26人で、賠償額は1人あたり 687万円~4,070万円で総額は
約4億3500万円
工場近くで石綿粉じんにさらされたとして「近隣暴露」を訴えた元周辺住民の請求は退けた。
 

泉南地域では明治40年に石綿から糸や布を作る石綿紡織業が起こり、地場産業として発展した。2005年11月の生産中止まで約100年間の歴史を持つ。

石綿原料から石綿糸・布をつくる第一次加工で、泉南市、阪南市の狭い地域に、最盛期には一貫工場で70社あり、下請け内職を含めれば約2000人が就労していた。

戦前は軍需関連、戦後は自動車、造船、鉄鋼などの断熱・保温材を中心に紡織製品が使用された。

工場内外で激甚な石綿粉じん飛散があった。

資料 http://www.takagifund.org/admin/img/sup/rpt_file20034.pdf

石綿被害をめぐり、国の「不作為責任」を認めた判決は初めて。
ほかに尼崎市のクボタ旧神崎工場の周辺で働いていた男性の遺族らと、首都圏の建設労働者らが提訴、係争中。

原告側主張:
国は戦前に泉南地域を中心とした石綿関連工場労働者を対象にした健康被害調査を実施し、その1割以上が石綿肺にかかっていたことを把握しており、石綿肺を労災疾病に指定した1972年には、危険性を認識していた。
   
国は1972年以降、粉じんが飛散しやすい作業工程での粉じん を除去する「局所排気装置」の設置▽防じんマスクの着用指示ーなどを省令で義務付けなかった。
   
国側主張: 
1972年以降から技術発展に応じた規制を行った。
   
危険性を認識できたのは、疫学調査の結果が蓄積され、石綿肺の予防を目的としたじん肺法が制定された1985年以降。
   
周辺住民は工場労働者より暴露量が少なく、石綿肺の所見も認められない。
   

大阪地裁判決の要旨は以下の通り。

・国が石綿被害の実態と対策の必要性を認識した時期
 

石綿に関係する医学的な知見は1959年に石綿肺について、72年には肺がんと中皮腫についておおむね集積された。国はそれぞれの時期に、防止策をとる必要性を認識していたと言うべきだ。 

戦前のデータは意義はあったが、仮説にとどまっており、医学的知見確立とは言えない。

・1960年時点で国が石綿肺防止のための省令を制定しなかったことの違法性について 

石綿肺の医学的知見が59年におおむね集積され、重大な被害が発生していることを認識しているのだから、被害の防止策を総合的にとる必要性も認識していたということができる。 

労働大臣は59年の旧じん肺法成立までに、排気装置の設置を中心とする石綿粉じんの抑制措置を使用者に義務づけるような内容の省令を制定していれば、石綿肺になる危険性をかなり低下させることができ、その後の被害拡大も相当防ぐことができたと考えられる。
しかし、この時点で省令を制定せず、71年に旧特化則(特定化学物質等障害規則)で粉じんが飛散する屋内作業場に排気装置を設置することが義務付けられるまで、対策をとらなかった。

省令を制定・改正し、排気装置の設置を義務づける規定を設けなかったのは、著しく合理性を欠き、違法だというべきだ。 

・72年時点で国が石綿肺防止の省令を制定しなかったことの違法性について

石綿粉じんと、肺がんと中皮腫発症の関連性があるという医学的知見は、72年におおむね集積された。
粉じん測定機器としてメンブランフィルター法も実用化され、一般の事業所で粉じん濃度の測定ができるようになった。
特化則により、石綿を製造し、取り扱う屋内作業場で6カ月以内ごとに1回、定期的に粉じん濃度を測定、記録することが義務付けられた。
 

この測定が実行されるのを担保するため、測定結果の報告などを義務づける必要があったが、国はこれを怠った。これは著しく合理性を欠き、違法だったというべきだ。 

・省令制定権限不行使の違法と石綿粉じん暴露による損害との因果関係 

国の省令制定権限不行使の違法と、60年以降に石綿粉じんに暴露し石綿関連疾患になった労働者の原告、またはその相続人らの損害には、相当因果関係がある。 

 

厚生労働省では、今後の対応は詳細を確認の上、関係機関と協議して検討したいとしている。


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2010年5月21日 (金)

EU、DRAMカルテルに制裁金、「同意決定手続き」初適用

EUの欧州委員会は519日、世界の主要半導体メーカー10社がDRAMの価格カルテルを結んでいたとして、9社に総額331百万ユーロ(約370億円)の制裁金支払いを命じた。

エルピーダと株主で前身のNECと日立の両社及び東芝、三菱電機の日本企業5社は同日、制裁金を支払う方針を明らかにした。

欧州委によると、各社は19987月から20026月にかけて、DRAMの価格カルテルを結んでいた。

米国のMicronはカルテルの存在を通知し、制裁金を100%減免された。
また、Infineon
ほかが、調査に協力して一部減免された。

各社は「同意決定手続Cartel Settlement Procedure)」に従い、10%の減免を受けた。
* エルピーダ等は「和解手続」と呼んでいる。

半導体メーカー 減免
(Leniency)
減免
(Settlement)
制裁金
(EUR)
Micron (米国) 100% N/A 0
Infineon(独:1999年にシーメンスから分離・独立) 45% 10% 56,700,000
Hynix(旧称 現代電子産業で2001年に現代グループから分離) 27% 10% 51,471,000
Samsung Electronics 18% 10% 145,728,000
エルピーダ、NEC、日立(連帯) 18% 10% 8,496,000
NEC、日立 (JV期間、連帯)   10% 2,124,000
NEC (JV以前) 18% 10% 10,296,000
日立 (JV以前) - 10% 20,412,000
東芝  - 10% 17,641,800
三菱電機 - 10% 16,605,000
Nanya(台湾:南亞科技) - 10% 1,800,000
合計     331,273,800

「同意決定手続き」2008630日に制定され、同年71日から運用された。
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=IP/08/1056&guiLanguage=en

欧州委と企業がカルテルの内容と証拠を協議し、企業がカルテルの存在を認めると制裁金が10%減額される仕組み。
これにより裁判所への控訴による長期の争いを避けることができ、欧州委では要員を他の事件の摘発に向けることが可能となる。

当時のNeelie Kroes競争政策担当委員は次のように述べた。

この手続の導入は、カルテルに対する執行をいささかでも弱めるものではなく、寧ろ、同手続の導入は、カルテルのより効果的な摘発を目的としたものである。
10%の制裁金減額という効果も、手続の簡素化や執行の効率化により正当化できるものである。

EUにはすでにカルテルの存在などの情報提供で協力した企業の制裁金の免除や大幅な減額を認めるLeniency制度があるが、これと併用する。

今回のケースはこの制度の初適用となる。

ーーー

<p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p>

エルピーダは1999年12月にNECと日立製作所のDRAM事業を統合する形で発足した。

エルピーダは1999年4月から2002年6月までの間にDRAMの国際カルテルに参加したとして、2006年1月に米国で8400万ドルの罰金支払いに同意している。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

他に、Samsung3億ドル,Hynix18500万ドル,ドイツInfineon Technologies16000万ドル。
エルピーダの米国の副社長(米人)が25万ドルの罰金と7カ月間の禁固刑。    

これと同時にDRAM顧客のパソコン大手から訴訟を受け、和解金を支払った。   

エルピーダは自製開始まではNECと日立の製品を販売していたが、この和解金の負担に関して両社と争っており、両社に対して約120億円の損害賠償を求める訴訟を起こしていたことが判明した。


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2010年5月20日 (木)

「世界の石油化学製品の需給動向」2010年版-2

各地域の動向は以下の通り。(エチレン換算)

日本
  
  2014年に以下の輸出をみているが、可能だろうか。
    エチレン 44万トン、SM 110万トン、PVC 70万トン、PE 43万トン
 
韓国
  
  大幅な輸出依存だが、2010 年にエチレン増設(麗川NCC 5万トン、LG 化学 10万トン)がある。
  誘導品増設はなく、エチレン輸出増。
  このほかにもエチレンの増設が検討されている。
  輸出がなくなれば、壊滅的。
 
台湾
  
  韓国と同様、大幅な輸出依存である。
 
中国
  
 
シンガポール
  
  Shell のBukom 島のエチレンプラント(80万トン)が2010年稼動
  ExxonMobil 二期計画(エチレン100万トン、PE130万トン、PP45万トンほか)2011年稼動予定
 
中東
  
  中東での2008 年初めより2014 年迄の角度の高いエチレン計画として以下をみている。(万トン)
  ・サウジ
    
Chevron(20083Q 24)、SEPC(20092Q 100)
      YANSAB(2009
3Q 130)PetroRabigh (20092Q 130)
    Sharq(2009
4Q 130)Kayan (20104Q 135)、
    
ChevronPhillips(20112Q 130)
    小計
779
  ・イラン
    
BIPC(2009610)NPC#9(20081Q 100),
    NPC
1020084132)、#5(20101Q 50)
    小計
292
  ・
 カタール
       
 Ras Laffin(20102月 130)
  ・
 クウェート
    Equate-220092Q 85
  ・
UAE Borouge (20102Q 140)
  以上合計 約
1,426万トン
 
北米
  
 
西欧(トルコ含む)
  
 
世界合計
  
 

 


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2010年5月19日 (水)

「世界の石油化学製品の需給動向」2010年版 

経産省化学課は5月14日、「世界の石油化学製品の需給動向」2010年版を発表した。

世界の石油化学製品の今後の需給動向
 
国別データシート
 
2014年までの新増設計画
 
商品別集計データ表

製品別・国別の能力/生産/需要データ (METIデータ組替)

概要は以下の通り。

世界のエチレン系誘導品の需要は2008年に原油や石油製品価格の乱高下の影響を受け、減少に転じた(前年比 -4.2%)。

2009年以降は、世界的な金融危機等の影響が未だ残るものの、世界全体で経済の回復が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要見通しを積み上げると、2008~14年の世界全体の需要の伸びは年平均+3.9%、2014年の需要量は134.2百万トン(2008年比で+27.6%)となる見通し。

中国については、輸出環境は依然厳しいものの、国内需要の回復に伴い、石化需要も2008年夏場(原油下落開始時期)以降、急激に落ち込んだ需要は、09年末には在庫調整も終わり、原油の下げ止感がでたことから、在庫の上乗せ需要も加わり、大きく需要が回復した。

中国の2008~14年の需要の伸びはエチレン換算で年平均 8.0%とみている。
 LDPE 8.1%、HDPE 9.6%、PS 6.1%、PVC 8.5%、
 PP 9.1%、PTA 9.1%

中国は現在のところ、エチレン換算の約5割を輸入に依存しているが、2009年から新設プラントが本格的に稼働を始めており、その自給率が上がり、2014年の輸入比率は約3割まで低下すると見込まれている。輸入比率が低下し、輸入量は緩やかに減少すると見込まれている。



ーーー

今後、中東や中国で大規模コンプレックスが続々完成する。

しかし、ほとんどの製品で現在の能力が既に2014年の需要を上回っている。
中国での新設は当然、輸入品に置き換わるし、中東などの新規設備は既存の老朽設備を淘汰することとなる。
日本への影響は大きい。

上記のとおり、この報告では中国の需要の伸びを年率8%でみている。
各製品で中国の需要の比率がどんどん上がっている。

エチレン換算でみると、需要の増加は驚異的である。
       
  2008年 2014年予想 増加量
中国 19.8百万トン 31.5百万トン 11.7百万トン
米国 20.0百万トン 22.9百万トン  2.9百万トン
西欧計 22.8百万トン 24.3百万トン  1.5百万トン

中国の需要が今後もどんどん伸びるかどうか疑問がある。

製品輸出が今後も伸びるか?
  人民元の引き上げ、労務費アップ、貿易戦争

個人消費が増えるか?
  
