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2007年4月30日 (月)

「世界の石油化学製品の今後の需給動向」-中東の状況

METI 「世界の石油化学製品の今後の需給動向」の「国別データシート」から中東の石化の状況を見る。
 
http://www.meti.go.jp/policy/chemistry/main/teikihapyousiryou/070419kunibetudeta1.pdf 

中東のエチレン系製品の世界の能力(エチレン換算)に占める割合は下図の通り増え続けている。

エチレン

主な新増設計画と検討状況

中東での2006年より2011年迄の確度の高い計画  
       
サウジ  JUPC  40万t 増設 2006年6月
  Chevron  24万t 2007年3Q  
  Sharq 120万t 2008年2Q
  YANSAB 130万t 2008年3Q
  SAHARA 100万t 2008年3Q
  Rabigh PC 130万t 2009年1Q
  Kayan 135万t 2010年   
  SIPCHEM  83万t 2011年  
  小計 762万t  
       
イラン BIPC  10万t 2006年
  NPC #7 110万t 2006年末
  NPC #9 100万t 2007年9月
  NPC #10 132万t 2007年7月
  小計 352万t  
       
カタール QAPCO  20万t 2007年8月
  Ras Laffan 130万t 2009年
  小計 150万t  
       
クウェート Equate-2 85万t 2008年2Q
       
UAE Borouge 140万t 2011年
       
イスラエル Camel Olefin  4万t増設 2007年
       
合計   約1,493万t  
今回のスタディーに組み込まれてない計画
   
サウジ  ChevronPhillips 130万t  2012年
  DOW/ARAMCO 130万t 2012年
       
       
       
       
       
       
  小計 260万t  
       
イラン NPC#5    
     #8    
     #11    
     #13    
  小計 約 685万t  
       
カタール Exxon 130万t 2012年
  Shell 130万t 2013年
  小計 260万t  
       
       
       
       
       
            
       
合計   約1,200万t  

この結果、2005年末の中東のエチレン能力約1,133万tが2011年末には 2.3倍の約2,625万tに達するものと予想される。

今回のスタディーに組み込まれてないその他中東のエチレン計画も約1,200万tあり、これらの計画が実現する場合には中東が世界最大のエチレン生産地域となる可能性が強い。

プロピレン

オマーンではリファイナリーよりのプロピレンプラント 34万tが本年より稼動を開始し、サウジではエチレンの副産物のプロピレン生産に加え、Al Jain(2008年40万t) 、Al Zamil (2008年 45万t)、NPPC (2008年 45万t)、以上合計 130 万tのプロパン脱水素によるプロピレンプラントの稼動が計画されサウジ全体では418万tのプロピレン能力増が予想される。

更にUAE ではメタセシス法(エチレン + Butene-2→プロピレン)による90万tのプロピレン生産の開始が2011年に計画されており、中東全体では2005年末のプロピレン能力約265万tが2011年には約881万tと、616万t増加することが予想される。

この為今後はエチレン系のみならずプロピレン系誘導品の輸出が急増するものと予想され、アジア諸国などへのインパクトが注目される。

この為今後はエチレン系のみならずプロピレン系誘導品の輸出が急増するものと予想され、アジア諸国などへのインパクトが注目される。

誘導品
中東での今後の人口増加傾向、需要の増加も見込まれるが、競争力ある原料を基に続々と新規エチレン計画が完成し、需要の拡大が見込まれるアジア並びに大きな能力増強が予定されていない西欧を中心にポリエチレン、エチレングリコールとして今後も輸出され、年々その輸出量は増加、世界市場への最大の石化輸出基地として位置付けられる。

又昨年よりプロパン脱水素法によるプロピレン及びPP の生産が開始され、PP としてアジア・西欧向けに輸出され、中東での石化産業の裾野が拡大する。

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2007年4月28日 (土)

「世界の石油化学製品の今後の需給動向」-アジアの状況

METI 「世界の石油化学製品の今後の需給動向」の「国別データシート」からアジアの石化の状況を見る。
 
http://www.meti.go.jp/policy/chemistry/main/teikihapyousiryou/070419kunibetudeta1.pdf

(以下、グラフはエチレン系製品のエチレン換算需給)

 
   
日本
  : 石化製品のユーザーの海外移転や川下製品(プラスチック製品等)の輸入拡大、建設需要の低迷により、石油化学製品、特にエチレン系誘導品の内需は、漸減傾向で推移するものと見込まれる。
 
 

主な新増設計画と検討状況

エチレン: 昭和電工(大分) 2.4万トン増設(2006年)
SM: 太陽石油化学(山口) 3万トン新設(2006年)
旭化成(水島) 6万トン増設(2006年)
EO: 日本触媒(川崎) 7万トン増設(2009年)
C3:         新日本石油化学(川崎) 14.5万トン(2006年)
PP: 日本ポリプロ(鹿島) 30万トン新設(2008年)
   
中国
  2005年から2006年初めにかけて3大エチレン(揚子BASF、上海BP、恵州シェル)合計230万tの稼動により、稼動前の能力600万tに対し、一挙に約40%弱の増強となった。これにより、国内自給率が向上し、これまで輸入量の増加を続けてきた汎用樹脂は2005年で横ばい、2006年では13年ぶりの減少となる見込み。
2007年については、新設計画はなく、次に集中するのが2009-10年にかけてであり、各計画が概ね予定通りに遂行されれば、その時点で中国の自給率は大幅に向上することとなり、更なる輸入の減少が予想される。
また、同時期に中東での新規計画の稼動が予定されていることから、中国をめぐる対中国向け輸出市場の競争が激化することは避けられない見通しであり、その影響は周辺諸国にも及ぶと見られる。

中国の需要については昨日の記事を参照。

   
 
 

主な新増設計画と検討状況  単位:KMT

独山子エチレン 1,000 2008-2H
天津石化 1,000 2008-
上海第2エチレン  600 2009-1H
撫順エチレン  800 2009-2H
EXXON/ARAMCO/福建煉油  800 2009-1Q
広州石化新エチレン  800 2009-
成都新エチレン  800 2010-1H
鎮海新エチレン  800 2010-
武漢エチレン  800 2010-
青島  800 2010-
大連実徳新エチレン 1,000 2011-END
合計 9,200  
       (参考) 中東
 

   
   
韓国
  エチレンについては、2009年までに139万トンの増設を行い、生産能力は24%増加し、需要の伸びは若干ビハインドのため、均衡から輸出ポジションに向かう。中国の旺盛な需要に支えられていたHD、LD、SM、VCM、PVCの輸出ポジションは維持されるが、中国において外資系エチレン・プラントが稼動した後、中国側単独による100万トン級のエチレン新増設プロジェクト(独山子、鎮海、天津等)が進行中であり、同プロジェクトの進捗状況によって、稼働率の調整を余儀なくされる局面も予想される。また、韓国石化製品輸出先の多様化も進展する。EGは輸入ポジションからバランスに向かう。
 
 

エチレンでは、2006年にSK3万t、LG石化10万t、大韓油化の6万トン増設を皮切りに、2007年に麗川NCCが42万t、サムスントタル20万t、LG化学(大山)20万t、湖南石化3万tとナフサ・クラッカーの増強が相次ぎ、2008年にロッテ大山石化35万tの増設が完了すると8社合計725万t年の体制となり、日本の生産能力とほぼ肩を並べるレベルに達する。
但し、ダウンストリームでは2008年にロッテ大山石化のLDPE増設13万t、HDPEは2007年に大韓油化の5万t年増設のみ。

   
台湾
  エチレンはFPCC、CPCの増設により63%生産能力が増加するが、誘導品の生産能力も増強され、需給バランスは輸入ポジションから均衡に向かう。
SMは生産能力増加の見合いで内需も伸び、輸入ポジションが維持される。
 
 

エチレンに関しては、FPCC120万tの拡張計画の完成が当初予定していた2005年末から2006年に遅延、その後さらに遅れ、2007年第2四半期に完成の見通し。CPCの林園工業園区でのエチレン計画は、当初予定の100万tから規模を60万tに縮小し、2010年の工事完成を目指している。CPCグループの「国光石化科技」計画(120万t)は、環境影響評価問題がいまだにクリアーされず、紆余曲折が予想される。全体の生産能力は63%増加し、442万t体制となる。
SMは、FCFCが2007年に72万t増設、199万t体制となる。
EGは、NANYAが2007年に72万t増設、218万t体制となる。

   
シンガポール
  国内の市場規模が極めて小さく、石油化学産業は構造的に外需依存であるため、東南アジアおよび中国、台湾を中心とした市場の経済動向に大きく影響を受けるうえ、2008年以降に相次いで完成、稼動開始が予定されている中東地域を中心としたプラント新設が、同国の需給バランスおよび製品市況に大きな影響を与えると考えられる。
また、現在、依然としてプロピレン、ベンゼンが輸入ポジション、エチレンが輸出ポジションとなっており、この状況は当面継続すると考えられるものの、国内での2つのエチレンプラント新設が現実的となった今、誘導品の今後の計画がどのように進められていくか、注視していく必要がある。
 
 

Shell は、単独でBukom 島内のShell 製油所隣接地に、2009年後半の完成予定で、800千t能力のエチレンプラントを新設することを発表した。同時に、誘導品としてはShell単独で、Merbau 地区に750千t能力のMEG プラントを新設することも発表した。
Exxon Mobil は、現在Jurong 島にあるエチレンプラント隣接地に、2010年~2011年の完成を目標に、能力1000千t級の第2期エチレンプラント建設を計画しており、同時にPEやオキソアルコール等の誘導品建設も計画されている。
(グラフではExxon Mobilの計画は含まない)

   
タイ
  Siam Cement とDow の新たなクラッカーが発表された。2010年稼動開始予定の90万tエチレンプラントを中心に、メタセシスユニットの導入により、プロピレンのトータル生産能力は80万tを確保した。その誘導品プロジェクトとしては、HDPE(30万t)とPP(40万t)が含まれている。
現在、主要石化製品の約4割は輸出向けであるが、2011年に向けて大規模なオレフィン及び誘導品プラントの新設が予定されているので、今後は輸出依存度が更に上がると考えられる。
 ・ポリエチレンは新増設による輸出余力が大幅に拡大。
 ・PTA は内需の伸びを上回る増設により輸出依存度が増加。
 
 
インドネシア
  オレフィン、芳香族ともに供給能力の大きな変化がなく、誘導品用の原料は約半分を輸入に依存する構造は変わっていない。
 
   
インド
  Reliance Industries Ltd.(RIL)は、インド石化製造能力の約60%のシェアを引き続き堅持。
国営ガス会社のGas Authority of India (GAIL)の新規エチレン・PP 生産計画
国営石油会社のIndian Oil Corp.(IOC)のパニパット製油所でPX・PTA の生産を2006 年Q4 に開始。
国営石油・ガス会社のOil and Natural Gas Corp.(ONGC)は、石化産業への参入を発表。
国営企業が今後、Giant のRIL を追随していく構図が出来つつある。
 
