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2010年3月31日 (水)

中国、Rio Tinto 社員に重刑

昨年7月5日に拘束され、8月11日に逮捕され、本年2月11日に起訴されたRio Tinto社員4人に対し、3月29日に判決があった。

2009/8/18 Rio Tinto 事件と中国での贈賄事件

上海第一中級人民裁判所はRio Tinto の中国事務所長(中国系で豪州国籍)に収賄で7年、産業スパイで5年(但し、合計で10年)の禁固刑、100万人民元(146千ドル)の罰金を命じた。

他の3人(いずれも中国人)については、それぞれ、7年、8年、14年の禁固刑となった。
4人は合計9200万人民元の賄賂を受け取ったとされ、14年の禁固刑を受けた社員は最多額の賄賂を受け取ったとされる。

▽胡士泰(Stern Hu):非国家公務員収賄罪および商業機密侵害罪で懲役10年、財産没収、罰金100万元
▽王勇:懲役14年、財産没収、罰金520万元
▽葛民強:懲役8 年、財産没収、罰金80万元
▽劉才魁:懲役7年、財産没収、罰金70万元
 なお、違法所得は全て没収される。

4人は産業スパイ(刑法219条違反)と贈賄(163条違反:政府当局者以外への贈賄)の容疑で逮捕された。
実際には収賄であり、Rio Tintoもこれを認めている。
売り手が買い手から多額の賄賂を何故受け取れたのか、不明である。
被告4人はそれぞれ、商業機密侵犯事件の容疑で捜査の手が及ぶと、賄賂を受け取ったことを自ら認めたとされる。

判決では、賄賂に加え、中国の鉄鋼会社から秘密情報を取得し、これにより中国がRio Tinto, BHP BillitonVale3社から輸入する鉄鉱石の価格を引き上げられたとした。4人は中国の鉄鋼会社の競争力を損ね、大きな損失を蒙らせ、中国の国益を損ねたとしている。

裁判所は同日、中国の鉄鋼会社の首鋼集団(Shougang)と莱蕪鉄鋼集団(Laigang)の役員各1名に対し、秘密情報をRio Tintoに漏らした罪で判決を下した。(内容は発表されていない)

弁護士はまだ4人と会っていないため、控訴するかどうかは分からないとしている。

オーストラリアの外相は、豪州の基準からみれば厳しすぎるとしながらも、中国の司法手続きを尊重するとし、豪州と中国の関係に影響を与えないと述べた。

但し、収賄行為があったことは認めながら、産業スパイについては詳細が明らかにされておらず、"serious unanswered questions"があるとしている。中国はcommercial secrets の概念を明らかにしておらず、4人の問題にとどまらず、広く国際取引に携わるものの問題であると述べた。

情報では、価格交渉を進めるため、国営鉄鋼会社の生産量や在庫量を表した秘密の政府資料を入手しようとしたとされ、これらの資料により、Rio Tinto は 価格交渉上で有利な立場になるとしている。
Rio Tinto の 上海事務所から押収されたコンピューターに政府の秘密データがあったとされる。

4名は国家機密窃取の疑いで拘束されたが、罪名は、「国家機密窃取」から「商業機密侵犯」に「降格」した。
弁護士の推測では、捜査担当者は今回の事件が関わっ た機密内容と主体を考慮した結果、商業機密侵犯容疑が比較的妥当であると判断した模様。

但し、国営鉄鋼会社の生産量や在庫量の情報を得ただけだとすると、これが犯罪になるのであろうか?

確かに、日本の企業にとっても、今後の中国での情報収集活動に影響を与える。

Rio Tinto は判決後、収賄は中国の法律とRio Tinto の行動規範に反するものであり、4人を解雇するとの発表を行った。
4人が賄賂を受け取ったことについて、法廷に提出された疑いのない証拠を聞かされているとしている。


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2010年3月30日 (火)

輸入ナフサ通関価格(2010/2月)

3月30日に発表された通関統計では輸入ナフサ価格は以下の通り。

なお、昨年12月分と本年1月分の金額が当初発表分から修正されている。

  1月 2月 3月     計
数量(kl) 2,114,807 2,160,448   4,275,255
金額(千円) 96,155,885 100,187,448   196,343,333
@ (円/kl) 45,468 46,373   45,926

1-2月平均では45,926円となり、昨年第4四半期の40,544円から5,382円のアップとなっている。
国産基準価格ベースでは
47,900/kl となる。

過去の推移は以下の通り。(単位:円/kl)

  輸入平均   基準価格
4Q平均  50,047  52,000
09/1  21,500    
09/2  23,836    
09/3  28,632    
1Q平均  24,970  27,000
09/4  29,628    
09/5  30,783    
09/6  33,580    
2Q平 均  31,294  33,300
09/7  37,900    
09/8  39,507    
09/10  40,162    
3Q平 均  39,185  41,200
09/10  39,304    
09/11  39,854    
09/12  42,343    
4Q平 均  40,544  42,500
10/1  45,468    
10/2  46,373    
10/3      
平均  45,926    

基準価格は平均輸入価格に諸掛 2,000円/kl を加算(10円の桁を四捨五入)


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LyondellBasell の決算

LyondellBasellChapter 11からの離脱を求め、裁判所による再建案の承認を待っているが、同社の2009年決算が発表されている。

売上高は前年比で大きく減少した。
金利負担と工場閉鎖、退職金などの
Reorganization 関連費用が大きい。
2008年は、ノレン償却や在庫の評価減で営業損益が大幅赤字となった。)

                                 単位:百万ドル
  2007年 2008年 2009年 前年比
増減
Sales 17,120 50,706 30,828 -19,878
         
Operating Income 934 -5,928 317 6,245
金利 -283 -2,407 -1,777 630
その他損益 289 166 145 -21
Reorganization     -2,961 -2,961
税引前損益 940 -8,169 -4,276 3,893
Tax -279 848 1,411 563
純損益 661 -7,321 -2,865 4,456

Basell20071221日にLyondell Chemicalを統合した。また2008年にBasell がフランスのBerre l'Etang petrochemical complexにあるShell のリファイナリーを買収した。

売上高:
この結果、2008年の売上高は大きく増加しているが、
2009年の売上高は原油・天然ガス価格の暴落による販売価格低下、需要不振による販売数量減により、前年比19,878百万ドルの減少となった。

営業損益:
2008年の損益には、LyondellBerre Refineryの買収に関するノレン等の償却 4,982百万ドルと225百万ドル(合計5,207百万ドル)、及びLyondellBasell の在庫の評価減 1,256百万ドルの特別損失 6,463百万ドルを含んでいる。
これを除くと、
2008年は535百万ドルの利益で、2009年は若干のマイナスとなった。
2009年の営業損益は販売マージンは大きく低下したが、コストダウン効果が上回った。

金利:
2008年の金利急増はLyondell買収による借入金増による。

Reorganization
2009年には
Chapter11関連の費用やChocolate BayouのオレフィンやBeaumontのエチレングリコール工場の閉鎖費用、退職金、その他を含む。

税金:
2008年、2009年は税引前損益がマイナスのため、税金はそれぞれ
848百万ドル、1,411百万ドルのマイナス(利益)となった。(2008年の税引前損失にはノレン償却を含むが、これは税務上は損金に算入出来ない)

 

部門別の売上高、営業損益は以下の通り。

売上高
                                   単位:百万ドル
  2007 2008 2009 前年比
増減
Refining & Oxyfuels 478 17,370 10,835 -6,535
Olefins & Polyolefins-Americas 2,823 13,193 8,652 -4,541
Olefins & Polyolefins-others 13,145 13,489 7,128 -6,361
Intermediates & Derivatives 350 6,218 3,777 -2,441
Technology 363 434 436 2
Other -39 2 0 -2
Total 17,120 50,706 30,828 -19,878
Refining and
Oxyfuels
Refined petroleum products (gasoline, ultra-low sulfur diesel, jet fuel, aromatics, lubricants, naphtha, VGO, LPG, bitumen, heating oil)
Gasoline blending components (MTBE, ETBE, alkylate)
Olefins &
Polyolefins
Polyolefins (HDPE, LDPE, LLDPE, PP, Catalloy process resins)
Ethylene, propylene, butadiene, benzene, toluene, ethanol.
Intermediates &
Derivatives
EO, EG, EO derivatives
Acetyls (VAM, acetic acid, methanol)
PO, SM, TBA, PG
Butanediol
Fragrance and flavor chemicals
Technology Licensing of polyolefin process technologies
Supply of polyolefin catalysts and advanced catalysts

営業損益
                                               単位:百万ドル
   2007   2008      2009  前年比
増減  
合計 うち
特別費用
除く
特別費用
Refining & Oxyfuels 21  -2,378 -2,965 587 -357 -944
Olefins & Polyolefins-Americas 61 -1,355 -1,243 -112 169 281
Olefins & Polyolefins-others 934 220 -198 418 -13 -431
Intermediates & Derivatives -42 -1,915 -2,057 142 250 108
Technology 152 202   202 210 8
Other -248 -134   -134 29 163
Current cost adjustment 56 -568   -568 29 597
Total 934 -5,928 -6,463 535 317 -218
  * 前年比増減は2008年の特別費用を除いた損益との比較


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2010年3月29日 (月)

米投資会社の買収企業、EPSの生産開始

2009年9月に新疆ウイグル自治区の奎屯・独山子石化パークででペトロチャイナ独山子石油化学の第二期(1000万トンの製油所、100万トンのエチレン)が生産開始した。

自治区政府ではこれの誘導品計画の誘致を図っているが、現在唯一具体化した藍山屯河化学のEPS計画が3月初めに生産を開始した。

4億人民元を投じたもので、生産能力は12万トン。原料SMを同コンプレックスからパイプで受け入れる。製品は新疆ウイグルや中国北西部に主に供給する。
20087月に建設を開始し、当初はコンプレックス完成に合わせ、2009年に生産を開始する予定であった。

ーーー

藍山屯河化学(Blue Ridge Tunhe Chemical)は元は新疆屯河工貿(Xinjiang Tunhe Industry and Trade)で、2008年にBlue Ridge Capital Chinaが買収し、改称した。
同社は
新疆ウイグル自治区の昌吉市に11万トンのPETと6万トンのPBTを持つほか、ポリエステルチップ、PVC窓枠・ドア材、PVCパイプ、点滴灌漑ベルトなどを製造販売している。

Blue Ridge Capital China米国の不動産関連の投資会社Blue Ridge Capital と、中国のオンライン旅行サービス会社 eLong, Inc(藝龍旅行網)のトップのJustin TangとのJVである。

Blue Ridge Capital Chinaは2006年に住宅建築会社の買収を行ったが、2008年に中国への投資のために14.5億ドルを集めた。
経営不振に陥っていた新疆屯河工貿を90百万ドルで買収したほか、不動産、水処理、新エネルギー、環境保護などに投資している。

Blue Ridge Capital Atlantaに本拠を置く不動産関連の投資会社。

eLongは1999に米国で設立されたオンライン旅行サービス会社で、現在、北京に本拠を置き、従業員1800人で中国全体でサービスを提供している。2004年にNasdaq に上場した。
現在、
世界最大級の海外旅行予約サイトExpedia株式の52%を所有し、両社は提携している。

Expediaは1996年にMicrosoft 1部門がオンライン旅行予約サイトを開いたのが始まりで、1999年にスピンオフし、その後、ネットサイト複合企業IAC(InterActiveCorp) に買収されたが、2005年にIACの他の旅行事業と合わせ、再度スピンオフした。

Justin TangeLongの創業者の一人で会長、CEOを歴任、Expediaとの提携、Nasdaq 上場を行い、現在の大企業に育て上げた。現在、同社の全体戦略と経営の責任を負っている。

ーーー

ペトロチャイナ独山子石油化学の第二期は以下の通り。

製油所 1000万トン  第一期 600万トン
         
  エチレン   1,000千トン  第一期 220千トン
  HDPE    300千トン  第一期 200千トン
  LLDPE     -  第一期 120千トン
  All-density PE    600千トン  
  PP    550千トン  第一期 100千トン
  BTX    600千トン  
  SM      320千トン  
  PS    130千トン  
  EPS    120千トン  (藍山屯河化学)
  Butadiene    130千トン  
  SBR    100千トン  
  SBS    80千トン  

新製油所は2006年に開通したカザフスタンと中国を結ぶ石油パイプラインを通じて送られるカザフスタンの原油を処理する。

2006/5/29 中国-カザフ石油パイプライン正式稼動


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2010年3月27日 (土)

三井化学、新規ブタジエン製造技術を開発

三井化学は3月1日、エチレンからブタジエンを効率的に製造する新技術を開発したと発表した。

2つの新規触媒の開発に成功した。

新規エチレン二量化触媒
 (エチレン⇒ブテン)
固体触媒として世界で初めて高活性かつ長寿命を実現、
シンプルなプロセスにより、高い競争力を持つ。
新規脱水素触媒
 (ブテン⇒ブタジエン)
従来触媒に比べて高活性かつ高選択率を実現、高い競争力を持つ。        

同社では2012年を目途に工業化に対応した技術の確立を目指す。

同社はブテンとエチレンからプロピレンを製造する独自の高性能触媒を使用したメタセシス技術を保有しており、今回の技術とメタセシス技術の組み合わせで、エチレンからブタジエンおよびプロピレンを自在に製造することが可能となる。

三井化学は2004年秋にルーマスのOCT(Olefins Conversion Technology)14万トン設備を稼動している。
ブタジエンを含むクルードC4留分10万トンを水添したあとエチレン4万トンを加えて反応させ年間14万トンのプロピレンを得るもの。

このほか、三井化学は出光興産、住友化学と共同で、C4留分からイソブテンを反応により選択的に重合させることでクリーン燃料に転換し、残るノルマルブテンを濃縮製造してエチレンと触媒反応させることでプロピレンに転換する研究を行っている。

本年1月25日に三井化学市原工場で高効率プロピレン生産システムの実証運転を開始した。
プロピレン生産能力
年産15万トンで、研究開発費約100億円(負担比率:出光 50%、住友 25%、三井 25%)。

2008/2/18 出光興産、住友化 学、三井化学の3社、プロピレン生産システムの研究設備建設着工

ーーー

ブタジエンは、主に自動車タイヤ向けの合成ゴム原料として使用されるが、中国などのモータリゼーションの影響により、アジアを中心に高成長が見込まれている。

しかし、供給面では、今後中東ガスの天然ガスベースの安価な汎用エチレン誘導品の流入により、アジアのナフサクラッカーは減産となりブタジエンの生産も減少する。
(ブタジエンはナフサクラッカー由来で、天然ガスベースの場合は産出しない。)

このため、数年後にはアジア全体で100万トン以上のブタジエンが不足すると言われている。

日本経済新聞(3月26日)は「変貌する石化市場」特集でこの問題を取り上げている。
ブタジエンのアジアのスポット価格は現在、1トン2,000ドル超で、底値だった2009年初めから5倍に上昇した。この間、ナフサの上げ幅は2倍にとどまっている。
今後はブタジエン不足が現実味を帯びる。

三井化学では、今回同社が開発したこのエチレンからのブタジエン製造技術でブタジエンの需要増に対応すると共に、エチレンの高付加価値化により、国内ナフサクラッカーの競争力を強化するとしている。


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2010年3月26日 (金)

Rio Tinto とChinalco、ギニアの鉄鉱石開発でJV 

Rio Tintoは319、同社と中国アルミ業公司(Chinalco)がギニアの Simandou鉄鉱石開発でJVを設立する覚書を締結したと発表した。

Rio Tintoは現在、 Simandou project の95%の権利を有している(残り5%世銀のIFC)が、その持分を新JVが受け継ぐ。
Chinalcoは2~3年で開発費13.5億ドルを投入し、JVの47%を取得する。プロジェクト全体の比率はRio Tinto50.35%Chinalco44.65%IFC5%となる。
事業範囲は鉄鉱石開発のほかに、
海岸までの700kmの鉄道とConakry市の南での港湾設備建設を含んでいる。

ギニア政府がプロジェクトの20%までを買収するオプションを有しているが、その場合、3社は出資比率に応じて売却する。

Simandou ギニアの南東部にあるワールドクラスの鉄鉱石鉱山で、FSは完了し、Rioは既に6億ドルを支出している。
完成後は年間
70百万トンの鉄鉱石を産出する計画。

ーーー

Rio Tinto は 2009年2月に、Chinalcoから現金で195億ドルの出資を受けると発表したが、6月5日にこれを取り止めた。

2009/6/6  中国アルミのRio Tinto への出資 取り止め

これがあってか、中国の検察当局はRio Tinto社員を産業スパイと贈賄の容疑で逮捕している。

2009/8/18 Rio Tinto 事件と中国での贈賄事件

Rio Tinto は200910、モンゴル政府との間でモンゴル南部のOyu Tolgoi 銅・金鉱山開発のための投資契約を締結したが、Rioはこの計画をすすめるため、中国アルミ(Chinalco) と交渉を行っていると伝えられた。

2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?


