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2009年11月24日 (火)

中国の資源輸出制限問題

114日、米通商代表部は中国が金属や化学工業製品などの原材料の輸出を不当に制限しているとして、欧州連合、メキシコとともに世界貿易機関(WTO)に対して紛争処理小委員会(パネル)の設置を求めたと発表した。

米国は中国がWTOルールに違反して、黄リン、ボーキサイト、コークス、ホタル石、マグネシウム、マンガン、金属シリコン、炭化珪素、亜鉛などの輸出を制限しており(輸出割当てや輸出税、最低輸出価格等)、これが原因で国際価格が高騰していると非難、中国企業は不公平に有利になっていると指摘している。

EUによると、こうした輸出規制が一般的なWTOのルールだけではなく、WTO加盟議定書に署名することで中国が引き受けた具体的なコミットメントにも違反していると考える。
同議定書は、輸出税については、その適用を禁止しているか、あるいは、限られた数の製品に対してのみ厳格な上限付きで認めており、輸出許可を必要としたり、拘束力のある最低輸出価格を適用したりすることについてもルールを定めている。

これに対し中国は1119日、これを拒否した。「輸出政策は主に環境保護と資源保護を目的としたもので、WTOのルールに沿っている」と主張している。

中国商務省は11月5日、「中国が一部の資源型製品に対し輸出管理を実施する目的は、環境と再生不可能資源の保護にあり、この措置は中国自身の科学的な発展のニーズに合致しており、世界経済の持続可能な発展に向けた努力でもある」と表明した。
WTO加盟時の協定によれば、中国は100種近い原材料など大量使用した製品に対し、輸出制限を実施する権利があるとしている。

本年6月に米国とEUがこの問題でWTOに提訴、その後メキシコが加わった。中国と米国・EU・メキシコとの間で7月と9月に協議が行われたが、不調に終わった。

パネル設置要請への拒否は1回限りで、米国等が再度要請すると、自動的に設置される。

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この最中に、中国はこれまで制限を加えてこなかったレアメタルの採掘・輸出行為に対し引き締め政策を実行する。

参考 2009/4/22 中国がレアアースの輸出を制限?

工業・情報化部は「2009~2015年レアアース工業発展計画改定案」の策定を終えた。
レアアース輸出に厳しい制限を加えたもので、まもなく正式に公布される。

中国は世界のレアメタルの主な供給国であり、多くのレアメタルの埋蔵量は世界のトップに立っているが、これまで採掘権に対する国の規制が緩く、各種レアメタル鉱はむやみに採掘され、ほとんどが一次産品の形で国外に安売りされた。

このため、2005年に「レアアース原鉱」を「加工貿易禁止類商品目録」に組み入れ、原鉱を禁輸とした。

2007年、国家発展改革委員会と商務部は新たな「外国投資産業指導目録」を公布した。
「目録」では、タングステン、モリブデン、スズ、アンチモンなどのレアメタルが外国業者の進出規制分野に組み入れられた。

しかし、レアメタル鉱の乱採掘問題は依然として由々しい状態で、廉価での輸出は減っていない。

このため、国土資源部は2009年4月、タングステン鉱、アンチモン鉱、レアアース鉱の実地調査許可証、採鉱許可証の申請の受理を2010年6月30日まで一時停止した。

今回、レアアース輸出に厳しい制限を加える。

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中国商務部は中国のレアメタル輸出規制の主要な目的は環境保護、自然資源保護であるとする。

商務部は以下の通り述べている。

統計によると、日本のレアアースの約83%は中国からのものである。大量のレアアースを入手した後、日本は利用を急がず、備蓄している。

日本は1983年には早くも希少鉱物製品戦略備蓄制度を打ち出した。7種類のレアメタルの輸入依存度は90%を超えている。日本は備蓄する一方で、他方では様々な手を尽く して世界各地、特に中国からこれらの資源を輸入している。

2005年に中国のレアアース産出量は世界の96%に達し、輸出量も60%以上に達したが、価格決定権は中国の企業が握るものではなかった。1998年に比べて、中国のレアアース輸出量は10倍増えたが、価格は36%下がった。

レアメタル採掘のため、鉱区は環境が深刻に汚染され、特に風塵汚染によって地表植生が破壊された。多くの鉱区で周辺数キロが不毛の地となる事態になってしまった。

また、中国の自然資源は過度の採掘によって欠乏するようになり、資源の不足は中国経済の持続的発展にとって重大な障害となりつつある。

中国非鉄工業金属協会のデータによると、現在、中国のレアアース埋蔵量はこれまでの世界の85%から現在は58%に下がり、中国の鉄重石はほとんど採掘しつくされてしまい、約20年採掘することができるだけの灰重石しか残っていない。このほか、現在のペースで採掘すれば、モリブデンは16年、スズは 12年、亜鉛は10年、アンチモンは6年しか採掘できない。

もう一つの理由は、現在では中国は過去のように代価を惜しまず外貨を獲得する必要がなくなった。
中国はもう資源を低価で安売りして外貨と交換する必要はなくなった。

更に、「アメリカと欧州が中国を非難するのは理不尽だ。各国はみな自国の資源を保護しているのだから、どうして中国ができないことがあるだろうか」とする。

アメリカの数多くの鉱産資源の埋蔵量は世界のトップに立っているが、 アメリカは自国の資源を保護するため、多くの鉱山を封鎖し、外国からの鉱産物輸入に転じている。アメリカは1999年から早くも自国のレアアース資源採掘 を次第に停止するようになった。

レアアースの埋蔵量が世界第二の米国は早くから国内最大のレアアースが埋蔵するMountain Pass鉱山を封鎖、モリブデンの生産も停止し、毎年中国から大量のレアアースを輸入している。


* 総合目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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