   
フィリピン
  国内産業空洞化傾向は続いており、需給動向は微減傾向となると言われている。
 
   
マレーシア
  新増設はタイタンのメタセシスによるC3 13万t増産とエチレンマレーシア C2 4万t増強を除いて殆ど無し。
C2、C3 誘導品は増設がない為、今後国内需要の伸びにより輸入ポジションになる。
PTA は国内需要の伸びにより輸出余力がなくなり輸入ポジションに転じる。
 

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2007年4月27日 (金)

世界の石油化学製品の今後の需給動向

経済産業省は4月13日、例年の通り、「世界の石油化学製品の今後の需給動向について」を発表した。
4月19日には詳細資料を報告本文とともにホームページで公開した。
 http://www.meti.go.jp/policy/chemistry/main/sekkajyukyuudoukou_copy(1).html

今回は下記の見直しを行った。
(1)中国におけるPVC需給の算出方式の変更
 ○ 昨年度版
    2005~2010年の
PVC生産の半分がアセチレンカーバイト法による生産であると仮定
    過去の実績分については、全てエチレン法
による生産とみなして算出 
 ○ 今年度版
    PVC生産に要するエチレン消費量を、
      EDC生産に要するエチレン消費量(エチレン換算値:0.29)と
      EDCからVCMを生産する際に要するエチレン消費量(エチレン換算値:0.2)に分けて計算
      (
アセチレンカーバイト法由来のPVCの生産量はエチレン消費から除外)
    過去に遡及して再計算。

PVC需給の算出方式の変更による中国における生産・需要の比較(エチレン換算)

  1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004
生産 平成18年度版  464  539  672  686  914  993 1,172
平成17年度版  795  942 1,075 1,439 1,624 1,973 2,436
需要 平成18年度版 1,043 1,187 1,385 1,647 1,771 1,863 1,981
平成17年度版 1,373 1,590 1,788 2,399 2,480 2,843 3,245

(2)その他の国も過去に遡ったデータの見直し

(3)結果
    2004年の世界全体の実績値では、昨年度版と比べて、
       エチレン換算で生産量約130万トン、
                需要量約160万トンの下方修正
ーーー

報告のまとめ

(1) 世界のエチレン系誘導品の需要

2005年の世界のエチレン系誘導品需要実績(エチレン換算)は、原油や石油製品価格の高騰や米国のハリケーンなどの影響により、104.1百万トンで前年比+1.4%にとどまった。
   
2006年以降は、世界全体で安定的な経済成長が達成されることを前提に、各国・地域ごとの需要見通しを積み上げると、2005~2011年の世界全体の需要の伸びは年平均+4.1%、2011年の需要量は132.7百万トン(2005年比で+28.7百万トン)となる見通し。
   
需要の伸びは地域別に傾向が異なり、アジア地域が年平均+5.1%程度。中国の需要増が大きく、中国1ヶ国のみで、2005年から2011年までの間に8.8百万トンの需要増。一方、北中南米は年平均+3.5%、西欧は年平均+2.2%の安定成長で推移する見通し。
   
日本における需要は、2005年の実績5.7百万トン、2006年の実績5.8百万トンに対し、一定程度の経済成長を見込みつつも、製品輸入の拡大、ユーザーの海外移転の動き等を考慮し、2011年は5.5百万トンと見込まれる。
   
(2) 世界のエチレン系誘導品の生産能力
   
世界のエチレン系誘導品の生産能力(エチレン換算)は、2005年末時点で121.3百万トン。現時点において2011年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、2011年末の生産能力は158.4百万トン(2005年比で+37.1百万トン)で、年平均+4.6%で増加する見通し。
   
2005~2011年の地域ごとの生産能力年平均伸び率は、アジアが+6.7%、北中南米が+0.7%、西欧が+0.8%、中東が+15.6%。特に中東及び中国における大幅な能力増加が見込まれる。
   
また、原料であるエチレン(モノマー)の生産能力は、2005年末の117.1百万トンから、2011年末に155.1百万トンに増加する見通し(年平均伸び率+4.8%)。
   
 
 
   
(3) 世界のエチレン系誘導品需給バランス
現時点において2011年までに稼働する可能性の高い生産能力新増設計画に基づくと、中国における供給は増加するが、需要については引き続き増加するもののPVCにおけるアセチレンカーバイト法等の製造による影響もあり、供給を上回るペースでの増加が見込まれないことから、中国のエチレン系誘導品の輸入超過は拡大せず、2011年は9.6百万トン程度と見込まれる。アジア全体では4.8百万トンの輸入ポジションとなり、現在の水準とほぼ変わらないことが見込まれる。
   
一方で、中東における輸出超幅はさらに拡大し、2011年には16.6百万トンに達する。
  中東の出超幅はLDPE、HDPE、EGといったエチレン原単位が高い製品で大幅に拡大し、アジアの入超幅の拡大を上回る見込み。
   

ーーー

問題はやはり、中国の需要の見方である。

PVCのエチレン消費量は見直しにより減少(是正)するが、PVCを含め、各製品の需要は従来通り、右肩上がりに上昇している。

2006/2/21  「中国バブル説で以下の通り述べた。

将来は別としてこの数年をとってみると、(農村の)10億人の需要を当てにすることはできない。
仮に三大エリアの3億人が日本並み、残り10億人がフィリッピン並みに消費するとすれば、中国の需要は2,000万トンにしかならず、本年にも頭打ちとなることとなる。
(PVC原料の見直しで中国のエチレン換算需要は2007年で19,124千トンに減っている)

仮に、中国の需要が2,000万トンで頭打ちとすると、2011年には能力と均衡し、生産との差は報告の960万トンではなく、350万トンに過ぎないこととなる。

主要製品の中国の需給は以下の通り。

 
 
 
 
 
 
 
 

需要が仮に本年並みとすると、ほとんどの製品で間もなく輸入はなくなり、塩ビ等のいくつかの製品では輸出が増えるであろう。

これらの原料を使った製品が内需ではなく輸出用に使われる場合(例えばPTA)は、原料の中国での消費は増え続けるが、最終製品の輸出先での樹脂等の需要が減ることとなる。

中国の需要が頭打ちになると、最も影響を受けるのは、韓国と台湾である。(グラフの生産と需要の差が輸出となる)

両国からの日本への攻勢が強まる恐れがある。

 
 

ーーー

下記資料は、METI の製品別原資料を、国別(能力・生産・需要)に分かり易く組み替えたものです。
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/meti2007/meti2007.xls


なお、各製品別の需要・供給、製品別・国地域別需給のグラフはChemnet Tokyo(有料サイト)にあります。
 
http://www.chem-t.com/link/graph/oil/ 

 

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

 

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2007年4月26日 (木)

世界のアンチ・ダンピング調査の状況

antidumpingpublishing.com というページで、毎年、世界のアンチ・ダンピング調査の実施状況をまとめて発表している。
分析しているのは
Cliff Stevenson で、ホームページによると、20年の経験を有する専門家とのこと。

42日に2007年版(2006年の分析)が発表された。 
http://www.antidumpingpublishing.com/uploaded/documents/CSDocuments/GTP%202007.pdf

1.件数

アンチ・ダンピング調査開始の件数の推移は以下の通り
(ある国が5カ国から輸入のある製品で調査を開始すれば5件と計算)

Antidu1_2

最近減っているが、今後も減り続けると考えると間違うとのコメントがついている。
(景気循環との関係もある)

2.アンチ・ダンピング調査 実施国

過去12年間平均と昨年を比較した。
Antidu5_1 

これまでの12年間ではインド、米国、EUが多い。
昨年は米国は激減。インド、EUは相変わらず多く、アルゼンチンがこれに次いでいる。

 

3.アンチ・ダンピング調査 被害国


Antidu6

これまでは中国とEUが主な対象国であった。
しかし、EUはこの2年間は件数が大幅に減ったのに対し、中国は大幅に増加している。
中国は全体の件数のうち、2005年は29.8%、2006年は37.4%を占める。

EUの件数減少の理由は不明だが、EUが慎重なやり方をとっているのも一因だろうとしている。

 

4.対象製品

Antidu2

学品と金属製品がこれまでも、昨年も大きな比重を占めている。
化学品はこれまでも、昨年も30%程度を占める。金属製品の比重は最近はやや減少している。

化学品も金属製品もこの数年は件数は減っている。
この報告の筆者は景気循環との関係を挙げ、これら分野の製品は汎用品が多く、価格が景気により上下するのが影響していると分析している。
(景気が悪くなると、価格が下がり、アンチ・ダンピング件数は増えるだろうと。)

なお、この報告の筆者は、今後は繊維や農産物について、アンチ・ダンピングのケースが増えるだろうとみている。

ーーー

日本の化学業界から見ると、中国がこれまで日本の化学品について、軒並にアンチ・ダンピング調査を行っており、ひどい国だとの感があるが、全体としてみると、中国が実施した件数は少なく、逆に中国が対象となった件数が異常に多い。

また、中国のアンチ・ダンピング調査は化学品が多いが、これも全体の傾向と一致している。

なお、中国のアンチ・ダンピング調査の一覧表は下記参照。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/china.htm#ichiran

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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2007年4月25日 (水)

Dow、リビアに石化JV設立

Dowは18日、リビアの国営石油会社(NOC)とJVを設立し、NOCのRas Lanuf コンプレックスの石化コンプレックスを拡張・運営すると発表した。
Raslanuf_1
リビアは最近、外国の技術、資本を導入する方針を立てており、ダウがリビアの石化事業に参加する最初のグローバルな化学会社となる。

JVに包含するのはRas Lanuf のナフサクラッカー(エチレン 330千トン)とLLDPE(80千トン)、HDPE(80千トン)とインフラ設備で、今後、エタンクラッカーとPE、PP、及びその他の樹脂、化学品プラントを建設する。

Ras Lanuf コンプレックスは地中海沿岸にあり、1980年代に建設された。

LPG 106千トン、ナフサ 1,811千トン、ケロシン 525千トン、ナフサクラッカーではエチレン 330千トン、プロピレン 170千トン、C4 130千トン、分解ガソリン 325千トンの能力を持つ。 

ダウは既報の通り、石油化学事業については "Asset light" strategy に基づき、JV方式で行うこととしている。

同社ではこの投資は石油化学等のダウンストリームを拡大することにより国内経済を多様化しようとするリビア政府の経済政策に沿うものであるとし、地中海沿岸という立地と競争力のある原料は魅力があるものであるとしている。