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2010年3月25日 (木)

Teva Pharmaceutical、独Ratiopharmを買収

後発医薬品世界最大手のTeva Pharmaceutical Industries3月18日、ドイツ2位で世界6位の後発医薬品メーカー、Ratiopharmを36億2500万ユーロで買収すると発表した。買収手続きは年末までに終える見通し。

買収後のTevaは年売上高で162億ドルと新薬大手に並ぶ規模となる。従業員は計4万人でうち欧州は1万8000人となる。

Teva2009年の売上高は139億ドル、うち80%以上が北米と欧州となっている。
従業員は
38千人で、製造拠点はイスラエル、北米、欧州、中南米。

Ratiopharm2009年の売上高は16億ユーロ(約22億ドル)で従業員は5500人。

世界のgeneric医薬品メーカー大手は下記参照

  2010/3/5  
日本のジェネリック市場の動き

Tevaは日本で興和と合弁会社興和テバを開始するなど世界規模で事業拡大を加速している。PfizerNovartis Sandoz)、Sanofi-AventisBayerなど新薬メーカーが後発薬強化に動くなか、M&Aで対抗する。

ーーー

RatiopharmAdolf Merckleの一族のVEM Vermoegensverwaltung GmbHの子会社で、VEMはほかに、ドイツ最大の医薬卸のPhoenix Groupやドイツ最大のセメント会社HeidelbergCement AG を持っている。

Adolf Merckle2009年1月、列車に飛び込み、自殺した。

VEM Vermoegensverwaltung 2008年にVolkswagen の株の下落を見込んで空売りを行ったが、Volkswagen 20%株主の Porscheが株の買い増しを発表し、2日間で株価が4倍になり、大きな損失を負った。(20091月にPorsche持ち株比率は50.76%となり、子会社化した。)

HeidelbergCementも金融危機で建材の需要が激減し、株価が70%下落している。

Adolf Merckleは自殺前、銀行団と50億ユーロ(67億ドル)の負債について交渉していた。

その後、VEM Vermoegensverwaltung は銀行団と繋ぎ融資で合意、その条件としてRatiopharmを売りに出した。
多くの企業が買収に乗り出し、最終的に
Teva Pharmaceutical と、アイスランドの後発薬メーカーActavis Group、及びPfizer3社が残っていた。

Teva は他社よりも少なくとも2億ユーロ高い価格をオファーしたと言われている。Pfizerが最後に値上げをしたが、及ばなかった。

Teva に負けたPfizerRatiopharm次ぐStada Arzneimittel を狙うのではないかとみられている。


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2010年3月24日 (水)

米国、人民元切り上げを要求

米上院のシューマー(民主)、グラム(共和)両議員ら民主、共和超党派の議員団は3月16日会見し、中国が人民元の切り上げに応じない場合、厳しい罰則を科すことなどを明記した事実上の中国制裁法の制定を目指す考えを表明した。

オバマ米大統領は3月11日、米輸出入銀行の年次総会で演説し、今後5年間で輸出を倍増させ200万件の雇用を創設する目標を達成するため、「輸出促進閣僚会議:Export Promotion Cabinet」を設立すると発表した。
国務省、商務省、農務省、貿易代表部(USTR)の代表などで組織されるとみられ、輸出促進を最優先課題とする。

大統領は、中国に「市場指向の為替レート」へ移行するようあらためて呼び掛けた。世界経済の不均衡是正に不可欠な要素だと指摘している。

国際通貨基金(IMF)が3月1日に公表した資料では、ドルは依然として若干過大評価されており、中国人民元は大幅に過小評価されているとの見解を示した。「人民元の実質実効為替レートはドルと共に下落してきた。中期的な観点から大幅に過小評価されている」と指摘した。

参考 2009/11/9 米中 貿易戦争、更に激化

ーーー

中国は2005年7月23日に人民元の対ドルレートを2%切り上げた。

その後、順次引上げたが、2008年7月以降はほぼ同水準で推移している

中国の2月の輸出は前年比で45.7%の大幅増となった。

     輸出      輸入
金額(億$ 前年比(%) 金額(億$ 前年比(%)
2009年
1
904.5 -17.5 513.4 -43.1
 2 649.0 -25.7 600.5 -24.1
 3 902.9 -17.1 717.3 -25.1
 4 919.0 -22.6 788.0 -23.0
 5 888.0 -26.4 754.0 -25.2
 6 954.1 -21.4 871.6 -13.2
 7 1,054.2 -23.0 947.9 -14.9
 8 1,037.0 -23.4 880.0 -17.0
 9 1,159.4 -15.2 1,030.1 -2.5
10 1,107.6 -13.8 867.8 -6.4
11 1,136.5 -1.2 945.6 +26.7
12 1,307.2 +17.7 1,122.9 +55.9
年計 12,016.6 -16.0 10,056.0 -11.2
2010年
1月
1,094.7 +21.0 953.1 +85.5
2月 945.2 +45.7 869.1 +44.7

ビッグマック指数というのがある。経済専門 The Economistによって考案された。

ビッグマックはほぼ全世界で同一品質のものが販売され、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、総合的な購買力の比較に使いやすい。

Economist201016日号で2010年のBig Mac Index を発表した。

それによると、現在の各国の米ドル建て価格は、米国では13.58ドルに対し、日本では3.50ドルでほぼ同じである。
それに対し、中国では
1.83ドルと48%も安い。

最近のレートは1$6.83人民元で112.5人民元だが、中国で13.58ドルにするには1$3.49人民元でないといけないこととなる。

韓国のウオンも2010年でも米国の83%で、かなり安い。
ビッグマック指数でみる限りでは、日本の円は現在の円高が妥当ということとなる。

ーーー

温家宝総理は3月14日、第11期全人代第3回会議の閉幕後に記者会見を行い、以下の通り述べた。

  「中国傲慢論」などに対して:

中国は近年、確かに経済は急成長したが、都市・農村間の不均衡、地域間の不均衡に加え、人口の多さや基盤の弱さもあり、 まだ確実に発展の初級段階にある。

上海や北京の発展が中国全体を代表するものでないことがすぐにわかる。

私たちが小康社会(ややゆとりのある社会)の目標を実現するには、なお困難な努力が必要だ。 中等先進国となるには、少なくとも今世紀中頃まではかかる。現代化を真に実現するには、まだ100年からそれ以上の時間が必要だ。

  保護貿易主義について:

一部の国が輸出割合を高める必要があることは理解するが、理解できないのは、彼らが自国の輸出を高めるためにその通貨価値を切り下げ、反対に他国には圧力を加えてその通貨価値の上昇を迫ることだ。
これは一種の保護貿易主義的手法だと考える。

私たちは輸入拡大措置を講じる。昨年、最も困難な時期に、私たちは欧米に何度も買付団を派遣した。

中国の貿易は総量は大きいものの、50%が加工貿易で、60%は外資系企業または外資との提携企業による輸出貿易であるということだ。中国に対して制限措置を講じるのは、自国の企業に打撃を与えるのに等しいと いうことだ。

  人民元相場:

第1に、人民元相場は過小評価されていない。

昨年、37カ国中16カ国が対中輸出を伸ばしている。
EUは輸出全体は20.3%減少しているが、対中輸出は1.53%の減少に過ぎない。
米国は昨年輸出が17%減少したが、対中輸出は0.22% の減少に過ぎない。

第2に、世界金融危機が発生し、拡大していた期間、人民元相場の基本的な安定の維持は、世界経済の回復に重要な貢献を果たした。
2005年7月に人民元為替制度改革を開始して以来、
人民元の対米ドル相場は21%上昇し、実質実効為替レートは16%上昇した

温家宝首相は3月22日の会見で、次のように述べた。

この機会を借りて国際社会に1つのメッセージを伝えたい。
「中国は決して貿易黒字を追い求めておらず、その反対に輸入拡大のために手を尽くそうとしている」。
国際収支の基本的均衡の維持は、私たちの長期的な努力の方向だ。昨年の中国経済の成長は主に内需によるもので、貿易黒字も徐々に減少している。今年3月上旬までに、すでに赤字も生じている。

成長パターンの転換は長期的で困難な課題だ。米国は失業者200万人という数字で政府が非常に焦っているが、中国が抱える就業人口圧力は200万人ではなく2億人だ。中国の都市部と農村部との間には大きな格差がある。
第12次五カ年計画の策定においては、成長パターンの転換加速を重要な位置に据えなければならない。


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2010年3月23日 (火)

米医療保険法案が成立へ

米下院は3月21日夜の本会議で、オバマ大統領が内政の最重要課題に掲げてきた医療保険改革法案を僅差で可決した。

共和党は費用が掛かり過ぎること、政府の権力拡大になることを理由に反対した。民主党から34人が反対に廻った。

オバマ大統領は21日からインドネシア、オーストラリア歴訪を予定していたが、最重要課題の同法案の審議が大詰めを迎える中での外遊について、与党・民主党から「賢明ではない」との声が出たため、外遊を延期し、成り行きを見守った。

昨年12月に上院が可決した案を先ず219対212で可決し、その後、上院と下院の民主党及びホワイトハウスで合意したその修正案を220対211で可決した。今週中に上院に送られ可決する予定。

付記

オバマ大統領は23日、下院で可決した上院案に署名、法律となった。
修正案は上院の可決待ち。

一方、13の州が医療保険制度改革が憲法違反だとして政府を提訴した。「憲法のどこでも、米国が直接あるいは罰則を科すとの脅しの下に、市民や合法的な住民がすべて適格な保険に加入するよう命じることは認めていない」としている。

フロリダ州司法長官が旗振り役で、サウスカロライナ、ネブラスカ、ミシガン、ユタ、ペンシルベニア、アラバマ、サウスダ コタ、アイダホ、ワシントン、コロラド、ルイジアナ州の司法長官が加わった。
このほか、バージニア州が単独での提訴に踏み切った。

3月25日、上院は修正案を可決した。その際、手続き上の不備を手直ししたため、改めて下院で可決した。

先進国で唯一なかった「国民皆保険」制度が事実上導入され、米国の医療保険制度は歴史的な転換を遂げる。

1912年にTheodore D.Rooseveltが革新党の選挙公約に公的医療保険を掲げたのが最初。
Clinton政権ではHillary Clintonがこれに取り組んだが、医療保険会社と製薬会社に潰された。

医療保険会社の次のようなCMが新制度への恐怖をあおり、世論をひっくり返した。
「皆保険制度になると政府が仕切る。保険料は上がり、自由な選択肢が奪われる。大量の無保険者が入るため医療の質が落ちる。」

Obama大統領が内政の最重要課題と位置づけた。
2009年2月の演説で、無保険者の削減と医療費の抑制を宣言したが、反対が強く、難航した。

2009年11月7日に米下院が僅差で可決した。
その後、12月24日に上院が内容の異なる法案を可決し、一本化作業が焦点となった。

下院での可決を受け、オバマ大統領は、「これが変革のあるべき姿だ」と述べるとともに、米国民は「歴史の要請に応えた」と称賛した。「抜本的な改革ではないが、大きな改革だ」と述べ、法案の通過は「アメリカンドリームの土台にしっかりと置かれた礎石だ」と語った。

しかし、この法律は妥協の産物であり、日本のような皆保険制度でも、公共保険でもない。

利権がなくなるのに反対する医療保険会社や製薬会社などの医産複合体が、「政府が自分たちの生活に介入するのがイヤだ」とする一般大衆の感情論をけしかけ、反対に向かわせた。

最大の問題の野放しの医療費、医薬品費に変わりはない。

ーーー

米国では国民皆保険制度を導入しておらず、公的保険は高齢者や障害者向け(Medicare)、低所得者向け(Medicaid)などに限定されている。

2008年のこれらの加入者は合計8,560万人。
退役軍人向け医療保険を加えると8,800万人に達する。

このため、勤務先企業提供の民間保険か個人での民間保険加入しかない。

米国では医療費が非常に高い。

2000年のデータで、ニューヨークで盲腸手術が243万円(入院1日)

医薬品価格も規制がなく、年間20%ずつ薬価が値上がり。(日本の製薬会社の米国進出の大きな理由である)

2009年6月、オバマ大統領は製薬会社との間で、医薬品価格を今後10年で800億ドル値下げすることで合意した。

但し、これは10年間の処方薬の総額の予想 3兆6000億ドルの2%に過ぎない。
条件として、公約であったMedicare処方薬に関する値引き交渉を10年間見送り、外国からの安価輸入公約を破棄した。

医療保険は独占市場で、保険料は上げ放題である。

314都市のうち94%の地域で、1~2社で市場支配
15州で1社が市場の50%以上を支配、7州で75%以上を支配

会社提供の保険の場合、保険料は1人当たり年間13千ドルにもなる。保険料は毎年上がり、過去10年で2.2倍。

GMがストを恐れて組合の要求をどんどん呑み、年金と健康保険を拡大し、破産に到った経緯は、
Roger Lowenstein “While America Aged” 「なぜGMは転落したのかーアメリカ年金制度の罠」に詳しい。

失業者や、保険制度のない企業の従業員は保険に入れず、現在4,700万人が保険に入っていない。
年収2~4万ドルの層で41%、4~6万ドルの層で18%となっている。

無保険者は全額支払が必要だが、医療費が高額のため、治療を受けられない。

医療保険なしの国民のうち年間45千人が死亡

歯科医療保険なしが1億人(3人に1人)

キューバからの亡命者が医者にかかれずに子供を亡くし、「キューバだったら、あの子は助かったのに」と嘆いたという。(キューバでは医療と教育は無料)

米国の保険では保険会社が全てを決める形となっており、保険に入っても万全ではない。

保険会社が病院や医師に治療方針を指示
どんな治療が保険の保障範囲に入るかを決めるのは保険会社
患者の年齢や健康状態で保険料に格差
過去の病歴などを理由に加入拒否

治療費が生涯限度額を超えれば保険会社は一銭も払わない

保険会社の保険料収入の最大47%は医療費以外(事務費、マーケティング費用、利益)に使われている。

ーーー

今回の法案の内容は以下の通り。  

保険会社

 ・既往症のある人の加入を拒否しない。
 ・独断的に保険を取り止めない。

 ・Insurance exchanges(非営利共同組合)の新設
   会社の保険制度のない中小企業や個人が保険に加入できる。
   決められた最低限の補償

 ・保険会社は保険料収入の最低8085%を医療費に使用

付保

 ・個人は健康保険に入る義務
  (入らない場合、所得の
2.5%までの罰金)

 ・従業員50人以上の会社は保険制度をもつ義務
  (違反はフルタイムの従業員
1人当たり2000ドルの罰金) 

