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2008年2月19日 (火)

富士フイルム、富山化学を買収、総合ヘルスケア企業を目指す

富士フイルム、大正製薬、富山化学工業の3社は2月13日、富山化学の医療用医薬品事業の強化を中心とする戦略的資本・業務提携を行うことで基本合意したと発表した。

富士フイルムが富山化学の持つ新薬開発力を足掛かりに医薬事業に本格参入するもので、富山化学に約22%出資し提携関係にある大正製薬とも連携し、成長戦略の柱に育てる。

まず①富山化学が実施する第三者割当増資を富士フイルムと大正製薬が引き受け、次に、
②富士フイルムが富山化学の公開買付けを行う。これにより富士フイルムと大正製薬が合わせて富山化学の発行済株式総数の3分の2以上を取得し、さらに
③富山化学による全部取得条項付株式の発行を通じた方法を経て一般株主の持株を買い上げた上で、富士フイルムから大正製薬に一部の株式譲渡を行い、
最終的に富士フイルムが66%、大正製薬が34%の富山化学の株式を保有する。

これにより、
「インフルエンザ治療薬」、「アルツハイマー病治療薬」などの有力なパイプラインを保有し、優れた創薬力を有する富山化学を、特定領域(感染症、抗炎症、中枢神経など)における世界基準の有力創薬企業として大きく飛躍させ、
富山化学の企業力の向上と3社の研究開発・販売面でのシナジー拡大による新たな価値創造を通じて、富士フイルムと大正製薬がそれぞれの企業価値の最大化を実現する。
富山化学が開発中のインフルエンザ治療薬「T-705」の早期開発と安定供給体制の構築に向けた取り組みを加速する。

ーーー

富山化学は1930年に富山化学研究所として設立され、青化ソーダ、黄血塩等の製造、各種化学薬品の製造研究を行った。
1936年に富山化学工業が設立され、その事業を継承した。
1938年に医薬品製造を開始した。

同社は研究開発型企業として「新薬開発を通じて世界の医療の発展に貢献する」という経営目標を掲げ、世界基準の新薬候補化合物を安定的に創出する体制の構築を進めており、開発パイプラインに「インフルエンザ治療薬」「アルツハイマー病治療薬」「リウマチ治療薬」など有望な新薬候補を有している。

しかし新薬開発費用がかさみ、2007年3月期決算では88億円の損失を計上、2007年9月中間決算時点で、累積損失は163億円となっている。(資本金 224億円、資本剰余金 215億円)

 

富山化学と大正製薬は2002年8月に「資本提携及び医療用医薬品事業の研究開発・販売に関する戦略的提携についての基本合意書」を締結した。
 ・同年9月に大正製薬が富山化学の第三者割当増資を引受け、発行済株式の約22%を取得した。
 ・両社は同年10月、医療用医薬品分野の国内販売会社として大正富山医薬品(大正製薬 55%、富山化学 45%)を設立した。
 ・更に医療用医薬品事業の研究開発における協力体制を構築、
 ・海外の医療用医薬品事業でも提携することとした。

2007年10月には大正製薬・富山化学の両社が共同開発を行った合成抗菌剤「ジェニナック」を上市している。

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富士フイルムの事業領域は①イメージングソリューション分野、②インフォメーションソリューション分野、③ドキュメントソリューション分野の3つだが、②のインフォメーションソリューション分野のうちメディカル・ライフサイエンス事業を主要な事業領域の一つとしてグローバルに事業展開している。

デジタルX線画像診断システム「FCR」を中核に、超音波画像診断装置・電子内視鏡などとの組み合わせにより、医療画像診断における統合的ソリューションの拡販強化を図り、さらに医用画像情報ネットワークシステム「SYNAPSE」を中心としたネットワークサービス事業の拡大を図っている。

    2006/11/2 富士フイルム、超音波画像診断分野に参入 メディカル・ライフサイエンス事業拡大
      

同社は2006年10月に第一製薬より治療用放射性医薬品メーカーの第一ラジオアイソトープ研究所(1968年に第一製薬とMallinckrodt とのJVで設立、1988年に第一製薬の100%子会社)を買収し、富士フイルムRI ファーマと改称した。

特定の臓器に集まる化合物などにラジオアイソトープ(RI) を結合させ、RIから出るガンマ線を画像化またはグラフなどにして病気の診断や組織の機能検査に用いる。

また同社は1971年に写真用原料メーカーの三協化学(1990年代に医薬品製品に進出)に40%出資したが、2006年にこれを100%子会社とし、富士フイルムファインケミカルズに改称した。