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リビアは1951年12月、リビア連邦王国として独立したが、1969年9月にカダフィ大尉(当時)によるクーデターで、リビア・アラブ共和国に改称、1977年に人民主権確立宣言(ジャマーヒリーヤ宣言)を発表し、現在の「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」(The Great Socialist People's Libyan Arab Jamahiriya)となった。

リビアは反欧米・反イスラエルのアラブ最強硬派の国家で、1970年代や1980年代には欧米やイスラエルで数々のテロを引き起こし、「テロ国家」と非難された。また核兵器の開発も秘密裏に進めた。

1984年のロンドンのリビア大使館内からデモ隊に銃を発射した事件でイギリスはリビアとの国交を断絶した。

1985年にはイタリアの客船をリビア人がシージャック、同年トランスワールド航空機のハイジャックなどが発生、米国はこれらの一連のテロがリビアの政府の支援で行われていたと断定し、リビア空爆を行うとともに、1986年1月、対リビア経済制裁措置を発表した。

米国の石油企業は1986年以降、同国での活動を停止したが、ConocoPhillips、Amerada Hess、Marathon、Occidental はリビア国営石油会社(NOC)と現状維持(standstill)契約を締結し、各社の権益は没収されることなく保全され、操業・メンテナンスはNOC系企業が実施した。

1988年のパンナム機爆破事件により、1992年に国連安保理で対リビア制裁決議、1993年に対リビア制裁強化決議が採択された。

しかし、湾岸戦争の後、リビアは国際社会での孤立状態に終止符を打つため、西側に対し次々と和解策を提示した。
2002年8月に国内のアルカイダ関係者を拘束、2003年8月に1988年のパンナム機爆破事件について、責任を認め、賠償金27億ドルの支払いを表明した。

これを受け、2003年9月に国連安保理は対リビア制裁の解除を発表した。
2003年12月、米英政府との9ヶ月にわたる交渉の結果、リビアが大量破壊兵器(WMD)の開発計画の廃棄を約束し,国際機関による即時・無条件の査察受け入れに合意した。

この結果、米国はリビアを「テロ支援国家」指定から外し、その後、2006年5月にアメリカはリビアとの国交正常化を発表した。

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2007年4月24日 (火)

Braskem とVenezuela 国営Pequiven、石化JV計画で合意

Brazil Braskem 16日、Venezuela 国営石化会社 Pequiven との間で、Venezuela Jose Petrochemical Complex2つのJVを設立することで合意したと発表した。Venezuela の豊富な天然ガスを利用するもの。

一つは天然ガス原料のエタンクラッカーを建設し、エチレン130万トン、PE 110万トン、その他石化製品を製造するもの。
もう一つは450千トンのPPを製造するもので、当初は西部の
El Tablazo で計画されたが、Joseでの計画に変更となった。 Venezuelajose_1

前者は2011年下期完成予定で、建設費は25億ドル。後者は2009年末完成で、建設費は370百万ドル。
いずれも50/50のJVを予定している。

Braskem では電解、PVCを含むビニルチェーン計画への参加も検討している。

 

Jose Petrochemical Complex での石化計画は当初2004年に Pequiven ExxonMobil JVとして開発仮契約が締結された。
50/50JVを設立し、30億ドルを投じて105万トンのエチレンと105万トンのPEをJose Petrochemical Complex に建設するものであった。

しかし、ExxonMobil と反米路線を明確にしているVenezuela 政府の関係が悪化、「再国営化の一環」として同社の現地の事業を国営石油会社PDVSA とのJVに切り替えさせるという政府の方針に反対し、利権をRepsolに売却した。

Pequiven は20061ExxonMobil との仮契約を破棄した。しかし、計画は進めるとして、新しい提携相手を探していた。

 

なお、2006年1月、Venezuela Chavez 大統領は総額33億ドルに達する多数の石化計画を承認したと発表している。

主な計画は以下の通り。

計画 立地 投資額
propylene El Tablazo $350-mil
PP $125-mil
PE 拡張 El Tablazo $185-mil
ethylene 1,050 m t/y Jose $1,596-mil
PE     1,050 m t/y
fertilizer plant Moron $150-mil
fertilizer plant Jose $550-mil
ammonium nitrate plant Jose $355-mil

Braskem については下記を参照

 2006/4/21
ブラジルのブラスケム、住化などからポリテーノを買収
 2007/3/23
ブラジルで石油・石油化学業界の再編

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2007年4月23日 (月)

三菱ガス化学、ブルネイのメタノール事業決定

三菱ガス化学は12日、ブルネイ・ダルサラーム国バンダル・スリ・ブガワンでのメタノール事業実施の最終決定を行ったことを発表した。
ブルネイで年産85万トンのメタノールを生産し、日本を含むアジア市場に輸出することを目的としている。

同社は伊藤忠商事と共同で、ブルネイ政府が公募していた天然ガスからのダウンストリーム計画に対しメタノールプロジェクトとして応募し、2004年9月に最終交渉相手に選抜された。
その後、両社と現地のBrunei National Petroleum Company PetroleumBRUNEI )は、合弁会社、天然ガス供給、メタノール販売及びメタノールプラントの運営に必要となる諸設備・ユーティリティーなど主要な条件についてFSを行ない、2005年11月、3社はメタノール製造会社の設立に関する合弁契約を締結した。

今回、合弁事業に関する諸条件が確定したことから、投資の最終決定に至った。

(合弁事業の概要)

1. 社名  Brunei Methanol Company
2. 出資比率  MGC
50%
          PB Petrochemical (PetroulemBRUNEIの関連会社):25% 
         伊藤忠
25%
3. 生産能力 年産850,000トン
4. 生産技術  三菱(MGC/MHI)メタノールプロセス
          (MGCと三菱重工業株式会社が共同保有するプロセス技術)
5. 事業立地 ブルネイ・ダルサラーム国スンガイ・リアング工業地区(地図参照)
6. 天然ガス供給者  Brunei Shell Petroleum Company Sdn Bhd(BSP)
7. 製品引取権者  MGC
8. 建設完了時期 
2009年第4四半期
9.商業生産開始 
2010年第2四半期

建設資金は約4億ドルで、国際協力銀行を中心とするプロジェクトファイナンスによる資金調達を行う予定。

Brunei

Brunei Darussalam 国は15世紀初頭に初代スルタン、モハマッドがブルネイ王国の基を確立、1906年に英国の保護国となった。
1984年に完全独立した。立憲君主制をとっている。
1984年1月8日にASEANに加盟した。

 

三菱ガス化学のメタノール事業は以下の通り。(単位:千トン)

場所 現能力 計画能力  出資比率
中国重慶     850  MGC 51%/重慶化医49%
 2006/7/21 「
中国政府、石炭化学を規制」 参照
ベネズエラ ① 750 ② 850  2006/12/27 「三菱ガス化学、ベネズエラのメタノール合弁増設
ブルネイ     850  本件
サウジ  3,300  1,700  2006/3/31 「サウジ・メタノール計画」 
合計  4,050  4,250  総計 8,300千トン 


日本のメタノール産業は、1970年代には東西の共同生産会社(東日本メタノール、西日本メタノール)、三菱ガス化学、三井東圧化学、協和ガス化学の5社体制であったが、安値海外品流入で相次ぎ操業停止、19957月に最後の国産メーカー・三菱ガス化学が新潟 264千トンを操業停止し、設備は中国内蒙古の伊克昭盟化工集団総公司に売却した。
 
なお、サウジアラビアには
日本側 35%出資のInternational Methanol Company がある。
 設立:
2002年
 
立地:Al-Jubail
 
能力:100万トン
 出資:
Saudi International Petrochemical  65%
     
三井物産  20%
     
三菱商事  5%
     
ダイセル化学  5%
     
飯野海運  5% 出資

 

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2007年4月21日 (土)

ニュースのその後 米国住宅着工件数、低迷続く

米商務部が17日発表した3月の住宅着工件数(季節調節済み)は、事前予想(1,490千戸前後)を上回り、年率換算で1,518千戸で前月比0.8%増となった。
(米国では毎月、前2ヶ月の数字を見直す。1月は1,399千戸、2月は1,506千戸と見直された)

米国の住宅着工件数は2000年以降、毎年上昇し、2005年は2,068千戸となった。
しかし、2006年1月の年率2,265千戸をピークに急下降し、2006年計では1,801千戸となり、本年1月には1,393千戸まで下がった。
(本年1-3月平均は1,474千戸)

2月、3月とやや好転し、最悪期を脱したのではと見る向きもあるが、住宅在庫は高水準で価格は下落しており、調整が長引く恐れがある。
中古住宅販売が予想外に伸びを示しているのに対し、最近の新築住宅販売は落ち込んでいる。

Ushousing0702

住宅販売の不振を受け、サブプライム向け住宅ローン会社の破綻が続いたが、最近はサブプライムよりも上のクラスの「オルトA」でもローンの延滞率が上昇している。

米国の住宅ローンは借り手の信用度に応じて、プライム、オルトA(Alternative A)、サブプライムの格付けがある。
サブプライムの借り手は、過去12ヶ月以内の支払い遅延や、24ヶ月以内の住居の差し押さえ、収入に対しての過度の債務など
、何らかの問題を抱えたクレジットの信用が低い借り手を指す。ローン会社は、担保となる住宅価格の上昇を前提としている為、借り手の十分な審査をしないまま、借り手に非常に有利な条件のローンを提供して来た。

他方、富裕層は住宅の値上がり益の確保のため、居住目的ではなく転売目的で住宅を購入してきた。

要はローン貸し手も借り手も住宅の値上がりを前提にしており、これまでの住宅産業の好調は将にバブルである。
一旦需要が落ち込み、値下がりが起こると、転売で損が出るし、ローンの返済不能で住宅を差し押さえても回収不能となる。
オルトAでの延滞率上昇はバブル破綻が更に進んでいることを示している。

住宅産業の不振が米国経済全体の不振につながることが懸念される。

参考  これまでの関連記事

  2006/3/3   日本の塩ビ事業 住宅着工件数とPVC需要の関連 
  2006/11/18   米国住宅着工件数、続落  
  2007/1/23   ニュースのその後、米国住宅着工件数 
  2007/2/19   速報 1月の米国住宅着工件数 

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2007年4月20日 (金)

イラン、新立地でエチレンプラント建設開始

4月9日、イランのBandar Imam Petrochemical Special Economic Zone とAssaluyeh のPars Special Economic Zone の中間のGachsaranにあるGachsaran Petrochemical で新しいエチレンプラントの建設開始の式典が行われた。

建設費6億ドルで、2010年完成予定、エチレン能力は100万トン、他にプロパン9万トンが生産される。
原料のエタン(130万トン)は近くの
Bidboland Gas Refinery から供給を受ける。

GachsaranEtylene Pipeline沿線にあり、製品エチレンは近くのDehdashtBoroujenMamasaniKazeroun に建設される誘導品プラントに送られる。
  