 ・保険料補助
   貧困レベル所得の
4倍までの人を対象

 ・Medicaidの拡大
   貧困レベル所得(個人で
10,830ドル、4人家族で22,050ドル)の133%までが加入可能に

原資

 ・高コスト保険(個人で10,200ドル、家族で27,500ドル以上)に対し40%の税金

 ・Medicareのための税を1.45%から2.35%にアップ(個人で20万ドル、夫婦で25万ドル以上の所得に対し)

 ・医療機器、保険会社、新薬メーカーに課税

毎日新聞 2010/3/23

詳細: http://www.nytimes.com/interactive/2010/03/19/us/politics/20100319-health-care-reconciliation.html?ref=policy#tab=0

ーーー

米議会予算局(CBO)は医療保険改革案によって、3,200万人の無保険者を新たに保険に加入させ、65歳未満の保険加入率は95%に拡大する。無保険者は2,200万人に減るとみている。

法案に基づく制度変更の総費用は今後10年で9,400億ドル。雇用者が医療保険を提供しなかった場合の罰金や高額保険への課税のほか、新たに高齢者向け公的保険への資金拠出を減らす修正を加えたことで、10年間に1380億ドルの財政赤字を削減できるとしている。

しかし、これで問題は解決しないという見方が多い。

医療グループ Mad as Hell Doctors Group の創始者は、この改革がアメリカの医療を破綻させている医療保険会社や製薬会社などの医産複合体を排除していないのが大きな問題だとする。

これが出来るのは政府が一括で運営責任を負う単一支払い皆保険制度だけだが、真っ先に選択肢から外された。

処方薬価格の交渉権を放棄したため、医療費設定のシステムは今までと同じである。
今後の薬価値上げで、保険の財源が確保できるかどうか不明である。

また、現在でも医療現場が破綻しており、新たに大量の患者を受け入れる余裕がないとの見方もある。

ーーー

これらの状況は以下に詳しい。

  堤未果 「ルポ 貧困大国アメリカ」 「同 Ⅱ」 (岩波新書)

この本はほかに、以下のようなアメリカの問題を取り上げている。
  貧困が生み出す肥満国民
  民営化による国内難民(人災だったハリケーン・カトリーナなど)
  教育費高騰と奨学金予算削減によるローン地獄と、その結果として学生の徴兵
  民営化された戦争(借金返済のための傭兵制度)
  崩壊する社会保障
  刑務所という名の巨大労働市場

これらにあるのは「行き過ぎた市場原理」というキーワードである。

 

 


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2010年3月22日 (月)

米製薬ベンチャーSucampo Pharmaceuticals、武田薬品との調停申し立て

米製薬ベンチャーのSucampo Pharmaceuticals3月15日、武田薬品工業が便秘薬のCollaboration and License Agreement(2004/10)に違反したとして、この契約の終了と損害賠償を求めて国際仲裁裁判所に調停を申し立てたと発表した。

Sucampoが開発した便秘型過敏性腸症候群治療薬アミティーザ(AmitizaTM、一般名:Lubiprostone) の売上高が当初予想を下回ったことなどを理由に「武田側が販促活動を怠った」として契約終了を要求していたが、武田側が要求を受け入れなかったとしている。

Sucampoによると、武田の米国での販売実績に不満を持ち、20094月に武田に対して「重大な違反」の通知をした。武田がAmitiza の売り上げ拡大の努力をせず、協力を断り、契約上決められた情報の提供を拒んだとするもの。
その後、契約に決められた90日以内に是正がなかった旨の通知をした。

同社によると、武田のAmitiza の販売高は2008年が193.4百万ドル、2009年が209.2百万ドルとなっている。

Sucampo Pharmaceuticals1996年に上野隆司博士と久能祐子博士により設立されたベンチャーで、人体で自然に生じる機能性脂肪酸から得られる化合物 Prostoneをベースにした医薬品の開発と商業化に注力している。

最初の製品がAmitizaで、成人向け慢性特発性便秘症治療薬として20061月に米食品医薬品局(FDA)より販売認可を受けた。

武田薬品は米国で 2006年4月にAmitizaの販売を開始した。

なお、日本では2009年2月にアボットジャパンが独占販売権を取得している。

Sucampo は2009年9月、EU地域でのアミティーザの販売承認申請を取り下げたと発表した。同社では、販売戦略に基づく判断とコメントし、米国や日本でのアミティーザ事業への影響を否定している。

ーーー

プロスタグランジンはアラキドン酸カスケードと呼ばれる一連の化学反応により合成される生理活性物質で、さまざまな薬理作用を持つが、プロスタグランジンの代謝物は活性を持たないと考えられていた。

1980年代に新技術開発事業団の早石生物情報伝達プロジェクトに参加した上野博士は、プロスタグランジンの代謝物でケトン基を有するものが活性を有することを発見し、プロストン(Prostone)と名付けた。

上野博士は、親族が社長を務める上野製薬で、久能祐子博士とともに緑内障・高眼圧症治療薬「レスキュラ点眼液」(一般名:Isopropyl unoprostone)の開発を進め、1994年に製造承認を取得し、藤沢薬品工業(当時、現アステラス製薬)と独占的販売契約を交わした。(200410月に眼科領域に強い参天製薬へ変更)

上野博士は1989年にアールテック・ウエノを設立、2001年に上野製薬からレスキュラの製造販売業務の承継を含む事業承継を受け、製造発売元になった。
レスキュラの日本(参天製薬)、韓国・台湾(アステラス製薬)以外での販売権は
Novartisに供与、現在、欧米40カ国以上で販売され、その原薬はアールテック・ウエノが供給している。

2009年4月にSucampo が米国とカナダの販売権を取得した。

上野博士と久能博士は1996年に米国にSucampo Pharmaceuticalsを設立し、複数のプロストン化合物の開発を開始。2002年に英国にSucampo Parma Europe、日本にスキャンポファーマを設立し、日米欧三極で医薬品を開発する体制を構築した。

アールテック・ウエノは、グループの中で、プロストン製剤の全世界への製造供給を担う。

上野博士と久能博士は、直接間接にアールテック・ウエノ及びSucampoグループの株式の過半を保有している。

Sucampo Pharmaceuticalsの業績は以下の通り。(千ドル)

  2009 2008
Revenues Research and development revenue   23,957 72,293
Product royalty revenue 38,250   34,438
Co-promotion revenue 4,541 4,826
Contract and collaboration revenue 603 566
Total 67,351 112,123
Operating expenses 65,006 81,052
Income from operations 2,345 31,071
Non-operating income, net 1,186 2,043
Income before income taxes 3,531 33,114
Net income -760 24,951

 


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2010年3月20日 (土)

ワシントン条約締約国会議、大西洋クロマグロ禁輸案を否決

カタール・ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議は3月18日、第1委員会で大西洋・地中海産クロマグロの国際商業取引を原則禁止するモナコ提案について協議し、採決の結果、反対68、賛成20、棄権30の反対多数で同提案は否決された。
採決では、投票国の3分の2以上が賛成すれば可決される規約になっている。

委員会では、モナコ提案とは別に、EU議長国のスペインが、禁輸案を支持した上で来年5月まで発効を遅らせるEUとしての修正案を提出したが、賛成 43、反対72、棄権14で否決された。

2010/3/9 大西洋クロマグロが輸出入禁止?

委員会では、モナコが禁輸の提案理由を説明し、ワシントン条約による管理を主張した後、各国が討議、日本は「大西洋クロマグロは持続的利用を図るべき漁業資源で、ICCATが的確に資源管理すべきだ」とモナコ提案への反対を表明した。

中国は漁業規制の波がクロマグロからサメ類などに飛び火し、フカヒレなどの貴重な食材の確保に影響が出ることを懸念し、日本と共同歩調をとった。

モナコやEUの案では、単一市場のEU内では取引可能であることに対し、禁輸が死活問題になるEU域外の漁業国が反対に回った。

リビアの代表は「マグロの国際取引禁止は先進国による陰謀だ!」と声高に主張し、議論の打ち切りと即時採決を提案、急転直下、否決へとつながった。
漁業国のアイスランドが秘密投票を求め、認められたことも、否決に貢献した。

モナコ案に反対した68カ国にはアフリカ諸国が目立った。一方、賛成票はEU加盟国数を下回り、棄権30カ国の多くが欧州諸国であることをうかがわせた。

モナコは本会議での再提案を諦めたため、これで決着となる。

ーーー

委員会は3月18日、ホッキョクグマの禁輸案(「付属書Ⅰ」掲載)を否決した。
ホッキョクグマは「付属書Ⅱ」に掲載され、輸出には許可証が必要となっている。

提案国の米国は「毛皮や剥製の輸出入が乱獲を招いている」と主張したが、生息地のカナダは「適切な資源管理をしており、絶滅が危惧されるほど個体数は減っていない」と反論,、投票結果は賛成48、反対62、棄権11だった。

日本が最大の毛皮輸入国。米政府によると、1992~2006年に国際的なホッキョクグマの毛皮取引は3237件で、58%を日本が輸入した。

ーーー

付記

3月21日の委員会はイランのザクロス山脈周辺に棲息するサンショウウオ(カイザーツエイモリ)の国際取引禁止を満場一致で採択した。

しかし、宝石サンゴを「付属書Ⅱ」に掲載するという提案は、賛成64、反対59、棄権10で否決された。

米国とスウェーデンが「世界的な取り過ぎ防止が必要」として提出、1年半後の発効を求めたが、日本は「北太平洋での採取は厳格に管理されている。ワシントン条約による規制は不要だ」と主張、チュニジア、モロッコ、リビアなどの採取国も反対を表明した。

宝石サンゴは、日本では高知県の伝統的な地場産品。
Tiffany
などは環境保護を理由に自発的にサンゴの販売を停止している。

3月22日の委員会は象牙の部分解禁を否決した。

象牙は「付属書Ⅰ」掲載だが、タンザニアとザンビアは自然死した象の象牙を保有しており、1回限りで中国と日本に輸出し、代金を象の保護に充てる案を提出したが、「密漁助長」の懸念で否決された。日本は賛成票を投じた。

ケニアなど8カ国は一切の輸出を2028年まで凍結する強化案を提出したが、議論の末に取り下げた。

3月23日には、米国とパラオがフカヒレをとるために乱獲され、数が減少しているとして、アカシュモクザメ(scalloped hammerhead)、ヒラシュモクザメ(great hammerhead)、シロシュモクザメ(smooth hammerhead)と、ヨゴレ(oceanic whitetip shark)を付属書Ⅱに掲載することを提案したが、2/3の賛成を得られず否決された。日本や中国が反対した。

EUとパラオが提案したニシネズミザメ(porbeagle shark)の「付属書Ⅱ」掲載は86対42、棄権8で僅差で可決された。
今回の会議での禁輸、規制案が可決されたのはこれが初めて。(日本政府は「漁業者がニシネズミザメだけを見分けて、輸出の許可を得るのは困難」との立場で反対した。)
しかし、最終日25日の全体会合で、この案は否決された。

なお、2002年11月に ジンベエザメ(Whale Shark)とウバザメ(Basking Shark)、2004年10月にホホジロザメ(Great White Shark)の大型ザメ3種の「付属書Ⅱ」登録が決定している。
この保護の流れを大型ザメから中型ザメに拡大しようという動き。

全体会合では大西洋・地中海のクロマグロやホッキョクグマの付属書Ⅰ掲載案、宝石サンゴやサメの付属書Ⅱ掲載案が否決された。


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水俣病集団訴訟で和解案

 

熊本地裁は3月15日、水俣病不知火患者会が国などに損害賠償を求めた集団訴訟(原告総数2126人)の第4回和解協議で所見を示し、年内に決着するよう要請した。

鳩山首相は3月18日、これを受け入れる方針を表明した。

所見の内容は以下の通り。

【裁判所の立場】

和解協議を前進させ、和解による最終的解決を実現するには和解についての基本的な考え方を示すことが相当と判断した。審理経過や和解協議での双方の意見を踏まえ、所見を提示する。

【対象者の判定方法】

対象者の判定 原告と被告が設置する「第三者委員会」
 双方から2人ずつ、双方が合意した座長の計5人

 患者側主張 裁判所
 国側主張   第三者委員会

判定資料 「共通診断書」(患者を診てきた医師らが作成)と
「第三者診断結果書」(公的医療機関での診断) 
対象地域 国が認定してきた水俣市など以外にも熊本県上天草市と鹿児島県出水市の一部を含める。

他の地域に住んでいた被害者でも、メチル水銀化合物に汚染された魚介類を多く食べたことなど一定条件を満たせば救済対象

対象出生年 1969年11月末生まれまでを原則
それ以降でも「へその緒」など、メチル水銀化合物の影響を受けた科学的データがあれば対象

*1968年にチッソがメチル水銀を含む排水を止めた。
 国は「1968年末に母親が妊娠していた場合、胎児期に水銀の影響を受けた可能性が否定できない」とし、1969年11月生まれまでを対象に含めるとした。
そのほかの事項 第三者委員会運営協議会で協議

【支給内容】

一時金 対象者1人当たり210万円

 患者側主張 関西訴訟最高裁判決の賠償額
          (450万~850万円)相当
 国側主張  1995年の政治決着などを踏まえ
         150万~260万円の幅

チッソが原告団に一括して支給
療養手当
入院療養を受けた者  月額17,700円
通院療養を受けた日数が1日以上で、  
  70歳以上の者  月額15,900円
  70歳未満の者  月額12,900円
国と熊本、鹿児島両県が設ける制度
一時金対象者に支給
療養費 自己負担分を対象者に手帳を交付し支給 国と両県が設ける被害者手帳制度
一時金加算額 29億5千万円 チッソが原告団に支給

一時金加算額は、被害者団体に対して、訴訟費用や活動経費などの補てんとして原因企業チッソが負担する補償金。
1995年の政治決着では「団体加算金」として、チッソが5被害者団体に支払い、救済対象外となった被害者への補償費用にも用いられた。
今回の政治解決では訴訟派の水俣病不知火患者会のほか、非訴訟派の水俣病出水の会、水俣病被害者芦北の会、水俣病被害者獅子島の会の3団体にも支払われる見込み。

【その他の施策】

国と関係地方公共団体は、地域振興、健康増進事業、調査研究、一定の要件を満たす健康不安者への健康診査・保健指導の実施に努める。

【責任とおわび】

チッソは責任とおわびの具体的な表明方法を検討する。
国と熊本県は水俣病特別措置法前文に掲げる責任とおわびについて、再度深く受け止め、その具体的な表明方法について検討する。

【紛争の解決】

原告と被告は前記の方法に従い、個別の原告の判定を行う。
すべての原告の判定が終了したときには、速やかに和解を成立させる。
和解の成立で、チッソの一時金支払いなどが行われるとともに、そのほかの請求放棄、認定申請の取り下げなどが行われることで、一切の紛争を解決する。
年内をめどに解決措置が終了するように努力する。

 


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2010年3月19日 (金)

フィリッピン最大の石油会社Petron、PPメーカーPetrocorpに出資

フィリピン最大の石油会社Petron Corp.39日、石油化学事業の強化のため、 Vantage Stride (Mauritius) Ltd. からPetrochemical Asia (HK) Ltd.の株式の40%を買収したと発表した。詳細は発表していない。

Petrochemical Asia の子会社Petrocorp Bataanに年産 160 千トンのPP工場を持っている。

Petronは同じ Bataan に日産18万バレルの製油所を有し、国内に1300のガソリンスタンドを持つ。

2008年にBataanの製油所にFCCとプロピレン回収設備を設置、2009年にはBTX設備を稼動させている。
ベンゼン能力は
22,800トン、トルエンは150,000トン、混合キシレンは220,000トンとなっている。

Petron は以前の報告で、川下の石油化学に進出し、プロピレンやBTXを加工し、場合により最終製品まで作りたいとしている。また、買収や合併も考えるとしていた。

今回の買収により、Petronでは自社のプロピレンをPP原料として供給し、付加価値を高める。

同社は下記の通りフィリピンの食品・飲料大手 San Miguel Corp. の子会社となる。
今後、製品販売で
San Miguel のルートを使用することを考えている。

