« 2008年度 エチレンセンター収益状況 | トップページ | 臓器移植法改正、A案が衆院通過 »

2009年6月18日 (木)

ダウ、上海ダウセンター開設

ダウケミカルは6月2日、アジア太平洋地区の新しいビジネスと革新の拠点、上海ダウセンターを開設したと発表した。

ダウ上海センターは浦東新区の張江高科技園区(ハイテクパーク)にあり、アジア太平洋地区の新事業・イノベーションのセンターとなる。面積は10万平方メートル以上で、ダウのグローバルな第一級のR&Dセンターと、ダウの事業の地域本部となる。

Andrew N. Liveris CEO によれば、これはダウの3番目に大きい市場である中国での重要な一歩というだけでなく、最近のRohm and Haas 買収と並んで、「新しいダウ」-より市場志向、需要家志向の企業 - に変身するという決意の表れである。

80以上の研究室に500人以上の研究員、技術者を抱え、建設、自動車、エネルギー、水処理、エレクトロニック、パーソナルケア製品など、アジア太平洋地区や世界中の住民の生活の改善に必須の分野での革新的な解決策を開発する。

これの特徴はユニークなCustomer Innovation Center を有していることで、需要家と相携えて市場機会と新アイディアを利益のある事業に変えていくことを目指している。また、ダウとしては初めて、ダウの広範なR&D、事業の専門知識を需要家のニーズ、知識とを結びつけ、「Our Lab is Your Lab, Together We Will Grow」という哲学を実行する。

ーーー

ダウはこの10年、中国での事業を拡大している。

2006/8/23 中国でのダウの活動

---

ダウは現在、神華グループと陝西省楡林市での大規模石炭化学のJVのFSを行っている。これには年産300万トンのメタノール計画、100万トンのオレフィン計画が含まれており、本年下期にNDRCに申請する予定となっている。

ダウは2007年5月21日、中国の国有石炭最大手・神華集団との間で、陜西省楡林市にワールドスケールのCoal-to-Chemicals コンプレックスを建設するための詳細FS実施の契約を締結した。

---

ダウは6月3日、江蘇省張家港市で酸化プロピレンベースのグリコールエーテル工場の商業生産を開始したと発表した。

最新技術の設備で能力は年産12万トン。アジアで伸びているエレクトロニクス産業で使用されるとともに、塗料や洗剤等の幅広い用途がある。
張家港市は上海から200kmの揚子江の南岸に位置し、中国の拡大する需要に対応するとともに、日本、韓国、台湾の既存の需要家への供給基地にもなる。

張家港市にはダウのエポキシレジン、SBラテックス、PS、スタイロフォームのプラントがある。

張家港のPS事業は1998年に旭化成とダウが50/50のJV、SAL Petrochemical (Zhangjiagang) Co., Ltd. を設立し、2002年11月に商業生産を開始したもので、能力はHIPS 12万トン。

旭化成は1994年に香港にダウとの50/50JVのStyron Asia Limited を設立し、PSの中国顧客および東南アジア日系顧客へのマーケティングを行っていたが、中国での現地生産のため上記のJVを設立した。

しかし、旭化成は2006年3月に新中期経営計画 「Growth Action-2010」を策定、PS事業を、差別化・特殊化により付加価値アップを指向していく 事業と位置付け、同年8月、汎用用途が主体のアジアの二つのPSのJVの持分をダウに譲渡することで合意した。

2006-8-11 旭化成、ダウとのPS合弁から撤退

---

Dow Epoxy Systems は313、武漢に混合工場を立ち上げた。現地のニーズに合わせた供給が可能となる。

Dow Epoxy Systems は、ダウの戦略である川下の機能製品事業への投資として2007年にダウのEpoxy 部門がEpoxy formulatorのドイツのUPPC、米国のPoly-CarbおよびGNS Technologiesを買収し、開設した新事業部。

エポキシ樹脂に硬化剤や添加剤を混ぜることにより、顧客仕様の性能に適合した配合製品を提供する。

同社は土木、特殊防食コーティング、コンポジット、風力発電などの用途分野に注力している。

---

ダウは20068月、中国でエポキシ事業で5年間で2億ドルの投資をすると発表したが、2007年3月、上海ケミカルパークに世界最大級の10万トンの液体エポキシ樹脂(LER)プラントと、エポキシ原料のエピクロルヒドリンの新工場15万トンを建設すると発表した。
エピクロはバイオディーゼルの製造で副生するグリセリンを原料とする
Glycerine-to-epichlorohydrin 法を採用する。

ダウは上記の通り、江蘇省張家港市の揚子江国際化学パークにエポキシ樹脂の工場を持っている。
2003年5月にスタートした
 41千トンのプラントで、2008年に34千トン増設し、75千トンに拡大した。


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


|

« 2008年度 エチレンセンター収益状況 | トップページ | 臓器移植法改正、A案が衆院通過 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。