Etylene Pipeline については 2006/7/20 「イラン、地方での石油化学推進」参照   

なお、Gachsaran ではPipeline で送られるエチレンを原料とするエチレングリコール(MEG 500千トン、DEG 50千トン、TEG 3,500トン)とEO 100千トンのプラントが建設されている。工場建設は三井造船とイランのPIDECのコンソーシアムが受託している。

ーーー

既報の通り、Pars Special Economic Energy Zone では本年度に2つのエチレン・コンプレックスが完成する。

 ・Olefin No.9 Arya Sasol Polymer Co. 南ア Sasol Polymers 参加) 
   エチレン 1,400千トン

 ・Olefin No.10 Jam Petrochemical Co.
   エチレン 1,540千トン

  2007/4/12 イランで本年度 11計画が生産開始」 

なお、Tehran Times によると、Pars Special Economic Zone でのOlefin No.12 計画に中国が27億ドルを投資しての参加を希望し、両国で数回の交渉を行っている。

NPC によると今後のイランの石化事業推進に外国資本の参加は必要で、中国の参加は歓迎するとしている

Olefin No.12 計画の概要は以下の通り。(単位:千トン)

Product 能 力
Ethylene  1,900
LLDPE/HDPE   300
MEG   660
DEG    70
PP   300
Benzene   388
Toluene   196
mixed Xylene   128
Propylene(excess)   545
Butadiene   277

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2007年4月19日 (木)

中東の石化計画、建設費アップが重大問題に

中東の石化諸計画が、建設費アップの影響を受け、難航している。


SaudiAramco昨年7月10日、サウジ東部のラスタヌラで計画している世界規模の石化・プラスチック・コンプレックスのパートナー候補に Dowを選定し、独占的に交渉すると発表した。

世界最大規模の
SaudiAramcoラスタヌラの55万バレル/日の製油所と一体化して建設するもので、計画の詳細は明らかにされていないが、一部報道によれば120万トンのエチレン、40万トンのプロピレン、40万トンのベンゼン、46万トンのパラキシレンのほか、ベンゼン、パラキシレン、アクリロニトリル、ABS、SBR、PTA などを生産するとされる。(135万トンのエチレン、90万トンのプロピレン、100万トンの芳香族とする報道もある。)
 2006/7/18 「アラムコの新石油化学計画」 

2012年の第2四半期スタートを目指し、予定では本年初めにもMOUに調印することになっていたが、いつになるのか明らかにされていない。

業界筋では当初100億ドルとみていた建設費は、Dowが候補に選ばれた昨年7月には150億ドルと予想したが、現在では220億ドルと見ている。

今のところ、AramcoDow も、「交渉は順調で、計画に期待している」としているが、実現性について懸念が生じている。

ーーー 

中東の建設費は各国政府が石油価格高騰で増えた収入でインフラ整備や新規の大事業計画を進めた結果、業者・機器・建設労働者の不足をきたし、結果として建設費が大幅に上昇している。

Aramcoと住友化学のPetro-Rabigh計画も最初は43億ドルの予定であったが、建設費が高騰し(電力・工業用水建設費の融資などの範囲拡大もあって)、85億ドルに上昇した。
 
2006/3/25  「ペトロラービグ起工式 

フランスのTotal の会長は先週、イランのSouth Pars油田でのガス採掘計画が建設費アップにより瀬戸際に来ていると述べている。

Qatarの石油相も建設費高騰で石油・石化計画を進められないとしている。
Kuwait で計画中の日産 615千バレルの製油所計画も60億ドルの予定が150億ドルを超え、再検討を余儀なくされている。

2月にはカタール石油 ExxonMobil が建設費高騰のためGTLプラントの建設を取り止めることを決めた。当初の予算70億ドルのうち、プロセスガスを製品化するための設備の建設費は50億ドルであったが、これが180億ドルにまで上昇している。
 
2006/2/27 ExxonMobil、カタールのGTL計画取り止め」 

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2007年4月18日 (水)

ナフサ価格、高騰続く

原油価格が高騰を続けていることから、日本の原油、ナフサ価格ともに高騰している。

2007/3/17 「OPEC総会、生産量維持を決定 記載の通り、原油価格に比してナフサ価格の上昇が激しく、昨年7月の過去最高に近づいている。

Naphtha070418

参考 過去のナフサ関係記事

 2006/7/17 「原油、ナフサ価格 急上昇
 2006/7/29 「2Qの国産ナフサ基準価格 49,800円/klに」 (「国産ナフサ基準価格」の説明)
 2006/9/25 「ナフサ価格 急落 
 2006/11/1  「速報 3Q国産ナフサ価格 54,100円/kl に」 
 2007/1/31 「
速報 2006/4Q 国産ナフサ価格 決定」 
 2007/3/17 「
OPEC総会、生産量維持を決定 

なお、http://kaznak.web.infoseek.co.jp/new.htm で原則として毎日、グラフを更新しています。

 

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PetroChina 2006年度決算

PetroChinaの2006年度の決算を昨日のSinopec と比較する。

PetroChina もSinopec と同様、増収増益で、同様に精製部門は政府の石油製品価格統制により赤字となっている。

化学部門はSinopecがPetroChinaより売上高、利益とも多いが、全社損益では石油開発の差でPetroChinaが大幅に上回っている。

 

損益状況は以下の通り。

損益                    (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Sales  303,779  388,633  552,229   688,978
Operating profit   99,186  146,586  192,171   197,976
Net Profit   69,614  107,927  139,642   149,397
 1RMB=約15.4円 2006年Net Profit 2兆2860億円
         
参考 Sinopec 損益             (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Sales  429,949  597,197  799,259  1,044,652
Operating profit   38,883   63,069   68,246    83,820
Net Profit   24,396   41,791   44,776    55,408


PetroChina/Sinopec 全社 純損益対比

 

ーーー

部門別売上高                     (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration & production   177,271   222,305   337,208   421,340
Refining & marketing   223,584   295,598   428,494   543,299
Chemicals & marketing    39,211    57,179   73,978    82,791
Natural gas & pipeline    15,067    18,255    26,214    38,917
Others         -    -    1,080
部門間取引   -151,354   -204,704   -313,665   -398,449
Net sales   303,779   388,633   552,229   688,978
 
参考 Sinopec 部門別売上高                (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration and production    62,223    76,023   104,429   129,011
Refining   269,200   353,087   469,266   570,772
Marketing and distribution   240,812   345,671   462,464   592,871
Chemicals    99,379   138,523   172,982   221,432
Others    63,765    81,032   121,265   261,468
部門間取引   -305,430   -397,139   -531,147   -730,902
Net sales   429,949   597,197   799,259  1,044,652
 

            2006年 Chemicals売上高 約1兆2750億円

PetroChina/Sinopec 2006年 売上高対比

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部門別 Operating Profits                (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration & production    92,370   125,571   208,080   219,860
Refining & marketing     5,035   11,981   -19,810   -29,164
Chemicals & marketing     1,041    7,655    3,276     5,058
Natural gas & pipeline    1,922    2,535    3,183    8,986
Others    -1,182   -1,156    -2,558    -6,764
Net    99,186 146,586   192,171   197,976
 
参考 Sinopec部門別 Operating Profits           (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration and production    19,160    25,614    48,334    63,182
Refining     6,073    5,943    -3,536   -25,298
Marketing and distribution    11,943    14,716    10,350    30,234
Chemicals     3,543    18,721    14,296    17,234
Others    -1,836    -1,925    -1,198    -1,532
Net    38,883    63,069    68,246    83,820
  2006年 Chemicals 約 780億円 

PetroChina/Sinopec 2006年 営業損益対比

PetroChina/Sinopec Chemicals部門 営業損益対比

 

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2007年4月17日 (火)

Sinopec 2006年度決算

Sinopec は4月10日に2006年度の Annual Report を発表した。

下記の通り、増収増益である。

しかし、部門別で見ると、政府の石油製品価格統制により、精製部門は原油高を製品価格に一部しか転嫁できず、大幅な赤字となっている。(精製部門は下記の通り、製品の内外価格差補填として多額の補助金を受けているが。)
 2006/7/14 
SINOPECの損益構造の変化」参照 

化学品は数量増と値上げで増収増益となっている。

化学品 生産数量 (千トン)
  2004 2005 2006
Ethylene  4,074  5,319  6,163
Synthetic resins  6,221  7,605  8,619
Synthetic rubbers   561   626   668
Monomers and polymers for synthetic fibres  6,021  6,725  7,242
Synthetic fibre  1,654  1,570  1,502
Urea  2,630  1,780  1,609
* 20052006 にはShanghai Secco BASF-YPC の2JV を含む。

 

損益状況は以下の通り。

損益                    (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Sales  429,949  597,197  799,259  1,044,652
Operating profit   38,883   63,069   68,246    83,820
Net Profit   24,396   41,791   44,776    55,408

 1RMB=約15.4円          2006年 Net Profit 8,530億円

Sinopecpl

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部門別売上高                    (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration and production    62,223    76,023   104,429   129,011
Refining   269,200   353,087   469,266   570,772
Marketing and distribution   240,812   345,671   462,464   592,871
Chemicals    99,379   138,523   172,982   221,432
Others    63,765    81,032   121,265   261,468
部門間取引   -305,430   -397,139   -531,147   -730,902
Net sales   429,949   597,197   799,259  1,044,652

 1RMB=15.4円     2006年 Chemicals売上高 約3兆4100億円

Sinopecsales  ---

部門別 Operating Profits                 (百万RMB
  2003 2004 2005 2006
Exploration and production    19,160    25,614    48,334    63,182
Refining     6,073    5,943    -3,536   -25,298
Marketing and distribution    11,943    14,716    10,350    30,234
Chemicals     3,543    18,721    14,296    17,234
Others    -1,836    -1,925    -1,198    -1,532
Net    38,883    63,069    68,246    83,820

1RMB=約15.4円      2006年 Chemicals 約 2,650億円 

Sinopec は政府から石油精製事業の赤字を補填するために、2005年は9,415百万RMB、2006年は 5,000百万RMBの支給を受けており、決算に含まれている。

Sinopecop

注 数値はIFRS (International Financial Reporting Standards) に組み替えたものを使用

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2007年4月16日 (月)

信越化学 爆発事故のその後

3月20日、信越化学の直江津工場のメチルセルロース製造プラントで爆発があり、3人がやけどなどで重体、14人が重軽傷を負った。
 
2007/3/22 「信越化学 爆発事故 参照 

同社によると、4月10日現在、直江津・セルロース製造工場に対しては全て「使用停止命令」が出ている。

同工場のメチルセルロース能力は22,000トンで、爆発現場のMC-Ⅱプラントの能力は6,300トンとなっている。
同社ではMC-Ⅱプラント以外のプラントについて早期の操業再開策を取るべく、損傷度合いの確認及び復旧計画を進めている。