ーーー

Petronは当初、国営石油会社PNOC40%、Saudi Aramco が40%出資し、残り20%を上場していた。

2008年に英国の投資会社 Ashmore GroupSaudi Aramco から40%分を買収し、残り10.1%を投資家から購入、Petron 50.1%を取得した。同社はこのために子会社SEA Refinery Corpを設立した。
(比政府も
財政赤字対策としてPNOCの持分40%を手放さす意向を示していたが、最終的に政府は手放さないこととした。)

2008/7/26 英国投資会社Ashmore、フィリピンのPetron のマジョリティ買収

2009年1月、San Miguel 2年間でSEA Refinery Corp100%Ashmore Groupから購入する契約を締結した。
買収完了後には
San Miguel Petron50.1%を所有する。(残りのうち40%国営石油会社PNOC

San Miguel は飲料や食品加工などのコア事業以外への投資を検討している。

ーーー

フィリピンではエチレンセンターが計画されたが、なかなか進展せず、先行して誘導品が建設された。
しかし、その後もエチレンは実現していない。

ポリオレフィンメーカーは以下の通り。

メーカー 立地 製品 Capacity 製法
Petrocorp Bataan PP  160,000t BASF
Bataan Polyethylene
 →NPC-Alliance
Bataan PE(HD/LL)  250,000t BP
JG Summit Petrochemical Batangas PE(HD/LL)
PP
 200,000t
 180,000t
Union Carbide

PetrocorpChemical Industries of the Philippines, Inc. (CIP) Dr. Eusebio S. Garcia などにより設立された。
Petrocorpの正式名称はPetrochemical Corporation of Asia-Pacific

Petrocorpは採算悪化や原料プロピレン不足などで何度も操業を停止し、一時は伊藤忠からの製造委託で操業したこともあった。(原料のプロピレンは韓国、台湾、日本などから輸入しており、採算はよくなかった)

2004年頃から外資への売却を検討していた。

200811月には株主のCIP や関連会社(洗剤メーカーのCAWC LMG) は所有するPetrocorp の株式を全額評価減している。
(未確認だが、今回売却の
Petrocorp株式の残りは、同グループが依然保有していると思われる)

ーーー

Bataan Polyethylene は当初、BP39%、マレーシアのPetronas39%、住友商事が6%、現地株主のコンソーシアムのProfinda Holdings16%を出資して設立された。

その後、採算悪化からBPと住友商事が離脱を決め、その分をPetronasが購入する予定であったが、結局まとまらず、2003年に一旦清算された。

2004年に「プラスチック王」の異名を持つWilliam Gatchalian Metro Alliance Holdings and Equities (Manila)を通じてBataan Polyethylene の債権を世界銀行のIFCから買い取り掌握した。

GatchalianはイランのNational Petroleum Companyとの間でエチレンの長期供給契約を締結した。

2005年にイランのNational Petroleum Company Metro AllianceからBataan Polyethylene 60%を買収、同社をNPC-Allianceと改称した。

現在の出資比率は:
イランのNational Petrochemical Company 40%
 イランのInternational Petrochemical Company 20%
 Philippines Polimax Metro Allianceグループ) 40%

ーーー

JG Summit PetrochemicalJG Summit Holdings 80%/丸紅20%のJVとして設立され、1998年に稼動した。 

その後、丸紅持株は17.72%となり、2007年に撤退し、JG Summit Holdingsの100%子会社となった。

JG Summit 6つのコア事業を持つコングロマリット。
 ・消費財、食品:Universal Robina Corporation
 ・不動産、ホテル:Robinsons Land CorporationUnited Industrial Corporation (Singapore)
 ・通信、インターネット:Digital Telecommunications Phils., Inc.
 ・ペトロケミカル:JG Summit Petrochemicals Corporation
 ・航空:Cebu Pacific Air
 ・金融:Robinsons Savings BankJG Summit Capital Services Corporation

 


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2010年3月18日 (木)

化学遺産認定

日本化学会は、化学と化学技術に関する貴重な歴史資料の保存と利用を推進するため、化学遺産委員会を設置し、さまざまな活動を行っている。

歴史資料の中でも特に貴重なものを文化遺産、産業遺産として次世代に伝え、化学に関する学術と教育の向上及び化学工業の発展に資することを目的とし、このたび、第一回の「化学遺産認定」を行った。

認定化学遺産 第1号 杏雨書屋蔵 宇田川榕菴化学関係資料

宇田川榕菴(1798-1846)は『舎密開宗』(1838~1846)を著わし、それまでこの国に知られていなかった化学という学問をはじめて体系的に 紹介した。
榕菴がその『舎密開宗』を著わすに当って渉猟した多くの蘭書の覚書やその稿本類など、多くの貴重な資料が一括して杏雨書屋に所蔵されている。

本認定化学遺産は、刊行手沢本、自書稿本類、肖像画、宇田川家伝来の蘭引等、延べ50点に及ぶ。

杏雨書屋5代武田長兵衞氏が、関東大震災により東京で貴重な典籍が灰燼に帰したことを大いに痛嘆し、私財をもって購入した日本・中国の本草医書の文庫。
1977年武田科学振興財団当財団が継承し、本草医書を中心とする図書資料館として開館した。

第2号 上中啓三 アドレナリン実験ノート

1900年、ニューヨークの高峰研究所において、高峰譲吉と上中啓三によってアドレナリンが発見され、結晶化された。これは世界で初めて単離されたホルモンである。

本認定化学遺産はこの研究経過を記した上中啓三の実験ノートで、この実験研究が行なわれた1900年7月20日から同年11月15日までの記述がある。

現在、上中啓三の菩提寺である兵庫県西宮市名塩の浄土真宗教行寺に所蔵されてい る。

第3号 具留多味酸(グルタミン酸) 試料

1908年、東京帝国大学の池田菊苗が昆布のうま味成分としてグルタミン酸を抽出、同定し、さらにそのナトリウム塩が強いうま味を呈すること を見いだし、調味料として工業的製法を確立した。
このグルタミン酸ナトリウムは鈴木三郎助によって「味の素」の名称で商品化された。

本認定化学遺産は池田が最初に昆布から抽出した「具留多味酸」試料で、現在、味の素株式会社「食とくらしの小さな博物館」(東京都港区高輪)に貸与され、一般に公開されている。

第4号 ルブラン法炭酸ソーダ製造装置塩酸吸収塔

わが国のソーダ灰製造は官営事業として1881年大阪造幣局から始まるが、民営事業としては山口県小野田に1889年7月、日本舎密製造会社が設立され、1891年から生産が開始された。

この創業時の工場は、現在の日産化学工業(株)小野田工場(山口県山陽小野田市)として継続され、同工場内に創業時の製造装置の一部が保存されている。

本認定化学遺産は、食塩と硫酸から硫酸ナトリウムを製造する工程で副生する塩化水素ガスの吸収塔(塩酸吸収塔)で、花崗岩製である。

第5号 ビスコース法レーヨン工業の発祥を示す資料

ビスコース法レーヨンは1901年にドイツで、1904年にイギリスで工業化されたが、日本では、鈴木商店の金子直吉の支援のもと、米沢高等工業学校教授秦逸三と大学同窓の久村清太の共同研究によって紡糸に成功し、1916年に米沢に設立された東工業米沢人造絹糸製造所で初めて工業化された。
1918年に東工業から帝国人造絹絲株式会社として独立、これが現在の帝人である。

本認定化学遺産はこの最初期の研究および米沢工場での工業化を示す、次の3資料である。
 (1)旧米沢高等工業学校(現山形大学工学部)旧秦研究室遺留品のレーヨン糸、ガラス製ノズル、実験器具
 (2)米沢工場初期の人絹糸
 (3)米沢人造絹糸製造所創業時の木製紡糸機模型

なお、東洋レーヨン(東レ)は1926年設立、新興人絹(三菱レイヨン)は1933年、東邦人造繊維(その後、東邦レーヨン、現在は帝人子会社で炭素繊維の東邦テナックス)は1934年の設立となっている。

レーヨンという名前は1910年に米国でAvtex Fibers がこれを発売する際に、人造絹糸の「人造」を嫌い、新たに考えた。強い光沢があることから、フランス語のRayon(英語のrays of light、光線)を製品名に採用した。

日本の各社はレーヨンを止めた際に社名を変更したが、三菱レイヨンは「光」ファイバーを主製品に持つことから、依然として同じ社名にしている。

第6号 カザレー式アンモニア合成装置および関連資料

日本窒素肥料株式会社は、1923年10月に日本で初めてアンモニアの工業的製造を開始した。
これは肥料製造、銅アンモニア法によるレーヨン製造などアンモニアを基本とした化学工業の展開の礎となった。

当時の合成塔、清浄塔、圧縮機が、旭化成ケミカルズ(株)愛宕事業場(宮崎県延岡市旭町)敷地内の「カザレー記念広場」に移設され保存されている。初合成時の運転日誌、創業期の写真などの資料も保存されている。

(日本窒素肥料株式会社延岡工場が独立し、延岡アンモニア絹絲株式会社となり、1946年に旭化成工業と改称した。)


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2010年3月17日 (水)

独禁法改正案(審判制度廃止)閣議決定 

3月12日、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の国会提出が閣議決定された。

2009年6月に独禁法改正案が改正されたが、審判制度については、「2009年度中に検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」との付則を設け、衆参両院の付帯決議で「検討の結果として、現行の審判制度を現状のまま存続することや、以前の事前審判制度へ戻すことのないよう、審判制度の抜本的な制度変更を行うこと」とし、審判制度を廃止する方向性を明示した。

2009/6/5   独禁法改正案成立

政府は2009年12月に、審判制度を廃止し、東京地方裁判所に機能を移管すると発表した。

2009/12/12 公取委の審判制度廃止

法案の概要は以下の通り。

公正取引委員会が行う審判制度を廃止する。
  れに合わせ、審決取消訴訟における現行の下記規定を廃止する。
  1)実質的証拠法則(80条)
    公取委の認定した事実(実質的証拠のある場合)は裁判所を拘束するとの規定
   
  2)新証拠提出制限(81条)
   被処分者が裁判所に新たな証拠の申し出を出来るのは、
 公取委が審判手続きで正当な理由無しにその証拠を採用しなかった場合に限るとの規定
   
裁判所における判断の合一性、専門性の確保を図る観点から,排除措置命令等に係る抗告訴訟については,東京地方裁判所の専属管轄とするとともに,東京地方裁判所においては,3人又は5人の裁判官の合議体により審理及び裁判を行うこととする。(通常は一人の裁判官)
   
  なお、高裁では3人の裁判官によるのが原則だが、東京高裁での控訴審では5人の合議体で行うことが出来るとする。
   
適正手続の確保の観点から,排除措置命令等に係る意見聴取手続について,予定される排除措置命令の内容等の説明,証拠の閲覧・謄写に係る規定等の整備を行う。
   
施行期日は公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内で政令で定める日。

公取委発表 

「私的 独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案」の国会提出について
・法案の概要 
・法案の概要(参考)  
・要綱  
・案文・理由 
・新旧対照表
・参照条文

 


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2010年3月16日 (火)

世界長者番付、中国1位はワハハの宗慶後董事長

米経済誌 Forbesは3月10日、世界の長者番付を発表した。

総資産額10億ドル以上は世界1,011人で、中国大陸部からのランク入りは2009年の28人から今年は64人に増えた。
香港からは25人、台湾からは18人がリスト入りを果たした。

中国大陸部のトップは
ダノンとの争いに勝利した飲料メーカー娃哈哈(ワハハ)集団の宗慶後董事長で、資産は70億ドル、世界ランキング103位であった。

リチウムイオン電池の製造で世界第3位で、携帯電話用では世界第1位のメーカーで、自動車に進出し、Warren Buffettが2億3000万ドルを投じて約10%の株を取得した比亜迪(BYD)の王伝福董事長が44億ドルで189(中国で4)となった。
社名は Build Your Dream から付けた。

中国大陸部の順位は以下の通り。

世界
順位
  事業 資産
(億ドル)
備考
103 宗慶後 飲料メーカー 娃哈哈   70  
154 劉 永興 飼料メーカー 希望集団   50  
176 張近東 蘇寧電器   45 家電小売販売会社、日本のラオックスの筆頭株主
189 王伝福 比亜迪(BTD)   44  リチウムイオン電池と自動車
212 許家印 不動産 Evergrande Real Estate   40  
232 呉亜軍 一族 不動産 Longfor Properties   39 夫と共同で事業

なお、2009年の順位は以下の通りで、本年は資産額も順位も上がっている。
劉兄弟が1位と4位に入っている。

世界
順位
  事業 資産
(億ドル)
備考
205 劉永興 飼料メーカー 希望集団   30  
234 張近東 蘇寧電器   27  
246 周成建、一族 アパレル 美特斯邦威集団(Metersbonwe)   26  
261 劉永好 飼料メーカー 新希望集団   25 3兄弟の希望集団から分離
2009/9
三井物産と戦略的業務提携
296 楊恵妍 不動産 碧桂園(Country Garden)   23 28歳女性、父親から贈与を受ける
2008年は74億ドルで中国1位

ーーー

世界のトップ10は以下の通り。

メキシコの「通信王」とされるCarlos Slim が総資産額535億ドルで初の首位、昨年1位 のBill Gatesは530億ドルで2位だった。3位は投資家のWarren Buffettで総資産額は470億ドル。

  '09   資産
(億ドル)
事業
 1  3 Carlos Slim Helú メキシコ  535 国営電話会社民営化
 2  1 William Gates Ⅲ 米国  530 IT  Microsoft
 3  2 Warren Buffett 米国  470 投資会社 Berkshire Hathaway
 4  7 Mukesh Ambani インド  290 化学・石油 Reliance Industries
 5  8 Lakshmi Mittal インド  287 鉄鋼 ArcelorMittal
 6  4 Lawrence Ellison 米国  280 IT  Oracle
 7 15 Bernard Arnault フランス  275 LVMH (Moët Hennessy ‐ Louis Vuitton )
 8 61 Eike Batista ブラジル  270 石油・ガス OGX
 9 10 Amancio Ortega スペイン  250 ファッション Zara
10  6 Karl Albrecht ドイツ  235 ディスカウントスーパー Aldi Sud

日本人は22人(昨年は17人)で、上位は以下の通り。

世界
順位
  資産
(億ドル)
事業
 89 柳井 正、家族   76 ファーストリテイリング
 93 佐治 信忠、家族   75 サントリー
117 森 章、家族   63 森トラスト
127 孫 正義   59 ソフトバンク
143 毒島 邦雄、家族   54   SANKYO(パチンコ)
167 三木谷 浩史   48 楽天
201 山内 溥   42 任天堂
277 糸山 英太郎   34 新日本観光
307 滝崎 武光   31 キーエンス(電器機器)
437 三木 正浩   22 ABCマート(靴)

韓国からは李健熙・前(サムスン)会長をはじめ11人が入った。(昨年は4
李会長は72億ドルで100位、鄭夢九・現代/起亜車会長は36億ドルで249位だった。

 

それにしても、中国大陸部だけで64人もランク入りしたのはすごい。

参考 2010/3/6  中国の都市部と農村部所得格差が拡大

  


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2010年3月15日 (月)

地球温暖化対策基本法案を閣議決定

政府は3月12日、2020年までに1990年比25%とする温室効果ガス削減の中期目標を明記した「地球温暖化対策基本法案」を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

民主党鳩山代表は2009年9月7日開かれた朝日新聞社主催 「朝日地球環境フォーラム2009」で、日本の2020年までの温室効果ガス排出削減の「1990 年比25%減」を実現する考えを明言した。「あらゆる政策を総動員して実現」するとした。

