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2008年5月 7日 (水)

血液凝固防止ヘパリン製剤問題のその後

本年2月28日、米食品医薬品局(FDA)は、昨年12月以降に米Baxter 製のheparin 製剤を投与された448人がアレルギー反応を起こし、21人が死亡したと発表した。FDAによると、Baxter が仕入れている米国Scientific Protein Laboratories (SPL) と、同社の中国JVのChangzhou (常州SPLの原液を使ったheparin 製剤の一部から不純物が見つかった。

厚生労働省は3月10日、血液凝固防止作用があり、透析治療に不可欠なヘパリン ナトリウム製剤について、予防的な措置として、国内メーカー3社が自主回収を始めたと発表した。

    2008/3/14 血液凝固防止ヘパリン製剤 自主回収

その後米国では785人に重いアレルギーなどの副作用が確認され、少なくとも81人の死亡例がheparin との関連が疑われている。

Baxter International のRobert Parkinson CEOは4月29日、米下院のエネルギー商業委員会小委員会の公聴会で、同社の血液凝固阻止剤 heparin に不純物が意図的に混入されていたとの見方を示した。
原料が中国のSPLの工場に到着する前に不純物が混入されていたとしている。

FDAは3月にheparin に「過硫酸化コンドロイチン硫酸(OSCS)」が含まれていたと発表した。
(専門家はheparin に5%から20%含まれるOSCSがアレルギー反応を引き起こしたとの確証は得ていないとしている。)
FDAの医薬品評価研究センターは「heparin に混入していたOSCSを検査した結果、12社の中国企業に行き着いた」と語った。

動物軟骨由来のコンドロイチン硫酸(コンドロイチンは軟骨という意味のギリシャ語)は関節炎治療に広く使われているサプリメントで、抗凝血性はないが、分子の改変が抗凝固性をもたらす。
コンドロイチン硫酸は通常2糖あたり1つの硫酸基を含んでいるが、2つの硫酸基を含む過硫酸コンドロイチン硫酸が見つかっている。一つはサメ軟骨中のコンドロイチン硫酸D、もう一つはイカ軟骨で見つかったコンドロイチン硫酸Eである。
今回の「過硫酸化型」は化学的に合成された可能性がある。

Heparin は通常はブタの腸などから製造されるが、OSCSを使用すると安価に製造できるという。増量のためにOSCSを混入したのではないかとみられている。
heparinのコストが1ボンド当たり900ドルなのに対して、OSCSはたった9ドルといわれる。

中国当局はOSCSは死亡やアレルギー症状に関係ないと主張している。他の国でもOSCSの混入が見つかっているが、どこでも副作用は報告されていないとしている。

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厚生労働省は3月22日、輸入業者などが保管していた中国SPL社とドイツCKW社の原料に同じ不純物の混入が確認されたことを明らかにした。いずれも製剤にする前で流通はしなかった。

伊藤ハム子会社伊藤ライフサイエンは4月30日、輸入した原薬から微量
OSCSが検出されたとして、同社の血液抗凝固剤「パルナパリンナトリウム」約10万本を自主回収すると発表した。対象製品は1~2月に出荷されたが卸業者の倉庫に保管されており、患者への使用はなかった。

扶桑薬品工業も5月2日、「ヘパリンナトリウム製剤」の自主回収を始めた。米国メーカーから購入した原薬中にOSCSが約0.2%混入していた。
同社は原薬の調達先がバクスターと同じだったため、3月に予防措置として自主回収し、別のメーカーの原薬で製剤化した製品を代替品として出荷していた。今回、この代替品の原薬から異物が検出された。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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