« ベネズエラのアルミ合弁 日本の6社撤退へ  | トップページ | 北朝鮮、開城工業団地の土地賃貸料や労務費の大幅引き上げを要求 »

2009年6月12日 (金)

中国CNPC、イランで天然ガス開発

イラン政府はフランスの石油大手 Total と実施する予定の大型天然ガス田開発を、同社に代えてChina National Petroleum Corporation (CNPC)と進める方針を決め、63日、イラン国営石油会社(NIOC) CNPC が北京で Co-operation contract に調印した。

イラン国営石油会社とTotal、マレーシアのPetronasの連合がペルシャ湾のSouth Parsガス田のPhase 11を開発し、産出するガスを使って液化天然ガス(LNG)を生産しようとしていた事業で、今回の契約はPhase 11の上流部分で、47億米ドルのプロジェクトとされる。

3社は20042月にLNG会社の設立で基本合意し、同年12月にはPhase 11開発事業の骨組みでも合意した。
2009
年の生産開始を見込み、協議を続けたが、その後のイランの核問題などをめぐる欧米とイランの対立を背景に停滞を続け、Phase 11開発事業での契約には至っていない。

一方、中国はイランの資源開発分野に積極的に進出、油田権益を相次いで獲得している。CNPC は200611月にイランの国営ガス輸出会社(NIGEC) との間で、Pars LNGのLNGを2011年から年間300万トン、25年間にわたり輸入する契約を締結している。今回、自ら生産に参加することで安定調達につなげる。

ーーー

Total2004225日,イラン国営石油会社(NIOC)、PetronasLNGプロジェクトに関する株主契約を締結したと発表した。
NIOC50%Total30%Petronas20% 出資する新会社「Pars LNG」を設立する。
3社で開発の交渉中のSouth Pars ガス田のPhase 11からの天然ガスを原料に、LNG 生産能力 800t/年(400万t/年×2系列)の液化設備および輸出設備を建設するもので、2009年までの生産開始を目指した。

その後、200512月にPetronas 10%Totalが引受け、Total 40%Petronas 10% となった。

200611月にCNPC はイランの国営ガス輸出会社(NIGEC) との間で、ここからのLNGを2011年から年間300万トン、25年間にわたり輸入する契約を締結している。
  2006年12月29日  中国、イランとLNGで提携
 

200412月にTotal NIOCとの間で今後のPars LNG に関する骨組契約を結んだと発表した。
3社の出資する
Pars LNG (この時点では500万トンx 2系列となっている)に対して、Total 60%Petronas 40%の出資で計画しているSouth Pars のPhase 11が所要の天然ガスを供給することを決めている。

 

この後、多くのLNG計画が生まれた。

プロジェクト名 参加企業 能力 天然ガス
Pars LNG NIOC 50/Total 40/Petrobras 10 500万トンx 2 South Pars Phase 11
Persian LNG NIOC 50/Shell 30/Repsol-YPF 20 800万トンx 2         Phase 13&14
Iran LNG NIOC 100 500万トンx 2         Phase 12 
North Pars LNG NIOC/CNOOC(中) 800万トン  
Qeshem LNG NIOC/LNG Ltd(豪) 345万トン  
Golshan/Ferdows LNC NIOC/SKS(マレーシア)    
 資料 JOGMEC

中国海洋石油総公司(CNOOC)は2006年12月、イランと総額160億ドルに上る液化天然ガス事業の協力了解覚書に調印した。CNOOCはNorth Parsガス田開発やガス輸送設備の建設を進め、液化天然ガスを中国に輸入する。

しかし、西側参加の事業はいずれも進展していない。

本年3月にイランはTotal が時間を浪費しているとし、新しいパートナーと交渉をしていることを明らかにした。

これに対し、Total はイラン側の条件は魅力的でないと述べている。

今回の調印に当たり、イラン側は次のように述べた。

Total がPhase 11の上流部分の交渉を遅らせているが、これ以上待てない。
そのため、CNPCと契約を結んだ。
Total がやる気があるなら、Phase 11 の下流部分と Pars LNG計画についての交渉は続ける。

4月にはNIOC はShell とRepsol に対して、両社を計画から外す可能性を伝えている。

South Pars ガス田は世界最大のガス田で、イランとカタールの領海にまたがっている。(カタール側はQatar North Field

 


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


|

« ベネズエラのアルミ合弁 日本の6社撤退へ  | トップページ | 北朝鮮、開城工業団地の土地賃貸料や労務費の大幅引き上げを要求 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。