同社は情報記録用有機化合物、医療原薬などの受託製造と有機合成薬品(感光材料、情報電子材料、医薬品原薬・中間体、染料中間体)の製造販売を行なっている。

同社は2006年9月、フイルムで蓄積した技術を利用してヘルスケア分野【予防分野】への参入を発表、第一弾として、機能性スキンケア化粧品、機能性体内ケア食品「エフキューブ アイ」を発売した。

これらには同社の下記の技術が使用されている。
FTD技術コンセプト(カラーフイルム技術)
「機能的に配合した成分もしくは素材を(Formulation)、新鮮なまま安定した状態で狙った場所に(Targeting)、タイミング良く適量届け、効果を持続させる(Delivery)」
「油溶成分可溶化」、「ナノ分散・乳化」、「安定化(酸化/熱/水分に対して)」技術
活性酸素の制御(写真フィルムの感度を上げたり、写真プリントの保存に使用)
ビタミンCを還元剤として活用した活性酸素の制御
コラーゲンの研究(写真フィルムの主原料)
ヒトと全く同じコラーゲンペプチドを遺伝子工学で創ることに成功、スキンケアや医薬品分野での応用研究に活用

今回、これらに加え富山化学の株式を取得して医療用医薬品事業に本格参入し、「予防~診断~治療」という全領域をカバーする総合ヘルスケアカンパニーグループを目指す。
古森重隆社長は「10年後をめどに売上高1兆円の総合ヘルスケア企業を目指す」としている。

参考 2007年3月期の医薬専業各社の連結売上高は以下の通り。

     武田薬品 1 3052 億円
     第一三共    9295 億円
     アステラス   9206 億円
     エーザイ    6741 億円

富士フイルムにとって、今回の買収の狙いを以下の通りとしている。

研究開発面では、富山化学のもつ高い技術力に富士フイルムの乳化分散技術によるナノ粒子化など、独自のFTD(Formulation Targeting Delivery)技術をはじめとする多彩な技術を組み合わせて、新たな価値創造による新薬パイプラインの強化および治験期間の短縮化を目指す。
生産面では、富士フイルムファインケミカルズの有効活用などを通じて、外注品の内製化を始めとする生産体制の効率化、災害リスク分散体制の構築、原材料共同購入などを検討する。
販売面では、富士フイルムグループの海外販売ネットワークやブランド力・知名度などを最大限に活用した、海外販売体制の構築などを進める。
また、富山化学の企業力強化に向け大正製薬と強固な協力体制を構築していくと共に、研究開発、販売分野を中心に、両社の企業価値の向上に繋がる協業の検討を進める。

ーーー

大正製薬は2001年9月に、田辺製薬との間で事業統合をすることで合意した。

医療用医薬品事業とセルフ・メディケーション事業のグローバル・カンパニーを目指すもので、2002年4月を目処に持株会社を設立し、同年10 月を目処として大正製薬の研究開発・営業基盤を含む医療用医薬品事業を田辺製薬に統合する一方で、田辺製薬の一般用医薬品事業を大正製薬に統合することで、事業別会社に再編を図るとした。

株式移転比率は、大正製薬の株式1 株に対して割り当てる持株会社の株式の数と田辺製薬の株式1 株に対して割り当てる持株会社の株式の数との比率が1 対0.55 となるように割当交付するとした。

しかし、2001年12月、両社は本件の破談を発表した。

両社の意思の疎通が欠けており、田辺が「大衆薬は大正に全面的に任せするが、医療用薬の研究開発、販売は田辺主導」とするのに対し、大正は「大正が多額の研究開発費を出しながら全て任せる訳にはいかない」とした。
田辺が「対等」を主張するのに対し、売上高、資金力で勝る大正は「持ち株会社への株式移転比率は大正が田辺の約2倍で、資本の論理が働くのは当然。意思決定は事業会社が個別にでなく、共同持ち株会社で決める形を思い描いていた」
 とした。

その後、上記の通り、大正製薬は富山化学との間で、2002年に資本提携と医療用医薬品事業の研究開発・販売に関する戦略的提携を行なった。

今回は富士フイルムに協力して富山化学への資本比率を引き上げ、今まで以上に両社の業務提携関係を強化するとともに、富士フイルムのもつ独自技術の導入による健康関連商品への応用などセルフメディケーション事業での協業を図るとしている。

 

なお、大正製薬は2月12日、ビオフェルミン製薬を買収すると発表した。TOBを実施し、最大で発行済み株式の62.0%を取得して子会社化する。乳酸菌技術を持つビオフェルミンを傘下に収め、自社の医薬品や健康食品の開発に役立てる。

本TOB成立後も引き続きビオフェルミン製薬の株式上場を維持する方針。

ビオフェルミン製薬の最大株主で38.28%を所有するT・ZONEキャピタルはTOBに同意しているが、10.01%を所有する二位株主の武田薬品は「慎重かつ迅速に検討する」としている。



* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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