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2009年10月 5日 (月)

ダノン、ワハハに中国JVの持株売却

ダノンとワハハは9月30日、両社が友好的に和解したと発表した。

ダノンはワハハとのJVの51%の権利をワハハに売却する。売却代金は明らかにされていない。
中国政府の承認を得て実施する。
これに伴い、両社間の法的争いは全て終了する。

ダノンのCEOは、「ダノンは1987年以来、中国に注力してきたが、更に活動を強める」と述べた。

ワハハの宗慶後会長は、「中国は開放されており、中国国民は寛大だ。中国企業は平等と相互利益の原則で世界の大企業と協力し、成長していくことを望んでいる」と述べた。

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フランスのダノンはヨーグルト等の新鮮乳製品で世界一、Evian、Volvic、Aqua 等のブランドの炭酸飲料水で世界一、ビスケットやCereal 製品で世界第二のメーカーである。

1996年にダノンと 全国人民代表大会の浙江省代表を務める有力者の一人で Forbes 誌で中国で23位の金持ちとされる宗慶後氏のワハハグループが、ダノン51%のJV 「杭州娃哈哈集団」を設立し、「娃哈哈(ワハハ)」ブランドの炭酸飲料水を売り出した。

1996/2/29   Wahaha Group Ltd DanoneJV契約締結
 
商標移転契約(WahahaブランドをJVに)、非競合契約、守秘契約を含む。
1996/3/28   中国で5つのJV設立で合意、宗慶後が会長に就任。その後JVは39社に。
     
2000年   Wahaha Group Ltd.が改組、杭州市政府が46%所有の会社に。
    6年間で独自に17社を設立し、Wahahaブランドで製品を販売。
     
2006年末   DanoneがWahahaに対し、これらの会社の51%の買収を提案(519百万ドル)、Wahahaが拒否(「安すぎる」)
     
2007/5/9   DanoneがJV契約に関する仲裁をストックホルム商工会議所に申請
(JV契約では仲裁はストックホルム商工会議所で行うこととなっている)
    Wahaha613日に杭州市の仲裁委員会に仲裁を要請。
     
2007/6/4   Danoneがロスアンジェルスの裁判所に訴訟、その後訴訟合戦。 

その後、商標移転契約を政府が承認しなかったことが明らかになった。ワハハ側はダノン側に伝えたとしている。
しかし商標移転契約が発効しなくても、競合禁止の契約は生きており、別会社でワハハブランドの製品を販売することは認められるものではない。

逆にワハハ側はダノンが競合禁止に違反していること、ダノン側の経営上の問題などを主張した。

過去の記事
  2007/6/15 仏食品メーカーのダノン、中国で「ブランド流用」で合弁企業と対立
  2007/7/12 ダノンとワハハの争い、更に深刻化
  2007/9/14 ニュースのその後 ダノンとワハハの争い
  2007/11/30 ダノンとワハハのその後
  2007/12/23 ダノンとワハハ、和解交渉へ
  2008/4/28 ダノン/ワハハのその後 ー 宗慶後会長の脱税事件

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明らかにダノン側の完敗である。
1996年に設立し、中国最大の飲料会社となったJVを中国側に渡すことになり、最初からやり直すこととなる。

Wahaha Group 杭州市政府が46%所有の会社になっており、会長の宗慶後は全国人民代表大会の浙江省代表を務める有力者の一人である。

今回の争いで、中国の企業や住民はDanoneに対し民族主義的な感情(「外国の悪魔」)を持った。

中国での訴訟や仲裁はワハハ側に圧倒的に有利である。

仮にダノンがストックホルムの仲裁で勝ったとしても、中国でボイコットを受けて事業が出来なくなる可能性が強い。
(現実に、多くの
JVのディストリビューターがJV製品の販売を止め始めた。)


敗因はJVのブランドを世界的に有名なダノンではなく、中国側パートナーのワハハにしたことである。
ブランドをダノンにしておけば、このような事態は起こらなかった筈である。

中国での事業の難しさを示す一つの例である。


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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