2009/9/9 温暖化対策 「鳩山イニシアティブ」

政府内で調整が難航していた国内排出量取引制度について「総量規制を基本」とした上で「原単位の制度も今後検討する」と議論の余地を残した。
小沢鋭仁環境相は、「環境と経済成長の両立という観点から排出量をコントロールしたい」と述べた。

温暖化対策のための原子力発電所の位置づけは「推進する」とし、削除を求めていた社民党の要求は退けた。

 

温暖化対策基本法案の要旨は次の通り。

温室効果ガス排出削減目標は、2020年までに1990年比25%削減
   
  この目標は、すべての主要国が公平かつ実効的な地球温暖化防止の国際枠組みを構築し、意欲的な削減目標に合意したと認められる場合に設定する。
   
2050年までには、1990年比80%を削減する。
   
地球全体の排出量を2050年までに少なくとも半減する目標を、すべての国と共有するよう努める。
   
再生可能エネルギーは、2020年に1次エネルギーの供給量の10%にすることを目標とする。
   
温室効果ガスの国内排出量取引制度を創設。
   
  必要な法制上の措置を地球温暖化対策税と並行して検討、基本法施行後1年以内を目途に成案を得る。
   
取引の排出限度の設定方法は、排出総量の限度を基本としつつ、生産量その他事業活動の規模を表す量の1単位当たり排出量を定める方法も検討する。
   
原子力にかかる施策は、国民の理解と信頼を得て推進する。
   
税制全体のグリーン化を推進、温暖化対策税は2011年度実施に向け検討する。
   
再生可能エネルギーで発電した電気の全量を電気事業者が一定の価格で調達する固定価格買い取り制度を創設する。

ーーー

これに対し、日本化学工業協会や石油連盟など業界9団体は12日、反対の共同意見書を発表した。石油連盟、セメント協会、電気事業連合会、電子情報技術産業協会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本自動車工業会、日本製紙連合会、日本鉄鋼連盟で、内容は以下の通り。

(1) 中長期目標について
  どの分野において、どのような技術を用いて、どれだけの温室効果ガスを削減するのかを明らかにし、経済成長戦略とも整合のとれるロードマップを策定すること。(実現可能性
     
  当該ロードマップを実行するために必要なコスト、ならびに我が国経済、国民生活や雇用に与える影響と、国民負担を明らかにすること。(国民負担レベルの妥当性
     
  こうした点を踏まえた上で、各国が国連に提出した目標水準の検証を行なう等により、「前提条件」が満たされたか否かの判断を含め国際的な公平性を確保すること。(国際的な公平性
     
(2) 個別施策について
    国民生活や産業活動に甚大な影響を及ぼすことから、その政策効果や国民負担等の検証を行い、十分な情報開示と開かれた国民的議論を通じて、導入の是非も含め制度のあり方を検討すること。
     

日本経団連の御手洗冨士夫会長は、「十分な議論や情報開示がなされないまま決定したのは極めて残念。国会で審議を十分尽くす必要がある」とのコメントを発表した。

経済同友会の桜井正光代表幹事は、「目標達成への道筋や、経済・国民生活の影響についての説明が不足したまま閣議決定に至った」と指摘、日商の岡村正会頭は、「法案審議や基本計画策定などの各段階において十分な説明が必要。産業界、国民の意見を聞く機会もつくってほしい」と要望した。

ーーー

一方、 排出量取引について、当初案は企業に排出総量の上限を課す形が示されていたが、今回は、「排出総量の限度を基本としつつ、生産量その他事業活動の規模を表す量の1単位当たり排出量を定める方法も検討する」としたことについて、環境保護団体などからの批判が出ている。

河野太郎衆院議員は過激な批判をしている。

原単位方式を入れようというのは、もはや狂っているとしか言いようがない。

原単位方式では総量は減らない!
生産量を増やした企業は、原単位を改善して儲けてしまうので、総量を増やそうとするインセンティブが働くことになる。

結局、電力会社と鉄鋼会社に不利にならないように、つまるところは、電力と鉄鋼の労働組合の既得権を維持するために民主党の環境大臣、経産大臣達が頑張っているのだ!

・・・

経済調和条項を、ひたすら至る所に埋め込もうというのが経済産業省。大臣は誰だ?

(ちなみに経済調和条項とは、かつて公害対策の法律に埋め込まれて、「経済と産業に悪影響を与えない限り」やっていいよという役所の究極の言い逃れ。---)

総理、まじめに温暖化対策、おやりになるつもりですか。

http://www.taro.org/2010/03/post-726.php

ーーー

原子力施策の「推進」が盛り込まれた点について、「脱原発」を党是とする社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は「100%納得しているわけではない。せめて『国民の理解と信頼を得て行う』としたかった」と強調。新たな原子力発電所の建設には「反対だ」と明言した。

 


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2010年3月13日 (土)

英国の酒造大手、中国の白酒メーカーを買収へ

英国の酒造大手 Diageo plc が、中国の白酒(穀物で作った伝統蒸留酒)のトップメーカー「水井坊」(Sichuan Shui Jing Fangを買収する。

Diageoの製品は、ビールのGuinness、ウイスキーのJohnnie WalkerBell'sJ&BOld Parr、ジンのGordon's GinウォッカのSmirnoffのほか、ワインやリキュールなど多岐にわたる。水井坊の買収は商品のラインアップに加えるのが目的。

水井坊は高級白酒の市場でマオタイ酒や宜賓五粮液酒とシェアを競っている。
600年の歴史があるといわれており、昨年の売上高は112百万英ポンドとなっている。

四川成都全興集団は四川水井坊の39.7%を保有するが、Diagoは全興集団の株を成都盈盛投資から2007年に43%、2008年に6%取得したのに続き、今回4%を取得して53%の最大株主となり、結果的に水井坊を買収する。
但し、今回の追加取得の承認を得るには時間がかかり、それまでは水井坊の支配株主ではない。

中国のM&A手続きによると、Diageo は今回の4%取得の承認を得ると水井坊の間接支配株主となるため、水井坊の他の株主に対してTOBをかける必要がある。
Diageo は今後も水井坊の上場を続ける意向で、このためTOB価格を規則で決められた最低水準の価格に決めた。
仮に全株式を買収する場合、金額は
610百万英ポンドとなる。Diageo は規則に基づき、この20%を寄託した。

Diageoは1997年にGrand Metropolitan plc Guinness Plc が合併して設立された。
Grand Metropolitanはホテル(Intercontinental Hotels、1988年にセゾンに売却)やカジノ、食品(1989年にBurger Kingを買収)など多岐にわたる事業を行っていたが、1972年にSmirnoff vodka, J&B whisky, Bailey's Irish Cream, Gilbey's gin などを持つInternational Distillers & Vintners
を買収した。
Diageo2002年にBurger Kingを売却している。)

世界で2万人を雇用、80カ国に拠点を持ち、製造拠点も英国のほか、アイルランド、米、カナダ、スペイン、イタリア、豪、インドやアフリカ、中南米、カリブ海諸国に持っている。
2009年の売上高は12,283百万英ポンド、当期純損益は1,725百万英ポンドとなっている。

ーーー.

中国政府は、有名ブランドの外国人所有を認めている。

アサヒビールの中国のビール会社の持株は以下の通り。
  北京ビール 47%
  煙台青島ビール 51%
  杭州ビール 55%
  深セン青島ビール 29%
  
青島ビール 19.99%

但し、2008年11月にベルギーのビール会社 InBev BudweiserAnheuser Busch を買収したが、これについては中国商務部は以下の条件を付けて承認している。

 (1)青島ビールに対するAnheuserの株式保有率27%を増加してはならない。
 (2)
InBev の主要株主もしくは主要株主の株主に変化が発生した場合には、ただちに商務部に通告すること。
 (3)珠江ビールに対する
InBevの株式保有率28.56%を増加してはならない。
 (4)華潤雪花ビールと北京燕京ビールの株式保有を求めてはならない。
     華潤雪花は華潤創業と米
Miller の合弁会社で中国販売量ナンバーワンビール(シェア15%)

2008/12/1 中国の独禁法、初の海外での合併ケース

米コカ・コーラによる中国最大の果汁メーカー、中国匯源果汁集団の買収に関しては、中国商務部は2009年3月にこれを不承認とした。
コカ・コーラが匯源社の「美汁源果粒橙」と「匯源果汁」という有名ブランドを押さえ、炭酸飲料での支配力と合わせ、潜在的競争者の参入を妨げるなどの理由をあげ、本取引が市場での競争を阻害するとした。

2009/3/24  中国、コカ・コーラの果汁大手買収を承認せず

Diageoでは、本件はコカ・コーラの件とは異なっており、四川省政府からも支持を受けているとして、承認取得に自信を示している。


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2010年3月12日 (金)

PetroChina、Shellと共同で豪州炭層メタン生産会社に買収提案

PetroChina38日、Shellと共同で、オーストラリアの炭層メタン生産会社Arrow Energy に買収提案を出した。提案額は約33億豪ドル(約2700億円)で、株主に1株当たり4.45豪ドルの現金と、買収時に新設するアローの国際部門会社の株式を付与する。

Arrow側は提案を支持しておらず、経営陣は株主向けに「何の行動も起こさないことを推奨する」としている。

同社は豪東部などで、石炭ができる過程で生まれる炭層メタンの権益を保有する資源会社。

炭層メタン(Coal Seam Methane)はCoal Bed MethaneCoal Seam GasCoal Mine Gas等とも呼ばれ、石炭の炭化に伴って生成されたガスで、石炭内に自由及び吸着状態で包蔵されている。

従来の技術では開発が難しいとされていた非在来型天然ガスで、従来の採掘手法とは違う特殊な方法で採取する。

Arrow Energy豪州北東部のQueensland州に豪州最大の炭層メタン採掘地を保有している。

炭層メタンは液化天然ガス(LNG)にし、需要の伸びが見込める中国を始めアジアへの輸出を狙う。

PetroChinaにとって、これは豪州の炭層メタンへの最初の投資となる。
同社にとって先進技術にアクセスできることとなる。この技術の他地域での使用も狙っている。

中国は最近、PetroChina Woodside PetroleumからLNGを購入する交渉が破綻したり、Rio Tinto Chinalcoによる出資を拒否するなど、豪州との取引でうまくいっておらず、これがShell組んだ理由とみられている。

中国では国内のエネルギーミックスでの石炭や石油の比率の引き下げを図っており、天然ガスのニーズは増加している。
PetroChinaは沿岸部にLNG受け入れタンクを建設しており、更に増加を図っている。


Shellは2008年にArrowがクイーンズランド州に持つ炭層メタンガス権益の30%などを取得しており、昨年8月には30億豪ドル規模の買収案をアローに提示したが、交渉は結論が出ないまま終了したと報じられている。

今回PetroChinaと組む理由としては、コスト削減でレイオフをしており、配当も凍結する可能性があることから、単独での大規模な買収は社内でも株主からも不満が出るからではないかとされている。

また中国という大市場への販売でも有利となる。
Rio Tinto 問題の後でもあり、PetroChinaと豪州で組んだということは、Shellの今後の中国での活動でも有利に働くと思われる。

但し、豪州政府は中国を含め、外国の国営企業による豪州の資源企業への買収承認に慎重になっており、この点はShellにとってマイナスに働く。

ーーー

世界銀行理事会は2009年5月、炭層メタンの開発と利用促進を支援するため、中国に対し8,000万ドルの融資を承認した。
中国の増大するエネルギー需要に応え、かつ、石炭燃焼に伴う温室効果ガス排出と大気汚染の軽減を目指している。


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2010年3月11日 (木)

LyondellBasell、Reliance の買収提案を拒否

再建を進めているLyondellBasellがインドのRelianceによる145億ドルの買収提案を拒否したことが、32日に明らかになった。

RelianceはLeon Blackが経営する非公開投資会社Apollo Management LPを始めとする債権者集団と対抗していた。

債権者集団は債権の代わりに株式を与えるという再建案に同意しており、会社側は再建案の方が債権者にとり有利であるとみなした。

近いうちに裁判所から再建案の承認を得て、Chapter11からの離脱を図る。

ーーー

Basell 127億ドルでのLyondell買収により、200712月にLyondellBasellが誕生した。

しかし、金融危機に伴うグローバルな経済不振のなかで、LyondellBasell Lyondellを始めとする多数の買収に伴う債務に苦しんた。Standard & Poor's によると同社の債務は260億ドル。

2009年1月、LyondellBasellは民事再生法(Chapter 11)を申請した。

LyondellBasell はロシアの億万長者 Len Blavatnik の所有するNew York-based Access Industries が株主だが、2009年5月に、ドイツの投資家 Andreas Heeschen ProChemie Holding Ltd が加わることとなった。ProChemie Holding Access Industries 50/50出資でドイツに ProChemie GmbH を設立し、これがLyondellBasell の株主となった。

2009年11月、億万長者のMukesh Ambaniが率いるインドの新興財閥 Relianceが買収のオファーを行った。

2007/12/24 LyondellBasell Industries 誕生
2009/1/1 LyondellBasell、民事再生法申請も
2009/1/7 LyondellBasellChapter 11 申請
2009/2/4 LyondellBasell Chapter 11 申請の影響
2009/4/27 LyondellBasell、親会社も米国の民事再生法対象に追加
2009/5/22 LyondellBasell に新出資者
2009/5/25 LyondellBasell の業績
2009/7/2 Lyondell Basell 買収の裏話
2009/11/22 インドのRelianceLyondellBasell 買収のオファー

その後、LyondellBasellは債権者団体との間の再建計画交渉とRelianceとの交渉を並行して進めた。

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20091224日、LyondellBasellは主たる有担保債権者集団が同社の再建案を支持したと発表した。

その内容は以下の通り。いずれも裁判所の承認を必要とする。

1) 債権者からの訴訟の解決

担保無し債権者からの、有担保優先債権者とつなぎ融資者に対して担保や保証を放棄せよとの訴訟の解決提案

(a) 担保なしの債権者に 3億ドルを配分
(b) 他の有担保債権者に対する同様の訴訟に対抗するための裁判費用の積み立て

2) 株式引受契約の承認

Apollo ManagementAres Management が下記増資で引受けのない株を引き受ける。

3) 修正再建計画 

Chapter 11 から脱却するのと同時に有担保債権者に総額28億ドルの増資を行う。 

有担保優先債権者とつなぎ融資者は約180億ドルの債権を株式に転換する。

4) 再建計画支持契約

有担保優先債権者とつなぎ融資者は再建計画を支持する。

ーーー

LyondellBasell は本年216日、Chapter 11から離脱するための一歩となる協定を結んだと発表した。

担保なしの一般債権者の委員会が、上記の会社と有担保債権者との間の協定に対して反対していたが、それを解決するもの。裁判所の承認を必要とする。

解決策では担保なしの債権者に対する配分額を3億ドルから4.5億ドルに増やした。追加の1.5億ドルは、有担保債権者とつなぎ融資者への支払いを減額する。

この見返りに一般債権者は再建案に賛成した。

ーーー

Relianceは当初120億ドルを提示したが、その後 135億ドルに引き上げた。

しかしLyondellBasell はこれを拒否したため、本年2月に145億ドルに引上げた。
これは
Relianceに対してLyondellBasellのマジョリティは取得しないが、役員会を支配できる多数議決権(super-voting power)を与えるものとされている。

この案では、担保無し債権者はある程度の返済を受けられる可能性、株を受け取る可能性がある。 

しかし、会社側の再建案では、債権者は180億ドルの債権を放棄して会社の支配権を得ることとなる。更にApollo ManagementAres Managementは他の債権者とともに合計28億ドルの増資を引き受ける。

Relianceがこれに対抗するには買収金額の引き上げが必要だが(LyondellBasell160億ドル以上とした)、同社はこれが最高限度とした。

ーーー

Reliance はインドの新興財閥でインド最大の私企業。 事業は多岐にわたり、ガスパイプライン、石油精製、化学繊維、アパレル等の上流から下底までの石油化学事業、通信、電力等インフラ事業を行っている。