同社では5月末の生産再開の検討に入ったとされるが、事故原因の特定と再発防止策が生産再開の前提であり、また地元自治体、住民の同意を得る必要があり、いつ再開できるか不明である。

日本経済新聞(4/13)によると、医薬品メーカーが代替先確保に躍起になっている。

セルロース誘導体は医薬品錠剤を固める結合材やコーティングなどに使い、信越化学は世界シェア約3割の大手で、医薬品向けは国内シェアの約9割を握り、直江津工場でしか生産していない。

付記 2007/5/11 

他にドイツに子会社があるが、医薬品向けは製造していない。
  2006/10/10 「
信越化学、ヨーロッパのメチルセルロース能力増強完了」 

日本経済新聞(2007/5/11によると、信越化学はドイツのSEタイローズ社に医薬品用など高機能製品の専用設備を新設する。投資額は数十億円の見込み。
金川社長は 「1カ所生産の方が効率はよいが、安定供給のために生産拠点を2カ所に分散する」と語った。

ーーー

付記 2007/9/6

信越化学は6日、ドイツのSEタイローズ社に医薬品用の製造設備を新設すると発表した。能力は年4千トン程度。
直江津でも2008年10月に医薬品用を増産する。
総投資額は約300億円。

信越化学ではダウなど海外メーカー数社に供給の肩代わりを依頼したが、セルロースは世界的に品薄気味で、ダウでは「すぐに信越化学に対応するのは難しい」としている。
また、海外品で代用する場合も、製品によっては原材料の一部変更を厚生労働省に申請し、審査・承認手続きが必要になることも考えられるという。

付記 
2007/4/19 発表
 発生原因:当局による事故原因の特定はまだだが、同社は粉塵爆発と推定。
 安全対策:粉塵爆発の対策として以下を実施。
        (1) 窒素置換
        (2) 静電気除去対策
        (3) 粉塵堆積の防止
 メチルセルロース生産再開の目処:
   爆発したMC-Ⅱ工場については操業再開の目途は立たず。
   その他については早期の操業再開に向け準備(5月末目処)

2007/4/24
 23日緊急に開かれた厚労省の薬事・食品衛生審議会の薬事分科会は信越のセルロース5品目に代替品を使う場合、審査を不要とする特例措置を決めた。通常なら企業が半年ー1年間程度かけて試験した後、国の審査を受ける必要がある。
 6月までに約400種類(大衆薬などを含む)の生産に影響が出る恐れがあることが判明した。

付記 2007/5/22

信越化学工業は21日、「セルロース誘導体」の生産を一部再開したと発表した。新潟県と地元消防当局が同日、設備の使用停止命令を解除した。設備の調整や製品の品質試験などを経て、6月初めにも顧客に製品の出荷を始める。
操業を再開したのは、製造5施設のうち被害が軽微だった3施設。残る2施設のうち1施設は5月末の再開を目指すが、事故があった残る1施設は再開のめどが立っていない。

ーー

大きなシェアを持つプラントの停止で思い出されるのは、住友化学のエポキシ樹脂プラント爆発事故である。

住友化学はIC封止材用エポキシ樹脂の開発に成功して以来、半導体メーカーの発展とともに販路を拡大し、1993年時点で、同社のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は半導体用途で世界の60%のシェアを占めていた。

1993年7月、愛媛工場の同樹脂製造設備で、溶媒の回収タンクに異物が混入したのを発端に、爆発、火災事故が発生、従業員1人が死亡、3人が負傷した。

同プラントの停止で、世界の半導体メーカーがパニックに陥った。世界的に半導体製品の価格が急騰した。

当時、石原慎太郎氏が講演で次のように述べている。

日本はもう消費財なんかほとんど輸出していません。完成品ではなしに大事な大事な部品を売っている。
例えばコンピュータなんかの半導体です。
インテル社が、日本が得意としたメモリーの素晴らしい製品を3~4年前に作って、私達はこれはやられたとショックを受けたのです。これに追い付き追い越すには数年かかるぞ、と。
ところが半年経ったら、インテル社の社長が青ざめて飛んできた。なぜなら住友化学の工場が事故で止まって、あそこで作っているエポキシがなかったらインテル社の半導体は半導体として売れないのです。

全世界の需要家から早急な供給の再開を強く要請された住友化学は、技術提携していた日本化薬、同系製品を製造受託していた大日本インキ化学工業および化成品の取引がありエポキシ樹脂も手掛けていた台湾の長春人造樹脂社に同社の製造・品質管理技術を新たに供与し、応援生産を依頼した。
しかし、すべての需要は満たせず、止むなく割り当て販売を行った。

同社では同設備の復旧に全力を注ぎ、保安、安全管理システムを抜本的に見直し、同年11月に新居浜市から使用停止命令の解除を受けて1系列、年産能カ5,500トンの設備の操業を再開した。
(住友化学社史より)

当時、半導体製造に必須で、かつシェアが圧倒的な同事業が余り儲かっていないことが話題になった。

 

同社はその後、半導体封止材向けの需要が高水準で続いているのに対応し、愛媛工場の能力を7,500トンにアップした。
また、2001年1月には南アフリカに英国のメリゾール社とのJVの住化メリゾールを設立し、住友化学技術でエポキシ樹脂中間体の
オルソクレゾールノボラックを生産した。(原料オルソクレゾールをメリゾールが供給、製品は住友化学が引取り)

しかし、2004年6月、同社は、情報電子材料分野における事業の「選択と集中」についてという発表を行い、情報家電向け表示材料および電子部品材料分野に一層資源を集中させていくという方向性をより明確にした。

この方針の下、同社は液晶ポリマーの生産能力を増強する一方、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂事業を台湾の長春人造樹脂に事業譲渡し、技術も全面的に移管した。南アフリカのJV持分も譲渡した。

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2007年4月14日 (土)

タイのIndorama Polymers、北米でPET工場新設へ

タイのPETメーカーのIndorama Polymers Plc IRP) が1億ドルを投じて 北米で30万トン能力のPETプラントを建設すべくFSを行っている。Aloke Lohia 社長が明らかにした。

同社は既にAsheboro, North Carolina にあるPETメーカー StarPet Inc. を買収している。(能力116千トン)

同社はまた、リトアニア(Lithuania)にPET製造会社UAB Orion Global Pet を設立した。Free economic zone Klaipeda に198千トンの工場を新設し、昨年スタートした。製品は欧州、ロシア、CISで販売する。

タイの本社工場(能力110千トン)では原料PTAはMap Ta Phut にあるSP Lohia Indorama Petrochem (下記)から供給を受けている。
子会社 Petform (Thailand) Limited ではPETボトルの中間体とHDPE製のフタを製造している。

同社のPETポリマー能力は424千トン。現在世界の4.5%のシェアを持つが、2009年に能力を122万トンにし、シェア7%、世界3位のPETメーカーになることを目指している。需要の伸びの少ない地域ではライバル買収によりシェア拡大を図るとしている。

同社の2007年の売上の内訳予想は、米国40%、欧州40%、タイ15%、その他5%となっている。

ーーー

Indorama Group 1974年にMohan Lal Lohia ML Lohia によりインドで設立され、インド、インドネシア、タイなどでPTAPET、ポリエステルなどの事業を拡大した。
ML Lohia は事業を3人の息子に分割した。長男OP Lohiaはインド、次男 SP Lohia はインドネシア、三男 Aloke Lohia (APL) はタイを受け継いだ。同じような事業を行っているが、それぞれが独立して事業を行っている。

 Indoramalohia

兄のSP Lohia はナイジェリアの国有石油化学会社を買収している。
  2006/5/26 「アジア企業の海外展開」  

彼らのバイタリティには驚かされる。
 

 

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2007年4月13日 (金)

Solvay、バイオディーゼル副生グリセリンを原料とするエピクロの生産開始

Solvayは5日、同社技術での菜種油からのバイオディーゼル生産時の副生グリセリンを原料とするエピクロルヒドリンの生産をフランスのTavauxで開始したと発表した。当初の能力は年10千トンで、需要に応じて簡単に拡張できる。

同社ではエピクロの需要が特にアジアで急速に伸びているため、タイのMap Ta Phut で2009年に100千トンのプラントを立ち上げたいとしている。

グリセリンはバイオディーゼル生産時の副産物で、1トンのバイオディーゼルに対して100kgのグリセリンが副生する。

Solvay Epicerol プロセスは、グリセリンと塩酸から中間体のdichloropropanol を直接合成し、次の脱塩化水素工程でエピクロを生成する。
塩素と水が少なくて済み、廃液も少ないのが特徴で、
22の特許を申請中。

ーーー

Dow もバイオディーゼル副生のグリセリンからエピクロ生産の独自の技術を持っており、Dow Epoxyが上海ケミカルパークで初めて工業化をする。

既報 2006/8/23 「中国でのダウの活動では以下の通り述べた。

まず、江蘇省張家港市の揚子江国際化学パークの既存の工場に世界最大級の10万トンの液体エポキシ樹脂(LER)プラントを建設する。2009年スタートの予定。
同地では2003年5月にスタートしたエポキシ樹脂(converted epoxy resins=CER)
 41千トンのプラントがあるが、これを2008年に34千トン増設し、75千トンに拡大する。
さらに、エポキシ原
料のエピクロルヒドリンの新工場15万トンを新設する。場所については近く発表する。これは2010年スタート予定で、ダウのグリセリン法新技術を採用する。バイオディーゼルの製造で副生するグリセリンを原料とするもの。

同社は本年3月26日、当初、江蘇省張家港市で実施するとした10万トンの液体エポキシ樹脂とともに、15万トンのグリセリン→エピクロ(GTE)のプラントを上海ケミカルパークに建設すると発表した。スタートはともに、2009-2010年の予定。
Dow Epoxy と上海クロルアルカリ及びその子会社の上海天原華勝化工との間で、両製品の製造に必要な原料の供給契約を締結した。

同社の技術もバイオディーゼル副生のグリセリンからエピクロを製造するもので、従来法と比較して、コスト面及び環境面で優位であるとしている。Dowは2006年にドイツのStade工場にGTEのデモンストレーションプラントを建設している。

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速報 Dowが買収情報漏えいで役員を解雇

2007/4/11 「Dow、Chevron PhillipsSM/PSのJV設立」で以下の情報を伝えた。

最新のDow買収説では、Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi ArabiaKuwaitBahrainQatarUAEOman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルで買収するという報道がなされている。

12、Dowは役員2人が、Dowの行動基準に極めて不適切に、また明らかに違反し、会社の被買収に関して第三者に話をしたとして解雇したと発表した。
詳細は明らかにしていないが、上記情報に関連しているとみられている。

