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2007年8月31日 (金)

日本触媒 アクリル酸工場再編 

日本触媒は22日、130億円を投じてアクリル酸工場を再編すると発表した。
愛媛工場が老朽化していることと、高吸水性樹脂を中心とするアクリル酸誘導品の増強を見据え、愛媛工場を閉鎖し、姫路製造所で増強を行う。

同社は昨年末に姫路で160千トンのプラントの生産を開始し、同地での能力を380千トンとしている。
愛媛の80千トンは2002年にMMAとの事業交換で譲り受けたものだが、老朽化により修繕費用が年々増加しているため、約15億円をかけて解体撤去する。
  
2006/4/13  MMA事業の拡大 

他方、姫路で115億円を投じて、2009年末完工予定で年産80千トンのプラントを建設する。
完成後の国内能力は愛媛停止前の460千トンに戻る。

同社はこのほか、米国、インドネシア、シンガポールに合計160千トンの能力を持っており、世界全体の能力は620千トンとなる。

  社名   能力
  (持分)
備考
米国 テキサス州  American Acryl L.P. 120千トン
(60千トン)
NA Industries (日触 100%) 50%
Atofina 50% 〔ブチルアクリレート用〕
インドネシア 西ジャワ州
アニール
PT.Nippon Shokubai
Indonesia
60千トン
(60千トン)
日触 93.8% 旧 PT Nisshoku Tripolyta Acrylindo
アクリル酸エステル 100千トン
シンガポール Sakra島 Singapore Acrylic 75千トン
(40千トン)
日触 51%、東亞合成 40%、住化 9%
住化/日触のアクリル酸/MMA事業交換     
 合計 (160千トン)  

同社では世界シェア20%強を占める首位の独BASFを追撃すべく、2006年5月作成の新中長期経営計画では2010年頃に国内で更に160千トンの新設を折り込んでいる。(グラフは同社資料を編集)

Rohm & Haas はテキサスで165千トンを生産するとともに、Stockhausen との 50/50 JVStoHaas Monomer(ドイツ)で430千トンを生産している。
Stockhausen (Degussa 子会社)はこれを高吸水性樹脂用に使用する。同社はJV設立の見返りにアクリル酸の商権をR&H に譲渡した。

日本の他のアクリル酸メーカーは次の通り。

  千トン 備考
三菱化学 四日市  110 南アにJV Sasol Dia Acrylates (South Africa) 80千トン
大分ケミカル 大分   60 東亞合成90%、昭和電工10%
日昭化薬日本化薬/昭和電工 83/5停止)からアクリル酸事業引き継ぎ
出光興産 愛知   50  

   2006/4/24  アクリル酸業界 

ーーー

アクリル酸の主要用途の高吸水性樹脂(SAP)では同社は更なる新増設を検討している。
同社の2007年末の全世界能力は410千トンだが、新中長期経営計画では2010年頃に90千トンの新増設(場所未定)を折り込んでいる。

同社の場所別能力は以下の通り。(グラフは同社資料を編集)

  2007年末 備考
日本  260千トン 2007年60千トン増強
米国  テキサス州 パサデナ市   60千トン NA Industries, Inc,(日触 100%) 
ベルギー アントワープ   60千トン NIPPON SHOKUBAI EUROPE N.V.
中国 江蘇省張家港   30千トン 日触化工(張家港)有限公司
 合計  410千トン  

BASFは1998年にClariantの事業を買収、2000年には米国 AMCOLの子会社 Chemdal の事業を買収した。
2001年にはタイ、2002年にはアントワープ工場が完成、ブラジルでPetrobrasとのJV計画もある。

Degussa(当時はHuls)は1991年にStockhausen を買収した。米国とドイツに合計160千トンの能力を有している。

2006年2月にDegussa はDowの高吸水性樹脂事業を買収した。Dowのドイツのプラント(80千トン)を取得、米国のプラント(75千トン)では製造委託を行う。更に原料精製アクリル酸の長期供給契約を締結した。

同社は更に、ドイツのStockhausenの工場を本年中に増設する。(能力は発表していない)
原料のアクリル酸は上記の
StoHaas Monomerの増設で賄うとしている。

日本の吸水性樹脂工業会メンバーは日本触媒のほか、サンダイヤポリマー(San-Dia)、住友精化、花王、荒川化学の4社。
サンダイヤポリマーは三洋化成60%/三菱化学40%のJV。
なお、東亞合成が10千トン設備を有していたが、撤退した。

  日本 海外
日本触媒  200
(+60)
3カ国(上記)  150
サンダイヤポリマー
    
名古屋  105 三大雅精細化学品(南通)    20
(+30)
大垣   20
 125
住友精化 姫路   55
(+30)
Sumitomo Seika Singapore   55
花王     10    
合計    390
(+90) 
   225
(+30)

日本の需給は以下の通り。(METI発表)

 

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