同社はアジアを越えて欧州と北米に石油化学、合成樹脂事業などを拡大する機会を狙っており("global player になりたい")、いずれも失敗はしたが、BPの石化子会社 Innovene 買収を図り、更にGE Plasticsの買収も検討した。

2007/1/16 インドの Reliance Industries

同社では買収により高級プラスチックの最新技術が得られること、流通ネットワークが得られることなど、大きなシナジー効果が得られるとしている。

同社ではLyondellBasellに対して、両社のシナジーで10億ドルのコスト低下が見込めると説得していた。

RelianceLyondellBasell買収を狙うと同時に、オイルサンドの権利を持つカナダのValue Creation Inc.買収にも関心を示している。同社の65%を取得するため20億ドルのオファーを行ったとされている。

また、DowKuwaitPetrochemical Industries Co (PIC)との石化JVのK-Dow Petrochemicals の破談で代わりの相手を探しているが、これに乗る可能性もある。

K-Dow Petrochemicals の場合、出資比率は50:50で、PICは新会社参加で75億ドルを支払い、配当15億ドルを受け取るため、ネットで60億ドルの支払いとなっていた。

これはLyondellBasellよりもかなり安い。

ダウは3社と交渉中とされている。

2008/12/3 ダウとクウェートのPIC、石油化学合弁契約締結 

2009/1/7 ダウ、「変身戦略」を続行


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2010年3月10日 (水)

チリのメタノール会社

3月1日の日本経済新聞の「私の課長時代」に丸紅の朝田照男社長の記事が出ている。

  1986年、プロジェクト金融部金融開発課担当課長になる。

米複合企業のシグナル社が、チリに作るメタノール工場に納入する機器の支払いを対象にした150百万ドルのプロジェクトファイナンスを「引き受けないか」と言ってきた。

  シグナル社との交渉が始まり、朝田氏は米サンディエゴに通い詰めた。

契約にこぎつけたのは89年末。
ところが2年後の91年、シグナル社はこの事業を丸ごと売却する。利益は出ていたのに「化学品はコアではなくなった」とあっさり。

(これらの年号は事実と若干異なっているようだ)

このメタノール会社はCape Horn Methanol Ltd.という名前で、Allied-Signal の子会社 Henley Group が82%を出資、丸紅とチリの投資家が残りを出資していた。
Cabo Negroに能力75万トンの工場を建設、1988年に稼動した。
原料の天然ガスを近くの石油・ガス田からパイプで輸送した。

このプロジェクトは1982年に当時Wheelabrator Technologiesの子会社であったKelloggが始めたものだが、1983年にWheelabratorSignal に買収された。
Signal 1985年に Allied Corp. と合併しAllied-Signal となった。

1986年にAllied-Signal はコア事業を航空宇宙、自動車用製品、工業材料の3分野に絞り、非戦略事業の35事業を子会社のHenley Group に移し、順次売却した。メタノールのCape Horn Methanolもこれに含まれた。

1993年にカナダのMethanexがこれを買収し、その後、1996年、1999年、2005年に3工場を稼動させ、現在は4工場で合計3,800千トンの能力となっている。

ーーー

Allied-Signal 1993年にAlliedSignal と改称、1999年に航空部門大手のHoneywell を150億ドルで買収して合併し、社名をHoneywell に変えた。

その後、GEとの買収を目指したが、EUの反対で実現しなかった。

ーーー

Methanex のメタノール能力は以下の通り。(千トン)

工場 能力  備考
Canada Kitimat     0  2005/11停止
Trinidad Point Lisas   850  
Atlas Methanol  1,700  BP 36.9%/Methanex 63.1%
Chile Cabo Negro  3,800  4 plants
New Zealand Motunui and Waitara Valley  2,400  2 plants
合計    8,750  
建設中
Egypt

Damietta
 
1,300
Methanex 60%
エジプト政府機関 33%
APICORP 7%

このほか、Methanexは中国のXinAo GroupDME製造販売子会社の20%を買収した。

上海近郊に第一期 200千トンプラント(最終 1,000千トンの計画)を建設中で、
Methanex は原料メタノールを供給する。

 


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2010年3月 9日 (火)

大西洋クロマグロが輸出入禁止? 

ワシントン条約締約国会議が3月13日から中東のカタールで開催されるが、大西洋クロマグロ(bluefin tuna)が「絶滅の恐れがある種」に指定され輸出入が禁止される可能性が高まっている。

モナコは2009年10月、大西洋と地中海のクロマグロを、商業目的の輸出入を禁止するワシントン条約の「付属書1」の対象種とするよう、ワシントン条約事務局に正式提案した。

「付属書1」の対象種は、絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるものとなっており、これらの種の取引は、これらの種の存続を更に脅かすことのないよう特に厳重に規制するものとし、取引が認められるのは、例外的な場合に限られる。

但し、モナコの提案では、EU内の取引は国際取引ではなく、EU内での売買のための漁獲は認めるとなっている。

マグロの資源保護は、これまで「大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)」など5つの地域漁業管理機関が漁獲枠を定めるなどして対応してきた。

マグロ類の保存管理に関する国際的な枠組み
  大西洋:大西洋 まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)
  東部太平洋:全米熱帯まぐろ類委員会(IATTC)
  インド洋:インド洋まぐろ類委員会(IOTC)
  南半球水域:みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)
  地中海:地中海漁業一般委員会(GFCM)

なお、中西部太平洋でのマグロについて中西部太平洋まぐろ類条約(WCPFC)があり、日本も締結している。

だが、1970年に25万匹いたとされる大西洋クロマグロの親魚は、近年は10万匹まで減少したと推定され、「漁業管理だけでは絶滅を防げない」との批判が拡大している。

大西洋・地中海クロマグロの現在の漁獲枠のうち80%を日本が消費している。

ICCATの科学者が、地中海及び大西洋東部での総漁獲可能量は8,500トン~15,000トンで、5月~7月の繁殖期には休漁すべきであるとした。

しかし、ICCAT加盟国は2008年11月、 2009年に22,000トン、2010年に19,950トンの漁獲を認め、しかも51日から6月20日までの漁獲も認められた。

但し、輸出入禁止の動きから、昨年11月のICCAT総会では日本などからの提案で、2010年の東大西洋・地中海のクロマグロの漁獲可能量を前年に決めた19,950トンから13,500トンに下げることで合意している。
これは2009年の22,000トンから40%カットとなる。

これに対し、グリーンピースでは、ICCAT科学委員会も必要性を認めていた大西洋クロマグロの休漁の呼びかけを聞き入れなかったと批判している。

モナコ元首のアルベール2世公(Albert 、父はRainier 、母はGrace Kelly)は2005年7月に即位して以来環境保護を国政の重要テーマの一つに位置付けている。

彼は2009年6月5日のWall Street Journal に英紙記者と連名でクロマグロの保護を訴える意見を投稿した。米国に協力を求めている。

It's Not Too Late to Save the Tuna
 The U.S. should step forward to stop exploitation of the seas
 http://online.wsj.com/article/SB124416336079787523.html

このなかで、クロマグロは絶滅の危険にあるが、東大西洋と地中海の漁民は科学者が推奨する数の2倍を獲り続けているとし、これはICCATの大きな失敗であり、地中海で稚魚をごっそり獲ってイケスで育てる蓄養システムの拡大を規制せず、また、漁獲割当を高めに設定し、飛行機で追跡してモダンなハイテク機器を使用する違法漁業での獲り放題を黙認してきたと批判している。

(注)蓄養の場合、稚魚をそのままイケスに入れるため、捕獲数が確認できず、国別の捕獲数よりも輸出数が多いケースがある。

イケスは狭いので運動量は少なくなり、身も柔らかくなる。さらに、エサ(イカ・イワシ・サバ)を大量に与えると、天然モノでは約1~2割しかないトロの部分を約2~4割増やすと言われている。

このため、日本の商社などの主導で始まった。

EUでは2009年9月にスペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、キプロス、マルタの地中海沿岸6カ国が禁止に反対し、欧州委提案は拒否された
だが、
最近になってクロマグロ漁業国のフランス、イタリア、スペイン、ギリシャなどが相次いで禁止支持に回った。

フランスは2月に方針転換を表明した。漁業者との補償交渉のため完全禁止まで18カ月の猶予を設けることを提案した。

イタリアも1月末に、過剰に捕獲してしまう巻き網によるクロマグロ漁を今年は全面禁止すると発表した。
同国は大量のクロマグロ在庫を抱え、卸売価格は2年前の半額にまで下がっており、漁を続けるうまみがなくなった。

EUの欧州委員会は3月22日、2011年夏からの大西洋クロマグロの商業漁業禁止を提案すると発表、大西洋・地中海のクロマグロの禁輸を支持するよう加盟27か国に提案した。

これに対し、日本の農林水産省は各国に「漁業管理はワシントン条約ではなく、従来通りICCATで行うべきだ」との日本の主張を伝え、同調を呼びかけている。

農水政務官は2月22日、ワシントン条約締約国会議でクロマグロの輸出入禁止の提案が採択される場合、日本として決定に縛られない「留保」を主張する方針をEUに伝えた。

米国は昨年10月、国際取引禁止への暫定的な支持を表明したが、ICCATが資源管理を大幅強化すれば支持撤回を検討するとしてきた。

ICCATは上記の通り、2010年の漁獲可能量を前年のそれから40%カットしたが、米内務省は3月3日、地中海を含む大西洋産クロマグロの国際取引禁止を引き続き支持すると発表した。
ICCATによる漁獲枠の削減は十分ではなく、米国は魚類や漁業について長期的に重大な懸念を持っている」とした。

ーーー

ワシントン条約(175加盟国)の目的は絶滅のおそれがある野生生物の保護で、種が「付属書1」に記載されると国際取引は禁止となる。

附属書I  絶滅のおそれのある種であって取引による影響を受けており又は受けることのあるもの

これらの種の標本の取引は、これらの種の存続を更に脅かすことのないよう特に厳重に規制するものとし、
取引が認められるのは、例外的な場合に限る。

例:
オランウータン、スローロリス(
小型サル)、ゴリラ、アジアアロワナ(淡水魚)、ジャイアントパンダ、
木香(薬草)、ガビアルモドキ(ワニ)、ウミガメ など

附属書
(a) 現在必ずしも絶滅のおそれのある種ではないが、その存続を脅かすこととなる利用が
なされないようにするためにその標本の取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれのある種
   
(b) (a)の種以外の種であって、(a)の種の標本の取引を効果的に取り締まるために
規制しなければならない種

例:
クマ、タカ、オウム、ライオン、ピラルク(熱帯魚)、サンゴ、サボテン、ラン、トウダイグサ など

附属書Ⅲ いずれかの締約国が、捕獲又は採取を防止し又は制限するための規制を自国の管轄内において
行う必要があると認め、かつ、取引の取締りのために他の締約国の協力が必要であると認める種

例:
セイウチ(カナダ)、ワニガメ(米国)、タイリクイタチ(インド)、ミダノアワビ(南アフリカ) など

附属書Ⅰ及び附属書Ⅱの改正をする場合、出席しかつ投票する締約国の3分の2以上の多数による議決で採択する。
会合において採択された改正は、会合の後
90日ですべての締約国について効力を生ずる。

一旦採択されると、付属書1の記載を外すのにも投票国の3分の2の支持が必要で、解除するのは極めて難しい。

ただし90日の期間内に書面による通告を行うことにより、改正について留保を付することができる。
留保した締約国は、留保に明示した種に係る取引につきこの条約の締約国でない国として取り扱われる。

ーーー

採択された場合、日本が留保することは可能で、この場合、同じく留保した国からの輸入は可能ではある。

日本は現在、付属書I に掲げられている、マッコウ鯨、ツチ鯨、ミンク鯨、イワシ鯨、ニタリ鯨、ナガス鯨等を留保している。

但し、加盟国の2/3以上の賛成で決めたことに対し、賛成はしないとしても、主要国の圧力のなかで、これを無視するという「留保」を行う国がどれだけあるか分からない。

経済危機でEUの支援を求めるギリシャは、賛成にまわった。

また、国際条約で禁止された行為の継続には厳しい視線が向けられるのは避けられない。

ワシントン条約のウィンステッカー事務局長は3月2日、日本政府が留保権を行使すると表明したことに強い不快感を示し、「世界に非常に悪い印象を与える。日本は政治的に難しい立場に置かれるだろう」と述べた。

本年10月には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋で開催される。

現在、全世界では約187.1万トンのマグロが漁獲されており(2006年FAO統計クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハタ、ビンナガの5種)、日本は、約21.6万トンを漁獲し、約25.7万トンを輸入している。

大西洋・地中海のクロマグロの輸入量はこのうちの2万トン程度であり、在庫もあるため、当面の影響は少ない。

しかし、今回の動きが、マグロを「漁業資源」ではなく、「野生生物」として保護しようとしている点が問題で、大西洋で認めたら、次は太平洋やインド洋、そして、減少が懸念されるマダラなど、他の魚にまでドミノ倒しのように規制が広がるのではとの懸念がある。

 


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2010年3月 8日 (月)

アステラス製薬、米国OSI Pharmaceuticalsに敵対的TOB

アステラス製薬は3月1日、米国の医薬品会社OSI Pharmaceuticals TOBを行うと発表した。

発行済みの全ての普通株式を1株あたり52ドルの現金を対価として取得するもので、直近1年間の最高値に対して31%のプレミアムを加えた価格となり、総額は約35億ドルとなる。

アステラスでは13ヶ月にわたり、買収について協議をしてきたが、先方はアステラスの提案が同社の価値を極めて低く評価しているとしてこれを拒絶したため、敵対的TOBとなる。

アステラス製薬は、デラウェア州衡平法裁判所(Delaware Chancery Court)に、OSI Pharmaceuticals の取締役がTOBを不適切に妨害することを禁止させる、宣言的、差し止め救済を求める訴訟を提起した。

アステラスはGlobal Category Leaderの実現を目指し、がん領域を重点疾患領域に位置づけ、早期の事業基盤確立に向けた取り組みを積極的に進めている。

アステラスは、“Unmet Medical Needs”が高く、高い専門性が必要とされる複数の領域「Category」において、「Global」に付加価値の高い製品を提供することで競争優位を実現し、各々の「Category」にて「Leader」としての存在を確立する「Global Category Leader」というビジネスモデルの構築を目指している。

OSI Pharmaceuticalsは、がん及び糖尿病/肥満の領域において分子標的薬の創製、開発、商業化にフォーカスしている医薬品企業。世界でも有数のがん治療剤Tarceva(R)の製造・販売を通じてがん領域における米国事業基盤を既に構築しているとともに、同領域において複数の新薬候補化合物を開発パイプラインに有している。

アステラスでは、OSI Pharmaceuticals 買収により、米国においてトップクラスのがん領域事業を早期に立ち上げることができるほか、製品ポートフォリオ及び開発パイプラインをさらに拡充することができるとしている。

ーーー

アステラス製薬は2009年1月、米国の心疾患系医薬品のメーカー CV Therapeutics, Inc に対し、1株当たり16ドル、総額11億ドルでの敵対的買収を提案した。

しかし、Gilead Sciences, Inc.が3月12日に、1株当たり20ドル、総額14億ドルで同社を買収する契約を締結した。

この結果、アステラスは「Gilead Sciencesによる買収価格の水準は当社の株主価値の向上に見合わないものと判断し」、買収提案の終結を決定した。

2009/3/14 CV Therapeutics 社に対する買収競争へ


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2010年3月 6日 (土)

中国の都市部と農村部所得格差が拡大

中国国家統計局の発表では、2009年の中国の都市部の一人当たり純所得は17,175人民元($2,525)で、農村部の5,153人民元と比較し、3.33対1に広がった。(格差は12,022人民元)

