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2008年1月 8日 (火)

アブダビの石油権益は延長か

アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国を訪問した甘利明経済産業相は1月6日、アブダビ石油公社のユセフ総裁と会談した。
総裁は「油田開発には日本企業の関与継続を求める」と述べ、2012年から順次失効するアブダビ石油など日系4社の自主開発油田の権益延長・拡大を認める方針を示唆した。

昨年12月17日、福田康夫首相は、来日中のムハンマド・アブダビ皇太子と会談したが、その席でアブダビ石油の自主開発油田の契約更新に向け、原油の安定供給について意見交換している。
また、会談後にコスモ石油や丸紅などとアブダビ側との発電などのエネルギー事業契約に関する署名式を、首相と皇太子が同席して官邸で行った。

アラブ首長国連邦結成(1971年)以前の1968年にアブダビ石油が石油利権を取得。その後も1970年に合同石油開発がエル・ブンドク油田に参加、1973年にジャパン石油開発が設立されアドマ鉱区の事業に参加、1996年に国際石油開発がアブダビ沖合アブ・アル・ブクーシュ油田に権益を保有していたAmerada Hess社から権益を取得(Inpex ABK)するなど、二国間関係は石油関係を中心に発展している。

* 石油公団解散により、国際石油開発(Inpex)がジャパン石油開発(JODCO)の親会社となった。

2005年現在、UAEは日本の原油輸入量第2位(24.5%:このうち99%はアブダビで産出)、ガス輸入量第4位(12%:ほぼ100%アブダビで産出)を占めており、わが国自主開発原油の中でUAEが占める割合は約50%(約20万B/日)。

2007年9月に、アブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社IPICが約900億円を投じコスモに20%出資し、筆頭株主になることが発表されている。コスモヘの出資を機に対日輸出を拡大、日本市場への影響力を強める。
また、アブダビ政府が同国で計画する石油精製と石油化学の複合事業にコスモが出資することも検討する。

Abudabi_4  

 地図 http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/231/0511_out_f_ae_expansion_adco_zadco.pdf

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アブダビ石油

丸善石油と大協石油(現在は両社合併しコスモ石油)と日本鉱業(現ジャパンエナジー)が1967年12月にアブダビ土侯国より海上4,416km2の石油開発利権を獲得した。
  A地域 2,810km2、B地域 1,596km2
  ロイヤリティ 12.5%
  鉱区使用料 5万ドル/年
  利権協定 45年 探鉱期間8年
  8年の探鉱期間に最低1300万ドル投資

1968年1月、3社均等でアブダビ石油を設立
   現在の株主:コスモエネルギー開発 63%、ジャパンエナジー石油開発 31.5%、
           東京電力 1.8%、関西電力 1.8%、中部電力 1.8% 

1969年9月、ムバラス1号井 出油

1973年、
ムバラス油田が生産開始。
その後、子会社のムバラス石油が1989年にウム・アル・アンバー油田、1995年にニーワット・アル・ギャラン油田で生産を開始した。
(ムバラス石油は2006年1月、アブダビ石油が吸収合併した。)

アブダビ石油が同地域で生産する原油量は2006年実績で日量約2万3,800バレルとなっている。
2012年に45年の契約期限を迎える。

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合同石油開発

株主
コスモエネルギー開発 35%
ジャパンエナジー石油開発  35%
三井物産 20%
三井石油開発 10%

合同石油開発は、アラブ首長国連邦・カタール国両国境線上に位置するエル・ブンドク油田の利権保有者であるブンドク社の株式の1/3を所有、またブンドク油田の開発所要資金の97%(残る3%はBP)を負担しているため、これに見合う生産原油の97%を取得している。

ブンドク油田は1970年11月より商業生産を開始し、2006年3月に累計生産量2億バレルを達成した。

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ジャパン石油開発(JODCO)
(当初 石油公団の子会社、現在は
国際石油開発:Inpex の子会社)

石油ショックに際し、政府も財界も新たな油田を求めて奔走した。

1972年、BPからアブダビ・マリン・エリアズ(ADMA)の持つ利権の30%を780百万ドルで買収したが、1974年に国営石油会社ADNOCが参加比率を引き上げた結果、比率は12%に下がった。

当時操業していたのは下部ザクム油田、ウムシャイフ油田で、これらの権益比率は、
 JODCO 12%、ADNOC 60%、BP 14.67%、TOTAL 13.33%

JODCOでは未開発の上部ザクム油田(既存の下部ザクム油田の上層)の開発を要請したが、先ずウムアダルク油田開発を指示された。
実際はメジャーも投げ出した油田で、1985年に生産を開始したが、油と一緒に水が噴き出し始めた。
シミュレーションで圧力を調整して水を止めることに成功、その後、水平掘りを実施して生産量を上げた。

その後、上部ザクム油田(可採埋蔵量世界4位)、サター油田の掘削にも成功した。

ウムアダルク、上部ザクムの権益比率はJODCO 12%、ADNOC 88%であったが、
上部ザクムの権益については、2006年1月1日を発効日としてADNOC社の権益88%のうち28%をExxonMobil Abu Dhabi Offshore Petroleum社(EM社)に譲渡された。

  JODCO ADNOC BP TOTAL(仏) ExxonMobil
下部ザクム油田   12%   60%  14.67%  13.33%   ー
ウムシャイフ油田   12%   60%  14.67%  13.33%   ー
ウムアダルク油田   12%   88%   ー   ー   ー
上部ザクム油田   12%   60%   ー   ー   28%
サター油田   40%   60%   ー   ー   ー

   資料 NHKライブラリー「プロジェクトX⑩ 夢遥か、決戦への秘策」より、「炎のアラビア」の後半部分

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インペックスエービーケー石油

設立:1996年2月29日

出資:国際石油開発 95%、三菱商事 5%
   (当初は石油公団が40%、国際石油開発=石油公団子会社が55%)

1996年、アブダビ沖合アブ・アル・ブクーシュ油田に権益を保有していたAmerada Hessから権益を取得した。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  

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