上記情報が各紙に掲載されて直ぐ、9日にDowの取締役会は声明を発表し、企業戦略遂行により株主価値を高めるという経営陣の計画を支持するとした。これに加え、「会社はLBOについて議論したことがない」との文章が追加されている。

解雇を受けて、あるアナリストは、「少なくとも買収の話があったことはこれで確認された」としている。

先月発表された同社の5月10日の株主総会の議題の一つに、合併、買収、取締役解任、その他重要事項について、現在の80%以上という“supermajority に代え、単なる過半数に変更するという提案が含まれている。
同社ではこれは偶然であり、ずっと前に用意されたものだとしている。

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2007年4月12日 (木)

イランで本年度 11計画が生産開始

イランのNPC(National Petrochemical Company)は4、本年中に11の石化計画が生産を開始すると発表した。(イランの新年度は3月21日から来年の3月20日まで)
Bandar ImamのPetrochemical Economic Zone の6計画、Pars Special Economic Energy Zone 4計画、Kermanshah 1計画。

NPCは2006年に590万トン、32億ドルの輸出を行っており、イランの石化製品の輸出は非石油製品の輸出の21%を占める。
NPCの生産高はイランのGDPの1.3%を占めている。

本年に生産開始する計画の概要は以下の通り。

Petrochemical Economic Zone(Bandar Imam)

・酢酸計画
  運営:
Fanavaran Petrochemical Company(Public joint Stock)
  出資: NPC 50%、社会年金基金 17%、退職年金基金 18%, 石油省退職年金基金 15%
  能力:(千トン)

Product 自消用 販売用
CO   140   58
酢酸     150

・イソシアネート
  運営:Karoon Petrochemical Co.
  出資: NPC 40%ChematurSweden 30%Petrochemical Industries Investment Co. 20% 
      
Hansa Chimie Germany10%
  能力:

Product (千トン)
TDI    40
MDI    40
HCL(33%)    63

・2nd PTA/PET
  運営:Shahid Tondgooyan Petrochemical Co.
  出資:NPC 85%石油省退職年金基金 15%
  能力:(千トン)

Product 自消用 販売用
PTA   350    10
PET( Fiber Grade)     132
PET( Bottle Grade)     132
Pet Poy     132

LDPE
  運営:Laleh Petrochemical Co.
  出資:NPC 45%Sabic Europetrochemicals 30%Pooshine Baft 25%
  能力:

Product (千トン)
LDPE    300

Razi 3rd Ammonia
  運営:Razi Petrochemical Company
  能力:

Product (千トン)
Ammonia    677

 * Razi Petrochemical Company は旧称 ShahpuPetrochemical で、当初は米アライドケミカルNPCJV
   Bandar Imam Petrochemical (旧イラン・ジャパン石油化学)に隣接。アンモニア、尿素、硫酸、燐酸等を生産。

・Engineering Polymers 
  運営:Khuzestan Petrochemical Company
  出資:NPC 100 %
  能力:

Product (千トン)
Polycarbonate epoxy Resin    25
Liquid Epoxy Resin     5
Solid Epoxy Resin     5 

Pars Special Economic Energy Zone

Olefin No.9
  運営:Arya Sasol Polymer Co.
  出資:NPC 50%Sasol Polymers (南ア)50%
  能力:

Product (千トン)
Ethylene   1,400
MD/HDPE    300
LDPE    300
C3+     90

Olefin No.10
  運営:Jam Petrochemical Co.
  出資:NPC 49%、社会年金基金 26%、退職年金基金 25%
  能力:

Product (千トン)
Ethylene   1,540
Propylene    340
LLDPE/HDPE    300
HDPE    300
PP    300
EG    443
αオレフィン    368
Pyrolysis Gasoline    216
Butadiene 1&3     64
ABS    200

・Fourth Aromatics
  運営:Borzuyeh Petrochemical Company
  出資:
NPC 100 %
  能力:

Product (千トン)
Benzene   430
Paraxylene   750
Orthoxylene   100

Ammonia/Urea   
  運営:Ghadir Petrochemical Co
  出資:
NPC 48%Ghadir Investment Co. 51%IPCC 1%
  能力:(千トン)

Product 自消用 販売用
Ammonia   680    75
Urea    1075 

The western province of Kermans

・No. 5 Ammonia/Urea   
  運営:Kermanshah Petrochemical Industries Co.
  出資:
NPC 34%、Private Sector 66%
  能力:(千トン)

Product 自消用 販売用
Ammonia   396    23
Urea     660 

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2007年4月11日 (水)

Dow、Chevron PhillipsとSM/PSのJV設立

Dowは10日、Chevron Phillips Chemical との間で北南米のSM/PSの50/50JV設立のMOU(拘束力なし)を締結したと発表した。今後、Due diligenceを行う。

両社は次の資産をJVに出す予定。

  SM PS
Dow Camacari (ブラジル) Gales Ferry(Connecticut)Ironton(Ohio)Joliet(Illinois)、
Torrance(California)、Cartagena (コロンビア)、Guaruja (ブラジル
Chevron Phillips St. James(Louisiana) Marietta (Ohio)

  付記 4/12
  Dowは同社の米国SMプラント3工場をJVに出さない。
   ・Midland Michigan
):本拠地、事業上の理由で同社で保有
   ・
Pevley (Missouri):同社事業とするStyrofoam
の原料
   ・
Freeport (Texas)StyrofoamlatexABS の原料

Chevron Phillips Chemical ChevronとPhillips Chemical のオレフィン、ポリマー、芳香族部門を統合したもの。

Dowには買収説基礎部門分離(JV化)説が飛び交っているが、その中で当初の予定通り”Asset Light"戦略を進めている模様。

ダウの会長兼CEOのAndrew N. Liveris は125の報告の中で、「間もなく素晴らしいasset lightstrategyが発表できよう。先ず、ポリスチレンについては新モデルを進めることを既に決めており、ポリプロピレンについても同じことを考える。」と述べていた。
  2007/2/3 ダウ、PSとPP事業のJV化を検討  

なお、最新のDow買収説では、Kohlberg Kravis Roberts が半分、中東のSaudi ArabiaKuwaitBahrainQatarUAEOman の投資家が残り半分を出資して過去最高の500億ドルで買収するという報道がなされている。

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2007年4月10日 (火)

旭化成、中東でのアクリロニトリル事業化を検討

旭化成の蛭田史郎社長は5日の経営説明会(「Growth Action - 2010」の進捗状況)で、2012年頃に中東でアクリロニトリルを生産する方針を明らかにした。

アクリロニトリルは同社の主力事業の一つで、Ineos Nitriles(旧BP Chemicals)を抜いて世界No.1を目指している。

経営説明会資料

世界No.1を目指すAN

v 世界No.2 →No.1を目指す
  -生産能力:年産80万トン、シェア14%
v 世界初のプロパン法を開発
  -韓国で実証運転開始(07年1月)
v タイ国PTT社とAN、MMA、アクリル樹脂の共同事業化を基本合意(06年5月)
  -ANはプロパン法20万トンのプラント建設(09年末稼動)
v 中東での事業化検討開始

同社のアクリロニトリルの状況及び上記のプロパン法、タイ共同事業については
 
2007/2/7 「旭化成、世界初のプロパン法アクリロニトリル工場稼動」 参照 

今回は初めて、中東での計画を明らかにしたもので、プロパン法で能力20万ー30万トン規模のものを考えている模様。

説明会で蛭田社長は、質問に答えて、以下のように考え方を述べている。
http://www.c-hotline.net/?module=Viewer&codeAcc=ASAK609488586a58f3be985d488c959382ae

・世界の需要は500万トンで、年2%の伸び。即ち年間需要増は10万トン。
・タイのJV20万トンは2009年末にスタートする。これは2年分の需要増に相当する。
・これから考えると、中東は2012年頃となる。
・投資リスク回避のため、JVでやる考えで、現在進出先や合弁企業の相手を現在選定している。
・リスク減のためのJVであって、Marketing では旭化成が主導権を持つ形でやりたい。
・中東でエチレンコンプレックスのような全面展開は考えていない。得意な分野をやる。

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2007年4月 9日 (月)

中国、湖北省武漢市のエチレン計画を承認

Sinopec は国家発展改革委員会(NDRC)から湖北省武漢市でのエチレン計画の承認を取得した。
湖北省のエチレンコンプレックスは初めて。中部ではエチレンが不足している。

Sinopec 子会社の武漢石油化学が実施するもので、19億ドルを投じ、80万トンのエチレンコンプレックスを建設する。
中国の11次5カ年計画(2006-2010)に含まれており、本年下期に着工して2010年のスタートを目指す。

計画には以下の誘導品が含まれている。
 LLDPE  300千トン
 HDPE  300千トン
 PP    400千トン
 EO   100千トン
 EG   380千トン

原料ナフサは自社の製油所から供給する。同社では精製能力を既存の400万トンから800万トンに拡大する計画。

Chinac2centernew_3

Sinopecはこの計画を海外メーカーとのJVで行うべく、交渉中。
同社では、天津のエチレン100万トン増設計画、浙江省寧波市鎮海地区の鎮海煉油化工(エチレン100万トン新設)等を進めており、十分な資金がない、としている。
  2006/12/6
中国でエチレン増設相次ぎ完成、新規着工も」 

同社では海外の企業と交渉しているが、まだ決まっていないとして、相手先を明らかにしていないが、噂では、JV相手として韓国最大のリファイナリーのSK Corp.と台湾のFormosa Plastics が挙がっている。

SKでは武漢の石化JVを検討していることは認めているが、まだ決まっていないとしている。

Formosa Plastics も検討しているとはしているが、"very very preliminary"としている。

同社は以前から浙江省寧波市北崙経済技術特区に石油・石化基地の建設を目指して中国、台湾両政府に陳情を行っている。現在の計画は、年産10百万トンの製油所、120万トンのエチレン、60万トンのプロピレン、及び各種誘導品である。
本年1月17日に中国国家発展改革委員会の副委員長とFPCのオーナーの王永慶がFPCの寧波計画に関して会談したと伝えられている。

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2007年4月 8日 (日)

速報 国連バネルが報告採択

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第二部会は6日、温暖化が「地球規模で目に見える影響を及ぼし始めた」とする報告書をまとめた。
http://www.ipcc.ch/SPM6avr07.pdf

平均気温の上昇幅を1990年比で2-3度に抑えなければ世界的に損失が拡大すると警鐘を鳴らした。

 

Key impacts as a function of increasing global average temperature change

Ipcc2_1

Ipcc22_1

 

参考  第一部会報告

  2007/2/6 国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」報告書発表 

補足 
 
安井先生の「市民のための環境学ガイド」に早速解説が出た。
  IPCCのWG2報告書
 
http://www.yasuienv.net/IPCCWG22007.htm

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2007年4月 7日 (土)

DowがICIを買収?