中国日報によれば、1978年の開放政策開始以来、都市部と農村部の所得格差は最大となった。

  ソース:National Bureau of Statistics of China

中国農務部の農村経済研究所の研究員は、国が農村開発よりも都市の拡大に注力しているため、所得格差は今後もっと拡大すると懸念している。

China Society of Economic Reformの研究員も同様の懸念を示し、国営企業の経営者や不動産開発者、特定企業の経営者の冨が急速に増える一方、一般社員や出稼ぎ労働者の所得は低いままであるとしている。

今後は中国は経済を軌道に乗せるためには、設備投資や外国貿易ではなく、個人消費に頼る必要があるため、政府は国民の所得を5年で倍増する計画を実施するべきだとの声もある。

ーーー

中国の調査会社によると、10百万元(約150万ドル)以上の金持ちが825千人、1億元以上が51千人になった。
これらの人のうち、57%は年間100~300万元を、他の18%は300万元以上を消費している。

昨年、中国の億万長者Luxury Asia Limited から購入したプライベートジェット機は15機にのぼった。

中国のSuper-rich は昨年、世界の贅沢品の27.5%を購入した。

ーーー

中国各地の新聞13紙が3月2日、異例の共同社説を一斉に掲載し、近く開会する全国人民代表大会と全国政治協商会議の代議員に対し、職権を行使して戸籍制度改革を迅速に実現するよう呼び掛けた。

中国の戸籍制度は「都市戸籍」と「農村戸籍」を区分。農村からの出稼ぎ労働者が出稼ぎ先の都市で十分な社会保障が受けられないなど、格差拡大の一因となっている。

社説は「わが億万の国民が地域の南北、都市農村の区別なく、就職・医療・養老・教育・自由な移転の権利を与えられるよう望む。数十年にわたる悪政はわれらの世代で終わらせてもらいたい。後の世代には憲法が保障した自由、民主、平等の神聖な権利を与えよ」とした。

中国政府は既に制度改革の意向を示しており、一部の都市では制度の見直しが進んでいる。


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2010年 World's Most Admired Companies

Fortune3月22日号は2010年のWorld's Most Admired Companies を発表した。
    
http://money.cnn.com/magazines/fortune/mostadmired/2010/full_list/ 

参考 昨年分 2009/3/9 World's Most Admired Companies

各業種ごとに、売上高の大きさで15社を選び、その業界の経営者等が次の9つの基準で点数を付け、それにより順位付けを行うもの。

Innovation、②People management、③Use of assets、④Social responsibility、⑤Management quality
Financial soundness、⑦Long-term investment、⑧Product quality、⑨Global competitiveness

全体のトップ50にはトヨタ自動車(7位)、ホンダ(36位)、ソニー(38位)の3社が入っている。
トヨタは2009年の3位からは順位を落とした。リコール問題が影響したとみられる。

化学会社は以下の通りで、BASFDuPontが昨年に続き、1位、2位を占めた。

日本企業は三菱ケミカル、住友化学、旭化成が15位までに入り、それぞれ昨年より順位を上げた。

順位   score 2009
順位
1 BASF 7.04
2 DuPont 7.03 2
3 PPG Industries 6.96 7
4 Bayer 6.87 6
5 L'Air Liquide 6.36 8
6 Dow Chemical 6.11 5
7 Linde 5.97 10
8 Mitsubishi Chemical 5.63 9
9 Akzo Nobel 5.54 11
10 Sumitomo Chemical 5.40 13
11 SABIC 5.28 12
12 Sasol 5.19  
13 Asahi Kasei 5.10  
14 Evonik Industries 5.02 14
15 ChemChina(Blue Star) 4.89  

医薬会社は以下の通り。日本企業は13位までに入っていない。

順位   score 2009
順位
1 Abbott Laboratories 6.68 3
2 Johnson & Johnson 6.67 1
3 Novartis 6.61 2
4 Roche Group 6.19  
5 GlaxoSmithKline 5.94 5
6 AstraZeneca 5.93 7
7 Amgen 5.91 6
8 Merck 5.89 4
9 Sanofi-Aventisl 5.54 11
10 Bristol-Myers Squibb 5.40  
11 Eli Lilly 5.20 8
12 Boehringer Ingelheim 5.13 10
13 Pfizer 5.06 13

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2010年3月 5日 (金)

INEOS、節税のためスイスへの移転を検討 

多額の負債を抱え再建中の英国のINEOSは3月3日、本社をスイスに移転することを検討していると発表した。
債権者に同意を求めている。

同社では、業績が回復してきたが、英国では
増税が検討されており、税金の負担が増えるとし、英国よりももっと低税率の国に本社を置く他の主要化学会社と競争していくためにスイスに本社を移すとしている。

移転により2014年までの間で450百万英ポンドの節税になると見込んでいる。

英国の企業では節税のために本社を外国に移す企業が増えており、個人でも金持ち層でその動きがある。

McDonald's Corp.は昨年秋に欧州本部をロンドンから税率の安いジュネーヴに移転した。
G
oogleやYahooなどの代表的企業が、ここ最近数年の間にEU本社をスイスに移している。

保守党の影の大臣は、高税率を理由に英国から離脱を図る企業が増えているのを認めた。

英国のビジネス・イノベーション・技能省(昨年創設)では、INEOSの決定は残念だとし、英国の法人税率はG7では最も低いとしている。

ーーー

財務省によると2009年7月時点の各国の法人所得課税の実効税率は以下の通り。
スイスは別資料からとった。

実効税率は法人税の計算上、地方税が損金算入されることを調整したもの。

米国はカリフォルニア州の場合、ドイツは全ドイツ平均、スイスは州により異なり、現在12.7~24.5%となっている。

法人税率そのものは、
日本 30%、米国 35%、フランス 33.33%、ドイツ 15%、英国 28%、中国 25%、韓国 22%、スイス 8.5%。

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/084.htm

 

 


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日本のジェネリック市場の動き

第一三共は2月26日、日本のジェネリック市場へ参入するため、4月1日に第一三共エスファを設立すると発表した。

同社は2008年11月にインドのジェネリック医薬品大手 Ranbaxy Laboratories の63.9%を取得し、「先進国市場+新興国市場」「イノベーティブ+エスタブリッシュト」の双方を視野に入れた「複眼経営」の実現に向けて踏み出した。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

第一三共エスファは、Ranbaxyの事業ノウハウやコスト競争力、更には国内外の製薬会社とのネットワークを活かし、製品パイプラインの拡充と、継続的な製品の安定供給を実現していくとしている。

また、今後のニーズがますます拡大していく抗体医薬等のバイオシミラーバイオ医薬品の後発品)への取り組みも、グループ全体で検討していく。

ーーー

ジェネリック医薬品(新薬の特許切れ後に割安な価格で売り出す後発薬)は厚生労働省が患者負担の軽減や医療費抑制を目的として普及を推進しており、今後、需要が増えることが予想される。

このため、有力企業が相次ぎ参入し、競争が激化している。また、海外のジェネリック医薬品メーカーも多数進出している。

最近の動き:

万有製薬(Merck 100%子会社)   

バイオ後発医薬品市場に参入。   

腎不全に伴う貧血の治療薬「エリスロポエチン」(協和発酵キリンが販売)の後発薬の臨床試験を開始した。
2012年以降に販売する。

なお、万有製薬は本年下期にシェリング・プラウと統合するが、統合後の社名はMSD株式会社とする。
親会社の米Merckは米Schering-Ploughを買収、200911月に経営統合を完了している。
   2009/3/11 
Merck、米Schering-Plough を買収 

米国MerckはドイツのMerck KGaAから分離した。 2006/3/23 2つのMerck社
このため、米国Merckは米国、カナダ以外の地域では「MSD」(
Merck Sharp & Dohme)の名称を使用、逆にドイツのMerck KGaAは米国とカナダでは「EMD」の社名を使用している。

万有製薬も今回の統合を機会に他国に合わせ改称する。

富士フィルム

富士フイルムは、2010年4月営業開始を目指して富士フイルムファーマを設立、医薬品開発・販売に本格参入する。
三菱商事、東邦ホールディングスとの資本・業務提携により早期にビジネスを確立するが、営業開始当初は
ジェネリック医薬品の販売から開始する。

2010/2/22 富士フイルム 医薬品開発・販売に本格参入

ファイザー

製薬世界最大手の米Pfizer は日本で後発医薬品市場に参入する。

2009年12月に日本法人に特許切れ薬を専門で担当する「エスタブリッシュ製品事業部」を新設した。
まず特許が切れた自社製品約70品目の販売を新部署に集約、他社の特許切れ成分を使った後発薬についても厚生労働省に販売許可を順次申請し、承認が得られ次第、発売する。

Pfizerはジェネリックでも世界で5位で、子会社Greenstoneが扱っている。

日医工

ジェネリック医薬品最大手の日医工は本年1月14日、富山県滑川市の主力工場に遺伝子組み換え技術などを使って製造するバイオ後発薬の開発技術センターを設置し、バイオ薬品事業に参入することを発表した。

田辺三菱製薬

田辺三菱製薬は2008年4月1日付でジェネリック医薬品のプロモーション並びに販売を目的とした子会社の田辺製薬販売を設立した。

2008年5月には田辺三菱製薬は長生堂製薬と資本業務提携を行った。
長生堂製薬の株式の過半数を取得し、包括的な業務提携を行なって、この分野で豊富な事業経験と基盤を有する同社の製品ラインナップ、営業・生産基盤と、田辺三菱製薬の事業基盤を融合し、この分野のリーディング企業を目指す。

あすか製薬

中堅薬会社のあすか製薬(帝国臓器製薬とグレラン製薬が合併)は2009年4月、アイスランドのActavis Group とのJV あすかActavis製薬(あすか55%/Actavis45%)を設立した。
ジェネリック医薬品の開発、製造および販売を行う。

興和テバ

ジェネリック医薬品の世界最大手のイスラエルのTeva Pharmaceutical Industries は20089月、日本で興和との折半出資会社の興和テバ(Teva-Kowa Pharma)を設立して、日本市場に本格参入した。

合弁会社は、両社の研究開発、製造、物流、マーケティングの力を合わせ、日本市場で高品質のジェネリック医薬品の供給を行なう。

2008/9/26 ジェネリック医薬品の世界最大手、日本進出

興和テバは2009年12月に大正薬品工業と戦略的提携を行い、本年2月には増資引き受けで出資を88.28%に増やした。

ーーー

その他、各社の動き:

エーザイ

1996年4月に高齢者向けの価値型ジェネリック販売会社 エルメッドエーザイ(Elmed Eisai)を設立した。

価値型ジェネリックとは、「剤型」「情報」「経済性」において、従来の後発品にはない付加価値を持つジェネリックを意味する。

大原薬品工業

伊藤忠ケミカルフロンティア、稲畑産業、CBCがそれぞれ17.24%を出資。

共和薬品工業

2007年10月、インドのLupin Limited共和薬品工業の株式の過半数を取得した。

Lupin は研究注力型のジェネリック企業で、プネ市に最先端の研究所を有し、抗結核薬及びセファロスポリン(抗感染症)、CVS(心血管系)のグローバル・リーダー。

サンド

SandozNovartis generic 部門 で、Tevaに次ぐ世界第二位のメーカー。

1996年にSandozCiba-Geigyの統合によりNovartisが誕生したが、2003年にgeneric 部門がSandozとなった。
Sandoz2005年にドイツ2位のgeneric企業のHexal AG及びHexalと戦略的提携関係にある米国のEon Labsを買収し、統合した。

日本のサンドは元は共立薬品工業で、1979年に米のRorer 傘下に入った。

Rorer 1990年にRhone Poulencに吸収されて Rhone Poulenc Rorerとなった。
Rhone Poulencの化学部門は1997年に分離してRhodia
となった。
1999年に Rhone Poulenc RorerHoechstが合併してAventisとなり、2004年にSanofi-Synthe'laboと合併して Sanofi-Aventisとなった。

その後、Hoechst JapanRhone Poulenc Rorerの日本のgeneric 部門を買収してCox Japan としていたが、Hexalが日本に進出してこれを買収し、Nippon Hexalに改称した。
SandozHexal買収で20061月にサンド株式会社に改称した。

Cox Pharmaceuticalsは英国のgeneric 会社で、Hoechstの子会社となった。
1998年にAlpharmaCox を含むHoechstgeneric 部門を買収した。
2005年にActavisAlpharmaを買収した。

日本ケミファ

2002年にインドのRanbaxy Laboratoriesと包括的業務提携を行ったが、第一三共によるRanbaxy 買収の結果、2009年に包括的業務提携を解消した。

なお、日本薬品工業は日本ケミファとランバクシーの50:50のJVとなったが、提携解消で日本ケミファの子会社となっている。

日本ユニバーサル薬品

2007年4月、インドのZydus Cadila が日本ユニバーサルを買収した。

日本ユニバーサルと取引がある医薬品卸を通じて全国に4千カ所ある製品納入先の医療機関に販路を広げ、ザイダスの後発薬を 売り込む。

Zydus グループの本社はインド北部グシャラード州アーメダバードにあり、インドではCadila Healthcare、インド国外ではZydusの名称で事業展開している。

メディサ製薬

沢井製薬の100%子会社であったが、2006年に住友商事が約20%、住商メディケムが約15%出資した。

マイラン製薬

20082月設立で、同年5月にメルク製薬を吸収合併した。

2007年に米国Mylan Laboratories がドイツのMerck KGaA からgeneric部門のMerck Generic Groupを、また、インドのMatrix Laboratoriesを買収し、genericで世界第三位になった。

ーーー

世界のgeneric医薬品メーカー大手は以下の通り。医薬品大手が含まれている。

企業 備考 日本の活動
Teva Pharmaceutical イスラエル 米国 Barr Pharmaceuticals を買収 興和テバ
Sandoz ドイツ Novartis generic 部門 サンド
Mylan アメリカ ドイツMerck generic部門買収
インド Matrix Laboratories を買収
マイラン製薬
Watson Pharmaceuticals アメリカ Andrx を買収
Greenstone アメリカ Pfizergeneric 部門 ファイザー
Apotex カナダ
Stada Arzneimittel ドイツ
Ratiopharm ドイツ
Winthrop 英国 Sanofi-Aventis generic 部門
Bayer ドイツ
Actavis Group アイスランド 米 Amide Pharmaceutical を買収
Alpharma
を買収
(Alpharma Coxを含む
Hoechstの
generic部門を
買収)
あすかActavis製薬
Dr. Reddy's Laboratories インド
Ranbaxy Laboratories インド 第一三共が買収


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2010年3月 4日 (木)

シノペック鎮海煉油化工、新エチレンセンターのポリプロ工場を先行稼動 

Sinopec子会社の鎮海煉油化工(ZRCCZhenhai Refining & Chemical Co.)は2月10日、浙江省寧波市の鎮海で新しいポリプロ工場をスタートさせ、オンスペックとなった。
能力は30万トンで、2007年に建設を開始し、昨年12月に設備が完成した。製造技術と触媒は
Sinopecのもの。

同社は年産100万トンのエチレンコンプレックスを建設中で、エチレン、プロピレンと誘導品は3月終わりか4月初めにスタートする予定。

ZRCCはシノペックの製油所の一つで、原油処理能力は23百万トンあり、年産60万トンの尿素、100万トンのBTX、20万トンのPPを持っている。



既存のPPは製油所から原料プロピレンを得ており、エチレンコンプレックスがスタートするまでは既存PP工場を停止し、そのプロピレンで新しいPP工場を稼動させる。

コンプレックス完成後のPP能力は合計50万トンとなる。

中国は2009年に155万トンのプロピレン、412万トンのPPを輸入している。

ーーー

本プロジェクトは当初、エチレン60万トンで計画、ARCO と交渉したが、1999年に交渉は終了した。
2000年11月に相手をBPアモコに変更したが、まとまらなかった。