「家電下郷」、 「汽車下郷」などの補助金は続かない。
  都市部と農村部の所得格差の拡大(農村部の消費は余り拡大しない)
  消費より貯蓄の傾向(将来への不安)

バブル崩壊の恐れ(住宅価格、株価の異常なアップ)

<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>

2006/2/21 「中国バブル説」でこう書いた。   

(中国の需要予想の)根拠の一つには13億人という膨大な潜在需要の存在と思われる。
しかし実際には三大成長エリア、広東、長江デルタ(上海)、渤海湾(北京、天津、大連)の3億人を現在のマーケットと考えるべきである。これと残りの10億人の所得格差は著しく大きい。
将来は別としてこの数年をとってみると、これら10億人の需要を当てにすることはできない。
仮に三大エリアの3億人が石化製品を日本並み
44kg/人・年)、残り10億人がフィリッピン並み6.5kg/人・年)に消費するとすれば、中国の需要は2000万トンにしかならない。

現在では中国の市場はもう少し拡大はしているが、農村部の状況は余り好転していない。2014年に需要が5割以上も増えるであろうか。

仮に中国の需要が伸び悩めば、大変なことになる。


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2010年5月18日 (火)

2010年3月期決算対比

3月決算が出揃った。(旭硝子、昭和電工は12月決算)

営業損益でみると、多くの会社が前年比では増益となっているが、信越化学を初め、帝人、JSRなど減益の会社も多い。
前年比増益の会社も前々年比では減益で、減益幅は非常に大きい。特に石油化学と情報電子化学の部門での減益が大きい。
(グラフの中では前々年比で増益はチッソのみ)

   

 

石油化学については、今後、ナフサの上昇が予想されるが、製品値上げについては、海外からの流入懸念やデフレ下での需要家の反発で難しい。

輸出についても、サウジのPetroRabigh が本格生産を開始したほか、中東、中国での大規模計画が相次いでスタートし、今後は難しくなる。逆に、中国から締め出される韓国や台湾のメーカーの日本向け輸出の可能性も出てくる。

このままではジリ貧になる恐れが強い。


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2010年5月17日 (月)

医薬メーカーの決算

各社の営業損益は以下の通り。

前年度については下記参照 
  2009/5/15  
注目会社 2009年3月決算-7 

 

武田薬品工業

減収だが、販売費及び一般管理費が研究開発費を中心に1,816億円の大幅な減少となったことで増益。
 研究開発費減少は、下記の米国事業再編の影響参照。
 その他の販売費及び一般管理費は、円高の影響などで250億円減少

次期は、米国でのプレバシドの特許満了や円高などでの減収と、新研究所の稼動に伴う研究開発費の増加などで減益の予想。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3 15,383 3,065 3,272 2,344 88 92
2010/3 14,660 4,202 4,158 2,977 90 90
前年比 -724 1,137 886 634 2 -2
2011/3 14,000 3,300 3,400 2,200 90 90

米国事業再編によるTAP社の分割・子会社化およびミレニアム社買収の影響

  営業損益 特別利益
2009/3  -2,423億円  713億円
2010/3 -792億円  
増減 1,631億円 -713億円

ーーー

アステラス製薬

円高で172億円の減益、研究開発費が1,590億円から1,955億円に365億円増加。

次期は特許満了などによる減収、製品構成変化による原価率アップで減益予想。
研究開発費は減。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3 9,657 2,504 2,715 1,710 60 60
2010/3 9,749 1,864 1,910 1,223 60 65
前年比 92 -640 -805 -487 0 5
2011/3 9,400 1,520 1,550 1,070 60 65

ーーー

エーザイ

当期は、AkaRx, Inc.買収に伴うインプロセス研究開発費239億円の計上により、営業利益、経常利益および当期純利益は減益。
(税務上の損金とならない)

次期は、これがないため、増益。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3  7,817 918 826 477 70 70
2010/3 8,032 864 797 403 70 80
前年比 214 -54 -29 -73 0 10
2011/3 8,100 1,050 985 650 70 80

2007年12月、がん・救急治療に強みを持つ米国バイオファーマ企業であるMGI PHARMAを総額約39 億米ドルの現金にて買収する最終契約を締結した。
2008/3はMGI Pharma買収に伴うインプロセス研究開発費874億円を計上

ーーー

第一三共

売上高は、2008年11月に子会社化したRanbaxy Laboratoriesの売上高1,466億円の寄与により増収となった。
利益面では、研究開発費は123億円増加したが、増収により増益となった。
営業外損益に、
Ranbaxyでのインドルピーの対米ドルレート変動リスクヘッジによるデリバティブ評価損益がある。
前年度は205億円の損であったが、当年度は172億円の益となり、差引377億円の増益となった。(次期は見込まず)

前年度は特別損失にRanbaxy Laboratories 「のれん償却」 3,544億円を計上している。

次期については、薬価改定の影響、研究開発費増加や新製品発売に伴う販売促進費の増加で減益を予想。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3 8,421 883 546 -3,358 40 40
2010/3 9,521 955 1,031 419 30 30
前年比 1,100 72 485 3,777 -10 -10
2011/3 9,800 900 850 450 30 30

ーーー

田辺三菱製薬  既報 

研究開発費の一時金支払いなどでの増、退職給付費用の増などで販売費及び一般管理費が105億円増加

 

ーーー

中外製薬(12月決算)

タミフル売上高が762億円で前年比678億円増、その他製品でも増収となり、この結果増益となった。

次期については、マイルストーン収入の減少や薬価改定などの要因、営業費・研究開発費の増加で減益を予想。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/12 3,269 516 573 393 15 19
2009/12 4,289 826 904 566 17 23
前年比 1,020 310 331 174 2 4
2000/12 4,185 700 705 440 17 17

ーーー

大正製薬

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3  2,562 379 399 88 12 15
2010/3 2,584 347 367 195 12 15
前年比 22 -32 -32 107 0 0
2011/3 2,620 360 405 245 12 15

2007/3は、主力のドリンク剤の異常気象などにともなう市場の落ち込みが響き、大幅減益となった。

ーーー

塩野義製薬

増収、増益。
(塩野義製薬は2008年10月、米国の中堅製薬会社Sciele Pharmaを総額14億2400万ドルで買収したが、前年度にはこれに伴う仕掛研究開発費 97億円等を含む)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3      2,275 320 320 157 14 14
2010/3 2,785 524 505 386 18 18
前年比 510 204 185 230 4 4
2011/3 2,950 610 590 390 20 20

ーーー

大日本住友製薬   既報

 


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2010年5月15日 (土)

注目企業の決算-5 (富士フィルム、JXホールディングス、チッソ)

富士フィルム

富士フィルムの営業損益は構造改革処理前では前年を308億円上回ったが、1,437億円もの構造改革費用を計上した結果、最終営業損益は421億円の赤字、当期損益も384億円の赤字となった。

単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 税引前
 損益
当期損益 配当
処理前 構造改革
  費用
処理後 中間 期末
06/3 26,675 1,564 860 704 796 370 12.5 12.5
07/3 27,825 2,071 941 1,130 1,033 344 12.5 12.5
08/3 28,468 2,403 330 2,073 1,993 1,044 17.5 17.5
09/3 24,343 708 335 373 94 105 17.5 12.5
10/3 21,817 1,016 1,437 -421 -420 -384 12.5 12.5
前年比 -2,527 308 1,102 -794 -514 -490 -5.0 0
11/3 23,000 1,450 250 1,200 1,180 600 15.0 15.0

同社は2006年4月に中期経営計画「VISION 75」を発表したが、2009年度の営業利益を2,500億円を目指し、2005-6年度で累計1,650億円以上の構造改革費用を計上した。
(2007年3月期は941億円となったが、他に営業外損益で224億円を計上、これを含めると2年間合計の実績は2,025億円となる。)

その後も構造改革を続け、最終仕上げとして、2010年3月期に1,437億円を計上、2011年3月期に250億円を予定している。
6年間の構造改革費用の合計は4,377億円もの多額にあがる。(営業外損益分を含む)

構造改革のポイント
・間接部門の大幅スリム化
・R&Dの効率化・重点分野へのシフト
・フォト事業の徹底的スリム化
・デジタルカメラ事業の抜本的改革
・ドキュメント・インフォメーション事業の体質強化
 (インフォメーション事業には
メディカルシステム・ライフサイエンスを含む)

2010年3月期のセグメント別営業損益は以下の通り。 (億円)

処理前 構造改革費用 処理後
Imaging カラーフィルム
カラーペーパー・薬品等
フォトフィニッシング機器
ラボ・FDi
デジタルカメラ
-151 541 -692
Information メディカルシステム・ライフサイエンス
グラフィックシステム
フラットパネル・ディスプレイ材料
記録メディア
情報・産業機材
617 643 -26
Document デジタル複合機
オフィスプリンター
サービス
575 253 322
全社 -25 -25
合計 1,016 1,437 -421

構造改革費用の推移は以下の通り。 (単位:億円)

構造改革
 費用 
内容 効果
2006/3 860 Slim & Strong 活動
 ・生産設備加速償却等
 ・特別退職金等人員削減関連
 ・投資有価証券評価損 (*)
 人員削減 2007/3末までに5000人強
2007/3 400強
2007/3 941
* 224
2008/3 330
2009/3 335
Imaging 73
Information 85
Document 177
合計 335
2010/3 1,437
主要施策 2010/3 2011/3
Imaging カラーペーパー設備等の資産圧縮
欧米日でのラボ閉鎖
生産品種絞込み
541 100
Information 人員スリム化、資産圧縮など 643 20
Document 生産機能の最適化、原価低減徹底
経営革新活動の海外への展開
253 130
合計 1,437 250
2009年度  380
2010年度 +450
2011年度 + 70
合計     900
2011/3予 250

ーーー

JXホールディングス 

新日本石油と新日鉱ホールディングスは2010年4月1日に合併し、JXホールディングスとなった。

両社とも前年の在庫評価による大きな赤字が逆転し、黒字となった。
しかし、在庫評価を除いた損益では、石油製品の販売数量減少およびマージンの悪化、石油・天然ガス開発部門の減益などにより、前年比減益となった。

単位:億円
売上高   営業損益 経常損益 同左(在庫
影響除く)
当期損益
新日本石油 2009/3 73,892 -3,125 -2,754 (1,716) -2,516
2010/3 57,743 867 1,133 (-435) 433
増減 -16,150 3,992 3,888 (-2,151) 2,949
新日鉱
 ホールディングス
2009/3 40,651 -1,017 -674 (921) -408
2010/3 32,337 437 740 (281) 298
増減 -8,313 1,454 1,414 (-640) 706
合計 2009/3 114,543 -4,142 -3,429 (2,637) -2,924
2010/3 90,080 1,305 1,873 (-154) 731
増減 -24,463 5,446 5,302 (-2,791) 3,655
2011/3 91,600 1,700 2,200 (1,700) 2,700
中期経営計画
 
2013/3 
93,600 2,750 3,300 (3,300) 1,750
  2011/3では、新日本石油が減価償却法を定率法から定額法に変更(影響 +290億円)
  
  中期経営計画は2010/5/10 発表
   経常損益   石油精製販売事業 1,630
 石油開発事業  610
 金属事業 820
 上場子会社他 240
 合計 3,300
両社の経常損益の内訳は以下の通り。
新日本石油                            単位:億円
2009/3 2010/3 増 減
一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計
石油精製・販売 713 -4,470 -3,757 -1,161 1,568 407 -1,874 6,038 4,164
石油化学製品 -356 -356 48 48 404 404
石油・天然ガス開発 1,211 1,211 432 432 -779 -779
建設・その他 148 148 246 246 98 98
合 計 1,716 -4,470 -2,754 -435 1,568 1,133 -2,151 6,038 3,888
新日鉱 ホールディングス
2009/3 2010/3 増 減
一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計
石油精製・販売   385 -1,405 -1,020 -250 450 200 -634 1,855 1,220
石油化学製品 -124 -124 4 4 129 129
石油開発 93 93 58 58 -35 -35
金属事業 470 -185 285 454 20 474 -15 205 189
独立事業等 98 -6 92 14 -11 3 -83 -6 -89
合 計 921 -1,596 -674 281 459 740 -640 2,054 1,414

    参考 出光興産決算  2010/5/5 注目企業の決算-2(JSR、カネカ、出光興産) 

ーーー

チッソ

増収、増益で、前々年比でも営業損益、経常損益は増益となった。

単位:億円
売上高 営業損益 経常損益 当期損益
2008/3 2,697 208 202 108
2009/3 2,492 152 103 30
2010/3 2,612 265 221 105
前年比 119 114 118 75
(前々年比) (-85) (57) (19) (-3)
2011/3 2,500 240

同社の事業は以下の通り。
 化学品事業 
   機能材料分野(液晶、電子部品等)
   化学品分野(樹脂、アルコール、溶剤等)
   加工品分野(繊維製品、肥料等)
 
その他の事業(商事部門、エンジニアリング部門)

特別損失に水俣病補償関係損失等として47億円を計上した。

期末現在での利益剰余金は -1,034億円となり(前年末は -1,139億円)、資本金 78億円に対し、純資産合計は -807億円となった。

水俣病の「特別措置法」では、同社は、県の判定による対象者に一時金一人当たり210万円、団体に対し31億5千万円を支払うこととなるが、同社では支払い総額については今後の判定等によるとして判明しないとしている。

同社では以下の通り述べている。

「特別措置法」に従って、紛争解決を図るとともに、「特別事業者」としての指定を受けたうえで、「事業再編計画」の作成及び認可申請等を行い、会社組織の再編(いわゆる分社化)に取り組んでまいります。

