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2007年3月24日 (土)

三九集団の再建

中国の国有資産監督管理委員会(State-owned Assets Supervision and Administration Commission:SASAC )は19日、華潤集団China Resources Enterprise)による三九企業集団999 Group)の買収を明らかにした。

三九集団は国有の大型医薬品企業で、上場企業の三九医薬やGMP認証を取得した医薬品製造企業を傘下に多数擁する。製品は漢
方医薬・西洋医薬を合わせて約千種類に上り、全国をカバーする販売ネットワークをもつ。

同集団はレジャーや自動車販売など非医薬品事業に多角化したが、これらが赤字で、2003年末には負債総額が約100億元に膨らみ債務超過に陥り、深刻な信用危機および債務危機に陥った。

同社は上場子会社の株式の一部を外資に売却、借入金返済に充てる計画をつくり、インドネシア系の華僑系財閥と交渉を進めていたが、同社を管理するSASACとの調整が難航、外資導入計画は白紙に戻した。

2004年7月には国務院の認可を受けて債務再編をスタートし、06年12月には投資家選びを開始した。

三九の買収には、地元企業と組んだ米ファンド大手のカーライル・グループやドイツ銀行など外資を含め、5者が名乗りを上げていたが、最終的に同じ大型国有企業で経営が安定している華潤を選んだ。

華潤は流通、電力、食品などの企業を傘下に持つ大型複合企業で、昨年10月に医薬品卸の大型国有企業、華源集団を買収するなど、近年は医薬品事業を強化している。

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同社の日本子会社、三九製薬の歴史は以下の通り。

1997年8月に日本の医薬事業リサーチを目的として株式会社範記通商を設立。その後、株式会社本草坊、更に、株式会社三九本草坊医薬に社名変更した。
2005年6月、三九本草坊医薬は株式会社
三九製薬に社名変更した。

2002年10月、ドラッグストア大手のハックキミサワと提携、日本市場向けの大衆薬(一般用医薬品)や健康食品などを両社で企画・開発し販売することとした。
2003年10月からは
イオングループと連携、イオンが主導するドラッグストア連合「ウエルシア・ストアーズ」向けに大衆薬を出荷した。

2003年10月、同社は中堅漢方薬メーカーの東亜製薬(富山県上市町)の株式94%を取得、子会社化した。
東亜製薬を傘下に収めることで30品目以上の医薬品の製造、販売が可能になった。漢方かぜ薬「葛根湯」などを提携先のハックキミサワを通じ「999」ブランドで発売した。
買収に当たっては「中国の企業に買われるとリストラが厳しいのではないか」「地元経済への配慮がなくなる」などの意見が出て、一度は株主総会で否決されたが、東亜の社長が「三九と組まなければ商品開発や販売競争に勝ち抜けない」と力説、再度開いた株主総会でようやく過半数の賛同を得た。

2003年11月、伊藤忠商事との包括業務提携を締結した。
中国で三九が所有する1万坪の農地で葛根や甘草など千種を超す生薬を栽培。日本の生産管理基準を満たした工場で加工し、抽出したエキスの全量を伊藤忠子会社の伊藤忠テクノケミカルが日本市場に供給する。

2004年9月には
伊藤忠が三九本草坊医薬の第三者割当増資を引き受け、23.1%の2位株主となった。(伊藤忠が18.1%、医薬品卸子会社の伊藤忠テクノケミカルが5%)
西村一郎会長兼CEOが43%近くの株を保有し、三九企業集団と伊藤忠は同じ23.1%のため、中国から見れば同社は「外資系」となる。

三九製薬は中国で「外資系企業」として日本の医薬品と化粧品を販売している。
2005年5月に広東省に「
日美健薬品(恵州)公司」を全額出資で設立、中国全域での卸、小売事業を手掛ける免許を中国政府から取得した。8月の増資で伊藤忠と医薬品卸第三位のアルフレッサがそれぞれ15%出資した。
急成長する中国市場に足場を築くとともに、中国経由でASEANにも輸出する。

通常、外資系の製薬企業は中国内で製造した製品でなければ自社販売できない。
日美健は、中国全土であらゆる種類の医薬品を取り扱うことができる「一級卸」であるうえに、中国外で製造した医薬品を中国に輸入する権利を持っている。
日美健は「外資系」ではあるが、三九企業集団を通じて政府の意向も反映できることから、特権的な権利を与えたと言われている。

 

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