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2009年1月26日 (月)

FTC、Dow と Rohm and Haas の統合を条件付で承認

Dowは1月23日、Rohm and Haas (R&H) との統合でFTCの承認を得たと発表した。ECは既に1月8日に承認している。

これを受け、Dow と R&H は合併契約の実施について打ち合わせを行っている。

FTCの発表によると、両社は塗工紙製品、ペイント、接着剤などをつくるためのアクリル酸やその他化学品の市場で直接競合しており、両社の合併は、アクリルモノマー(精製アクリル酸、ブチルアクリレート、エチルアクリレートなど)、塗工紙に光沢等を与えるための中空粒子、道路に線を引くために使われるアクリルラテックスポリマーの、北米市場での研究開発・製造・販売で競争を減らすことになる。

合併後の精製アクリル酸のシェアは40%、ブチルは75%、エチルは90%となり、中空粒子とアクリルラテックスポリマーは2社だけのため、独占となる。

このため、下記の点について同意審決を行った。
Dowはアクリルモノマー、中空粒子、アクリルラテックスポリマーを含む一連の施設をFTCが承認する相手先に売却する。
DowR&H から取得する事業に関して、独禁法上問題がある非公開の情報にアクセスしないよう、手続きを取る。

売却対象として下記が指定されている。
1) DowClear Lake, Texas のアクリルモノマー製造設備
2) Dow St. Charles, Louisiana のアクリルポリマー製造設備
3) DowAlsip, Illinois のアクリルポリマー製造設備
4) Dow Torrance, California のアクリルポリマー製造設備
5) DowSouth Charleston, West Virginia のアクリルモノマー研究開発グループ
6) Dow Cary, North Carolina のアクリルラテックスポリマー研究開発グループ
7) その他、これら事業の関連施設

これら事業に関連する全ての技術を含み、Dowはこれらに直接関係はないが、事業に使用される知的資産をライセンスすることとされた。

なお、売却は買収実施の240日以内に行わなければならない。

Dowは2008年9月に、独禁法問題対応のため、一部工場の売却を検討していることを明らかにしている。

Clear Lake, Texas の設備は20042月に、アクリル酸、アクリレートの技術とともに Celanese から買収したもの。
St. Charles, Louisiana の設備は Union Carbide のもの。.

ーーー

Dow は20087月10日、 R&Hを188億ドルで買収する契約を締結したと発表した。
現金153億ドルで全株式を買収し、R&Hの35億ドルの借入金を引き継ぐ。

1株 $78 は前日終値の74%増し。

2008/7/11 速報 Dow ChemicalRohm and Haas を買収

ダウは11月13日、合併後の新組織を発表した。
 R&H事業を新しく
Advanced Materials Division とする。
 これは次の6つの
Business Group から成る。
  
* Coatings,
  * Building and Construction,
  * Paper and Textiles,  
  
* Specialty Packaging and Films,
  * Designed Polymers and Separation Technologies,
  * Electronic Materials

ーーー

R&H 買収契約によれば、契約上はあらゆる条件が満たされた2日後に買収を実行することとなっている。
FTCの承認が得られたため、あらゆる条件が満たされたこととなる。

なお、契約では実行が本年110日より遅れる場合、ダウは 1日ごとに約3百万ドルの "ticking fee"を支払う義務を負うこととなっており、既に始まっている。
これはR&H 株主に対する買収遅延の金利の意味を持つ。買収価格78ドルの年8%相当を1月10日以降支払うこととなっている。
R&H の株主に帰属し、契約を実行してもダウに返済されることはない。

ーーー

ダウはPICとの合弁会社 K-Dow Petrochemicals 設立により、事業売却額マイナス出資で75億ドル、配当15億ドルで、合計90億ドル(税引後では70億ドル)を受け取ることとなっていた。

Dow は R&H 買収資金188億ドルを、つなぎ融資 130億ドル、著名な株式投資家Warren Buffett のBerkshire Hathaway Inc. からの投資 30億ドル、Kuwait Investment authorirty からの投資10億ドルで賄うことにしており、PICへの売却資金でつなぎ融資の一部を返済する予定であった。

K-Dow Petrochemicals の破談により、DowR&H 買収を取り止めるのではないかとの噂も出ていた。

しかし、DowのCEOのAndrew Liveris はつなぎ融資によりR&H 買収を進めると述べた。また、PICに対して違約金の25億ドルを求償する意向を示している。

だが、これは本来、ごく短期間のつなぎである。このままでは格付け会社がグレードダウンする可能性が強い。
DowとしてはPICの代わり(SABIC、Oman Oil
Saudi ArmacoAbu Dhabi's International Petroleum Investment などが噂されている)を見つけたり、他の事業を売却する手があるが、これには時間がかかる。
理想は銀行と交渉して、つなぎ融資を1~2年のローンに変更し、その間に上記のいずれかで資金を得ることのようだ。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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