参考 2010/1/11 チッソ会長、「10月分社化目指す」


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2010年5月14日 (金)

注目企業の決算-4 (三菱ケミカルホールディングス、三菱レイヨン、東レ、帝人)

三菱ケミカルホールディングス

減収、増益だが、前々年比では営業利益は半減。
ヘルスケアの貢献が圧倒的で、これを除くと赤字。特にポリマーズの赤字が大きい。
前年比では、ケミカルズの回復が大きい。デザインド・マテリアルズも回復。

なお、2010年3月30日に三菱レイヨンを子会社化した。10月1日には100%子会社とする。
2011年3月期には三菱レイヨンの業績を含む。
    2009/11/19 
三菱ケミカルHDが三菱レイヨンを買収

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   29,298 1,250 1,289 1,641 8 8
2009/3 29,090 82 -19 -672 8 4
2010/3 25,151 663 590 128 4 4
前年比 -3,940 582 609 800 -4 0
(前々年比) (-4,147) (-587) (-699) (-1,512)    
2011/3 32,500 1,560 1,380 410 4 4
うち、
三菱レイヨンの影響
4,700 215 163 27    

三菱レイヨンの影響は、上期の少数株主分だけ、損益が下記の同社の決算予想と異なっている。

なお、次期よりケミカルズ、ポリマーズの減価償却方法を定率法から定額法に変更。
償却費が
190億円減少するが、これが反映されている。

営業損益対比(億円) 

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比
ケミカルズ 基礎化学品   -678 -16 662
炭素   123 89 -34
合計 109 -555 73 628
ポリマーズ 112 -130 -217 -88
エレクトロニクス・アプリケーションズ 316 48 71 23
デザインド・マテリアルズ 97 -21 82 103
ヘルスケア 572 793 716 -77
その他 141 88 62 -26
全社 -97 -141 -123 18
合計 1,250 82 663 582

当期の特別損益に変わったものが計上されている。

  特別利益  負ののれん発生益  137億円
          段階取得に係る差益  75億円

M&Aに関する会計基準は2010年4月から適用だが、2009年4月からの早期適用も可能で、同社はこれを行っ た。(当期損益の増加に貢献)

負の「のれん」は(企業買収価額<買収企業の純資産)の場合の差額で、従来は一定期間で償却していたが、一挙に利益に計上 する。

企業買収を段階的に行う場合、従来は個々の取引時の時価を簿価にしていたが、支配獲得時の時価を全株式の簿価とするよう変更になる。
最終株価と個々の取引時の株価の差が「段階取得に係わる差益」となる。

同社の当期中の買収には、三菱樹脂によるQuadrantのTOBなどがある。

ほかに特別損失に、関係会社整理損 -126億円がある。

三菱化学が1992年撤退したマレーシアにおける希土事業について、本年8月に廃棄物処理施設の設置工事契約を締結した。 この工事の施工に伴う費用の負担に備え、関係会社整理損として126億円を計上した。

ーーー

田辺三菱製薬

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3 4,148 717 726 265 14 14
2010/3 4,047 615 616 303 14 14
前年比 -100 -102 -109 37 0 0
2011/3 3,800 550 550 270 14 14

特別損失が前期の258億円から108億円に減少し、当期損益は増益となった。
 (うち HCV訴訟損失引当 前期88億円が30億円に減少)

    次期は薬価改定の影響、メドウェイに関する行政処分などの影響で減収減益予想。

ーーー

三菱レイヨン

増収増益。買収したLucite International Groupの業績を2009年5月28日から12月末までの分を含む。(売上高799億円)

MMAを中心とする化成品・樹脂とアクリル繊維・ANは好転したが、炭素繊維は赤字転落。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 同左
通常損益
経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   4,185 375 396 340 143 5.5 5.5
2009/3 3,450 -76 -17 -38 -290 3.0 1.0
2010/3 3,650 54 104 -61 -50 0.0 0.0
前年比 200 130 121 -24 239 -3.0 -1.0
(前々年比) (-535) (-321) (-292) (-401) (-193)    
2011/3 4,700 183 240 153 37 未定

営業外損益に為替差損益を含み、これが経常損益に影響している。
  
2009/3  51億円(益)
  
2010/3  69億円(損)

同社は2006/3より、退職給付会計における数理計算上の差異の処理方法を、定額法償却での営業外費用処理から発生の翌年度に営業費用として一括償却する方法に変更した。
  
2008/3  21億円(損)
  
2009/3  59億円(損)
  
2010/3  49億円(損)

上表の通常損益は、この影響を除外したもの。

営業損益対比(億円) 数理計算上の差異償却を除外  

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
化成品・樹脂 236 44 160 116 中国を中心としたアジアで需要回復
ルーサイト(2009/5/28-12/31)
アクリル繊維・AN 10 -91 -11 80 構造改革施策の効果発現
炭素繊維・複合材料 113 19 -57 -76 依然として厳しい競争環境
アセテート・機能膜 36 10 9 -1  
全社 0 1 2 1  
合計 396 -17 104 121 原燃料価格 +269、販売価格 -300
数量 -62、コストその他 +213

ーーー

東レ

減収、増益(経常損益は下記の理由で減益)
前々年比では大幅減益のまま。

炭素繊維複合材料が赤字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   16,497 1,034 915 481 5.0 5.0
2009/3 14,716 360 205 -163 5.0 2.5
2010/3 13,596 401 90 -142 2.5 2.5
前年比 -1,119 41 -115 22 -3.0 0
(前々年比) (-2,900) (-633) (-825) (-622)    
2011/3 15,000 600 500 250 2.5 2.5

経常損益減少は
 持分法による投資損失 -145億円(パナソニックプラズマディスプレイなど)
 休止設備関連費用 -69億円による。
 (前年度には為替差損 -58億円があったが、本年はなし)

営業損益対比(億円)

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
繊維 214 77 121 44 本体赤字縮小
海外(韓国ポリエステル長繊維、中国不織布等)増益
プラスチック・ケミカル 207 41 81 40 本体赤字縮小
海外増益
情報・通信機器 298 98 185 87 本体、海外増益
炭素繊維複合材料 181 84 -62 -146 本体、海外とも赤字に
環境・エンジニアリング 98 33 47 14  
ライフサイエンスその他 63 32 15 -17  
全社 -25 -4 14 18  
合計 1,034 360 401 41  

ーーー

帝人

減収で営業損益は減益となった。
前々年比では大幅減益のまま。

東レと同様、炭素繊維の赤字が大きい。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   10,366 652 463 126 4.5 3.5
2009/3 9,434 180 -27 -430 3.0 2.0
2010/3 7,658 134 21 -357 0.0 2.0
前年比 -1,776 -45 48 73 -3.0  
(前々年比) (-2,708) (-517) (-442) (-483)    
2011/3 8,000 320 260 100 2.0 2.0
営業外損失、特別損失には下記を含む
  2009/3 2010/3
営業外損失    
持分法による投資損失 80 34
       
特別損失    
  異常操業損失 102 107
  事業構造改善費用 33 * 206
  金銭信託の追加拠出 - 72
  減損損失 116 44
  その他 82 53
  合計 333 482
 * インドネシアのポリエステル繊維子会社譲渡など

営業損益対比(億円)

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
合成繊維 244 -28 -151 -123 アラミド繊維 減益
炭素繊維 減益大幅赤字
ポリエステル繊維 コストダウンで赤字縮小
流通・リテイル 53 39 34 -5  
化成品 202 2 80 78 樹脂 コストダウンで増益
フィルム 減益
医薬医療 217 248 242 -6 技術料収入減
IT・新事業 35 36 30 -6  
全社 -100 -118 -100 18  
合計 652 179 134 -45 売価差 -410、原燃料単価 +420
販売数量 -370、コスト削減ほか 315

同社は下記の緊急対策及び構造改革を進めている。
 
・ 課題事業の構造改革(ポリエステル繊維、
PET フィルム、ポリカーボネート樹脂)
   ポリエステル繊維で、
    長繊維の国内からタイの子会社への生産移管
    インドネシアの子会社の売却
・ 高機能素材事業の構造改革
・ 全社での徹底した固定費削減:平成
22年度迄に400億円削減
・ 大型投資の2年間凍結・運転資本効率化:平成
21年度に設備投資350億円・在庫250億円削減
・ 「構造改革」と「成長軌道への回帰」を推進する組織改革

 


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2010年5月13日 (木)

LANXESS とTSRC、中国でNBR製造

LANXESS と台湾の合成ゴムメーカーTSRC57日、50/50JVLANXESS-TSRC (Nantong) Chemical Industrial Co. を設立すると発表した。

50百万ドルを投じて、江蘇省南通市に年産30千トンのNBRプラントを建設する。
9月に杭打ち式を行う予定で、2012年の生産開始を目指す。
JVは本年夏に、LANXESSのフランスのLa Wantzenau 工場のNBRを使って、中国でのマーケティングを開始する。

LANXESSでは、「中国のNBR市場は世界で最も成長力があり、2桁の伸びを示している」とし、「TSRCとの提携は、成長するアジア市場での更なる提携の一歩」としている。

LANXESSは世界最大のNBRのメーカーで、フランスのLa Wantzenau とカナダのSarniaにプラントを持っていたが、SarniaのプラントをLa Wantzenau に移した。
同社は2007年12
にブラジルの合成ゴムメーカーPetroflexBraskem 33.5%出資)の70%を買収、200810月には100%オーナーとなったが、ここのNBRプラントもLa Wantzenau に移す。
移転完了後はLa Wantzenau 工場の能力は100千トン以上となる。

なお、日本ゼオンは世界で合計95千トンの能力を持っている。
  日本  45千トン  徳山、川崎工場   
  米国 35千トン  1989年10月にB.F.Goodrich ChemicalNBR事業を買収(Louisville, KY)
 1998年12月 米国DSM Copolymer からNBR事業を買収(商権のみ)
 1999年9月 米国
GoodyearからNBR事業を買収(商権のみ)
  英国 15千ト ン  1989年3月にBP ChemicalsのNBR事業(Sully工場)を買収
  合計 95千トン  

TSRC(当初名はTaiwan Synthetic Rubber Co.)は1973年設立の台湾最大の合成ゴムメーカーで、台湾の大社に以下のプラントを持つ。
   
SBR 100千トン  (1977年 BFGoodrich技術)
   
BR 52千トン  (1982年宇部興産技術)
   
TPE 54千トン  (1988年 Phillips Petroleum技術)

同社は中国に進出、今回NBRプラントを建設する南通市にはSBRBRSEBC(styrene-ethylene-butylene block copolymer)のプラントを持つほか、上海と山東省済南市にTPEのプラントを持っている。

また、タイでも宇部興産のBR事業に参加しており、本年4月にはインドのSBR計画に参加している。

  立地 社名  能力 出資
SBR 南通市 Shen Hua Chemical Industrial
 (申華化学)
 180千トン PolybusTSRC子会社)
丸紅
Nantong Petro-Chemical 
BR 南通市 台橡宇部(南通)化学工業  50千トン
 (
2011
 →
72千トン)
TSRC 55
宇部興産 
25
丸紅 
20
SEBC 南通市 TSRC (Nantong) Industries  20千トン  
TPE 上海市 TSRC (Shanghai) Industries  13千トン  
済南市 TSRC (Jinan) Industries  5千トン
         
BR タイ
 ラヨン
Thai Synthetic Rubbers   72千トン
(当初
  50千トン)
TSRC 13.0% 
宇部興産  73.1%
丸紅 13.0% ほか
SBR インド
 パニパット
Indian Synthetic Rubber   100千トン IOCL  50%
TSRC 30%
丸紅  20%

 


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2010年5月12日 (水)

三星グループの新事業戦略

三星グループは5月11日、新事業戦略を発表した。

本年3月に経営の第一線に復帰した李健煕会長主宰で新事業関連社長会議を開き、確定したもので、未来の新事業は、太陽電池、自動車用電池、発光ダイオード(LED)、バイオ製薬、医療機器の5つ、2020年まで23兆3000億円(約1兆9000億円)を投資するというもの。

事業 投資額 売上高  
太陽電池  6.0兆ウォン  10.0兆ウォン  
自動車用電池 5.4兆ウォン 10.2兆ウォン SB LiMotive
LED 8.6兆ウォン 17.8兆ウォン  
バイオ関連 2.1兆ウォン 1.8兆ウォン バイオシミラー中心
医療機器 1.2兆ウォン 10 兆ウォン 9500人雇用
合計  23.3兆ウォン 50 兆ウォン  

太陽電池事業には10年間に6兆ウォン(約4900億円)を投資し、売上高10兆ウォン(約8100億円)を目指す。
既に研究開発用の生産ラインを稼働中。効率の高い結晶系太陽電池から先に開始し、その後は単価が割合安い薄膜系事業を進める。

