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2008年2月15日 (金)

話題 サントリーの「青いバラ」

サントリーと100%子会社のAustralia Florigene が世界で初めて開発に成功した「青いバラ」(写真は同社発表から)が、2008年1月31日付で、カルタヘナ法に基づく第一種使用規定(切り花の用に供するための使用、栽培、保管、運搬及び廃棄等)の承認を得た。
同社では生産・販売体制を整え、2009年から発売する予定。

植物の色は含まれる色素の働きによるもので、色素には
 フラボノイド(
アントシアニン、フラボン、フラボノール、カルコン、オーロンなどの総称:白・黄・橙・赤・紫・青など)、
 ベタレイン(
ベタシアニン:赤から紫色、ベタキサンチン:黄色)、
 
カロチノイド(カロチンとキサントフィル:黄・橙)、
 クロロフィル(
葉緑素:緑
の4種類がある。

青色に見せる働きをするものは、フラボノイドの一種のアントシアニンで、その中でも特に重要な青色の色素が「デルフィニジン」。

バラにはもともとこのデルフィニジンが含まれておらず、このことから "Blue rose" は英語で "impossible" を意味した。

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サントリーは1990年に花の品種改良などを手がける豪州のバイオベンチャーのCalgene Pacific Pty Ltd.と共同で青いバラの開発を始めた。

Calgene Pacific 1994年にオランダの Florigene B.V.の資産を買収し、社名をFlorigene に改称した。
サントリーは2003年12月、Florigene を買収し、100%子会社とした。

開発は次の2つのポイントを試行錯誤しながら行なわれた。
 ・青色遺伝子の取得
 ・バラに遺伝子を導入して遺伝子組換えバラを作製する方法の開発

1991年ペチュニアから青色遺伝子を取得し、特許出願した。

1995年にこれを組み込んで、世界で初めての青色カーネーションが誕生した(1997年より発売)が、バラでは失敗した。

1996年にパンジーの青色遺伝子を入れたバラで研究を開始、1998年~1999年頃にはやや青みを帯びたバラを得ることに成功、デルフィニジンが100%近く蓄積する工夫を行い、2004年、ついに青いバラの誕生に至った。

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カルタヘナ法は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の別称で、2004年2月19日から施行されている。

(目的)
第一条 この法律は、国際的に協力して生物の多様性の確保を図るため、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講ずることにより生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の的確かつ円滑な実施を確保し、もって人類の福祉に貢献するとともに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

カルタヘナ議定書(Cartagena Protocol on Biosafety):
現代のバイオテクノロジーにより改変された生物(Living Modified Organism)が生物の多様性の保全及び持続可能な利用に及ぼす可能性のある悪影響を防止するための措置を規定しており、生物の多様性に関する条約第19条3に基づく交渉において作成されたもの

この法律では、遺伝子組み換え生物等の使用等に先立ち、その使用形態に応じた対処の仕方(交雑防止措置など)を実施することを規定している。

遺伝子組み換え生物等の輸入・輸出、栽培、飼養、販売等にあたり、その開発者や輸入者などは手続きを行なったうえで主務大臣の承認を受ける義務が定められている。

「第一種使用」とは、一般ほ場での栽培や食品原料としての流通等の「環境中への拡散を防止しないで行う」使用のこと。

「第二種使用」は実験室内での研究等の「環境中への拡散を防止する意図をもって行う使用」で、拡散防止措置が必要とされる。

 


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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