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2008年6月24日 (火)

三井物産ほか、バイオベンチャーをBoehringer Ingelheim に売却

三井物産の米国のベンチャー投資会社 Mitsui & Co. Venture Partners (MCVP) と米国投資会社 Sanderling Ventures は共同で出資しているバイオベンチャー企業のActimis Pharmaceuticals, Inc. Boehringer Ingelheim に売却することとなった。

売却は同社の喘息薬AP768の開発度合いに応じて行なわれる。現在phase I の臨床開発段階であるが、phase III まで進めば100%売却となり、売却額は515百万ドルとなる。

AP768は、喘息やアレルギー性鼻炎治療の新たな標的であるCRTH2(マウスTH2細胞に発現する化学誘引物質共役型受容体)に作用する化合物で、現在実施中のフェーズⅠに先立つ前臨床試験では、複数の動物モデルにおいて、現在市販されているロイコトリエン受容体拮抗薬と比べて、より有効性の高い作用機序であることが示唆された。

Boehringer Ingelheim では呼吸器系領域での研究開発に強みを発揮してきており、今回の買収はこれを補完するもの。

Actimis Pharmaceuticals, Inc. の元はバイエル薬品中央研究所の喘息領域部門。

バイエル薬品中央研究所は関西文化学術研究都市の木津南地区にあり、設立間もなくの1997年から喘息領域に取り組んでいた。

Bayer Healthcare 2003年12月Berkeley (米国カリフォルニア州)で行っているバイオテクノロジー研究の組織を縮小再編し、さらにバイエル薬品中央研究所を閉鎖すると発表した。

中央研究所の泌尿器系疾患研究はWuppertal (ドイツ)へ移管し、コア領域以外の開発候補品については、ライセンスパートナーを探すとした。

Bayer Healthcare は当時、感染症、循環器系リスクマネジメント(糖尿病、肥満を含む)、泌尿器系疾患のコア領域に焦点を絞る、また癌研究は大きな課題と可能性をもつ新領域と考えていると発表している。

Actimis Pharmaceuticals 、2004年11月に元バイエル薬品中央研究所の喘息領域主席研究員 Dr. Kevin Bacon が中心となり、Bayer Healthcare AG からスピンオフした。
20054月に600万ドルの増資を行い、Sanderling VenturesMCVPが引き受けた。MCVP の出資比率は2-3割程度とみられる。

新薬開発に一定のメドが立ったためBoehringer 傘下で実用化を目指すこととなった。 

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参考

バイエル薬品は日本シェーリングの経営統合に伴い2007年12月に神戸リサーチセンターも閉鎖した。

同センターの研究チーム(桜田一洋センター長ほか)は山中伸弥京大教授らが06年8月にマウスiPS細胞の作成を発表した直後から、ヒトでの研究を始め、山中教授らのチームより早く、ヒトの「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作成し、特許出願も完了していると伝えられた。

桜田センター長はその後、米ベンチャー企業が2007年に設立したiPS細胞による医薬品スクリーニング会社 iZumi Bio, Inc. の最高科学責任者(CSO)に就任している。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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