自動車用電池には、Samsung SDI とドイツBosheとの合弁会社・SB LiMotiveが5兆4000億ウォン(約4400億円)を投資し、売上高10兆2000億ウォン(約8300億円)を目指す。

2009年8月SBリモティブはBMWに対し 2013年から8年にわたり電気自動車用電池を供給することが決まった。

LEDについては、ディスプレーばかりでなく一般照明と自動車用部品(ヘッドランプ、室内灯、計器盤など)にも事業を拡大する。このために10年間に8兆6000億ウォン(約7000億円)を投資し、売上高17兆8000億ウォン(約1兆4000億円)を目指す。

バイオ関連事業には2兆1000億ウォン(約1700億円)を投資する。サムスン電子が昨年新事業として発表したバイオシミラー(後発生物製剤)が中心となる見込み。

2009年7月、サムスン電子がバイオシミラー(後発生物製剤)分野進出に向け、向こう5年間で5000億ウォン(約365億円)を投資することが明らかになった。

国内バイオ企業3社 と企業連合を構成し、特許権が消滅する9種以上のバイオシミラーを大量供給できるシステムの構築を進めており、2011年の製品発売を目標としている。

血液検査器などの医療機器には1兆2000億ウォン(約 1000億円)を投資する。

同グループは5つの新事業を通じて 2020年まで売上高50兆ウォン(約4兆円)を達成し、4万5000カ所の新規雇用を創出する。

ーーー

三星(サムスン)グループの李健煕会長は2008年4月、脱税などの疑惑を受け、退陣を発表した。

   2008/4/26 揺れる韓国サムスングループ

2009年8月14日、李健熙前会長の差し戻し審判決で、ソウル高裁は、関連会社であるサムスンSDSの新株引受権付社債 を不当に安く発行したとして懲役3年、執行猶予5年、罰金1100億ウォン(約85億円)の判決を言い渡した。

2009年12月29日、韓国政府は執行猶予付きの刑が確定している李健熙前会長を31日付けで特別赦免すると発表した。
国際五輪委員会委員の資格を回復させ、2018年冬季五輪招致に弾みをつけるためとしている。

2010年3月24日、李健煕氏がグループ社長団会議の要請を受け、サムスン電子の会長に復帰した。

世界シェア首位のメモリーや液晶パネルで中国などの追撃を受け、「今後10年以内にサムスンを代表する製品は大部分無くなる」と危機感を示し、新規事業育成に注力するとした。

今回のサムスンの未来戦略は、「環境」と「健康」に焦点を合わせている。これらは同社としては新分野で、現在多額の利益をもたらしている既存事業には安住しないという意思を示している。

但し、バイオ製薬事業に投入する資金は10年間で2兆1000億ウォンにすぎず、どれだけ成果が上がるか疑問とする声もある。


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注目企業の決算-3 (住友化学、三井化学、旭化成、東ソー)

住友化学

減収、増益。
前々年比では大幅減益のまま。

基礎化学と石油化学は大幅増益ではあるが、赤字。

大日本住友製薬の米社買収の影響で、次期は営業損益は減益の予想。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3  18,965 1,024 928 631 6 6
2009/3 17,882 21 -326 -592 6 3
2010/3 16,209 515 350 147 0 6
前年比 -1,673 493 676 739 -6 3
(前々年比) (-2,756) (-509) (-578) (-484)    
2011/3 20,000 350 350 250 3 6
営業損益対比(億円)
  2008/3 2009/3 2010/3 前年比 2011/3
予想
  前年比 内訳
売価差 購入価格差 合理化 固定費差 数量差他
基礎化学 106 -153 -27 127 0   -410 435   40 62
石油化学 45 -303 -53 250 39    -1,270 1,275   -15 260
精密化学 114 16 15 -1 4   -40 55 5 10 -31
情報電子化学 63 -10 33 43 155   -400 0 184 130 128
農業化学 209 244 259 15 207   -70 75 10 5 -5
医薬品 465 324 293 -30 -5   0 0 0 -300 270
その他 37 -79 -5 74 -62   0 0 0 80 10
全社 -15 -17 -2 16 12            
合計 1,024 21 515 493 350   -2,190 1,840 200 -50 693
同社発表の2011/3予想では研究費配賦方法の変更などでセグメント別損益に変動があるため、
その変動を除外して表示。

ーーー

大日本住友製薬

2009年10月に米Sepracor Inc.を買収、2009年度実績には同社の2009年10月15日~12月31日の実績が含まれている。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 (研究費) 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2009/3 2,640 312 (528) 314 200 9 9
2010/3 従来ベース 2,676 378 (484) 364 226    
米国子会社 286 83 (29) 79 52    
同 特許権、
ノレン代償却
  -105   -105 -69    
合計 2,963 356 (514) 338 210 9 9
前年比 322 45   24 10    
2011/3
従来ベース 2,430 264 (468) 238 156    
米国子会社 1,110 133 (207) 134 86    
同 特許権、
ノレン代償却
  -362   -362 -242    
合計 3,540 35 (675) 10 0 9 9

20103月期は前年比で増収増益となった。

20113月期予想は大幅減益で、営業損益は321百万円減り、当期損益はゼロの予想。
理由:
 ・国内は、薬価改定、後発品影響による減収により減益となる。(-114億円)
 ・米国子会社が通年で連結されることにより増益となるが、    (+50億円)
 ・米子会社の特許権やノレン代の償却がフルにかかる。     (-257億円)

Sepracor買収に伴う負担
  特許権 1,197百万ドル 品目ごとに償却 2010年負担 319百万ドル
  ノレン   914百万ドル 20年償却       同上    46百万ドル

    一括償却ではないため、暫くの間、負担が続く。

ーーー

三井化学

前年比増益ではあるが、以前赤字。
(但し、前半は190億円の営業損失、後半は95億円の営業利益)

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3  17,867 772 661 248 6 6
2009/3 14,876 -455 -508 -952 6 3
2010/3 12,077 -95 -131 -280 0 3
前年比 -2,799 360 376 672 -6 0
(前々年比) (-5,789) (-866) (-793) (-528)    
2011/3 14,000 350 290 240 3 3

2011年3月期の損益には、特別利益として退職給付債務減額146億円を含む。
中長期の収益構造改善対策の一つとして、2010年4月に退職金・年金給付水準の見直しを行った。

営業損益対比(億円)    

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比 内訳
数量差 交易条件 固定費他
機能材料 359 -160 -76 84 41 -48 91
先端化学品 108 73 86 13 -26 -3 42
基礎化学品 335 -320 -76 244 66 52 126
その他 34 1 11 10 -8 -3 21
全社 -63 -49 -40 9     9
合計 772 -455 -95 360 73 -2 289

ーーー

旭化成

前年比は減収増益だが、前々年比では大幅減益。

ケミカル事業が海外での製品需要の回復により交易条件が改善、
コストダウンに努めた住宅事業が業績を伸ばした。

特別利益に、米国CoTherix社との仲裁の最終裁定による利益65億円を計上。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3  16,968 1,277 1,205 699 6 7
2009/3 15,531 350 325 47 7 3
2010/3 14,336 576 564 253 5 5
前年比 -1,195 227 239 205 -2 2
(前々年比) (-2,632) (-700) (-641) (-447)    
2011/3 16,770 800 775 425 5 5

営業損益対比(億円)   

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比 前年比増減内訳
数量差 売価差 コスト差
ケミカルズ 652 -65 261 326 -14 -762 1,102
ホームズ 214 219 253 35 -93 20 108
ファーマ 127 120 40 -80 24 -21 -84
せんい 72 -15 -28 -13 -10 -85 82
エレクトロニクス 222 73 72 -1 108 -182 74
建材 28 17 12 -5 -41 13 24
Service & Eng. 52 56 18 -38 -37 0 -1
全社 -90 -55 -53 2     2
合計 1,277 350 576 226 -63 -1,017 1,307

ーーー

東ソー

前年比増益で、全セグメントが黒字となった。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3   8,274 591 525 252 4 4
2009/3 7,335 -203 -211 -253 4 2
2010/3 6,287 130 101 69 3 3
前年比 -1,048 334 312 322 -1 1
(前々年比) (-1,987) (-461) (-424) (-183)    
2011/3 7,200 290 260 110 3 3

営業損益対比(億円)

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
石油化学 150 -48 79 127 在庫評価の影響の改善
基礎原料 27 -175 7 182 固定費の減少、在庫評価の影響の改善
機能商品 380 -9 15 24 固定費の減少、在庫評価の影響の改善
サービス 34 28 29 1  
合計 591 -203 130 334  

 


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2010年5月11日 (火)

宇部興産、廃プラ・リサイクル事業から撤退

宇部興産は5月7日、容器包装リサイクル法に基づく廃プラスチック等を化学工業用原料(合成ガス)にリサイクルするEUP事業から撤退すると発表した。

宇部興産は、荏原製作所と共同開発した加圧二段ガス化システム「EUPプロセス」で、容器包装リサイクル法に基づく廃プラスチック等を化学工業用原料合成ガス(主成分は、水素及び一酸化炭素)にリサイクルするEUP事業を、50/50JVの㈱イーユーピーで開始した。

2000年に宇部市の宇部アンモニア工業の隣接地に30t/dの実証試験設備を建設、
2001年にイーユーピーによる事業を開始し、2004年には増設した65t/dプラントと合わせ、2系列で運転開始した。

EUPプロセスは、廃プラスチックを水素及び一酸化炭素の分子レベルまで分解した上で合成ガスを製造し、この合成ガスを利用してプラスチックであるナイロン製品までリサイクルする優れたマテリアルリサイクル技術。

容器包装廃プラの処理能力は年間3万トン。
廃プラのほか、多種多様な廃棄物の処理が可能。
合成ガスは昭和電工川崎工場に送り、アンモニア製造設備で〔CO転化→炭酸ガス除去→精製〕工程を経て、水素とし、アンモニアを生産(廃プラ3万トンからアンモニア25千トン)。
不燃物、スラグは、セメント等建設資材へリサイクルする。

2005年には文部科学大臣から科学技術賞を授与された。

資料 http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0315-02/mat06.pdf

宇部興産では、事業環境が年々厳しさを増していく中で、2007年9月にイーユーピーを100%子会社とし、さらに2008年3月には宇部興産に吸収合併して収益改善を推し進めてきた。

ところが、容器包装リサイクル法の現行入札制度においては、廃プラスチックをペレットなどにリサイクルする狭義のマテリアルリサイクルが優先されており、主要原料である廃プラスチックの確保が困難になった。

2008年度には、容器包装リサイクル協会に対して25,000トンの廃プラ調達を申し入れたが、実際に得られたのは、わずかに20トンだけだったという。

このため、同社は2008年6月以降設備を休止し、運転再開に期待をかけてきたが、今後も環境の好転は見込めず、収益の見通しも立たないため事業撤退を決定した。

 

プラスチック処理促進協会では、次のように述べている。

国の委託事業として開発された技術で、当協会も実証実験に協力した経緯がある。世界的にも非常にユニークで優れた技術だ。
原料の廃プラスチックが手当てできないのは、マテリアルリサイクル優先という、今の容器包装リサイクル法の運用のしかたに問題がある。
このままでは、油ガス化とかコークス炉ガス化といった新しいリサイクル技術は、みんな芽を摘み取られてしまう。国は早く手法の見直しを行ってほしい。

ーーー

帝人は使用済みのPETボトルからPETボトルを再生する「ボトル to ボトル」を行っていた。

回収ボトルから、新原料リサイクルプラントでDMTを回収した後、これを化学分解して、石油から製造するのとまったく同等のTPAを得て、これを原料としてPETボトル用樹脂を生産する。

同社は2008年10月、「ボトル to ボトル」の休止を発表した。

ペットボトルのリサイクルは、基本的に容器包装リサイクル法に沿って行われており、各自治体によって回収された使用済みペットボトルが集められ、入札制度により、処理委託費とともに再商品化事業者に割り振られていた。

しかし、その後、中国をはじめとして使用済みペッ トボトルの需要が急増して、独自ルートで有償取り引きされるようになり、使用済みペットボトルは入手困難な状況になった。


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2010年5月10日 (月)

統一通貨ユーロの危機

ギリシャの財政危機が世界的な株価急落を引き起こし、通貨ユーロの下落を招いている。

EUのユーロ圏16カ国は5月7日夜の緊急首脳会議で、巨額の財政赤字を抱えるギリシャ向けの支援策を正式に承認するとともに、包括的な金融危機対策で合意した。
ユーロ導入国が国際金融市場から資金を調達するのが難しくなるのに備え、緊急支援の基金を創設。財政赤字削減や、投機抑制へ金融規制・監督の強化も急ぐ。

