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2009年8月10日 (月)

主要会社の2009年1Q決算-3 (石油会社の第1四半期決算ー後入先出法と総平均法)

日本の石油会社はほとんどが在庫評価で総平均法を採用している。

このため、昨年上期や本年上期のように原油価格が上昇している場合は、前期末の安い在庫が反映されるため、大きな在庫評価益が出る。

逆に原油価格が下落する場合は、前期末の高い在庫が反映され、大きな在庫評価損となる。
新日本石油の2009年3月決算では、年間の在庫評価損が4,470億円にもなり、経常損益は前年比で 5,511
億円の減益となった。
(在庫評価分を除くと、
638億円の増益)

2009/5/9  注目会社 2009年3月決算-2 

化学会社では住友化学と三井化学が後入先出法を採用している。

しかし、後入先出法は海外では採用されていない。
日本で2010年3月期から任意の適用が開始され、2015年か2016年には強制適用の可能性が言われているIFRS(国際財務報告基準)では後入先出法は認められていない。

このため、BPShellは決算報告で別途、前期末在庫の影響を除いた損益(当期のコストによる損益)を報告している。
  
BP: Replacement cost profits
 Shell: CCS (Current cost of supplies)

  2009/2/4 
BPの損益

日本の企業会計基準委員会は2008年9月26日、後入先出法は2010年4月1日以後開始する事業年度から廃止すると発表した。
(改正企業会計基準第9号『棚卸資産の評価に関する会計基準』)

出光興産はこれまで後入先出法を採用していたが、本年度より(1年繰り上げ)総平均法に切り替えた。

第1四半期では各社とも在庫評価の影響が大きい。
これを除くと、石油製品はマージン悪化により減益となっており、石油開発も(コスモ石油を除き)減益となっている。

ーーー

新日本石油         単位:億円
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   20,372   1,016   1,013    587
09/1Q   12,443    516    535    285
増減   -7,929    -501    -478   -302
 
経常損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油製品 -44 926 882 -222 563 341 -178 -363 -541
石油化学製品 -52   -52 52   52 104   104
石油・天然ガス開発 181   181 95   95 -86   -86
建設・その他 2   2 47   47 45   45
合計 87 926 1,013 -28 563 535 -115 -363 -478

1)棚卸資産の評価方法は総平均法

2)石油製品の損益差:マージン悪化
-312億円、自家使用燃料費ダウン 207億円ほか
  
石油化学製品の損益差:マージン向上 90億円ほか

ーーー

コスモ石油
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q    9,155    448    381    229
09/1Q    5,485    104    137    57
増減   -3,669   -344   -245   -172
 
経常損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油事業 -14 361 347 -139 237 98 -125 -124 -249
(うち石油化学)     (16)     (4)     (-12)
石油開発 52   52 63   63 11   11
その他 -18   -18 -27  3 -24 -9  3 -6
合計 20 361 381 -103 240 137 -123 -121 -244

1)棚卸資産の評価方法は総平均法

2)石油事業の在庫評価分を除く損益差 -125億円内訳
   マージン悪化 
-79、数量減 -114、自家消費燃料費ダウン +80、ほか

ーーー

出光興産
  売上高 営業損益 経常損益 当期損益
08/1Q   10,420     81     93   -29
09/1Q    6,741     47     -8   -32
増減   -3,679    -34   -101    -3
 
営業損益
  08/1Q 09/1Q 増減
一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計 一般 在庫影響 合計
石油製品 -157 46 -111 -143 114 -29 14 68 82
石油化学製品 16 9 25 3 26 29 -13 17 4
石油開発 158   158 20   20 -138   -138
石炭・その他 9   9 27   27 18   18
合計 26 55 81 -93 140 47 -119 85 -34

1)従来の棚卸資産の評価方法は後入先出法であったが、今期より総平均法に変更した。
  評価方法変更の影響は
80億円(益)。

2)石油開発の損益差が大きい。
   うち、原油価格要因他
-129億円、為替要因 +16億円、会計基準変更影響 -25億円

 

 


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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