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2010年4月 3日 (土)

出光興産と三井化学、千葉のエチレン統合

出光興産と三井化学は4月1日、「千葉地区における生産最適化」の第1ステップとして両社のエチレンの運営統合を発表した。

4月1日付けで両社折半出資で「千葉ケミカル製造有限責任事業組合」(LLP)を設立した。

項目内容
名称千葉ケミカル製造有限責任事業組合
事業内容 ・千葉地区におけるエチレン装置の運営の統合
 ・エチレン、プロピレン、その他の留分の生産
 ・上記生産品目の出光および三井への供給
(装置能力見合い)
役割と運営 ・エチレン、プロピレンを始めとした石化原料のコストミニマムを追求
 ・生産機能を中心としたLLPで、
コストセンターとしての運営が原則

 単独では実現できな いシナジーを徹底的に追求
  原料選択・装置稼動の最適化
  留分の高付加価値化
  共同合理化投資等

出資 出資金:2億円 50/50出資)
  対等出資・メリット折半
エチレン生産能力 92万トン/年(出光 37万トン、三井 55万トン)

LLP制度は、企業間の連携や共同事業促進を目的として、我が国に2005年に導入された。
通常の株式会社と比較した、主な特徴は以下のとおり。

株式会社LLP
①法人格あり なし
②出資者責任有限責任 有限責任
③課税当該会社に課税 出資者に課税(パススルー課税)
④出資比率と
損益配分
出資比率に応じた損益配分が原則 出資比率と異なる損益配分が可能
⑤会社運営株主総会・取締役会等の機関が必要 自由(当事者自治)
⑥設立費用登録免許税は資本金の0.7% 登録免許税は6万円のみ

「千葉ケミカル製造」は、大型生産設備の運営を伴うLLPとして、我が国で初めてのケースとなる。

運営の詳細は不明だが、「コストセンターとしての運営」「装置能力見合いの製品引取り」ということから、両プラントを一体として運営し、製品をコストベースで、三井が55/92、出光が37/92の比率で引き取ることとなる。
(対等出資・メリット折半をうたうが、実質的には能力見合いでメリットを得ることとなる)

なお、事前相談制度に基づき公取委から独禁法に照らして問題はないとの回答を得ていた。

ーーー

三井化学は住友化学との経営統合計画の解消後、2004年2月に同じ千葉にコンビナートを持つ出光興産/出光石油化学と包括提携で基本合意した。
原料・留分から石化製品、また、工場基盤・業務を含めた幅広い領域にわたり、石油精製と石油化学という業種や企業の枠を超えた業務提携の検討を進め、千葉地区コンビナートの国際競争力の強化を目指すこととした。

200411月、三井化学と出光興産は包括提携の一環として、千葉地区へ輸入するナフサを大型タンカーを使い共同輸送すると発表した。

20045月、三井化学出光興産及び出光石油化学は三井化学と出光石化のポリオレフィン事業の統合を発表した。
統合会社プライムポリマーは三井化学 65%/出光興産 35%で設立され、2005年4月に営業を開始した。
(出光石油化学は2004年8月に出光興産が吸収合併した。)

両社は、2009年度のコンビナート連携石油安定供給事業として、千葉の出光興産と三井化学で使用するナフサの共同調達のための設備の設置を行っている。

2009/4/11  平成21年度 コンビナート連携石油安定供給対策事業

三井化学と出光興産は2009年5月、両社の強みを活かした「千葉地区における生産最適化」の検討開始で合意したと発表した。

2009/5/18 三井化学、事業構造改革を実施、千葉地区で出光興産と生産最適化検討

検討項目は以下の通り。
 1. 両社ナフサクラッカーを中心とした生産最適化
 2. 出光・千葉製油所のリファイナリー装置も含めた生産最適化
 3. 既に両社でJVとして運営している、ポリオレフィン・フェノール以外の両社石化誘導品の生産最適化

ポリオレフィンは上記のプライムポリマー
フェノールは出光興産内の千葉フェノール(三井 55%
/出光 45%)
  (フェノール能力 200千トン、アセトン能力 60千トン)

これにより、
1. ナフサクラッカーを中心とした最適生産体制の構築、精製・石化のインテグレーションによる国内トップクラスの競争力の実現
2. 石化誘導品におけるリファイナリー留分の更なる有効活用等による競争力の強化
を狙うとした。

今回はその第一段階で、今後、リファイナリー等への生産最適化領域の拡大を検討する。

千葉地区コンビナートには、4つの製油所(83万バレルの製油能力=国内の2割)、5つのエチレンセンター(エチレン能力 247万トン=国内の3割)がある。

リファイナリー等への生産最適化領域の拡大が完成すると、
・合計能力100万トン、売上規模2000億円の競争力のあるナフサクラッカーの一体的体制構築
・「クラッカーを中心にした石油精製~石化誘導品の生産最適化」
という国内初のビジネスモデルにより、国内最強の競争力が実現するとしている。

今はコンプレックスの存続そのものが危ぶまれている時代であり、この動きは極めて合理的なものである。

ずっと昔、住友化学の長谷川周重社長(当時・故人)は「エチレンは水」とし、基礎原料のエチレンは各社が個別に生産するのではなく、(工業用水のように)共同で手当てし、誘導品で勝負すべきだと述べた。

なお、出光興産・三井化学は住友化学と共同で、「コンビナート副生分解C4留分の活用による高効率プロピレン生産システム」の共同研究を行っており、2010年1月25日に本研究設備の実証運転を開始している。

2008/2/18 出光興産、 住友化学、三井化学の3社、プロピレン生産システムの研究設備建設着工


目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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コメント

 それにしてもダイセルの久保田博士のCCSCモデルはインパクト最強ですね。

投稿: ラマン分光ファン | 2019年6月30日 (日) 22時20分

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