緊急首脳会議の合意内容は以下の通り。

・ギリシャ向け協調融資を正式承認、数日中に第1弾を実施
  2010~2012年で1,100億ユーロ(ユーロ圏が800億ユーロ、IMFが300億ユーロ)
・ユーロ導入国の資金繰り難に備え、緊急支援の基金を創設
  欧州安定化メカニズム(ユーロ防衛基金)
    (付記)EUが5000億ユーロ(うち4400億ユーロはEU予算を担保に調達)
         IMFが別途、2500億ユーロを拠出
・欧州中央銀行(ECB)を含め、ユーロ圏安定へ最大限の手段を活用
    (付記)欧州の各中央銀行は国債の買い入れを開始した。
・財政健全化加速へ必要な措置をとる
・EUの財政協定を強化、違反国に効果的な制裁の用意
  これまで制裁無し
・投機抑制へ金融規制・監督を強化

ギリシャ国会は5月6日、欧州諸国とIMFから3年間で総額1,100億ユーロの融資を受ける条件となる政府提出の財政再建関連法案を可決した。
法案には公務員給与や年金の削減、増税(付加価値税は21%から23%に引上げられる)などが盛り込まれ、財政危機脱出のための荒療治といえる。

前日の5日には、これに反対するデモ隊の火炎瓶で3人の銀行員が亡くなる惨事が起こった。

ーーー

今回の問題は、統一通貨ユーロに係る問題と、ギリシャ固有の問題から生じた。

200711日にブルガリアとルーマニアがEUに加盟し、加盟国は27カ国になった。

このうち、スロベニアが2007年1月に中・東欧諸国では初めて欧州単一通貨ユーロを導入、2008年1月にはキプロスとマルタが、20091月にはスロバキアが導入し、ユーロ導入国は16カ国となった。ギリシャは2001年に導入している。

2007/1/5 EU 加盟国、27カ国に

時期 ユーロ導入
1952 フランス  * (1999)
(西)ドイツ  * (1999)
イタリア  * (1999)
オランダ  * (1999)
ベルギー  * (1999)
ルクセンブルグ  * (1999)
1973 英国  適用除外
アイルランド  * (1999)
デンマーク  適用除外 欧州為替相場メカニズム
1981 ギリシャ  * (2001)
1986 スペイン  * (1999)
ポルトガル  * (1999)
1995 オーストリア  * (1999)
フィンランド  * (1999)
スウェーデン  国民投票で反対 
2004 エストニア  欧州為替相場メカニズム
ラトビア  欧州為替相場メカニズム
リトアニア  欧州為替相場メカニズム
ポーランド  
チェコ  
スロバキア  * (2009)
ハンガリー  
スロベニア  * (2007)
キプロス  * (2008)
マルタ  * (2008)
2007 ブルガリア  
ルーマニア  
合計  27カ国  16カ国
欧州為替相場メカニズムはユーロと連動(変動幅±15%、デンマークは±2.25%)
  .
はPIIGS                                                                                    

この結果、ドイツやフランスなどの経済先進国と、東欧やPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)などの財政状況がかなり悪化している国が同一の通貨ユーロを使用することとなっている。

同一の通貨を使用するため、特定の国の財政状況が悪くなっても、その国だけが通貨を切り下げることは出来ない。
(バルト3国はユーロを採用していないが、通貨をユーロに連動させているため、同じ問題を抱える)

また、金利率もユーロ圏全体で平均的な水準で決めるため、その国だけが上げたり下げたりすることが出来ない。
(スペインの問題は、サブプライムの前の時点では経済状況がよかったが、当時のユーロの金利がスペインにとっては実質マイナス金利となり、住宅バブルが発生、それが足を引っ張った)

このため、加盟国は経済問題の解決に金融政策を使えず、財政政策だけで対処せざるを得ない。これは極めて難しい。

この問題は当初から分かっており、EUはユーロ加盟の基準として「財政赤字をGDPの3%以内、政府債務残高を60%以内」とした。

ギリシャはユーロ導入の1999年時点ではEUに参加はしていたが、基準を満たさないとしてユーロ導入が認められなかった。
2000年6月、欧州理事会は「ギリシャは高い水準で持続的な収斂性を有しており、ユーロの導入に必要な状況になった」という理解に達し、2001年1月にユーロ導入が承認された。
この時、ギリシャが実際の 財政赤字を偽って欧州委員会に報告書を提出していたことが、2004 年11月に判明した。)

実際には現在では全加盟国がこの条件に違反した状態となっている。
これまで罰則がなかった。

EU加盟国財政赤字予測 %
     2009  2010
ユーロ圏16カ国   6.3 6.6
 アイルランド   14.3 11.7
 ギリシャ   13.6 9.3
 フランス   7.5 8.0
 ドイツ   3.3 5.0
       
 イギリス   11.5 12.0
EU 27カ国   6.8 7.2

また、EUは加盟国に付加価値税を15%以上とすることを義務付けている。

国の体力が違うのにユーロという同一通貨を持つEUの構造問題が浮き彫りになった。

ーーー

ギリシャは多くの問題を抱えている。

先ず、ギリシャの産業は海運業と観光しかない。
世界的な不況の中、これらは急激に落ち込んでいる。

そのなかでギリシャは公務員比率が非常に高い。
ギリシャではこの30年、歳出規模が拡大、過大な公共投資が続いてきた。財政規模の拡大は、公的部門の肥大化を招いた。

ギリシャの人口は1100万人で、人口が同程度のオーストリアでは公務員が30万人ほどなのに対し、ギリシャでは110万人。
ギリシャでは左派と右派が交互に政権を取りあってきたが、政権党は知人や党を応援する人を能力に関係なく、どんどん公務員に採用してきた。

しかも、ギリシアでは1992年前に公務員になった人は、35年以上勤めて58歳で退職すると、最終給与の80%を年金として受け取ることができるという。法的な退職年齢を61歳から63歳に引き上げるという提案に対して、抗議のデモが起きている。

これに対し、ドイツでは少し前に法的な退職年齢を65歳から67歳に引き上げた。ドイツでは40年勤めて退職した後、最終給与の70%しか年金として受け取れない。

更に、課税対象から潜り抜けている闇経済の存在も大きく、GDPの30%以上とも報じられている。

この結果、財政は当然、赤字となる。

ギリシャは2001年にユーロ圏の一員となったが、財政赤字をGDPの3%以内」の基準を満たすことができず、実際はこの基準を大幅に上回っていたのに統計数字を改竄することでユーロの一員となった。

昨年10月の政権交代後、前政権による財政赤字と債務の“粉飾”が明るみに出た。新政府は財政赤字のGDP比率を以下のように大幅に改定した。 

2008年 5.0%→ 7.7%
2009年 3.7%→12.7%

Goldman Sachs がギリシャ政府による財政赤字の実態隠しを助ける役割を果たしたと噂されている。

同社は2000年と2001年にギリシャ政府に対し、将来の空港税や宝くじ収入を担保に数十億ドルの資金を提供したが、これをローンではなく為替取引として記録されるようにしたため、財政赤字はGDPの3%以内になったという。

昨年12月に新首相は経済改革計画を発表した。

政府運営費削減、公務員新規採用凍結、海外プレスオフィス閉鎖、政府観光局海外事務所一部閉鎖、軍事費削減、公営企業役員給与削減、政府系銀行役員特別手当凍結、民間銀行役員特別手当に対する課税強化、ゼロベースからの予算査定、2011年からの3年予算の導入、脱税防止・歳入増大に向けた税制改革等

これにより、2010年財政赤字を対GDP比8.7%に抑え、 2013年には3%以下にする旨宣言した。

しかし、各国はこの12.7%の数字も改竄されていると見ている。

ギリシャは国債を発行してこの急場を切り抜けようとしているが、国債価格は暴落、10年物国債の利回りは5月5日現在で10%まで上がった。
S&Pは4月27日、ギリシャのソブリン格付けをBBB+から3段階引き下げ、ジャンク(投機的)等級となるBB+とし、アウトルック(見通し)は「ネガティブ」として一段の格下げの可能性を示した。

BB+ は他に、トルコ、フィリピン、ベトナムなど。
なお、スペインはAA+からAAに、ポルトガルはA+からA-に引き下げられた。

このままでは国債の買い手がなく、償還期限が来ても償還できず、デフォルトとなる可能性がある。
ドイツやフランスなどヨーロッパ主要国の金融機関は大量のギリシャ国債を保有しており、それが紙くず同然となれば金融機関の経営が大打撃を受ける。

更に、ギリシャに対する懸念が他のPIIGS諸国に波及していくと、EU全体の危機となる。

このため、上記の緊急首脳会議での包括的な金融危機対策となった。

しかし、このためには、ギリシャが財政再建関連法案を実施することが条件となる。

ドイツは当初、ギリシャ救済に反対し、「島を売ればよい」などの発言で物議をかもした。
多数の公務員が年金などでドイツよりもはるかに優遇されているままでの救済は世論が許さないとした。

財政再建関連法案に対してはギリシャ国民は猛反発しており、実現できるかどうかは不明である。

アジア金融危機の際にはIMFは韓国やインドネシアに対し厳しい政策を要求、インドネシアではこれに反発して暴動が起こり、スハルト政権を窮地に追い込んで潰してしまい、長い政治混乱と社会不安を引き起こした。

政権が国民の反発に負けて主要な財政改革で後退する兆候が明らかとなれば、ギリシャの債務再編やデフォルトの見通しが強まり、危機拡大のきっかけとなる恐れがある。

ーーー

余りにも国力が違う国々が単一通貨ユーロを採用し、危機時に通貨切り下げも金利引下げも出来ないというのは無理がある。

欧州統合に懐疑的なチェコのクラウス大統領は、「ギリシャ危機は通貨を4割り引き下げれば解決する」と述べ、危機の原因は自国通貨の切り下げができないユーロの仕組みにあると指摘したとされる。

強いユーロ圏と弱いユーロ圏に分けて、単一通貨ユーロを、第一ユーロと第二ユーロに分けるという案や、弱い国を切り離すと案が取りざたされている。(逆に、ドイツの離脱によるユーロ崩壊も市場でささやかれているという。)

 


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2010年5月 8日 (土)

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)問題の検証

地球温暖化の科学的な信頼性が揺らぐ中、4月30日に日本学術会議が初めて、この問題を公開の場で論議する会合を開いた。

日本学術会議 公開シンポジウム
 「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)問題の検証と今後の科学の課題」

開催趣旨:
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)をめぐる問題(所謂,
Climate-gate, IPCC-gates)について、科学的観点から事実関係を明らかにし、その情報と認識を共有すること、そして、今後このような問題が生じないためのIPCC の科学的作業の在り方、社会と政策への情報提供の倫理性、科学者の行動規範などについて討議する。

講演
 「IPCC の意義と課題」  中島 映至 (東京大学 大気海洋研究所 教授)
 「氷河問題とIPCC 今日の課題」  西岡 秀三 (国立環境研究所 特別客員研究員)
 「科学問題としての温暖化をめぐる視点」  草野 完也 (名古屋大学 太陽地球環境研究所 教授)
 「IPCC と科学論的視点」  米本 昌平 (東京大学先端科学研究センター 特任教授)
パネルディスカッション
 「IPCC 問題が問いかけるもの:科学的作業、情報・倫理、科学者の行動規範」

   パネリスト 中島 映至 (東京大学 大気海洋研究所 教授、第三部会員)
          江守 正多 (国立環境研究所 温暖化リスク評価研究室長)
          草野 完也 (名古屋大学 太陽地球環境研究所 教授)
          安成 哲三 (名古屋大学 地球水循環研究センター 教授、第三部会員)
          伊藤 公紀 (横浜国立大学 大学院工学研究院 教授)
          米本 昌平 (東京大学先端科学研究センター 特任教授)

ーーー

アラスカ大学の福田正己 教授は、「どう見ても言い訳のシンポジウムだった」としている。

フリージャーナリストの岩上安身氏のツイッターによると、「この会議は、政治とマスコミに振り回される科学者の悲鳴と弁明の場でもあった。」

マスコミの代表として日経新聞の記者が発言し、「温暖化でキャンペーンを張ってきた手前、すぐには否定する記事は出せない、今日の会議をきっかけにして、少しずつ紙面の論調を軌道修正してゆくだろう」と述べたという。

5月4日の読売新聞社説は早速、次の通り述べている。

地球温暖化 科学的な根拠の検証が急務だ

地球温暖化の科学的な信頼性が揺らぐ中、日本の科学者を代表する日本学術会議が初めて、この問題を公開の場で論議する会合を開いた。

だが、会合では、専門家がそれぞれ自説を述べるだけで学術会議の見解は示されなかった。このまま終わらせてはならない。

取り上げられたのは、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が過去4回にわたってまとめてきた温暖化問題に関する科学報告書だ。次々に、根拠の怪しい記述が見つかっている。

