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2007年5月19日 (土)

中国製医薬品とペットフードから毒性物質

中国外務省などは8日、パナマ向けに輸出された薬用シロップのグリセリンと、米国とカナダへ輸出されたペットフードにそれぞれ毒性物質が混入していたと発表した。同省の姜瑜副報道局長は8日の会見で「グリセリンの代わりに医薬品には使用できない化学薬品が使われた」と述べ、因果関係を認めた。

一方、中国の国家品質監督検査検疫総局は8日、江蘇省と山東省の2社が製造して北米に輸出されたペットフードからも、樹脂などに使われるメラミンが違法に添加されていたと発表した。
米国とカナダでは今年3月、これらのペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡。FDAが中国側に調査を依頼していた。同総局は2社の責任者らを立件する方針。(以上 朝日新聞から)

 

6日付のニューヨーク・タイムズ紙はパナマで365名の死亡が伝えられ、うち100名が確認されたとし、以下のように詳細に報道している。

昨年5月、長い雨季が始まり、パナマ政府は風邪や咳の患者増大を予想して26万本の咳止め薬を製造した。

9月に Panama City の公衆病院は不思議な症状の患者の増大に気がついた。身体の一部の機能が停止または麻痺し、中には呼吸困難に陥った患者までいた。死亡者も続出したが、はっきりとした原因は分からないままだった。

調査の結果、病院の患者の半数が高血圧薬を処方されていたことが分かったが、それを飲んでいない患者もいた。
たまたま、ある患者が、その薬を飲んだが、咳が出たので咳止め薬を飲んだと話したので、咳止め薬に注目が集まった。

支援のために訪問していた米国疾病管理・予防センター(CDC)調査員が咳止め薬を持ち帰り、調べた結果、Glycerin ではなくDiethylene glycol であることが判明した。

死亡者数の確認が難航した。既に埋葬されており、多数が医者にもかかっていなかった。被害者の大半は幼い子供だった。
アルゼンチンの病理学者が埋葬された死体からの毒物分析方法を開発した。
(現在確認されたのが上記の100名)

その後の調査で次のことが判明した。

咳止め薬に使われたシロップは 「99.5% pure glycerin」と表示されていた。
   
製造したのは江蘇省泰興市(Taixing)恒祥( Hengxiang)のTaixing Glycerine Factoryである。グリセリンの代わりに遥かに安価なジエチレングリコールを使用した。
   
北京の商社 CNSC Fortune Way がこれを スペインのRasfer International に販売、同社はパナマのブローカーの Medicom Business Group に販売した。どの社も製品テストはせず、メーカーの社名を消していた。(需要家が直接メーカーと契約をするのを防ぐため、しばしば行われる) メーカーの品質証明も購入者に渡すのがルールだが、それも行われていない。
   
パナマでは2年間以上、使われず、Medicom はシロップの有効期間を変更していた。
パナマ政府もこれを使用する際に品質検査を実施していない。
   

グリセリンの偽者は本物に似ており、極めて安いため、しばしば使用され、事故を起こしている。

70年前には米国でジエチレングリコールの入った薬品で100人以上が死亡、これが厳しい薬事法の制定と現在のFDAの設立のきっかけとなった。
その後、ハイチ、バングラデッシュ、アルゼンチン、ナイジェリアなどで事故が発生しているという。
中国でも昨年
4月に少なくとも18名が死亡している。

これまでのところ、中国政府の反応は非常に鈍いものであった。

薬事当局は、工場は医薬品製造の登録をしていないので管轄権はないとし、商社についても医薬品を業としていないとして、両社とも違法な行為をしていないとしていた。

付記

中国の国家品質監督検査検疫総局(国家質検総局)は5月31日、「中国の出荷側に落ち度があったとしても、直接原因はパナマの業者の不正行為にある」とした見解を明らかにした。

発表によると、
北京の中服嘉運貿易会社は、輸出の際にスペインの貿易会社に、同製品は工業原料TDグリセリンで中国薬典規格に合っていないと説明したほか、製品の有効期間は1年とすることも伝えたという。
しかし、パナマの商社は、米国薬局方(USP)の純グリセリンと偽って同国の製薬会社に販売、さらに有効期間1年を4年に改ざんした。2006年製造開始の時点ですでに使用期限が2年前に切れていた。

ーー

米国とカナダでは今年3月、メラミンが違法に添加されていたペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡した。

FDAは史上最大の製品リコールを行い、中国の2社、江蘇省徐州市の Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. と山東省の Futian Biology Technology Co. Ltd.を突き止めた。

メラミンの添加された両社の製品は成分が小麦グルテンと米プロテインと表示されていたが、実際には単なる小麦粉であった。

米国ではメラミン添加は禁止されているが、中国では、メラミンには栄養価はないが、検査で蛋白質が入っているように見せかける安価な添加物として、動物飼料生産者は何年もの間メラミンを飼料に添加してきたという。

オンタリオの研究者は、小麦グルテンに含まれるシアヌル酸とメラミンが混合すると、動物の腎機能を妨害する結晶を形成するとしている。

 

なお、FDAと米国農務省は7日、メラミンが添加されたエサを食べた豚やチキンを食べても、人間の健康へのリスクは非常に少ないとの共同発表を行った。


* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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