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2008年9月30日 (火)

緊急経済安定化法案否決、ニューヨーク市場 WTI 原油 大幅下落 

米議会下院は9月29日、最大7,000億ドル(約75兆円)の不良資産を公的資金で買い取る緊急経済安定化法案を賛成 205、反対 228で否決した。共和党議員の大半が反対に回ったうえ、民主党でも多数が反対票を投じた。

国民の税金で金融機関を救済するという批判に対し、資金投入を3段階にするとか、対象金融機関の経営陣の報酬制限などの修正を加え、議会首脳は合意したが、党議拘束はなく、反対が上回った。

緊急経済安定化法案の骨子

最大7000億ドルを投じ、金融機関の不良資産を買い取る
買い取りは当初2500億ドル、その後、大統領判断で1000億ドルを追加。残り3500億ドルは議会の承認が必要
買い取りと引き換えに政府は金融機関の新株取得権を受け取る
買い取り対象の金融機関の経営陣の報酬を制限する
買い取り業務を監視する委員会を設置する
金融機関への時価会計適用について検証する

反対の理由としては、政府の介入に対する思想的反対、ウォール街の大物救済への反感、計画作成の性急さ、秘密主義への不満等が挙げられるが、最大の理由は下院の改選を5週間後に控え、有権者の反対の意向を重視したことで、特に改選が危ない議員は反対票を投じた。

付記

その後、預金者保護策の拡充(経営破綻時の預金保証上限額を10万ドルから25万ドルに引き上げ)や国民の理解を得るための対策を追加し、10月1日に上院で、10月3日に下院で可決、成立した。

しかし、成立後も、景気の先行き不安、石油需要の減少と懸念は消えず、石油価格は下落している。

直近まで、合意がなされたと報道されていただけにショックは大きく、景気の先行き不安がさらに高まり、石油需要の一段の減少が懸念された。

29日のニューヨーク原油先物市場のWTI原油価格は、これが報道されて急落し、終値は96.37ドル/バレルと、先週末の終値に対し10.52ドル、9.84%の大幅下落となった。

 


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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