報告書の作成には、日本人研究者も多数関与している。

しかも、この報告書は、日本をはじめ各国の温暖化対策の論拠にもなっている。学術会議自身、これをもとに、早急な温暖化対策を求める提言をしてき た。

どうして、根拠なき記述が盛り込まれたのか。国連も、国際的な科学者団体であるインターアカデミーカウンシル(IAC)に、IPCCの報告書作成の問題点を検証するよう依頼している。

国際的に多くの疑問が指摘されている以上、科学者集団として日本学術会議は、問題点を洗い直す検証作業が急務だろう。

IPCCは3~4年後に新たな報告書をまとめる予定だ。学術会議は、報告書の信頼性を向上させるためにも、検証結果を積極的に提言していくべき だ。

現在の報告書に対し出ている疑問の多くは、温暖化による影響の評価に関する記述だ。

「ヒマラヤの氷河が2035年に消失する」「アフリカの穀物収穫が2020年に半減する」といった危機感を煽る内容で、対策の緊急性を訴えるため、各所で引用され、紹介されてきた。

しかし、環境団体の文書を参考にするなど、IPCCが報告書作成の際の基準としていた、科学的な審査を経た論文に基づくものではなかった。

欧米では問題が表面化して温暖化の科学予測に不信が広がり、対策を巡る議論も停滞している。

日本も、鳩山政権が温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する目標を掲げているが、ただでさえ厳しすぎると言われている。不満が一層広がりはしないか。

欧米では、危機感を煽るのではなく、率直に論議する動きが出ている。この10年、温室効果ガスは増える一方なのに気温は上がっていない矛盾を、温暖化問題で主導的な英国の研究者が公的に認めたのはその例だ。参考にしたい。

毎日新聞記者は「クライメートゲート事件はたいしたことのない事件であり報道する価値がないと判断した」と回答したとしてブログで「論外」と揶揄されているが、同紙は5月7日の紙面で『疑惑 冷静に対処を』としてこれをとりあげた。

討論会については
「期待はずれだった。・・・専門家は自説を述べることに終始し、改善策について建設的な議論は乏しかった」とし、
「温暖化は政治、経済、社会に影響を与え、報告書の作成には日本人も中核でかかわった。『議論した』だけで終わらせず、再発防止策を提言して欲しい」としている。

但し、報道しなかったことに対し、次の言い訳をしている。
「この疑惑は、報道の扱いが難しい問題だった。理由は発覚した時期にある。09年12月の京都議定書後の温暖化対策を決める国際交渉の直前だった。実は気温データの信頼性は10年近く論争があり、大げさに取り上げるのは何者かに利用されることにならないかと感じた。データ操作以外にも『ヒマラヤ氷河が2035年に消失』は『2035年に5分の1に縮小』の誤りだったが、3000ページに及ぶ報告書のごく一部だ。ミスをどこまで重大視するのかは難しい。」

欧米では有力紙も地方紙も大々的に取り上げている。
「取り上げるのは何者かに利用されることにならないかと感じた」とするが、論争があるなかで、これを取り上げないのは、温暖化論を利することとなる。

ーーー

槌田敦・元名城大学教授は4月22日、学術会議に対し、「人為的CO2温暖化説」対「温暖化自然原因説」の学術討論会開催を申し入れた。

http://www.tokyodaigaku.info/scj


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2010年5月 7日 (金)

CO2の化学的固定化技術 

5月6日の記事の中の「日本産業の化学化」で、二酸化炭素放出削減のための化学反応使用に触れた。

三井化学は「温室効果ガス大幅削減に資する革新的プロセスの開発」を基本戦略のひとつとしている。

その具体的な取組みとして、工場等から排出されるCO2と水の光分解などから得られる水素からメタノールを合成し、その得られたメタノールから石化製品(オレフィン類、アロマ類等)を製造するという「CO2化学的固定化技術」の開発を進めている。

メタノールは通常、天然ガスのメタン成分から得られる一酸化炭素(CO)と水素から合成される。

中国では天然ガスからのメタノール生産が禁止され、石炭を原料とするメタノール生産が相次いでいる。
ダウも神華集団とのJVで、Coal to Methanol
332万トン、Methanol to Olefins 122万トン、及び誘導品生産の起工式を行っている。
  2009/11/10 
ダウと神華集団、陜西省で大規模石炭化学JVの起工式

三井化学が実証に取り組んでいるプロセスはCOに替えて CO2を原料に用いるもので、化学、発電、鉄鋼プラントなどから大量に排出されるCO2を原料に用いることができる。

同社は、地球環境産業技術研究機構RITE)が1990年から1999年まで行った「化学的CO2固定化プロジェクト」に参加し、CO2と水素からメタノールを合成する高活性触媒の開発を続けてきた。

2008年、この工業化実現への第一歩として、CO2分離・濃縮及びメタノール合成工程を実用化技術として確立すべく、実証パイロット設備を建設することとした。

・ 設置場所 三井化学大阪工場
・ 設備能力 約100トン/年(メタノール換算)
・ 投資額 約15億円
・ 建設スケジュール 着工:2008年10月

実証試験プラントでは実際に工場から排出されるガスを原料とし、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)など、触媒には大敵のガスが含まれている。

CO2分離・濃縮は実用化技術を導入、水素については当面は購入または余剰水素の活用するが、大学との共同研究で革新的な水素製造技術開発にも着手した。

水の光分解のよる水素製造は、1967年に当時東京大学工学部助教授だった本多健一氏と大学院生の藤嶋昭氏による実験で成功し、「本多・藤嶋効果」として世界から注目された。
しかし現在のところ、分解効率は非常に低い。

三菱化学と東京大学も、水中に入れ日光に当てると水を分解し、水素を作る可視光型光触媒を開発した。

2009年5月三井化学大阪工場の実証試験プラントで、世界初となる工場の排気ガスに含まれるCO2を原料としたメタノールが合成された。

試験では140トンのC02から100トンのメタノールを作れるのを確認。生産に必要なエネルギーを差し引くと、約70トンのCO2排出を減らせる計算。

課題は生産コストの高さで、商用規模でも天然ガスから作るのに比べ約3倍かかるとされる。(2010/2/27 日経)
いくら環境重視といっても、これでは無理で、実用化にはまだ時間がかかりそうだ。

しかし、水の光分解のよる水素製造も含め、この技術が完成すれば、CO2を原料としたリサイクルシステムが完成し、石油ピーク問題温室効果ガス問題の同時解決となる。

 

付記

本記事に関してコメントをいただいた。

この話は経済性の問題以前にエネルギー関連の基礎理論(熱力学の入門レベル)の面からもナンセンスです。
利用した炭酸ガス以上に炭酸ガスを発生させるからです。

仮に太陽光発電を使うとしても、火力発電が残っている限り、増分的には火力発電による水の電気分解で水素を得て、これを使ってメタノールを作ることとなる。
この場合、使用する炭酸ガスよりも火力発電から発生する炭酸ガスが多いため、ナンセンスというもの。


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2010年5月 6日 (木)

「化学ビジョン研究会」報告書

経済産業省は4月21日、化学産業の競争力強化を検討してきた「化学ビジョン研究会」の報告書案を公表、4月30日に全文を公表した。
  
全文 http://www.meti.go.jp/press/20100430004/20100430004-3.pdf 
  
概要 http://www.meti.go.jp/press/20100430004/20100430004-2.pdf

今回、石油化学サブワーキンググループ報告書も発表されている。
   
http://www.meti.go.jp/press/20100430004/20100430004-5.pdf

経済産業省は2009年11月、化学産業について、その将来の方向性と官民の今後の取り組みについて検討するため、「化学ビジョン研究会」を発足すると発表した。

メンバーは東京大学大学院の橋本和仁教授を座長に、産学代表、有識者ら16人で構成、11月に現状と課題を議論、本年3月に作業ワーキンググループの検討経過を踏まえた中間段階の議論を行った。

 2009/11/19 「化学ビジョン研究会」 発足

報告書では先ず、「化学産業の現状」として、化学産業の発展、我が国化学産業の位置付けについて触れ、「化学産業を巡る環境変化」として、国際的な需要構造の変化、化学製品の国際的供給構造の変化、環境問題への対応の高まり、ビジネスモデルの変化、研究開発・人材育成を挙げた。

次に、「化学産業の課題と対応の方向性」として下記の4点をあげ、それぞれについて、「課題に対する具体的取組」を述べている。

化学産業の課題と対応の方向性 課題に対する具体的取組
国際展開
・競争力を有する原料国への展開
・これまでのハイエンド市場を大切にしながらも、
・中国、インド、ベトナムなどボリュームゾーン
 (ミドル~ローエンド市場)の成長も取り込む
・内外一体的に事業展開を構想し、
 その中で国内、海外の拠点を位置付け
資源外交と連携した海外展開支援
 ・日本サウジアラビア産業協力クラスターによる協力
 ・ベネズエラとのエネルギー対話・石油化学WGの設置
 ・JBIC、NEXIなどによる金融支援
新興国のボリュームゾーンへの取組
 ・JETRO等を活用した情報提供などの支援の実施
新興国政府との政策対話等の強化
 ・AMEICC化学産業専門家会合
  (アセアンとの化学担当局長級会合)での共通認識醸成
 ・中国工業信息化部との政策対話の実施
我が国ビジネス環境のイコールフッティングの確保
高付加価値化
(ビジネスモデル・
企業間連携)
ビジネスモデルの変革
(素材供給者の地位から脱却)
高付加価値分野への転換
 ・製品開発のためのR&D支援
 ・川下と川上を結び付けるようなR&D支援
 ・システムの輸出支援
 (例:水ビジネスと水処理膜、メディカルサービスと医療素材)
国際標準・知的財産の活用
 ・工業会の体制強化
 ・工業会と連携した国際標準の重要性の普及・啓発
事業分野の選択と集中
 企業間の連携、事業部門の交換
  による競争力向上、
 競争劣位の分野からの撤退等
企業間連携の推進
事業連携のための環境整備
 ・独禁法の運用について、予見性を高める
 ・コンビナート連携事業の推進
 ・コンビナート内の石油化学企業間連携
 ・LLP(有限責任事業組合)の活用
サステイナビリティ
(環境・安全安心)
の向上
地球温暖化対策 化石資源からの転換
 ・バイオ原料からのプラスチック研究開発
 ・CO2を原料とする製品の研究開発
エネルギー効率の向上とベンチマークの設定
 ・省エネ法ベンチマーク設定セクタの追加
 ・省エネプロセスへの転換と技術開発
  (現在はエチレンとソーダの2品目)
LCA から見た貢献
 ・排出権取引等について、LCAを考慮した制度
国際貢献とオフセットクレジットの検討
 ・優れた省エネルギー技術による国際貢献について
  事業化可能性調査
化学物質管理 サプライチェーン一体となった化学物質安全管理への対応
化学物質管理制度のアジア標準化
 ・改正化審法の円滑な施行
 ・ERIA等を通じた化審法制度の普及
 ・アジア地域のキャパシティビルディング支援
技術力の向上 研究開発 Green Sustainable Chemistryの研究推進
化学分野における評価研究開発拠点の整備
 ・性能評価・安全評価の基盤整備(評価・計測)
 ・出口の明確な分野での性能評価支援
  (半導体材料、リチウムイオン電池材料等)
最高技術責任者(CTO)のコミュニケーションの深化
人材育成 化学人材の育成
留学生の積極的活用

ーーー

一見したところ、極めて常識的な見方に終始している。
こんなことで化学業界が生き残れると思っているのだろうか。<p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p>

3月25日の第2回会合の議事要旨に、こんな驚くべき記載がある。    

経営者が事業の絞り込みをもっと意識することが重要。
行政も、最終判断は各社ではあるが、こうした絞り込みが不可欠であるという情報を機会あるごとに提供していただきたい。

行政にこんなことを要請しないといけないような状況なのだろうか。

伊丹敬之・東京理科大学教授の「日本産業の化学化」論の方が明快である。

伊丹教授は約20年前に「日本の化学産業 なぜ世界に立ち遅れたのか」を書いたが、日本化学会の20092月号に「日本産業の化学化」という論説を書いている。
 http://www.chemistry.or.jp/kaimu/ronsetsu/ronsetsu0902.pdf 

教授は、日本の産業が化学化しつつあるとする。

第一に、顧客のところで化学現象を再現するという「化学技術そのものへの需要の拡大」が起こっている。

象徴的な例が燃料電池で、これまでの電力供給は回転による電磁現象でコイルの周りで電流が発生するという物理学の原理を使ったものだが、燃料電池は水素と酸素の化学反応で水ができるプロセスでの電子の動きをベースに電力を生み出す化学の原理である。
産業の中心科学が物理学から化学へとシフトしていくことを示唆している。

