続 次の買収は?
2007/5/28 「次の買収は?」 でいろいろの噂を報じた。
大規模買収が続く中で、投資家の間では更にいろいろの噂が飛び交っている。
なんらかの材料でもてはやし、株価を上げて儲けようとしているようだ。
1.Dow/BASF
5月31日に株式トレーダーの間でDow がドイツのライバルBASFを買うのではとの噂でBASFの株価が上昇した。
1日のロイターによれば、DowのLiveris CEO は、この噂に対してはノーコメントとしながらも、そんな大会社間のTOBは単なる資金問題だけでなく、難しい問題があるとして否定的なニュアンスを示した。
更に同社として関心のあるのは、今後伸ばしたい水処理事業とコーティング事業であり、そんな企業を狙いたいと述べた。
Dowは限外ろ過(微孔を有する高分子膜を用い、コロイド状粒子や有機性物質を加圧ろ過する方法)、膜分離活性汚泥処理、電気再生式脱イオン装置などの技術をもち、売上高は年間4億ドル程度。Liveris CEOは2~3年内にこの事業を20億~30億ドルにしたいとしている。
同社は昨年6月、浙江省湖州市の欧美環境工程有限公司(OEE)の株を買収している。
コーティング事業についても2~3年以内に同規模にしたいと述べた。
更に、Natreon oil のような健康・栄養事業の売上を伸ばしたいとしている。
Dow AgroSciencesは2004年に、品種改良された「Canola 種菜種」を使い、トランス脂肪酸、飽和脂肪酸を含まないNatreon oil を発売している。
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6月5日の日本経済新聞はLiveris CEOとのインタビュー記事が載っている。
大型M&Aについて
「独BASF、米デュポンとの合計でも市場シェアは7、8%しかない。それでは規模の利益を得にくい」
デュポンの買収提案
「それらは観測だ。・・・我々はどんな買収も急がない」
「現在は川下分野で投資機会を探っている。先端分野で技術力を持つ会社などに関心がある」解雇役員との訴訟合戦
「彼らは会社を非上場化し、バラ売りしようとしていた。・・・会社を売るより、現在の経営戦略を続けた方が長期的な株主価値を生み出せると思う」
.2.Bayer
証券アナリストの間でBayerがプラスチック(MaterialScience)事業を売却するのではとの説がある。
同社のCEOが、プラスチック事業は同社の重要な部門であるとしているが、いつまでそれが続くだろうかとしている。
同社のMaterialScience 部門は以前のBayer Polymers と Bayer Chemicals から Lanxess が分離独立した残りの部門で、PC、ポリウレタンなどが中心となっている。
Bayer は昨年Schering AG を230億ドルで買収しライフサイエンス会社に変身した。
(買収資金の一部を賄うため、MaterialScience の子会社、希少金属粉末の H.C.Starck、セルロースの Wolff Walstrode は売却された。)
その結果、MaterialScience 部門は異質な存在になりつつある。
更に、同部門の全社における比重も減っている。
昨年の同部門の全社における売上高比率は前々年の38%から35%に減少している。
営業損益もグラフの通り、同部門が減益となる一方、CropScience を含むライフサイエンスは、(Schering AG の分が半年分しか入っていないが)増益となり、全社での比重が高まっている。
注 Schering AG の分は2006/6/23から算入
あるアナリストはGE Plastics の売値からみて、かなりの高値で売れるだろうとし、その収入を医薬事業に投入すれば世界のトップ10の医薬会社になれるとしている。
但し、現在のBayerはSchering 買収で3月末で130億ユーロの借入金を持っており、返済のためにプラスチック事業のキャッシュフローが必要とする声もある。
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Bayer の医薬部門では、医療用医薬品に注力する一方、OTC 医薬品の買収を検討している。
同社は昨年Schering AG を買収したが、医薬品のうち医療用医薬品の比率を 60ー70%にとどめたいとしており、OTC医薬品の拡大が必要としている。
Bayer は2004年にRoche のConsumer Health 部門を23.8億ユーロで買収している。
買収の候補にスイスのPharmaton SA が入っているかとの質問にはノーコメントであった。
(昨年8月、Boehringe Ingelheim は子会社rのPharmaton を米国のIdeaSphere に売却する契約を締結したが、本年2月に売却はキャンセルされた。)
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