フィリッピン最大の石油会社Petron、PPメーカーPetrocorpに出資
フィリピン最大の石油会社Petron Corp.は3月9日、石油化学事業の強化のため、 Vantage Stride (Mauritius) Ltd. からPetrochemical Asia (HK) Ltd.の株式の40%を買収したと発表した。詳細は発表していない。
Petrochemical Asia の子会社Petrocorp はBataanに年産 160 千トンのPP工場を持っている。
Petronは同じ Bataan に日産18万バレルの製油所を有し、国内に1300のガソリンスタンドを持つ。
2008年にBataanの製油所にFCCとプロピレン回収設備を設置、2009年にはBTX設備を稼動させている。
ベンゼン能力は22,800トン、トルエンは150,000トン、混合キシレンは220,000トンとなっている。
Petron は以前の報告で、川下の石油化学に進出し、プロピレンやBTXを加工し、場合により最終製品まで作りたいとしている。また、買収や合併も考えるとしていた。
今回の買収により、Petronでは自社のプロピレンをPP原料として供給し、付加価値を高める。
同社は下記の通りフィリピンの食品・飲料大手 San Miguel Corp. の子会社となる。
今後、製品販売でSan Miguel のルートを使用することを考えている。
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Petronは当初、国営石油会社PNOCが40%、Saudi Aramco が40%出資し、残り20%を上場していた。
2008年に英国の投資会社 Ashmore GroupがSaudi Aramco から40%分を買収し、残り10.1%を投資家から購入、Petron の50.1%を取得した。同社はこのために子会社SEA Refinery Corpを設立した。
(比政府も財政赤字対策としてPNOCの持分40%を手放さす意向を示していたが、最終的に政府は手放さないこととした。)
2008/7/26 英国投資会社Ashmore、フィリピンのPetron のマジョリティ買収
2009年1月、San Miguel が2年間でSEA Refinery Corpの100%をAshmore Groupから購入する契約を締結した。
買収完了後にはSan Miguel はPetronの50.1%を所有する。(残りのうち40%は国営石油会社PNOC)
San Miguel は飲料や食品加工などのコア事業以外への投資を検討している。
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フィリピンではエチレンセンターが計画されたが、なかなか進展せず、先行して誘導品が建設された。
しかし、その後もエチレンは実現していない。
ポリオレフィンメーカーは以下の通り。
メーカー | 立地 | 製品 | Capacity | 製法 |
Petrocorp | Bataan | PP | 160,000t | BASF |
Bataan Polyethylene →NPC-Alliance |
Bataan | PE(HD/LL) | 250,000t | BP |
JG Summit Petrochemical | Batangas | PE(HD/LL) PP |
200,000t 180,000t |
Union Carbide |
PetrocorpはChemical Industries of the Philippines, Inc. (CIP) のDr. Eusebio S. Garcia などにより設立された。
Petrocorpの正式名称はPetrochemical Corporation of Asia-Pacific。
Petrocorpは採算悪化や原料プロピレン不足などで何度も操業を停止し、一時は伊藤忠からの製造委託で操業したこともあった。(原料のプロピレンは韓国、台湾、日本などから輸入しており、採算はよくなかった)
2004年頃から外資への売却を検討していた。
2008年11月には株主のCIP や関連会社(洗剤メーカーのCAWC やLMG) は所有するPetrocorp の株式を全額評価減している。
(未確認だが、今回売却のPetrocorp株式の残りは、同グループが依然保有していると思われる)
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Bataan Polyethylene は当初、BPが39%、マレーシアのPetronasが39%、住友商事が6%、現地株主のコンソーシアムのProfinda Holdingsが16%を出資して設立された。
その後、採算悪化からBPと住友商事が離脱を決め、その分をPetronasが購入する予定であったが、結局まとまらず、2003年に一旦清算された。
2004年に「プラスチック王」の異名を持つWilliam Gatchalian がMetro Alliance Holdings and Equities (Manila)を通じてBataan Polyethylene の債権を世界銀行のIFCから買い取り掌握した。
GatchalianはイランのNational Petroleum Companyとの間でエチレンの長期供給契約を締結した。
2005年にイランのNational Petroleum Company がMetro AllianceからBataan Polyethylene の60%を買収、同社をNPC-Allianceと改称した。
現在の出資比率は:
イランのNational Petrochemical Company 40%
イランのInternational Petrochemical Company 20%
Philippines Polimax (Metro Allianceグループ) 40%
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JG Summit PetrochemicalはJG Summit Holdings 80%/丸紅20%のJVとして設立され、1998年に稼動した。
その後、丸紅持株は17.72%となり、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。
JG Summit は6つのコア事業を持つコングロマリット。
・消費財、食品:Universal Robina Corporation
・不動産、ホテル:Robinsons Land Corporation、United Industrial Corporation (Singapore)
・通信、インターネット:Digital Telecommunications Phils., Inc.
・ペトロケミカル:JG Summit Petrochemicals Corporation
・航空:Cebu Pacific Air
・金融:Robinsons Savings Bank、JG Summit Capital Services Corporation
目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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