第二に、多くの化学素材が様々な消費財や産業財の中で、必須の部分として使われるということで、典型的に起きているのが、デジタル電子機器などの必須素材 としてのフィルター、導光板、偏向膜、レンズなどである。
化学材料がますます高機能、多機能化していくからこそ、第二の意味での産業の化学化が起きていく。

産業の化学化の可能性が大きいことの背景には、化学産業がある意味で環境対応産業という性格をもち始めていることとも関連している。

(三井化学などがCO2→メタノール→オレフィンの実証研究を行っているが) 化石燃料をはじめとする様々な炭素系物質を燃やすことによって発生する二酸化炭素の排出量あるいは大気中での蓄積量を減らすことに化学技術が使えるとすれば、それもまた地球環境の維持に貢献することになる。
電力産業や鉄鋼業の生産プロセスの根幹部分で
二酸化炭素放出削減のために化学反応を使うという意味で、電力産業や鉄鋼業の化学化ともいえる。

不要物価値化は、実は化学産業の歴史の本質でもあるように思われる。
・石油化学産業は石油からガソリンなどの燃料を作り出す際に出てくるナフサを原料とした。
・石炭化学も石炭からコークスを作り出す過程で出るタールという「不要物」を原料とした。
・空中窒素固定法でアンモニアを作る技術も空気中にタダで存在する窒素を原料とした。

Chemistry という言葉の語源は、Alchemy という錬金術を意味する言葉にある。それは、価値なきものと思われている不要物や廃棄物を価値あるものに変える、という化学反応の本質を暗示している。

本年2月の新化学国際シンポジウムの基調講演で伊丹教授が講演し、上記の「日本産業の化学化」を説明した上で、次のように述べている。
(以下、西出徹雄・日本化学工業協会専務理事の
Chemnet Tokyo 記載の「随筆」から)

各産業の化学への依存性の高まりを考えれば、日本のイノベーションと国際競争力を担うのは化学産業となる。
同時にそのイノベーションを担うのが化学企業となるか どうかは別の問題であること、化学産業自体は引き続き産業レベル、企業レベルでの問題を抱えていることも指摘した。

企業レベルでは、「可能性が広すぎるワナ」にはまらずに戦略を明確に絞り込みこむことができるか、特に化学素材企業から化学システム企業に転換できるか、川上に集中しすぎる人材配置を最終製品に近い部門へシフトできるか。
産業レベルでは、技術的合理性の高い産業構造へ再編し規模の確保と重複の無駄を排除できるか、川上・川下との産業の垣根の引き直しも きちんと実現できるか。

ーーー

日本の化学企業は、「ガラパゴス鎖国」状態から抜け出るため、石化コンプレックスを半減する方向に動かないと、共倒れになり、伊丹教授の述べるとおり、産業の化学化を他の業界に委ねることになりかねない。
コンビナート連携でのコストダウン程度では今や
<p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p>生き残れない。


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2010年5月 5日 (水)

注目企業の決算-2(JSR、カネカ、出光興産) 

JSR

前年比で減収、減益、減配。前々年比では大幅減益。

部門別には、エラストマーが大幅減益。多角化事業は前々年比で利益半減のまま。 

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3    4,070 600 561 370 16 16
2009/3 3,525 303 311 140 16 16
2010/3 3,102 202 224 136 13 13
前年比 -423 -101 -87 -3 -3 -3
(前々年比) (-968) (-398) (-337) (-234)    
2011/3 3,470 380 395 250 16 16

営業損益対比(億円) 

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
エラストマー 112 80 -5 -85 上期の需要の大幅な低迷、生産調整
エマルジョン 15 5 3 -2 需要の大幅減少
合成樹脂 30 13 -0 -13 需要の大幅減少、円高の影響
多角化事業 443 205 205 -0 需要低迷、円高の影響、戦略事業(*) コスト増加
合計 600 303 202 -101  

* 精密材料・加工、メディケア、環境・エネルギーの分野を「戦略事業」と設定し、推進体制を強化
  これに重点的な資源配分を行ない、同事業に関するコストが増加した。

ーーー

カネカ

前年比で減収、増益だが、前々年比では利益半減。減配。

部門別には多くが前年比増益となったが、ライフサイエンスとエレクトロニクスが減益。
エレクトロニクスは液晶関連は増益だが、太陽電池が赤字。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3    5,030 357 339 188 16 16
2009/3 4,496 76 58 -19 16 16
2010/3 4,125 175 163 84 13 13
前年比 -371 99 105 103 -3 -3
(前々年比) (-905) (-182) (-175) (-104)    
2011/3 4,500 230 210 110 16 16

営業損益対比(億円)

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
化成品 52 -5 19 23 塩ビ:輸出市況回復で増益
機能性樹脂 120 30 88 58 MBS:製品差別化、コストダウン等で増益
発泡樹脂製品 -1 13 50 37 コストダウンで増益
食品 28 38 89 51 コストダウンや新製品の拡販で増益
ライフサイエンス 53 59 45 -14 競争激化での既存製品値下がりで減益
エレクトロニクス 91 -9 -69 -60 太陽電池:欧州の需要低迷と
 競争の激化に伴う値下がりで減益
合成繊維 66 12 15 3  
全社 -52 -62 -61 1  
合計 357 76 175 99  

ーーー

出光興産

石油製品事業は、景気低迷に伴い国内の燃料油需要が減少する中、減産を継続、合理化に取り組んだが、製品マージンが大幅に悪化したため、前年同期比で大幅な減益となった。
石油開発事業も原油価格下落により前年同期比で減益となった。

 単位:億円
  売上高 営業損益 同左(在庫
影響除く)
経常損益 当期損益
2008年度  37,985  1,024 ( 817)  893  33
2009年度  31,123  445 ( -229)   304  60
増減   -6,862  -579 (-1,046)   -589  27
 
営業損益                                       単位:億円
  2008年度 2009年度 増 減
一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計 一般 在庫
 影響
合計
石油製品  308 256  564  -517  613  96 -825  357  -468
石油化学製品 -167 -46 -213 22 56 78 189 102 291
石油開発 498   498 136   136 -362   -362
石炭・その他 178 -3 175 130 4 134 -48 7 -41
合 計 817 207 1,024 -229 673 444  -1,046 466 -580

たな卸資産の評価方法は、'08年度までは後入先出法、'09年度からは総平均法を採用。
「在庫影響」は、在庫評価及びたな卸資産簿価切下の影響を含む。

「在庫影響」のうち、後入先出法から総平均法への変更によるものが368億円。

国際財務報告基準(IFRS)では後入先出法が禁止されており、日本でも上場企業については2010年4月から廃止される。

同社によると、原油価格が1ドル/バレル上昇すれば、30億円の利益となる。
  石油製品 23億円(在庫評価益 28億円、精製用燃料費増加等 -5億円)
  石油開発  7億円
  合計    30億円

 


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2010年5月 4日 (火)

米の原油流出、環境や漁業に影響

米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾で起きた原油の流出は事故から13日が過ぎた5月3日も止まらず、一部沿岸には油膜が漂着した。環境破壊や漁業、観光業などへの影響が心配される。

4月20日夜10時頃、ルイジアナ州ベニス南東約84キロで掘削中の海洋掘削プラットフォームDeepwater Horizon rig で爆発事故があり、作業員11人が行方不明(死亡とみられる)、負傷者は17人おり、うち3人が重傷。爆発当時、施設には126人がいた。

Deepwater Horizon rig は半潜水型の移動式海洋掘削プラットフォームで、掘削量は1日当たり最大8000バレル。
R&B Falconが設計、 Hyundai Heavy Industriesが建設した。R&B Falconを買収したTransocean (140の掘削リグを所有する世界最大の沖合掘削請負会社)が所有し、20139月までBPにリースしている。本年1月から現在の場所で掘削が行われていた。

メキシコ湾の米海域では4月16日現在、55の掘削リグが稼働しているという。

リグは2日後に沈没、水深約1.5kmの海底までパイプでつながれていたが、パイプは破損し、パイプ3箇所から原油が噴出したままとなっている。
パイプの元には自動的に原油流出を止める噴出防止バルブ(blow-out preventer)が備えられていたが、装置が稼動しなかった。

掘削中の油田はBPが65%、Anadarko Petroleum25%を所有している。
残り10%は三井石油開発の子会社MOEX Offshore 2007 LLC。

BPは対策として以下の案を考えているが、時間がかかりそうだ。

1)Robotic surgery
  無人潜水艦(ROV)で噴出防止バルブを稼動させる。

2)Put a lid on it
  パイプの流出箇所にContainment Chamber を下ろし、漏れた原油を吸い上げる。

<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>

3)Plug it up (抜本策)
  
横から別の井戸を最初の井戸に向かって掘り、泥やコンクリートを流し込み、流出を止める。   

付記  
BP発表(2010/5/5)
    ・折れたパイプの先端にロボットでバルブをつけるのに成功、ここからの漏れは止まった。
     (残り2箇所からの漏れは続く)
    ・
Containment Chamber 1個を現場に輸送、5日に下ろす。
       これまで経験のない深度であり、作業は難航している。
    ・別の井戸の掘削を2日に始めた。完成まで3ヶ月かかる。
   

付記
<p><p>HTML clipboard</p></p>BP発表(2010/5/16)
水深5000フィート(約1500メートル)の損傷した油井から水上の船まで流出原油を吸い上げるRiser Insertion Tube
挿入に成功した。
吸い上げるのは流出原油の一部。「すべての流出原油を回収することはできないが、メキシコ湾に流出している原油の量を減らすための重要な一歩だ」。流出を完全に食い止める方法が見つかるまでの一時的な措置で2回目の試みで成功した。    
   
来週にはゴムタイヤ片とゴルフボールの混合物を油井に吹き込み、泥とセメントで封をする「ジャンク・ショット」という呼ぶ方法を試す計画。

ーーー

原油の流出は事故から13日が過ぎた4月3日も止まらず、ルイジアナ州の一部にはすでに油膜が漂着、湿地の環境破壊や漁業などへの影響が心配される。
また今後、油膜が海流に乗ってメキシコ湾に面する各州に拡大する可能性があり、海岸が大きな観光資源でもあるフロリダ半島の東側でも不安が広がっている。

海洋大気局(NOAA)の推計によると、1日当たり80万リットルの原油が流出。この状態が50日間強続けば、1989年の米史上最悪のアラスカ沖原油流出事故(約4200万リットル)に匹敵することになる。

1989年3月24日、アラスカ州のValdez Oil Terminal からカリフォルニア州に向かっていたExxon Valdez 号が暗礁に乗り上げ、積載量53百万ガロンの20%にあたる1080万ガロンの原油がプリンスウィリアム湾に流出した。

4月30日までにルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダの各州は非常事態を宣言した。
海洋大気局は、事故現場に近いルイジアナ州などでの漁業を、少なくとも10日以上、禁止することを決めた。

クリーンアップや関連コストは少なくとも125億ドルとみられており、これはExxon Valdezの事故の際より80%多い。
BPは4月3日、クリーンアップのコストを負担すると発表した。

ーーー

オバマ大統領は3月31日、大西洋岸とメキシコ湾東部海岸、アラスカ北部海岸沖での石油・天然ガス探査を拡大する沖合い掘削に関する新方針を発表した。広範なエネルギー戦略の一環だとし、米議員らに対して温暖化ガスの抑制を目指す包括エネルギー・気候変動法案の可決を呼びかけた。

大統領は、米国の競争力維持には輸入原油に依存した現状からの脱却が必要であり、そのためには原子力発電拡充などの一方で自国産原油の活用が不可欠だと強調。油田開発では、新技術を用いることで環境への影響を最小限にとどめると主張した。

しかし、今回の事故を受け、ホワイトハウスは4月30日、メキシコ湾の石油掘削施設で起きた原油流出事故の調査が実施されるまで、新たな地域での石油掘削は認めない方針を明らかにした。「何が起こったのか、回避可能な特殊要因があったのかが判明するまで今後も承認しない」としている。

オバマ米大統領は2日午後、現地を視察した。

大統領は、対策を統括している沿岸警備隊の施設で被害状況や対策の方針について説明を受けたあと、「流出は止まっておらず、問題解決まで時間がかかる可能性はあるが、原油の流出を止めて事態が収拾されるまで、政府として全力を尽くす」と述べた。


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2010年5月 3日 (月)

注目企業の決算-1(信越化学)