DowTOBとかけるとの噂で英国の ICIの株が急上昇している。

 

ICIは 2006/3/7 ICIの抜本的構造改革 記載の通り、既存事業のほとんどを売却し、スペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。

その時点での同社の事業は、既存の塗料のほか、1997年にUnileverから購入した3事業=National Starch、香料(flavours & fragrance) のQuest、油脂化学界面活性剤のUniqema の合計4事業部門から成っていた。

同社は昨年6月には、Uniqema部門 Croda International に約915円で売却した。
そして昨年
11月末には香料を扱う Quest 部門をスイスに本拠を置く Givaudan に約2,680
億円で売却すると発表した。


売却額は
退職年金不足額に充当するほか、負債の返済に充てられた。
 2006/11/30
 ICI、Quest部門をGivaudanに売却

この結果、同社は塗料事業とNational Starchに事業を集中、負債も縮減した。本年2月にはアナリストが買収の好対象であると述べている。

 

しかし、何故Dowなのかということは不明である。DowもICIも no comment としており、Dowの Liveris CEO321日に”Big Ban"取引の計画はないとしている。

既報の通り、Dowには投資家による買収説や、基礎部門のJV化説が出ている。

 

なお、2日目もICIの株価は上昇したが、これはDowに続いて、インドのRelianceもTOBをかけるのではとの噂によると言われている。

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2007年4月 6日 (金)

日タイ、経済連携協定に署名 

安倍晋三首相とタイのスラユット暫定首相は3日、日タイ経済連携協定(Economic Partnership AgreementEPAに署名した。今秋にも発効する。
日本にとっては6つ目のEPAとなる。

これまでの締結国は以下の通り。
 シンガポール(2002年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 メキシコ(2005年発効)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty161_1b.pdf
 マレーシア(2006年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2006-6-2.htm#fta-malaysia
 フィリピン(2006年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/pdfs/gaiyo.pdf
 チリ(2007年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/pdfs/gaiyo.pdf

2005年9月に小泉首相とタクシン首相の会談で基本合意し、2006年4月に署名する予定であったが、タイの政変でタクシン首相が退陣、延期となった。

その後、亡命したタクシン元首相が東京で閣僚と会談することに軍事政権が反発、急遽会談を取り消したが、タイ側がEPAに署名しないのではないかとの懸念も出た。(当時はタクシン復帰の可能性もあったが、本件で双方を怒らせたことになった)

しかし、2月末に来日中のタイ外相が、「両国の産業にとって有益な内容であり、重要な協定だ」とし、前政権の政策を継承する意義を強調。今年は日本とタイの修好120年に当たることから、暫定首相が訪日し、両国の連携強化を示すこととなった。

 

EPAの概要は以下を参照。
 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/thailand/pdfs/gaiyo.pdf


貿易に関しては、双方が9割以上の貿易を自由化する。

Thaiepa_1

鉱工業品については、日タイ双方がほぼ全ての品目について、協定発効日から10年以内に関税を撤廃する。

このうち、石油及び石油化学製品については、大部分の品目について関税を即時撤廃し、その他の品目の関税は毎年均等に引き下げ、協定発効の5年後に撤廃する。

交渉の段階では、タイは競争力の高い石油化学汎用樹脂について、日本に対してより短い期間での関税撤廃を要求してきた。
最終的に石油化学汎用樹脂の一部(貿易額で3%相当)については、最長で5年以内に関税撤廃することとした。
主なものは以下の通り。

  1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ポリエチレン  5.4%  4.3%  3.3%  2.2%  1.1%  無税
エチレン-酢ビ共重合体  2.3%  1.9%  1.4%  0.9%  0.5%  無税
ポリプロピレン  5.4%  4.3%  3.3%  2.2%  1.1%  無税
ポリスチレン  3.3%  2.6%  2.0%  1.3%  0.7%  無税
ABS  2.6%  2.1%  1.6%  1.0%  0.5%  無税
PVC  無税  無税  無税  無税  無税  無税

詳細は http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/thailand/pdfs/fuzoku01.pdf

 

日本からの自動車輸出では、主力となる排気量3000㏄超の大型車の関税は、現在の80%から60%に下がるにとどまる。高関税が当面続くことに自動車業界から不満の声が出ている。

タイ側では、マンゴー、エビ、ドリアンなどの関税が即時撤廃される一方で、コメ、麦、でんぷんなどは高関税が続くことに不満が残っている。

前日合意した韓米FTAと比べると、「小粒な内容」であることは間違いない。

 

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2007年4月 5日 (木)

米連邦最高裁、温室効果ガス規制で政府に促す判決

米連邦最高裁は2日、EPAに自動車からの二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出規制を強く促す判決を下した。判事9人のうち5人が規制に賛成、4人が反対した。
  判決文 
http://www.supremecourtus.gov/opinions/06pdf/05-1120.pdf

地球温暖化が人間の活動の影響とする科学的根拠はないとし、規制は米国経済に害を与えるとして反対しているブッシュ政権に打撃となる。

「マサチュセッツ州 vs 連邦EPA」と呼ばれる裁判で、12の州や環境団体がEPAに対して Clean Air Act に基づきCO2等の排出規制をするべきだと訴えていたもので、米国最高裁は昨年6月末に、CO2に関する温室効果ガス規制問題を最も重要な環境問題の一つであるとし、審議することを決めた。

 2006/7/8 温暖化問題で米国最高裁が審議 

Clean Air Actは「大気汚染物質」の新車からの排出をEPAが規制するよう定めている。

原告側は「地球温暖化をもたらすCO2は同法の規制対象」と主張。
これに対して、EPAは
▽CO2は大気汚染物質ではない
▽同法は地球温暖化に対処する強制的な規制権眼を同庁に与えていない
▽温室効果ガスと地球の気温上昇の因果関係は確立されておらず、規制は妥当ではないーーなどと反論していた。

最高裁の多数意見を代表したJohn Paul Stevens 判事は判決で、CO2を含む温室効果ガスは同法が規定する大気汚染物質に該当し、EPAは規制権限を持つとの判断を示した。
EPAが規制を望まないのなら、これまでのような無効な理由ではなく、きちんとした理由を挙げるべきだとしている。
さらに、EPAが排出規制を拒否したためマサチュセッツ州に「現実に、また差し迫った
('actual' and 'imminent') 害の危険性が生じていると指摘した。
EPAは温室効果ガス規制の権限がないとする理由をなんら示しておらず、EPAが規制をしないのは恣意的であり、法に基づく行為でないとしている。

他の3人とともに反対票を示したJohn G. Roberts Jr. 最高裁長官は、「反対したのは地球温暖化の存在、その原因、問題の重大性などの判断によるものではなく、仮に地球温暖化が危機であり差し迫ったものであったとしても、この種の問題は裁判所よりも議会や政府が扱う問題と考えるからである」と述べた。
しかし、多数意見とは異なり、原告は地球温暖化と実際の被害の相互関係を明らかにしていないとし、例として、マサチュセッツ州が温暖化による海面上昇で次第に海岸線の領域を失っているというのは、単なる憶測に過ぎないとした。

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2007年4月 4日 (水)

米韓FTA妥結 

米国と韓国が進めていた自由貿易協定(FTA)締結交渉が2日、期限切れ直前に妥結した。
最後まで争点となった牛肉を含む農業と自動車分野でも合意した。

韓国はアジアでシンガポールに続いて2番目に米国とFTAを結ぶことになる。
米韓の現在の貿易額は年間約770億ドル。FTA締結は米国にとって、1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)に続く大型の通商協定となる。

ーーー

2005年9月に両国大統領が電話会議のなかでFTA交渉実施の希望を述べたのが始まりで、昨年6月にワシントンで第一回の交渉を開始、その後何度も交渉を続けたが、自動車や農産物分野の市場開放などで協議が難航した。

 2006/7/22 韓国と米国の自由貿易協定交渉、医薬品問題で決裂 

本年7月1日で切れる米議会の審議手続き(Fast-Track)の関係で交渉期限を3月31日としたが、3月26日からの閣僚級の最終交渉でもまとまらず、断念かと思われた。

しかし、カタール訪問中の盧武鉉大統領が29日午後、ブッシュ大統領と電話で話し合い、FTA交渉妥結で共同の利益を増進させなければならないという政治的意思を再確認し、それぞれ交渉代表団に相互最大限の柔軟性を持って交渉するよう指示することにした。
また、週末の関係から交渉期限を4月2日午前1時に延ばし、最後の詰めを行った。

Fast-Track (高速コースの意味)
米国憲法では通商分野は議会の権限に属するが、Fast-Trackではこの権限を大統領に付託するとともに、大統領が締結した対外通商協定について、議会は60日以内に全面支持か全面拒否の二者選択で、条文修正や選択的採択が出来ない。
政府がこうした権限を保持することで、交渉相手国に妥結した協定案が米議会の修正要求により変質させられてしまうのではないかとの懸念を払拭させ、交渉を進めることが出来る。

Fast-Trackは2002年8月に約8年ぶりに復活、延長された結果、2007年7月1日まで有効となっている。
このため、準備期間も入れて3月中に妥結する必要があった。

主な内容は以下の通り。
◇農業

  
韓国=米国産牛肉輸入再開協議は、国際水域事務局のBSE評価等級が出される5月以降行う。
       牛肉(15年で)・豚肉(最長10年で)関税引き下げ
      コメは対象外
      米国産オレンジの関税を9月~2月は50%を維持、他は30%に。
◇自動車
    韓国=輸入関税(8%)即時撤廃
      排気量基準自動車税を現行5段階から3段階に簡素化
      自動車特別消費税を発効後3年以内に5%以下に単一化
  米国=3000cc以下の乗用車関税(2.5%)を直ちに撤廃
       3000cc超の乗用車は3年で関税撤廃
      ピックアップトラック(25%)は10年で関税撤廃
◇繊維
  韓国=韓国産繊維の対米迂回輸出防止に協力
  米国=米国側輸入額基準61%の関税を直ちに撤廃
      韓国に原糸基準原産地適用例外を認定
◇工業製品
 
  全品目において10年以内に関税撤廃
◇貿易手続き
  米国=米側が反ダンピング調査開始前に韓国側と協議
◇著作権
  韓国=著作権保護期間を70年(現行50年)に延長し、法律・会計市場を段階的に開放する。
◇開城(ケソン)工業団地

  韓米=「韓半島域外加工地域委員会」を設置し、韓半島非核化の進展など一定要件の下、
      原則的に域外加工地域に指定するよう協定文に明示
    (※開城工業団地など南北経済協力地域の生産品を韓国産と認める土台を確保)

