インドONGCの新石化コンプレックス、進展
2006年8月、インド国営Oil and Natural Gas Corporation (ONGC)は石油化学進出を決めた。取締役会でGujarat州Dahejに3400億円を投じる世界規模の石化コンプレックス建設計画を承認した。
ONGCがDahejで建設中のエタン/プロパン回収工場のエタン、プロパンと、同社のHazira及びUran の製油所からのナフサを原料とする。
これとは別に、ONGCは2006年6月、Karnataka 州のMangaloreの子会社Mangalore Refinery and Petrochemicals Ltd (MRPI) と共同で新会社Mangalore SEZを設立し、芳香族の工場建設に着手した。
MPRIの製油所能力を969万トンから1500万トンにアップし、増産ナフサを原料に、95万トンのパラキシレン、15万トンのベンゼンを生産する。2006/8/24 インドに新しいエチレンセンター
2006年10月にONGCはこのための会社(SPV:Special Purpose Vehicle) のONGC Petro-additions Ltd. (OPaL)の設立を承認した。
ONGCが26%、Gujarat州石油公社(GSPC)が5%を出資した。
2009年3月、ONGCはGas Authority of India Ltd (GAIL)に19%の出資を認めた。
当初は9%であったが、GAILは19%を希望、最終的に19%となった。
この結果、3株主で50%を確保、残りは25%を戦略パートナー1社に、25%をIPO(公募)とした。
ONGC 26% GSPC 5% GAIL 19% 戦略パートナー 25% 公募 25%
世界中の多くの企業がこれに関心を示した。
インドのLNG輸入最大手企業でONGCにエタン/プロパン用のLNGを供給するPetronet LNGも最大10%の出資を求めた。
昨年3月時点ではONGCはこの中から、伊藤忠、INEOS、LiondellBasellを候補に残した。
(INEOS、LiondellBasellは経営破綻し、再建中で、出資の余裕はないとみられる。)
昨年12月に現地紙が、ONGC筋の情報として、伊藤忠商事と三井物産がそれぞれ、25%の出資を提案していると報じた。
伊藤忠のある役員は名前を出さない条件で、伊藤忠が正式提案をし、返事を待っていると述べたという。
ONGCでは台湾、韓国、中国、欧州の企業とも話し合いをしているとされる。
公募については2011年後半に行う予定。
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OPaLではナフサとLPGからのエタン/プロパンの両方を原料とするDual Feed Crackerで以下を生産する。
エチレン 1,100千トン プロピレン 340 ベンゼン 135 ブタジエン 95 ブテン-1 分解ガソリン 誘導品 LLDPE/HDPE 360 x 2 PP 340 その他
OPaL は2009年2月、 Linde AGと三星エンジニアリングのコンソーシアムと Dual Feed Cracker の建設契約を締結した。
本年2月、INEOS Technologiesとの間でライセンス契約を締結した。
スタート時期は2012年12月の予定。
PP: Innovene PP Process 340千トン LLDPE/HDPE: Innovene G Process 360千トン x 2基
製品は中国、インド亜大陸(パキスタン、スリランカ、バングラデシュ)、ベトナム、フィリピン、マレーシア、アフリカ、イスラエルなどへの販売を狙っている。
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ONGCのGujarat州Dahej のエタン/プロパン回収工場は2006年3月に東洋エンジニアリングが受注した。
同地区でLNG受入基地を運営するPetronet LNG社のLNGからエタンやプロパンを回収する設備で、年間最大500万トンのLNGを処理する。(その後750万トンとなった。但しエタンやプロパンリッチ分は2/3)
高い製品回収率を実現する東洋エンジニアリング独自の新ガス分離技術「COREFLUX®-LNG技術」が適用される最初のプラント。
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