中国でポリアセタール(POM) 計画相次ぐ
中国化工集団公司(ChemChina)の子会社 Blue Star (藍星グループ)は上海の浦東区Xinhuo (星火)開発地区で3段階に分けて合計20万トンのPOMプラントを建設する。子会社の上海藍星新材料(上海藍星)が運営する。
第一段階として上海藍星では既に12万トンの原料フォルムアルデヒドと 4万トンのPOM設備を建設中で、本年末までにスタートする予定。
本年5月には第二段階の6万トン計画を打ち上げ、政府の認可待ちとなっている。
将来の需要動向をみて第三段階の10万トンプラントを建設する計画で、同じサイトで合計能力を20万トンとする。
本年4月12日には、雲南省の云天化集団(Yuntianhua Group)が重慶市の重慶化学工業団地で最終6万トンのPOMプラントの鍬入れ式を行った。2万トンずつの3系列で、第一系列は2008年7月、第二、第三系列は2010年に完成する予定。
雲南省に本拠を置く同社は、化学肥料(アンモニア58万トン、尿素76万トン、硫安13万トン、燐酸肥料200万トン)をメインの事業とし、ほかに有機化学品、ファイバーグラス、PVC(3万トン)、苛性ソーダ(3万トン)などを生産する。
同社は中国で最初のPOMメーカーで、2005年に雲南省昭通市(Zhaotong)に12千トン能力でスタート、2006年に20千トン設備を追加し、既存能力は32千トンとなっている。
中国では日系の2社の工場が完成し、生産を行っている。
宝泰菱工程塑料(南通)有限公司〔PTM Engineering Plastics(Nantong)〕は2001年12月24日に設立された。
出資はポリプラスチックスが70.1%、ほかに三菱ガス化学、韓国Engineering Plastics、Ticonaが合計29.9%。
江蘇省南通市に60千トンの工場を2004年末に完成、2005年10月から商業運転を行っている。
ポリプラスチックスはダイセル55%、セラニーズのエンプラ事業子会社 Ticona が45%出資
(ダイセルは発表していないが、同社がポリプラスチックを100%子会社化する意向との報道がある。)
韓国エンジニアリングプラスチックスはセラニーズ/三菱ガス化学/三菱商事のJV
三菱ガス化学の実質出資比率は23%となる。
杜邦-旭化成ポリアセタール(張家港)有限公司〔Asahi-DuPont POM (Zhangjiagang)〕は2002年8月8日の設立で、旭化成ケミカルズとDuPont の50/50JV。
江蘇省張家港市に第1期 20千トンを稼動させており、将来は 60千トンまで拡大する予定。
国内はJVが販売し、海外は両親会社が販売する。
ーーー
以上をまとめると、次の通りとなる。(単位:千トン)
社名 | 現状 | 将来 | |
云天化集団 | 雲南省昭通市 | 32 | 32 |
重慶市 | 60(20x3) | ||
宝泰菱工程塑料(南通) | 江蘇省南通市 | 60 | 60 |
杜邦-旭化成ポリアセタール(張家港) | 江蘇省張家港市 | 20 | 60 |
上海藍星新材料 | 上海市浦東区 | 40+60+100 |
中国の最近のPOMの需給は下記の通り(単位:千トン)で、今後はネット輸入量は減少する見込み。
Production | Import | Export | Consumption | |
2005 | 29 | 172 | 21.3 | 179.7 |
2006 | 85 (estimate) | 172 | 32.5 | 224.5 |
* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm
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コメント
ダイセルのサステナブル世界戦略はすごいですね。自己潤滑性の専門家を雇い入れ、ポリプラスチックスを100%の子会社化するなんて。
投稿: ものづくり | 2021年9月 8日 (水) 09時50分