公取委が見解 「バイオ燃料についての石油連盟の姿勢は独禁法上問題」
これまで何度か、日本のバイオガソリンの動きについて述べてきた。
1) | バイオエタノール・ジャパン・関西が環境省の補助を受けて建設した廃木材からエタノールを製造する世界で初めての商業プラントが竣工した。大都市でのエタノール3%混合ガソリン(E3)大規模供給実証のためのエタノール供給元となる。 日本エタノール販売とペトロブラスの50/50JVの日伯エタノール(Brazil-Japan Ethanol)は3月初めから東京でエタノール3%混合ガソリン(E3)の試験販売を開始。 |
2) | 他方、石油連盟は「バイオマス燃料供給有限責任事業組合」を設立、バイオエタノールを石油系ガスと合成し、バイオETBE としてガソリンに混合して利用する。 新日本石油は6月1日、関東1都6県のガソリンスタンド(計861カ所)で、バイオエタノールを混ぜたバイオガソリンの販売を開始した。 石油連盟では(1) 大気環境への悪影響、(2) 車の安全性や実用性能から、バイオエタノールをそのままガソリンに混入するのではなく、バイオETBE のガソリン混合を主張している。
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2009/3/5のブログでは以下の通り述べた。
政府(経産省、環境省)と石油業界の対立が続き、別々の方向で動いているのは問題で、普及促進のためには早急に方向をまとめる必要がある。
正当な理由なしに直接添加を妨げた場合、独禁法上は問題にならないのだろうか。
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公正取引委員会は7月3日、「ガソリンにおけるバイオマス由来燃料の利用について」という発表を行った。
2008年12月から2009年3月にかけて、ガソリンにおけるバイオマス由来燃料の利用の実態について、関連事業者及び関係省庁に対して行ったヒアリング等による調査に基づく。
調査の結果、公取委では直接混合方式とETBE方式が、市場における競争を通じて評価・選択される環境を整備するという観点から、以下の対応が必要であると考えた。
1)独占禁止法上の考え方の明確化(対石油元売会社)
石油連盟が各石油元売会社に対して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないようにさせること及び各石油元売会社が共同して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないことを決定することは、独占禁止法に違反する行為である。
さらに、石油連盟が二つの混合方式の一方についてだけ、否定的な見解を表明し続けることは、石油連盟の会員である各石油元売会社の間に、一方の混合方式を採用しないとする共通の認識を醸成するおそれもある。
石油元売会社の行為は、不当に、その取引の相手方に対して、競争者と取引しない条件を付して取引するものであって、競争者の取引の機会を減少させるおそれがある行為であり、不公正な取引方法第11項等に該当し、独占禁止法上問題となるおそれがある。
石油元売会社が、その系列特約店等に対して、他社製品を当該石油元売会社の商標を付さないで販売することを禁止する行為は、独占禁止法第21条(知的財産権の行使行為に対する適用除外)の問題ではない。
少なくとも、系列特約店等が一部の給油機を直接混合方式の製品専用のものとして、給油機を地下タンクとともに分け、当該給油機から給油する商品がサインポール の石油元売会社の製品でないことを明確に認識できるように表示してこれを販売するのであれば、その販売を禁止する行為は独占禁止法に違反しないとすることはできない。
2)関係省庁において必要な対応
独占禁止法違反行為が行われないような環境を整備するためにも、また、2つの混合方式の双方の促進を確保するためにも、関係省庁において次のような措置を採ることが必要である。
・ | 環境省及び経済産業省は、今後のガソリンにおけるバイオマス由来燃料の普及について、連携協力して必要な情報提供を行うこと。 |
・ | 環境省は、標準的な仕様のレギュラーガソリンを直接混合方式に用いることについて、環境に与える影響との比較考量を十分に行いつつ、蒸気圧に係る基準について、必要な見直しの可否を検討すること。 |
・ | 経済産業省は、バイオエタノールの混合方式について、ETBE方式、直接混合方式の双方について制度的な手当てがなされており、事業者が自由な選択を行うことができる旨を石油連盟及び各石油元売会社に周知すること。 |
* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。
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