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2007年11月22日 (木)

中国、公害対策進める

1)江蘇省、太湖流域の汚染排出権を有料に

今年の5月に太湖のアオコ発生により、100万人以上の無錫市の住民が10日間水道水が飲めなくなるという事態が発生した。
江蘇省と上海市の3千万人の住民が飲み水を太湖水域に頼っている。
温家宝首相は対策会議で、飲み水問題を国家プロジェクトとして優先的に対処すると述べた。

2007/6/16 太湖の水質汚染問題

江蘇省はこのたび、2008年から太湖流域における水質汚染物質の排出権を有料化する取り組みを試験的に行うことを決定した。
モデル事業の実施範囲は太湖流域の無錫市、常州市、蘇州市、鎮江市の丹陽県と句容県、南京市の高淳県などで、先ず 266社を重点監督コントロール対象に選んだ。

江蘇省環境保護局が決めた計画では、化学会社は化学的酸素要求量(COD)1kg 当たり 10.5人民元(1.4米ドル)の支払いが必要となる。
染色業では5.2元、製紙業では1.8元、醸造業では2.3元となっている。
2009年からは更に、アンモニア窒素や総燐(T-P)の排出権有料化モデル事業をスタートし、太湖流域における市レベルの水質汚染物質排出権取引市場を構築する。

環境保護局では有料化により、汚染業者が処理設備を高度化し、汚染物質を減らすことを期待しているが、同時に、1,000社以上の小規模化学工場が閉鎖に追い込まれるだろうとみている。

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中国政府は太湖のクリーンアップのために5年間で145億ドルを投じることを決めた。太湖の富栄養化をコントロールし、水質改善を図る。
これにより、8~10年で太湖の水汚染問題は基本的に解決されるとみている。

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2) 「グリーン貸付制」

中国国家環境保護総局は本年7月30日、「中国は国家の産業政策に合致せず環境を汚染した企業とプロジェクトに対して貸付規制を行い、グリーン貸付メカニズムで高エネルギー消耗と高度汚染の産業の拡大を食い止めることにする」と発表した。

国家環境保護総局は定期的に金融機関に企業の環境情報を提供して、これら情報を企業の信用情報データに収め、企業に貸付するときの重要な根拠とするとし、今後、ほかの部門と協力して、環境保護の促進策を提案するとした。

7月中旬、国家環境保護総局が中国人民銀行、中国銀監会(中国銀行業監督管理委員会)と合同で「環境保護政策法規を着実にして貸付リスクを防止する意見」を発表した。
産業政策に合わない環境違法の企業および案件に対し、貸付規制を行い、グリーン貸付メカニズムで高消費・高汚染産業の盲目的な拡張を抑える。
環境保護総局は先ず、人民銀行、銀監会に30社の環境違法企業のリストを通報した。

「中国青年報」によると、「グリーン貸付制」が、開始4カ月で早くも効果を上げはじめている。

国家環境保護総局の責任者によると、同局が作成したブラックリストに載った汚染の深刻な企業のうち、これまでに12社が、各銀行から貸付金の返還を求められたり、貸付けを停止または拒否されたりしている。

安徽省では、現地の銀行に1000万円の貸付けを申請していた酒造企業が、長年にわたって汚水処理施設を設置せず汚水を垂れ流して環境保護部門のブラックリストに載ったことがわかったため、貸付けを受けることができなくなった。
江蘇省では、現地農業銀行に新しく貸付けを申請したある著名な企業が、環境汚染度で「レッド」クラスに認定された貸付け制限対象であることが判明し、環境汚染状況を改善し環境保護部門の検査を受けリストから解除されてからもう一度申請するようにとの指示を受けた。

国家環境保護総局の責任者によると、グリーン貸付制のもっとも大きな作用は、企業が環境保護法規を違反した場合に大きな経済的な損失を払わなければならなくなることである。
現行の法律では、企業の環境汚染行為に対する罰金は10万元以下に制限されており、汚染によって得られる利益と比べればあまりに小額である。
グリーン貸付制は、環境保護法規違反の取り締まりのための新しい有効な手段となっている。

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国家環境保護総局は中国の新しい環境保護政策体系の構築に積極的に取り組んでいる。

環境保護総局は年初に、市場経済の要請に相応しい環境政策の確立を目指しているとの姿勢を示した。
価格、税収、財政、貸付、費用徴収、保険などの手段を通じて、市場主体の行為を調節したり、影響を与えることにより経済建設と環境保護の調和の取れた発展の実現を図ることが新しい環境政策の主旨で、環境税の徴収も検討している。
グリーン貸付制はこの一環である。

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地方政府も同様の政策をとっている。

広東省深セン市で今年、「環境保護建設生態都市強化に関する決定」が実施され、企業の汚染物質の違法排出を効果的に制約することに成功した。
新規定には、「環境汚染の違法行為をすれば銀行は貸付を停止する」「汚染物質の違法排出をすればメディアで公開謝罪をする」等の項がある。

銀行が毎年年度始めと6月に行う貸付けに対して企業審査を盛り込むこととなった。
同市の環境保護局が環境違法企業の147社を含めた237社の環境情報を人民銀行に渡した結果、全部で4社が1億元の融資を停止された。

市では違法な建設や期限付きの環境改善などの情報を将来さらに取り入れていき、1つでも関連規定に違反すれば、銀行貸付の停止処分を取るとしている。

同市では2004年11月から、「汚染物質の違法排出をした場合、メディアで公開謝罪することとする」と規定し、環境汚染の違法行為をした企業に対して、メディアで公開謝罪、法規の遵守を誓約、社会からの監督を承認するよう要求している。
今年の1月~9月までの間で、企業14社がメディアを通じて謝罪した。

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3)これとは別に、吉林省では、汚染物排出減少政策に違反する製紙・パルプ会社93社を閉鎖させることを決定した。

吉林省環境保護関連の部門が全省の製紙会社209社の排水を調べたところ、生産規模1万トン以上の非パルプ製紙会社は、生産を停止して改善を施したことで汚染物排出基準値をクリアしたが、生産規模が1万トン以下の小規模の企業の大多数は未だ汚染改善用設備が建設されず、排水は汚染基準値を超え、環境汚染が著しかった。

吉林省は、11月20日までに閉鎖リスト上の製紙会社に閉鎖命令を下し、水道や電気をストップし、法に基づき生産許可証や営業許可証を取り消す。

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* バックナンバー、総合目次は 
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  
項目別の索引も作成しました。

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