3月期決算の発表が始まった。

信越化学

前年比で大幅な減収、減益(営業損益半減)、
前々年比では更に減益となった。

各部門とも減益だが、塩ビと半導体が大幅減益となっている。

単位:億円 (配当:円)
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益   配当
中間 期末
2008/3  13,764 2,871 3,000 1,836 40 50
2009/3 12,008 2,329 2,505 1,547 50 50
2010/3 9,168 1,172 1,270 839 50 50
前年比 -2,840 -1,157 -1,235 -709 0 0
(前々年比) (-4,595) (-1,699) (-1,730) (-997)    
2011/3 未定

営業損益対比(億円) 

  2008/3 2009/3 2010/3 前年比  
塩ビ系 315 367 174 -193 Shintech大幅減益 -188(下記)
シリコーン系 431 336 268 -68  
その他有機・無機 249 248 169 -79  
電子材料 1,621 1,122 395 -727 半導体シリコン価格が低迷(下記)
機能材料ほか 260 257 180 -77  
全社 -4 -2 -14 -12  
合計  2,872  2,329   1,172   -1,157  

 

信越半導体グループ(信越半導体、SEHアメリカ、SEHマレーシア、SEHヨーロッパ、SEH台湾)の経常損益推移は以下の通り。

日本の業界統計では、300ミリウエハーの販売は2008/12~2009/2は100万枚/月程度であったが、その後急速に回復、2009/9~12は200万枚程度まで上昇しており、「数量についてはかつてのピーク水準に並ぶ状況。ただ、大きく落ち込んだ価格が戻っておらず、これをいかに修正していくかが今期の課題になる」としている。

シンテックは米国の住宅市場の低迷が続く中、世界中での拡販により高水準の稼動を継続したが、大幅な減益となった。

Shintech は12月決算。

同社はこれまで順調に業績を伸ばし、2007年には、サブプライム問題で米国の住宅着工件数が1993年以来14年ぶりの低さとなり、同業他社が稼働率を落とし大幅な減益や赤字に転落する中で、海外への拡販でフル操業を継続し、300億円を超える経常損益を確保した。

今回も、「世界中の顧客への拡販に努め、高水準の出荷を維持した」としており、その中での大幅減益(経常損益で -188億円)は気になる。

これについての詳しい説明はないが、これまでと大きく異なる点がある。

ルイジアナ州Plaquemineでの電解~VCM~PVC工場の第一期(VCM 50万トンと見合いの電解、PVC 30万トン)が2008年10月に稼動した。

同社は設立以来、ダウとの共存共栄体制をとってきた。
原料VCMは全量をダウから供給を受け、PVC価格が値下がりした場合、基準価格からの値下がり分の半分をダウが負担する仕組みと言われている。(値上がりの場合も同じ)
製品価格の値上がり益をフルに享受できない代わりに、大幅値下がり時にも負担損失は少なくて済む。

今回初めて、VCM所要量の一部を自社で供給し、その分については完全な自己採算となる。
(第二期のVCM 30万トンは2010年後半に稼動、第二工場のVCM 80万トンは2011年に稼動し、その時点ではPVCの全生産能力264万トンの60%を自給することとなる。)

本年4月に建設を開始した第二工場の能力は、VCM 80万トンと電解で投資金額は約1000億円とされており、これをベースにすれば第一期のうち、VCM(50万トン)と電解の建設費は600億円程度と見られる。

この償却負担などを考えると、少なくとも短期的にはVCMのコストはダウからの購入よりは高くなっている可能性が強い。

なお、米国の市況は以下の通り。(Westlake Chemical 資料)

  2008 2009 増減
PVC  57.0 c/lb  51.3 c/lb  -10%
エチレン  58.5 c/lb  33.9 c/lb  -42%
苛性ソーダ  687.5 $/short ton  394.6 $/short ton  -43%

電解プラントで塩素とともに副産する苛性ソーダの価格は前年比で43%も下がっており、これは実質的に塩素コストのほぼ同率のコストアップとなる。
但し、VCMのもう一つの原料のエチレン(塩素をほぼ 1:1 で使用)も42%の値下がりとなっているため、トータルではVCMの原料コストは前年比であまり変わらないこととなる。

このため、VCM自製分については、PVC値下がり損がそのまま残ることとなる。
(Shintech は輸出が多く、必ずしも全体が10%の値下がりではない。ダウからの購入VCMについては、ShintechがVCM自製を始めた現時点で共存共栄システムが継続しているのかどうか不明)

ルイジアナ州PlaquemineではPVC 30万トンも2008年10月に稼動しているが、2009年の売上高は前年比で578億円も減少している。
Shintech全体として「高水準の出荷を維持」しているが、フル操業ではなく、ある程度の減産損失もあると思われる。

 

なお信越化学では、現在は米国を中心に単価のアップを図っており、今年に入ってから徐々に価格修復が進んでいるとしている。


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2010年5月 1日 (土)

水俣病犠牲者慰霊式 

水俣病犠牲者慰霊式が5月1日、熊本県水俣市で営まれ、歴代首相として初めて出席した鳩山首相は以下の通り、「祈りの言葉」を述べた。

ーーー

水俣病犠牲者慰霊式に臨み、水俣病によって、かけがえのない命を失われた方々に対し、心から哀悼の意を表します。

本日は、我が国の首相として初めて、水俣病犠牲者慰霊式に参列できましたこと感無量でございます。

今、この地に立ち、水俣が生んだ明治の文豪徳冨蘆花が一幅の「生命(いのち)踊る油絵」とたたえた美しい海を見るに及んで、このすばらしい海を汚し、深刻な健康被害をもたらし、そして、差別・偏見・不和など地域全体のきずなを破壊してしまったことについて、思いを深く感ぜずにはいられません。

熊本、鹿児島にとどまらず、さらに後年、新潟で第二の水俣病が引き起こされたことは、誠に痛恨の極みであります。こうして各地で、長きにわたる大変な苦しみの中でお亡くなりになられた方々、ご遺族の方々、地域に生じたあつれきに苦しまれた方々、また、今なお苦しみの中にある方々に対し、誠に申し訳ないという気持ちでいっぱいでございます。

ここに、政府を代表して、かつて公害防止の責任を十分に果たすことができず、水俣病の被害の拡大を防止できなかった責任を認め、改めて衷心よりおわび申し上げます。国として、責任を持って被害者の方々への償いを全うしなければならないと、再度認識をいたしました。

昭和31(1956)年5月1日、チッソの付属病院の野田医師が、水俣保健所に患者の発生を報告するべく飛び込んでいったのが、54年前の今日のことです。そして、昭和40(1965)年6月12日、新潟においても水俣病の患者の発生が発表されました。

公式確認から54年という長い年月を経た今日に至るまで、水俣病問題の解決に関して様々な方々が努力されてまいりましたが、なお大きな課題が残されております。
特に、今日なお、救済を求めておられる方々が多くいらっしゃいます。ご高齢の方も大勢いらっしゃいます。

こうした事態を放置できないことから、「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」が制定されました。

鳩山内閣は、「いのちを守る政治」の具体化として、被害者団体や関係者と何度も話し合い、一心に解決を模索努力した結果、今般、「救済措置の方針」の制定に至りました。この上は、いのちを守るとの基本的な考えのもとに、水俣病被害者を迅速に、かつ、あたう限りすべて救済をいたします。

万感の思いをこめて、本日、5月1日から、申請の受け付けを開始することを、表明させていただきます。

また、裁判をしておられる方々とも和解できないかと、何度も話し合いを重ね、この度、ノーモア・ミナマタ訴訟原告団の方々と裁判所において基本的合意を成立させることができたことは、大きな成果であったと思います。

しかしながら、水俣病問題がこれで終わるなどとは決して思ってはおりません。むしろ、今日のこの日を、新たな出発の日にしたいと思います。

水俣病問題の解決のためには、すべての被害者の方々はもとより、地域の皆様が安心して暮らしていけることが何よりも大切であり、将来に向かって、地方公共団体と連携しながら、胎児性患者の方々を始めとする方々の医療・福祉や健康不安者の健康モニタリング、地域のきずなの修復・もやい直しを進めるとともに、環境対策に熱心に取り組むことで地域が発展し、成長するモデルを作り出せるよう、全力で取り組んでまいる決意でございます。そして、水俣病の教訓を世界に発信してまいります。

私は、水俣病と同様の健康被害や環境破壊が、世界のいずれの国でも繰り返されることのないよう、国際的な水銀汚染の防止のための条約づくりに積極的に貢献していく所存です。このため、来年1月に開催される第2回の交渉会議を我が国において開催することといたします。

さらに、最終的にこの条約の採択と署名を行うために2013年ごろ開催される外交会議についても我が国に招致することにより、「水俣条約」と名付け、水銀汚染の防止への取り組みを世界に誓いたいと思います。

水俣病のような悲惨な経験を再び繰り返さないようにしていくことが大切でございます。

国として、地方公共団体、事業者、国民の皆様とともに、いのちを守り、公害のない、持続可能な社会の実現に向けて、また、恵み豊かな自然環境を保全し、将来に継承したいくため、全力で取り組んでいくことを、ここにお誓い申し上げます。

最後に、改めて、水俣病の犠牲となりお亡くなりになられましたすべての方々のご冥福をお祈り申し上げ、私の「祈りの言葉」とさせていただきます。

ーーー

4月16日に閣議決定された「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法の救済措置の方針」に基づき、5月1日より、熊本県、鹿児島県、新潟県で給付の申請を受け付ける。

2010/4/16 水俣病「救済措置の方針」を閣議決定 

環境省のホームページに給付の申請についての詳細がある。
  
 http://www.env.go.jp/chemi/minamata/shinsei/index.html

 


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フマキラーとアース製薬、携帯型電池式虫よけ器紛争で和解 

フマキラーとアース製薬は4月28日、フマキラーがアース製薬を対象に行っていた、製造、販売等の差止め請求の仮処分命令申立事件で和解した。東京地方裁判所による和解勧告を受け入れた。

問題製品はフマキラーの携帯型電池式蚊取り器「どこでもベープNo.1 NEO」と、アース製薬の「おそとでノーマットV130」。

両社の争いは、2008年7月にアース製薬が、同社の携帯用虫よけ器の特許権が侵害されたとしてフマキラーに対する特許侵害訴訟を東京地裁に提起したことで始まった。

アースの特許「携帯用害虫防除装置」は、電池式ファンの気流で薬剤を気化させる携帯用害虫防除装置で、使用者が装置を身につけ起立した状態で、上下の排気口から体に沿って薬剤を含んだ気流が放出されることを特徴としている。

アースは2000年から同特許の技術を用いた「蚊に効くおそとでノーマット」を販売しているが、フマキラーが2004年に販売開始した「どこでもベープ No.1」がこの特許を侵害しているというもの。

アース製薬はフマキラー対して、製造販売の中止を求める警告書を送付したが、フマキラーから「特許権の侵害はない」と返答されたことから、提訴に踏み切った。

2009年7月に、今度はフマキラーがアース製薬に対して、不正競争防止法に基づき、アース製薬が製造・販売する携帯型電池式虫よけ器「おそとでノーマットV130」の製造、販売等の差止めを求めて、東京地方裁判所に仮処分命令の申立を行った。

フマキラーの「どこでもベープNo.1 NEO」は、どこでも誰でも手軽に、安全に使用することができる製品として、「使いやすさ」プラス「おしゃれ心」を追求した商品開発に取り組んだ結果、累計250万台を超える販売実績をもつが、アース製薬の「おそとでノーマットV130」は、商品の形態など、極めて類似した商品としている。

需要家が両製品を誤認混同して購入することを懸念した。

これに対し、アース製薬は、フマキラーの商品を模倣した事実は一切ないとして、裁判で争う姿勢を示した。
アースの大塚達也社長は、「何をもって不正競争防止法に抵触するというのか理解に苦しむ。最終的には当社の言い分が通るだろう」
訴訟に不快感をあらわにした。

2009年8月、アース製薬が特許権を侵害されたとしてフマキラーを相手に製品の製造・販売差し止めを求めた訴訟で、東京地裁は請求を棄却した。アース製薬の特許は公知例から容易に類推できると判断し、特許は無効とした。

今回の和解は、2009年7月にフマキラーがアース製薬に対して、不正競争防止法に基づき、「おそとでノーマットV130」の製造、販売等の差止めを求めて、東京地方裁判所に仮処分命令の申立を行った事件に関するもので、和解内容は、アース製薬とフマキラーがそれぞれの製品のパッケージを変更することを主な内容としている。

フマキラーでは、本和解により、需要家が両社の製品とを誤認混同することが回避できるとして、和解に満足しているとしている。

ーーー

なお、アース製薬はフマキラー株を買い増しており、20094での持株比率は11.1%で、筆頭株主となっている。

2008/1/23  アース製薬によるフマキラー株式購入

 


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