PX(450千トン)とPP(200千トン)を先行実施し、2003年末に完成させた。

2004年10月にZRCCは国家発展改革委員会(NDRC)からエチレン80万トンの承認を得た。
その後、100万トンに変更、2006年3月に最終承認を得た。

ZRCCのエチレンコンプレックスの誘導品の能力は以下の通り。(単位:千トン)

  既存 新設 技術
エチレン    1,000  
LLDPE     450 Unipol
PP   200   300 Sinopec
EO/MEG     650 Dow
BTX  1,000   600  
PX   450   Axens (IFP group)
エチルベンゼン     650  
MTBE      110  
Butene-1      40  
Butadiene     160  
SM(JV)     620 Lyondell  SM/PO併産
PO (JV)     285 Lyondell  SM/PO併産
PG (JV)     100 Lyondell
尿素   600    

ZRCCLyondell 20074月に50/50製造JVNingbo ZRCC Lyondell Chemical Company を設立した。

両社は
200911月にこれら製品の共同販売のため、販売JVのNingbo ZRCC Lyondell Chemical Marketing Companyの設立式典を行った。

 


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2010年3月 3日 (水)

速報 ダウ、スチレン系事業を売却

ダウは3月2日、Styron DivisionをBain Capital Partnersに16.3億ドルで売却する契約を締結したと発表した。ポリカーボネートや合成ゴムも含まれる。
4月までに完了する予定で、ダウはこの事業に15%まで出資するオプションを持つ。

売却事業は2009年に35億ドルの売り上げがあり、世界各地に40以上の工場を持ち、従業員は約1900人。

売却対象に含まれる製品は以下の通り。
 PS、ABS、
SAN、EPS、
 エマルジョンポリマー
 PC、PCコンパウンド
 合成ゴム
 自動車用プラスチック
   
PULSE(エンプラ)、 MAGNUMABS)、INSPiRE(機能ポリマー)、
   
VELVEX(強化エラストマー)など
 
スチレンモノマー

同社は2007年にChevron PhillipsとのSM/PSの50/50JV、Americas Styrenicsを設立、米国と南米のPS工場を拠出したが、この持分も売却対象に含まれる。

ダウは昨年7月にスチレン系事業の売却のため、売却対象の事業をまとめ、Styron, Inc と称する子会社にする考えを明らかにした。
これに対して、 Bain Capital、TPG Capital LP、Apollo Management LP、Rhoneなどの投資会社が手を挙げた。
報道によると、韓国のロッテグループもこれに関心を示した。

ダウは1月11日に、買い手候補をしぼるため、各社に買収の意向の確認を求め、その結果、候補先にdue diligence のために資料を開示した。

なお、BASFもSM、PS、ABS、SBSと、それらのコポリマーの売却を狙っている。

2010/2/4 ダウとBASF、スチレン系事業売却へ

Liveris会長兼CEOは、「非戦略事業で、社内で成長のための資源を確保できないものを更に売却し、それで得た資金を借入金返済と成長事業にまわす」と述べた。


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三菱化学、DSMとの高機能樹脂事業における事業交換契約に合意

三菱化学は2月26日、Royal DSMとの間で事業の交換(ポリカーボネート事業の買収及びナイロン事業の売却)で合意したと発表した。

同社は2009年5月29日に、「石油化学事業の再編・再構築について」の発表を行った。

カプロラクタム事業、スチレンモノマー事業からの撤退とともに、DSMが欧州を中心に展開しているポリカーボネート事業を譲り受け、同事業を拡充するとともに、ナイロン事業をDSMに譲渡するべく検討を開始したことを明らかにした。

2009/6/1 三菱化学の石油化学事業再構築

具体的な内容は以下の通りで、事業交換の実行時期は2010年5月末の予定。

(1) DSMのPC事業の譲受
・DSM Engineering Plasticsが欧州を中心に展開しているPC事業を欧州三菱化学へ譲渡する。
・欧州三菱化学は、MEPヨーロッパを総代理店としてPC樹脂を販売する。
・欧州三菱化学から
DSM Engineering PlasticsへPC樹脂コンパウンド品の欧州における生産を委託する。

これにより、
・MEPヨーロッパは汎用品グレードに加え、DSMの難燃グレードや着色グレード等高付加価値品を入手
・PCコンパウンド品を顧客の指定に合わせて供給する体制
・DSMの技術者等の受入れで、迅速で質の高い技術サービスを提供
・中国等へ進出するDSMの欧州のPC需要家の取り込み

三菱化学はオランダGeleenChemelot Research and Technologyの構内にR&Dセンターを設置する。

なお、DSMPCレジンは製造しておらず、Dowから供給を受けている。
Dow1996年にドイツStadePC工場を建設するとともに、DSM Engineering Plasticsとの間で長期のcapacity-right契約を締結したと発表した。数量は年間3万トン。

(2) 三菱化学、MEPのナイロン事業の譲渡
・三菱化学及びMEPが日本及びアジアを中心に展開しているナイロン事業をDSMエンプラへ譲渡
・台湾でナイロン樹脂の製造・販売を行っている太洋尼龍(ナイロン)の全株式を譲渡
・三菱化学がナイロン樹脂及びそのコンパウンド製品の日本における生産を受託
  三菱化学は黒崎でナイロン6 を製造している。能力は30千トン。
  太洋ナイロンは三菱化学100%で、1987年設立、能力は11千トン。

*三菱化学と三菱ガス化学は1994年に50/50出資で三菱エンジニアリングプラスチック(MEP)を設立、両社のエンプラの販売を統合している。

*DSM Engineering Plastics は以下の製品を扱っている。
 
Polyamides (polyamide 6, polyamide 66 and polyamide 46)
Polyesters (PBT, PET and TPE-E)
Polycarbonate (PC and PC blends)
Extrudable adhesive resins

DSM は、ナイロン事業を主力事業の1つと位置づけており、今回の交換で、欧米だけでなく、アジア、とりわけ日本及び中国市場において、自動車、電気・電子、包装資材分野でのサービスと新規開発能力を向上させることにより、エンジニアリング樹脂用ナイロンにおける世界の2大メーカーとしての地位を確立することが期待出来る。

なお、DSMは2008年9月に江蘇省江陰市でナイロン6 の生産を開始している。

三菱化学は、PC事業は、自動車、情報電子等幅広い分野で使用され、将来的にも成長が期待されることから、集中事業の一つとして位置づけて、グローバル展開している。
交換により、DSM の付加価値の高いコンパウンド品を中心としたPC事業を欧州及びアジアで展開、更なる拡大を期待する。

三菱化学、三菱ガス化学、MEPのPC製造拠点は以下の通り。

三菱化学 黒崎  100千トン うち新設60千トンは2008年7月に稼動延期の発表をしている。
三菱ガス化学  鹿島  100千トン 大阪工場(25千トン)は2002年に停止
三養化成 韓国   85千トン (引取権 50%) 三菱化学 25%、MEP 25%、三養社 50%
Thai Polycarbonate タイ  140千トン MEP 60%、三菱化学 5%、三菱ガス化学 5%、TOA Chem 30%
Sinopec JV * 北京  ( 60千トン) Sinopec 50%、PCR Investment (三菱化学80%/MEP 20%) 50%
 BPA 150千トンも
菱優工程塑料(上海) 上海  ( 80千トン) 三菱ガス化学 80%、MEP 20%
 コンパウンド 28千トンも

*


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2010年3月 2日 (火)

ポリプロカルテルで最後の課徴金納付審決

公取委は2月24日、出光興産に対し、課徴金納付審決を出した。2月26日に発表した。

課徴金は142,150千円で、これで7社合計の課徴金は1,455,640千円となった。

ーーー

この事件は、2000年にポリプロメーカーが売価の引き上げで合意、値上げを実施したとして、2000年5月30日に公取委が立入検査を行い、2001年5月30日に勧告を行った。

これに対し、日本ポリケム(その後、日本ポリプロ)、グランドポリマー(その後、三井化学)、チッソは応諾、住友化学、サンアロマー、出光石油化学(その後、出光興産)、トクヤマは拒絶した。

2003年3月に応諾した3社に課徴金納付命令が出た。

2000年4月の値上げ実施予定日を計算の始期とし、9月に他の各社にカルテル離脱を通知した日を終期とするものであった。
三井化学は受諾したが、他2社は審判を要求した。

2007年6月に日本ポリプロ、チッソに対する審決があり、両社は応諾した。

公取委の立入検査で値上げはなくなったとし、その前日を終期としたため、課徴金は大幅に引き下げられた。

2008年6月に残り4社への課徴金納付命令が出たが、審判となった。

2009年5月に住友化学とトクヤマ、10月にサンアロマー、今回出光興産に対して課徴金納付の審決が出た。

課徴金の各社別金額は以下の通り。(千円)

三井化学  760,080  
日本ポリプロ  220,870 当初 845,170
チッソ  116,620 当初 435,130
住友化学  117,160  
トクヤマ   47,790  
サンアロマー   50,970  
出光興産  142,150  
合計  1,455,640  

なお、2009年9月に東京高裁での審決取消訴訟で、トクヤマ、出光興産、住友化学、サンアロマーからの請求を棄却する判決が出たが、トクヤマのみ上告し、現在係属中となっている。

それにしても、2000年のカルテル事件が今までかかるのは問題である。

 


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2010年3月 1日 (月)

中国の2009年末のエチレン能力 1,354万トンに

2009年末に中国のエチレン能力は1,354万トンとなり、前年末比で36%増加した。
2008年末の997万トンから357万トン増加した。

業界の統計では、2009年のエチレン生産は1,048万トンで、2008年の1,012万トンから3.6%の増加となった。
中国の2009年のエチレン輸入量は96万トンとなっている。

中国のエチレン能力(年末時点、単位:千トン)

       2008  2009 増減
PetroChina 大慶石化 黒竜江省 600 600 0
PetroChina 吉林石化 吉林省 850 850 0
華錦集団(盤錦エチレン) 遼寧省 160 620  460
PetroChina 遼陽石化 遼寧省 200 200 0
PetroChina 撫順石化 遼寧省 150 150 0
Sinopec 北京東方化工 北京市 150 150 0
Sinopec 燕山石化 北京市 710 710 0
Sinopec 天津石化 天津市 200 200 0
Sinopec 斎魯石化 山東省 840 840 0
Sinopec 揚子石化 南京市 650 650 0
Sinopec 上海石化 上海市 850 850 0
Sinopec 広州エチレン 広東省 200 200 0
Sinopec 茂名石化 広東省 1,020 1,020 0
Sinopec 中原石化 河南省 180 180 0
PetroChina 蘭州化学 甘粛省 690 690 0
PetroChina 新疆独山子 新疆自治区 220 1,220  1,000
  瀋陽化工 遼寧省 0 120 120
YPC-BASF 江蘇省 600 600 0
SECCO 上海市 900 1,090 190
CNOOC-Shell 広東省 800 800 0
Fujian Refining & Petrochemical 福建省 0 800 800
(21) Sinopec SABIC (Tianjin) 天津市 0 1,000 1,000
  合計 9,970 13,540 3,570

 

華錦集団(通称 盤錦エチレン)

200910月初め、遼寧省盤錦で500万トン/年の製油所と46万トン/年のエチレンの操業を開始した。
増設前の能力は実質18万トンで、増設後は64万トンとなる。

エチレン原料のナフサと残渣油は新設の500万トンのリファイナリーから供給する。

華錦化工集団は遼寧省政府所有企業であったが、2006年に中国北方工業公司(
CNGC:China North Industries Group Corporation)に吸収合併された。

今回の増設と増設後の能力は以下の通り(単位:千トン)

  増設前 増設 増設後
製油所    -- 5,000 5,000
Ethylene 180 460 640
PE 130 300 430
PP 60 250 310
SM 75 120 195
PS 30    -- 30
ABS 50    -- 50
ブタジエン 25 65 90
BTX 80 250 330
分解ガソリン 80 370 450
MTBE/ブテン-1    -- 80 80
アンモニア 900    -- 900
尿素 1,500    -- 1,500

PetroChina 新疆独山子

2009年9月21日、新彊ウイグル自治区独山子市で大規模石油・石化コンプレックスをスタートさせた。

300億人民元を投じたもので、新製油所は1,000万トン/年、新エチレンクラッカーは100万トン/年の能力を持つ。
既存の600万トンの製油所、220千トンのエチレンと合わせ、製油能力1,600万トン、エチレン能力1,220千トンとなる。

本計画は中国とカザフスタンの戦略的協力の一端で、製油所の原油の大半は2006年7月に稼動した1200Kmのパイプラインを通じてカザフスタンから供給される。

新しいエチレンコンプレックスの設備は以下の通り。

エチレン  100万トン
HDPE  30万トン
All-density PE  60万トン
PP  55万トン
BTX  60万トン
SM  32万トン
PS  13万トン
EPS    12万トン
ブタジエン  13万トン
SBR    10万トン
SBS  8万トン

瀋陽化工

藍星集団の子会社、瀋陽化工は遼寧省の瀋陽でエチレンプラントをスタートした。

独自の技術を使用し、50万トンの残渣油を熱分解して12万トンのエチレンを生産する。投資額は445百万ドル。

瀋陽化工は、中国最大のペースト塩ビのメーカーで、エチレンは全量、塩ビ用に使われる。
併産するプロピレンは、同社が三菱化学からライセンスを受けて建設したアクリル酸(8万トン)及びアクリル酸エステル(12万トン)用に使用される。

国家発展改革委員会(NDRC)は 60万トン/年以下のエチレン計画は認めていないが、本件はエチレンとしてではなく残渣油の熱分解とPVC計画として申請し、04年8月に承認を受けた。

上海SECCO(BP 50%、シノペック 30%、シノペック上海石化 20%)

上海ケミカルパークでのエチレン増設計画が2009年7月15日に完成し、オンスペック生産を開始した。

エチレン能力を90万トンから109万トンに増やすとともに、
ABB-Lummus法の16万トンのOCUも増設した。
このほか、BTXを50万トンから60万トンに、SMを50万トンから65万トンに増設した。

Fujian Refining & Petrochemical

ExxonMobil 25%、Saudi Aramco 25%、福建石油化学(シノペックと福建省政府が折半出資) 50%

福建省泉州市でシノペックの400万トン/年の製油所を1200万トン/年に拡張するとともに、エチレンコンプレックスを建設した。

石化能力は次の通り。

エチレン   80万トン
LLDPE   40万トン
HDPE   40万トン
PP   40万トン(実質47万トン)
BTX  100万トン
PX   70万トン

なお、Saudi Aramco ポリオレフィンの25%の販売権をSABICに渡している。

別途、石油製品の販売会社 Sinopec SenMei (Fujian) Petroleum Company を設立している。
 シノペックが55%、
ExxonMobil 25%、Saudi Aramco 22.5%出資

Sinopec SABIC (Tianjin)

シノペックが天津の浜海新区に建設していた大型石油精製、石油化学センターが本年1月15日に生産を開始した。
コンプレックスは1000万トンの製油所と、100万トンのエチレン及び誘導品からなっている。

SABICは20097月、中国国家発展改革委員会(NDRC)が、建設中のシノペックの天津石化計画へのSABICの参加を承認したと発表した。

製油所はシノペック天津石油化工公司が運営、エチレンコンプレックスはシノペックとSABICの50/50JVのSinopec SABIC (Tianjin) Petrochemical :中沙(天津)石化が運営する。

エチレン  100万トン
LLDPE   30万トン
HDPE   30万トン
PP    45万トン
EOG   42万トン
フェノール   35万トン
ブタジエン   20万トン
MTBE    12万トン
ブテン-1   5万トン
分解ガソリン   65万トン

このほか、Sabic Innovative Plastics の技術でポリカーボネートを生産することについてFSを実施している。

 


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