« ダウ、合成ゴム事業の売却を検討 | トップページ | ポリプロカルテル事件のその後 »

2009年5月22日 (金)

韓国LG Chem の業績

韓国LG Chem の連結損益の発表があった。

結果は下記の通りで、石油化学の営業損益は前年比若干の減益だが、黒字(2006年比では大幅増益)となっており、情報&電子材料は大幅増益となった。

世界中の化学会社が減益となっているなかで、大健闘である。

連結売上高及び営業損益 (単位:百万ウォン)   注:百万ウオンは約75,000円
2008 2007 増減 2006
売上高 石油化学  12,669,516  11,056,970  1,612,546   9,210,971
工業材料・建材    ー    ー   ー   2,143,132
情報&電子材料   2,940,773   2,294,369   646,404   1,859,971
その他    728,236    986,727   -258,491   1,760,755
調整  -1,783,643  -2,924,110  1,140,467  -3,543,315
合計  14,554,882  11,413,956  3,140,926  11,431,514
営業損益 石油化学    885,209    932,425   -47,216    515,560
工業材料・建材    ー    ー   ー    124,275
情報&電子材料    470,065    166,153   303,912    41,669
その他    -19,072    -17,838    -1,234     4,885
調整    -15,079    -15,135      56    -12,290
合計   1,321,123   1,065,605   255,518    674,099
継続事業税引後損益    917,699    755,585   162,114    460,110
中止事業税引後損益    68,309    80,288   -11,979     -2,068
税引後損益合計    986,008    835,873   150,135    458,042

石油化学では特にオキソアルコールの需要が伸び、またPVCや合成ゴムも好調であった。
2008年9月に高吸水性樹脂(SAP)事業(能力70千トン)を
Kolon Industries から買収し、アクリル酸事業と一体化した。

情報&電子材料ではバッテリーの需要家の拡大、偏光板のコストダウン、生産性上昇で増収、増益(単体で利益3倍)となった。

2009/1/17 LG化学、GMに電気自動車用バッテリー独占供給へ

中国のビニルチェーン、エンプラ、情報&電子材料は黒字となっている。(ABSは赤字) 

増収増益の理由の一つはウオン安で、2008年の8月頃まで1000ウオン/$であったのが、金融危機後は暴落し、一時は1519ウオンまで下がった。年末は1266ウオン。
(その後は
1570ウオンまで下がったが、520日現在は1248ウオンとなっている。)

付記
LG経済研究院は5月10日、「最近のグローバル企業と韓国企業の経営成果比較」と題する報告書で、「昨年韓国企業が相当に良好な実績を見せたが、ドル基準では米国や日本、ユーロゾーンの企業に比べ不振だった」と分析した。

連結会社の税引後損益は以下の通り(単位:百万ウオン、参考に円換算を付記した)。

2008 2007 増減
百万円
LG Chem  1,002,585  75,194   686,205
LG Petrochemical   247,141
(LG Chem total)  1,002,585  75,194   933,346   69,239
LG Dow Polycarbonate PC   -23,698  -1,777    -8,813   -14,885
Tianjin LG Bohai Chemical VCM    3,189    239      151    3,038
Tianjin LG Dagu Chemical PVC    -2,365   -177     7,722   -10,087
Tianjin LG New Building Materials PVCドア材ほか    3,120    234     4,617   -1,497
Ningbo LG Yongxing Chemical ABS   -23,555  -1,767    55,236   -78,791
LG India PS     -847    -64     3,447   -4,294
LG Vina Chemical J/V DOP    -3,198   -240     2,233   -5,431
LG Chemical (Guangzhou)
Engineering Plastics
Engineering
Plastics
   3,036    228     3,508    -472
LG Chem (Tianjin) Engineering Plastics Engineering
Plastics
   3,682    276     1,806    1,876
LG Chem (Nanjing) Information &
Electronics Materials
LCD display
Battery
   15,671   1,175     6,228    9,443
LG Chem (Taiwan) LCD display    -2,462   -185    -1,764    -698
LG Chem Display Materials (Beijing) LCD display    1,518    114     1,541     -23
LG Chem Poland LCD display    -1,904   -143     2,592   -4,496
LG Chem Industrial Materials 人造大理石    4,182    314    -1,414    5,596
LG Chem (China) Investment 中国持株会社     -711    -53     1,128   -1,839
LG Chemical Hong Kong 商事     216    16      814    -598
LG Chem America 商事     -837    -63    -1,549     712
LG Surfaces 商事    3,879    291     5,311   -1,432
LG Chem Europe 商事     889    67      324     565
調整    3,618    271   -180,591  184,209
Total   986,008  73,951   835,873  150,135

LG Chem は昨年12月1日、工業材料・建材部門を本年3月末までにスピンオフすると発表した。

石油化学と工業材料・建材では企業カルチャーや需要家が異なるため。
2009年4月1日付けで分離され、LG Hausys という名前の会社となった。

同社の扱い製品は以下の通り。
 Industrial textiles for floorings and other applications
 Decorative materials for kitchens, offices and home appliances
 Housing materials including window frames, PVC floorings and others
 Automotive components
  (interior and exterior components, bumper systems, engine parts, plastic fuel tanks, and steering wheels)

決算では「中止事業」扱いとし、この部門の業績を全社の売上高、営業損益から除外し、最終税引後損益で加算している。

ーーー

2009年第1四半期の業績も好調で、前年同期比で増収増益となっている。

  Q1 2009 Q1 2008 増減
Sales 2.93 trln 2.99 -0.06
Operating Profit 416.5 billion 340.2 76.3
Net Profit 288.5 billion 258.4 30.1


* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


|

« ダウ、合成ゴム事業の売却を検討 | トップページ | ポリプロカルテル事件のその後 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。