*開城工業団地Nkoreamap2_1
2000年8月、金正日総書記と鄭夢憲・現代グループ会長との合意で、北側が土地と労働力を、南側が技術と資本を提供して、開城に一大工業団地を作ることが決まった。2003年8月に南北当局者間で投資保障、二重課税防止、清算決済、商社紛争合意書の4項目に関する経済協力合意書を交わした。第一段階100万坪のうち、まず28千坪について、15の企業を入居させるパイロットプラン(モデル団地)を実施中で現在11の企業が操業を開始している(化学品はない)。
韓・シンガポールと韓・EUの自由貿易協定は、
開城工団製品を韓国産に認めた。「韓国産原料を60%以上使っていれば、韓国産に見なし、無関税の恩恵を与えてほしい」という韓国政府の要求が受け入れられた。
しかし、ASEANとの交渉では相当数の国が「WTOの原産地規定は、最終的な加工が行なわれた地域を基準とする」と反対し、ペンディングとなっている。
米国は、
開城工団北朝鮮勤労者に対する労働搾取などを主張し、問題視している。

韓国の朝鮮日報は韓国の化学業界への影響について、以下の通り述べている。

ポリエチレンなど石油化学製品の場合、関税が撤廃されても輸出入に大きな変化はないものと予想される。
LG化学の関係者は「中国への輸出が全体の60%を占めており、米国と直接取引する量は多くないため、それほど大きな影響が及ぶことはないだろう」と話す。

だが、韓米両国間で技術力に格段の差が精密化学製品(塗料・接着剤・顔料など)の場合、一部で打撃を被ることも予想される。韓国の平均関税率は5.96%だが、米国は2.48%に過ぎず、輸出よりも輸入が増える可能性が高いためだ
韓国精密化学工業振興会のチュ・マンス理事は「韓国国内の精密化学産業の主要品目である医薬品・化粧品・農薬などの原料の場合、技術面での差が大きく、深刻な影響を被る可能性もある」と話す。

ーー

韓国は2006年5月にタイを除くASEAN加盟9カ国とFTAを締結した。
また
「バンコク協定」に加盟し、中国、インド、バングラデシュ、スリランカ、ラオスなどと関税の減免などを実施している。
  2006/5/9 
日本、韓国、中国の自由貿易協定交渉  

韓国はまた、先月、北京で「韓中FTA産官学共同研究」を1年間の日程でスタートさせている。

ーーー

日本は韓国とは交渉入りしたものの日本向けの水産品の関税撤廃をめぐって対立し、2004年に中断した。
米国とは本格的な検討にも至っておらず、韓米交渉開始に当たり、米代表は日本とは当面は交渉入りの意思はないとの見解を示した。

米韓FTAが発効すれば、日本は一部の自動車や部品の対米輸出で韓国メーカーに後れをとるリスクがある。

ーーー

日本は4月3日、タイとのEPAを締結した。秋にも発効する見通し。昨年4月に署名する予定がタイの政変で遅れていた。
  概要:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/thailand/pdfs/gaiyo.pdf

これまでの締結国は以下の通り。
 シンガポール(2002年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 メキシコ(2005年発効)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty161_1b.pdf
 マレーシア(2006年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2006-6-2.htm#fta-malaysia
 フィリピン(2006年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/pdfs/gaiyo.pdf
 チリ(2007年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/pdfs/gaiyo.pdf

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2007年4月 3日 (火)

中国、戸籍制度改革へ 

新華社通信によると、中国は都市と農村の戸籍登録制度を統一することを重点とした戸籍管理制度の改革に力を入れることになった。農業戸籍、都市戸籍という二元的な戸籍制度を徐々に廃止し、国民の身分を平等にすることを目指す。3月29日に北京で開かれた全国治安管理工作会議で明らかにされた。

河北、遼寧、山東、広西、重慶などの12の省(自治区・直轄市)では、農業、都市という二元的な戸籍の区分を試験的に廃止している。
北京や上海などでも、農民が身分を変更する場合の制限を緩和している。
黒竜江省でも試験的に戸籍制度改革が行われており、2007年には省全体に広げる予定。

1958年に決められた戸籍制度(戸口 Hukou)では、農民戸籍と都市戸籍に区分され、教育、医療、住宅、雇用などの個人の権利が戸籍と密接に結びついている。

現在、120百万人以上の農民戸籍の住民が都市で働いているが、現在の制度では農民戸籍の住民は何年間都市に住んでいても、都市の社会福祉を受けられないままである。

出稼ぎのために都市に出る農民は「外地人」と呼ばれ、差別されている。

・職業選択の自由は農民戸籍者には存在せず
  上海市の94年条例では23職種にはつけない(3Kの仕事と低賃金職種のみ)
・子女に対する教育差別(公立小中学校に入れない)
・賃金差別
・都市に流入する農民工に課せられた諸費用
  暫住証、寄住証、身分証明書、就業証、婦人に対する2ヶ月1回の不妊検査証など
・都市戸籍者への各種補助金が与えられない
・社会保険上の差別
  年金、失業保険、医療保険、労災保険、生活扶養金が農民工には与えられない
・その他 

 

4月1日夜9時のNHKスペシャル 「激流中国 富人と農民工」 はショッキングな内容であった。

(NHKホームページから)
個人資産300億円以上、巨万の富をたった一代で築き上げた会社社長。改革開放の波に乗って、不動産投資などで成功を収め、今も1回に何億もの金を株などの投資につぎ込む。富がさらなる富を生み、笑いが止まらない。かたや日雇い労働で手にする日当はわずか600円ほどの農民。家族を養うために農村から都会に出てきたものの、ようやく見つけることができた仕事は建設現場の厳しい肉体労働。毎日、自分が暮らしていくのが精一杯で、そこからはい上がることはできない。中国では、今、こうした光景は決して珍しくない。社会の中で格差が広がり、勝ち組と負け組の差が鮮明になっている。中国政府は、今、経済成長を最優先してきた結果、生まれた歪みの是正を最優先課題に位置づけ、「調和の取れた社会」「みなが豊かになる社会」建設をスローガンに掲げている。
なぜ格差は拡大し続けるのか、貧しい人々がはい上がるのが困難な理由は何か。
貧・富それぞれの現場に徹底的に密着し、中国政府が今、最大の課題とするこの問題に迫る。

 

中国の第10期全国人民代表大会(全人代)では三農(農業、農村、農民)対策の拡充が問題になったが、戸籍制度の改革は先送りとなった。

国が決めた制度なので、国がすぐに廃止すればよい筈だが、10億人の農民戸籍の国民に都市戸籍の国民と同じ扱いをするのは費用面でも無理であるし、都市には農民が殺到して大混乱が起こるであろう。
省が「徐々に」廃止するとしても、非常に時間がかかるであろう。

参考 2006/8/8 杉本信行著 「大地の咆哮 元上海総領事が見た中国」 
     2007/3/13 中国の収入格差問題 

 

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2007年4月 2日 (月)

GE Plastics 争奪戦にSABICも参戦

GE Plastics の入札が4月央に行われる見通しだが、SABICが争奪戦に加わる。
参戦者が多く、当初100億ドルとされたが、今や120億ドルといわれている。

26日付けのFinancial Times によると、SABICは入札準備のためにCitigroup を指名した。
同社は昨年
7億ドルでHuntsman の欧州汎用品事業を買収したが、その際、SABIC副会長は、それがSABICがグローバルに拡大する意思を示すものであるとしていた。

GE 1月にGE Plastics 売却を考えていることを明らかにした。

   2007/1/11 「GEがGEプラスチックスを売却か?」 
   2007/1/22
 「GEについて」  

入札はGoldman Sachs が実施するが、参加を希望する Apollo ManagementBlackstone GroupCarlyle GroupKohlberg Kravis Roberts & Co の4社はGoldman Sachs の要請に応じ、4社の間では組まないとの誓約をしている。

このうち、Blackstone は(DuPontTextiles & Interiors 部門INVISTAを買収した)Koch Industries と、Carlyle は投資会社のTexas Pacific Group と組んでおり、KKR Rhodia のフェノールその他事業を買収したり、イスラエルDor Chemicalsに出資しているBain Capitals と組む予定である。
Apollo Management
は昨年、GE Silicones を買収している。

このほかインドの Reliance Industries も手を挙げている。同社はDowの基礎部門のJV相手と噂されていたが、最近のインド紙の報道ではこの話は潰れたとされる。(交渉はまだ続いているとの報道もある)

更にBasellBASF も噂に挙がっている。

ーーー

なお、SABICは中国で2つの石油化学計画を持っている。

一つは
SINOPECの天津計画(エチレン100万トン)への参加、もう一つは大連市の旅順港での大連実徳グループとの年産1千万トンの製油所と年産130万トンのエチレンコンプレックス計画である。

  2006/8/1 クウェートの中国進出」 後半 参照 

SABICは昨年1月のサウジのアブドゥッラー国王の最初の公式訪中を機に計画の実現を希望したが、これらはいずれも進展が見られない。

大連の計画は中国の11次5ヵ年計画(2006-2010)にも含まれておらず、当面承認の可能性がない。
中国政府がSaudiAramco の福建計画の承認で、とりあえずはサウジはお終いとしたとの見方もある。

これに対し、SABICの会長のPrince Saud bin Thunayan Al-Saud は2月25日にメディアの取材に対し、「中国政府が出来るだけ早くプロジェクトを承認することを希望する」「わが社の投資先は中国だけではない。他にもたくさん投資先がある」と述べている。
但し、一方で「中国市場には未来がある。中国への投資は大きなチャンスだ」とも語っている。

ーーー

福建計画については2005年7月8日に起工式が行われ、エチレン設備は2006年11月に着工した。
遅ればせながら、JVの正式承認を祝う式典が本年3月30日に北京の人民大会堂で行われ、サウジの石油鉱物省大臣などが出席した。

JVは石油の精製・石化会社と石油製品販売会社の二つ。
Fujian Refining & Petrochemical Company Limited 
  出資 
Fujian Petrochemical Company Limited 50%
       (Sinopec 50%/ 福建省政府 50%).
      ExxonMobil China Petroleum and Petrochemical Company Limited  25%
      Saudi Aramco Sino Company Limited  25%
  事業 石油精製:現行80千バレル/日(400万トン/年)→240バレル/日(1200万トン/年)
      石化:
エチレン800千トン、PE 800千トン、PP 400千トン、PX 700千トンほか
  スタート 
2009年初め

Sinopec SenMei (Fujian) Petroleum Company Limited
  出資 Sinopec 55%
      ExxonMobil China Petroleum and Petrochemical Company Limited 22.5%
      Saudi Aramco Sino Company Limited  22.5%
  事業 福建省でターミナルと750のサービスステーションを運営

 2006/4/7 中国のエチレン合弁会社ー2 参照  

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